60代で登録販売者を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方


この記事のポイント
- ✓登録販売者として60代で働くとき
- ✓実務未経験でも応募できるのか
- ✓勤務日数や社会保険をどう組み立てるかを整理しました
「60歳で、実務経験もありません。求人はあるでしょうか」
このご相談、本当によくいただきます。試験には合格した。でも、ドラッグストアで働いた経験がない。年齢のことも気になる。そうやって一人で調べているうちに、不安だけが大きくなっていく。
大丈夫です。まず結論からお伝えします。年齢不問、実務未経験でも応募できる登録販売者の求人は実際に存在します。ただし、応募すれば必ず採用されるという話ではありません。決め手になるのは年齢ではなく、勤務条件をこちらから具体的に示せるかどうかです。
この記事では、働ける場所の種類を整理したうえで、求人票のどこを見るか、勤務をどう組み立てるかを順にお話しします。
同じ不安を抱えている人が、実際に書いていること
まず、ご自身だけが悩んでいるわけではないということをお伝えしたいのです。
実際に、こういう質問が投げかけられています。
60代で登録販売者試験に合格しても、ドラッグストアや薬局での経験が全くなかったら、再就職は難しいですか?再就職はパートで日中の6時間くらいで働きたいのですが、世の中厳しいですか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
パートで日中6時間くらい働きたい、という具体的な希望が書かれています。この方は、自分が働きたい形をすでに把握しています。実はこれが一番大事な部分です。
もうひとつ、こういう質問もあります。
登録販売者の試験には合格しています。 実務未経験です。 フルタイムでしっかり働きたいと思っています。 新しいことを学んだり挑戦するのは苦手ではありません。 ただ、年齢が60歳です…。 求人の需要はあるでしょうか。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
こちらはフルタイムを希望されています。「新しいことを学んだり挑戦するのは苦手ではありません」と書かれているのが印象的です。
この2つの質問に共通しているのは、年齢を理由に「自分は選ばれないのではないか」と先回りして考えていることです。
でも、実際の求人には「年齢不問」「実務未経験OK」「30代から50代活躍中」といった記載が並んでいます。年齢を理由に門前払いされるとは限らないのです。
そのうえで、正直にお伝えしておきたいこともあります。実務経験がある人と未経験の人が同じ求人に応募したとき、経験がある人が有利になる場面はあります。これは年齢の問題ではなく、教える手間の問題です。
だからこそ、こちらから示せるものを用意しておく。次の章から、その中身をお話しします。
この資格でできることと、確認しておきたい制度の話
登録販売者は、都道府県が実施する試験に合格し、販売に従事するための登録を行うことで、その名称を用いて業務を担う資格です。医薬品の販売に関わる専門的な立場であり、資格がなければ担えない役割があります。
ここで大事なことをお伝えします。この資格で扱える医薬品の範囲、そして店舗の管理者になるための要件は、法令によって定められています。そして、これらの内容は改定されることがあります。
具体的には、一定の期間や時間の実務に従事した経験が求められる場面があり、その条件を満たすまでの間は「研修中」という位置づけで働くことになる仕組みがあります。この期間の数え方、必要な従事時間、以前の経験がどう通算されるか。こうした点は、ご自身の状況によって扱いが変わります。
ですから、ここでは具体的な年数や時間を断定しません。ご自身がどの扱いになるのかは、お住まいの都道府県の薬務担当の窓口、または厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)が示している最新の内容で必ず確認してください。ネット上の記事や、知人から聞いた話を基準にしないでください。制度は変わりますし、個別の事情によって答えが違います。
これ、知らないまま就職活動を進めてしまう方が本当に多いんです。そして、面接で「実務経験はどれくらいありますか」と聞かれて、自分の状況を説明できずに困ってしまう。
先に窓口で確認して、自分がどの扱いになるのかを把握しておく。それだけで、面接での説明がまったく変わります。「現在は研修中の扱いで、あと何時間の従事が必要です」と説明できる応募者と、曖昧に答える応募者では、採用する側の判断のしやすさが違います。
もうひとつ。医薬品の販売に関わる仕事である以上、お客様から症状の相談を受ける場面があります。この対応の範囲についても、店舗ごとにルールが定められています。判断に迷う場面では、必ず店舗の責任者や薬剤師に確認する。これは資格の有無に関わらず、現場で守るべき基本です。
この資格が、セカンドキャリアで選ばれている理由
60代でこの資格を取る方、取ってから仕事を探す方が増えています。理由を整理しておきます。
年齢による門が閉じにくい
体力を最優先に求められる仕事や、長期の育成を前提とする仕事は、年齢が上がるほど応募できる範囲が狭まります。一方、資格を持っていること自体が要件になっている仕事は、その資格の有無で判断されます。ここが大きな違いです。
勤務時間の選択肢が広い
営業時間の長い店舗が多いので、日中だけ、午前だけ、週2日だけといった形が選びやすい。フルタイムで働く必要がある職種より、生活に合わせた調整がしやすくなります。
全国に働く場所がある
医薬品を扱う店舗は、都市部にも地方にもあります。転居しても、資格そのものは使えます。ご家族の事情で住む場所が変わる可能性がある方にとって、これは大きな利点です。
学んだ内容が生活にも役立つ
試験のために学ぶ内容は、市販薬の成分や作用に関する基礎知識です。この知識は、ご自身やご家族が薬を選ぶ場面でも役に立ちます。仕事のためだけの勉強にならないのは、続けるうえで大きいと思います。
一方で、期待しすぎないほうがいい点もお伝えしておきます。
資格を持っていることは応募の条件を満たすという意味であって、採用を保証するものではありません。実務経験のある応募者と競合すれば、経験のある方が有利になる場面はあります。また、店舗によっては医薬品の販売より、レジや品出しの比重が高くなることもあります。
期待と実態のずれは、入職後の不満につながります。だからこそ、応募の前に業務の分担を確認しておいてください。
働ける場所を、種類ごとに整理する
登録販売者が働ける場所は、ドラッグストアだけではありません。並べてみます。
ドラッグストア
求人数が最も多い領域です。医薬品の販売に加えて、レジ、品出し、売場の整理、発注といった業務が入ります。店舗によって、医薬品以外の商品の比重が変わります。営業時間が長い店舗が多いので、シフトの選択肢は広くなります。
調剤併設のドラッグストア
調剤薬局が併設されている店舗です。薬剤師が常駐しているので、判断に迷ったときに相談できる相手がいます。未経験から始める場合、この環境は心強いと思います。
スーパーマーケット、ホームセンター
医薬品の売場を持っている店舗があります。ドラッグストア専業に比べると、医薬品の取扱量は少なくなります。そのぶん、他の売場の業務も担当することが多い。地域に密着した店舗が多く、通勤しやすい場所で見つかることがあります。
家電量販店、ディスカウントストア
医薬品コーナーを設けている店舗があります。こちらも、医薬品以外の業務が入ることを前提に考えてください。
コンビニエンスストア
一部の店舗で医薬品を取り扱っています。求人の数は多くありませんが、勤務時間の選択肢が広い場合があります。
通信販売、コールセンター
医薬品の通信販売に関わる業務や、お客様からの問い合わせに対応する業務です。座って行える仕事なので、立ち仕事が負担になる方には選択肢になります。求人の数は限られるので、見つけたら早めに動く必要があります。
こうして並べると分かるのですが、同じ資格でも働く場所によって業務の中身がまったく違います。医薬品の販売に集中したいのか、店舗運営全体に関わりたいのか、身体的な負担を抑えたいのか。ご自身が何を優先するかで、見るべき求人が変わります。
まず領域を決めてください。全部を見ようとすると、判断がつかなくなります。
求人票のタグを、条件として読み替える
登録販売者の求人には、条件を示すタグが並んでいます。「年齢不問」「実務未経験OK」「30代から50代活躍」「主婦・主夫歓迎」「土日は時給アップ」といった記載です。
タグは入口として使えますが、実態とは別に確認が必要です。タグごとに、聞くべきことを整理します。
「年齢不問」
法令上、募集で年齢を制限することには制約があります。ですから、この記載があること自体は、その職場が高年齢の応募者を積極的に採用しているという意味とは限りません。確認すべきは、現在働いている方の年代構成です。「現在勤務されているスタッフの方の年代を教えてください」と聞いてください。
「実務未経験OK」
未経験者を受け入れる体制があるかどうかを確認します。入職後の教育期間はどれくらいか、誰が指導に付くのか、独り立ちまでの目安はどれくらいか。この3点です。歓迎と書いてあっても、教育の仕組みがなければ現場で困るのはご自身です。
「土日は時給アップ」
土日に勤務できるかどうかが、採用の判断に影響することがあります。逆に言えば、土日に入れることは強みになります。ご自身の希望と照らし合わせてください。
「シフト制」
シフトの希望をどこまで出せるか、提出の期限はいつか、早番と遅番の割り当てはどう決まるか。この3点を聞いてください。営業時間の長い店舗ほど、シフトの幅が広くなります。
「主婦・主夫歓迎」
家庭の事情に配慮する運用があるという意味で使われることが多い記載です。急な休みが必要になったときにどう対応しているかを聞くと、実態が見えます。
タグを見るときのコツをひとつお伝えします。タグの数が多い求人ほど、条件の幅が広いということです。逆に、タグがほとんど付いていない求人は、条件が固定されていることが多い。この見分け方は覚えておくと便利です。
実務経験がないことを、どう伝えるか
実務未経験であることは、隠す必要も、卑下する必要もありません。伝え方の問題です。
面接で聞かれたときに、次の3つを説明できるようにしておいてください。
1. 自分が現在どの扱いになるのか
先ほどお伝えした制度の確認です。窓口で確認した内容をそのまま説明してください。「都道府県の窓口で確認したところ、現在は研修中の扱いになります」と言えるだけで、印象が変わります。自分で調べて確認した人だ、と伝わるからです。
2. これまでの経験のうち、何が活きるか
医薬品の販売経験がなくても、活かせる経験は必ずあります。
接客業の経験があるなら、お客様への対応がそのまま活きます。事務職の経験があるなら、在庫管理や発注の正確さに繋がります。家族の看病や介護の経験があるなら、体調に不安のあるお客様の気持ちが分かります。
大事なのは、経験を並べることではなく、それが応募先の業務のどこに対応するかを説明することです。「接客業を15年経験し、お客様の様子を見て声のかけ方を変えることをしてきました」というように、具体的に伝えてください。
3. どういう形で、どれくらい働きたいか
これが最も効きます。「週4日、1日6時間、日中の勤務を希望しています。長く続けたいと考えています」と具体的に示す。採用する側が一番知りたいのは、この人がどれくらい続けてくれるかです。
年齢を気にされる方が多いのですが、採用する側が気にしているのは年齢そのものではなく、その先にある「どれくらい働いてもらえるか」という点です。だとすれば、そこを先に示してしまえばいい。
不安を残さないこと。これが、面接で最も効く準備です。
勤務を組み立てる、4つの変数
働き方を設計するとき、動かせる変数は4つです。求人を見る前に、この4つを決めてください。
1. 週の勤務日数
週2日から可能な募集もあれば、週5日のフルタイム募集もあります。週3日から4日は、無理なく続けやすい形として選ばれることが多い日数です。
2. 1日の勤務時間
1日4時間と8時間では、翌日への疲労の残り方が違います。立ち仕事が中心になるので、ここは慎重に決めてください。最初から長時間で始めて、続かなくなるより、短めに始めて慣れてから増やすほうが確実です。
3. 勤務する時間帯
日中のみ、早番、遅番、夜間。ドラッグストアは営業時間が長いので、時間帯の選択肢が広い。ただし、遅番や夜間の勤務は時給が上がる代わりに、生活リズムへの影響があります。
4. 通勤時間
60代で最も軽視されがちで、最も効く変数です。片道1時間の通勤は、往復で2時間の拘束になります。立ち仕事の後にこれが加わると、回復にあてる時間が削られます。時給より先に、地図で通える範囲を決めてしまってください。
この4つを紙に書き出して、それを満たさない求人は最初から見ないと決める。条件を決めずに求人を眺め続けると、判断が鈍って動けなくなります。
そして、勤務日数と時間を決めるときには、社会保険の加入条件を確認してください。勤務時間や日数が一定の基準を超えると、健康保険と厚生年金の加入対象になります。この基準は制度として定められており、見直されることもあります。
扶養の範囲内で働きたい方は、税と社会保険で基準が別々にあることも押さえておいてください。片方だけを見て働く時間を決めると、想定と違う結果になります。ご自身のケースがどうなるかは、日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/)や、応募先の担当部署で必ず確認してください。
体力のことを、正直に考える
登録販売者の仕事は、立ち仕事が中心です。レジ、品出し、売場の整理。商品の補充では、重い箱を運ぶ場面もあります。
膝や腰に不安がある方は、ここを避けて考えないでください。無理をして体を痛めてから条件を変えるのは、大変です。
負担を減らす方法は、いくつかあります。
店舗の規模を見る
売場が広い店舗ほど、移動距離が長くなります。小規模な店舗のほうが、身体的な負担は軽くなる傾向があります。
取扱商品の構成を見る
食品や日用品の比重が高い店舗は、品出しの物量が多くなります。医薬品と化粧品が中心の店舗は、扱う商品が軽い。応募前に、実際に店舗を見に行ってみてください。お客様として入るだけで、かなりのことが分かります。
業務の分担を確認する
登録販売者としての業務に専念できるのか、レジや品出しも同等に担当するのか。これは店舗によって違います。面接で必ず聞いてください。
勤務時間を短くする
1日4時間から5時間で始める方法です。収入は下がりますが、続けられる期間を考えると、結果として年間の収入が上回ることもあります。
座って行える業務を選ぶ
通信販売やコールセンターの業務です。求人の数は限られますが、選択肢としては存在します。
体のことは、我慢して解決する問題ではありません。条件を設計して解決する問題です。そして、その設計は入職前のほうが、はるかにやりやすいのです。
収入は、自分で相場表を作って把握する
「この時給は高いのでしょうか、低いのでしょうか」というご相談も、よくいただきます。
登録販売者の給与水準は、地域、業態、雇用形態、資格手当の有無、実務経験の扱いによって大きく振れます。全国平均のような数字を見ても、ご自身の判断材料にはほとんどなりません。
現実的な方法は、自分で相場表を作ることです。
手順はこうです。まず通勤できる範囲を地図で決めます。次に、その範囲の登録販売者の求人を15件ほど集めます。そして、時給または月給の下限と上限、資格手当の有無と額、賞与の記載、交通費の支給条件、勤務時間帯による加算を表に書き写します。
2時間ほどの作業です。でも、この表があるかないかで、求人の見え方がまったく変わります。数字が横に並ぶと、どれが自分の条件に近いのかが一目で分かるからです。
そのうえで、確認していただきたいことが3つあります。
資格手当が別枠か、時給に含まれているか
「登録販売者の資格をお持ちの方は時給アップ」と書かれている場合、その差額がいくらなのかを確認してください。手当として別に支給される形と、時給に上乗せされる形があります。
研修中の期間の扱い
実務経験の要件を満たすまでの間、時給が異なる設定になっている求人があります。要件を満たした後にどう変わるのかを、応募の段階で確認してください。ここを聞いておかないと、入職後に「いつまでこの時給なのか」が分からないまま働くことになります。
交通費の上限
全額支給なのか、上限があるのか。通勤距離が長い場合、この差が実質的な収入に効いてきます。
そして、時給制の場合は月の勤務時間を掛けて月収を出し、そこから社会保険料と税金が引かれることを見込んで手取りを計算してください。額面と手取りの差は、生活の設計に直接効きます。
もうひとつ、時間あたりで考える視点をお伝えします。時給が高くても、通勤に往復2時間かかる職場と、徒歩圏の職場では、拘束される総時間が違います。時給を「勤務時間と通勤時間の合計」で割ってみると、求人の見え方が変わることがあります。
人見知りでも、務まるのでしょうか
接客の仕事に対して、「自分は人見知りだから向いていないのでは」と感じる方がいます。このご相談も、とても多いです。
結論からお伝えすると、務まります。理由をお話しします。
店舗での接客は、雑談ではありません。お客様が探しているものを見つけるお手伝いをする、症状に応じた売場をご案内する、必要な確認事項をお伝えする。これらは、内容が決まっているやり取りです。
自由な会話が苦手なことと、決まった手順の対応ができないことは、まったく別です。むしろ、話しすぎない人のほうが、お客様に安心感を与えることがあります。
もうひとつお伝えしたいことがあります。人見知りだと感じている方の多くは、相手の様子をよく観察しています。これは、接客において大きな強みです。お客様が迷っているのか、急いでいるのか、声をかけてほしくないのか。それを察知できる人は、適切な距離を取れます。
ただし、最初の数週間は疲れます。慣れない環境で、覚えることも多い。ここで「自分には向いていない」と結論を出さないでください。
慣れるまでの負荷は、内容ではなく量から来ています。商品の場所、レジの操作、店舗のルール、お客様の応対。これらが同時に押し寄せるから疲れるのであって、ひとつずつは難しくありません。
3か月を目安にしてください。多くの方が、この期間を越えると「これなら続けられる」という感覚をつかみます。
そして、もし本当に合わないと感じたら、そのときに考え直せばいいのです。合わない場所で我慢し続けることが、いちばん心を消耗させます。
応募から入職までの段取り
順を追ってお話しします。
制度の確認を先に済ませる
先ほどお伝えした、ご自身がどの扱いになるかの確認です。都道府県の窓口で確認してから応募を始めてください。この順番が逆になると、面接で説明できずに困ります。
求人を探す経路を3つ使う
求人検索サイト、ハローワーク、そして店舗への直接の問い合わせです。検索サイトは件数が多く、条件のタグで絞り込めます。ハローワークは地域の求人が集まっており、相談員に質問できます。直接の問い合わせは、求人サイトに出していない募集を拾えることがあります。通勤圏の店舗を地図で洗い出して、採用ページを順に見ていく方法は地味ですが効きます。
書類を用意する
履歴書と職務経歴書です。資格の取得時期と、登録の状況を明記してください。職歴は、応募先の業務のどこに対応するかを一言添えて書きます。
ブランクがある方は、隠さないでください。その期間に何をしていたか、家族の介護や育児であればそう書けばいい。曖昧に書くほうが、かえって印象を悪くします。
面接で確認する
聞くべき項目を挙げます。現在勤務しているスタッフの年代構成、登録販売者の配置人数、入職後の教育期間と指導者、シフトの希望がどこまで通るか、登録販売者としての業務とレジや品出しの分担、そして募集の背景。
質問の順番は、業務と体制の話を先に、条件の話を後にしてください。そのほうが、条件面の質問も自然に受け取られます。
条件は書面で受け取る
内定が出たら、労働条件通知書または雇用契約書を必ず受け取ってから返事をしてください。契約期間と更新の有無、業務の内容、勤務地と勤務時間、賃金の内訳と支払日、休日と有給休暇の条件。この5点を確認します。
口頭で聞いた内容と書面が食い違っていたら、その場で質問してください。書面に書かれていない条件は、後から主張するのが難しくなります。急かされても、書面を見るまで返事を保留にして構いません。
勤務先の外にも、経路を持っておく
ここからは、少し先を見た話です。
店舗の仕事は身体を使います。今は問題なくても、10年後に同じ働き方ができるとは限りません。そのときに選択肢がないと、条件の悪化を受け入れるしかなくなります。
だから、身体を使わない収入の経路をひとつ持っておくことをおすすめします。
在宅で完結する業務委託の仕事の中に、医薬品や健康に関する知識を持つ人への依頼があります。健康関連の記事の執筆補助、商品説明の文章の確認、資料の整理、お客様対応のマニュアル作成。どれも、売場や商品を知らない人には書けない仕事です。
在宅ワーク求人の分野を長く運営してきた立場から見ていると、こうした依頼には共通した特徴があります。一件あたりの報酬が突出して高いわけではないのに、依頼が途切れにくい。理由ははっきりしていて、内容の正確さを担保できる人が限られているからです。一度「この人に任せると確認まで含めて楽だ」と思われると、同じ依頼者から継続的に相談が来るようになります。長く続けている方ほど、単発の作業をこなすことではなく、この関係づくりに時間を使っています。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、中間マージンが乗らない直接取引の構造は、依頼する側と受ける側の両方に効きます。仲介が入らなければ、依頼者は同じ予算でより多く頼めますし、受け手の手元に残る額は厚くなる。手数料0%がもたらすのは、金額が増えるという話だけではなく、同じ仕事量に対する手取りの質が変わるということです。
始める前に、勤務先の副業規定を必ず確認してください。就業規則を読み、必要なら店長や人事の担当部署に相談してから動いてください。
医薬品や医療の分野で、資格を持つ人がどう在宅の仕事につながっているかは、在宅で働く薬剤師の実態をまとめた在宅薬剤師への転職ガイド|仕事内容・年収・求められるスキルの実態【2026年版】が参考になります。職種は違いますが、医薬品の知識が現場の外でどう評価されるかという点は共通しています。
医薬品業界の転職市場で何が起きているかを冷静に扱った薬剤師転職の厳しい現状と格差|選ばれる人と淘汰される人の違い【2026年版】は、選ばれる人とそうでない人の差がどこにあるのかを整理していて、資格職全般に当てはまる部分があります。相談先の選び方については、支援サービスの特徴をまとめた薬剤師転職エージェントおすすめ比較|現役薬剤師が本音で選ぶ5選【2026年版】が、登録する前に経路を絞り込む材料になります。
求人データから見える、これからの選択肢
在宅ワーク求人の側から見ていると、医薬品や健康の分野を知っている人が担える業務の幅は、この数年で確実に広がりました。商品説明の作成、健康関連コンテンツの制作補助、通信販売の運用サポート、お客様対応のマニュアル整備。共通しているのは、売場やお客様を知らないと成立しない仕事だという点です。
60代で新しい分野に入るのは遅い、と考える方がいます。でも、依頼する側から見ると、年齢よりも「現場を知っているか」「約束を守るか」のほうがはるかに重要です。連絡が速く、期日を守り、分からないことを分からないと言える。この3つができる方は、年齢に関係なく仕事が続きます。
報酬の水準を客観的に知りたい方は、職種別の単価データを見てみてください。文章を書く仕事の相場をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、執筆や編集に関わる職種の年収レンジが確認できます。健康や商品に関する文章の仕事は、この領域に近い水準で動きます。技術寄りの分野に関心があるならソフトウェア作成者の年収・単価相場も併せて見ておくと、業界による水準差が分かります。
文章の仕事に興味があるなら、書面の基本的な作法を体系立てて確認できるビジネス文書検定の学習内容が役に立ちます。資格が必須というわけではありませんが、依頼者とやり取りするときに求められる基準を知っておくと、最初のつまずきが減ります。IT寄りの分野に進みたいなら、ネットワークの基礎を扱うCCNA(シスコ技術者認定)のように体系が整った資格から入る方法もあります。
AIの業務活用を支援する仕事も増えています。その内容をまとめたAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、専門領域を知っている人がAIの導入をどう手伝うのかが説明されています。売場や商品の実際を知っている方が、その業務にAIをどう当てるかを助言する立場は、実際に需要が生まれている領域です。周辺分野の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に、開発系の仕事の実際はアプリケーション開発のお仕事にまとめてあります。
店舗で働くことと、勤務先の外に経路を持つこと。この2つは対立しません。むしろ、外に経路がある方ほど、勤務先での条件の相談を落ち着いて進められます。「ここを辞めたら次がない」という状態が、最も条件を悪くします。
焦らなくて大丈夫です。まずは都道府県の窓口でご自身の扱いを確認して、週の勤務日数と1日の勤務時間を決める。そのうえで通える範囲の求人を並べる。ここまでやれば、次に何をすべきかが見えてきます。
あなたは一人ではありません。同じ道を歩いている方を、私はたくさん見てきました。
よくある質問
Q. 60代・実務未経験でも登録販売者の求人はありますか?
「年齢不問」「実務未経験OK」と明記された求人は実際に存在します。ただし応募すれば必ず採用されるわけではありません。決め手になるのは年齢ではなく、週の勤務日数、1日の勤務時間、勤務時間帯を具体的に示せるかどうかです。採用する側が知りたいのは「どれくらい続けてもらえるか」なので、そこを先に伝えると不安が減ります。
Q. 実務経験がないと、どんな扱いになりますか?
一定の実務に従事した経験が求められる場面があり、その条件を満たすまでは「研修中」という位置づけで働く仕組みがあります。必要な期間や時間、過去の経験の通算方法はご自身の状況で変わり、制度も改定されます。応募を始める前に、お住まいの都道府県の薬務担当窓口で自分がどの扱いになるかを確認してください。
Q. ドラッグストア以外に働ける場所はありますか?
調剤併設のドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンター、家電量販店、医薬品を扱うコンビニエンスストア、そして通信販売やコールセンターの業務があります。座って行える業務は立ち仕事が負担な方の選択肢になりますが、求人数は限られます。まず領域を決めてから探すと、比較すべき求人が一気に減ります。
Q. 立ち仕事の体力が心配です。どう選べばいいですか?
店舗の規模、取扱商品の構成、業務の分担、勤務時間の4点で調整できます。売場が広い店舗ほど移動距離が長く、食品や日用品の比重が高い店舗ほど品出しの物量が増えます。応募前にお客様として実際に店舗を見に行くと、かなりのことが分かります。1日4時間から5時間で始めて、慣れてから増やす方法も有効です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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