OKRとは何か|目標と成果指標の立て方と、チームで回すときの進め方


この記事のポイント
- ✓目標(Objectives)と成果指標(Key Results)の意味
- ✓KPIやMBOとの違いから整理しました
- ✓良い目標と成果指標の書き方
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略で、チームや個人が目指す目標(Objectives)と、その目標にどこまで近づいたかを測る成果指標(Key Results)を組にして立てる、目標の立て方と運用の方法です。日本語では「目標と成果指標」と訳されることが多く、大きな会社だけでなく、数人のチームや個人の目標づくりにも使われています。
ただ、実際に始めてみると、「普通の目標管理と何が違うのか分からない」「数字を並べただけで、毎日の仕事とつながらない」「評価に使ったら、誰も高い目標を立てなくなった」といった壁に当たりがちです。この記事では、OKRの意味と生まれた経緯、KPIや目標管理制度(MBO)との違い、目標と成果指標の書き方、四半期ごとの立て方と毎週の確かめ方、採点の方法までを、例を使って順に説明します。目標から日々の作業までをチームで見える形にする道具の選択肢の1つとして、ボードで仕事を管理できるPinatecaも紹介します。
OKRとは何か
OKRは、2つの要素の組み合わせでできています。
- Objectives(目標):何を成し遂げたいのか。言葉で書く、方向を示すもの
- Key Results(成果指標):目標にどこまで近づいたかを測るもの。数字で確かめられる形で書く
OKRの解説と研修を行っているWhat Mattersでは、目標は「達成したいことそのもの」であり、意味があり、具体的で、行動につながり、できれば人をやる気にさせるものだと説明しています。一方の成果指標は、目標に向かう道のりを測り、見張るためのもので、具体的で、期限があり、高めでありながら現実的で、何より測ることができ、確かめられるものだとしています。
OKRは、上に目標を1つ書き、その下に成果指標を3つから5つ並べる形で書くのが一般的です。What Mattersでは、次のような1文の形で書くこともできると紹介しています。
- 「(目標)を成し遂げる。その達成を(成果指標)で測る」
たとえば、問い合わせ対応のチームなら、次のようになります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 目標 | お客様が問い合わせで待たされない窓口にする |
| 成果指標1 | 受け付けてから最初の返信までの時間を、平均24時間から8時間に縮める |
| 成果指標2 | 同じ内容の問い合わせの件数を、月120件から60件に減らす |
| 成果指標3 | 対応後のアンケートで「満足」と答えた人の割合を、70%から85%にする |
目標は数字を含まない言葉で、チームが目指す姿を表しています。成果指標は、その姿にどこまで近づいたかを、期間の終わりに誰が見ても同じ答えになる数字で表しています。この組み合わせが、OKRのいちばん基本の形です。
OKRが生まれた経緯
OKRの考え方の起こりについて、What Mattersは次のように説明しています。OKRの方法は、半導体メーカーのインテルでアンディ・グローブ氏が作り、同氏から投資家のジョン・ドーア氏に伝えられました。ドーア氏は1999年に、創業まもないGoogleの経営陣にこの考え方を紹介し、Googleはその後、この方法で会社の戦略を立てるようになったとされています。ドーア氏の著書『Measure What Matters』でも、こうした経緯が詳しく紹介されています。
同じ解説によると、OKRのもとになったのは、経営学者のピーター・ドラッカー氏が唱えた目標による管理(MBO)です。グローブ氏は当初、この方法を「インテルの目標による管理」という意味の名前で呼んでいましたが、MBOとはいくつかの点で大きく違う形に作り変えました。目標に必ず成果指標を組み合わせること、1年ごとではなく四半期ごとに回すこと、そして報酬と切り離すこと、の3点です。
この3つの違いは、いまOKRを始めるときにもそのまま大事な点になります。特に「報酬と切り離す」という点は、日本の職場で導入するときに最もつまずきやすいところなので、後の節で詳しく説明します。
Googleやインテルのような大企業の事例で知られるようになったOKRですが、What Mattersでは、事務の仕事、ソフトウェア開発、非営利の団体など、どんな分野でも同じように使えると説明しています。会社の上層部が使っていなくても、チームや個人が自分たちで始められる点も特徴です。
KPIやMBOとの違い
OKRと比べられることが多いのが、KPI(重要業績評価指標)とMBO(目標管理制度)です。Salesforceのブログでは、3つの違いを次のように説明しています。
MBOでは、定量的な指標だけでなく、組織への帰属意識といった定性的な要素も扱います。また、MBOは人事評価制度として使われることが多く、人材管理という性質が強い手法です。 KPIは、目標達成のための数値指標という点では、OKRと変わりません。しかし、達成率100%が前提であるKPIとは異なり、OKRでは通常、より高いレベルに目標値を設定します。 出典: salesforce.com
3つの違いを表に整理すると、次のとおりです。
| 比べる点 | OKR | KPI | MBO(目標管理制度) |
|---|---|---|---|
| 何のためのものか | 大きな変化を起こすための目標づくり | 仕事が順調かを見張るための数字 | 個人の目標を立てて評価につなげる仕組み |
| 目標の高さ | 届くかどうか分からない高めの水準 | 100%の達成が前提 | 達成できる水準で立てることが多い |
| 期間 | 四半期ごとが基本 | 継続して見る | 半年から1年ごとが多い |
| 報酬との関係 | 切り離すのが基本 | 評価に使うこともある | 評価や報酬に直結することが多い |
| 公開の範囲 | チームや会社全体に公開する | 部門の中で使うことが多い | 本人と上司の間で決めることが多い |
What Mattersは、KPIを「健康の状態を測るもの」、OKRを「変化を測るもの」と表現しています。分かりやすく言えば、KPIは体温や血圧のように、毎日の仕事が正常に回っているかを確かめる数字です。OKRは、ダイエットの目標のように、いまの状態を変えるために立てるものです。
この2つは、どちらかを選ぶものではありません。問い合わせ対応のチームなら、「1日の対応件数」「未対応の件数」はKPIとして毎日見張り、「待たされない窓口にする」という変化はOKRとして四半期ごとに追う、という使い分けができます。KPIの数字が急に悪くなったら、その立て直しがOKRの目標になることもあります。
OKRの目標と成果指標の書き方
OKRがうまく回るかどうかは、最初の書き方でほとんど決まります。ここでは、目標と成果指標それぞれの書き方のこつを説明します。
目標(Objectives)の書き方
良い目標には、次の4つの条件があります。
- 数字ではなく、言葉で書く(数字は成果指標の役割)
- チームの誰が読んでも、目指す姿が同じように思い浮かぶ
- 達成したら、チームや相手にとって意味のある変化が起きる
- 1つの期間で、多くても3つまでに絞る
悪い例と良い例を並べると、違いが分かりやすくなります。
| 悪い例 | なぜ悪いか | 良い例 |
|---|---|---|
| 売上を伸ばす | どんな姿を目指すのか分からない | 既存のお客様から「次も頼みたい」と言われる会社になる |
| 業務効率化 | 名詞だけで、何が変わるのかが見えない | 月末の請求の作業を、締め日の翌日に終わらせられるようにする |
| Webサイトのリニューアルを完了する | 作業の完了で、変化を表していない | Webサイトから問い合わせが届く流れを作る |
3つ目の例のように、「〇〇を完了する」という作業そのものを目標にしてしまうのは、よくある失敗です。Webサイトを作り直すのは手段であって、その結果として何を変えたいのかを目標にします。
成果指標(Key Results)の書き方
成果指標には、次の条件があります。
- 期間の終わりに、達成したかどうかを誰が見ても同じように判断できる
- 「いまの数字」と「目指す数字」が両方書いてある
- 作業の量ではなく、作業の結果を測っている
- 1つの目標に3つから5つまで
特に3つ目が大事です。「ブログ記事を20本書く」は作業の量で、成果指標ではなく、成果指標を達成するための施策にあたります。成果指標にするなら、「ブログ経由の問い合わせを月5件から15件にする」のように、作業の結果として起きてほしい変化を数字にします。
Salesforceのブログでは、成果指標の数と高さについて次のように説明しています。
次に、目標を達成するためのガイドとなる成果指標(Key Results)を設定します。当初の目標が高い分、ここでの成果数値も高めの設定となります。KPIなどとは異なり、達成率が60~70%前後になるレベルに設定します。 出典: salesforce.com
目標、成果指標、施策の3段で考える
OKRを日々の仕事につなげるには、成果指標の下に「施策」を置いて、3段で考えると分かりやすくなります。
| 段 | 例 |
|---|---|
| 目標 | お客様が問い合わせで待たされない窓口にする |
| 成果指標 | 最初の返信までの時間を、平均24時間から8時間に縮める |
| 施策 | 問い合わせの受け口を1つにまとめる/担当の割り振りの決まりを作る/よく来る質問の返信のひな形を10本作る |
施策は、毎週のチームの作業として管理します。施策をやりきっても成果指標が動かなければ、施策が間違っていたということなので、別の施策に切り替えます。OKRの目標と成果指標は期間中あまり変えず、施策は結果を見ながら入れ替える、という分け方が基本です。
OKRの種類と、目標の高さの決め方
What Mattersでは、OKRを3つの種類に分けて説明しています。
- 必ず達成するOKR:期間の終わりに達成していることが前提のもの。期限のある約束ごとなど
- 挑戦のOKR:届くかどうか分からない高い目標。誰もやったことのない道を切り開くもの
- 学びのOKR:何かを学ぶことが最も大きな成果になる期間に立てるもの。どう進めればよいか分からないときに、「次の90日間で学ぶべき最も大事なことは何か」に答える形で立てる
「OKRは高い目標を立てるもの」と言われることが多いですが、すべてのOKRを挑戦のOKRにする必要はありません。必ず達成しなければならないことは、必ず達成するOKRとして立てます。どちらの種類なのかをチームで最初にはっきりさせておくと、期間の終わりに「達成できなかったのは良いのか悪いのか」でもめることがなくなります。
挑戦のOKRの高さについては、Salesforceのブログが、Googleでは目標の70%を達成できたら成功とみなす水準に設定していると紹介しています。言い換えると、すべての成果指標を100%達成できたなら、その目標は低すぎたということになります。
ただし、初めてOKRを立てるチームが、いきなり70%の達成で成功という高さに慣れるのは簡単ではありません。最初の期間は、「頑張れば届くかもしれない」くらいの高さで立て、期間の終わりに実際の達成度を見て、次の期間の高さを調整するのが現実的です。
また、What Mattersでは、会社の上の層から下へ目標を割り振っていくやり方と、現場のメンバーから目標を出していくやり方の両方が必要だと説明しています。上からの割り振りだけでは、現場の人が自分の目標だと思えず、やる気につながりにくいからです。小さなチームなら、チームの目標をリーダーが案として出し、成果指標はメンバーと一緒に決める、という形が始めやすくなります。
OKRを導入するメリット
OKRを取り入れると、チームにどんな変化が起きるのでしょうか。What Mattersでは、ジョン・ドーア氏がOKRの利点を5つの英語の頭文字で説明していることを紹介しています。それぞれを日本語に置き換えると、次のとおりです。
メリット1:大事なことに集中できる
OKRでは、1つの期間に追う目標を少数に絞ります。やりたいことが10個あっても、この期間はこの3つ、と決めることで、チームの力が分散しなくなります。新しい依頼やアイデアが出てきたときも、「いまのOKRにつながるか」で、やるかやらないかを判断できます。
メリット2:チームや会社の向きがそろう
会社のOKR、部署のOKR、個人のOKRが公開され、つながっていることで、自分の仕事が全体のどこに役立っているかが分かります。部署どうしで同じ目標を追っていることに気づけば、協力もしやすくなります。
メリット3:決めたことをやり抜く約束になる
チームで話し合って決めた少数の優先事項を、期間中は守り続けるという約束になります。途中で別の仕事に振り回されにくくなります。
メリット4:進み具合が分かり、早めに手を打てる
成果指標を毎週確かめることで、目標に近づいているかどうかが期間の途中で分かります。うまくいっていない施策に早く気づき、やり方を変えられます。
メリット5:いつもの延長を超えた目標に挑める
普段どおりに仕事をしていては届かない高さの目標を立てることで、やり方そのものを見直すきっかけになります。
この5つのうち、小さなチームで特に効果を感じやすいのは、1つ目の「集中」と4つ目の「進み具合が分かる」です。人数が少ないチームほど、やりたいことに対して手が足りないので、やらないことを決める仕組みとして役立ちます。
OKRのデメリットと、つまずきやすい点
OKRにも、うまくいかない場面があります。始める前に知っておきたい点を整理します。
つまずき1:評価や報酬に直結させてしまう
OKRの達成度をそのまま人事評価や賞与に使うと、誰も高い目標を立てなくなります。達成できそうな低い目標を立てるほうが得になるからです。What Mattersでも、よくある失敗として、わざと低い目標を立てること(サンドバッギング)を挙げています。グローブ氏がOKRを作ったときに報酬と切り離した理由も、ここにあります。評価の仕組みとOKRを分けて運用し、評価では「どんな挑戦をし、何を学んだか」を話し合う材料として使う程度にとどめるのが安全です。
つまずき2:いつもの仕事をそのまま目標にする
「毎月の請求書を期日までに出す」のような、いつもの仕事をOKRにしてしまうと、変化が起きません。What Mattersも、OKRは現状を保つことより変化を目指すべきだとしています。いつもの仕事はKPIで見張り、OKRには変えたいことだけを書きます。
つまずき3:立てたまま見なくなる
期間の初めにOKRを立てて、期間の終わりまで誰も見ない、というのが最も多い失敗です。毎週、短い時間でよいので、成果指標の数字を確かめる場を決めておきます。
つまずき4:数が多すぎる
目標を5つも6つも立て、それぞれに成果指標を5つずつ付けると、追うべき数字が30個近くになり、集中という最大の利点が失われます。目標は多くても3つ、成果指標は1つの目標に3つから5つまで、が目安です。
つまずき5:数字の集め方を決めていない
成果指標の数字を、誰が、どこから、いつ集めるのかを決めていないと、期間の終わりに「数字が分からない」ということが起きます。成果指標を決めるときに、数字の出どころも一緒に決めておきます。
仕事の種類ごとのOKRの例
OKRは、どんな仕事にも当てはめられます。ここでは、小さな会社やチームでよくある仕事を例に、目標と成果指標の組み合わせを紹介します。数字はあくまで書き方の例なので、自分たちの開始時の数字に置き換えて考えてください。
営業のチーム
営業のチームでは、売上の金額そのものを目標にしがちですが、売上は多くの要因で動くので、チームの行動とのつながりが見えにくくなります。たとえば、目標を「一度取引したお客様から、次の依頼を自然にもらえる関係を作る」とし、成果指標を「取引後3か月以内の再依頼の割合を20%から35%にする」「取引後のアンケートで『また頼みたい』と答えた割合を60%から80%にする」とします。施策は、納品後のお礼の連絡の決まりを作る、取引から1か月後に近況を聞く、といったものになります。
経理や総務などの事務のチーム
事務のチームでは、ミスを減らす、作業の時間を縮める、といった変化を目標にしやすくなります。目標を「月末の締めの作業で、誰も残業しなくて済むようにする」とし、成果指標を「締めの作業にかかる日数を5営業日から3営業日にする」「差し戻しになった申請の件数を月40件から10件にする」とします。施策は、申請の書き方の見本を作る、提出の締め切りを前倒しする、確認の手順を一覧にする、などです。
Webサイトやブログを運営するチーム
Webサイトの運営では、閲覧数だけを追うと、読まれても問い合わせにつながらないページが増えることがあります。目標を「サイトを見た人が、迷わず相談の連絡をくれる状態にする」とし、成果指標を「サイトからの問い合わせを月8件から20件にする」「問い合わせの入力画面まで来た人のうち、送信まで進む人の割合を40%から60%にする」とします。
人を採用するチーム
採用の担当なら、目標を「応募してくれた人が、この会社で働く姿を思い描ける採用にする」とし、成果指標を「面接の辞退の割合を30%から15%にする」「内定を出した人の承諾の割合を50%から70%にする」とします。施策は、求人票に仕事の1日の流れを書く、面接の前に職場の写真を送る、などです。
個人のOKR
What Mattersでは、個人の目標にもOKRを使えると紹介しています。たとえば、資格の勉強なら、目標を「来年の春の試験に、自信を持って臨める状態になる」とし、成果指標を「過去問題の正答率を40%から75%にする」「週に5日、1日30分以上の勉強を続ける」とします。個人のOKRでは、達成できなかった自分を責めないことが大切です。届かなかった理由を振り返り、次の期間の立て方に生かせば、それで十分な成果です。
どの例でも共通しているのは、目標が「どんな状態になりたいか」を言葉で表し、成果指標が「その状態に近づいたか」を数字で表していることです。そして、毎日の作業は施策として、成果指標の下に置かれています。自分たちのOKRを書くときも、この3段の形になっているかを確かめてください。
OKRを立てて回す手順
ここからは、5人から10人ほどのチームが、1つの四半期(3か月)でOKRを回す手順を説明します。
ステップ1:OKRを使う目的と範囲を決める
まず、なぜOKRを使うのかを1文で書きます。「チームのやることが多すぎるので、この四半期に集中することを決めたい」のような、具体的な理由で構いません。最初から会社全体で始めるより、1つのチームで1回試してから広げるほうが、失敗しても影響が小さく済みます。
ステップ2:目標の案を出し、1つから3つに絞る
チームで30分から1時間ほど集まり、「この3か月で変えたいこと」を出し合います。出た案を、効果の大きさと、チームの力で動かせるかどうかで比べ、1つから3つに絞ります。初めてなら1つで十分です。
ステップ3:成果指標を決める
それぞれの目標について、「これが達成できたら、目標に近づいたと言える数字」を3つから5つ決めます。いまの数字が分からない成果指標は、最初の1週間で数字を集めることから始めます。
ステップ4:施策と担当を決める
成果指標を動かすための施策を出し、担当と期限を決めます。施策は1つが1週間から2週間で終わる大きさにすると、毎週の確認で進み具合が分かりやすくなります。
ステップ5:OKRをチーム全員に見えるようにする
決めたOKRは、チーム全員がいつでも見られる場所に書き出します。ほかのチームと協力が必要なら、そのチームにも見せておきます。
ステップ6:毎週15分で確かめる
週に1回、決まった時間に、成果指標の数字と施策の進み具合を確かめます。確かめることは3つだけです。「成果指標の数字はどう動いたか」「施策は予定どおり進んだか」「来週、何を変えるか」です。
ステップ7:期間の終わりに採点し、振り返る
四半期の終わりに、成果指標ごとに達成度を採点し、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを話し合います。その学びをもとに、次の四半期のOKRを立てます。
OKRの採点の方法
期間の終わりの採点にも、いくつかの方法があります。What Mattersでは、次の3つを紹介しています。
| 方法 | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 達成したか、しなかったか | 成果指標ごとに「はい」か「いいえ」で判定する(アンディ・グローブ氏の方法として紹介されている) | 初めてOKRを使うチーム、成果指標が少ないとき |
| 3色で判定する | 赤は届かなかった、黄は前進した、緑は達成した、の3段階で判定する | 多くの組織で使われる、ほどほどに細かい方法 |
| 0.0から1.0の数字で採点する | 成果指標ごとに0.0から1.0の点を付け、その平均を目標の点にする(Googleの方法として紹介されている) | 細かく比べたいとき、くり返し回して慣れたチーム |
たとえば、「最初の返信までの時間を平均24時間から8時間に縮める」という成果指標で、期間の終わりに平均12時間になっていたとします。縮めたい幅は16時間で、実際に縮んだのは12時間なので、0.0から1.0の方法なら0.75点です。3色の方法なら黄、達成したかどうかの方法なら「いいえ」になります。
どの方法を使うにしても、採点の目的は、人を評価することではなく、次の期間に何を変えるかを決めることです。点数が低かった成果指標については、「目標の高さが合っていなかったのか」「施策が間違っていたのか」「途中で状況が変わったのか」を話し合います。
紙や表計算で足りる場面と、道具を使う場面
OKRを始めるのに、専用の道具は必要ありません。数人のチームで目標が1つなら、共有のスプレッドシートに次のような列を作るだけで、十分に回せます。
| 列 | 書く内容 |
|---|---|
| 目標 | 言葉で書いた目標 |
| 成果指標 | 測る数字の内容 |
| 開始時の数字 | 期間の初めの数字 |
| 目指す数字 | 期間の終わりに目指す数字 |
| 今週の数字 | 毎週の確認で書き込む |
| 施策 | 成果指標を動かすための作業 |
| 担当・期限 | 施策ごとの担当と期限 |
一方で、次のような状態になると、表だけで回すのが苦しくなります。
- 施策の数が増え、表の1行に書いた施策の進み具合が、実際の作業と合わなくなる
- 施策ごとのやり取りがチャットやメールに散らばり、決まったことが表に反映されない
- 複数のチームのOKRがつながっていて、ほかのチームの施策の状況も見たい
OKRの施策を日々の作業として回す場所の選択肢の1つが、Pinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaにはカンバン、ガント、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあります。カンバンのボードで施策をカードにして「未着手」「進行中」「完了」の列に並べれば、毎週の確認で施策の進み具合をそのまま見られます。カードには担当と締切を付けられ、カスタムフィールドで「どの成果指標につながる施策か」のような項目を自分たちで追加できます。施策の期間の重なりを見たいときはガントのボード、メンバーごとの負荷の偏りを見たいときはリソースのボードが使えます。5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
ただし、OKRの目標と成果指標そのものは、ボードの中に埋もれさせず、チームの誰もがすぐに開ける1枚の表や文書にしておくことをおすすめします。日々の作業はボードで、目指すことは1枚の表で、と分けておくと、作業に追われて目標を見失うことが減ります。
仕事の種類ごとに見る、OKRの使われ方と求められる力
最後に、OKRの考え方がどんな仕事で役立つかを、仕事を探す側と頼む側の両方の視点から見ておきます。
OKRは、成果を数字で確かめながら施策を入れ替えていく考え方なので、Webのマーケティングの仕事と特に相性が良い方法です。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、広告の運用やWebサイトの改善など、数字を見ながら手を打つ仕事を紹介しています。業務委託でこうした仕事を受けるときも、依頼する側のOKRを聞いておくと、自分の作業がどの成果指標につながるのかを確かめながら提案できます。
AIを業務に取り入れる支援の仕事でも、OKRの考え方が役立ちます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しているように、AIの導入は試してみないと効果が分からないことが多いので、最初の期間は学びのOKRとして「どの業務で効果が出るかを確かめる」ことを目標にし、次の期間で成果を数字で追う、という進め方ができます。
ソフトウェアを作る仕事では、OKRの成果指標と、開発の作業を結び付けることが求められます。アプリケーション開発のお仕事では、アプリやWebサービスを作る仕事の内容を紹介しています。「機能を作る」こと自体を目標にせず、その機能で利用者の行動がどう変わるかを成果指標にする考え方は、開発を頼む側にも受ける側にも役立ちます。
組織全体の目標の立て方を支援する立場では、経営の知識が欠かせません。中小企業診断士は、中小企業の経営を診断し、助言する国家資格です。目標の立て方や業務の改善を支援する仕事につながります。
2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、外部の人にうまく仕事を頼めている会社ほど、依頼のときに「この作業で何を変えたいのか」をはっきり伝えています。作業の量だけを伝えた依頼より、目指す変化と測り方を共有した依頼のほうが、受ける側から良い提案が出やすく、やり直しも少なく済んでいます。これはまさに、OKRの目標と成果指標を相手と共有することと同じです。また、仲介の手数料がかからない直接のやり取りでは、同じ予算で頼める施策の数が増え、受ける側の手取りも厚くなります。施策を何度も試して入れ替えるOKRの進め方にとって、1回ごとの依頼の負担が軽いことは大きな意味を持ちます。
OKRは、目指すことを言葉で書き、近づいたかを数字で確かめ、うまくいかない施策を入れ替える、という当たり前のことを、決まったリズムで続けるための方法です。まずはチームで目標を1つだけ決め、成果指標を3つ書き出して、1つの四半期を回してみてください。
よくある質問
Q. OKRとは、簡単に言うと何ですか?
目指す目標と、その目標にどこまで近づいたかを測る成果指標を組にして立てる、目標の立て方と運用の方法です。目標は言葉で方向を示し、成果指標は期間の終わりに誰が見ても同じ答えになる数字で書きます。四半期ごとに立てて毎週確かめ、うまくいかない施策は入れ替えながら進めるのが基本の形です。
Q. OKRとKPIの違いは何ですか?
KPIは仕事が順調に回っているかを見張るための数字で、100%の達成が前提です。OKRはいまの状態を変えるために立てる目標で、届くかどうか分からない高さに設定することが多くあります。どちらかを選ぶものではなく、いつもの仕事はKPIで見張り、変えたいことをOKRで追う、という使い分けができます。
Q. OKRの成果指標はいくつ立てればよいですか?
1つの目標に3つから5つが目安です。多すぎると追う数字が増えて、集中するという利点が失われます。目標の数も、1つの期間で多くても3つまでに絞ります。初めてOKRを使うチームなら、目標1つに成果指標3つから始め、期間の終わりの振り返りを見て次の期間の数を調整すると無理がありません。
Q. OKRの達成度を人事評価に使ってもよいですか?
達成度をそのまま評価や賞与に結び付けると、達成しやすい低い目標を立てるほうが得になり、高い目標に挑むというOKRの利点が失われやすくなります。OKRの考え方を作ったとされるアンディ・グローブ氏も、報酬と切り離す形にしたと紹介されています。評価とは分けて運用し、挑戦や学びを話し合う材料にとどめるのが一般的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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