満足度アンケートの設問の決め方と、集めた回答を改善につなげる管理の仕方

@SOHO編集部
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満足度アンケートの設問の決め方と、集めた回答を改善につなげる管理の仕方

この記事のポイント

  • ✓満足度アンケートの設問の決め方を
  • ✓目的の決め方から総合満足度・項目別満足度・NPS・自由記述の聞き方まで例文つきで整理しました
  • ✓届いた回答を担当つきで改善と返信につなげる管理の仕方も説明します

満足度アンケートは、作ること自体はそれほど難しくありません。無料のフォームを開けば、5段階評価の質問は数分で並べられます。難しいのは、その後です。回答は集まったのに何を直せばよいか分からない、低い点をつけた人に誰も連絡していない、半年後に同じ不満がまた届く。満足度アンケートでつまずく場面の多くは、設問を作る前と、回答が届いた後にあります。

この記事では、満足度アンケートの設問を目的から逆算して決める手順を、例文つきで説明します。総合満足度、項目別の満足度、他の人に勧めたいかを聞くNPS、自由記述の聞き方、回答率を上げる工夫、集計と分析の手順まで順に扱います。そのうえで、届いた回答を1件ずつ担当と対応状況つきで管理し、改善と返信につなげる仕組みを整理します。回答の受付から返信までを1つの画面で扱えるHalictのような道具にも触れます。

満足度アンケートで分かることと、分からないこと

満足度アンケートとは、商品やサービスを使った人に、どのくらい満足したかを点数と言葉で答えてもらう調査です。顧客向けのものを顧客満足度調査、従業員向けのものを従業員満足度調査と呼び分けることもあります。どちらも基本の作り方は同じで、この記事では主に顧客向けを例に説明します。

満足度アンケートで分かるのは、次の3つです。

  • 全体として、どのくらい満足されているか
  • どの部分(価格、品質、対応の速さ、使いやすさなど)が満足の足を引っ張っているか
  • 不満を持っている人が、具体的に何に困っているか

逆に、満足度アンケートだけでは分からないこともあります。たとえば「なぜ買わなかったのか」は、買わなかった人に聞かなければ分かりません。満足度アンケートに答えるのは、すでに使った人だけです。さらに、答えてくれるのはその中でも時間と気持ちに余裕のある人に偏ります。強い不満を持った人は、アンケートに答える前に黙って離れていくことがあります。

このため、満足度アンケートの数字は「顧客全体の本当の満足度」そのものではなく、「答えてくれた人の満足度」として読む必要があります。平均点が4.2だったとしても、答えなかった人の満足度は分かりません。毎回同じ聞き方で続けて、点数の上がり下がりを見るのが、満足度アンケートのいちばん確かな使い方です。

国内には、業種をまたいで顧客満足度を比べる大規模な調査もあります。日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が行っているJCSI(日本版顧客満足度指数)は、共通の質問で毎年30前後の業種を調べています。

利用者に「全業種共通の質問」で評価してもらい、その結果を指数化しているため、業種横断的な比較・分析を可能にしています。 出典: jpc-net.jp

ここで大事なのは「共通の質問」という部分です。比べるためには、毎回同じ聞き方をする必要があります。自社の満足度アンケートでも、質問の文言を毎回変えてしまうと、前回と比べられなくなります。設問は最初に時間をかけて決め、決めたら簡単には変えないのが原則です。

設問を決める前に決めておく3つのこと

満足度アンケートが「集めたけれど使えない」で終わる原因は、ほとんどの場合、設問を作る前の準備にあります。フォームを開く前に、次の3つを紙に書き出しておくと、設問が自然に絞られます。

何を決めるために聞くのか

1つ目は、アンケートの結果で何を決めるのかです。「お客様の声を聞きたい」では広すぎて、設問が際限なく増えます。次のように、結果を受けて動くことを先に書きます。

  • 来期に改善する部分を、価格・品質・対応のどれにするか決める
  • 新しく始めた予約の仕組みを続けるか、元に戻すか決める
  • サポート窓口の人員を増やすべきか判断する

決めることが書けたら、それを判断するのに必要な質問だけを残します。「あったら面白い」程度の質問は入れません。設問が1つ増えるごとに、最後まで答えてくれる人は減っていきます。

誰に、いつ聞くのか

2つ目は、聞く相手とタイミングです。同じ商品でも、買った直後と3か月使った後では満足の中身が違います。買った直後なら注文や配送の体験、しばらく使った後なら品質や使い続けやすさが中心になります。

聞く相手も分けて考えます。初めて使った人と、何年も使っている人を同じ設問で聞くと、平均点がならされて違いが見えなくなります。可能なら、利用回数や利用期間を1問目か2問目で聞いておき、後で分けて集計できるようにします。

結果を誰が受け取り、どこまで返事をするのか

3つ目は、回答を受け取った後の担当です。ここが決まっていない満足度アンケートは、ほぼ確実に「集めて終わり」になります。

  • 集計を誰が、いつまでにまとめるか
  • 低い点をつけた人や、自由記述に具体的な困りごとを書いた人に、誰が連絡するか
  • 改善すると決めたことを、誰がいつまでに実行するか

特に2つ目は見落とされがちです。回答者は、答えた後に何の反応もないと「書いても無駄だった」と感じます。全員に返事をする必要はありませんが、連絡先を書いてくれた人や、明らかに困っている人には返事をする前提で設計しておくと、後の管理の仕方が決まります。

満足度アンケートの基本の設問と例文

ここからは設問そのものです。満足度アンケートの設問は、大きく4つの種類に分けられます。総合満足度、項目別満足度、推奨度(NPS)、自由記述です。順番もこの並びが基本です。

総合満足度

最初に聞くのは、全体の満足度です。

例文:今回ご利用いただいたサービス全体について、どのくらい満足されましたか。

  1. 満足 2. やや満足 3. どちらともいえない 4. やや不満 5. 不満

最初に全体を聞く理由は、個別の項目を聞いた後に全体を聞くと、直前に考えた項目の印象に引っ張られるためです。たとえば価格について細かく聞いた直後に全体を聞くと、価格の印象が全体の点数に強く出ます。

段階の数は5段階が扱いやすく、比べやすい形です。「どちらともいえない」を入れるかどうかは意見が分かれますが、本当にどちらでもない人に無理に選ばせると、その回答はかえって信用できなくなります。迷ったら入れておくほうが無難です。

項目別満足度

次に、満足度を構成する項目を1つずつ聞きます。項目は業種によって違いますが、多くの商品やサービスに当てはまるのは次のような項目です。

項目 設問の例
品質 商品の品質について、どのくらい満足されましたか
価格 価格に見合った内容だと感じましたか
対応 スタッフの対応について、どのくらい満足されましたか
速さ ご連絡から対応までの速さについて、どのくらい満足されましたか
分かりやすさ ご案内や説明の分かりやすさについて、どのくらい満足されましたか
手続き 申し込みやお支払いの手続きのしやすさについて、どのくらい満足されましたか

項目は多くても6つから8つに絞ります。項目別満足度の結果は、総合満足度と並べて見ることで意味を持ちます。総合満足度と強く連動している項目ほど、改善したときに全体の満足度が上がりやすいと考えられるからです。分析の仕方は後の節で説明します。

推奨度(NPS)

NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは、「このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか」という1問で、顧客がどのくらい熱心な支持者かを測る指標です。考案したベイン・アンド・カンパニーは、計算方法を次のように説明しています。

To calculate NPS, start with the ultimate question, "How likely are you to recommend us to a friend or colleague?" and score the answers on a zero-to-ten scale. 出典: netpromotersystem.com

日本語にすると「友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか」と聞き、0から10の11段階で答えてもらう、という意味です。続けて同じページでは、9点と10点をつけた人を推奨者、0点から6点をつけた人を批判者とし、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSだと説明しています。7点と8点は中立者として、どちらにも数えません。

計算の例を示します。100人が答え、9点と10点が40人、7点と8点が35人、0点から6点が25人だったとします。推奨者の割合は40%、批判者の割合は25%なので、NPSは40から25を引いた15です。NPSはマイナス100からプラス100までの値をとり、割合の差なので単位は付けません。

NPSは5段階の満足度と目的が違います。満足度は「今回の体験がよかったか」を、NPSは「人に勧めるほど気に入っているか」を測ります。両方を聞く場合は、総合満足度の後にNPSを続けるのが一般的です。

自由記述

最後に、言葉で答えてもらう欄を設けます。ここで大事なのは、聞き方を具体的にすることです。

  • 悪い例:ご意見・ご感想をご自由にお書きください
  • よい例:今回のご利用で、改善してほしいと感じた点があれば教えてください
  • よい例:前の質問で「やや不満」「不満」を選んだ理由を教えてください

「ご自由に」と聞くと、多くの人は空欄のまま送ります。改善点を1つに絞って聞くと、書くことが思い浮かびやすくなります。自由記述は必須にしないのが原則です。必須にすると、書くことがない人が「特になし」と打ち込むか、途中でやめてしまいます。

フォームで満足度の設問を作るときの設定

満足度アンケートは、無料のフォーム作成ツールでも十分に作れます。ここでは利用者の多いGoogleフォームを例に、満足度の設問で使う質問の形式を整理します。Googleのヘルプでは、点数で答えてもらう形式を次のように説明しています。

目盛で評価してもらうよう回答者に依頼できます。 目盛は 0 または 1 から開始できます。 作成者は目盛の最大値を 2~10 の整数に設定できます。 出典: support.google.com

これは「均等目盛」という形式の説明です。設問ごとに、どの形式を使うかの目安は次のとおりです。

設問 使う形式 設定のしかた
総合満足度 ラジオボタン 「満足」から「不満」までの5つの選択肢を並べる
項目別満足度 選択式(グリッド) 行に項目、列に5段階の選択肢を並べ、各行で1つ選ぶ
NPS 均等目盛 0から始め、最大値を10にし、両端に「まったく勧めない」「強く勧める」のラベルをつける
自由記述 段落 必須はオフにする
利用期間などの属性 プルダウンまたはラジオボタン 「1か月未満」「1年以上」のように区切りをそろえる

項目別満足度をグリッドで並べると、画面はすっきりします。ただし、スマートフォンでは横に長い表が見づらくなり、すべての行に同じ列を選ぶ回答が増えやすい形でもあります。回答者の多くがスマートフォンで答えると見込まれるなら、項目ごとに1問ずつラジオボタンで並べるほうが、回答の質は保ちやすくなります。

NPSを均等目盛で作るときは、最小値を0にするのを忘れないようにします。初期設定のまま1から始めると、0から10の11段階にならず、NPSの計算方法と合わなくなります。また、星やハートで答えてもらう「評価」の形式もありますが、こちらは段階の数を3から10の範囲で設定する形式です。0から10の11段階を作るには、均等目盛を使います。

フォームを公開する前には、プレビューで自分でも一度答え、回答がスプレッドシートにどの形で並ぶかまで確かめておきます。グリッドの設問は項目ごとに別の列になり、チェックボックスの設問は選んだ選択肢がカンマで区切られて1つのセルに入ります。集計のしかたを先に確かめておくと、回答が集まってから表の形に悩まずに済みます。

偏りの出ない聞き方と、避けたい設問

満足度アンケートの設問は、少しの言い回しで答えが変わります。次のような設問は避けます。

1つの質問で2つのことを聞く

「スタッフの対応は丁寧で、速かったですか」という設問は、丁寧さと速さの2つを同時に聞いています。丁寧だったが遅かった人は、どう答えればよいか分かりません。1つの質問では1つのことだけを聞きます。

答えを誘導する

「当店の自慢の新メニューはいかがでしたか」のように、質問文に評価を含めると、回答者は高い点をつけやすくなります。「新メニューの味について、どのくらい満足されましたか」と、評価を含まない言い方にします。

選択肢の段階が偏っている

「とても満足、満足、やや満足、不満」のように、満足側の選択肢だけが多いと、結果は満足側に寄ります。満足と不満の段階を同じ数にそろえ、真ん中を「どちらともいえない」にします。

専門用語や社内の言葉を使う

社内では当たり前に使っている言葉が、顧客には通じないことがあります。たとえば「オンボーディングの満足度」は、多くの人には意味が分かりません。「ご利用開始時のご案内について」のように言い換えます。

答えたくない質問を必須にする

年収や家族構成など、答えにくい質問を必須にすると、そこで回答をやめる人が出ます。分析に本当に必要かを考え、必要でも任意にするか、「答えたくない」の選択肢を加えます。

設問を作り終えたら、社内でアンケートの作成に関わっていない人に一度答えてもらうのが確実です。迷った設問、時間がかかった設問、答えにくかった設問を聞き、そこを直します。作った本人はどの設問も分かりやすいと感じるので、自分だけで点検しても見落としが残ります。

回答率を上げるための工夫

満足度アンケートは、回答が集まらなければ始まりません。回答率を上げる工夫は、設問の数、依頼のタイミング、依頼の文面の3つに分けられます。

設問の数を絞る

最も効くのは設問を減らすことです。目安として、5分以内に答え終わる量に収めます。総合満足度1問、項目別満足度6問、NPS1問、自由記述1問、属性2問で、合計11問ほどです。これ以上増やしたいときは、本当に結果で何かを決めるための質問かを見直します。

回答画面の見せ方も影響します。1つの画面に全部の質問を並べると、長さに圧倒されて途中でやめる人が出ます。1画面に1問ずつ表示し、残りの数が分かるようにすると、最後まで答えてもらいやすくなります。

依頼のタイミングを合わせる

体験の記憶が新しいうちに依頼します。来店型のサービスなら当日か翌日、配送のある商品なら届いてから数日以内が目安です。時間がたつほど、細かい印象は思い出せなくなります。

依頼の回数は、1回目と、反応がなかった人への1回目の催促までにとどめます。何度も送ると、アンケートそのものへの印象が悪くなります。

依頼の文面で、何に使うかを伝える

依頼の文面には、所要時間の目安と、結果を何に使うかを書きます。「いただいたご意見は、来月からの予約の受付方法の見直しに使います」のように具体的に書くと、答える意味が伝わります。

謝礼を用意する場合は、全員に少額のクーポンを配る形と、抽選で賞品を出す形があります。謝礼をつけると回答率は上がりやすい一方で、謝礼目当てで中身を読まずに答える人も混ざります。自由記述の内容や、全部同じ番号を選んでいる回答がないかを、集計前に確認します。

なお、抽選の賞品を出す場合は、景品の上限額などのルールがあります。消費者庁の景品表示法のページで、自分のケースに当てはまるかを確かめてから告知します。

個人情報を集めるときに守ること

満足度アンケートで氏名やメールアドレスを聞く場合、その情報は個人情報にあたります。個人情報保護法には、個人情報を取得するときのルールが定められています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

これは個人情報保護法の第21条です。言い換えると、集めた個人情報を何に使うのかを、本人に知らせるか公表しておく必要がある、という決まりです。さらに同じ条文の第2項では、本人から書面(フォームのような電子的なものを含む)で直接個人情報を集める場合は、あらかじめ本人に利用目的をはっきり示すよう求めています。

満足度アンケートでは、フォームの冒頭か送信ボタンの近くに、次のような一文を書いておきます。

例文:ご記入いただいたお名前とメールアドレスは、ご意見への回答のご連絡と、サービス改善の検討にのみ使用します。

あわせて、次の点も守ります。

  • 返事をする予定がないなら、氏名やメールアドレスは聞かない
  • 連絡先の欄は任意にし、匿名でも答えられるようにする
  • 回答の閲覧権限は、対応する人に限る
  • 不要になった個人情報は、決めた期間で削除する

匿名で答えられるようにすると、本音が出やすくなる一方で、困っている人に連絡できなくなります。「返事を希望する方のみ、連絡先をご記入ください」と任意の欄にするのが、両方を満たす形です。個別の事情でどこまで対応が必要かは、事業の内容や扱う情報によって変わるため、迷うときは個人情報保護委員会の相談窓口で確かめます。

集計と分析の手順

回答が集まったら、次の順で集計と分析を進めます。表計算ソフトがあれば、特別な分析の道具がなくても十分に進められます。

1. 回答を点検する

集計の前に、明らかにおかしな回答を確認します。全部の設問で同じ番号を選んでいる回答、極端に短い時間で送られた回答、自由記述が意味をなさない回答などです。除外する基準は最初に決め、除外した件数も記録しておきます。

2. 単純集計をする

設問ごとに、選択肢ごとの人数と割合を出します。5段階評価では、平均点に加えて「満足」と「やや満足」を合わせた割合(上位2つの割合)も出しておくと、前回との比較がしやすくなります。平均点は、極端な回答が少し混ざるだけで動きやすいためです。

3. 分けて集計する

利用期間、利用回数、年代などで分けて集計します。全体の平均では見えなかった違いが、ここで見えることがあります。たとえば全体の満足度は高くても、利用を始めて1か月以内の人だけ満足度が低いなら、使い始めの案内に課題があると考えられます。表計算ソフトのピボットテーブル(行と列を指定して集計表を作る機能)を使うと、この集計は短時間でできます。

4. 項目と総合満足度の関係を見る

項目別満足度と総合満足度の関係を調べます。表計算ソフトの相関係数(2つの数字がどのくらい一緒に動くかを示す値)を、項目ごとに出します。そのうえで、横軸に「総合満足度との関係の強さ」、縦軸に「その項目の満足度」をとって項目を並べます。

位置 意味 優先度
関係が強く、満足度が低い 全体の満足度を下げている項目 最優先で改善する
関係が強く、満足度が高い 強みになっている項目 維持する
関係が弱く、満足度が低い 不満はあるが全体への影響は小さい 余力があれば改善する
関係が弱く、満足度が高い 満足されているが全体への影響は小さい 現状のままでよい

この並べ方は、改善の優先順位を決めるときによく使われる方法です。左上の「関係が強く、満足度が低い」項目が、最初に手をつける場所です。

5. 自由記述を分類する

自由記述は、1件ずつ読んで内容ごとに分類します。「予約がとりにくい」「連絡が遅い」「価格が分かりにくい」のように、短い見出しをつけて数えます。件数の多い分類は、点数の結果と合わせて改善の候補になります。件数は少なくても、具体的な困りごとが書かれた回答は、個別の対応が必要なものとして別に取り出します。

集めた回答を改善につなげる管理の仕方

満足度アンケートの成果は、集計表ではなく、その後に何が変わったかで決まります。回答を改善につなげるには、「全体の傾向への対応」と「1件ずつの回答への対応」を分けて管理します。

全体の傾向は、改善の課題として管理する

集計と分析で見えた課題は、担当者と期限をつけた作業として書き出します。

  • 課題:初回利用の案内が分かりにくい
  • やること:初回の案内メールの文面を見直し、手順の図を加える
  • 担当:サポート担当のAさん
  • 期限:来月末
  • 確かめ方:次回のアンケートで、利用開始1か月以内の人の満足度を比べる

最後の「確かめ方」まで書いておくと、改善の効果を次回のアンケートで確認できます。改善の作業が複数の人にまたがる場合は、表計算ソフトの一覧より、担当と期限と進み具合が一目で分かるボードで管理するほうが漏れにくくなります。たとえばPinatecaは、カードを列に並べて進み具合を動かすカンバンや、期間を横に並べるガントチャートなど8種類のボードを、公式サイトによると5人まで無料で使えるプロジェクト管理の道具です。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

1件ずつの回答は、対応の状況つきで管理する

もう1つは、個別の回答への対応です。低い点をつけた人、自由記述に具体的な困りごとを書いた人、返事を希望した人には、1件ずつ対応する必要があります。ここで多いのが、回答を表計算ソフトに書き出し、「担当」「状況」の列を手で埋め、返信はメールソフトから送る、という回し方です。

この回し方は、件数が少ないうちは問題なく回ります。ところが件数が増えると、次のようなことが起こりやすくなります。

  • 誰が返信したのか、表とメールソフトを両方見ないと分からない
  • 同じ人に2人が返信してしまう、または誰も返信しない
  • 返信した内容が表に残らず、次に同じ人から回答が来たときに経緯が分からない

こうした場面で選択肢になるのが、フォームの道具のHalictです。公式サイトによると、フォームで届いた回答1件ごとに担当者とステージ(未対応、対応中などの状況)を割り当てて管理でき、回答者への返信も同じ画面から送れます。送ったメールが開封されたかどうかも記録されます。評価やテキストなど12種類の項目でフォームを作れ、回答者には1画面に1問ずつ表示する形も選べます。料金は使う人数で決まり、1人で使うフリープランは0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限と案内されています。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

Googleフォームなど、すでに使っているフォームで十分な場面も多くあります。回答を集めて集計するだけなら、無料のフォームと表計算ソフトの組み合わせで足ります。担当決めや返信の管理が回らなくなってきたときに、別の道具を検討すれば十分です。

回答者に、結果と改善を伝える

最後に、アンケートの結果と、それを受けて何を変えたかを回答者に伝えます。全員に個別に送る必要はなく、次のような形で十分です。

  • 次回のアンケートの依頼文に「前回いただいたご意見を受けて、予約の受付時間を延ばしました」と書く
  • サイトのお知らせ欄に、改善した内容を短くまとめて掲載する

自分の答えが何かを変えたと分かると、次回も答えてくれる人が増えます。満足度アンケートは1回で終わるものではなく、聞く、直す、伝える、をくり返す仕組みです。

従業員満足度アンケートで気をつけること

ここまで顧客向けの満足度アンケートを中心に説明してきましたが、社内の従業員に向けて満足度を聞く場面もあります。基本の作り方は同じですが、顧客向けと違って気をつける点がいくつかあります。

匿名性を守る

従業員満足度アンケートでは、回答者が誰か分かると本音が出にくくなります。部署や年代で分けて集計する場合、人数の少ない部署では、回答から個人が特定できてしまうことがあります。集計の単位は、少なくとも数人以上が含まれる大きさにします。人数が少ない部署は、近い部署とまとめて集計します。

聞く項目

従業員向けの項目は、仕事の内容、人間関係、評価への納得感、働く時間と休み、給与、成長の機会などが中心になります。顧客向けのNPSにあたる設問として、「この職場を友人や知人に勧めたいと思いますか」を0から10で聞く形もあります。

結果を必ず共有する

従業員満足度アンケートは、結果を共有しないと逆効果になることがあります。答えたのに何も変わらないと、次回から答えてもらえなくなります。全体の結果と、会社として取り組むことを、回答から1か月から2か月以内に伝えるのが目安です。

在宅ワークの現場から見た、満足度アンケートの使われ方

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた編集部の立場から見ると、満足度アンケートの集計や分析は、社外の専門家に頼まれることが多い仕事の1つです。設問の設計、集計表の作成、自由記述の分類、報告書の作成といった作業は、在宅で完結できるからです。

こうした仕事に関わる人に共通しているのは、数字の扱いだけでなく、結果を「次に何をするか」まで落とし込める力が求められている点です。集計表を納めるだけでなく、改善の優先順位と、次回のアンケートで何を比べるかまで提案できると、継続して頼まれやすくなります。マーケティングの調査や分析の仕事について知りたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の内容と求められるスキルを確認できます。

調査や分析を専門にする仕事の報酬の水準は、研究者の年収・単価相場で目安をつかめます。アンケートの結果を経営の改善につなげる助言まで担いたい人には、中小企業の経営課題の診断と助言を行う国家資格の中小企業診断士も選択肢になります。

また、満足度アンケートの集計や自由記述の分類には、AIの活用が広がっています。大量の自由記述を分類の見出しごとに振り分ける作業は、AIを使うと短時間で下書きが作れます。ただし、分類の基準を決めること、AIの分類が正しいかを確かめること、結果から改善の優先順位を判断することは、人が担う部分として残ります。業務へのAIの取り入れ方を支援する仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で詳しく紹介しています。

満足度アンケートは、設問を作る前に「何を決めるか」「誰に聞くか」「誰が返事をするか」を決め、届いた後は全体の課題と1件ずつの対応を分けて管理することで、初めて改善につながります。まずは次の満足度アンケートで、聞く目的を1行で書き出すところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 満足度アンケートの設問数はどのくらいが適切ですか?

答え終わるまで5分以内に収まる量が目安で、10問前後に絞ると途中でやめる人が減ります。総合満足度、項目別満足度を6問程度、他の人に勧めたいかを聞く1問、改善点を聞く自由記述1問、利用期間などの属性を2問ほどで組むと、集計と分析に必要な情報がそろいます。これ以上増やしたい場合は、その質問の結果で何を決めるのかを見直してください。

Q. 満足度は5段階と10段階のどちらで聞くべきですか?

満足度は5段階が扱いやすく、回答者も迷いにくい形です。前回と比べるときも、満足とやや満足を合わせた割合で見やすくなります。一方、他の人に勧めたいかを聞くNPSは、考案した会社が0から10の11段階で聞く方法を示しているため、この設問だけは11段階にそろえます。同じアンケートの中で段階の数が違っても問題はありません。

Q. 匿名のアンケートにすると、困っている人に連絡できなくなりませんか?

回答そのものは匿名で受け付け、連絡先の欄を任意にする形がよく使われます。「返事を希望する方のみご記入ください」と書いておけば、本音を書きたい人は匿名のまま答えられ、相談したい人は連絡先を残せます。連絡先を集める場合は、何に使うのかをフォームの冒頭か送信ボタンの近くに明記しておきます。

Q. 満足度アンケートはどのくらいの頻度で実施すればよいですか?

定期的に同じ設問で続けることが大切で、年に1回から2回、または利用のたびに短く聞く形が一般的です。改善を行った場合は、その効果が出るまでの期間を見込んで次回の時期を決めます。頻度を上げすぎると回答者の負担が増えて回答率が下がるため、同じ人に短い間隔で何度も依頼しないように管理します。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年3月28日最終更新:2026年10月19日
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