英語を使うダブルワーク|本業と両立させる時間の組み方


この記事のポイント
- ✓英語を使うダブルワークを
- ✓在宅でできる仕事の種類
- ✓時間の組み方から整理しました
結論から書きます。英語を使うダブルワークで最初に決めるべきは、仕事の種類ではなく「雇用で働くのか、業務委託で受けるのか」です。ここを曖昧にしたまま始めると、保険の手続き、税の扱い、そして本業の就業規則との関係が全部あいまいになります。手取りと働きやすさの両方が、この選択で変わります。
そのうえで、英語を使う仕事は「英語力不問」の求人と「英語力が条件」の案件で時給が大きく違います。この記事では、両者の違い、在宅でできる仕事の種類、保険と税の扱い、そして本業を崩さずに続ける時間の組み方を順に整理します。
ダブルワークと副業は、制度上どこが違うのか
言葉の整理から始めます。日常会話では混ざって使われていますが、制度の扱いは別です。
ダブルワークは、一般に2つの勤務先で雇用されて働く形を指します。アルバイトやパートを2つ掛け持ちする、正社員として働きながら週末にアルバイトをする、といった形です。雇われているので、労働時間、最低賃金、休憩、有給の扱いが労働基準法の枠内に入ります。
一方、業務委託で仕事を受ける形は雇用ではありません。成果物や業務の遂行に対して報酬を受け取る契約で、労働時間の規制は適用されず、最低賃金の概念もありません。そのかわり、働く時間と場所を自分で決められます。在宅で英語の仕事をする場合、こちらの形が中心になります。
この違いは手取りに直結します。雇用なら給与から源泉徴収され、条件を満たせば社会保険や雇用保険の手続きが発生します。業務委託なら報酬から源泉徴収される場合があり、社会保険は本業のものだけで、確定申告で経費を差し引けます。同じ5万円を受け取っても、手元に残る金額と手続きの量が変わるわけです。
どちらを選ぶかの判断軸は単純です。時間を決めて働きたい、教えてもらいながら覚えたい、収入を安定させたいなら雇用。時間と場所を自分で決めたい、単価を交渉したい、経費を使いたいなら業務委託。英語のスキルを伸ばすという観点では、業務委託のほうが扱う文書の幅が広くなる傾向があります。雇用の形だと、決まった定型業務の範囲に留まることが多い。
なお、ダブルワークを始める前に本業の就業規則を確認してください。副業を認めている会社でも、競合他社での勤務や、本業で得た情報を使う仕事は制限されている場合があります。英語の案件は業界をまたぐので、思わぬところで競合に当たることがあります。
英語を使う仕事の時給の実態
ここは数字で見たほうが早い。求人情報を見ると、「英語力不問」を条件に掲げるWワーク可の募集が多数あり、給与はこの水準です。
副業・WワークOK/英語力不問/未経験OK/学歴不問/交通費支給あり...Wワーク・扶養内勤務をご希望の方はご相談ください。 【給与】時給1180円 ~ 出典: 求人ボックス
注目してほしいのは「英語力不問」という条件です。英語を使う職場ではあっても、英語力を評価の対象にしていない募集は、時給が一般的なアルバイトと同じ水準になります。つまり、英語が使える環境で働くことと、英語力に対価が支払われることは別問題です。
英語力が条件として明記され、その力が成果に直結する案件になると、単価の考え方が変わります。翻訳やチェックの仕事は時間あたりではなく分量あたりや案件あたりで見積もることが多く、専門分野の文書なら一般的な文章よりも高く設定されます。オンライン英会話の講師は時間あたりの報酬ですが、指導経験や資格で段階が分かれます。
正直なところ、「英語を活かせる」という言葉は募集文の飾りとして使われることも多い。応募の前に、英語を使う業務が全体の何割を占めるのか、その英語の難易度はどの程度かを確認してください。案内文の翻訳が月に数件あるだけの職場を「英語を活かせる」と書いている募集は珍しくありません。
職種としての収入レンジを知っておくと、この判断が速くなります。文章を扱う仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、開発系はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。自分が受けようとしている仕事が、どの職種の相場に近いのかを当てはめてから単価を判断すると、安すぎる条件を受けずに済みます。
在宅でできる英語のダブルワークの種類
在宅で完結するものを中心に挙げます。
翻訳とチェック。文書、Webサイト、マニュアル、字幕などが対象です。英日と日英で求められるものが違い、日英のほうが単価は高い傾向があります。最近は機械翻訳の下訳を人が直す工程が増えており、この場合は分量ではなく時間で見積もる形になります。
オンライン英会話の講師。時間で稼働するため、本業の後の時間帯を固定して入れられます。運営元によって求められる資格や経験が違い、準備の時間が報酬に含まれないことが多いので、教材を再利用できる形にしておくと実質の時間単価が上がります。
英文メールの代行と海外との連絡窓口。オンライン秘書の業務の一部として出ることが多く、月額での契約が中心です。緊急の連絡が入る可能性があるので、対応時間を契約時に決めておくことが必須になります。
海外向けのライティングと、海外情報のリサーチ。前者は日本の商品やサービスを英語で紹介する仕事、後者は海外の動向を調べて日本語でまとめる仕事です。リサーチは英語力よりも調べ方と要約力が問われるため、英語の学習途上でも入りやすい。
カスタマーサポートの一次対応。海外ユーザーからの問い合わせにチャットやメールで返す仕事です。定型の返答が用意されているので英語の難易度は高くなく、丁寧さと速さが評価されます。時間帯を固定できるのでダブルワークとの相性がいい。
英語と技術の組み合わせ。海外の技術ドキュメントを読んで実装する、海外向けアプリの文言を作る、海外のAPIの仕様を確認する。この組み合わせは供給が薄いので条件が良くなりやすい領域です。英語と社内のAI活用を掛ける形も増えており、どんな依頼が出ているかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事に業務内容と必要な経験がまとまっています。マーケティングや情報管理まで含む募集の実像はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事を見ると分かります。
種類を選ぶときの基準は「中断できるか」です。ダブルワークは本業の予定で崩れます。途中で止めても再開しやすい仕事、たとえば翻訳やライティングは融通が利きます。逆に、決まった時間に相手が待っている仕事、たとえば講師や会議の通訳は、本業の残業が入ると穴を空けることになります。始めるなら前者からのほうが安全です。
掛け合わせるスキルと、入り口の選び方
英語だけを売りにすると、同じ条件の人が並びます。掛け算の相手を決めてください。
本業の専門知識を掛けるのが最短です。経理の経験があるなら海外取引の書類、製造の経験があるなら仕様書や検査記録、医療や介護の現場にいるなら関連する文書、ITの仕事なら技術ドキュメント。その分野の用語を辞書なしで扱えることは、TOEICのスコア以上に強い武器になります。
書く力を掛ける形。原文を訳すだけでなく、日本の読者に向けて書き直せる人は「翻訳者」ではなく「制作担当」として扱われます。報酬の単位が文字あたりから1本あたりに変わり、金額の交渉もしやすくなります。実績の見せ方はWebライターのポートフォリオの作り方にテンプレートの形でまとまっているので、英語案件向けに項目を差し替えて使えます。
ツールを掛ける形。表計算での集計、簡単なデータの整理、業務ツールの設定。英語の資料を読んで、その内容を社内で使える形に落とす作業まで請けられる人は少ない。ここは単価が安定します。
入り口の選び方については、読む力から入るのが現実的です。話す力と書く力は実務レベルに届くまで時間がかかりますが、読む力は比較的早く仕事になります。海外情報のリサーチ、英語のマニュアルから日本語の手順書を作る仕事は、TOEICで600点前後の段階でも受けられる案件があります。そこで評価を作ってから、翻訳や連絡代行へ広げる順番が失敗しにくい。
保険と税の扱いを先に押さえる
ここは面倒ですが、後回しにすると困ります。順に整理します。
雇用保険。1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある場合に加入対象となります。ダブルワークで2か所に雇用されている場合、原則として主たる賃金を受ける1つの事業所で加入する形になります。制度の詳細と例外の扱いは厚生労働省が公表している資料で確認してください。
健康保険と厚生年金。2か所の勤務先でそれぞれ加入の要件を満たした場合は、どちらか一方を選んで届け出を行い、両方の報酬を合算して保険料の基礎となる額を決め、それぞれの勤務先で按分して負担する仕組みになっています。手続きの詳細は日本年金機構の案内が一次情報です。
労災保険。複数の会社で雇われて働いている場合、それぞれの就業先で適用されます。給付の計算にあたって複数の就業先の賃金を合算して算定する仕組みが設けられており、片方の職場での収入だけで計算されるわけではありません。
業務委託で受ける場合は、これらの雇用に伴う保険の対象になりません。健康保険と年金は本業のものだけで、労災保険の適用もありません。そのぶん、自分で備える必要が出てきます。ここは業務委託を選ぶときの実質的なコストとして計算に入れてください。
税について。給与以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。給与を2か所から受け取っている場合も、年末調整は1か所でしか行えないため申告が必要になるケースがあります。要件と必要書類は国税庁が毎年の情報を公開しているので、年末より前に一度確認しておくと落ち着いて進められます。
業務委託の場合に経費になりやすいものを挙げると、辞書や参考書籍、翻訳支援ツールの利用料、通信費の按分、資格試験の受験料などがあります。認められる範囲は事業との関連性で判断されるため、領収書とあわせて使途の記録を残す必要があります。
年収への影響をどう見るか
ダブルワークを始めるときに、月にいくら増えるかだけを見る人が多い。見るべきは3つです。
1つ目は時間単価です。月に3万円増えたとしても、そのために30時間使っていれば時間あたり1,000円です。本業の時間単価を下回っているなら、残業や本業のスキルアップに時間を使ったほうが効率がいい可能性があります。感覚ではなく、作業時間を記録して計算してください。
2つ目は手取りです。給与所得が増えると税と社会保険料の負担も増えます。業務委託なら経費を差し引けますが、その分の記録と申告の手間がかかります。額面の増加だけを見て生活を広げると、申告の時期に慌てます。
3つ目は本業への影響です。ダブルワークで疲れて本業の評価が落ちれば、長期の収入は下がります。逆に、英語の実務経験が本業側で評価されれば、昇給や配置転換につながることがあります。この効果は金額に出るまで時間がかかりますが、無視すべきではありません。
単価を上げる方向で考えるなら、量を増やすより1件あたりの単価を上げるほうが本業を崩しません。交渉の進め方はWebライターが文字単価を上げる方法にある実績の提示、工程の分解、値上げを伝える時期の考え方が、英語の案件にもそのまま当てはまります。
本業と両立させる時間の組み方
ここが実務のいちばん大事な部分です。順に書きます。
受注量は、使える時間の7割までで決めてください。空いている時間をすべて作業に充てる前提で見積もると、本業の残業や体調を崩した日に一気に崩れます。残り3割は修正の対応と予備に回します。これを守るだけで、納期遅延の大半は防げます。
作業時間は先にカレンダーへ入れてください。「空いたらやる」では空きません。頭が動く時間帯に集中の要る作業を置き、用語の確認や連絡は移動中や休憩時間に回します。ここを逆にすると、重い作業が夜遅くに押し出されて質が落ちます。
海外が相手の案件では、時差による待ち時間を納期の逆算に含めてください。質問を送ってから回答が返るまで半日から1日かかるので、作業自体が終わっていても確認待ちで納期を越えることがあります。防ぎ方は、疑問点を作業の最後にまとめるのではなく、着手直後に一度まとめて送ることです。
納期は自分の想定より2日から3日うしろに設定して伝えてください。予定どおり進んだら早く出せばよく、早い納品は信用になります。ぎりぎりの納期を約束して1日遅れると、それだけで継続が終わることがあります。守れる約束を出すのが、いちばん確実な営業です。
対応時間は契約の段階で明記してください。「できるだけ対応します」と伝えていると、深夜や早朝の連絡が既定になります。「返信は日本時間の午前9時から午後11時のあいだに行います」と書いておくほうが、依頼者にとっても予定が立てやすい。制限を伝えて信用が下がることはありません。
そして、本業の繁忙期は先に伝えておいてください。決算期や年度末に動けないことが分かっているなら、契約時に共有しておく。後から「その月は無理です」と言うより、最初から分かっているほうが依頼者は調整できます。
資格はどこまで効くか
資格の扱いは冷静に見てください。TOEICのスコアは応募の足切りを通るために役立ちますが、単価を決めるのは提出物です。スコアを50点上げるより、扱う分野のサンプルを1つ作るほうが早く仕事につながります。
そのうえで、資格が効く場面もあります。オンライン英会話の講師では、指導関連の資格が段階の判定に使われることがあります。翻訳では、分野ごとの検定が実務経験の代わりとして見られる場合があります。
英語以外の資格も見落とさないでください。書類の体裁を整える仕事では日本語側の型が評価に入ります。ビジネス文書の形式を体系的に押さえたい人はビジネス文書検定の出題範囲が実務の型とほぼ重なっているので、学習の目次として使えます。技術寄りの案件を狙うならCCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格があると、英語の技術文書を扱う案件で信用されやすくなります。
資格の勉強とダブルワークを同時に進めるのは、時間の面で無理が出ます。どちらかに寄せてください。先に仕事を受けて、必要だと分かった資格を後から取る順番のほうが、学習の的が絞れます。
応募と契約の前に確かめる6項目
雇用でも業務委託でも、始める前に文字で確かめておくべき項目は共通しています。
業務の範囲。雇用なら「英語を使う業務が全体の何割か」、業務委託なら「原文の確認は含むか、レイアウトの調整は含むか、修正は何回までか」。修正の上限が書かれていない契約は、際限なく作業が増える余地を残しています。
報酬の単位と支払いの時期。時給か、分量あたりか、1案件あたりか、月額か。業務委託なら、納品してから何日以内に検収し、いつ振り込まれるのかを確認します。月末締め翌月末払いが一般的ですが、翌々月払いの条件も存在するので、入金までの期間は資金計画に直結します。
稼働の時間帯と連絡の手段。何曜日の何時に動けるかを自分から書いて出すほうが、相手も予定を立てられます。連絡はチャットかメールか、返信の期待値はどれくらいかも決めておきます。
秘密保持と使えるツール。NDAを別に結ぶのか、契約書の条項に含むのか。機械翻訳や外部のクラウドサービスを使ってよいかも、ここで確認してください。
成果物の権利。著作権を譲渡するのか、利用を許諾するだけか。実績として公開できるかどうかもここで決まります。公開できない契約ばかりだと、次につながる実績が残りません。
終わり方。いつまでの契約で、途中でやめるときは何日前に伝えるのか。ダブルワークでは本業の状況が変わるので、この条項の有無が退路になります。
契約書が出てこない依頼に対しては、こちらから「業務範囲と報酬、支払日をメールで確認させてください」と一文送るだけでも記録として残ります。これは相手を疑う行為ではなく、双方の記憶違いを防ぐ通常の手続きです。フリーランスと発注者の取引については取引条件の明示を求める仕組みが整備されており、確認を求めることは失礼にあたりません。
最初の1件までの進め方
何から始めればいいか分からないという方に向けて、順番を示します。期間は目安で、本業の忙しさに合わせて伸ばして構いません。
1週目は形を決めます。雇用のダブルワークにするか、業務委託で受けるか。就業規則を確認し、保険の扱いを調べ、動ける曜日と時間帯を書き出します。ここを決めずに募集を探し始めると、雇用の求人と業務委託の案件が混ざった検索結果に振り回されます。
2週目は分野を1つ選びます。本業の専門、学生時代の専攻、趣味で詳しい領域のうち、英語の資料が実際に流通している分野を選んでください。判断は簡単で、その分野の英語のニュースサイトや業界誌を探し、更新が続いているかを見るだけです。
3週目はサンプルを1つ作ります。選んだ分野の英文記事を1本訳し、用語集を添える。分量は800字程度で充分です。長さより、用語の扱いと「誰に向けた文章か」の設定が見られます。読者設定のない訳文は、ただの練習に見えます。
4週目に応募します。応募文に書く要素は3つに絞ります。分野と扱える用語の範囲、動ける曜日と時間帯、見積りの考え方。「英語が好きです」「丁寧に対応します」は削ってください。情報量のない応募文は読み飛ばされます。
この時点で通らなくても問題ありません。募集文の書き方と単価の相場が分かるので、2周目の精度が上がります。10件出して1件通れば、最初としては良い結果です。最初の1件は単価より、評価がつくことを優先してください。評価が1つつくと、次の応募の通過率が明確に変わります。
よくある失敗と、その直し方
実際に起きている失敗を4つ挙げます。どれも語学力とは別の原因です。
1つ目は、時間で受ける仕事と成果で受ける仕事を混ぜること。講師のように時間が固定される仕事と、翻訳のように締切だけがある仕事を同時に持つと、後者が前者に押し出されて深夜作業になります。最初はどちらか一方に絞ってください。
2つ目は、見積りを分量だけで出すこと。英文の原稿を「何ワードだから」で計算すると、図表の中の文字、脚注、レイアウトの調整が計算に入りません。原文の確認、訳出、用語の統一、見直し、レイアウトの5工程に分けて時間を出し、合計してください。こうすると依頼者側も範囲の調整で交渉できるようになり、値下げを迫られにくくなります。
3つ目は、機械翻訳や外部サービスの扱いを確認しないこと。契約で機械翻訳の使用が禁止されている案件があり、違反すれば契約解除になります。また、無料の翻訳サービスに顧客の未公開資料を貼り付ける行為は秘密保持の条項に触れる可能性があります。案件ごとに使えるツールを確認してください。
4つ目は、成果物の使われ方を確認しないこと。自分の訳がそのまま公開されるのか、後で誰かが手を入れるのかで必要な作業量が変わります。下訳の単価で最終稿を求められる状態は、契約時の確認不足から生まれます。
私が編集の現場で経験した失敗を1つ書きます。英語の資料を訳した原稿を確認したとき、用語集を作らずに進めた結果、同じ製品名が3通りの表記で混在して戻ってきました。訳の内容自体は問題なかったのに、表記の揺れだけで差し戻しになった。この一件で、翻訳の仕事は「訳す前に用語を固める工程」が成果物の一部だと分かりました。工程を見積りに含めていなかった自分の設計の問題でした。
続く人がやっていること
20年この市場を見てきた立場から言えば、ダブルワークで長く続く人は、作業時間を増やして稼いでいるわけではありません。続く人は、依頼者が次に困ることを先に片付けています。納品物に「今回はこう処理しましたが、次回からこの部分をテンプレ化しておけば依頼の手間が減ります」と一文添える。それだけで、次の月も同じ人に声がかかります。単発の作業を積み上げている人は、毎月ゼロから営業し直すことになります。
運営者として見てきた限りでは、報酬の額面と手取りの差を軽く見ている人がまだ多い。中間に手数料が乗らない直接の取引では、依頼者は同じ予算でより多くを頼めるようになり、受け手は同じ作業で手元に残る金額が厚くなります。どちらかが損をする話ではなく、間に挟まっていたコストが両側に戻る構造です。手数料0%の意味は、金額が増えることではなく、同じ労力に対する見返りの質が変わることにあります。
もう1つ、現場で繰り返し見てきた傾向があります。ダブルワークを始めて半年で辞める人と、3年続く人の差は、記録を残しているかどうかに出ます。続く人は、案件ごとに原文の分量、作業にかかった時間、修正の回数を残しています。これがあると次の見積りの精度が上がり、値上げを申し出るときの根拠にもなる。感覚で「たぶん3時間くらい」と答えていると、毎回赤字の案件を引き受けることになります。記録は月に数分の手間で、効果が出るのは3件目からです。
逆に、辞める人に共通しているのは、断った経験がないことです。頼まれた仕事を全部受けて、本業が忙しくなった月に破綻する。断るのは相手を失う行為だと思われがちですが、実際は逆で、無理に受けて納期を落とすほうが信用を失います。「今月は本業の繁忙期で受けられません。来月の第2週からなら対応できます」と伝えれば、多くの依頼者は待ちます。待てない依頼なら、その案件は最初から本業と両立しない条件だったということです。
最後に優先順位を書きます。雇用か業務委託かを決める。本業の就業規則と保険の扱いを確認する。中断しやすい仕事から始める。使える時間の7割で受注量を決める。そして、量を増やすより単価を上げる方向で伸ばす。この順番で進めれば、英語を使うダブルワークは本業を崩さずに続けられる規模に収まります。
よくある質問
Q. ダブルワークと業務委託の副業はどちらが得ですか?
目的で変わります。収入を安定させたい、教えてもらいながら覚えたいなら雇用のダブルワークが向きます。時間と場所を自分で決めたい、単価を交渉したい、経費を差し引きたいなら業務委託です。ただし業務委託は雇用保険や労災の対象外になるため、その分を実質的なコストとして計算に入れてください。
Q. ダブルワークをすると社会保険はどうなりますか?
2か所で雇用され、それぞれで加入要件を満たした場合は、一方を選んで届け出を行い、両方の報酬を合算して保険料の基礎額を決め、各勤務先で按分して負担する仕組みです。雇用保険は原則として主たる賃金を受ける1か所での加入になります。手続きの詳細は日本年金機構と厚生労働省の案内で確認してください。
Q. 英語力がなくても英語を使う仕事はできますか?
できます。ただし「英語力不問」の募集は時給が一般的なアルバイトと同じ水準に収まる傾向があります。英語力に対価が支払われるのは、その力が成果に直結する案件です。応募前に、英語を使う業務が全体の何割で、難易度がどの程度かを必ず確認してください。
Q. 本業と両立させるコツは何ですか?
受注量を使える時間の7割までに抑えること、作業時間を先にカレンダーへ入れること、納期を想定より2日から3日うしろで伝えること、対応時間を契約時に明記することの4つです。加えて、時間が固定される仕事と締切だけの仕事を同時に持たないでください。片方が押し出されて深夜作業になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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