ベトナム語のECの商品説明と越境


この記事のポイント
- ✓ベトナム語のEC商品説明や問い合わせ対応を在宅の仕事にするための整理です
- ✓定型化してテンプレートで回せる部分と
- ✓法令や表示規制が絡むために毎回判断が要る部分を分け
ベトナム語ができる人がEC関連の仕事を受けるとき、最初に決めるべきことは「どこまでをテンプレートで回し、どこからを毎回判断するか」の線引きです。結論から言うと、商品説明の翻訳は大部分が定型化できますが、表示の適法性に関わる部分と、問い合わせ対応のうち返金や不具合に触れる部分は定型化できません。この線引きを最初にやらないまま件数を増やすと、単価は上がらないのに責任だけが重くなります。
この記事は、ベトナム語をすでに読み書きできる人が、越境ECの現場でその力を仕事に換えるために書いています。契約や法務の相談を受けてきた立場から、報酬の話だけでなく、受ける前に確認しておくべき条件も含めて整理します。
越境ECでベトナム語が必要になる場面
日本の事業者がベトナム市場に商品を出す場合と、ベトナムの事業者が日本市場に出す場合の両方向で、言語の作業が発生します。前者のほうが案件数としては多く、後者は日本語側の表示の適法性が問われるため難易度が上がります。
日本からベトナム向けに販売する場合、必要になるのは商品ページの説明文、カテゴリ名や属性値、キャンペーンの告知文、購入後に送られる自動メールの文面、そして顧客からの問い合わせへの返信です。このうち商品ページの説明文が量的には最も多く、案件として募集されやすい部分です。
逆方向、つまりベトナムの事業者が日本の消費者に売る場合は、日本語側の表示が景品表示法や特定商取引法の規律に服することになります。この場合の言語作業は「訳す」だけでは終わらず、日本の表示ルールに合っているかの確認が絡みます。ベトナム語ができる人が担当することは多いのですが、表示の判断そのものは別の専門領域なので、範囲を切っておく必要があります。
実際の募集を見ると、翻訳単独ではなく周辺業務とセットで求められている案件が目立ちます。
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翻訳とSNS運営がひとまとまりで募集されている点に、この分野の性格が出ています。事業者側は「ベトナム語の文章を作る仕事」を分解して発注するのではなく、「ベトナム語圏の顧客に向けた発信を任せられる人」を探しています。募集要項を訳す仕事として読むと機会を取り逃がします。
定型化できる部分を先に切り出す
商品説明の翻訳は、扱う商材が同じであれば構造が繰り返されます。この繰り返しをテンプレートに落とし込めるかどうかで、時間あたりの手取りが大きく変わります。
定型化しやすいのは、素材や成分の表記、サイズや容量の表記、使用方法の手順、注意書きの定型文、配送と返品に関する案内文です。これらは商品が変わっても文型が変わらず、変数だけが入れ替わります。最初の10商品で丁寧に文型を作り、以降は変数を差し替える運用にすれば、1商品あたりの作業時間は大幅に短くなります。
用語の統一表を作っておくことも定型化の一部です。同じ素材名が商品ごとに違う語で訳されていると、顧客から見て別物に見えます。表を作って依頼側と共有しておけば、後任者が入っても品質が保たれ、依頼側にとっての価値が上がります。この表は、次の契約更新で単価を上げる材料としても機能します。
作業を定型化していく発想は、EC運用の実務全体に共通します。商品登録や在庫管理を含めた運用の外部委託がどう組み立てられているかは、EC運用代行・商品登録のお仕事にまとまっており、言語の作業がその中のどの位置にあるかを把握できます。表計算での管理を伴う案件も多いため、MOS Excel(Microsoft Office Specialist)の出題範囲にある関数やデータ整理の技法を押さえておくと、テンプレート運用の効率が変わります。
定型化できない部分を明確にする
一方で、テンプレートに落としてはいけない領域があります。ここを無自覚に定型処理すると、事業者側に法的なリスクを生じさせる可能性があります。
まず、効果や効能に関する表現です。化粧品、健康食品、医療機器に近い商品では、日本でもベトナムでも表示できる範囲に規律があります。日本国内向けの表示については医薬品医療機器等法が定めを置いており、健康食品に医薬品的な効能を書けば規制の対象になります。ベトナム語に訳す際、原文の日本語が抑えた表現になっているのに、訳文で断定的な効果の表現に変わってしまうことがあります。これは訳者の判断で起きる問題なので、原文を超える表現を足さないという原則を持っておく必要があります。
次に、価格と割引の表示です。二重価格や期間限定の表示は、景品表示法の有利誤認や優良誤認に触れる可能性があります。「通常価格」の根拠が実際にあるのかどうかは訳者には分からないので、原文の表示をそのまま移す以上のことはしない、という線を引きます。
そして、返品や返金の条件です。特定商取引法に基づく表示は、事業者が定めた条件を正確に伝える必要があります。訳文で条件が曖昧になると、後で紛争の原因になります。ここは意訳せず、文言を確認しながら移す作業になります。
これらの領域について、訳者が「この表現なら大丈夫です」と判断してよいかというと、そうとは言い切れません。表示の適法性の判断は、商品の性質と表示全体の文脈を見て行うものであり、個別の事情によって結論が変わります。受注時には「原文の表示内容を忠実にベトナム語へ移す作業を行い、表示の適法性の判断は行わない」と契約書または発注書に書いておくのが安全です。判断が必要な場面では、事業者側で法務や専門家の確認を経てもらう、という体制を先に確認します。
問い合わせ対応を受けるときの範囲設定
商品説明の翻訳とセットで、顧客からの問い合わせ対応を依頼されることがあります。ここも定型化できる部分とできない部分に分かれます。
定型化できるのは、配送状況の確認、サイズや在庫の質問、支払方法の案内、会員登録の手順といった、事実を伝えるだけで完結する問い合わせです。回答テンプレートを作っておけば、返信の所要時間は1件あたり数分に収まります。
定型化できないのは、不具合の申し出、返金の要求、届いた商品が説明と違うという主張です。これらは事業者としての判断が必要で、訳者が独断で「返金します」と答えると、その回答が事業者の意思表示として扱われる可能性があります。ここは必ず、事業者に確認してから返す運用にします。回答の権限がどこまで自分にあるのかを、業務開始前に書面で確認しておくことが重要です。
対応時間の設定も先に決めます。ベトナムと日本の時差は2時間で、この程度であれば大きな障害にはなりませんが、「何時までに返信するか」を決めておかないと、24時間対応を期待されてしまいます。在宅で受ける以上、対応可能な時間帯を明示するのが前提です。
問い合わせ対応そのものを主業務として受ける道もあり、そこでの働き方の組み立て方については別の記事で扱っています。あわせて、事業者側のEC戦略に踏み込む案件がどういうものかは、EC/D2C・店舗運営コンサルのお仕事にまとまっています。言語の作業から入って、こちらの領域へ広げていく人は実際にいます。
単価をどう設計するか
この分野の単価は、作業の性質によって3つの方式に分かれます。
商品説明の翻訳は、文字数あたりの単価が基本です。日本語からベトナム語への翻訳は、1文字あたり8円から15円程度が一般的な水準とされています。ただしEC商品説明は1商品あたりの文字数が少なく、文字単価で計算すると1件あたりの金額が小さくなりすぎるため、商品単位の単価に置き換える方が実務的です。1商品あたり500円から2,000円という設定がよく見られます。
テンプレート作成と用語集の整備は、初期費用として別枠で見積もります。この作業は後の作業を軽くするためのもので、時間をかけただけの価値が事業者側に残ります。まとめて3万円から10万円程度の一括見積もりにするのが一般的です。無償のサービスとして提供してしまうと、後で単価を上げる根拠を失います。
問い合わせ対応は、月額固定か時間単価です。件数で計算すると繁閑の差を吸収できないため、月間の想定件数を決めて固定額にし、超過分は別途とする設計が扱いやすくなります。
単価の目安を持つうえで、文章を扱う職種全体の水準を知っておくと交渉の基準になります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には職種としての統計が整理されており、言語の希少性を上乗せする前の土台として使えます。他言語での翻訳副業の相場感を比べたい場合は、中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安や英語翻訳の副業ガイド|TOEIC何点から仕事ができる?に、言語ごとの需給の違いが整理されています。
検索される言葉を扱えると単価が変わる
ECの商品説明は、読まれるだけでなく検索される文章です。ベトナム語圏の消費者がどういう語で商品を探すかを踏まえて説明文を作れる人は、単なる訳者より高く評価されます。
日本語の商品名をそのまま音訳しても、現地の消費者は検索しません。現地で一般に使われている呼び名を調べ、商品名の並びに入れる必要があります。これは翻訳の作業ではなく、市場調査に近い作業です。作業時間が増えるので、翻訳とは別項目として見積もります。
同様に、商品説明の中に含める語の選び方も検索に影響します。この考え方は日本語のECでも同じで、検索を意識した文章設計がどう組み立てられるかは、SEO対策・MEO対策の副業で稼ぐ方法|必要なスキルと案件相場に基本的な考え方がまとまっています。ベトナム語側で同じことをやるだけなので、日本語での考え方を理解していれば移植できます。
事業者に提案するときは、「訳します」ではなく「現地で検索される語を反映した商品説明を作ります」と書きます。同じ作業でも、後者は成果に紐づいた説明になるため、単価の交渉がしやすくなります。
契約で確認しておくべき5項目
法務の相談を受けてきた立場から、この分野で実際に紛争になりやすい点を挙げておきます。受注前に発注書か契約書で確認しておくべきなのは次の5項目です。
第1に、業務の範囲です。翻訳のみか、表示内容の確認まで含むのか。前述のとおり、表示の適法性の判断は範囲外とすることを明記します。
第2に、成果物の権利の帰属です。作成した訳文の著作権を事業者に譲渡するのか、利用許諾にとどめるのか。テンプレートや用語集についても、他社案件で流用してよいかを整理しておきます。
第3に、修正対応の回数と範囲です。何回まで無償で修正するのか、仕様変更による書き直しは別料金なのかを決めます。ここが曖昧だと無償作業が無限に発生します。
第4に、報酬の支払時期です。フリーランス保護新法の施行により、発注事業者には書面等による取引条件の明示や、支払期日に関する規律が課されています。取引条件が口頭のままの案件は、その時点で運用に不安があると考えたほうがよいでしょう。制度の内容は公正取引委員会の情報が一次情報になります。
第5に、秘密保持の範囲です。商品情報や販売数量は事業者にとって機微な情報です。NDAの内容を確認し、自分の実績としてどこまで公開してよいかを決めておきます。実績を書けないと次の受注が難しくなるため、「商品名を出さずに業種と作業内容のみ公開可」といった条件を交渉しておくと後が楽になります。
運営者として見てきた、この仕事が続く形
在宅の仕事の仲介を20年見てきた立場から言うと、ECの言語案件で長く続いている人は、翻訳の速さで勝負していません。事業者が次に困ることを先回りして減らしています。
たとえば、商品説明を納品するときに「この商品はカテゴリ名の訳が既存の他商品と揃っていないので、統一するなら次の語をおすすめします」と一行添える。あるいは、問い合わせの内容を月次でまとめて「この質問が多いので、商品ページに追記すると問い合わせが減ります」と報告する。どちらも契約上の義務ではありませんが、事業者から見ると代わりが利かない存在になります。
もう1つ、額面と手取りの関係にも触れておきます。同じ「1商品1,000円」でも、仲介手数料が2割引かれる経路と引かれない経路では、手元に残る額が変わります。事業者から見ても同じで、手数料が乗らなければ同じ予算でより多くの商品を依頼できます。手数料0%の経路が意味を持つのは、単価が上がるからではなく、同じ単価のまま双方の条件が改善するからです。継続案件になったときの累積の差は、1件あたりで見るよりずっと大きくなります。
始めるときの手順
すでにベトナム語が使える人が、この分野に入るときの手順を整理します。
最初に、扱える商材の範囲を決めます。すべての商品に対応しようとせず、化粧品なら化粧品、食品なら食品と絞ります。絞ることで用語の蓄積が効き、作業時間が短くなります。絞った分野は、応募文にそのまま書けます。
次に、サンプルを作ります。実在する商品の日本語説明文をベトナム語に訳し、なぜその語を選んだかの注釈を付けた資料を1つ用意します。事業者は文章そのものより、判断の質を見ています。注釈があると判断の過程が見え、依頼の決め手になります。
そして、範囲と単価を書いた提案書を作ります。作業範囲、対応しない範囲、単価、納期の目安、修正回数を1枚にまとめます。資料の見た目を整えるうえでは、MOS PowerPoint(Microsoft Office Specialist)の内容が役に立ちます。提案書が整っているだけで、価格の交渉が「安くしてほしい」から「この範囲でお願いしたい」に変わります。
最後に、応募先を選びます。翻訳会社経由、事業者から直接、業務委託のマッチングサイトの3経路があり、それぞれ単価と安定性が異なります。文章を書く仕事の周辺領域まで視野に入れるなら、翻訳・ライティングレッスンのお仕事にどういう業務が外部に出ているかがまとまっています。技術的な文言を扱う案件が増えてきたら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で開発側の予算感を把握しておくと、システム関連の文言案件で単価を組み立てやすくなります。
ベトナム語ができることは入口にすぎません。定型化できる部分を効率化し、できない部分に線を引いて事業者と合意する。この2つを最初にやった人が、この分野で長く仕事を続けています。
商品カテゴリごとに変わる作業の重さ
同じ「商品説明の翻訳」でも、扱う商材によって作業の重さがまったく違います。見積もりを出す前に、自分が受ける案件がどの層にあるかを判定できるようにしておくと、単価の設定を誤りません。
作業が軽いのは、衣類や雑貨のように仕様が単純で、表示の規律もそれほど厳しくない商材です。サイズ、素材、色、洗濯方法といった項目が定型で並ぶため、文型を作ってしまえば1商品あたり10分程度で処理できるようになります。ただし単価も低めに設定されるため、量をまとめて受けないと収入になりません。
中程度なのは、家電やガジェットのように仕様表が長く、専門用語が多い商材です。数値の単位、規格名、対応する電圧や周波数といった項目を誤ると実害が出ます。ベトナムの電源電圧は日本と異なるため、そのまま訳すと誤解を招く箇所があり、注記の追加が必要になることもあります。ここは訳者の判断ではなく事業者に確認する項目として運用します。
重いのは、化粧品、健康食品、サプリメント、医療機器に近い商材です。表示できる内容に規律があり、原文が慎重に作られているぶん、訳すときの言葉選びも慎重さが求められます。訳文で表現が強くなってしまう事故が起きやすいのはこの層です。作業時間は衣類の数倍かかるので、単価も相応に設定しなければ割に合いません。
食品も重い層に入ります。原材料名、アレルギー表示、保存方法、賞味期限の表記は、誤訳が健康被害につながる可能性があります。この領域を受けるなら、確認の手順を自分の中で定型化し、原文と訳文を項目ごとに突き合わせる工程を必ず入れます。速く仕上げることより、抜けがないことのほうが価値のある領域です。
商材の層を判定したうえで、案件ごとに「この商材はどの層か」を依頼側に伝えると、単価の説明が通りやすくなります。値段の話をするより先に、作業の中身の違いを言葉にするほうが、結果として交渉が早く終わります。
ベトナム語圏の消費者に向けた文章の作法
商品説明は説明書ではなく販売のための文章です。訳文が正確でも売れなければ事業者の目的は果たされません。ベトナム語圏の消費者向けに書くときに、日本語の原文をそのまま移すと機能しなくなる点がいくつかあります。
1つは、日本製であることの扱いです。日本の事業者は原文で「日本製」を控えめに書くことが多いのですが、ベトナム市場では日本製であること自体が判断材料として重視される傾向があります。原文にある事実を目立つ位置に置き直すのは、内容を足していないので問題になりません。ただし、原文に書かれていない産地や品質の主張を訳者が付け加えるのは、表示の問題になり得るので避けます。
2つ目は、価格の見せ方です。日本円のまま表示するのか、現地通貨に換算した目安を併記するのかで、読み手の反応が変わります。換算表示を入れる場合は、為替の変動によって実際の請求額と差が出るため、注記が要ります。この判断も事業者側の方針に従います。
3つ目は、文章の長さです。日本語のEC商品説明は情報を詰め込む傾向がありますが、そのまま訳すと冗長になります。要点を先に置き、詳細を後ろに回す構成に組み替えるだけで、読まれ方が変わります。ここは訳者の裁量が働く部分で、事前に「構成の組み替えを含めてよいか」を確認しておくと後で揉めません。
4つ目は、人称と語りかけの調子です。相手を指す語の選び方によって、親しげにも堅苦しくもなります。若い層向けの商品と、家庭向けの日用品では選ぶ語が変わります。想定する読者層を事業者に確認するのは、この判断のために必要な手順です。読者層を聞かずに納品して、後から全面的に調子を直すことになるのは、この分野でよくある手戻りです。
案件を継続に変えるための報告の形
単発の翻訳で終わるか、継続の契約になるかは、納品後の一手で決まります。事業者が継続を判断する材料は、訳文の品質そのものよりも、次の作業が楽になりそうかどうかです。
納品時に添えると効果があるのは、次の3つです。1つ目は、判断に迷った箇所とその理由の一覧です。5行程度で足ります。事業者は自分では判断できない箇所を知ることができ、次回の指示が具体的になります。2つ目は、原文側で直したほうがよい箇所の指摘です。日本語の原文が曖昧なせいで訳しにくかった箇所を挙げると、事業者は原文の作り方を改善できます。3つ目は、用語集の更新分です。今回追加した語をまとめて渡すと、蓄積が目に見えます。
この3点は、いずれも作業時間で言えば15分程度で作れます。それでいて、事業者から見た「この人に任せると楽」という感覚を作る効果は大きいものがあります。運営者として長く市場を見ていると、継続案件を持っている人ほど、この種の小さな報告を欠かさず続けている傾向がはっきり出ます。
逆に、訳文だけを送って終わりにしている人は、次の案件で価格を比較されます。品質の差は事業者には見えにくく、見えるのは金額だけだからです。見えない品質を見える形に変える作業が、報告なのだと考えるとわかりやすくなります。
為替と入金の実務を押さえておく
越境ECに関わる案件では、報酬の受け取り方が国内案件と違う場合があります。日本の事業者から日本円で受け取るなら通常の業務委託と変わりませんが、ベトナムの事業者から直接受注する場合は、通貨と送金手数料の確認が必要です。
送金手数料が受け手負担になっていると、額面は良くても手取りが目減りします。少額の案件を月に何度も受ける形だと、手数料の負担割合が無視できなくなるため、月まとめでの支払いに変更してもらうだけで手取りが改善します。契約前に、通貨、支払方法、手数料の負担者、支払サイクルの4点を確認しておきます。
税務の扱いも整理しておきます。国外の事業者から受け取る報酬であっても、日本に居住して事業を行っているなら日本での申告の対象になります。消費税の扱いは取引の性質によって変わるため、年間の売上規模が大きくなってきたら早めに確認したほうがよい領域です。制度の詳細は国税庁の情報が一次情報になります。
こうした手続きの部分は面倒に見えますが、最初に一度決めてしまえば以降は同じ運用で回ります。逆に、決めないまま案件を増やすと、年度末にまとめて負担が来ます。件数を増やす前に、入金と記帳の流れを固めておくほうが結果的に早く進みます。
ベトナム語が使えることは、この分野では出発点にすぎません。定型化して速く回す部分と、法令が絡むために毎回立ち止まる部分を自分で区別できること。その区別を事業者に説明して合意できること。この2つが揃ったときに、言語の力ははじめて継続する仕事に変わります。
よくある質問
Q. ベトナム語のEC商品説明の翻訳は1件いくらくらいですか?
商品単位の単価にするのが実務的で、1商品あたり500円から2,000円という設定がよく見られます。文字単価で計算する場合、日本語からベトナム語は1文字8円から15円程度が一般的な水準ですが、EC商品説明は1件あたりの文字数が少ないため、文字単価だと金額が小さくなりすぎます。テンプレートや用語集の整備は初期費用として別枠で見積もります。
Q. 商品説明の翻訳で気をつけるべき法令はありますか?
効果や効能の表現は医薬品医療機器等法、価格や割引の表示は景品表示法、返品や返金の条件は特定商取引法が関わります。訳者としては原文を超える表現を足さないことが原則で、表示の適法性そのものは判断せず、事業者側で確認してもらう体制にするのが安全です。受注時に業務範囲を書面で切り分けておきます。
Q. 問い合わせ対応はどこまで自分で答えてよいですか?
配送状況や在庫、支払方法の案内のように事実を伝えるだけの問い合わせはテンプレートで対応できます。一方、不具合の申し出や返金の要求は事業者としての判断が必要で、独断で回答すると事業者の意思表示として扱われる可能性があります。回答の権限がどこまであるかを業務開始前に書面で確認してください。
Q. 未経験でもEC関連のベトナム語案件は受けられますか?
実務経験がなくても、扱う商材を絞ってサンプルを1つ作れば入口に立てます。実在する商品の説明文を訳し、なぜその語を選んだかの注釈を添えた資料が有効です。事業者は文章の巧拙よりも判断の過程を見ており、注釈があると依頼の決め手になります。あわせて作業範囲と単価を1枚の提案書にまとめておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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