病棟の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

長谷川 奈津
長谷川 奈津
病棟の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

この記事のポイント

  • ✓病棟の夜勤は何人で何床を見ているのか
  • ✓労働基準法や看護協会のガイドラインが定めるルール
  • ✓求人票で夜勤の実態を読む方法まで

先日、病棟勤務を始めて半年の看護師さんから相談を受けました。「夜勤の日は、ナースコールが重なると本当に回らない。これって普通なんですか。それとも、うちの病棟の人が足りないだけなんですか」と。

結論から言うと、どちらの可能性もあります。病棟の夜勤は、日勤とくらべて少ない人数で同じ病床を見る時間です。これは制度の上でそう組まれているので、ある程度の忙しさは避けられません。ただし、夜勤の人数、休憩や仮眠の取り方、夜勤の回数には、法律や診療報酬の基準、看護職の団体が示すガイドラインという「目安」があります。つまり、自分の職場がその目安からどれくらい離れているかは、確かめることができるんです。

これ、知らない人が本当に多いんです。夜勤がつらいのは自分の体力や要領が悪いせいだと思い込んで、何年も我慢してしまう。この記事では、病棟の夜勤が何人体制で動いているのか、2交代と3交代で1日がどう流れるのか、夜勤ならではの任される範囲はどこか、そして体をどんな順番で慣らしていけばよいのかを整理します。最後に、求人票のどこを見れば夜勤の実態が分かるのかまでお話しします。

病棟の夜勤は、何人で何床を見ているのか

まず、夜勤の人員体制からお話しします。ここを知っておくと、自分の病棟が特別に忙しいのか、仕組みとしてこういうものなのかが見分けやすくなります。

病院の入院料には、看護職員の配置基準があります。よく耳にする「7対1」「10対1」「13対1」「15対1」という数字です。これは、入院患者さん7人に対して看護職員1人、という意味なのですが、ひとつ誤解されやすい点があります。この比率は、24時間を平均した数字なんです。

つまり、日勤帯には多くの看護師がいて、夜勤帯には少なくなる。その全体を平均して7対1になっていればよい、という仕組みです。実際の夜勤では、患者さん7人に1人の看護師がいるわけではありません。

具体的な例で考えてみます。50床前後の急性期一般病棟で、7対1の基準を取っているとします。日勤帯には10人以上の看護師がいることも珍しくありませんが、夜勤帯は3人から4人ほどになるのが一般的です。1人あたりに換算すると、15人前後の患者さんを受け持つ計算になります。回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟、療養病棟では、夜勤は2人から3人ほどに看護補助者が加わる形がよく見られます。療養病棟では、看護師1人あたりが見る患者さんの数はさらに多くなります。

もうひとつ知っておいてほしいのが、夜勤の最低人数です。入院基本料の施設基準では、夜勤を行う看護職員は原則として2人以上と定められています。つまり、どれほど小さな病棟でも、看護職員ひとりだけで夜を越す体制は、基準の上では認められていません。

※実際の運用には病院ごとの事情や例外規定があります。自分の病棟の体制に疑問を感じたら、まず看護部に確認し、それでも解消しない場合は労働基準監督署や、看護職の労働相談窓口に相談してください。

夜勤の人数は、患者さんの重症度によっても現場の体感が大きく変わります。同じ3人夜勤でも、術後の患者さんが多い外科病棟、せん妄のある高齢の方が多い内科病棟、終末期の方を看る病棟では、忙しさの質が違います。求人票に「夜勤3人体制」と書かれていても、それだけでは実態は分かりません。病床数、病棟の種類、平均在院日数、看護補助者が夜勤に入っているかどうか。この4つを一緒に見て、はじめて夜の忙しさが想像できるようになります。

さらに、その夜の入院の受け入れがあるかどうかも、忙しさを大きく左右します。救急の入院を夜間も受ける病棟では、深夜に新しい患者さんが上がってくると、情報収集、医師の指示の確認、点滴の準備などが一度に重なります。夜間の緊急入院がどれくらいあるかは、面接で聞いておきたい項目のひとつです。

2交代と3交代、夜勤の1日の流れ

次に、夜勤の時間の流れを見ていきます。病棟の夜勤には、大きく分けて2交代制と3交代制があります。

2交代制の夜勤

いま多くの病院で取り入れられているのが2交代制です。日勤が8時半から17時ごろ、夜勤が16時半から翌朝9時ごろという形が代表的で、夜勤の拘束時間は16時間前後になります。このうち、休憩と仮眠をあわせて2時間ほどを交代で取るのが一般的です。

流れを追ってみます。

・16時半ごろ:出勤、日勤者からの申し送り。受け持ち患者さんの状態、点滴や内服の予定、注意が必要な方を確認する ・17時から18時ごろ:病室をまわって検温や観察、夕食前の血糖測定やインスリン投与 ・18時ごろ:夕食の配膳と食事介助、食後の内服 ・20時から21時ごろ:口腔ケア、就寝前の与薬、おむつ交換や体位変換、消灯 ・22時以降:1時間から2時間ごとの巡視、点滴の更新、ナースコール対応、記録 ・深夜:交代で休憩と仮眠。1人が仮眠している間、残りの人数で病棟全体を見る ・5時から6時ごろ:早朝の採血、検温、体位変換、おむつ交換 ・7時から8時ごろ:朝食の配膳と介助、朝の内服、記録の仕上げ ・8時半から9時ごろ:日勤者への申し送り、退勤

この流れの中でいちばん負担が大きいのは、実は深夜の数時間ではなく、仮眠で人が抜けている時間帯です。3人夜勤で1人が仮眠に入れば、残る2人で病棟全体を見ることになります。ここでナースコールが重なったり、急変が起きたりすると、一気に余裕がなくなります。

3交代制の夜勤

3交代制では、日勤、準夜勤、深夜勤の3つに分かれます。準夜勤は16時から翌0時半ごろ、深夜勤は0時から8時半ごろが目安です。1回の勤務時間は8時間ほどと短くなりますが、日勤のあとに数時間あけて深夜勤に入る、といった組み方になることがあり、勤務と勤務の間が短くなりやすいという特徴があります。

仮眠の取り方は病棟ごとに違う

同じ2交代でも、仮眠の取り方は病棟によってかなり違います。3人夜勤なら、0時から2時、2時から4時、4時から6時のように、1人ずつ2時間ほど順番に取る形がよく見られます。仮眠室がある病院もあれば、休憩室のソファで横になるだけという病院もあります。

ここで大事なのは、仮眠が「勤務表の上で決まっている」ことと、「実際に取れている」ことは別だという点です。忙しい夜は、仮眠の時間になっても抜けられず、そのまま朝を迎えることがあります。これが月に何度も続くなら、休憩が法律どおりに与えられていない可能性があります。仮眠が取れなかった夜は、その事実を記録に残しておいてください。

2交代と3交代のどちらが楽かは、人によって感じ方が違います。長時間でもまとまった休みが欲しい人は2交代を好み、1回の勤務を短くしたい人は3交代を好む傾向があります。ただ、体への負担という観点では、どちらにも注意点があります。この点は後の章で、ガイドラインの基準と一緒にお話しします。

夜勤で任される範囲は、日勤と何が違うのか

同じ看護師免許でも、夜勤になると任される範囲が変わります。これは、仕事の種類が増えるというより、判断をひとりで引き受ける場面が増えるという変化です。

日勤帯には、病棟に医師がいて、師長や主任がいて、薬剤師やリハビリのスタッフ、医療ソーシャルワーカーも出入りしています。患者さんの様子が気になれば、すぐに誰かに相談できます。

夜勤帯になると、この風景が変わります。病棟にいるのは夜勤の看護師と看護補助者だけ。医師は当直医がひとりで病院全体を見ていることが多く、呼べばすぐに来てくれるとは限りません。師長の代わりに、夜間の管理を担当する看護師長や管理当直が病院全体をまわっています。

つまり、夜勤の看護師には次のような判断がのしかかります。

・患者さんの状態の変化が、医師に報告すべきものかどうか ・報告するなら、当直医にどう伝えれば短い時間で状況が伝わるか ・指示が出るまでの間、看護師として何をしておくか ・亡くなる可能性のある方のご家族に、いつ連絡を入れるか ・転倒や離棟の危険がある方を、限られた人数でどう見守るか

当直医への報告には、多くの病院で「SBAR(エスバー)」という伝え方が使われています。状況、背景、評価、提案の順に話す型のことで、つまり「いま何が起きていて、この患者さんはどういう方で、自分はどう考えていて、何をしてほしいのか」を短くまとめる方法です。夜中に起こされた医師にも、この順番なら短時間で状況が伝わります。

これらは、経験を積めば自然とできるようになるものではありません。病棟ごとに、報告の基準や夜間の連絡手順が決まっています。新人のうちは、この手順をひとつずつ体に入れることが、患者さんを守り、自分を守ることにつながります。

私が相談を受けたケースで、印象に残っているものがあります。夜勤中に患者さんが転倒し、骨折が見つかったという事例です。その看護師さんは「自分が巡視の間隔をあけてしまったからだ」と、ずっと自分を責めていました。でも、話を聞いてみると、その夜は3人夜勤のうち1人が仮眠中で、残る2人が同時に急変対応とナースコールに追われていた時間帯でした。

これは個人の注意不足だけで片づけてよい話ではありません。医療安全の考え方では、事故は個人のミスではなく、体制や手順の問題として振り返ることが基本になっています。つまり、ひとりで背負い込む必要はないということです。

※医療事故について、個人の責任を問われるような事態になった場合は、ひとりで対応せず、病院の医療安全部門や、必要に応じて弁護士に相談してください。

法律とガイドラインが定める、夜勤のルール

ここからは、夜勤に関わるルールを整理します。これを知っているかどうかで、自分の働き方を客観的に見られるかどうかが変わります。

労働基準法の休憩と深夜割増

労働基準法では、労働時間が8時間を超える場合、少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています。16時間夜勤であっても、法律上の最低ラインは1時間です。多くの病院ではそれ以上の休憩と仮眠を設定していますが、「忙しくて取れなかった」が続いているなら、それは本来あってはならない状態です。

また、22時から翌朝5時までの深夜の時間帯に働いた分には、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務づけられています。夜勤手当とは別の話なので、給与明細で深夜割増がどう扱われているかを一度確かめてみてください。

深夜業に従事する人の健康診断

労働安全衛生法にもとづく規則では、深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対して、配置替えの際と6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことが定められています。年に1回の健康診断しか受けていないなら、職場に確認する価値があります。

夜勤時間の月平均

入院基本料の施設基準では、夜勤に従事する看護職員の月平均夜勤時間を72時間以下とするという要件があります。これは病棟全体の平均で見る数字なので、個人がこれを超えてはいけないという意味ではありません。ただ、この基準があるために、病院は夜勤に入れる人を一定数確保する必要があり、夜勤の回数の配分に影響しています。

看護協会のガイドライン

日本看護協会は、看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインを示しています。法律ではありませんが、看護職の健康と安全を守るための目安として、多くの病院が参考にしています。主な項目は次のとおりです。

・勤務と勤務の間隔を11時間以上あける ・勤務の拘束時間は13時間以内にする ・3交代制勤務では、夜勤の回数は月8回以内を基本とする ・夜勤の連続は2回までにする ・夜勤の途中で仮眠の時間を設ける ・2回連続の夜勤のあとは、おおむね48時間以上の休息をとる ・勤務の交代は、日勤、準夜勤、深夜勤の順に進む正循環の方向にする

2交代の16時間夜勤は、拘束時間13時間以内という目安を超えています。だからこそ、仮眠の時間をしっかり確保すること、夜勤のあとの休息を十分に取ることが大切になります。

法律はあなたの味方です。ただ、味方にするためには、まず中身を知っておく必要があります。

夜勤明けの残業と記録、自分を守るための習慣

夜勤の話で、見落とされがちなのが「明けの残業」です。これ、知らない人が本当に多いんです。

2交代の夜勤は、朝9時ごろに終わる予定で組まれています。ところが実際には、朝の配膳や早朝の急変対応で記録が終わらず、申し送りのあとに1時間から2時間、ナースステーションに残って記録を書いている。こういう光景は、多くの病棟で見られます。

この残業時間、きちんと申請していますか。

「自分の段取りが悪いから残っているだけ」と考えて、申請しない看護師さんは少なくありません。でも、労働基準法の考え方では、使用者の指揮命令の下で行った業務は、労働時間として扱われます。記録は看護業務の一部です。つまり、業務として記録を書いている時間は、原則として労働時間であり、賃金の対象になります。

申請しないことには、もうひとつ問題があります。病棟の実際の業務量が、管理する側に見えなくなるんです。夜勤の人数を増やすか、業務の流れを見直すかを判断する材料は、記録された残業時間です。申請されない残業は、「この人数で回っている」という誤ったデータになってしまいます。

私が相談を受けた中に、夜勤明けに毎回2時間ほど残っていたのに、周りが誰も申請しないので自分も言い出せなかった、という方がいました。その方が思い切って師長に相談し、病棟全体で残業の実態を記録するようにしたところ、朝の採血の時間帯を見直すことにつながったそうです。ひとりの声が、病棟全体の働き方を変えることがあります。

※未払いの残業代について会社と話し合っても解決しない場合は、労働基準監督署に相談できます。請求できる期間には時効があるので、早めに動くことが大切です。

もうひとつ、夜勤で自分を守るのが「記録」です。

夜間は、医師への報告を電話で行うことが多くなります。そのときに、何時に、誰に、どんな内容を報告し、どんな指示を受けたのかを、看護記録に残しておく習慣をつけてください。口頭の指示は、あとから「言った」「言わない」の食い違いになりやすいものです。報告の時刻、患者さんの状態、受けた指示、実施した内容。この4点を簡潔に書いておくだけで、万が一のときに、自分が適切に対応したことを示す根拠になります。

インシデントが起きたときも同じです。報告書を書くことをためらう人がいますが、報告は責任追及のためではなく、同じことを繰り返さないための仕組みです。むしろ、報告しなかったことのほうが、あとで問題になりやすいと覚えておいてください。

体を慣らしていく順番

では、実際に夜勤に入るとき、体をどんな順番で慣らしていけばよいのか。ここは、多くの病院の新人教育の流れと、睡眠の基本的な考え方をもとにお話しします。

第1段階:日勤で病棟の流れを覚える

多くの病院では、入職してすぐに夜勤に入ることはありません。新卒の場合、最初の2か月から3か月ほどは日勤だけで病棟の流れを覚え、そのあと夜勤の研修に進むのが一般的です。経験者の転職でも、最初の数週間は日勤で病棟のルールや物の場所を覚えてから夜勤に入ることが多くなります。

この時期にやっておきたいのは、夜勤で必要になる情報がどこにあるかを把握することです。急変時のカート、夜間の連絡先一覧、当直医への報告の基準、薬剤の保管場所。日勤のうちに確認しておくと、夜勤で慌てずにすみます。

第2段階:先輩と一緒に入る夜勤

次に、先輩の夜勤に一緒に入る「シャドー夜勤」や、人数に数えない形での夜勤研修があります。ここでは、自分で受け持つ前に、夜の病棟がどう動くのかを体験します。2回から3回ほど行う病院が多く、この期間に、仮眠の取り方や、夜間の報告の仕方を先輩から学びます。

第3段階:受け持ちを少なくして独り立ち

独り立ちの最初は、受け持ちの患者さんを少なめにしてもらったり、経験の長い先輩と同じ夜勤に組んでもらったりする配慮がある病院が多いです。夜勤の回数も、最初の月は2回から3回ほどに抑えて、少しずつ増やしていく形が理想的です。

夜勤前後の過ごし方

体を慣らすうえで、夜勤の前後の過ごし方はとても大切です。基本的な考え方を整理します。

・夜勤の前:昼過ぎに1時間から2時間ほど仮眠を取っておくと、深夜の眠気が和らぐ ・夜勤中の仮眠:短くても横になって目を閉じる時間を確保する。取れない日が続くなら職場に相談する ・夜勤中の食事:深夜は消化の良いものを少量にする。カフェインは夜勤の前半までにとどめる ・夜勤明けの帰り道:強い朝日を浴びすぎると体内時計が昼に切り替わり、眠りにくくなる。サングラスや帽子で光を和らげる ・夜勤明けの睡眠:帰宅後に3時間から4時間ほど眠り、夕方には起きる。夜はいつもの時間に寝ることで、生活のリズムを戻しやすくする

これらは誰にでも効く正解ではありません。自分の体の反応を見ながら、合う形を探していくことが大切です。

私自身、事務所を開いたばかりのころ、締め切り前に夜通し書類を作る日が続いたことがあります。そのとき、明けに昼過ぎまで眠ってしまい、夜に眠れなくなるという悪循環に入りました。立て直せたのは、明けの睡眠を短く切り上げて、夜にいつもの時間に寝るように決めてからでした。夜勤の看護師さんから同じ悩みを聞くたびに、あのときの感覚を思い出します。

夜勤手当と、求人票で夜勤の実態を読む方法

夜勤の負担は、手当としてお給料に反映されます。ここでは、夜勤手当の相場と、求人票から夜勤の実態を読み取る方法をお話しします。

夜勤手当の相場

看護職の団体が行っている調査では、2交代制の夜勤1回あたりの手当は平均で1万1千円前後、3交代制では準夜勤と深夜勤でそれぞれ4千円から5千円ほどという結果が出ています。2交代で月4回から5回夜勤に入れば、夜勤手当だけで月に数万円になります。これが、夜勤のある病棟勤務の年収が、日勤だけの職場より高くなりやすい理由です。

夜勤だけを専門に担う「夜勤専従」という働き方もあります。

【仕事内容】<夜勤専従>1夜勤32,000円/アクセス良好/病棟経験2・3年以上 夜勤回数応相談 POINT 【対象となる方】<必要資格>正看護師 病棟経験2~3年以上 地域包括経験は不問 出典: 求人ボックス

この求人のように、夜勤専従では1回あたりの報酬が高く設定される一方、病棟経験が2年から3年以上あることを条件にしている募集が目立ちます。夜はひとりで判断する場面が多いため、日勤で基礎を固めた人を求めているということです。つまり、夜勤専従は「夜勤に慣れた人のための働き方」であって、夜勤の経験を積む場としては向いていません。

夜勤専従には、もうひとつ注意点があります。夜勤だけを続けると、昼夜の逆転した生活が固定されます。回数を詰めて入れば短期間でまとまった収入になりますが、そのぶん体の回復が追いつかなくなることがあります。雇用契約で夜勤の上限回数や、連続して入れる回数がどう決まっているかを、契約前に必ず確かめてください。

求人票で見るべき項目

求人票から夜勤の実態を読み取るには、次の項目をセットで見てください。

・病棟の種類と病床数:急性期、回復期、地域包括ケア、療養のどれか。何床か ・夜勤の人数:看護師が何人で、看護補助者が夜勤に入っているか ・勤務形態:2交代か3交代か、夜勤の開始と終了の時刻 ・夜勤の回数:月何回が目安か。回数の相談ができるか ・休憩と仮眠:夜勤中の休憩時間と仮眠室の有無 ・夜勤手当:1回あたりの金額。深夜割増とは別に支給されるか

このうち、求人票に書かれていないことが多いのが、夜勤の人数と仮眠の実態です。面接や見学のときに「夜勤は何人体制で、仮眠は実際に取れていますか」と聞いてみてください。「取れています」と即答できる病棟と、少し言いよどむ病棟では、夜の状況が違います。見学が夕方の申し送りの時間に合わせられるなら、夜勤に入る人たちの表情を見るのも手がかりになります。

夜勤が合わないと感じたときの選択肢

最後に、夜勤がどうしても体に合わないと感じたときの選択肢についてお話しします。ここまで慣らし方をお話ししてきましたが、それでも合わない人がいるのは当然のことです。

夜勤による睡眠の乱れや疲れが続くと、体だけでなく心にも影響が出ます。夜勤のある病棟から離れることは、逃げではありません。

・心身の限界を感じる前 夜勤による睡眠障害、慢性疲労、メンタルの不調が出始めたら、無理を続けず外来への転科を検討してください。 出典: tsunagu-mmso.com

選択肢は、転職だけではありません。まず考えられるのは、同じ病院の中での調整です。

・夜勤の回数を減らしてもらう ・夜勤のない外来や、日勤中心の部署への異動を相談する ・育児や介護を理由とした夜勤の制限を申し出る

最後の点は、知らない人が本当に多いんです。育児・介護休業法では、小学校に入る前の子どもを育てている労働者や、家族の介護をしている労働者が請求した場合、事業主は原則として深夜(22時から翌朝5時)に働かせてはならないと定められています。つまり、条件に当てはまれば、夜勤の免除を求めることができます。

※請求の要件や、事業の正常な運営を妨げる場合の例外などがあります。職場とのやり取りで行き詰まったら、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。

異動や回数の調整を相談するときは、感情だけで伝えるより、事実を添えるほうが話が進みやすくなります。たとえば「ここ3か月、夜勤明けに眠れない日が月に何日あった」「仮眠が取れなかった夜が何回あった」「健康診断で何を指摘された」といった具体的な内容です。日々の記録をつけておくと、自分の状態を客観的に見る材料にもなります。

体調の変化が大きいときは、我慢を続けずに医療機関を受診し、必要であれば医師の意見書をもらって職場に提出する方法もあります。事業主には、働く人の健康に配慮する義務があります。医師の意見があれば、職場も勤務の調整を検討しやすくなります。

それでも調整が難しければ、職場を変える選択肢があります。夜勤のない外来、クリニック、健診センター、訪問看護(オンコールはある場合が多い)、企業の産業保健など、看護師免許を活かせる日勤中心の職場は幅広くあります。夜勤手当がなくなるぶん年収は下がりやすいので、生活に必要な額と照らし合わせて考えることが大切です。

運営者の視点から見た、夜勤と働き方の選択

ここからは、フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えていることをお話しします。

夜勤のある働き方は、収入の面では有利です。一方で、体と生活のリズムという、お金に換えにくいものを差し出している働き方でもあります。運営者として長く見てきた限りでは、専門職として長く働き続ける人ほど、若いうちから「どの時間を売り、どの時間を守るか」を意識して選んでいます。

看護師の世界でも、病棟で経験を積んだ人が、日勤の職場に移ったあと、健康相談や医療系の記事の監修、オンラインでの相談対応など、自分の時間で受けられる仕事を少しずつ持つ例が増えています。組織を通さずに直接依頼を受ける形では、間に入る手数料が乗らないぶん、依頼する側は同じ予算でより丁寧な仕事を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。双方が無理をしなくてすむ関係になりやすいのです。

とはいえ、まずは今の職場で、夜勤という働き方を自分の体に合う形に整えることが先です。そのうえで、将来の働き方を考える材料を持っておくと、つらい時期にも「ほかの道がある」と思えるようになります。

看護師の年収は、夜勤の有無や勤務先の種類によって大きく変わります。働き方ごとの年収や時給の相場を確かめたいときは、看護師の年収・単価相場をまとめたページが参考になります。夜勤を減らした場合にどれくらい変わるのかを考える材料になります。看護師の年収・単価相場

夜勤を続けるか、日勤の職場へ移るか、自分ひとりで決めきれないときは、キャリアの相談を専門にする人の力を借りるのもひとつの方法です。職場や転職、キャリアの相談を仕事として受ける働き方をまとめたガイドがあり、どういう相談ができるのかを知る手がかりになります。職場・転職・キャリア相談のお仕事

また、キャリアの相談を受ける国家資格として、キャリアコンサルタントがあります。役割や試験の概要がまとまっているので、相談先を選ぶときの目安になります。キャリアコンサルタント

病棟の夜勤は、患者さんの命を夜通し守る大切な時間です。その時間を担う人が、自分の体と生活を守れる働き方を選べるように。ルールを知ることは、そのための最初の一歩です。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 病棟の夜勤は何人体制が一般的ですか?

50床前後の急性期病棟では、看護師3人から4人ほどが一般的です。回復期や地域包括ケア、療養病棟では2人から3人に看護補助者が加わる形がよく見られます。入院基本料の施設基準では、夜勤の看護職員は原則2人以上とされています。病床数や患者さんの重症度で忙しさは変わるので、見学時に確かめましょう。

Q. 2交代と3交代の夜勤はどちらが体に楽ですか?

感じ方には個人差があります。2交代は拘束時間が16時間前後と長い一方、明けと休みでまとまった時間が取れます。3交代は1回が8時間ほどと短い反面、勤務の間隔が短くなりやすいです。どちらの場合も、仮眠の確保と、夜勤後に十分な休息を取れる勤務表になっているかが大切です。

Q. 夜勤に慣れるまでどれくらいかかりますか?

多くの病院では、日勤で2か月から3か月ほど病棟に慣れてから、先輩と一緒に入る夜勤研修を経て独り立ちします。独り立ち後も、最初は回数を少なめにして徐々に増やすのが理想です。体のリズムが整うまでには数か月かかることが多く、明けの睡眠を短く切り上げる工夫が助けになります。

Q. 子育て中でも夜勤を断ることはできますか?

育児・介護休業法では、小学校に入る前の子どもを育てている人や家族を介護している人が請求した場合、事業主は原則として22時から翌朝5時まで働かせてはならないとされています。要件や例外があるため、まず職場に相談し、行き詰まったら都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月8日最終更新:2026年9月15日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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