大学病院の1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓大学病院の1日の流れを
- ✓看護助手や医療事務まで職種ごとに時間順で追いました
- ✓朝のカンファレンスや回診
「大学病院って、1日がどう回っているのか想像がつかないんです」
このご相談、本当によくいただきます。 一般の病院やクリニックで働いてきた方が、大学病院への転職を考えたとき。 看護学生さんが、実習先とは違う大学病院の就職説明会に行く前。 あるいは、医療事務や看護助手として、初めて大きな病院で働こうとしている方。
大丈夫ですよ。 大学病院の1日は、たしかに人も情報も多くて最初は圧倒されます。 でも、動いている仕組みそのものは、いくつかの「決まった時間の山」でできています。 その山がどこにあるのかが分かれば、自分がそこでどう動くのかも見えてきます。
この記事では、大学病院で働く人の1日を、朝から終業まで時間の順に追っていきます。 看護師の日勤と夜勤、医師や研修医、そして看護助手や医療事務まで、職種ごとの動き方を並べました。 そのうえで、一般の病院と何が違うのか、求人票や見学でどこを見れば実際の1日が分かるのかもお話しします。
大学病院の1日を形づくる「3つの役割」
まず、大学病院の1日がなぜ一般の病院と違う動き方になるのかを押さえておきましょう。 理由はシンプルで、大学病院は「診療」だけをする場所ではないからです。
大学病院には、大きく3つの役割があります。 1つ目は、ほかの病院では難しい高度な医療を行う「診療」。 2つ目は、医学生や看護学生、研修医を育てる「教育」。 3つ目は、新しい治療法や薬の効果を確かめる「研究」です。
多くの大学病院は、国から「特定機能病院」の承認を受けています。 特定機能病院は、高度な医療の提供と開発、研修を担う病院として位置づけられていて、病床数は400床以上が要件です。 実際には、600床から1,000床を超える規模の大学病院も珍しくありません。 外来には1日に2,000人前後の患者さんが来る病院もあり、その人数を毎日さばく流れが院内に組まれています。
この3つの役割は、1日の時間割にそのまま表れます。 朝早くにカンファレンスがあるのは、医師が外来や手術に出る前に、チームで方針をそろえる必要があるからです。 日中に学生が病棟にいるのは、教育が業務の一部だからです。 夕方以降に医師が病棟から姿を消して研究室にこもるのは、研究の時間を確保するためです。
私がお話を聞いてきた方の中にも、「一般病院から移ったら、同じ看護師なのに1日の組み立てがまるで違った」と話す方がいました。 その方が最初に戸惑ったのは、仕事の量よりも「関わる人の数」だったそうです。 担当の医師が1人ではなくチームで何人もいて、そこに研修医と学生が加わる。 誰に何を確認すればいいのか分からないまま、午前中が終わってしまう日が続いた、と。
これは、能力の問題ではありません。 大学病院という職場の構造がそうなっている、ということです。 構造を先に知っておくと、「分からないのは自分だけではない」と思えますし、確認する相手を決めるのも早くなります。
もうひとつ知っておきたいのは、患者さんの入れ替わりの速さです。 大学病院は、手術や検査、化学療法など、目的がはっきりした入院が多い職場です。 目的が済めば退院し、その後は地域の病院やかかりつけ医に引き継ぐ流れになっています。 そのため、1つの病棟で1日に数人が入院し、数人が退院するのが日常の風景です。 1日の流れを見るときは、この「入退院の出入り」がどの時間に集まるのかも一緒に見ていくと、実態がつかみやすくなります。
看護師の日勤:朝の申し送りから夕方の記録まで
ここからは、実際の1日を時間の順に追います。 いちばん人数が多い、病棟看護師の日勤から見ていきましょう。
大学病院の病棟の日勤は、8時30分前後に始まるところが多くあります。 ただし、実際には始業の15分から30分ほど前に病棟に入り、電子カルテで担当患者さんの情報を集めている人がほとんどです。 この「前の時間」については、あとで求人票の見方のところで詳しくお話しします。
大学病院の看護部が公開している日勤の流れを見ると、1日の骨組みがよく分かります。 たとえば金沢医科大学病院の看護部は、日勤の看護師の1日を次のように紹介しています。
9:00 引き継ぎ、カンファレンス 患者さんの心身状態や実施した看護について情報を共有します。 10:00 検温 バイタルサイン測定の際に症状を聞き、フィジカルアセスメントをします。 出典: kanazawa-med.ac.jp
この流れを、大学病院でよくある時間割に置き換えると、次のようになります。
| 時間 | 主な動き |
|---|---|
| 8:30 | 夜勤からの申し送り、チームでの短いカンファレンス |
| 9:00 | 担当患者さんの検温、観察、点滴や内服の確認 |
| 9:30 | 医師の回診への同行、指示の受け取り |
| 10:00 | 手術室や検査室への送り出し、入院の受け入れ |
| 12:00 | 配膳と食事の介助、交代で休憩 |
| 13:30 | 午後の処置、手術を終えた患者さんの受け入れ |
| 15:00 | 退院指導、転院や在宅への調整 |
| 16:00 | 記録、翌日の準備、夜勤への申し送り |
| 17:15 | 終業(実際には記録で延びることが多い) |
表にすると整って見えますが、大学病院の日勤で特徴的なのは、午前10時前後に「人の出入りの山」が来ることです。 手術の患者さんを手術室へ送り出し、検査の患者さんを検査室へ連れて行き、その間に新しい入院の方が病棟に到着する。 さらに、回診で医師から新しい指示が出る。 この時間帯は、ナースステーションに誰も残っていない、という瞬間が何度も訪れます。
もうひとつの山は、午後の早い時間です。 午前中に手術を受けた患者さんが病棟に戻ってきて、手術直後の観察が始まります。 手術直後は、血圧や脈拍、意識の状態、痛み、出血を短い間隔で確認する必要があります。 担当している患者さんのうち1人が手術から戻ると、その方にかかる時間が一気に増えるので、ほかの患者さんのケアは同じチームの看護師と分け合って進めます。
大学病院の多くは、看護師を小さなチームに分けて受け持ちを決めています。 「パートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)」のように、2人1組で患者さんを受け持つ方式を取り入れている病院もあります。 2人で動くと、1人が手術の送り出しに出ている間も、もう1人が病棟の患者さんを見ていられます。 新しく入った人にとっては、先輩の動きを隣で見ながら覚えられるのが大きな助けになります。
夕方の記録の時間は、人によって長さが大きく変わります。 大学病院は、治療の内容が複雑なぶん、記録に残す項目も多くなりがちです。 臨床研究や治験に参加している患者さんがいれば、決められた観察項目を決められた時間に記録する必要もあります。 「記録が終わらず帰りが遅くなる」という声が出やすいのは、この部分です。
日勤を終えて病棟を出るのは、早い日なら17時30分ごろ、手術や入院が重なった日は19時を過ぎることもあります。 この幅があることを、最初から知っておくと気持ちが楽になります。
看護師の夜勤:人数が減る時間に何が起きているか
次は、夜勤の流れです。 大学病院の病棟は、2交代制と3交代制のどちらかで回しているところが多く、病院によっては病棟ごとに違う勤務体制を取っていることもあります。
2交代制の場合、夜勤はおおむね16時30分から翌朝9時ごろまでの約16時間です。 3交代制の場合は、準夜勤が16時30分から深夜1時ごろ、深夜勤が0時30分から朝9時ごろ、という区切りになります。 金沢医科大学病院のように21時から翌朝9時までを夜勤とする、長日勤と組み合わせた形の病院もあります。
夜勤の1日を、2交代制で見てみましょう。
| 時間 | 主な動き |
|---|---|
| 16:30 | 日勤からの申し送り |
| 17:00 | 夕方の検温、点滴の交換 |
| 18:00 | 夕食の配膳と介助、内服の確認 |
| 20:00 | 就寝前のケア、翌日の手術や検査の準備 |
| 21:00 | 消灯 |
| 22:00〜5:00 | 定期の巡回、体位変換、交代で仮眠 |
| 6:00 | 採血、検温、朝のケア |
| 8:00 | 朝食の配膳、記録 |
| 9:00 | 日勤への申し送り、終業 |
夜勤で大きく変わるのは、人数です。 日勤では1つの病棟に10人以上の看護師がいても、夜勤になると3人から4人ほどに減るのが一般的です。 その人数で、40床から50床ほどの病棟全体を見ることになります。
大学病院の夜勤ならではの特徴は、夜間でも「動きがある」ことです。 救命救急センターを持つ大学病院では、夜中に救急外来から緊急入院が上がってくることがあります。 手術を受けた当日の患者さんや、化学療法の副作用が出やすい時期の患者さんなど、状態が変わりやすい方が多いのも理由です。
一方で、夜間は医師の数も減ります。 当直の医師が複数の病棟を受け持っているため、何か起きたときに看護師が状態をまとめて報告し、指示を受ける流れになります。 このとき、「何が起きていて、何を判断してほしいのか」を短く伝える力が求められます。
朝の6時前後は、夜勤で最も忙しい時間です。 採血の検体を朝の検査に間に合わせる必要があり、同時に患者さんが起き始めてナースコールが増えます。 ここを乗り切って申し送りを済ませるまでが、夜勤の1日です。
夜勤の人員配置や、体を慣らしていく順番については話が長くなるので、この記事では1日の流れを押さえるところまでにしておきます。
医師と研修医の1日:朝のカンファレンスから研究の時間まで
看護師と同じ病棟で働いていても、医師の1日はまったく違うリズムで動いています。 これを知っておくと、「なぜこの時間に医師がいないのか」「なぜ指示がこの時間にまとめて出るのか」が分かるようになります。
大学病院の医師の朝は早く、7時30分から8時ごろに医局や病棟でカンファレンスが始まる診療科が多くあります。 前日に入院した患者さんの方針、夜間に起きたこと、その日の手術や検査の予定をチームで共有する時間です。 その後、病棟回診をして、9時ごろには外来や手術室、検査室へそれぞれ散っていきます。
長崎大学病院の総合診療科は、所属する医師の1日を紹介するページの中で、その仕事の幅をこう書いています。
総合診療科では、多くのことを経験できます。実際に、病棟、外来、訪問診療、緩和ケア、さらには臨床だけではなく、実験・研究にも携わっています。 出典: nagasaki-soushin.jp
この「臨床だけではなく研究にも携わる」という部分が、大学病院の医師の1日を特徴づけています。 日中は外来や手術で埋まり、夕方以降や手術のない曜日に、研究や論文の執筆、学生の講義の準備が入ってくるのです。
医師の1日を、よくある形で並べてみます。
| 時間 | 主な動き |
|---|---|
| 7:30 | 医局のカンファレンス、抄読会 |
| 8:30 | 病棟回診 |
| 9:00 | 外来、手術、検査(曜日で担当が決まっている) |
| 13:00 | 午後の外来や手術、病棟の処置 |
| 17:00 | 夕方の回診、指示の見直し |
| 18:00以降 | 学生や研修医の指導、研究、書類作成 |
研修医は、この流れの中で先輩医師について動きます。 朝は上級医より早く病棟に来て、担当患者さんの採血の結果や夜間の記録を確認し、カンファレンスで報告する準備をします。 日中は、上級医の指導のもとで処置や検査に入り、合間に入院時の記録や退院時の書類を作ります。 診療科を数か月ごとに回るので、1日の流れもそのたびに変わります。
看護師にとって大切なのは、医師の予定には「曜日の決まり」があるということです。 月曜日と木曜日は手術日、火曜日は外来日、というように、医師ごとに曜日で担当が決まっています。 病棟にいる時間が短い医師への確認は、朝の回診か夕方の回診のタイミングに合わせるとスムーズです。 逆に、手術中の医師に急ぎでない確認の電話をかけるのは避けたいところです。
また、大学病院の医師は数年ごとに関連病院との間を異動することがあり、年度の変わり目や秋に担当医が入れ替わることがあります。 4月は研修医も新しく入ってくるので、1年の中でも病棟の動きが最も落ち着かない時期になります。
看護助手・医療事務・医師事務作業補助者の1日
大学病院で働くのは、医師や看護師だけではありません。 患者さんが多い大学病院では、資格を必要としない職種にも、それぞれの決まった1日の流れがあります。
看護助手
看護助手は、病棟で看護師の業務を支える仕事です。 日勤の場合、8時30分ごろに病棟に入り、ベッドの環境整備やシーツ交換から始めることが多くあります。 午前中は、患者さんを検査室やリハビリ室へ車椅子やストレッチャーで運ぶ「搬送」が大きな比重を占めます。 大学病院は建物が大きく、病棟から検査室まで離れていることもあるので、この搬送だけで午前中の多くの時間を使う日もあります。
昼前後は配膳と下膳、午後は物品の補充や、検体を検査部へ届ける仕事が入ります。 大学病院の中には、手術室専属の看護助手として、器械の片付けや手術室の清掃を担当する求人もあります。
医療事務
大学病院の医療事務は、外来の受付、会計、入院の手続き、診療報酬の請求など、部署ごとに仕事が細かく分かれています。 一般のクリニックでは1人で受付から会計まで回すことがありますが、大学病院では「初診受付だけ」「会計だけ」というように分業されているのが特徴です。
外来の受付担当なら、1日の山は朝です。 8時30分の受付開始と同時に、予約の患者さんと紹介状を持った初診の患者さんが一斉に来ます。 午前中の受付を乗り切ると、午後は会計や書類の処理が中心になります。
医療事務の仕事に興味がある方は、資格の内容を知っておくと求人票の読み方が変わります。 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)は、受付や会計、診療報酬の請求の知識を問う資格で、どのような範囲が試験に出るのかは医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で確認できます。 大学病院の求人では資格が必須でないことも多いのですが、持っていると「どの業務から任せられるか」の話がしやすくなります。
医師事務作業補助者
医師事務作業補助者は、医師の書類作成や電子カルテの入力を代わりに行う仕事です。 診断書や紹介状の下書き、手術の同意書の準備、外来で医師の隣について入力を補助するなど、医師の時間を診療に回すための役割を担っています。
1日の流れは、配属先で大きく変わります。 外来に配属されれば、診察の時間に合わせて医師の隣で入力をします。 病棟や医局に配属されれば、退院時の書類や、学会や研究に使うデータの整理が入ることもあります。
こうした職種の1日に共通するのは、「自分の仕事の時間が、医師と看護師の動きに合わせて決まる」ということです。 朝の回診、手術の送り出し、外来の開始。 院内の大きな時間の山を知っておくと、自分がどの時間に忙しくなるのかが前もって分かります。
一般の病院と比べたとき、大学病院の1日で違うこと
ここまで職種ごとの1日を見てきました。 では、同じ看護師や同じ医療事務でも、一般の病院と大学病院とで、何が違ってくるのでしょうか。
関わる人の数と、確認の手順
一番の違いは、1人の患者さんに関わる人の数です。 一般の病院では、主治医が1人いて、その先生に確認すれば方針が決まることが多くあります。 大学病院では、主治医の上に指導医がいて、その下に研修医がつき、診療科どうしで相談することもあります。 さらに、薬剤師、管理栄養士、リハビリの専門職、医療ソーシャルワーカーが、それぞれの立場からチームに加わります。
関わる人が多いぶん、「誰が何を決めるのか」を確かめる手順が増えます。 これは手間でもありますが、1人で抱えずに相談できる相手が多い、ということでもあります。
教育の時間が1日に入り込んでいる
大学病院では、看護学生の実習、医学生の臨床実習、研修医の指導が、日常業務の中に組み込まれています。 病棟に学生がいる期間は、患者さんのケアの一部を学生と一緒に行ったり、学生の質問に答えたりする時間が生まれます。 自分自身も、院内の研修や勉強会に参加する時間があり、1年目から数年目までは教育プログラムに沿って研修が組まれている病院が多くあります。
任される範囲の違い
同じ看護師の資格でも、任される範囲は職場によって変わります。 大学病院では、医師が多いぶん、処置の役割分担がはっきりしている傾向があります。 一方で、治療の内容が高度になるので、看護師が観察しなければならない項目は細かくなります。 特定行為研修を修了した看護師や、専門看護師、認定看護師が院内に多いのも大学病院の特徴で、そうした人たちの動きを間近で見られる環境でもあります。
一般の病院で幅広く何でも任されてきた方が大学病院に移ると、「自分でやれることが減った」と感じることがあります。 反対に、大学病院から一般の病院へ移った方からは、「医師がすぐにいないので、自分で判断する場面が増えた」という話をよく聞きます。 どちらが良い悪いではなく、職場によって役割の切り分け方が違うということです。
給与や待遇の考え方
1日の流れとは少し離れますが、働く場所を選ぶときには給与も気になるところです。 看護師の年収や時給の相場は、勤務先の種類や地域、夜勤の回数で変わります。 全国的な相場を知っておくと、大学病院の求人を見たときに、その条件が高いのか低いのかを判断しやすくなります。 看護師の平均的な年収や、働き方ごとの単価の目安は看護師の年収・単価相場にまとめられているので、求人票と見比べる際の物差しとして使ってみてください。
曜日と季節で、同じ病棟の1日も変わる
ここまで「1日」を切り取ってお話ししてきましたが、大学病院の1日は、曜日と季節によっても形が変わります。 入職してから戸惑わないように、この波も知っておきましょう。
曜日による違い
外科系の病棟では、手術日の曜日が決まっています。 手術日の前日は、翌日の手術を受ける患者さんの入院が集中し、術前の説明や準備で午後が埋まります。 手術日の当日は、午前中に送り出し、午後に受け入れ、夕方から夜にかけて術後の観察が続きます。 つまり、同じ病棟でも「入院の多い曜日」「手術の多い曜日」「比較的落ち着いた曜日」があるのです。
内科系の病棟では、検査や化学療法の予定が曜日で組まれていることが多くあります。 週の初めに入院して検査を受け、週の後半に退院する流れが組まれていると、月曜日と金曜日に人の出入りが集まります。
土曜日や日曜日は、予定の手術や検査がほとんどないため、日中の病棟は平日より静かです。 その代わり、看護師の人数も平日より少なくなるので、緊急入院が入ったときの負担は大きくなります。
季節による違い
1年の中で最も慌ただしいのは、4月です。 新人看護師と研修医が一斉に入ってきて、医師の異動も重なります。 教える側の負担が増える時期なので、中途で入職する場合は、4月を避けて入るほうが先輩に丁寧に見てもらいやすいという声もあります。
冬は、感染症の流行で入院が増える時期です。 小児科や呼吸器内科の病棟は、12月から2月にかけてベッドが埋まりやすくなります。 また、年末年始は外来が休みになる前に入院を済ませる患者さんが増え、休み明けには退院の調整が集中します。
夏から秋にかけては、看護学生の実習が入る時期が病院ごとに決まっています。 実習期間中は病棟に学生がいるので、日中の動き方が少し変わります。
こうした曜日と季節の波は、求人票には書かれていません。 見学や面接で「この病棟で一番忙しい曜日はいつですか」と聞くと、その病棟の1週間の組み立てが見えてきます。 入職の時期を選べるなら、この波も判断材料に入れてみてください。
求人票と見学で「実際の1日」を確かめるポイント
大学病院の1日の流れが分かったら、次は、応募を考えている病院の1日が実際にどうなっているかを確かめる番です。 求人票やパンフレットに書かれているのは、あくまで「予定の1日」です。 実際の1日に近づくために、見るべきポイントを整理しておきます。
1. 勤務時間と、始業前の扱い
まず、勤務時間の書き方を見ます。 「8:30〜17:15」と書いてあっても、始業前に情報収集をするのが当たり前になっている職場は少なくありません。 見学や面接の場で、「始業前の情報収集は何時ごろから始める方が多いですか」と聞いてみてください。 答えにくそうにされたら、その職場では前残業が常態化している可能性があります。
2. 勤務体制が病棟ごとに違うか
2交代制か3交代制か、病院全体で統一されているか、病棟ごとに違うかを確認します。 配属先によって夜勤の長さが変わることがあるので、希望する診療科の勤務体制を聞いておくと安心です。
3. 時間外労働の平均と、その数え方
求人票に「月平均残業10時間」などと書かれている場合、その数字が病院全体の平均なのか、看護部の平均なのかを確かめます。 手術が多い診療科や、救急を受ける病棟は、平均より長くなるのが一般的です。 また、院内の研修や委員会活動の時間が勤務時間に含まれるかどうかも、1日の長さに関わります。
4. 見学で見る時間帯
見学ができるなら、できれば午前10時前後の時間を見せてもらうのがおすすめです。 先ほどお話しした「人の出入りの山」の時間なので、病棟がどれくらい忙しく、看護師どうしがどう声をかけ合っているのかが分かります。 ナースステーションの空気、廊下で走っている人がいるかどうか、新人に先輩が声をかけているか。 こうした様子は、求人票には書かれていない情報です。
5. 教育体制の中身
「教育体制充実」という言葉だけでは、中身が分かりません。 1年目に何回の集合研修があり、それが勤務時間内に行われるのか。 プリセプターがつくのか、チームで教える方式なのか。 中途採用の場合にも同じ研修が用意されているのか。 こうした点を具体的に聞いておくと、入職後の1日がどう組み立てられるのかが見えてきます。
私が以前に話を聞いた方は、見学のときに「中途入職の方は、最初の1か月はどう過ごしていますか」と質問したそうです。 そのとき、看護師長さんが実際の中途入職者の名前を出して、「あの人は最初の2週間は日勤だけで、先輩について動いていたよ」と具体的に答えてくれた。 その具体さが決め手になって入職を決めた、と話していました。 質問への答えがどれくらい具体的かは、その職場が新しい人の1日をどれくらい考えているかを映しています。
大学病院の1日を知ったうえで、次の一歩を考える
大学病院の1日は、診療と教育と研究という3つの役割が重なり合ってできています。 朝のカンファレンス、午前10時前後の出入りの山、午後の手術後の観察、夕方の記録。 この骨組みを知っておくだけで、見学で見るべき場面も、面接で聞くべき質問も変わってきます。
最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた運営者の立場から、ひとつ付け加えさせてください。 医療の現場で経験を積んだ人の働き方は、ここ数年で大きく広がってきました。 病院で常勤として働くことに加えて、健診や相談業務、記事の監修など、臨床の経験を生かせる仕事が院外にも増えています。 運営者として見てきた限りでは、長く働き続けている人ほど、「今の職場でしか身につかない経験」を意識して積み上げています。 大学病院の1日は忙しいのですが、高度な治療の観察、多職種での調整、教育の経験は、あとから別の働き方を選ぶときにも大きな財産になります。
たとえば、臨床経験を生かした在宅の仕事にはどのような種類があるのかは、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で、健康相談や記事の監修などの具体例とともに紹介しています。 今すぐ始める必要はありませんが、「大学病院での経験がこの先どこにつながるのか」を知っておくと、忙しい1日にも意味を見いだしやすくなります。
また、大学病院に移るかどうか、今の職場を続けるかどうかで迷っているなら、1人で抱え込まずに相談する場を持つのもひとつの方法です。 仕事や職場の悩み、転職の相談に乗る専門家にどのような仕事があるのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。 話を聞いてもらうだけで、自分が本当に大事にしたい働き方が見えてくることもあります。
大学病院の1日は、最初は速く感じます。 それでも、どの時間に何が起きるのかが分かっていれば、その速さに少しずつ体が慣れていきます。 あなたが見学や面接に行くときに、この記事の時間割を思い出してもらえたら嬉しいです。
よくある質問
Q. 大学病院の看護師の日勤は何時から何時までですか?
病院によって異なりますが、8時30分前後に始まり17時15分前後に終わる設定が多く見られます。ただし実際には、始業の15分から30分ほど前に病棟へ入り、電子カルテで担当患者さんの情報を集める人がほとんどです。手術や入院が重なった日は記録が延び、終業が19時を過ぎることもあります。見学時に始業前の実態を確認しておくと安心です。
Q. 大学病院で一番忙しい時間帯はいつですか?
日勤では午前10時前後が大きな山です。手術室や検査室への送り出し、新しい入院の受け入れ、回診後の指示が同じ時間に重なります。午後の早い時間も、手術を終えた患者さんが戻ってくるため観察が増えます。夜勤では、採血と朝のケアが重なる朝6時前後が最も慌ただしい時間になります。
Q. 大学病院の医師が病棟にいない時間が多いのはなぜですか?
大学病院の医師は、診療に加えて教育と研究も担っているためです。朝のカンファレンスと回診のあと、曜日ごとに決まった外来や手術、検査に出ていきます。夕方以降は学生や研修医の指導、研究、書類作成が入ります。看護師が医師に確認するときは、朝か夕方の回診のタイミングに合わせると伝わりやすくなります。
Q. 資格がなくても大学病院で働けますか?
看護助手や医療事務、医師事務作業補助者などは、資格がなくても応募できる求人が多くあります。看護助手は環境整備や搬送、配膳、医療事務は受付や会計、医師事務作業補助者は書類作成や入力の補助が中心です。大学病院は部署ごとに業務が細かく分かれているため、未経験でも1つの業務から覚えていける職場が見つかりやすい傾向があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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