ハンドメイド初心者が収入を得るまで|作るものの決め方と売り場

前田 壮一
前田 壮一
ハンドメイド初心者が収入を得るまで|作るものの決め方と売り場

この記事のポイント

  • ハンドメイド初心者が収入を得るまでの順番を
  • 法律の確認事項まで通して整理しました
  • 最初につまずく場所を先に知っておくための記事です

まず、安心してください。ハンドメイドで収入を得るのは、決して夢物語ではありません。ただし、多くの解説記事が飛ばしている部分に、実は一番大事な計算があります。それは「いくら欲しいなら、何個売る必要があるのか」という算数です。

ここを先にやらないまま作り始めると、数か月後に材料費と手数料と送料を引いたあとの残りを見て、続ける意味を見失います。逆に、この計算を先にやっておけば、作るものの選び方も、値段の付け方も、どこで売るかも、自然と決まってきます。順番の話です。

この記事では、ハンドメイド初心者が収入を得るまでに必要な判断を、実際に詰まる順番で並べます。作るものの決め方、必要な個数、値段の付け方、売り場の性質の違い、写真と説明文、そして意外に見落とされている法律の確認事項まで。読み終えたときに「自分は何個作って、いくらで売って、どこに出すのか」を紙に書けるようにするのが目標です。

私は43歳でメーカーを辞めてフリーランスになった人間で、ハンドメイド作家ではありません。ただ、品質管理の仕事を長くやっていた関係で、原価の構造を見る癖がついています。その目で見ると、ハンドメイドで手が止まる人と続く人の差は、技術の差より計算の差に見えます。だから今回は、算数の話から入ります。

収入が出るまでの順番を、先に押さえる

ハンドメイドで収入を得るまでの工程は、5つに分かれます。この順番を守ると無駄が少ないです。

第一に、作るものを決めます。ここで「好きなもの」と「売れるもの」のどちらを先に置くかで、その後がかなり変わります。結論としては、好きなものの中から売れる条件を満たすものを選ぶ、という順番が現実的です。好きでないものは続きませんし、売れる条件を満たさないものは何個作っても並んだままです。

第二に、原価と時間を測ります。1個作るのに材料費がいくらかかり、何分かかるのか。ここを測っていない人が非常に多いのですが、これがわからないと値段が付けられません。

第三に、値段を決めます。原価と時間、それに手数料と送料を足した上で、自分の時間に対する対価を乗せます。

第四に、売り場を決めます。売り場によって手数料も客層も違うため、作るものによって向き不向きがあります。

第五に、写真と説明文を用意して並べます。実は売れるかどうかの相当な部分が、ここで決まります。同じ作品でも、写真の撮り方だけで反応が変わります。

この5工程のうち、初心者が飛ばしがちなのは第二と第三です。作るのが楽しいので、測る作業と値段を考える作業を後回しにしてしまう。その結果、売れたのに残らないという状態になります。今日から始めるなら、最初の1個を作るときにストップウォッチを押してください。それだけで後の判断が全部楽になります。

何を作るかの決め方

売れているものを観察すると、共通点があります。技術の高さではなく、条件の話です。

繰り返し買われるもの。消耗するもの、使い切るもの、季節ごとに買い替えるものは、一度気に入った人が何度も買ってくれます。同じ人に2回目を売るほうが、新しい人に1回売るより圧倒的に楽です。

サイズの問題が起きにくいもの。衣類のように体型に依存するものは、返品や交換の手間が増えます。アクセサリー、小物、雑貨のようにサイズが問題になりにくいものは、やり取りが軽くなります。

贈り物として選ばれるもの。自分用より贈り物のほうが、価格の上限が上がります。ラッピングやメッセージカードに対応できると、それ自体が選ばれる理由になります。

写真で価値が伝わるもの。手に取らないと良さがわからないものは、ネット販売では不利です。質感や色の美しさが写真で伝わるものが向いています。

季節や行事に結びつくもの。入園入学、母の日、ハロウィン、クリスマス。行事の前には検索が増えるので、そこに合わせて出すと見つけてもらいやすくなります。ただし時期を外すと売れ残るため、在庫の管理が必要です。

逆に、初心者が避けたほうがいいものもあります。1つは、制作に何日もかかる大物です。時間あたりの収入が計算しにくく、売れなかったときの損失が大きい。もう1つは、競合が極端に多い定番品です。同じものが何千点も並んでいる場所に後から入っても、見つけてもらえません。3つ目は、法律上の制限がかかるものです。これは後の節で詳しく書きますが、手作りの化粧品や食品、キャラクター生地を使った商品などが該当します。

方向を決めるときに有効なのが、自分の生活の中にある不満から出発することです。既製品で満足できなかった経験は、同じことで困っている人がいるという証拠です。「この大きさのポーチが売っていない」「この色の組み合わせがない」。そういう出発点から作られたものは、説明文が具体的に書けるという副産物もあります。

個数の現実。いくら欲しいなら何個必要か

ここが最初にやるべき算数です。売り手の実感として、この点を気にしている人は少なくありません。

ハンドメイドで月万稼ぐ方って、たくさん作って在庫をたくさん持ってるって事なんでしょうか? たまにハンドメイド市に出すよという方もいますが、実際どのくらいの在庫数を常駐させていますか? ハンドメイドカテゴリーを見てるとインテリア雑貨やアクセサリーなどの出品物主流な印象ですが、そのような小物だと1000円台のものが多く高くて2000円台、そうなると例えば3万稼ぐなら1ヶ月最低でも15~30個... 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この計算は正しい方向を向いています。ただし、ここで注意してほしいのは、売上と利益は別だという点です。

単価1,500円の作品を20個売れば、売上は3万円です。しかしそこから引かれるものがあります。材料費、梱包資材、販売手数料、そして送料を自分が負担する設定なら送料も。仮に材料費が1個400円、梱包が50円、手数料が販売価格の10%150円とすると、1個あたりの残りは900円です。20個で1万8,000円

さらに時間を入れます。1個の制作に40分かかるなら、20個で13時間強。それに加えて写真撮影、説明文の作成、梱包と発送、問い合わせ対応の時間がかかります。実務では制作以外に制作と同じくらいの時間がかかると見ておくのが安全です。合計26時間1万8,000円なら、時間あたり約690円です。

この数字を見て落胆する必要はありません。むしろ、ここが出発点だと知っておくことが大事です。この時間あたりの数字を上げる方法は3つあります。単価を上げる、1個あたりの制作時間を短くする、制作以外の時間を効率化する。この3つのうちどれに手を付けるかを決めるのが、2か月目以降の仕事になります。

そして最初の目標設定についても、正直に書いておきます。いきなり月数万円を目標に置くと、届かない月が続いて心が折れます。最初の目標は「1個売れる」でいいです。1個売れれば、写真の撮り方も梱包も発送も一通り経験できます。その経験が2個目以降の速度を上げます。急がなくて大丈夫です。

値段の付け方

ハンドメイドの値付けでよく言われるのが「原価の3倍」です。これは目安として悪くないのですが、そのまま使うと危険な点が2つあります。

1つは、時間が入っていないことです。材料費が安くて手間がかかるものは、原価の3倍では時間の対価がまったく出ません。編み物や刺繍のように、材料費に対して制作時間が長いものは特にそうです。

もう1つは、手数料と送料が入っていないことです。売り場に払う手数料と、自分が負担する送料は、確実に出ていくお金です。

なので、次の順番で計算してください。

項目 内容
材料費 実際に使った分。使い切れない材料は使った量で按分する
副資材 梱包材、台紙、シール、メッセージカード
送料 自分が負担する設定なら含める
販売手数料 売り場ごとの料率。決済手数料も忘れずに
自分の時間 制作時間に時間あたりの希望額を掛ける
予備 失敗して作り直す分、返品対応の余地

これを合計した額が、下限です。この下限より安く売ると、売れるほど苦しくなります。

そのうえで、上限は市場が決めます。同じような作品がいくらで売れているかを見て、自分の下限が市場の水準より高いなら、作るものを変えるか、制作時間を短くするか、価値の伝え方を変えるかの判断が必要になります。ここで安易に値段を下げるのが、一番よくない選択です。

値段を上げやすくする方法はいくつかあります。ラッピングを整える、寸法や素材の情報を丁寧に書く、使い方の提案を添える、ギフト向けの選択肢を用意する。これらは制作技術を上げなくても今日からできることで、単価に直接効きます。

私自身、品質管理の仕事で原価表を何百枚も見てきました。そこで学んだのは、値段を下げて数を売る戦略は、大量生産の設備を持っている側の戦略だということです。一人で作るなら、数で勝負する設計は最初から不利です。1個の価値を上げる方向にしか、現実的な道はありません。

売り場の選び方

売り場は大きく4種類あり、性質がまったく違います。1つに絞る必要はありませんが、性質を知らずに並行すると管理が破綻します。

作品専門のマーケット。ハンドメイド作品が集まる場所で、作品を探している人が来るという利点があります。売れたときに販売価格の10%前後が手数料として引かれる設計が主流です。集客を自分でしなくても見てもらえる可能性がある反面、同じジャンルの作品が大量に並んでいるため埋もれやすい。最初の1個を売る場所としては向いています。

フリマアプリ。利用者数が多く、動きが速いのが特徴です。手数料は販売価格の10%前後が一般的です。ただし価格の安いものが中心の場所なので、単価を上げにくい。値下げ交渉が来ることも前提に置いておく必要があります。

自分のネットショップ。無料で開設できるサービスがあり、月額無料のプランなら決済手数料として3%から5%程度で運用できます。手数料が低く、見せ方も自由です。弱点は集客を全部自分でやらなければならないこと。既にお客さんがいる状態で移す場所であって、最初に選ぶ場所ではありません。

リアルの場。イベントへの出展、雑貨店への委託販売、マルシェへの参加です。手に取ってもらえるので、写真で伝わりにくいものに強い。その場で反応が見られるのが最大の利点で、何が選ばれ何が選ばれないかを数時間で学べます。ただし在庫を揃える必要があり、出展料と交通費が先に出ます。

初心者の進み方としては、作品専門のマーケットで並べ始めて、反応を見ながら改善し、リピーターが見えてきたら自分のショップを用意する。イベントは在庫が揃った段階で1回試してみる。この順番が無理がないところです。

なお、どの売り場でも共通して大事なのが、手数料を含めた実質の利益を売り場ごとに把握しておくことです。同じ作品を複数の場所に出す場合、場所によって値段を変えるべきかどうかの判断が必要になります。

写真と説明文で決まる部分

厳しい話をしますが、ネット販売では作品の良さより写真の良さが先に見られます。同じ作品を写真を変えて出し直したら反応が変わる、というのはよくあることです。

写真で押さえるべき点は5つです。

第一に、自然光で撮ることです。室内の照明は色が転びます。窓際の明るい時間帯に、直射日光を避けて撮る。これだけで大きく変わります。

第二に、背景を整えることです。白い紙や布を敷いて、余計なものを写さない。生活感が写り込むと、商品として見てもらえなくなります。

第三に、大きさがわかる写真を1枚入れることです。手に持った写真、身につけた写真、定規や身近なものと並べた写真。寸法を数字で書いても、人は写真で判断します。

第四に、複数の角度から撮ることです。正面、斜め、裏側、細部。買う側が確認したいのは、見えていない部分です。

第五に、使う場面が想像できる写真を入れることです。机の上に置いた様子、身につけた様子。用途が具体的に見えると、購入の理由が立ちます。

説明文についても、書くべきことは決まっています。寸法、素材、重さ、色味の注意、お手入れの方法、発送までの日数、そして作った理由。この最後の1つが実は効きます。なぜこの形にしたのか、どこにこだわったのか。これが書かれている作品は、価格が少し高くても選ばれます。

文章を書くのが苦手だという人は多いのですが、これは練習で改善します。そして文章の力は、ハンドメイドの外でも収入につながる技能です。文章で仕事をする職種の相場を整理した著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ておくと、自分が伸ばしている技能がどれくらいの価値を持つのかがわかります。委託販売やイベントの出展で店舗や運営とやり取りする場面では、社外向けの文書の型が求められます。ビジネス文書検定の出題範囲は、その型を短時間で整理するのに向いています。

始める前に確認すべき法律の話

ここは飛ばさないでください。知らずに売ってしまうと、あとから取り返しがつかない領域があります。

生地や素材の商用利用。キャラクターがプリントされた生地は、多くの場合「個人で楽しむ範囲」に限定されており、それを使った商品の販売は禁止されています。生地の端やメーカーのサイトに使用条件が書かれているので、必ず確認してください。これはハンドメイド初心者が最も踏みやすい落とし穴です。知らなかったで済む話ではありません。同じことが、既存キャラクターをモチーフにした作品全般に当てはまります。

化粧品や石けん。手作りの石けんや化粧品を販売するには、医薬品医療機器等法に基づく許可が必要です。個人が趣味で作って人にあげるのと、対価を得て販売するのはまったく別の扱いになります。効能をうたう表現にも規制がかかります。

食品。焼き菓子やジャムなどを販売するには、食品衛生法に基づく営業許可と、施設の基準を満たすことが必要です。家庭の台所で作ったものをそのまま売ることはできません。表示の義務もあります。

繊維製品の表示。衣類や布製品には、家庭用品品質表示法に基づく組成表示などが求められる場合があります。

乳幼児向けの製品。小さな部品が外れる作りは事故につながります。製造した側の責任を問われる可能性があるため、設計の段階から注意が必要です。

特定商取引法の表示。継続的に販売する事業者は、氏名や住所、連絡先などを表示する義務が生じます。プラットフォームを使う場合でも、販売者としての表示を求められることがあります。自宅の住所を出したくない場合の対応も含めて、出品する前に規約を確認してください。

面倒に見えると思いますが、確認自体は数時間で終わります。その数時間を惜しんで販売を始めた人が、あとで作品の取り下げや返金対応に追われるのを見てきました。先に確認しておく側に立ってください。

収入が出たあとのお金の整理

売上が立ち始めたら、記録と申告の話になります。

給与所得者が副業で得た所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。ここでいう所得は売上ではなく、売上から必要経費を引いた残りです。ハンドメイドでは経費になり得るものが多く、材料費、梱包資材、送料、販売手数料、道具の購入費、イベントの出展料や交通費が対象になります。売上が40万円あっても経費が22万円なら所得は18万円で、確定申告の義務は生じません。

ただし、確定申告が不要な場合でも住民税の申告は原則として必要です。ここを落として翌年に問い合わせが来る人が毎年います。

記録の付け方は、レシートを月ごとの封筒に入れて、売上と経費を表に書くだけで十分です。大事なのは、発生した月に書くことです。年末にまとめてやろうとすると、何の材料を何に使ったか思い出せなくなります。申告をすることで受けられる扱いについては確定申告 メリットを最大化!フリーランスが知るべき節税と還付のコツに整理されています。制度の細部は年度で動くので、国税庁のサイトで最新の要件を確認する習慣をつけてください。

利益が出てきたら、その使い道も先に決めておくといいです。材料や道具に再投資する分、生活に回す分、将来のために置く分。この配分を決めていないと、売上が増えても手元に何も残りません。長期の資産形成の考え方は【20年で2倍?】毎月10万円の積立投資で資産形成する最強のポートフォリオに整理されているので、ハンドメイドの利益をどこに置くかを考えるときの材料になります。

ジャンルごとの向き不向きを、条件で見る

「何が儲かるか」という問いに対して、ジャンル名で答える記事が多いのですが、それは環境によって変わります。判断材料になるのは、ジャンルそのものではなく条件です。主なジャンルを条件で並べてみます。

アクセサリー。材料が小さく単価に対して原価が低いため、利益率は取りやすい。サイズの問題も起きにくい。一方で出品数が極端に多く、埋もれやすいのが最大の弱点です。金属アレルギーへの対応や素材の明示ができると、差がつきます。

布小物。ポーチ、巾着、エコバッグ、カバー類。実用品なので買う理由が明確で、サイズ指定の相談も受けやすい。注意点は生地の商用利用の条件と、繊維製品の表示です。制作時間が読みやすいので、時間あたりの計算がしやすいジャンルでもあります。

編み物と刺繍。完成品の魅力は高いのですが、材料費に対して制作時間が長いという構造上の弱点があります。原価の何倍という考え方だけで値付けすると、時間の対価がまったく出ません。作品ではなく図案やキットを売る形に切り替えると、時間の壁を越えられる場合があります。

レジンやプラバンなどの樹脂系。材料の入手がしやすく、表現の幅が広い。硬化の待ち時間があるため、並行して複数個進める段取りが効きます。取り扱いに換気などの注意が必要な材料もあるので、作業環境を先に整えてください。

木工と革小物。道具への初期投資が必要ですが、そのぶん参入者が少ない。単価を高めに設定しやすく、修理やメンテナンスという継続的な関わりも作れます。作業音が出るため、住環境の制約が判断材料になります。

ベビー用品とキッズ用品。需要は安定していますが、安全性の要求が高い領域です。小さな部品が外れる作りは避け、素材の表示を丁寧に行う必要があります。

図案やデータの販売。作品そのものではなく、作り方や型紙、デジタルデータを売る形です。一度作れば在庫を持たずに繰り返し売れるという点で、時間の制約を受けにくい。ただし最初は売れず、点数が増えてから動き出す性質の収入です。

自分に合うジャンルを選ぶときは、住環境、使える時間の長さ、初期に出せる金額、そして飽きずに続けられるかの4点で見てください。ジャンルの流行を追って選ぶと、条件が合わずに続きません。

2回目を買ってもらう仕組みを、最初から作る

収入が安定するかどうかの分かれ目は、新規のお客さんを増やせるかではなく、同じ人に2回目を買ってもらえるかです。ここは初心者のうちから仕込めます。

同封する一筆を用意してください。印刷した定型文ではなく、購入された作品に触れた一文を手書きで添える。これだけで印象が変わります。次に、今後の予定を伝えます。次はどんな作品を作る予定なのか、いつ出品するのか。買った人は作り手に興味を持っているので、この情報は歓迎されます。

そして、連絡を受け取る経路を1つ用意します。販売サイトのフォロー機能でも、写真を載せる場でも構いません。新作を出したときに知らせが届く状態を作っておく。これがないと、気に入ってくれた人が次に来る経路がありません。

最後に、記録です。誰が何をいつ買ったかを控えておく。同じ人から2回目の注文が来たときに、前回の内容を踏まえたやり取りができます。この小さな差が、選ばれ続ける理由になります。

続けるための時間の設計

技術より先に崩れるのは、時間です。ここを設計しておかないと、半年で疲れて止まります。

まず、週にハンドメイドへ使う時間の上限を決めてください。月に何時間までと決めて、その枠の中で受ける個数を決める。枠を決めずに「できる範囲で」と考えると、注文が増えたときに断る基準がなくなります。納期を守れなくなると評価が落ち、それを避けようとして睡眠を削る。この流れが一番危ないパターンです。

次に、制作以外の時間を測ってください。撮影、説明文、梱包、発送、問い合わせ。ここが制作と同じくらいかかります。梱包資材をまとめて用意しておく、説明文の型を作っておく、発送の曜日を決めておく。こうした準備で、制作以外の時間はかなり圧縮できます。

そして、作りだめと受注制作のどちらで回すかを決めます。作りだめは在庫の資金が先に出ますが、注文が来たらすぐ送れます。受注制作は在庫を持たずに済みますが、納期の管理が必要になります。イベントに出るなら在庫が必要で、ネットだけなら受注制作でも回ります。自分の生活の余裕に合わせて選んでください。

私は独立する前の1年間、本業のあとに副業の作業をしていました。そのとき一番効いたのは、作業を曜日で固定したことです。月曜と木曜の夜だけ、と決めたら、他の日は考えなくてよくなった。毎日少しずつやろうとしていた時期より、結果として進みました。皆さんにも、枠を決めることを勧めます。

市場を見てきた立場からの観察

20年この市場を運営してきた立場から、2つ書き添えておきます。

1つ目は、長く続く人の共通点です。運営者として見てきた限りでは、続く人は「作る技術」より「同じ人に2回目を売る仕組み」に時間を使っています。同封するお礼の一筆、次の作品の予告、購入者だけが知れる情報。どれも派手ではありませんが、新しい人に1回売る労力に比べて、2回目の労力は圧倒的に小さい。ここに気づいた人から、収入が安定していきます。

2つ目は、手数料の話です。売り場には必ず手数料が乗ります。同じ1,500円で売っても、引かれる割合が違えば手元に残る額は変わります。中間の取り分が乗らない直接のやり取りでは、買う側は同じ予算でより多く選べて、作る側は手取りが厚くなる。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額の大小の話ではなく、同じ作品に対して残る割合が変わるという質の話です。最初は集客してもらえる場所で経験を積み、お客さんが見えてきたら手数料の低い経路に軸を移す。この移り方が、結果として一番手元に残ります。

最後に順番だけもう一度置いておきます。作るものを決める、原価と時間を測る、値段を決める、売り場を選ぶ、写真と説明文を用意する。そして法律の確認を先に済ませる。この順番を守るかぎり、ハンドメイドで収入を得る道は現実的です。最初の1個が売れるまでは時間がかかります。そこで焦らないことだけ、覚えておいてください。

よくある質問

Q. ハンドメイド初心者が最初に決めるべきことは何ですか?

作るものより先に、1個作るのにかかる材料費と時間を測ることです。この2つがわからないと値段が決められず、売れても残らない状態になります。最初の1個を作るときに時間を計り、使った材料の金額を書き出してください。そのうえで手数料と送料を足し、自分の時間の対価を乗せて値段を決めます。

Q. どの売り場から始めるのがよいですか?

最初は作品専門のマーケットが向いています。作品を探している人が集まっており、集客を自分でしなくても見てもらえる可能性があるためです。手数料は販売価格の10%前後が主流です。自分のネットショップは手数料が低い代わりに集客を全部自分でやる必要があるため、お客さんが見えてきた段階で用意するのが順番です。

Q. 売上から何が引かれますか?

材料費、梱包資材、販売手数料、自分が負担する場合の送料が引かれます。単価1,500円の作品なら、材料費400円、梱包50円、手数料150円で手元に残るのは900円程度という計算になります。さらに制作以外に撮影や発送の時間がかかるため、時間あたりの収入を把握してから個数の目標を立ててください。

Q. 販売する前に確認しなければならない法律はありますか?

あります。キャラクターがプリントされた生地は商用利用が禁止されていることが多く、それを使った商品の販売はできません。手作りの化粧品や石けんは医薬品医療機器等法の許可が必要で、食品は食品衛生法の営業許可が必要です。継続的に販売する場合は特定商取引法に基づく表示義務も生じます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月16日最終更新:2026年9月20日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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