アンケートのテンプレートをエクセルで作る手順と、集計しやすい表の形


この記事のポイント
- ✓アンケートのテンプレートをエクセルで作るときの手順を
- ✓関数とピボットテーブルでの集計まで順に解説
- ✓無料テンプレートの使い方と
アンケートのテンプレートをエクセルで用意したいと考える人の多くは、「配るための用紙」と「集計するための表」を1つのファイルで済ませたいと思っています。ところが実際には、見た目の整った用紙を作ることと、あとで集計しやすい表を作ることは、まったく別の作業です。見た目を優先して作った用紙は、回答が30件を超えたあたりから集計に何時間もかかるようになります。
この記事では、エクセルでアンケートのテンプレートを作る手順を、質問の決め方、回答欄の作り方、回答をためる表の形、関数とピボットテーブルを使った集計まで、順番に整理します。無料で配布されているテンプレートを使うときに直しておきたい点や、エクセルが向かない場面の見分け方もあわせて説明します。
エクセルでアンケートを作る人が増えている背景
アンケートの道具は、紙、エクセル、Webのフォームと、大きく3つの形があります。Webのフォームが広まった今でも、エクセルで作るアンケートが使われ続けているのには理由があります。
1つ目は、社内のパソコンにエクセルが入っていることが多く、新しい道具の導入手続きが要らないことです。情報システムの担当者に申請しなくても、今日から作り始められます。2つ目は、回答をそのまま集計に使えることです。用紙のデータと集計の表が同じソフトの中にあるので、書き写す手間がかかりません。3つ目は、印刷して紙で配る使い方と、ファイルをメールで送って入力してもらう使い方の両方に対応できることです。インターネットにつながらない現場や、パソコンに不慣れな高齢の回答者が多い場面では、紙で配れることが今も大きな意味を持ちます。
一方で、テンプレートを探す人の検索は年々具体的になっています。単に「アンケート用紙」を探すのではなく、社内の満足度調査、セミナーの参加者アンケート、顧客満足度の調査といった用途別のひな形を探す人が目立ちます。人事向けの情報サイトでは、社内アンケートのひな形を次のように説明しています。
社内アンケートテンプレートとは、従業員満足度調査や360度評価などの社内調査をすぐに実施できる雛型のことです。Excel・Word・PDF形式で無料ダウンロードでき、目的に応じた質問項目のカスタマイズが可能です。 出典: kaonavi.jp
ひな形を使えば作り始めの時間は短くなります。ただし、どのひな形も「誰に、何を聞いて、結果を何に使うのか」までは決めてくれません。そこを決めずにひな形の質問をそのまま使うと、集計したあとに「この結果で何を判断すればよいのか分からない」という状態になります。テンプレートは出発点であって、完成品ではないと考えておくと失敗が減ります。
作り始める前に決めておく3つのこと
エクセルを開く前に、紙1枚で構わないので次の3つを書き出しておきます。ここを飛ばすと、作ったあとで質問の入れ替えが何度も発生し、集計の表も作り直しになります。
目的と、結果を使う人
アンケートの結果を見て、誰が、何を決めるのかを1文で書きます。たとえば「研修担当が、来年度の研修の内容を決めるために、今年の研修の満足度と不満の理由を知りたい」のように書きます。結果を使う人と、その人が決めることがはっきりすれば、聞くべき質問は自然に絞られます。逆に「とりあえず意見を集めたい」という目的では、質問が際限なく増え、回答する側の負担だけが大きくなります。
回答する人と、回答の手段
回答する人が社内の従業員なのか、取引先なのか、イベントの来場者なのかで、適した手段が変わります。全員が同じ社内ネットワークのパソコンを使えるなら、共有フォルダのエクセルに直接入力してもらう方法が使えます。社外の人に回答してもらうなら、印刷した用紙を配るか、Webのフォームを使うほうが確実です。エクセルのファイルを社外にメールで送ると、相手の環境によっては開けない、マクロ付きのファイルが受信の段階で止められる、といったことが起こります。
回答の件数と締め切り
集まる回答が20件程度なのか、500件を超えるのかで、作るべき表の形が変わります。件数が少なければ、用紙の形のまま手で数えても大きな負担にはなりません。件数が多い場合は、最初から1行に1人分の回答が並ぶ「集計用の表」を作り、入力された用紙から自動で転記される仕組みまで考えておく必要があります。締め切りも、集計の作業日から逆算して決めておきます。
エクセルでアンケート用紙を作る手順
ここからは、実際にエクセルでアンケート用紙を作る手順を順に説明します。紙で配る用紙と、ファイルに入力してもらう用紙のどちらにも使える作り方です。
ステップ1:用紙と集計表のシートを分ける
最初に、1つのファイルの中に「用紙」と「集計」の2枚のシートを作ります。用紙のシートは回答者が見る画面で、見た目を整えます。集計のシートは回答をためる表で、見た目よりも並び方の規則を優先します。1枚のシートで両方を済ませようとすると、セルの結合や装飾が集計の邪魔をします。
ステップ2:質問と回答欄を並べる
用紙のシートでは、A列に質問番号、B列に質問文、C列に回答欄、という形で縦に並べると、あとから質問を差し替えるときも崩れにくくなります。質問文が長い場合は、セルを結合するのではなく、列の幅を広げて「折り返して全体を表示する」の設定を使います。セルの結合は見た目は整いますが、並べ替えや貼り付けのときに不具合の原因になります。
ステップ3:選択式の質問はリストから選ばせる
「満足」「やや満足」「どちらとも言えない」のような選択式の質問は、回答欄を自由入力にすると表記がばらつきます。同じ「満足」でも、全角と半角の空白が混ざったり、「大変満足」と書かれたりすると、集計のときに別の答えとして数えられてしまいます。
これを防ぐのが、データタブにある「データの入力規則」です。回答欄のセルを選び、入力値の種類で「リスト」を選んで、元の値に選択肢をカンマで区切って入力すると、回答欄にドロップダウンの矢印が出て、決まった選択肢しか選べなくなります。選択肢は、別のシートに一覧として書いておき、その範囲を指定する形にしておくと、あとで選択肢を変えたいときに一覧を直すだけで済みます。
ステップ4:チェックボックスやラジオボタンを使う場合
画面上でクリックして選ばせたい場合は、開発タブのフォームコントロールを使います。開発タブは初期の状態では表示されていないので、ファイルのオプションからリボンのユーザー設定を開き、「開発」に印を付けて表示させます。チェックボックスやオプションボタン(ラジオボタン)を配置し、それぞれをセルにリンクさせると、選ばれた結果がセルに数字や真偽の値として記録されます。
ただし、フォームコントロールは配置や設定の手間が大きく、質問を1つ差し替えるたびにリンク先のセルも直す必要があります。マーケティングの支援会社のコラムでも、この点が指摘されています。
エクセルでアンケートフォームを作成して集計するには、前述の通り開発タブと関数を理解している必要があります。これらに馴染みがない場合、使いにくいと感じる可能性があります。エクセルの初級者にとっては難易度が高い場合もあるため、まずは知識をつけてから対応する必要があります。 出典: webcas.jp
作る人がエクセルに慣れていない場合や、質問が頻繁に変わる場合は、ステップ3のドロップダウンだけで十分です。見た目の操作感よりも、作った人以外でも直せることを優先すると、翌年以降も使い続けられるテンプレートになります。
ステップ5:入力できる場所以外を保護する
ファイルを配って入力してもらう場合は、回答欄以外のセルを書き換えられないようにしておきます。回答欄のセルだけを選んでセルの書式設定から「ロック」の印を外し、そのあとで校閲タブの「シートの保護」をかけます。こうすると、回答者は回答欄にだけ入力でき、質問文や数式を誤って壊すことがなくなります。保護をかけたまま配ると、回答者が入力できない欄が残ることがあるので、配る前に自分で一通り入力して確かめます。
ステップ6:印刷の範囲と向きを決める
紙で配る場合は、ページレイアウトの表示に切り替えて、A4の1枚に収まるかを確かめます。質問が多くて2枚にまたがるときは、質問の途中でページが切れないよう、改ページの位置を手で調整します。回答者が書き込む欄は、手書きでも読める幅を取っておきます。
集計しやすい表の形は「1行に1人分」
アンケートの集計で最も時間を取られるのは、関数の書き方ではなく、表の形が集計に向いていないことです。集計しやすい表には、はっきりした決まりがあります。
1行に1人分、1列に1つの質問
集計のシートでは、1行目に見出しとして質問の番号や短い名前を並べ、2行目から下に回答者1人分の回答を1行ずつ並べます。A列は回答者の通し番号、B列は回答した日、C列から右に質問1、質問2と続けます。この形を守れば、件数が1,000件を超えても同じ関数とピボットテーブルで集計できます。
逆に、質問を縦に並べて回答者を横に並べる形や、回答者ごとにシートを分ける形は、件数が増えるほど集計が難しくなります。用紙の見た目のまま回答をためていくのではなく、用紙から集計の表へ1行ずつ転記する、という流れを最初に決めておきます。
セルの結合と空行を使わない
集計の表では、セルの結合、見出しの途中の空行、合計行の挟み込みを避けます。どれも見た目を整えるためによく使われますが、並べ替えやピボットテーブルが表の範囲を正しく読み取れなくなります。見やすさが必要なら、集計の結果を別のシートに作り、そちらで装飾します。
テーブルとして設定しておく
集計の表を選んで、挿入タブの「テーブル」(または Ctrl キーと T キー)でテーブルに変換しておくと、新しい行を追加したときに書式と数式が自動で引き継がれます。ピボットテーブルの元データとしてテーブルを指定しておけば、回答が増えても範囲を指定し直す必要がありません。
自由記述は別の列にまとめる
「ご意見をお書きください」のような自由記述の回答は、選択式の回答とは別の列にします。1つのセルに長い文章が入ると表が見にくくなるため、列の幅を決めて折り返しを設定しておきます。自由記述は数えるのではなく読む回答なので、あとで「要望」「不満」「感謝」のように手で分類する列を隣に用意しておくと、件数の多い意見がどれかを把握しやすくなります。
関数とピボットテーブルで集計する方法
表の形が整っていれば、集計そのものは難しくありません。よく使う方法を3つ紹介します。
COUNTIF関数で選択肢ごとの件数を数える
質問ごとに「満足」が何件あったかを数えるには、COUNTIF関数を使います。たとえば質問1の回答がC列にあるなら、集計用のシートで「=COUNTIF(集計!C:C,"満足")」と入力すると、満足と答えた件数が表示されます。選択肢を縦に並べたセルを参照する形にしておけば、数式を下にコピーするだけで全選択肢の件数が出ます。件数を回答者の総数で割れば、割合も求められます。
AVERAGE関数で点数の平均を出す
「1から5の5段階で評価してください」のような点数の質問は、AVERAGE関数で平均を出します。ただし、平均だけを見ると、評価が真ん中に集まっているのか、高い人と低い人に分かれているのかが分かりません。COUNTIF関数で点数ごとの件数も並べて、分布を一緒に確かめるのが基本です。平均が3.5でも、5と2に分かれている場合と、3と4に集まっている場合では、取るべき対応がまったく違います。
ピボットテーブルで属性別に比べる
部署別、年代別、参加した回別に結果を比べたいときは、ピボットテーブルが便利です。集計の表のどこかを選んで、挿入タブからピボットテーブルを作り、行に「部署」、列に「質問1」、値に「回答者の通し番号の個数」を指定すると、部署ごとの回答の内訳が一覧になります。関数を書き換えなくても、項目をドラッグするだけで切り口を変えられるのが強みです。
グラフにするときの注意
集計結果をグラフにするときは、選択肢の数が少なく比べたい項目が1つなら横棒グラフ、部署ごとの内訳を比べるなら積み上げの横棒グラフが読み取りやすくなります。円グラフは選択肢が多いと違いが見えにくいため、項目が4つ以下のときに限るのが無難です。グラフには必ず回答の総数を書き添えます。10人中の7人と1,000人中の700人では、同じ70%でも重みが違うからです。
無料のテンプレートを使うときに直しておきたい点
一から作るのが大変なら、無料で配布されているテンプレートから始めるのも1つの方法です。マイクロソフトの公式のテンプレート集にも、アンケート用紙のひな形があります。
ビジネスシーンで使えるシンプルなアンケート用紙です。項目を自由に編集できるので、このテンプレートひとつで用途に合わせた様々なアンケート用紙を簡単に作成することができます。 出典: microsoft.com
配布されているテンプレートの多くは、紙に印刷して配ることを前提に作られています。そのまま使うと集計の段階で困ることがあるので、次の点を確かめてから使います。
用紙だけで、集計の表が付いていないことが多い
見た目の整った用紙だけが入っていて、回答をためる表が付いていないテンプレートは少なくありません。その場合は、この記事の「1行に1人分」の形で集計のシートを自分で追加します。用紙の質問の順番と、集計の表の列の順番をそろえておくと、転記の間違いが減ります。
セルの結合が多用されている
印刷したときの見た目を整えるために、セルが細かく結合されているテンプレートがあります。用紙のシートとしては問題ありませんが、そのシートに直接回答をためていく使い方には向きません。
質問が目的に合っていない
汎用のテンプレートには、多くの用途に合わせるための質問が並んでいます。自分たちの目的に関係のない質問は、思い切って外します。質問が1つ減るごとに、回答する人の負担は確実に軽くなり、最後まで答えてもらえる割合も上がります。
個人情報を聞く欄の扱い
名前、連絡先、所属を聞く欄がある場合は、本当に必要かを考えます。匿名のほうが率直な意見が集まる質問もあります。個人情報を集めるなら、何のために使うのかを用紙に書き、回答をためたファイルを開ける人を限っておきます。
エクセルでアンケートを作るメリットとデメリット
エクセルが向く場面と向かない場面を、事実に沿って整理しておきます。
メリット
1つ目は、多くの職場ですでに使える状態にあり、追加の費用がかからないことです。2つ目は、回答の集計、グラフの作成、報告用の資料づくりまで、同じソフトの中で完結することです。3つ目は、紙で配る用紙と、データを扱う表を1つのファイルで管理できることです。4つ目は、関数やピボットテーブルの使い方を一度覚えれば、ほかの業務の集計にもそのまま応用できることです。
デメリット
1つ目は、回答者がエクセルを持っていないと入力できないことです。スマートフォンから入力してもらう用途には向きません。2つ目は、複数の人に別々のファイルで回答してもらうと、そのファイルを1つの表に集める作業が発生することです。回答が100件なら100個のファイルを開いて転記することになり、ここで多くの時間が失われます。3つ目は、ファイルが何度もメールでやり取りされるうちに、どれが最新か分からなくなることです。4つ目は、回答が届いたあとの対応、たとえば「要望を書いてくれた人に返事をする」「担当者を割り振る」といった作業を管理する仕組みがないことです。
目安としての使い分け
回答者が社内の数十人で、集計の結果を報告書にまとめれば終わる用途なら、エクセルで十分です。回答者が社外の人で、スマートフォンからの回答が見込まれる場合や、回答の件数が数百件を超える場合は、Webのフォームで回答を集め、集計だけをエクセルで行う形が現実的です。多くのフォーム作成ツールは回答をCSV形式で書き出せるので、書き出したファイルをエクセルで開けば、この記事の集計の方法がそのまま使えます。
用途別のテンプレートの作り分け
同じアンケートでも、用途によって質問の組み立て方が変わります。よく使われる3つの用途について、テンプレートを作るときの要点を整理します。
社内の満足度調査
従業員の満足度調査では、毎年同じ質問で比べられることが何より大切です。質問の言い回しを年ごとに変えると、数字が変わった理由が質問の変更なのか、実際の変化なのかが分からなくなります。テンプレートには質問の文言を固定した版を保存し、変更する場合は変更した年と理由を別のシートに記録しておきます。匿名で答えてもらう場合でも、部署の人数が少ないと誰の回答か推測できてしまうので、5人未満の部署は近い部署とまとめて集計するなどの配慮が必要です。
セミナーや研修の参加者アンケート
セミナーの参加者アンケートは、終了直後に回答してもらうのが基本です。質問は5問から8問程度に抑え、満足度の点数、良かった点、改善してほしい点、次に聞きたいテーマの4つを中心にします。開催のたびに同じテンプレートを使い、集計の表に「開催日」の列を設けておくと、回ごとの比較がピボットテーブルで簡単にできます。
顧客や利用者の満足度調査
店舗やサービスの利用者に聞くアンケートでは、回答の手軽さが回答率を左右します。紙の用紙なら記入は2分以内で終わる分量にし、選択式を中心にします。医療機関や介護の事業所で患者や利用者に聞く場合は、記入する人の年齢層に合わせて文字を大きくし、選択肢を減らします。受付で用紙を配る事務の担当者にとっても、回収と入力の手間が少ない形が続けやすい形です。
答えてもらえる質問文の書き方
テンプレートの形が整っていても、質問文が分かりにくいと回答の質が落ちます。集計してから「質問の意味が人によって違って受け取られていた」と気づいても、取り直しはききません。質問文を書くときに守りたい点を整理します。
1つの質問で1つのことだけを聞く
「研修の内容と講師の説明に満足しましたか」のように、2つのことを1つの質問で聞くと、内容には満足したが説明には不満だった人が答えに迷います。結果を見ても、どちらに不満があったのか分かりません。内容と説明は別の質問に分けます。質問文に「と」「や」「および」が入っていたら、2つのことを聞いていないかを見直す合図です。
答えを誘導する言い回しを避ける
「便利になった新しい受付の仕組みについて、満足していますか」のように、質問文の中に評価の言葉が入っていると、回答が良いほうに偏ります。「新しい受付の仕組みについて、どう感じましたか」のように、評価の言葉を含まない形にします。選択肢も、良い評価と悪い評価の数をそろえ、真ん中に「どちらとも言えない」を用意するのが基本です。
選択肢に漏れと重なりを作らない
年代を聞く質問で「20代」「30代」「40代以上」としておくと、10代の回答者は答えられません。勤続年数で「1年から3年」「3年から5年」とすると、3年ちょうどの人がどちらを選ぶか迷います。選択肢は「1年未満」「1年以上3年未満」のように境目をはっきりさせ、当てはまるものがない人のために「その他」を用意します。
自由記述は最後に1つか2つ
自由記述の質問は、回答する人の負担が大きく、数が多いと途中でやめる人が増えます。選択式の質問を先に並べ、最後に「ほかにご意見があればお書きください」の1問を設ける程度にとどめます。どうしても理由を聞きたい場合は、「不満と答えた方は、その理由をお書きください」のように、対象を絞って聞きます。
配る前に3人に試してもらう
完成したら、本番の前に回答する立場に近い人に3人ほど試してもらい、迷った質問、答えにくかった選択肢、かかった時間を聞きます。作った本人は質問の意図を知っているため、分かりにくさに気づけません。この確認だけで、集計したあとに使えない質問が出るのをかなり防げます。
集計結果を報告書に整理する手順
アンケートは、集計して終わりではなく、結果を受けて何をするかを決めるために取るものです。集計の表を作ったら、報告の資料を次の順番で組み立てます。
最初に、回答の件数と回答率を書きます。配った数に対して何件の回答があったかは、結果をどこまで信頼できるかの目安になります。次に、目的に直結する質問の結果を先頭に出します。満足度の調査なら満足度の分布、研修のアンケートなら次回に取り上げてほしいテーマの順位です。続いて、部署別や年代別に差が大きかった項目を、ピボットテーブルの結果から拾って示します。全体の数字では見えなかった偏りが、ここで見つかることがあります。
自由記述は、分類した件数の多い順に並べ、代表的な意見をいくつか原文のまま紹介します。原文を載せるときは、個人が特定できる言葉を伏せます。最後に、結果を受けて取る対応と、その担当と時期を書きます。前回のアンケートで出た要望にどう対応したかを、次回のアンケートの冒頭で回答者に伝えると、回答する側も「答えれば何かが変わる」と感じられ、次の回答率の改善につながります。
現場で見かけた失敗と、その直し方
アンケートのテンプレートは、作った人が異動したあとに困ることがよくあります。建築や設備の現場の事務所でも、安全講習のあとに参加者アンケートを取る運用が広く行われていますが、関数を何重にも組み合わせたファイルが残され、次の担当者が質問を1つ変えただけで集計がすべて崩れた、という例があります。
この種の失敗を防ぐ方法は単純です。1つ目は、集計の数式をできるだけ短く、COUNTIF関数とピボットテーブルの組み合わせに限ることです。2つ目は、ファイルの中に「使い方」のシートを作り、質問の追加や選択肢の変更のときにどこを直せばよいかを箇条書きで残すことです。3つ目は、年度ごとにファイルを分け、前年のファイルを上書きしないことです。安全の確認と同じで、手順を残しておけば、担当者が変わっても同じ品質で運用できます。
もう1つよくあるのが、回答のファイルを個人のパソコンに保存したまま担当者が休みに入り、集計が止まる例です。回答のファイルは共有フォルダなど、複数の人が開ける場所に保存しておきます。
回答の集計で終わらない用途には、受付の道具を検討する
アンケートの中には、集計して報告すれば終わるものと、回答が届いたあとに対応が必要なものがあります。たとえば、イベントの参加申し込みを兼ねたアンケートや、顧客からの要望を受け付けるアンケートでは、回答ごとに返事をしたり、担当者を決めたり、対応が済んだかを追いかけたりする必要があります。エクセルの表に「担当」「状況」「返信日」の列を追加して管理することもできますが、複数の人で同じファイルを更新すると、上書きや二重の返信が起こりやすくなります。
こうした用途で候補の1つになるのが、受付から対応までを1つの画面で扱えるフォーム作成ツールのHalict(ハリクト)です。公式サイトの料金ページによると、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、料金は使う人数で決まります。メンバー1人までのフリープランは0円で、届いた回答ごとに対応の段階を付けて管理する機能(ステージ管理)、自動返信、CSVの書き出しが使えます。有料プランは、メンバー3人までのスタータープランが月額2,980円、10人までのチームプランが月額7,800円、30人までのビジネスプランが月額16,800円(いずれも税抜、年払いは2か月分が無料)です。スタータープランからはGoogleスプレッドシートとの連携、チームプランからは一斉メールと開封・クリックの計測が加わります。詳しくはHalictの紹介ページで確認できます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
回答をCSVで書き出せば、集計はこれまでどおりエクセルで行えます。集計して報告すれば終わる用途ならエクセルだけで十分なので、回答のあとの対応に手間がかかっているかどうかを基準に選んでください。
アンケートの設計と集計は、在宅でも依頼される仕事になる
最後に、在宅ワークや業務委託で働く人の視点から、アンケートのテンプレートを作る力がどう役立つかを整理します。
アンケートの設計、集計、報告書の作成は、社内に担当者がいない中小企業から外部に依頼されることがある仕事です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、業務の手順を見直し、表計算ソフトや自動化の道具を使って事務の手間を減らす支援が紹介されています。エクセルで集計の仕組みを作れることは、その入り口になる技能です。
集計の仕組みを自動化する方向に進むなら、アプリケーション開発のお仕事のように、フォームと表を連携させる仕組みを作る仕事にもつながります。単価の傾向はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。集計の結果を読み手に伝わる報告書に仕上げる力は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で扱われている文章の仕事とも重なります。
経営の改善を支援する立場からアンケートを扱うなら、中小企業診断士の学習範囲にある調査の設計や分析の考え方が役立ちます。医療機関の受付で患者アンケートを扱う事務の仕事では、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)のような資格と、エクセルの集計の技能を組み合わせて評価されることがあります。
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、依頼主が自分で使い続けられる形で仕事を納めています。誰が見ても直せる集計の表、使い方のシートが付いたテンプレートは、派手さはなくても「次もこの人に頼みたい」と思われる理由になります。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなり、依頼主はその分を次の仕事に回せます。手数料0%で直接取引できる関係を長く続けるためにも、まずは自分の職場のアンケートを1つ、集計しやすい形に作り直すところから始めてみてください。
よくある質問
Q. エクセルのアンケートで、選択肢をクリックで選ばせるにはどうすればよいですか?
いちばん手軽なのは、データタブの「データの入力規則」で入力値の種類を「リスト」にし、選択肢を指定する方法です。回答欄にドロップダウンの矢印が出て、決まった選択肢だけを選べるようになります。チェックボックスやラジオボタンを使いたい場合は開発タブのフォームコントロールを使いますが、設定の手間が大きいため、まずはリストから試すのが無難です。
Q. 集計しやすいアンケートの表はどんな形ですか?
1行に1人分の回答、1列に1つの質問を並べる形です。1行目に質問の見出し、2行目から下に回答者ごとの回答を並べ、セルの結合や途中の空行は使いません。この形にしておけば、COUNTIF関数で選択肢ごとの件数を数えたり、ピボットテーブルで部署別や年代別に比べたりする作業が、件数が増えても同じ手順でできます。
Q. 無料のアンケートテンプレートはそのまま使ってよいですか?
使えますが、目的に合わない質問を外し、回答をためる集計用のシートを追加してから使うのがおすすめです。配布されているテンプレートは印刷用の見た目を優先していることが多く、セルの結合が多いと集計の妨げになります。また、名前や連絡先を聞く欄は本当に必要かを確かめ、集める場合は使い道を用紙に書いておきます。
Q. エクセルとWebのフォームはどちらを使えばよいですか?
回答者が社内の数十人で、集計して報告すれば終わる用途ならエクセルで十分です。社外の人にスマートフォンから答えてもらう場合や、回答が数百件を超える場合は、Webのフォームで集めて、書き出したCSVをエクセルで集計する形が現実的です。回答ごとに返信や対応が必要な場合は、受付の管理ができるツールも比べてみてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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