訪問リハビリで求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】


この記事のポイント
- ✓訪問リハビリで働くには
- ✓理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家資格が必須です
- ✓そのうえで運転免許や臨床経験が実質的に求められ
訪問リハビリで働くために必要な資格を、最初に結論からお伝えします。利用者の自宅でリハビリを行い、介護保険や医療保険の訪問リハビリとして報酬を請求するには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかの国家資格が必要です。これは例外がありません。そのうえで、求人の多くは普通自動車運転免許と一定の臨床経験を実質的な条件にしています。
一方で、「資格が無いと訪問リハビリの事業所に一切関われない」わけでもありません。事務や送迎、受付など、資格が無くても入れる仕事はあります。ただし、そこには越えてはいけない線があります。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、必須の資格、実質的に求められる条件、あると評価される資格、資格が無くても入れる範囲、そして職場ごとの資格の活かし方までを順に整理します。
訪問リハビリの事業所数と人手の状況
資格の話に入る前に、訪問リハビリの現場がいまどういう状況にあるかを押さえておきます。人手の状況は、求人で求められる資格や経験の水準に直結するからです。
訪問リハビリを提供する事業所は、年々増えています。
訪問リハビリの請求事業所は毎年増加しており、2022年には5,214件まで増えています。高齢化の進展に伴い、訪問リハビリを提供する事業所は今後さらに増加していくでしょう。 出典: co-medical.com
ここでいう訪問リハビリの事業所は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院が運営する「訪問リハビリテーション事業所」のことです。これとは別に、訪問看護ステーションに所属する療法士が利用者宅でリハビリを行う形もあり、実際に在宅でリハビリに関わる療法士の職場はこの数字より広がっています。
事業所が増える一方で、現場の負担は軽くありません。
訪問リハビリの仕事量の多さに、大変さを感じる方も多いです。訪問リハビリでは1日に4〜6件ほど対応するため、体力面での負担はあります。また、訪問リハビリの現場は慢性的な人手不足なので、1人あたりの業務量も多くなりがちです。 出典: co-medical.com
1日に4件から6件を1人で回る。つまり、事業所は「入ってすぐ、1人で利用者宅に行ける人」を求めています。これが、求人票で臨床経験の年数が条件にされやすい理由です。資格さえあればどこでも採用される、というわけではない点は最初に知っておいてください。
もうひとつ、制度面の動きにも触れておきます。介護報酬はおおむね3年ごと、診療報酬は2年ごとに改定されます。2024年度に介護報酬と診療報酬が同時に改定され、2026年度は診療報酬の改定の年にあたります。医療保険で行う訪問リハビリの点数や算定のルールは改定のたびに見直されうるので、最新の内容は厚生労働省の公表資料で確認してください。資格の要件そのものは大きく変わりませんが、どの職種が何を算定できるかの細部は変わることがあります。
訪問リハビリを行うのに必須の資格|PT・OT・STの国家資格
ここからが本題です。訪問リハビリでリハビリを行う人に必須の資格を、法律と報酬制度の両面から整理します。
理学療法士と作業療法士
理学療法士と作業療法士は、昭和40年に制定された「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格です。国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けてはじめて名乗ることができます。
この法律のポイントは2つあります。1つ目は、理学療法士・作業療法士という名称を、免許を持たない人が使ってはいけないことです。つまり、名称独占の資格です。2つ目は、理学療法士・作業療法士は、医師の指示の下に、診療の補助として理学療法や作業療法を行うことを業とすることができると定められていることです。
では、「無資格の人がリハビリのような運動を指導すること」自体が法律で全面的に禁止されているのかというと、話は少し複雑です。体操教室の講師がストレッチを教えることまで禁じられているわけではありません。ただ、訪問リハビリという介護保険・医療保険のサービスとして行う場合は、話がはっきりしています。
報酬制度上、誰が実施しなければならないか
介護保険の訪問リハビリテーションは、事業所の医師の指示のもとで、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が実施するサービスとして定められています。訪問看護ステーションで行うリハビリも、「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問」として報酬が設定されています。
つまり、資格を持たない人が利用者宅でリハビリを行い、それを訪問リハビリとして請求することはできません。仮に行えば、介護報酬の不正請求にあたり、事業所は返還を求められるうえ、指定の取消しなどの処分の対象になりえます。現場で働く人も、知らなかったでは済まない立場に置かれます。
言語聴覚士
言語聴覚士は、平成9年に制定された「言語聴覚士法」に基づく国家資格です。話す、聞く、食べる、飲み込むといった機能に関わるリハビリを担います。
訪問では、脳血管疾患の後遺症で言葉が出にくい方の練習や、飲み込みの機能が落ちた方の食事の支援など、生活に直結する場面が多くあります。言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べて人数が少なく、訪問で言語聴覚士を確保できている事業所は限られます。そのため、言語聴覚士の資格を持つ人は、訪問の求人で特に歓迎される傾向があります。
3職種に共通する行為の広がり
少し専門的な話になりますが、知っておくと役立つ点があります。厚生労働省は2010年の通知で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、リハビリの一環として喀痰などの吸引を行うことは、それぞれの法律に基づく業務の範囲に含まれると整理しました。訪問の現場では、呼吸の状態が悪い方や、飲み込みの練習中の方に関わる場面があります。もちろん、実施には事業所内での研修や医師の指示、手順の整備が前提です。資格があるから何でもできる、という意味ではない点に注意してください。
実質的に求められる条件|運転免許・臨床経験・記録の力
国家資格が必須なのは前提として、求人票ではそれ以外にも条件が並びます。法律上の必須ではないものの、実質的に求められる条件を見ていきます。
普通自動車運転免許
訪問リハビリの求人で、ほぼ必ず書かれているのが普通自動車運転免許です。訪問の手段は社用車か自家用車が中心で、地方ほど車がないと回れません。AT限定で問題ない事業所がほとんどです。
都市部では、自転車や電動アシスト自転車、原付で回る事業所もあり、その場合は運転免許が必須ではないこともあります。ペーパードライバーの方は、応募前に訪問手段を確認してください。免許を持っているだけで運転に不安がある場合は、面接で正直に伝えたほうが、入職後のトラブルを防げます。
臨床経験の年数
求人票には「臨床経験3年以上」「病院での経験2年以上」といった条件がよく書かれています。これは法律上の要件ではなく、事業所が独自に設けている条件です。
理由は先ほど触れたとおり、訪問では1人で利用者宅に入り、その場で判断しなければならないからです。バイタルの変化を見てリハビリを中止するか判断する、転倒のリスクを家の環境から読み取る、家族に介助の方法を伝える。こうした力は、病院や施設での経験の中で身につくものが多いのです。
ただし、新卒や経験の浅い人を受け入れる事業所もあります。その場合は、同行訪問の期間が長い、相談体制が整っているなど、教育の仕組みが用意されているかを必ず確認してください。
記録と報告の力
資格ではありませんが、見落とされがちな条件が「記録と報告の力」です。訪問リハビリでは、訪問ごとの記録に加えて、リハビリテーション計画書、主治医への報告書、ケアマネジャーへの情報提供など、書類の量が多い仕事です。多くの事業所ではタブレットやパソコンで記録するので、基本的な入力操作ができることも実質的な条件になっています。
あると評価される資格と認定
必須ではないけれど、持っていると採用や配置で評価されやすい資格と認定を整理します。取得の条件が変わることがあるので、実際に目指す場合は各団体の最新の案内を確認してください。
| 資格・認定 | 運営・認定する団体 | 訪問での活かし方 |
|---|---|---|
| 認定訪問療法士 | 日本訪問リハビリテーション協会 | 在宅リハビリの知識と経験を示せる |
| 認定理学療法士・専門理学療法士 | 日本理学療法士協会 | 特定の領域の専門性を示せる |
| 認定作業療法士 | 日本作業療法士協会 | 教育や管理の力を含めた実践力を示せる |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 都道府県 | ケアプランの考え方が分かり、連携がスムーズになる |
| 福祉住環境コーディネーター | 東京商工会議所 | 住宅改修や福祉用具の提案に役立つ |
| 3学会合同呼吸療法認定士 | 3学会合同呼吸療法認定士認定委員会 | 呼吸器疾患の利用者への関わりに役立つ |
認定訪問療法士
訪問リハビリに特化した認定として知られているのが、日本訪問リハビリテーション協会の認定訪問療法士です。在宅でのリハビリに必要な知識や、多職種連携、管理運営などを学ぶ研修を経て認定されます。訪問の専門性を示す認定なので、訪問部門の主任や管理者を目指す人には特に意味があります。
介護支援専門員
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、国家資格に基づく業務の実務経験が5年以上あれば、介護支援専門員の実務研修受講試験を受けることができます。ケアマネジャーの資格を持つと、ケアプランがどう組まれるかを内側から理解できるので、ケアマネジャーとの連携で話が通りやすくなります。居宅介護支援事業所を併設している法人では、将来の配置の選択肢も広がります。
福祉住環境コーディネーター
訪問リハビリでは、手すりの位置や段差の解消、福祉用具の選び方について提案する場面が頻繁にあります。福祉住環境コーディネーターは民間の検定ですが、住宅や建築の知識を体系的に学べるので、家族や工務店、福祉用具の担当者と話すときの共通言語が増えます。
資格の取得を目指すときに注意したいのは、「資格を取れば給与が上がる」とは限らないことです。認定や民間資格に資格手当を出す事業所は一部で、手当があっても月に数千円程度のことが多いです。資格は、給与のためというより、自分の支援の幅を広げ、職場での役割を得るためのものと考えるほうが現実に合っています。
資格が無くても入れる範囲はどこまでか
ここからは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格を持たない人が、訪問リハビリの職場にどう関われるかを整理します。
資格が無くても入れる仕事
| 仕事 | 主な内容 | 資格の要否 |
|---|---|---|
| 事務・受付 | 電話対応、予定の調整、書類の管理、請求業務 | 不要(医療事務の知識があると有利) |
| 送迎・運転 | 通所系の送迎、書類の配達 | 運転免許が必要 |
| 訪問の同行補助 | 移動の運転、物品の準備 | 事業所の方針次第で、リハビリ行為はしない |
| 請求事務 | 介護報酬、診療報酬の請求 | 不要(実務経験や医療事務の資格が有利) |
特に需要があるのは事務職です。訪問リハビリは、介護保険と医療保険の両方にまたがることがあり、請求のルールが複雑です。訪問の予定を組み、キャンセルの連絡を受け、ケアマネジャーとの書類のやりとりを管理する事務職は、事業所の運営に欠かせません。こうした事務の仕事で役立つ知識を体系的に身につけられる資格として、医療事務の検定があります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)のページでは、受付や会計、診療報酬請求の基礎を問う試験の内容と、医療機関での活かし方を紹介しています。
無資格で越えてはいけない線
資格が無くても事業所で働けるとはいえ、越えてはいけない線があります。
・利用者宅でリハビリの運動や動作練習を指導し、訪問リハビリとして扱う ・療法士の代わりに1人で訪問し、記録を療法士名義で残す ・「リハビリ助手」の名目で、療法士の訪問件数を補うために単独で訪問する
どれも、事業所が報酬を不正に請求することにつながります。そして、指示されてやった側も、事情を知っていれば責任を問われる可能性がゼロではありません。「人手が足りないから、少しだけ手伝って」と言われても、応じてはいけない線です。
私のところに、以前こんな相談がありました。訪問系の事業所で事務として働く方から、「療法士さんが休んだ日に、代わりに利用者さんの家に行って、いつもの体操を一緒にしてきてほしいと言われた。記録は療法士さんが後で書くと言っている。断っていいのか」というものでした。結論から言うと、断ってよいですし、断るべきです。実施していない人の名前で記録を残し、それを報酬として請求すれば、不正請求の問題になります。このときは、事業所に対して「利用者さんとケアマネジャーに訪問の振り替えを連絡するほうが適切だと思う」と伝える文面を一緒に考えました。※事業所との関係がこじれた場合や、不正の疑いがある場合は、自治体の介護保険の担当窓口や弁護士に相談してください。
他の国家資格を持っている場合
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士以外の国家資格を持っている人から、「訪問リハビリの求人に応募できるか」という質問を受けることもあります。
看護師・准看護師は、訪問看護ステーションで訪問看護として利用者に関わることができ、その中で生活動作の支援や運動を含むケアを行う場面もあります。ただし、制度上の「療法士による訪問」として扱われるわけではありません。
あん摩マッサージ指圧師やはり師・きゅう師、柔道整復師は、訪問リハビリとして報酬を請求することはできません。あん摩マッサージ指圧師の訪問マッサージは、医師の同意書に基づく療養費の仕組みで提供される別のサービスです。また、デイサービスなどの機能訓練指導員には、これらの資格を持つ人が一定の条件で就くことができます。つまり、自宅で身体の機能に関わる仕事はあっても、「訪問リハビリ」とは別の制度の中で働くことになります。
介護福祉士などの介護職は、訪問介護の中で生活の動作を一緒に行うことはできますが、それはあくまで介護サービスとしての支援です。訪問介護の事業所が理学療法士などと連携して、生活機能の向上を目指す計画を立てる仕組みもあり、介護職と療法士が役割を分けて同じ利用者を支える形が制度として用意されています。
資格を持っていない人が訪問リハビリを目指す道のり
ここまで読んで、「今は資格が無いけれど、いずれ訪問リハビリで働きたい」と考えた方もいると思います。社会人になってから療法士を目指す人は、決して少なくありません。資格を取って訪問で働くまでの道のりを、現実的な順番で整理します。
養成校に通う
理学療法士・作業療法士の国家試験を受けるには、国が指定した養成校で3年以上学ぶ必要があります。養成校には、4年制大学、3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校があります。言語聴覚士の場合は、高校卒業後に3年以上学ぶ課程のほか、一般の4年制大学を卒業した人が2年間で学べる課程もあります。
社会人の場合、仕事を続けながら通える夜間部を置く専門学校もありますが、臨床実習の期間は日中に病院や施設へ通う必要があります。つまり、完全に働きながら資格を取るのは難しく、どこかの時点で収入が減る期間を覚悟する必要があります。学費は、専門学校で3年から4年通うと、総額で400万円から600万円程度になることが多いです。
これ、知らない人が本当に多いんです。厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練の講座になっている養成課程であれば、雇用保険の教育訓練給付の対象になることがあります。受給には雇用保険の加入期間などの条件があるので、入学前にハローワークで確認してください。
国家試験に合格する
国家試験は年に1回、例年2月ごろに行われます。合格率は年によって変わりますが、理学療法士・作業療法士はおおむね8割前後、言語聴覚士は7割前後で推移しています。養成校で学んだ内容を着実に押さえれば合格を目指せる水準ですが、既卒での再受験になると合格率は大きく下がる傾向があります。
病院や施設で経験を積んでから訪問へ
資格を取ったあと、すぐに訪問リハビリで働く道もあります。ただ、先ほど見たとおり、訪問の事業所の多くは臨床経験を求めています。多くの人は、回復期リハビリテーション病棟のある病院や介護老人保健施設で数年働き、退院支援や在宅復帰に関わる経験を積んでから訪問に移ります。遠回りに見えますが、病院で急性期から回復期の流れを見ておくことは、在宅で利用者の変化に気づく力になります。
職場の種類で変わる資格の活かし方
同じ資格でも、どこで働くかによって任される範囲や、評価される追加の資格が変わります。訪問リハビリの職場を3つの系統で見てみます。
病院・診療所の訪問リハビリ部門
病院併設の事業所は、医療保険での訪問や、退院直後で状態が不安定な利用者を担当することが多くなります。そのため、疾患に関する専門性が評価されやすく、認定理学療法士や専門理学療法士、呼吸療法認定士などの認定が活きやすい職場です。医師の指示を受ける距離が近いので、専門的な判断を求められる場面も多くなります。
介護老人保健施設の訪問部門
老健は在宅復帰を支える施設なので、施設の中でのリハビリと、退所後の訪問をつなぐ役割が求められます。介護支援専門員の資格を持っていると、施設のケアマネジャーや支援相談員との連携で力を発揮できます。施設全体の運営に関わる機会もあるので、管理や教育に関わる認定も評価されます。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、看護師と同じ利用者を担当する場面が多く、看護との連携の力が問われます。福祉住環境コーディネーターのように生活環境に関わる資格や、喀痰吸引などの医療的な関わりについての研修を受けていることが、看護師との役割分担を考えるうえで役立ちます。
また、訪問看護ステーションは小児の利用者を受け入れているところもあり、小児のリハビリの経験がある療法士は特に求められます。資格そのものより、どんな利用者を担当してきたかという経験が問われる職場です。
求人票で資格要件を読むときの注意
最後に、求人票の資格要件を読むときの注意点を、契約の目線でまとめます。
「必須」と「歓迎」を分けて読む
求人票には、応募資格として「必須」の条件と、「歓迎」の条件が混在していることがあります。「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれか(必須)」「臨床経験3年以上(歓迎)」のように分かれていれば、経験が浅くても応募できます。書き方が曖昧な場合は、応募前に問い合わせて確認してかまいません。
資格手当の条件を確認する
資格手当がある場合は、どの資格が対象で、いくら支給されるのかを確認してください。国家資格に対する手当と、認定や民間資格に対する手当は別に設定されていることがあります。求人票に「資格手当あり」とだけ書かれていて、実際は対象の資格が限られていた、というすれ違いはよくあります。
免許証の写しの提出
入職時には、国家資格の免許証の写しの提出を求められるのが一般的です。事業所は、実施する職員が有資格者であることを確認して記録する必要があるからです。免許証をなくしている場合は、再交付に時間がかかることがあるので、転職を考え始めた段階で手元にあるか確認しておきましょう。
業務委託で働く場合
非常勤の中には、雇用ではなく業務委託の契約で訪問を依頼する事業所もあります。この場合も資格の要件は同じですが、事故が起きたときの賠償責任は自分で備える必要があります。賠償責任保険への加入を条件にしている事業所もあるので、契約書の内容を確認してください。業務委託で働く人には、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法によって、報酬や業務の内容などの取引条件を書面などで明示してもらう権利があります。
運営者として見てきたこと
フリーランスや在宅ワーク、医療・介護の人材市場を長く見てきた運営者の立場から、資格と働き方について感じていることを書きます。
運営者として見てきた限りでは、長く活躍する療法士ほど、資格を「集めるもの」ではなく「関わる相手を増やすための道具」として使っています。ケアマネジャーの資格を取った人は、ケアマネジャーの考え方が分かることでケアプランの提案が通りやすくなり、福祉住環境コーディネーターを取った人は、工務店や福祉用具の担当者から相談を受けるようになる。資格そのものより、資格を通じて広がった関係が、仕事を安定させています。そして、経験と資格を積んだ療法士の中には、常勤とは別に非常勤や業務委託で訪問を持つ人もいます。そのとき、仲介の手数料が乗らない直接の契約であれば、同じ予算で事業所はより多くの訪問を依頼でき、療法士の手取りは厚くなります。手数料0%の直接取引が双方にとって得になるのは、この手取りの厚さという質の部分です。訪問リハビリでの副業や非常勤の働き方は、理学療法士・作業療法士の訪問リハビリ副業|高時給を狙う方法【2026年版】で、時給の相場や事業所との条件の決め方を解説しています。
訪問看護ステーションで働くなら、同じ利用者を担当する看護師の資格と働き方を知っておくと、役割分担の話がしやすくなります。看護師の年収・単価相場では、訪問看護を含めた看護師の給与水準や雇用形態ごとの違いを確認できます。訪問介護のヘルパーと連携する場面も多いので、介護職員の年収・単価相場で介護職員の賃金水準や処遇の状況にも目を通しておくと、多職種の事情が見えてきます。
資格を取るべきか、今の資格でどんな職場を選ぶべきか迷っている場合は、キャリアの専門家に相談するのもひとつの方法です。キャリアコンサルタントのページでは、職業選択や能力開発の相談に応じる国家資格の役割を紹介しています。どんな場でキャリアの相談が受けられるのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとめられています。
資格は、あなたが利用者の生活に関わることを社会が認めた証です。そして、資格の範囲を守ることは、利用者を守り、あなた自身を守ることでもあります。できることとできないことを正しく知っておけば、職場で無理を言われたときにも、落ち着いて断ることができます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 訪問リハビリで働くには必ず国家資格が必要ですか?
利用者宅でリハビリを行い、訪問リハビリとして介護保険や医療保険の報酬を請求するには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかの国家資格が必要です。資格が無い人がリハビリを行って請求すると不正請求にあたります。事務や送迎など、リハビリ行為を伴わない仕事であれば資格が無くても働けます。
Q. 訪問リハビリの求人で臨床経験3年以上と書かれているのはなぜですか?
訪問では1人で利用者宅に入り、バイタルの変化や転倒リスクをその場で判断する必要があるため、事業所が独自に経験年数を条件にしています。法律上の要件ではないので、同行訪問や相談体制を整えて経験の浅い人を受け入れる事業所もあります。「必須」か「歓迎」かを求人票で確認してください。
Q. 訪問リハビリで評価される資格や認定には何がありますか?
在宅に特化した認定訪問療法士、各職能団体の認定理学療法士や認定作業療法士、実務経験5年以上で受験できる介護支援専門員、住環境の知識を学べる福祉住環境コーディネーター、呼吸療法認定士などがあります。給与が大きく上がるとは限りませんが、支援の幅や職場での役割を広げることにつながります。
Q. 看護師や柔道整復師は訪問リハビリの仕事ができますか?
看護師は訪問看護として利用者の生活動作の支援に関わることはできますが、制度上の療法士による訪問にはなりません。柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師は訪問リハビリとして報酬を請求できません。訪問マッサージやデイサービスの機能訓練指導員など、別の制度の中で身体機能に関わる働き方があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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