完パケ後の修正費用をどう線引きするか|追加修正の見積もり基準 2026


この記事のポイント
- ✓動画の完パケ後に修正を依頼すると追加費用が発生する理由と相場
- ✓見積もりで揉めないための線引きを行政書士の視点で解説
- ✓発注前に確認すべき契約項目も紹介します
先日、ある店舗オーナーさんから相談を受けました。「採用動画を完パケで受け取った後、社内会議で『イメージと違う』という声が上がって修正を頼んだら、追加で5万円請求された」と。結論から言うと、これは決して不当な請求ではありません。動画 完パケ後 修正費用は、契約時に決めた「修正回数」と「修正範囲」を超えた分に対して発生する、実務上ごく一般的な追加料金です。つまり、揉めないためには「完パケ後は何にいくらかかるか」を発注前に把握しておくことが最大の防御策になります。
動画編集における「完パケ」の意味と修正費用が発生する仕組み
まず用語を整理します。動画制作の現場では、撮影した映像素材をつなぎ合わせただけの状態を「仮編集」と呼び、そこにテロップ、BGM、ナレーション、エフェクトなどを加えて納品用に完成させた状態を「完パケ」と呼びます。この違いを知らないまま「編集をお願いした」とだけ伝えると、どの段階までを指しているのか発注者と受注者の間で認識がずれてしまいます。
実際に、映像制作の現場情報をまとめたサイトでも次のように説明されています。
撮影した映像を制作会社で編集します。映像をつなぎあわせただけの状態が仮編集で、そこに効果やテロップ、ナレーション、BGMなどが入った状態が完パケ(納品用動画の完成)となります。完パケ後の修正は時間もコストもかかるため、仮編集の段階でクライアントチェックができると理想的です。 出典: production-recruitmentvideo.com
この引用が示す通り、完パケ後の修正が高くつくのは「怠慢」でも「ぼったくり」でもなく、工程上の理由があります。完パケの状態では、映像・音声・テロップ・BGMがすべて1本のタイムラインに統合され、書き出し(レンダリング)も完了しています。ここから「テロップの誤字を直したい」「BGMを変えたい」という依頼が来ると、編集者は該当箇所を再度タイムライン上で開き、周辺のカット・音量バランス・字幕の表示タイミングまで再調整したうえで、もう一度書き出しをやり直す必要があります。つまり、修正1箇所であっても実質的には工程の一部を最初からやり直しているのと同じ作業量が発生するのです。
この「つまり」の部分、実は知らない発注者が本当に多いです。動画編集を紙の資料修正と同じ感覚で依頼してしまい、「テロップ1箇所直すだけなのになぜこんなに時間がかかるのか」というトラブルに発展するケースを何度も見てきました。
動画 完パケ後 修正費用の相場感
では実際の金額はどのくらいなのでしょうか。修正費用の相場は依頼先の規模や契約形態によって幅がありますが、大きく分けて次の3パターンに整理できます。
無料修正回数を超えた場合の追加費用
多くの制作会社やフリーランスは、契約時に「初回修正は無料」という条件を設定しています。実際の料金ページでも次のように説明されているケースがあります。
ジェイ動画では、1回もしくは2回(制作コースにより変わります)の修正は無料で行います。また、修正不備があった場合の再修正は無料で行っております。しかし、よりクオリティーの高い動画をご希望の場合、修正や素材の追加などを行いたいという場合もあることと思います。その場合は、以下の修正費用をご参考にして下さい。こちらを基に、修正前にお見積りをご案内させていただくこととなります。 出典: jdoga.net
この事例のように、多くの制作会社では「1回目・2回目の修正は無料」「3回目以降は有料」という段階制を採用しています。この段階制の有無と回数の上限は、見積もり依頼の段階で必ず確認すべきポイントです。回数が明記されていない見積もりは、後々のトラブルの火種になりやすいので注意してください。
修正内容別の追加料金の目安
完パケ後の修正費用は、依頼内容によって金額が大きく変わります。ここでは実務上よくある修正パターンごとの相場感を整理します。
・テロップの誤字修正、1〜2箇所程度:3,000円〜5,000円程度 ・BGMや効果音の差し替え:5,000円〜1万円程度 ・ナレーション音声の一部再収録・差し替え:1万円〜3万円程度 ・カット割りの変更、シーンの入れ替え:1万円〜5万円程度 ・尺(動画の長さ)自体の変更(短縮・延長):2万円〜10万円程度
この幅の広さこそが、発注者を最も悩ませるポイントです。同じ「修正」という言葉でも、テロップの誤字修正と尺の変更では作業量が10倍以上違うことがあります。見積もりを取る際は「何を直したいのか」を具体的に伝え、金額の根拠を確認する姿勢が重要です。
依頼先の規模による違い
制作会社に依頼する場合とフリーランスの動画編集者に直接依頼する場合とでは、同じ修正内容でも金額が変わります。制作会社は営業担当・ディレクター・編集者という複数の人件費が価格に乗るため、修正費用も高めに設定される傾向があります。一方、フリーランスへ直接依頼する場合は、間に仲介会社が入らない分、中間マージンが発生しないため、同じ作業量でも費用を抑えやすい構造になっています。
ただしフリーランスへの直接依頼では、契約書や修正回数の取り決めが曖昧になりがちという注意点もあります。金額の安さだけで選ぶのではなく、後述する「契約時に決めておくべき項目」を必ず書面で残しておくことが、トラブル回避の鍵になります。
完パケ後の修正で揉めないための発注前チェックリスト
ここからは、実際に発注する際に確認しておくべき項目を具体的に見ていきます。
修正回数と修正範囲を契約書に明記する
最も重要なのが「無料修正は何回まで」「修正範囲はどこまでか」を契約時点で書面に残すことです。口頭で「何かあれば直しますよ」と言われただけで発注してしまうと、いざ完パケ後に修正が必要になった際、「それは無料の範囲外です」「いえ、無料と言われました」という水掛け論になりかねません。
私自身、フリーランスの行政書士として独立した当初、Webサイト制作を外注した際に見積もり比較を怠り、「修正1回まで無料」という条件を口頭確認だけで済ませてしまった経験があります。結果として2回目の修正で追加費用を請求され、契約書がないため交渉材料もなく、結局そのまま支払うことになりました。この経験から、どんなに小さな案件でも「無料修正の回数」「修正範囲の定義」は必ず書面で残すようにしています。
「軽微な修正」と「作り直し」の線引きを事前に確認する
修正費用のトラブルで特に多いのが、発注者が「軽微な修正のつもり」で依頼した内容が、受注者側からすると「実質的な作り直し」に該当するケースです。例えば「動画の雰囲気を全体的に明るくしてほしい」という依頼は、発注者にとっては一言の要望でも、編集者にとっては色調補正を全カットに対して個別にやり直す作業に相当します。
※このように「軽微」の定義が発注者と受注者で食い違うケースについては、見積もり時点で具体例を挙げて擦り合わせておくことを強くおすすめします。可能であれば「修正依頼の例」を契約書の別紙として添付してもらうと、後々の解釈の違いを防げます。
フリーランス保護新法における発注者側の留意点
2024年に施行されたフリーランス保護新法は、主に受注者(フリーランス側)を保護するための法律ですが、発注者側にも知っておくべき義務があります。特に重要なのが、業務内容や報酬額を明示する書面(または電磁的記録)の交付義務です。動画編集の発注においても、修正費用の追加が発生する可能性がある場合は、当初の発注内容に「修正費用の条件」を明記しておくことが望ましいとされています。
創業以来、累計1700社の動画を制作(2022年3月時点)。「マーケティング・企業コミュニケーション・採用」の各領域で専門知識と豊富な経験を持つコンサルティングチームが、「インタラクティブ動画」など様々な新しい手法を用いた採用動画を作っています。 出典: production-recruitmentvideo.com
この引用のように、実績のある制作会社ほど発注フローや修正条件を事前に明文化している傾向があります。逆に言えば、修正費用の条件を曖昧にしたまま契約を急かす相手には注意が必要です。※契約内容に不安がある場合や、既に追加費用でトラブルになっている場合は、早めに弁護士や行政書士など専門家へ相談することをおすすめします。
修正費用を抑えるための発注時の工夫
修正費用そのものを完全にゼロにすることは難しいですが、発生額を抑える工夫はいくつかあります。
仮編集の段階で必ずチェックを入れる
前述の通り、完パケ後の修正は仮編集段階の修正よりもコストがかかります。そのため、多くの制作会社やフリーランスは「仮編集の確認フェーズ」を用意しています。この段階でテロップの内容、BGMの雰囲気、カットの流れなどを細かく確認しておけば、完パケ後の大きな手戻りを防げます。発注時には「仮編集の確認フェーズはあるか」「そのフェーズで何回まで確認できるか」を必ず質問しましょう。
参考動画・素材リストを事前に共有する
修正が発生する最大の原因は「発注者のイメージと納品物のズレ」です。このズレを最小化するには、発注前に「こういう雰囲気にしたい」という参考動画を2〜3本共有すること、使用してほしいロゴやフォント、カラーコードなどのブランドガイドラインを渡すことが効果的です。テキストだけの指示より、参考素材があるほうが編集者側の解釈のブレを大幅に減らせます。
修正依頼はまとめて一度に出す
完パケ後に「まずAを直して、それを見てからBを検討したい」というように小出しに修正依頼を出すと、そのたびに書き出し作業が発生し、費用も回数も増えていきます。社内関係者からのフィードバックは、できる限り一度のタイミングで集約してから依頼することで、修正回数を最小限に抑えられます。
独自データが示す発注者の実態と直接依頼のメリット
在宅ワーク・フリーランスのマッチングサービスを長年運営してきた立場から見えてくるのは、動画編集を外注する発注者の多くが「初回の見積もりでは修正費用の話まで詰め切れていない」という実態です。20年この市場を見てきた立場から言えば、動画編集の発注で長くつきあえる関係を築けている発注者ほど、契約段階で修正回数・範囲・追加料金の単価を具体的に確認しています。逆に「とりあえず安いところに頼んで、あとは相談しながら」という進め方をすると、完パケ後の修正でどうしても揉めやすくなります。
もう一つの一次的な観察として、仲介会社を通さずフリーランスへ直接依頼する場合、額面上の単価は同じに見えても、双方にとって得をする構造が生まれやすいという実感があります。仲介手数料が乗らない分、発注者は同じ予算でより多くの修正枠や素材追加を依頼できる余地が生まれ、受注者側も手取りが厚くなるため、長期的な関係を優先した柔軟な対応をしてもらいやすくなります。手数料0%で直接つながる仕組みは、単に「安い」というだけでなく、この双方が得をする関係性を作りやすいという質的なメリットとして捉えるべきでしょう。
動画編集を外注する場合、依頼先はPR・CM・SNS広告動画に強い編集者から、YouTubeやTikTok向けのショート動画に強い編集者まで幅があります。実際、PR・CM・SNS広告動画のお仕事では、SNS広告用の短尺動画は修正サイクルが短く、テンポの良いすり合わせが必要になる特徴が紹介されています。逆に採用動画やコーポレート動画のように尺が長く関係者チェックの人数も多い案件では、動画編集(YouTube/TikTokなど)のお仕事で解説されているような、修正回数を明確に区切った契約が向いています。
また、動画編集だけでなくデザインや音楽レッスンなど周辺スキルを組み合わせて依頼したい場合は、デザイン・動画・音楽レッスンのお仕事のように、複数の専門性を持つ人材への発注を検討する発注者も増えています。動画編集者に加えてシナリオ設計から依頼したい場合には、脚本づくりを専門とする担当者の相場観も参考になります。シナリオライターのフリーランス案件|ゲーム・動画の脚本で稼ぐ方法では、脚本段階での擦り合わせが後工程の修正費用を減らす効果についても触れられており、動画制作全体のコストを見通す上で参考になります。
修正費用の見積もり交渉においては、依頼先の実績や専門分野の相場観を把握しておくことも重要です。動画編集者本人のスキルレベルや経験年数によっても単価は変わるため、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような他職種の単価データと比較しながら、動画編集という専門職の相場感を相対的に理解しておくと、見積もり額が妥当かどうかを判断する材料になります。
契約書・見積書の作成で押さえておきたい実務ポイント
最後に、実際に契約書や見積書を取り交わす際の実務的なポイントを整理します。
見積書には「修正費用の単価表」を添付してもらう
優良な制作会社やフリーランスほど、見積書に「修正内容別の単価表」を添付してくれます。テロップ修正は1箇所いくら、BGM差し替えはいくら、といった形で事前に金額の目安が示されていれば、完パケ後に想定外の請求を受けるリスクを大幅に減らせます。見積もり依頼の段階で「修正費用の単価表はありますか」と質問することを習慣にしましょう。
検収期間を明確に設定する
完パケ納品後、発注者側が「イメージ通りか」を確認する検収期間をどのくらい設けるかも重要な取り決め事項です。検収期間が曖昧なまま長期間放置してしまうと、いざ修正を依頼したときに「納品から時間が経ちすぎている」という理由で追加費用を請求されるケースもあります。一般的には納品後1週間から2週間程度を検収期間として設定し、その間に社内関係者への確認を完了させるスケジュールを組むことをおすすめします。
修正費用の支払いタイミングを明記する
修正費用が発生した場合、いつ・どのように支払うのかも契約書に明記しておくべき項目です。追加修正のたびに都度請求するのか、まとめて最終請求時に合算するのかで、発注者側のキャッシュフロー管理にも影響します。特に修正が複数回にわたる可能性がある案件では、支払いサイクルをあらかじめ決めておくことで、経理処理の手間も減らせます。
こうした契約実務に不安がある発注者は、書類のひな形を一から作るよりも、業界で使われているフォーマットを参考にするのが近道です。契約書作成の実務スキルを持つ人材への相談を検討する場合、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような文書作成に強い専門職の相場感も参考になります。また、動画編集者自身が保有しているとプロジェクト管理能力の証明になりやすい資格として、ビジネス文書検定のような文書作成・契約実務に関わる検定も存在します。加えて、動画配信や関連システムの技術要件を確認したい場合には、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク関連資格を持つ人材が動画配信インフラの相談相手として役立つ場面もあります。
動画編集を副業として始めたいと考えている人向けの情報としてYouTube動画編集の副業の始め方|未経験から案件を取るまでの手順がありますが、発注者としては、こうした情報から逆に「未経験者に依頼する場合は修正対応にどの程度の時間がかかるか」を想像しておくと、見積もり比較の精度が上がります。経験の浅い編集者ほど、修正1回あたりの作業時間が長くなりがちだからです。
最終的に、動画 完パケ後 修正費用というテーマの結論はシンプルです。修正費用そのものをゼロにすることはできませんが、契約段階で「回数」「範囲」「単価」「検収期間」を明確にしておけば、想定外の請求に驚くことはなくなります。法律はあなたの味方です。書面を残す手間を惜しまないことが、結果的に一番の節約になります。
よくある質問
Q. 動画の完パケ後、修正は何回まで無料が一般的ですか?
制作会社やフリーランスによって異なりますが、初回修正のみ無料とするケースと、1〜2回まで無料とするケースが多く見られます。契約前に無料修正の回数を必ず書面で確認してください。
Q. テロップの誤字1箇所を直すだけでも追加費用がかかりますか?
完パケ後は書き出し済みの映像を再編集する必要があるため、1箇所の修正でも3,000円〜5,000円程度の追加費用が発生することがあります。仮編集段階での確認が費用を抑える鍵です。
Q. フリーランスに直接依頼すると修正費用は安くなりますか?
仲介会社の中間マージンが発生しない分、同じ作業量でも費用を抑えやすい傾向があります。ただし契約内容が曖昧になりやすいため、修正回数や範囲は必ず書面で残すことが重要です。
Q. 修正費用でトラブルになった場合、どこに相談すればよいですか?
まずは契約書や見積書の内容を確認し、修正範囲の解釈に食い違いがないか整理してください。解決が難しい場合は行政書士や弁護士など、契約実務に詳しい専門家への相談をおすすめします。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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