都道府県と市町村に出す法人設立届出書|期限が別に決まっている

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
都道府県と市町村に出す法人設立届出書|期限が別に決まっている

この記事のポイント

  • ✓法人設立届出書は税務署に出すだけでは終わりません
  • ✓都道府県と市町村にも別に出す必要があり
  • ✓期限は国税とまったく違います

設立の登記が終わって、税務署に出す書類を調べ始めた人がつまずくのが、この地方税の設立届です。税務署の分は「2か月以内」と書いてあるのに、都道府県のページを見ると「15日以内」と書いてある。どちらが正しいのか、と手が止まります。

結論を書きます。どちらも正しいです。提出先ごとに期限が別に決まっているだけです。しかも、都道府県と市町村は別々に数えるので、出す先は最大で3か所になります。この記事では、国税庁と東京都主税局の案内を確認しながら、どこに何をいつまでに出すのか、何を添えるのか、どこでつまずくのかを順に整理します。

地方税の設立届は、税務署に出すものとは別

法人を作ると、税金の届出は3方向に出すことになります。国に対しては税務署、都道府県に対しては都道府県税事務所、市町村に対しては市役所や町村役場です。名前が似ていて混同しやすいのですが、書類も期限も別です。

税務署に出すほうの期限は、国税庁が次のように案内しています。

[提出時期] 法人設立の日(設立登記の日)以後2月以内 出典: nta.go.jp

設立登記の日から2か月。この日付は登記所が申請を受け付けた日です。自分が書類を出した日が設立日になります。手続きの根拠は法人税法第148条と、その施行規則です。

一方、地方税のほうは自治体が定めています。東京都主税局は、法人を設立した場合や都内に初めて支店などを設置した場合に提出する「法人設立・設置届出書」の届出期間を、開始または設置の日から15日以内と案内しています。国税の2か月に対して、こちらは15日です。

なぜこんなに差があるのか。国税は法人税法という1本の法律で全国共通に決まっていますが、地方税の届出は各自治体の条例で定められているためです。つまり、住んでいる場所によって期限が違います。東京都が15日だからといって、他の都道府県も15日とは限りません。自分の会社の所在地の自治体のページを見て確かめる、というのが唯一の正しい確認方法になります。

実務上、いちばん短い期限に合わせて動くのが安全です。地方税が15日なら、国税の2か月を待つ理由はありません。登記が終わったら、3方向まとめて片付けてしまうのが手数として少なくて済みます。

東京都では、1つの用紙が4枚組になっている

東京都の様式を開くと、同じような紙が4枚続いていて戸惑います。これは複写式の用紙で、それぞれ提出先が違います。

1枚目が税務署提出用。2枚目が都税事務所と支庁の提出用で、こちらは東京都の都税条例規則が定める様式にあたります。3枚目が市町村提出用。4枚目が控用です。用紙の余白には、控はこの用紙を複写して各提出機関に出すように、という注意書きが入っています。

つまり東京都では、国税と地方税の設立届を1つの様式でまとめて作れる形になっています。ただし、まとめて作れるだけで、提出は別々です。宛先が違うので、それぞれの窓口に出すか送ることになります。

提出先の組み立ては、会社の所在地で変わります。23区内に事務所がある法人は、都の特例として市町村民税に相当する分もあわせて都民税として都税事務所に納めます。つまり、地方税の提出先は都税事務所だけになり、区役所に出す必要はありません。一方、東京都内の市町村部に事務所がある法人は、都税事務所または支庁に都民税を、市役所や町村役場に市町村民税を、それぞれ申告して納めます。この場合は2か所に出すことになります。

この構造は東京都だけの特例です。他の道府県では、都道府県税事務所と市役所の2か所に出すのが基本形になります。自分の会社がどちらのパターンに当たるのかは、所在地の自治体のページで確認してください。

様式はPDFとExcelの両方が法人事業税・法人都民税のページから無料でダウンロードできます。手書きが苦手なら、Excelで入力して印刷するほうが早く終わります。

期限は自治体ごとに決まっている

東京都の場合、法人設立に関する届出の期限は2種類あります。

法人を設立した場合、都内に初めて支店などを設置した場合、その他納税義務が生じた場合の「法人設立・設置届出書」は、開始または設置の日から15日以内です。納税地の変更、資本金の額の変更、解散など、届出事項に変更が生じた場合の「異動届出書」は、廃止または変更の日から10日以内です。設立のほうより、変更のほうが短い期限になっています。

ここで気をつけたいのは、設立のときに1回出せば終わりではない、という点です。本店を移した、資本金を増やした、事業年度を変えた、代表者が変わった。どれも異動届出書の対象で、そのたびに10日以内という短い期限が走ります。登記を直しただけでは、自治体には伝わりません。

自分の自治体の期限を調べる方法を具体的に書いておきます。都道府県分は「都道府県名 法人設立 届出」で公式サイトを探すと、県税事務所の案内ページにたどり着きます。市町村分は「市区町村名 法人設立届」で、市民税課や法人市民税担当のページが出てきます。どちらも様式のPDFが置かれていて、その様式の欄外か案内ページに提出期限が書かれています。

期限を過ぎたらどうなるか。地方税の設立届の提出が遅れたことそれ自体に対して、罰金のような形の負担が直接発生する仕組みにはなっていないのが一般的です。ただし、届出がないと自治体は会社の存在を把握できないので、申告書が送られてこない、納めるべき税額の案内が届かない、といった実務上の不都合が起きます。結果として申告や納付が遅れれば、そちらには延滞金がかかります。個別の扱いは自治体によって変わるので、遅れに気づいたら窓口に電話して事情を伝えるのが確実です。

何を添えるのか

東京都の様式には、添付書類の欄が印刷されています。書かれているのは2つです。1つは定款等の写し、もう1つは登記事項証明書、具体的には履歴事項全部証明書の写しです。

登記事項証明書については、登記情報提供制度を利用した場合の欄が用意されていて、照会番号と発行年月日を書く形になっています。登記情報提供サービスで取得した情報に付く照会番号を書けば、証明書そのものを添えなくてよい扱いです。紙の証明書を1通取るより手数が少なくなる場合があります。

一方、税務署に出すほうの添付書類は定款、寄付行為、規則または規約の写しだけです。国税庁の案内に登記事項証明書は挙がっていません。同じ「法人設立届出書」という名前でも、添える書類が違います。地方税のほうが1点多い、と覚えておくと間違えません。

定款の写しは、公証人の認証を受けた定款のコピーで足ります。電子定款で設立した場合は、PDFを印刷したものを使います。原本を出す必要はありません。

登記事項証明書を紙で取るなら、書面で請求すると1通600円、オンラインで請求して郵送を受けると520円、オンラインで請求して窓口で受け取ると490円です。金額は登記手数料についてのページに一覧があります。設立直後は銀行口座の開設や社会保険の手続きでも求められるので、まとめて複数通取っておくと足を運ぶ回数が減ります。

届出書に何を書くのか

東京都の様式を上から見ていくと、埋める欄はおおよそ次のとおりです。

本店または主たる事務所の所在地、納税地、法人名とそのフリガナ、法人番号、代表者の氏名と住所。ここは登記事項証明書と住民票のとおりに書き写します。法人番号は登記が完了すると国税庁から通知が届くので、その13桁を使います。国税庁の法人番号公表サイトでも確認できます。

次に、設立または設置の年月日、事業年度、資本金または出資金の額、資本金等の額。事業年度は定款で定めた期間をそのまま書きます。資本金等の額は資本金と少し違う概念で、均等割の税率区分の判定に使われます。ここは判断に迷うことがあるので、東京都はチェックポイントの資料を別に用意しています。

そのあとに、地方税の申告期限の延長の処分を受けているかどうか、消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日、給与支払事務所等の開設届出書を出したかどうかの欄が並びます。設立直後の会社なら、延長の処分は「無」、給与支払事務所等の届出は従業員や役員に給料を払うなら「有」になります。

事業の目的の欄は上下2段に分かれています。上段には定款に記載しているものを、下段には現に営んでいるものまたは営む予定のものを書きます。

従業者総数と市内従業者数の欄もあります。ひとり法人なら1人です。この人数は事業所税や均等割の判定に関わるので、実際の人数を書きます。

支店、出張所、工場の欄は、該当があるときだけ埋めます。名称、所在地、設置年月日、電話番号を書きます。最後に、税理士に頼んでいる場合は関与税理士の氏名と事務所所在地を書く欄があります。

送付先と連絡先の欄も忘れないでください。本店所在地、代表者住所、その他から選びます。バーチャルオフィスや自宅兼事務所で郵便の受け取りに不安があるなら、確実に届く住所を指定しておくほうが安全です。申告書や納付書はここに送られてきます。

法人番号はいつ分かるのか

届出書の上のほうに法人番号を書く欄があります。13桁の番号ですが、これは設立の登記が完了してから分かるものです。登記の情報をもとに国税庁が番号を指定し、通知が届きます。

急ぎで確認したい場合は、国税庁の法人番号公表サイトで商号と所在地から検索できます。登記が完了していれば、通知を待たずに番号を確かめられます。

この番号にまつわる細かい話として、商号のフリガナの扱いがあります。登記の申請書には商号のフリガナを書く欄があり、法務局は、株式会社のように会社の種類を表す部分を除いて片仮名で左に詰めて書くよう案内しています。間に空白がある場合は、空白を削除した文字がフリガナとして登録されます。そしてこのフリガナは、国税庁の法人番号公表サイトを通じて公表されます。登記事項証明書にはフリガナは表示されないので、公表サイトで初めて自社の表記を見ることになります。

つまり、設立の登記の時点で書いたフリガナが、そのまま外から見える形で残ります。読み方が複数あり得る商号にしたなら、登記の申請の段階で意図した読みを書いておくのが安全です。設立届の作成時にフリガナの間違いに気づいたら、公表サイトの表記を確認したうえで、登記の側を直すかどうかを判断してください。

設立届の欄に書くフリガナは、公表サイトに出ている表記に合わせておくと、後から照会が入りません。細かい話ですが、法人名、代表者名、所在地のフリガナは、複数の書類で同じ表記に揃えておくのが原則です。

都道府県分と市町村分で、聞かれることが少し違う

同じ様式の複写なのに、都道府県に出す紙と市町村に出す紙で、記載が要らない欄があります。東京都の様式の場合、都税事務所提出用の紙では添付書類の欄が記載不要と印刷されています。

理由は、それぞれの税が何を見ているかが違うためです。都道府県の税である法人事業税は、事業の規模や種類によって扱いが変わります。だから事業の目的の欄や、申告期限の延長の処分の有無が重く見られます。市町村の税である法人市町村民税は、その市町村にどれだけの事務所と人がいるかで均等割の額が決まります。だから市内従業者数の欄が効いてきます。

複数の市町村に事務所がある会社は、様式の下のほうにあるチェック欄が関係します。当該区市町村の事務所等が本店で複数の区市町村に事務所等をもつ法人、当該区市町村の事務所等が支店で複数の区市町村に事務所等をもつ法人、当該区市町村にのみ事務所等を有する法人。この3つから当てはまるものを選びます。

ひとつの市町村にだけ事務所がある会社なら、3つ目を選ぶだけで済みます。複数の市町村に事務所を構えている場合は、市町村ごとにどの立場になるかが変わるので、紙ごとに違うチェックが入ることになります。ここを取り違えると、後から分割の計算の話で照会が入ります。

支店を後から出すときも、同じ様式を使います。都内に初めて支店などを設置した場合が届出の対象に挙がっているとおり、事務所を増やしたら、その市町村に対して新しく届出が必要になります。設立時に1回出したら終わり、ではありません。

提出したあとに届くもの

届出が受け付けられると、自治体の側に会社の記録ができます。そこから何が届くのかを知っておくと、郵便物を捨ててしまう事故を防げます。

まず、決算期に合わせて申告書の用紙や案内が送られてきます。ただし、この事前送付は縮小の方向にあります。東京都は、電子申告を利用していない法人への紙の確定申告書の事前送付を取りやめる旨を案内しています。紙が届くことを前提に日程を組んでいると、届かないまま期限を過ぎる恐れがあります。

次に、均等割を含む納付の案内が来ます。所得がなくても納めるものがあるので、赤字の年でも封筒は開けてください。

電子申告に関する案内も届きます。地方税の電子申告の仕組みを使えば、都道府県分と市町村分をまとめて送れる場合があります。設立のタイミングで利用の届出を済ませておくと、翌年からの申告が楽になります。大きな法人には電子申告が義務づけられていますが、小さな法人でも使えます。

送られてくる書類の宛先は、届出書の送付先の欄で指定した住所です。自宅兼事務所からレンタルオフィスに移った、という場合は、異動届出書で知らせないと前の住所に届き続けます。郵便の転送は期限が来れば切れるので、住所が変わったら10日以内という短い期限で異動届出書を出す、という流れを覚えておいてください。

出す前に決めておくこと

届出書を書き始める前に、3つ決まっていないと手が止まります。

1つ目は事業年度です。定款で定めているはずですが、設立の月から数えて1年以内で区切る形になります。ここは決算の繁忙期と自分の仕事の繁忙期が重ならないように選ぶのが基本です。すでに定款で決まっているなら、そのまま書き写します。

2つ目は納税地です。本店の所在地と同じにするのが通常ですが、様式では本店または主たる事務所の所在地と納税地が別の欄になっています。実際に事業を行っている場所が本店の登記と違う場合、どちらを納税地にするかで管轄の窓口が変わります。迷ったら本店所在地に揃えるのが素直です。

3つ目は資本金等の額です。資本金の額とは別の概念で、均等割の税率区分の判定に使われます。設立直後で増資や自己株式の取得をしていない会社なら、資本金の額と一致することが多いのですが、判定の考え方は東京都が別に資料を用意しているほど細かいところです。金額が区分の境目に近いなら、窓口か税理士に確認してから書いてください。

この3つが決まっていれば、残りの欄は登記事項証明書と定款から転記できます。書き上がるまでの時間は、慣れていなければ1時間前後です。難しいのは書くことではなく、期限を忘れずに動くことです。

事業の目的の欄でつまずく

上下2段に分かれた事業の目的の欄は、初めて書く人がいちばん手を止めるところです。定款の目的は、将来やるかもしれない事業まで幅広く書いてあるのが普通なので、上段と下段が食い違うのが自然だからです。

書き方については、次のように説明されています。

下段には、上段の中で、実際に営む事業を記入しますが、上段と同じ内容の場合には「同上」でも構いません。 出典: yg-tax.net

上段は定款の写し、下段は実際に動かしている事業。同じなら「同上」で構いません。定款に10項目並んでいて、実際に動かしているのが1つだけなら、下段にはその1つを書きます。

なぜ下段を分けて聞かれるのか。法人事業税の税率や区分は、何の事業を営んでいるかで変わる部分があるためです。電気の小売や保険業のように、業種によって扱いが分かれる仕組みが用意されています。定款に「何でもできるように」広く書いてあるだけの項目と、実際に売上が立っている事業を、自治体は区別して見たいわけです。

ここで実際に営んでいない事業を下段に書くと、後から照会が入ることがあります。事業を始めたら異動届出書で知らせる形になるので、下段は設立時点の実態どおりに書くのが正しい進め方です。まだ何も動いていないなら、いちばん先に始める予定の事業を書きます。

税務署に出すほうも同時に片付ける

地方税の設立届を作るときに、税務署に出す書類もまとめて作ってしまうのが効率のよい進め方です。書く内容がほとんど同じだからです。東京都の様式は1枚目が税務署提出用になっているので、そもそも同時に作る前提の作りになっています。

税務署に出すもののうち、設立直後にいちばん期限が短いのが青色申告の承認申請書です。国税庁は、普通法人の設立の日が属する事業年度について、設立の日以後3か月を経過した日と、その事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までに提出するよう案内しています。手続きの根拠は法人税法第122条などです。

この期限の作りが厄介です。設立してから3か月と決まっているわけではなく、第1期の決算日が先に来る会社はそちらが基準になります。たとえば設立から2か月後に第1期が終わる会社なら、3か月を待たずに決算日の前日が期限になります。設立月と決算月が近い会社は、思っているより早く締め切りが来ます。

青色申告の承認を受けられないと、赤字を翌期以降に繰り越せません。設立初年度は赤字になりやすいので、ここを取り逃がすと後から効いてきます。設立届と同じ封筒で出してしまうのが、いちばん確実です。

もうひとつ、給与支払事務所等の開設届出書があります。東京都の設立届の様式には、この届出を出したかどうかを聞く欄が印刷されています。役員1人だけの会社でも、報酬を払うなら対象です。給料から所得税を預かって納める仕組みに入るための届出で、これを出すと納付書が送られてきます。

なお、地方税の設立届は東京都のように国税と同じ様式でまとめられている自治体と、独自の様式を用意している自治体があります。自分の自治体がどちらなのかは、様式のPDFを開けばすぐ分かります。1枚だけの様式なら、税務署の分は別に用意することになります。

出し忘れると何が起きるのか

「赤字だから税金はかからないだろう」と考えて、地方税の届出を後回しにする人がいます。ここは誤解です。

法人住民税には均等割という部分があります。これは所得の有無に関係なく、事務所があることに対してかかる税です。売上がゼロでも、赤字でも、均等割は発生します。金額は資本金等の額と従業者数の区分で決まり、自治体ごとに税率が定められています。つまり、法人を作った時点で、毎年必ず払うものが1つ増えている状態です。

届出を出していないと、自治体はその法人の存在を知りません。申告書の用紙も納付書も送られてきません。そのまま何年か過ぎて、登記情報などから把握されて連絡が来る、という流れになります。このとき、過去の分をさかのぼって申告するよう求められ、延滞金も付きます。「知らなかった」で免れる仕組みにはなっていません。

もうひとつ、実務上の不都合があります。金融機関の融資審査や、取引先の与信の確認で、地方税の納税証明書を求められる場面があります。届出を出していないと、そもそも課税の記録がないので証明書が出ません。補助金の申請でも、納税証明書が提出書類に入っていることがよくあります。

事業を始めていない、いわゆる休眠の状態でも、届出そのものは出しておくのが筋です。そのうえで、事業を行っていないことを自治体に伝えると、均等割の扱いについて相談できる余地がある自治体もあります。ここは自治体ごとに扱いが違うので、窓口に事情を伝えて確認してください。個別の税務の扱いは事情によって変わるため、税務署や自治体の担当課、あるいは税理士に確かめるのが確実です。

いつ動くのが現実的か

15日という期限は、実際に動いてみると短く感じます。逆算しておきます。

まず、設立の登記を申請します。この時点では登記が完了していないので、登記事項証明書は取れません。登記が完了するまでの目安は、申請した登記所が示す登記完了予定日で分かります。会社の設立年月日は、登記所が申請を受け付けた日です。つまり、15日の起算点は登記が終わった日ではなく、申請した日になります。

登記が完了するまでに日数がかかると、15日のうちの何日かはそこで消えます。登記が終わったらすぐ登記事項証明書を取り、定款の写しと一緒に届出書に添えて出す。この流れを頭に入れておくと、慌てずに済みます。

現実的な手順としては、設立登記を申請した日に、届出書の下書きを作ってしまうのが早いやり方です。書く内容のほとんどは登記申請の時点で確定しています。法人番号だけが登記完了後に分かるので、そこを空けておいて、証明書が取れたら埋めて提出します。

提出は窓口に持参でも郵送でもできます。都道府県分と市町村分を同じ日に投函すれば、往復の手間は1回で済みます。控用の紙を必ず手元に残し、いつ何を出したかを記録しておいてください。後で「出したはずだが届いていない」という話になったときに、控があるかどうかで話が変わります。

電子申請に対応している自治体も増えています。地方税の電子申告の仕組みを使えば、都道府県分と市町村分をまとめて送れる場合があります。自分の自治体が対応しているかは、税務担当課のページで確認してください。

法人にしたあとに増える手続きと、時間の使い方

設立届のあとも、届出は続きます。従業員や役員に給料を払うなら給与支払事務所等の開設届出書、青色申告の承認を受けるなら申請書、社会保険なら年金事務所への新規適用の届出。それぞれ期限が別に決まっています。そして、これらが済んだあとも、毎年の決算と申告、数年ごとの役員の登記が回り続けます。

編集部がこの市場を長く見てきた限り、法人化でつまずくのは手続きの難しさではありません。手続きそのものは、様式と記載例が公開されているので、書けば通ります。つまずくのは、その時間がどこから出てくるのか、という点です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、法人を作るときに人が時間をかけるのは設立の手続きで、その後の維持にはほとんど時間をかけません。設立は1回きりの行事なので関心が高く、維持は毎年か数年に1度なので関心が続かない。その落差が、そのまま届出漏れの頻度になっています。設立届を出した日に、次に来る期限をカレンダーに入れてしまうのが、いちばん効く手当てです。

もうひとつ、運営者として見てきた実感を書いておきます。法人を維持する負担は、均等割や決算費用のような目に見えるお金だけではありません。期限を覚えておく、書類を探す、窓口に出す。この見えない負担は、ひとり法人では全部代表者の時間に乗ります。だから、その時間を吸収できる単価で動けているかどうかが効いてきます。中間マージンが乗らない直接取引は、同じ予算で依頼者がより多くを頼めて、受け手の手取りが厚くなります。手数料0%の強みは、額面の大きさではなく手取りの厚さに出ます。固定費を抱えた法人ほど、この差が積み上がります。

いま自分の職種がどの水準で動いているのかを確かめるなら、公的統計をもとにしたソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場が手がかりになります。法人にしたのに単価が個人事業のときと同じなら、均等割と決算費用の分だけ手取りが減っている計算になります。

受ける仕事の軸を組み直すなら、企業の業務にAIを組み込む相談が増えているAIコンサル・業務活用支援のお仕事や、法人として受託しやすいアプリケーション開発のお仕事に、仕事の中身と求められる経験が整理されています。届出書のような型のある文書を正確に書く力を体系的に押さえたいなら、ビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。

守りの面も、設立直後に一度そろえておくと後が楽です。発注側との関係を規律するルールはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに、支払われなかったときの手順と費用の目安は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとまっています。地方税の設立届を出したら、この2つに目を通しておくと、法人としての足元がひと通り固まります。

よくある質問

Q. 地方税の法人設立届出書の期限は何日ですか?

自治体の条例で決まっているため、期限は場所によって違います。東京都の場合は、法人設立・設置届出書を開始または設置の日から15日以内に提出するよう案内されています。税務署に出す国税の法人設立届出書は設立登記の日から2か月以内なので、地方税のほうが短いのが一般的です。

Q. 都道府県と市町村の両方に出す必要がありますか?

原則として両方に出します。ただし東京23区内に事務所がある法人は、都の特例で市町村民税相当分も都民税として都税事務所に納めるため、提出先は都税事務所だけになります。東京都内の市町村部にある法人は、都税事務所または支庁と、市役所や町村役場の2か所に出します。

Q. 添付書類は税務署に出すものと同じですか?

違います。税務署に出すほうの添付書類は定款などの写しだけです。東京都の様式では定款等の写しに加えて、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の写しが必要です。登記情報提供制度を使った場合は、照会番号と発行年月日を記入する欄が用意されています。

Q. 事業の目的の欄は上段と下段で何を書き分けますか?

上段には定款に記載している目的を、下段には実際に営んでいる事業または営む予定の事業を書きます。上段と同じ内容であれば「同上」と書いても構いません。定款に広く書いてあっても、下段は設立時点の実態どおりに書き、事業を始めたら異動届出書で知らせる形になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月10日最終更新:2026年9月19日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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