マルチタスクが苦手な人が仕事を抱えても混乱しない、タスクの並べ方と進め方

@SOHO編集部
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マルチタスクが苦手な人が仕事を抱えても混乱しない、タスクの並べ方と進め方

この記事のポイント

  • ✓マルチタスクが苦手な人が
  • ✓複数の仕事を抱えても混乱しないためのタスクの並べ方と進め方を解説します
  • ✓全部を書き出して1列に並べる手順

電話をとっている間に別の依頼が入り、メールを返しているうちに最初の作業が何だったか分からなくなる。複数の仕事を同時に頼まれると頭が真っ白になり、どれも中途半端なまま1日が終わってしまう。マルチタスクが苦手だと感じている人は、こうした場面を何度も経験しているはずです。

先にお伝えしたいのは、マルチタスクが苦手なことは、能力が低いことを意味しないということです。人の頭は、もともと複数の作業を本当に同時に進めるようにはできていません。得意に見える人も、実は作業を素早く切り替えているだけです。大切なのは、苦手を前提にした仕事の並べ方と進め方を身につけることです。

この記事では、マルチタスクが苦手に感じる理由を整理したうえで、仕事を抱えても混乱しないためのタスクの並べ方と進め方を、手順で説明します。割り込みへの対応、同時に進める数の決め方、似た作業をまとめるコツ、職場での伝え方まで扱います。複数の人と仕事を分担する場面では、カンバンやガントなど8種類のボードで進み具合を共有できるPinatecaにも触れます。

マルチタスクが苦手に感じるのはなぜか

マルチタスクとは、複数の作業を並行して進める働き方のことです。Asanaの解説では、人の頭の働きについて次のように説明されています。

人間の脳は本質的に同時並行の処理に向いていません。実際には、複数のタスクをこなしているように見えても、脳が一瞬でタスクを切り替えている (タスクスイッチング) だけなのです。この切り替えのたびに集中力が奪われ、他のタスクにも影響が出る悪循環に陥る可能性があります。 出典: asana.com

つまり、マルチタスクが得意に見える人も、実際には作業を1つずつ素早く切り替えています。苦手だと感じる人は、この切り替えのたびに、前の作業がどこまで進んでいたか、次に何をすればよいかを思い出すのに時間がかかっているのです。

苦手に感じやすい人の特徴

マルチタスクを苦手に感じやすいのは、次のような傾向を持つ人です。

  • 1つの作業に深く集中するタイプで、途中で中断されると元に戻るのに時間がかかる
  • 作業を丁寧に仕上げたい気持ちが強く、中途半端な状態で手を離すことに抵抗がある
  • 頼まれたことをすべて覚えておこうとして、頭の中がいっぱいになる
  • 断るのが苦手で、頼まれた仕事をその場で全部引き受けてしまう

これらは見方を変えれば、集中力が高い、仕事が丁寧、責任感が強い、という長所でもあります。苦手を直そうとするより、長所を生かせる仕事の進め方に変えるほうが、ずっと楽になります。

得意に見える人がやっていること

マルチタスクが得意に見える人をよく観察すると、実は頭の中だけで管理しているわけではないことが分かります。多くの場合、次のような工夫を、意識しているかどうかにかかわらず行っています。

  • 依頼を受けたら、その場でメモをとっている
  • 作業を手放すときに、どこまで進んだかを短く書き残している
  • 急ぎかどうかを、手をつける前に相手に確かめている
  • 自分の手に負えない量になる前に、周りに相談している

つまり、得意に見える人は、覚えておく作業を紙や画面に任せ、切り替えのたびに迷わない仕組みを持っているのです。この仕組みは、生まれつきの才能ではなく、誰でも身につけられるものです。この記事で紹介する並べ方と進め方は、こうした工夫を手順にしたものです。

苦手の正体は「頭の中で管理していること」

マルチタスクが苦手な人が混乱する場面をよく見ると、作業そのものより、作業の管理を頭の中だけで行っていることが原因になっている場合が多くあります。「Aの資料を作りながら、Bの返信を忘れないようにして、Cの締め切りも覚えておく」という状態では、作業に使う力の一部が、覚えておくことに取られてしまいます。

ここ、意外と見落としがちなんです。混乱の原因が「同時にやること」ではなく「同時に覚えておくこと」にあるなら、覚えておくことを紙や画面に任せるだけで、混乱はかなり減らせます。

まず全部を書き出し、1列に並べる

マルチタスクが苦手な人が最初にやるべきことは、抱えている仕事を全部書き出し、1列に並べることです。頭の中から外に出して、順番を決めてしまえば、あとは上から1つずつ進めるだけになります。

手順1:抱えている仕事を全部書き出す

紙でもアプリでもかまいません。いま抱えている仕事を、大小を問わず全部書き出します。頼まれている作業、返していない連絡、自分で決めた作業、締め切りが近い手続きまで、1つ残らず書きます。

書き出すと、思っていたより少ないと感じることもあれば、思っていたより多いと驚くこともあります。どちらの場合も、全体が見えたことで、頭の中だけで抱えていたときの漠然とした不安は小さくなります。

手順2:1つの仕事を小さな作業に分ける

書き出した仕事のうち、大きなものは小さな作業に分けます。目安は、1つの作業が15分から1時間で終わる大きさです。

たとえば「月次の帳簿をまとめる」という仕事なら、「領収書を日付順に並べる」「会計ソフトに1日から15日までを入力する」「16日から月末までを入力する」「入力の合計を通帳と照らし合わせる」のように分けます。小さく分けると、途中で中断されても「どこまで終わったか」がはっきりするため、戻ってきたときにすぐ再開できます。

手順3:期限と、かかる時間の見込みを書く

各作業に、期限とかかる時間の見込みを書き添えます。期限は「相手と約束した日」と「自分で決めた日」を分けておくと、順番を決めるときに役立ちます。かかる時間は、15分、30分、1時間くらいの粗さで十分です。

手順4:1列に並べる

最後に、作業を1列に並べます。並べる順番は、次の基準で決めます。

  1. 期限が今日か明日のもの
  2. ほかの人の作業を止めているもの(相手が返事や資料を待っているもの)
  3. 期限は先だが、時間がかかるもの
  4. それ以外

1列に並べることが、マルチタスクが苦手な人にとっていちばん大切なポイントです。並列に見える仕事も、実際には1つずつしか進められません。それなら最初から1列に並べてしまえば、「次に何をするか」で迷う時間がなくなります。

抱えている仕事の量を時間で見積もる

1列に並べたら、次に、その仕事が使える時間に収まるかを確かめます。マルチタスクが苦手な人が混乱する場面の多くは、そもそも1日や1週間に収まらない量を抱えているときに起こります。

1日に使える作業時間を出す

まず、今日1日のうち、実際に作業に使える時間を出します。勤務時間が8時間でも、会議や打ち合わせ、連絡の対応、休憩を除くと、まとまって作業できる時間はもっと短くなります。

たとえば、勤務時間が8時間で、会議が1時間30分、メールやチャットの対応が合わせて1時間、休憩が1時間とすると、作業に使える時間は4時間30分です。

見込みの時間を合計する

次に、今日やると決めた作業の見込みの時間を合計します。合計が作業に使える時間を超えていたら、その時点で、今日の計画は収まらないことが分かります。

先ほどの例で、今日の作業の見込みを合計すると6時間になったとします。使える時間は4時間30分なので、1時間30分は今日中には終わりません。この場合は、期限に余裕のある作業を明日に回すか、相手に期限の相談をするかを、朝のうちに決めておきます。

見込みは実際より短くなりやすい

見込みの時間は、実際にかかる時間より短くなりやすいものです。割り込みや確認の時間が入るためです。慣れないうちは、見込みの時間に1.5倍を掛けて考えると、計画が崩れにくくなります。1時間と見込んだ作業なら、1時間30分を確保しておく、という具合です。

実際にかかった時間を、見込みの横に書いておく習慣をつけると、自分の見積もりの癖が分かります。癖が分かれば、次からはより正確に見込みを立てられるようになります。

マルチタスクが苦手な人がやりがちな失敗と直し方

ここでは、マルチタスクが苦手な人がやりがちな失敗を5つ挙げ、それぞれの直し方を説明します。

失敗1:頼まれたことを全部覚えておこうとする

頼まれたことを覚えておこうとすると、その分だけ作業に使う集中力が減ります。依頼はその場でリストに書き、覚えておくことはリストに任せます。メモ帳を1冊、いつも手元に用意しておくと、すぐに書き込めます。

失敗2:頼まれたらすぐに手をつける

頼まれた瞬間に手をつけると、いま進めている作業が中断されます。手をつける前に期限を確かめ、リストのどこに入れるかを判断してから取りかかります。

失敗3:1つを完璧に仕上げてから次に進もうとする

丁寧に仕上げたい気持ちは大切ですが、期限の近い仕事が控えているときに、目の前の作業を完璧にしようとすると、ほかの仕事が遅れます。期限の近い仕事は7割ほどの出来で一度相手に見せ、意見をもらってから仕上げる、という進め方も選択肢に入れておきます。

失敗4:通知を全部受け取っている

メール、チャット、カレンダー、アプリの通知を全部受け取っていると、そのたびに作業が中断されます。集中の時間には通知を切り、連絡の時間にまとめて確かめるようにします。急ぎの連絡だけは電話で受ける、と決めておくと、通知を切っても大切な連絡を逃しません。

失敗5:休憩をとらずに続ける

混乱しているときほど、休憩をとらずに作業を続けてしまいがちです。しかし、頭が疲れていると、切り替えにかかる時間がさらに長くなります。1時間に1回は席を立ち、数分でも頭を休めると、次の作業に戻りやすくなります。

1つずつ進めるための進め方のコツ

1列に並べたら、上から1つずつ進めます。ここでは、1つずつ進めるための具体的なコツを紹介します。

同時に進める作業は2つまでにする

どれだけ仕事を抱えていても、手をつけている状態の作業は2つまでにします。1つは今まさに進めている作業、もう1つは相手の返事待ちなどで一時的に止まっている作業です。3つ目に手をつけるのは、どちらかが終わってからにします。

手をつけた作業が増えるほど、それぞれの進み具合を覚えておく負担が大きくなります。同時に進める数に上限を設けると、覚えておくことが減り、1つひとつに集中できるようになります。

中断するときは「次にやること」をメモする

どうしても作業を中断しなければならないときは、手を離す前に「次にやること」を1行だけメモします。「会計ソフトに10日分まで入力済み。次は11日の交通費から」のように書いておけば、戻ってきたときにすぐ再開できます。

メモは、付箋に書いて画面の端に貼っても、作業中のファイルの先頭に書いてもかまいません。このメモにかかる時間は30秒ほどです。メモなしで中断すると、再開するときに「どこまでやったか」を確かめるのに数分かかることがあります。中断が1日に10回あれば、その差は大きくなります。

似た作業をまとめて片づける

メールの返信、電話のかけ直し、書類の印刷といった細かな作業は、1つずつ間に挟むのではなく、まとめて片づけます。たとえば「メールの返信は10時と15時の2回にまとめる」と決めておくと、作業の切り替えの回数が減ります。

同じ種類の作業を続けると、頭の切り替えが少なくて済みます。まとめる作業の種類は、最初は「連絡」「入力」「確認」の3つくらいに分けると始めやすくなります。慣れてきたら、自分の仕事に合わせて「電話」「書類の発送」「資料の検索」のように細かく分けていきます。経理の仕事なら、入力の作業は入力の作業、確認の作業は確認の作業でまとめると、ミスも減ります。

集中する時間と、受け付ける時間を分ける

1日の中に、割り込みを受け付けない集中の時間と、連絡や依頼を受け付ける時間を分けて設けます。たとえば午前の9時から11時を集中の時間にして、その間はメールやチャットの通知を切っておきます。11時から11時30分を連絡の時間にして、たまったメールやチャットに返信します。

在宅で働いている人なら、自分の判断でこの区切りを作りやすいはずです。家族がいる場合は、集中の時間を家族にも伝えておくと、声をかけられて手が止まる回数を減らせます。会社で働いている人は、次に説明する職場での伝え方とあわせて取り入れると無理がありません。

割り込みの仕事が入ったときの対応

マルチタスクが苦手な人がいちばん困るのは、作業の途中で別の仕事が割り込んでくる場面です。割り込みが入ったときは、次の手順で対応します。

手順1:その場で引き受けず、期限を確かめる

割り込みの依頼が来たら、すぐに手をつける前に「いつまでに必要ですか」と確かめます。急ぎに見える依頼でも、実は明日でよい、ということは少なくありません。期限が分かれば、1列に並べたリストのどこに入れるかを判断できます。

手順2:リストに書いてから判断する

依頼の内容と期限を、いったんリストに書きます。書いたうえで、いま進めている作業より先にやるべきかを判断します。今日中の依頼なら、いまの作業に区切りをつけてから取りかかります。そうでなければ、リストの適切な位置に入れて、いまの作業に戻ります。

手順3:今の作業を中断するなら、メモを残す

割り込みの依頼を先にやると決めたら、いまの作業の「次にやること」をメモしてから手を離します。メモを残しておけば、割り込みの仕事が終わったあと、迷わず元の作業に戻れます。

2分で終わるものは、その場で片づける

割り込みの依頼のうち、2分ほどで終わるもの(簡単な確認の返事、資料の場所を伝える、など)は、リストに書くより、その場で片づけたほうが早く済みます。ただし、2分で終わらないものまでその場で手をつけると、いまの作業が何度も中断されます。2分を超えるものは、必ずリストに書いてから判断します。

紙・付箋・アプリで並べる方法

仕事を1列に並べる方法は、使う道具によって少しずつ違います。ここでは、身近な3つの道具での並べ方を紹介します。

紙のリストで並べる

もっとも手軽なのは、紙に縦に1列で書く方法です。上から順に番号を振り、終わったものに線を引いて消していきます。割り込みの仕事が入ったら、リストの適切な位置に矢印で差し込みます。1日の終わりに、残った作業を翌日のページに書き写すと、そのときに順番を見直せます。

付箋で並べる

付箋を使う場合は、1枚に1つの作業を書き、机やノートに縦1列に貼ります。順番を入れ替えるときは、貼り替えるだけで済むので、割り込みの多い仕事に向いています。「作業中」の付箋を2枚までしか貼らない場所を作っておくと、同時に進める数の上限も守りやすくなります。

アプリで並べる

スマートフォンとパソコンの両方で見たい人は、Googleの ToDo リストやMacのリマインダーのような身近なアプリが使えます。Googleの ToDo リストでは、並べ替えの設定を自分で決めた順序にすると、タスクを長押しして好きな位置に移動できると、公式ヘルプのタスクを整理するのページで案内されています。期限を設定しておけば、カレンダーにも表示されるため、予定と作業を同じ画面で確かめられます。

どの道具を選ぶ場合でも、大切なのは「全部が1か所にあること」と「1列に並んでいること」の2つです。道具を複数使い分けると、どこに何を書いたかで迷うことになり、かえって混乱の原因になります。

マルチタスクのメリットとデメリットを知っておく

マルチタスクを完全に避けるのではなく、上手に使い分けるために、メリットとデメリットを整理しておきます。

メリット

マルチタスクのメリットは、待ち時間を有効に使えることです。たとえば、取引先に確認の連絡を入れて返事を待っている間に、別の作業を進められます。ファイルの書き出しや印刷のように、機械が動いている間に手が空く作業でも、その時間を別の作業に回せます。

また、急な依頼にすぐ対応できることも、職場によっては求められる力です。電話の受付や窓口の仕事のように、複数の依頼に同時に対応することが前提になっている仕事もあります。

デメリット

一方で、作業の切り替えが多くなると、1つひとつの作業にかかる時間が長くなり、ミスも増えやすくなります。頭が疲れやすく、1日の終わりに何も終わっていないと感じることもあります。

デメリットが大きく出るのは、集中が必要な作業を細切れに進めるときです。帳簿の入力や文章の作成のように、流れをつかんで進める作業は、まとまった時間で一気に進めるほうが、結果的に早く正確に終わります。

使い分けの目安

目安として、頭を使わない作業(待ち時間、単純な作業)はマルチタスクで並行して進め、集中が必要な作業は1つずつ進める、と使い分けると無理がありません。マルチタスクが苦手な人は、集中が必要な作業の比率が高い仕事ほど、1つずつ進める方法が向いています。

苦手を前提にした1週間の組み立て方

1日の並べ方に慣れてきたら、1週間の単位でも作業を組み立てると、さらに混乱が減ります。

週の初めに全体を並べる

月曜日の朝に30分ほどとって、その週に抱えている仕事を全部書き出し、期限の順に並べます。そのうえで、時間がかかる作業を、どの曜日の午前に進めるかを決めます。集中が必要な作業は、割り込みの少ない時間帯にまとめて入れるのがコツです。

曜日ごとに作業の種類を分ける

可能であれば、曜日ごとに作業の種類を分けます。たとえば、月曜日と水曜日の午前は入力の作業、火曜日と木曜日の午前は資料の作成、金曜日は確認と見直し、という具合です。同じ種類の作業を同じ時間帯にまとめると、作業の切り替えが減り、1つひとつの作業に深く集中できます。

余白の時間を必ず残す

1週間の予定を作業で埋め尽くすと、割り込みが1つ入っただけで全体が崩れます。1日のうち1時間ほどは、予定を入れない余白の時間として残しておきます。割り込みが入らなかった日は、その時間で翌日の作業を前倒しで進めればよいだけです。

金曜日に振り返る

金曜日の夕方に15分ほどとって、1週間を振り返ります。予定どおりに進まなかった作業があれば、その理由を書いておきます。「割り込みが多かった」「見込みが短すぎた」「同時に3つ以上手をつけてしまった」など、理由が分かれば、翌週の組み立てで直せます。

職場で苦手を伝え、仕事の受け方を整える

会社で働いている人の場合、自分だけで仕事の進め方を変えるのには限りがあります。上司や同僚に、仕事の受け方を相談することも大切です。

伝え方の例

苦手であることをそのまま伝えるより、「こうすると仕事の質が上がる」という形で伝えると、相手も受け入れやすくなります。たとえば次のように伝えます。

「依頼をいただくときに、期限も一緒に教えていただけると助かります。期限の順に並べて進めることで、抜け漏れなく対応できます」

「午前中の2時間は集中して入力の作業を進めたいので、急ぎでないご依頼は、11時以降にまとめていただけると助かります」

依頼は1つの場所に集めてもらう

依頼が口頭、メール、チャット、付箋とさまざまな経路から届くと、管理するだけで混乱します。口頭で頼まれたことは特に抜けやすく、あとから「言った」「聞いていない」の行き違いにもなりがちです。口頭で頼まれたときは、その場でメモをとり、あとでチャットやメールで「先ほどの件、〇日までに対応します」と一言返しておくと、依頼の記録が残り、相手との認識もそろいます。可能であれば、「依頼はチャットの決まったチャンネルに書いてください」のように、1つの場所に集めてもらうよう相談します。

一人で抱え込まない

仕事の量が明らかに多すぎるときは、一人で抱え込まず、早めに上司に相談します。1列に並べたリストを見せながら、「今週はこの5件で手一杯で、この件は来週の着手になります」と伝えれば、相手も状況を判断しやすくなります。

なお、仕事の抱え方に関係なく、気持ちの落ち込みや眠れない状態が続くなど、日常生活に支障が出ている場合は、一人で解決しようとせず、勤め先の相談窓口や医療機関に相談してください。厚生労働省のこころの耳では、働く人が匿名で無料で相談できる窓口が案内されています。

経理の仕事を例にした、1日の並べ方

ここで、在宅で複数の取引先から経理の仕事を受けている人を例に、1日の作業の並べ方を具体的に示します。

朝の書き出しと並べ替え

朝、抱えている作業を書き出すと、次のようになっていました。

  • A社:請求書を3通発行する(期限:今日、見込み45分)
  • B社:9月分の領収書を入力する(期限:3日後、見込み3時間)
  • C社:経費の科目について、担当者からの質問に答える(相手が回答を待っている、見込み15分)
  • D社:入金の一覧を更新する(期限:明日、見込み30分)
  • 自分:10月分の自分の経費の領収書を整理する(期限:月末、見込み30分)

これを、期限と、相手が待っているかどうかで1列に並べると、次の順番になります。

  1. C社の質問に答える(15分、相手が待っている)
  2. A社の請求書を発行する(45分、期限が今日)
  3. D社の入金の一覧を更新する(30分、期限が明日)
  4. B社の領収書を入力する(今日は1時間30分だけ進める)
  5. 自分の経費の領収書を整理する(時間が余れば)

1日の流れ

午前は、まず15分でC社の質問に答え、相手の作業を止めないようにします。続けてA社の請求書を発行し、D社の入金の一覧を更新します。ここまでで1時間30分ほどです。

午後は、B社の領収書の入力に1時間30分を使います。入力の途中で電話が入ったときは、「次は15日のタクシー代から」とメモしてから電話に出ます。メールの返信は、11時と16時の2回にまとめます。

このように並べておくと、割り込みが入っても、終わったあとに何をすればよいかで迷いません。経理の仕事では、繁忙期に複数の取引先の書類を同時に開くと、どれも中途半端なまま夕方を迎えてしまうという失敗が起こりやすくなります。書類を1社ずつ開いて、1社が終わるまで次の書類を開かない、と決めておけば、作業の切り替えが減り、入力の誤りや作業時間の延びも抑えやすくなります。

複数の人と仕事を分担するときの道具

一人で仕事を進めるなら、紙のリストやスマートフォンのメモで十分に回ります。複数の人と仕事を分担するようになると、誰が何を進めていて、どこで止まっているのかを共有する必要が出てきます。

進み具合を段階で見えるようにする

複数の人と仕事を進めるときは、作業を「未着手」「作業中」「確認待ち」「完了」のように段階で分けて共有すると、混乱が減ります。マルチタスクが苦手な人にとっては、「作業中」の列に自分の作業が2つまでしか入っていない状態を保つことが、同時に進める数の上限を守る助けになります。

共有できる選択肢の1つ

こうした場面で使える選択肢の1つが、プロジェクト管理の道具のPinatecaです。公式サイトによると、カンバン・ガント・カレンダー・リスト・ディスカッション・グリッド・時間割・リソースの8種類のボードがあり、チャットも内蔵されています。カンバンボードで作業を段階ごとに動かし、ガントチャートで締め切りの重なりを確かめ、リソースボードで人ごとの作業の偏りを見る、といった使い分けができます。カードごとにコメントを付けられるため、作業の途中で中断したときの「次にやること」をカードに書き残しておくこともできます。

料金ページによると、無料のフリープランは5人まで、ボードは10個まで使え、全8種類のボードとチャットが含まれます。6人目や11個目のボードからは、スタンダードプランが1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

一人で抱えている仕事を整理するだけなら、紙のリストで十分です。複数の人と作業を分担し、進み具合を共有する必要が出てきたときが、共有の道具を検討する目安です。

マルチタスクが苦手な人に合う働き方

最後に、マルチタスクが苦手な人が、自分に合った働き方を選ぶという視点も持っておきます。

集中力を生かせる仕事を選ぶ

マルチタスクが苦手な人の多くは、1つの作業に深く集中する力を持っています。データの入力や確認、文章の作成、設計、分析のように、まとまった時間で集中して進める仕事は、この力を生かしやすい仕事です。

在宅で仕事を受ける形なら、集中する時間と連絡の時間を自分で区切りやすく、割り込みの少ない環境を作りやすくなります。たとえば、アプリケーション開発のお仕事では、開発の仕事の内容と求められる力が紹介されています。設計や実装のように、まとまった時間で集中して進める作業が中心になる仕事です。また、研究者の年収・単価相場では、1つのテーマに深く取り組む研究の仕事の相場がまとめられています。

運営者として見てきたこと

フリーランスや在宅ワークの仲介に長く携わってきた立場から見ると、長く仕事を続けている人の中には、自分はマルチタスクが苦手だと自覚したうえで、受ける仕事の数と種類を意識的に絞っている人が少なくありません。同時に抱える取引先を決まった数にとどめ、1社ずつ丁寧に仕上げることで、継続して依頼される関係を築いています。

仲介手数料のかからない直接取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなります。抱える仕事の数を絞っても収入を保ちやすいことは、マルチタスクが苦手な人にとって大きな意味があります。

マルチタスクが苦手なことは、直すべき欠点ではありません。全部を書き出し、1列に並べ、1つずつ進める。この進め方を身につければ、仕事を抱えても混乱せずに進められるようになります。まずは今日、抱えている仕事を全部書き出すところから始めてみてください。

よくある質問

Q. マルチタスクが苦手なのは能力が低いからですか?

そうではありません。人の頭はもともと複数の作業を同時に進めるのに向いておらず、得意に見える人も作業を素早く切り替えているだけです。苦手に感じる人は、1つの作業に深く集中する傾向や、丁寧に仕上げたい気持ちが強いことが多く、それは長所でもあります。苦手を前提に、仕事を1列に並べて1つずつ進める方法に変えると楽になります。

Q. 作業中に別の仕事を頼まれたときはどうすればよいですか?

すぐに手をつけず、まず「いつまでに必要か」を確かめてリストに書きます。そのうえで、いまの作業より先にやるべきかを判断します。先にやる場合は、いまの作業の「次にやること」を1行メモしてから手を離すと、戻ったときにすぐ再開できます。2分ほどで終わる簡単な依頼は、その場で片づけたほうが早く済みます。

Q. 同時に進める仕事はいくつまでにすればよいですか?

手をつけている状態の作業は2つまでを目安にすると、混乱しにくくなります。1つは今進めている作業、もう1つは相手の返事待ちなどで一時的に止まっている作業です。3つ目には、どちらかが終わってから手をつけます。同時に進める数に上限を設けると、それぞれの進み具合を覚えておく負担が減ります。

Q. 職場でマルチタスクが苦手なことを伝えるにはどうすればよいですか?

苦手であることをそのまま伝えるより、「依頼のときに期限も教えていただけると、期限の順に並べて抜け漏れなく対応できます」のように、仕事の質が上がる形で相談すると受け入れられやすくなります。依頼を1つの場所に集めてもらう、集中する時間帯を決めておく、といった工夫もあわせて相談してみてください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年6月14日最終更新:2026年10月15日
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