メルカリの収入をどう扱うか|申告が要る場合と記録の残し方


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この記事のポイント
- ✓メルカリ収入は不用品の売却か転売かで税金の扱いが変わります
- ✓非課税になる根拠と例外
- ✓確定申告が必要になる20万円の正確な意味
メルカリ収入について調べている方の多くは、たぶん同じ場所で止まっています。「これ、申告しないとまずいのか」です。結論から言うと、あなたが何を売ったかで答えが変わります。クローゼットにあった服を売ったのか、仕入れた商品を売ったのか。この二つは、税法上まったく別の扱いになります。同じアプリで同じように振り込まれるのに、片方は非課税で、もう片方は所得として申告が必要です。この記事では、その線引きを条文と公式の考え方に沿って整理し、確定申告が必要になる境目、経費にできるもの、そして後から困らない記録の残し方までを順番に説明します。
メルカリの収入は3種類に分けて考える
アパレルのEC運営を支援していると、事業者の在庫と個人の持ち物の境目が曖昧になる場面をよく見ます。メルカリの収入も、まずここを切り分けないと話が進みません。3種類あります。
第一が、自分が使っていた物を売った収入です。着なくなった服、使わなくなった家電、読み終えた本。これは「生活用動産の譲渡」に当たり、所得税法で非課税とされています。つまり、いくら売っても所得税はかかりません。
第二が、仕入れた物を売った収入です。安く買って高く売る、いわゆる転売です。フリマアプリで仕入れて別の場所で売る、店舗のセールで買い集めて出品する。これは商売なので、所得税の対象になります。事業として継続しているなら事業所得、そうでなければ雑所得として扱われます。
第三が、高額な資産を売った収入です。ブランドのバッグ、貴金属、時計、美術品。生活の中で使っていたものであっても、一定の金額を超えると非課税の範囲から外れ、譲渡所得の対象になります。
実務上、判断が難しいのは第一と第三の境目、そして第一と第二の境目です。ここを曖昧にしたまま「たぶん大丈夫」で済ませている方が多い。私も最初は、自分のクローゼット整理と仕入れた在庫を同じアカウントで出品していた時期がありました。年末に集計しようとして、どれが自分の物でどれが仕入れた物か分からなくなって、丸一日かけて取引履歴を遡る羽目になりました。あれは本当に非効率でした。
だから、最初に伝えたいのはこれです。売る物の性質が違うなら、記録を分ける。アカウントを分けるところまでやらなくても、出品した物が自分の私物かどうかを一覧に残すだけで、年末の作業は劇的に楽になります。
不用品の売却が非課税になる根拠と、外れる条件
なぜ不用品の売却が非課税なのか、根拠を押さえておきましょう。所得税法では、生活に通常必要な動産の譲渡による所得は非課税とされています。家具、衣類、家電、日常的に使っていた道具などがここに含まれます。
不用品の売却は、メルカリの用途として最も一般的なケースといえます。不用品の例には、家具、衣類、家電、日常的に使用していた車などが挙げられます。このような生活に通常必要となる動産を売却して得た利益は、所得税法上、非課税と定められています。 ただし、貴金属・美術品等の例のように、1点が30万円を超えるような高額品は課税対象とみなされます。その場合、譲渡所得として申告が必要になる可能性があります。 出典: freee.co.jp
ポイントは、金額の線が30万円にあることです。1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨とうなどは、生活に通常必要な動産の範囲から外れます。この場合、譲渡所得として計算します。
譲渡所得の計算は、売った金額から取得費(買ったときの金額)と譲渡費用(送料や手数料)を引いた額です。そこから譲渡所得の特別控除50万円を差し引きます。つまり、30万円を超える物を売っても、利益が50万円以内に収まっていれば、課税される所得は生じません。
さらに、購入から5年を超えて保有していた物の譲渡は長期譲渡所得となり、控除後の金額の2分の1が課税対象になります。何年も持っていたブランドバッグを売る場合は、ここが効きます。
ここで一つ、実務的な注意です。30万円を超える物を売った場合、取得費を証明できないと計算が不利になります。買ったときのレシートや保証書がないと、取得費をゼロとして扱わざるを得ない場面が出てきます。高額な物を買ったら、売る予定がなくても購入の記録を残しておいてください。これは税金のためというより、後の選択肢を守るためです。
正確な取り扱いは国税庁の案内で確認してください。判断に迷う金額の取引があるなら、税務署の相談窓口で個別に聞くのが確実です。
仕入れて売っているなら、所得の種類が変わる
ここからが本題です。仕入れがあると、非課税の話は一切当てはまりません。
判断の基準は、商売として行っているかどうかです。安く買って高く売る意図で商品を取得し、継続的に売っているなら、それは物販業です。所得の種類は、規模と継続性に応じて事業所得または雑所得になります。
事業所得と雑所得の線引きについては、帳簿書類を作成して保存しているかどうかが実務上の重要な判断材料になります。記帳と保存を行っていれば、おおむね事業所得として扱われる方向に整理されています。一方、売上が小さく帳簿もない状態では、業務に係る雑所得として扱われる可能性が高くなります。
この違いは、税額に直接響きます。事業所得なら、青色申告の承認を受けることで青色申告特別控除(最大65万円)を使え、赤字を翌年以降に繰り越すこともできます。雑所得ではこれらが使えません。在庫の評価方法も、事業所得のほうが選択肢があります。
物販で見落とされやすいのが、在庫の扱いです。売上から差し引けるのは、その年に売れた商品の仕入れ額です。売れ残った在庫の仕入れ額は、その年の経費にはなりません。年末に在庫を抱えていると、帳簿上の利益が思ったより大きく出ます。100万円仕入れて60万円分を売り、40万円分が残っているなら、経費にできるのは60万円分です。
アパレルの在庫を扱っていると、この構造は肌で分かります。中小のブランドが資金繰りで苦しむ原因の多くは、売れていないのではなく、在庫に現金が変わってしまっていることです。個人の物販でもまったく同じことが起きます。仕入れの判断は、利益率ではなく回転の速さで見る癖をつけてください。
そして、中古品を仕入れて転売する場合には、古物営業法に基づく古物商許可が必要になります。許可の申請先は、営業所を置く都道府県の公安委員会です。自分の不用品を売るだけなら不要ですが、中古品を買い集めて売る形なら、許可を取らずに続けるのは危険です。ここは税金とは別の法律の話なので、切り離して確認してください。
確定申告が必要になる境目、20万円の正確な意味
いちばん検索されている論点です。正確に押さえましょう。
給与を1か所から受けている会社員で、給与以外の所得の合計が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。
会社員などの給与所得者が副業としてメルカリでの転売などを行い、メルカリを含む給与所得以外の所得(雑所得)の合計が年間20万円以下である場合は、所得税の確定申告は不要です。 ただし、住民税については、20万円以下であっても申告が必要となります。住民税の申告は市区町村役場で行います。所得税の確定申告をした場合は、別途、住民税の申告をする必要はありません。 出典: freee.co.jp
ここで間違いやすい点を3つ挙げます。
第一に、20万円は売上ではなく所得です。売上から仕入れ額と経費を引いた後の金額で判断します。売上80万円、仕入れ55万円、送料と梱包材と手数料で12万円なら、所得は13万円です。売上の額だけ見て慌てる必要はありません。
第二に、20万円はメルカリだけの金額ではありません。他に副業をしているなら合算します。物販で13万円、別の業務委託で10万円なら、合計23万円で基準を超えます。
第三に、不用品の売却分は合算に入りません。非課税の所得なので、所得の計算には登場しません。ここを混ぜて計算して「超えてしまった」と誤解している方がいます。だからこそ、私物か仕入れ品かの区別を記録しておく意味があるのです。
なお、給与が2か所以上から支払われている場合や、医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする場合は、20万円以下の所得も申告書に記載する必要があります。「20万円以下なら書かなくていい」という理解は、確定申告をしない場合に限った話です。
確定申告のメリットそのものを整理したい方は確定申告 メリットを最大化!フリーランスが知るべき節税と還付のコツに、控除と還付の考え方がまとまっています。申告が「面倒な義務」ではなく「使える制度」であることが見えてくるはずです。
住民税は別の話、ここを飛ばすと後から来る
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別に必要です。これは何度でも言う価値があります。
住民税には、20万円以下なら申告しなくてよいという規定がありません。つまり、物販の所得が15万円だった場合、所得税の確定申告は不要でも、お住まいの市区町村への住民税の申告は必要になります。所得税の確定申告をした場合は、その情報が市区町村に回るため、住民税の申告を別に行う必要はありません。
そして、会社に副業が知られる経路として最も多いのが、この住民税です。住民税は前年の所得に基づいて計算され、会社員の場合は給与から特別徴収されます。副業の所得が加わると天引き額が変わるため、給与計算の担当者が金額の変化に気づく可能性があります。
これを避けたい場合は、確定申告書の第二表にある住民税に関する事項で、給与以外の所得にかかる住民税を「自分で納付」に指定します。ただし、自治体の運用によって特別徴収に一本化されることもあり、確実な方法ではありません。
もう一つ、実務で見ておくべきことがあります。プラットフォーム側の取引データは、事業者の手元に残ります。税務当局が調査の過程で情報を照会することはあり得ます。「アプリの中のことだから分からない」という前提で設計するのは、まったくおすすめできません。
申告そのものは、思っているほど重い作業ではありません。e-Taxを使えば、スマートフォンとマイナンバーカードで完結します。入口はe-Taxです。売上と経費が月ごとに整理されていれば、入力は合計するだけの作業になります。
扶養に入っている場合の注意点
配偶者や親の扶養に入っている方からの質問が多いので、ここも整理します。扶養には税の扶養と社会保険の扶養があり、基準が別です。混ぜて考えると必ず混乱します。
税の側から見ます。配偶者控除の対象になるのは、配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合です。給与だけなら年収103万円に相当しますが、物販の所得はこの合計所得金額に加算されます。パートの給与があって、そこに物販の所得が乗ると、合計で基準を超えることがあります。配偶者特別控除は段階的に控除額が減る仕組みなので、超えた瞬間に全部なくなるわけではありませんが、世帯の税額は動きます。
なお、不用品の売却による非課税の所得は、この合計所得金額には含まれません。クローゼットの整理で得たお金が扶養の判定に影響することはありません。ここは安心してよい部分です。
社会保険の側は、基準の立て方が違います。健康保険の被扶養者として認定されるかどうかは、加入している保険者、つまり健康保険組合や協会けんぽの基準で判断されます。年間収入が130万円未満であることが一般的な目安とされますが、事業や物販の収入から差し引ける経費の範囲は保険者ごとに異なります。税務上は経費として認められるものが、社会保険の判定では差し引けない場合があるのです。
つまり、税の申告では所得が80万円だったとしても、社会保険の判定では収入140万円として見られ、扶養から外れる、という組み合わせが起こり得ます。※物販の規模が伸びてきたら、必ず加入している保険者に直接確認してください。この確認を後回しにすると、遡って扶養から外れる処理になることがあります。制度の全体像は日本年金機構の案内も参考になります。
判断を楽にするコツをお伝えします。年の途中、たとえば8月あたりで、その年の売上と所得を一度集計してください。そこで基準に近づいていることが分かれば、年末までの出品を調整するという選択ができます。年が明けてから気づくと、もう調整できません。
経費にできるもの、できないもの
物販の経費は、意外と幅があります。漏らすと、払わなくてよい税金を払うことになります。
まず、確実に経費になるものです。商品の仕入れ額(その年に売れた分)、販売手数料、送料、梱包材(段ボール、封筒、緩衝材、テープ)、宛名ラベルやプリンターのインク、商品を撮影するための照明や背景紙。これらは物販に直結する支出です。
次に、按分が必要なものです。スマートフォンやパソコンの通信費、自宅の一部を在庫置き場や撮影場所に使っている場合の家賃と光熱費。業務に使った割合に応じて経費にします。割合は、使用時間や面積といった合理的な基準で計算し、根拠を残してください。
たとえば、50平米の住居のうち5平米を在庫と撮影に専用で使っているなら、面積比は10%です。家賃が月100,000円なら、月10,000円を経費として計上する説明が立ちます。適当な割合を決めるのではなく、計算の根拠になる数字を書き留めておくことが大事です。
一方、経費にならないものもあります。自分や家族の食事代、私的な買い物、生活のための衣類。仕入れのために出かけた交通費は経費になりますが、その途中で立ち寄った買い物は別です。混ぜないでください。
そして、10万円以上の機材を買った場合は、その年に全額を経費にできないことがあります。撮影用のカメラやパソコンなど、金額と耐用年数に応じて減価償却という形で数年に分けて計上します。買う前に取り扱いを確認しておくと、選べる方法が増えます。
EC運営を支援していて感じるのは、経費の漏れが多い人ほど「面倒だから後でまとめる」と言うことです。まとめた時点でレシートが見つからず、結果として計上できない。月末に15分だけ触る習慣のほうが、圧倒的に得をします。
漏れやすい経費を具体的に挙げておきます。梱包に使った家庭用のテープやハサミ、商品を送るために出かけたコンビニまでの交通費、採寸に使ったメジャー、商品の匂いを取るための消臭剤、撮影のために買った無地の布。どれも単価は小さいのですが、年間で積み上げると無視できない額になります。300円の支出が年に60回あれば18,000円です。
逆に、無理に経費を膨らませるのはおすすめしません。業務との関係を説明できない支出を入れると、調査があったときに全体の信用が落ちます。説明できるものを漏れなく入れる。これが一番強い形です。
取引データの記録の残し方と、保存期間
記録は、税務のためだけではありません。何が売れて何が売れないかを見る材料になります。ここは、データで判断する習慣を作るチャンスでもあります。
残すべきものは4つです。
第一に、取引ごとの記録です。売れた日、商品名、売れた金額、手数料、送料、そして仕入れ額(私物なら「私物」と明記)。表計算ソフトで月ごとのシートを作り、売れたときに1行足すだけです。後から一年分を遡るのとは、労力が桁で違います。
第二に、仕入れの証憑です。仕入れ先のレシートや納品書。フリマアプリで仕入れた場合は、購入画面のスクリーンショットでも記録になります。
第三に、経費の証憑です。梱包材や送料のレシート、手数料の明細。プラットフォームの売上管理画面からダウンロードできる明細は、年に一度ではなく月ごとに保存しておいてください。過去の期間が取得できなくなることがあります。
第四に、在庫の記録です。年末時点で売れ残っている商品と、その仕入れ額。これがないと、所得の計算ができません。
保存期間についても押さえておきましょう。事業として行う場合、帳簿と書類は原則として7年間保存することが求められます。電子的に受け取った取引データは、電子帳簿保存法の要件に沿った保存が必要になる場合があります。要件の詳細は改定が入るため、確認先は国税庁です。会計ソフトを使う場合は、この要件に対応した保存機能があるものを選ぶと手間が減ります。会計ソフト側の解説はfreeeやマネーフォワードでも整理されています。
記録の形式にこだわる必要はありません。表計算ソフトでも、手帳でも、会計ソフトでも構いません。大事なのは、置き場所を一か所に決めて、そこだけを見れば分かる状態にしておくことです。場所が散ると、探す時間が記録する時間を上回ります。
記録を残す副産物として、売れ筋が見えてきます。どのカテゴリが何日で売れたか、値下げを何回したか。ここを数字で見ると、仕入れの判断が感覚から根拠に変わります。おしゃれかどうかではなく、回転するかどうかで選ぶ。これは、アパレルのEC運営でも同じ結論です。
値付けと売れ残りを、感覚ではなく数字で見る
税金の話から少し離れて、収入そのものを増やす側の話をします。ここは、データで見ると結論が変わる領域です。
多くの人が値付けを「相場より少し安く」で決めています。ところが、売れるまでの日数を記録し始めると、価格と回転の関係は一直線ではないことが見えてきます。同じカテゴリで、3,000円で30日売れなかった商品が、2,800円に下げた瞬間に売れることがある。200円の差で動くのは、価格そのものではなく検索の並び順や通知が動いているからです。
だから、記録すべき数字は3つに絞れます。出品した日、値下げした日と金額、売れた日。この3つだけで、自分の扱う商品が何日で回るのかが分かります。回転日数が分かれば、仕入れの判断が変わります。
在庫の回転を軸に見る癖がつくと、利益率の高い商品より、回転の速い商品を選ぶようになります。利益率40%で90日かかる商品と、利益率20%で15日で回る商品では、同じ資金で得られる年間の利益が大きく違います。後者のほうが、資金を何回も回せるからです。
写真についても、感覚ではなく型があります。1枚目は商品の全体が正面から入っていること、背景が白か無地であること、明るさが足りていること。この3点を満たすだけで、一覧の中での見え方が変わります。凝った演出は要りません。私も最初は雰囲気のある写真を撮ろうとして、影が落ちて商品の色が分からない写真を量産していました。データを見たら、地味に明るく撮った物のほうが売れていた。おしゃれかどうかは、売れるかどうかとは別の軸です。
売れ残りについても、ルールを決めてください。60日売れなかったら値下げ、120日売れなかったら手放す。在庫は持っているだけで資金を固めます。損失を確定させるのは気が重いですが、資金が動かないことのほうが痛い。この判断を先に決めておくと、迷う時間がなくなります。
複数のプラットフォームを使うときの整理と、トラブル時の備え
物販を続けると、他のフリマアプリやオークションサイトにも出すようになります。ここで記録が崩れる人が多いので、先に整理しておきましょう。
まず、集計の単位を「プラットフォームごと」ではなく「商品ごと」にしてください。同じ商品を複数の場所に出す場合、どこで売れたかは結果に過ぎません。仕入れ額と売れた金額が紐づいていれば、後からどうにでも集計できます。逆に、プラットフォームごとに表を分けると、同じ商品が二重に登場して混乱します。
手数料と送料の違いも押さえておきましょう。販売手数料の率、送料の負担者、振込手数料、そして入金までの日数は、サービスによって違います。同じ金額で売れても、手元に残る額は変わります。売価だけで比べず、手取りで比べる。これは何度でも確認する価値があります。
次に、トラブルへの備えです。物販で起きやすいのは3種類です。
第一に、商品の状態をめぐる認識の違いです。「写真では分からなかった傷がある」という指摘は避けきれません。対策は、傷や汚れを隠さず写真に入れて説明文に書くこと。売れるまでの日数は伸びますが、後の対応にかかる時間のほうが高くつきます。
第二に、配送中の事故です。追跡のある配送方法を選び、梱包の状態を撮影しておく。壊れやすい物は、緩衝材の費用を惜しまないでください。
第三に、規約に関わるトラブルです。出品が禁止されている物、許可が必要な物を扱うと、アカウントそのものが止まります。化粧品や食品、医薬品に近い物、ブランド品の真贋が問題になる物は、扱う前に規約を読んでください。アカウントが止まると、売上だけでなく在庫が動かせなくなります。
そして、やってはいけない売り方を一つだけ挙げます。所得を分散させる目的で、家族名義のアカウントを使うことです。実際に売っているのが自分であれば、名義を分けても所得の帰属は変わりません。むしろ、後から説明が難しくなります。記録を分けることと、名義を分けることは、まったく別の話です。
事業として続けるなら、開業届と青色申告をどう考えるか
物販を続けると決めたら、手続きの話が出てきます。
所得税法では、事業所得を生ずべき事業を開始した場合、開始から1ヶ月以内に個人事業の開業・廃業等届出書を税務署に提出することとされています。物販を事業として行うなら、提出が求められる書類です。
青色申告の承認を受けるには、青色申告承認申請書を提出します。期限は原則としてその年の3月15日、または開業から2ヶ月以内です。この日付は逃すと翌年まで待つことになるので、意識してください。
青色申告特別控除の最大額65万円を取るには、複式簿記による記帳と、電子申告または電子帳簿保存が条件になります。簡易な記帳だと控除額は10万円になります。つまり、控除を最大化するなら帳簿を作る手間が前提です。
判断の目安をお伝えします。年間の売上が100万円を超える見通しがあり、継続する意思があるなら、開業届と青色申告承認申請書を出して帳簿を整える価値があります。試しに数ヶ月やってみる段階なら、まず取引の記録を残すことから始めて、続けると決めた時点で手続きに進む形で構いません。
消費税についても触れておきます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になります。個人の物販でここに届くケースは限られますが、規模が伸びてきたら視野に入れてください。取引先が事業者で、請求書の発行を求められる場面が出てくるなら、適格請求書発行事業者の登録の話も絡んできます。
物販の時間単価をどう見るか、在宅の仕事との比較
ここからは、フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた運営者の視点から、少し長い目で見た話をします。
20年この市場を見てきた立場から言えば、物販で長く続いている人と、途中で消える人の違いは、売上ではありません。自分の作業時間を数えているかどうかです。
物販には、売上に現れない作業が大量にあります。仕入れ先を探す時間、商品を撮影する時間、説明文を書く時間、質問に答える時間、梱包して発送する時間、そして在庫を管理する時間。1件3,000円で売れた商品に、仕入れから発送まで40分かかっていて、仕入れ額が1,500円、手数料と送料で700円なら、手元に残るのは800円です。時間あたりに直すと1,200円。この数字を知らないまま「売れた」と喜んでいると、忙しさだけが増えていきます。
運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、単発の取引ではなく「この人に任せると楽」という関係づくりに時間を使っています。物販でいえば、同じジャンルを深く扱って、リピートで買ってくれる相手ができること。在宅の業務委託でいえば、一度信頼を得た依頼者から、募集を経ずに次の相談が来ること。どちらも、営業の手間が消えるという点で同じ構造です。
そして、額面と手取りの話です。仕事を仲介する事業者が間に入ると、依頼者が払った金額から手数料が抜かれ、受け手に届く額が薄くなります。中間マージンが乗らない直接の取引なら、依頼者は同じ予算でより多く頼めて、受け手の手元には厚く残ります。手数料0%という条件の価値は、金額の大小ではなく「同じ仕事で手元に残る割合が違う」という質の差です。長く見てきた実感として、この差を理解している人ほど、単価の交渉より先に「どこで受けるか」を選び直しています。
物販で身につくスキルは、実は在宅の仕事にそのまま転用できます。商品写真の撮り方、説明文の書き方、問い合わせへの対応、在庫と数字の管理。これらは、ECの運営支援という仕事の中身とほぼ同じです。中小のブランドは「デザインはできるけれどECの運営が分からない」という悩みを抱えていることが多く、撮影のディレクションや商品説明文の作成、在庫管理をまとめて請け負える人を探しています。
在宅で伸ばす方向を具体的に見るなら、いくつか道があります。デザイン系の職種の収入構造を知りたい方にはUI/UXデザイナーの平均年収は?職種別の収入格差を公開【2026年版】が、同じ肩書きでも何が単価を分けるのかを示してくれます。生成AIを業務に組み込む支援は需要が伸びている領域で、どんな業務が発注されているかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事に整理されています。マーケティングやセキュリティを含む周辺領域の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。文章を書く仕事の単価の実態は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種別のデータがあります。
最後に、記録の話に戻ります。メルカリの収入を正しく扱うために必要なのは、税法の知識そのものではありません。何をいくらで買って、いくらで売ったかを残しておくこと。これだけです。記録があれば、税金の判断はほぼ機械的に決まります。記録がなければ、知識があっても計算できません。今月の売れた分から、表に1行足すところから始めてください。
よくある質問
Q. メルカリで不用品を売った収入に税金はかかりますか?
自分が使っていた家具や衣類、家電などは生活用動産の譲渡に当たり、所得税法で非課税とされています。金額の大小に関係なく所得税はかかりません。ただし1点が30万円を超える貴金属や宝石、美術品などは非課税の範囲から外れ、譲渡所得として計算することになります。
Q. 確定申告が必要になるのは売上がいくらからですか?
判断するのは売上ではなく所得です。給与を1か所から受けている会社員なら、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えたときに所得税の確定申告が必要になります。売上から仕入れ額、送料、梱包材、販売手数料を引いた後の金額で計算してください。不用品の売却分は非課税なので合算しません。
Q. 20万円以下なら何もしなくていいですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。住民税には20万円以下なら申告しなくてよいという規定がないため、お住まいの市区町村に申告します。所得税の確定申告をした場合は、住民税の申告を別に行う必要はありません。
Q. 中古品を仕入れて転売するのに許可は必要ですか?
中古品を買い集めて売る形なら、古物営業法に基づく古物商許可が必要です。申請先は営業所を置く都道府県の公安委員会です。自分の不用品を売るだけであれば許可は要りません。税金の話とは別の法律なので、仕入れを始める前に切り離して確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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