エクセルとワードで差し込み印刷|宛名を連続で印刷


この記事のポイント
- ✓エクセルの住所録を使った差し込み印刷の方法を
- ✓ワードと組み合わせる基本の手順
- ✓エクセルだけで印刷する方法まで順番に解説
エクセルの住所録から宛名を1件ずつ手で書き写していると、100件の案内状でも半日かかります。差し込み印刷を使えば、エクセルの一覧の内容をワードの文書に流し込み、名前と住所だけが違う文書や宛名ラベルを、まとめて連続で印刷できます。
この記事では、エクセルで差し込み印刷に向く住所録を作る方法から、ワードと組み合わせた基本の手順、宛名ラベルとはがきの宛名面の作り方、ワードを使わずエクセルだけで印刷する方法までを、操作の順に説明します。郵便番号の先頭の0が消える、敬称が「様様」になるといった、つまずきやすい点の直し方も整理しました。メニューの名前は、Microsoftの公式ヘルプで確かめたものを使っています。
差し込み印刷とは何か、どんな仕事で使うのか
差し込み印刷とは、文書の決まった位置に、一覧表の内容を1件ずつ差し替えながら印刷する機能のことです。文面はすべて同じで、宛名や住所、金額といった一部だけが人ごとに違う文書を作るときに使います。
Microsoftの公式ヘルプは、この仕組みを次のように説明しています。
差し込み印刷では、各受信者に合わせてカスタマイズされた文書のバッチを作成できます。 たとえば、定型書簡では、各受信者の名前を使用して呼びかけるようにカスタマイズできます。 文書には、リスト、スプレッドシート、データベースなどのデータソースが関連付けられます。 出典: support.microsoft.com
ここでいう「データソース」とは、差し込む内容が入った一覧のことで、多くの場合はエクセルの住所録や顧客名簿です。文書の側には「差し込みフィールド」と呼ばれる目印を入れておき、そこに一覧の内容が1件ずつ入ります。
使われる場面は、思っている以上に広くあります。
- 取引先や顧客へ送る案内状、請求書の送付状、お礼状
- DMや会報を送るときの宛名ラベル、封筒の宛名
- 年賀状や暑中見舞いのはがきの宛名面
- 研修やセミナーの修了証、参加証、名札
- 社員や会員ごとの通知書、成績表
どれも、件数が10件を超えたあたりから手作業との差が大きく開きます。1件あたり2分かかる宛名書きでも、100件になれば200分です。差し込み印刷なら、住所録が整っていれば準備に15分ほど、印刷はプリンターの速さ次第で終わります。
差し込み印刷のやり方は大きく2つに分かれます。エクセルの一覧をワードに読み込んで印刷する方法と、エクセルの中だけで関数を使って1件ずつ切り替えて印刷する方法です。件数が多いならワードとの組み合わせ、数件から十数件で手軽に済ませたいならエクセルだけ、という使い分けになります。
エクセルで差し込み印刷に向く住所録を作る
差し込み印刷がうまくいくかどうかは、ワードの操作より先に、エクセルの住所録の形でほぼ決まります。ワードは、エクセルの1行目を「項目の名前」、2行目以降を「1件ずつのデータ」として読み込みます。この前提に沿った表を作っておくことがいちばん大事です。
基本の形は次のとおりです。
| 郵便番号 | 住所1 | 住所2 | 会社名 | 部署 | 氏名 | 敬称 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 104-0061 | 東京都中央区銀座1-2-3 | 銀座ビル5階 | 株式会社サンプル | 総務部 | 山田 太郎 | 様 |
| 060-0001 | 北海道札幌市中央区北一条西1-1 | 有限会社テスト | 営業部 | 佐藤 花子 | 様 |
作るときに守りたい点を挙げます。
- 1行目に項目の名前を入れ、2行目から1件1行でデータを入れる
- 表の上にタイトルの行や空の行を入れない。A1のセルから表を始める
- 途中に空の行を挟まない。空の行があると、そこで一覧が終わったと読まれることがある
- 住所は「住所1」「住所2」のように2列に分け、建物名や部屋番号を2列目に入れる
- 敬称は別の列にする。氏名のセルに「様」まで書き込まない
- 差し込みに使うデータは、ブックの最初のシートに入れる
Microsoftのヘルプでも、列の名前が差し込みで使う項目の名前と一致していること、結合するデータがすべて最初のシートにあることが、準備のポイントとして挙げられています。
敬称を別の列にしておくのは、取引先の会社あてなら「御中」、個人あてなら「様」と使い分けるためです。会社名だけに出すときは「御中」、部署の担当者あてなら会社名と部署名を書いたうえで個人名に「様」を付けます。「御中」と「様」を同時に使うのは誤りなので、1件ごとにどちらか1つになるよう敬称の列を整えておきます。
もう1つ気をつけたいのが、エクセルのファイルの保存場所です。Microsoftのヘルプは、差し込み印刷に使うエクセルのファイルを手元のパソコンに保存しておくこと、表の変更や追加はワードとつなぐ前に済ませておくことを勧めています。共有のフォルダにあるファイルを使うと、ほかの人が開いている間に読み込めないことがあります。
郵便番号の先頭の0が消えないようにする
差し込み印刷でもっとも多いつまずきが、郵便番号の先頭の0が消えることです。北海道の多くの地域のように「0」で始まる郵便番号を「0600001」と数字で入力すると、エクセルは数値として扱い、先頭の0を落として「600001」と表示します。このまま差し込むと、宛名に誤った郵便番号が印刷されます。
Microsoftのヘルプにも、郵便番号を文字列として書式設定しておかないと、差し込みのときに先頭のゼロが消えるという注意が書かれています。対処は次のとおりです。
- 郵便番号の列を選ぶ
- [ホーム]タブの[数値]のグループにある表示形式の一覧から[文字列]を選ぶ
- 郵便番号を入力し直す
すでに数値として入力したあとで書式を文字列に変えても、消えた0は戻りません。書式を変えてから入力し直すか、「060-0001」のようにハイフンを付けて入力すると、エクセルは文字として扱います。
CSVのファイルとして書き出した住所録をエクセルで開く場合も、同じことが起きます。CSVをダブルクリックで開くと、その時点で0が消えてしまいます。Microsoftのヘルプでは、エクセルの[データ]タブから[テキストまたはCSVから]で読み込み、取り込む前のプレビューで郵便番号の列を文字列に指定する方法が案内されています。顧客管理のシステムや名刺管理のアプリから書き出した一覧を使うときは、この手順を通すのが確実です。
金額や割合を差し込む場合にも注意があります。エクセルで「12%」と見えていても、セルの値は「0.12」です。ワードに差し込むと「0.12」と出ることがあるので、割合の列は文字列にしておくか、ワードの側で記号を補います。金額の桁区切りも同じで、差し込むと「12000」のように区切りが消えることがあります。見た目がエクセルと違ったら、元の表の書式を疑うと早く原因にたどり着きます。
電話番号も同じ理由で、「03」の0が消えます。電話番号の列も最初から文字列にしておくと安心です。
ワードとエクセルで差し込み印刷をする基本の手順
住所録が整ったら、ワードで文書を作り、エクセルの一覧をつなぎます。ここでは、案内状のような1枚ずつの文書(レター)を例に説明します。ワードの画面では、差し込み印刷の機能は[差し込み文書]タブにまとまっています。
- ワードで案内状の文面を作る。宛名や会社名を入れる場所は空けておく
- [差し込み文書]タブの[差し込み印刷の開始]から[レター]を選ぶ
- [宛先の選択]から[既存のリストを使用]を選び、エクセルの住所録を選ぶ
- 住所録のシートを選ぶ画面が出たら、データが入っているシートを選び、[先頭行をタイトル行として使用する]にチェックが入っていることを確かめて[OK]を押す
- 宛名を入れたい位置にカーソルを合わせ、[差し込みフィールドの挿入]から「会社名」「氏名」などの項目を選ぶ
- [結果のプレビュー]を押し、1件目の宛名が正しく入っているかを確かめる
- [完了と差し込み]から[文書の印刷]を選び、印刷する範囲を決めて印刷する
5の手順で項目を入れると、文書の中に「«氏名»」のような表示が現れます。これが差し込みフィールドです。氏名のあとに敬称の項目を続けて入れれば、「山田 太郎 様」のように印刷されます。
一部の人だけに送りたい場合は、[アドレス帳の編集]を開きます。一覧の左にあるチェックを外した人は印刷されません。並べ替えや絞り込みもこの画面でできるので、「東京都の取引先だけ」「今年度に取引のあった会社だけ」といった条件で送り分けられます。
7の手順で[個々のドキュメントの編集]を選ぶと、印刷する代わりに、全件を1つにつなげた新しい文書が作られます。1件ずつ中身を確かめたり、特定の人にだけ一言書き添えたりしたいときに便利です。
作った差し込み文書は、保存したあとも住所録とつながったままです。次に開いたときに、住所録から情報を読み込むかを尋ねられたら[はい]を選ぶと、最新の住所録で同じ文書を使い回せます。毎月の請求書の送付状のように同じ形で繰り返す文書は、1回作っておけば次からは住所録を直すだけで済みます。
Microsoftの公式ヘルプはこの機能を「メーリング」と訳している箇所がありますが、日本語版のワードの画面では[差し込み文書]タブと表示されます。ヘルプの手順と画面の名前が違って見えたら、この点を思い出してください。
宛名ラベルを連続で印刷する
DMや会報を封筒で送るときは、封筒に直接印刷するより、市販の宛名ラベルのシールに印刷して貼るほうが手軽です。A4の用紙に12面や24面のラベルが並んだ製品が多く売られています。ワードには、こうしたラベルの製品番号に合わせて枠を作る機能があります。
- ワードで新しい文書を開き、[差し込み文書]タブの[差し込み印刷の開始]から[ラベル]を選ぶ
- [ラベル オプション]で、ラベルの製造元と製品番号を選んで[OK]を押す。製品番号はラベルの箱や袋に書かれている
- 文書に、ラベルの面に合わせた表が現れる。枠線が見えないときは、表のレイアウトの設定で[グリッド線の表示]を選ぶ
- [宛先の選択]から[既存のリストを使用]を選び、エクセルの住所録を選ぶ
- 左上の1枚目のラベルに、[差し込みフィールドの挿入]から郵便番号、住所、会社名、氏名、敬称を入れる。改行や文字の大きさもこの1枚目で整える
- [複数ラベルに反映]を押すと、1枚目の配置がほかのすべてのラベルにも写される
- [結果のプレビュー]で中身を確かめ、[完了と差し込み]から[文書の印刷]で印刷する
一覧にラベルの製品番号が見つからない場合は、[新しいラベル]を選び、ラベルの縦横の寸法と、用紙の端からの余白を入力すれば、自分で枠を作れます。寸法はラベルの箱に書かれていることが多いので、捨てずに取っておきます。
ラベル印刷で失敗しやすいのは、印刷の位置のずれです。いきなりラベル用紙に印刷せず、まず普通の紙に1枚印刷して、ラベル用紙と重ねて窓に透かしてみます。上下や左右にずれていたら、ラベルの設定で余白を調整します。プリンターの設定で「用紙に合わせて拡大縮小」が選ばれていると、全体が少し縮んでずれることがあるので、等倍で印刷する設定にしておきます。
もう1つ、ラベルの面数と件数の関係にも目を向けます。12面のラベルに30件を印刷すると、3枚目は6面が空いたまま残ります。余ったラベルは次回の印刷に使えますが、途中から印刷する設定は手間がかかるので、件数がラベルの面数の倍数に近くなるよう、まとめて送る時期を調整する人もいます。
はがきの宛名面を縦書きで印刷する
年賀状や暑中見舞い、季節の挨拶状のはがきの宛名面は、縦書きで、郵便番号の枠に数字を合わせる必要があります。普通の差し込み印刷で一から作ると大変ですが、日本語版のワードには、はがきの宛名面を作るための専用の手順が用意されています。Microsoftの年賀状の特集ページで案内されている流れは次のとおりです。
- エクセルで住所録を作って保存しておく
- ワードの[差し込み文書]タブで[はがき印刷]から[宛名面の作成]を選ぶ
- 「はがき宛名面印刷ウィザード」が開くので、はがきの種類(年賀や暑中見舞い、通常のはがきなど)を選ぶ
- 縦書きか横書きかを選ぶ
- 宛名と差出人の文字の形(フォント)を選ぶ
- 差出人の住所を印刷するかを決め、印刷する場合は入力する
- [既存の住所録ファイル]を選び、エクセルの住所録を指定する
- [完了]を押すと、宛名面の文書ができあがる
ウィザードとは、質問に答えながら順に設定を進める案内の画面のことです。答え終わると、郵便番号の枠に合わせた位置に宛名が入った文書ができ、[結果のプレビュー]で1件ずつ確かめられます。
夫婦や家族の連名で送りたい場合は、住所録に「連名」の列を作り、2人目の名前を入れておきます。宛名面の文書で、プレビューを解除して「«名»」の後ろで改行し、[差し込みフィールドの挿入]から連名の項目を加えます。連名の後ろにも敬称を入れ直すと、「太郎 様」「花子 様」と2人それぞれに敬称が付いた形になります。
縦書きの宛名で気になるのが、住所の番地の数字です。半角の数字のままだと横に寝て表示されることがあります。縦書きを選んだときに、ウィザードの書式の設定で番地の数字を漢数字に変える項目が出るので、そこにチェックを入れると「一丁目二番三号」のような形で印刷されます。
はがきに印刷する前に、プリンターの用紙の設定を「はがき」にしておくことも忘れないようにします。普通紙の設定のまま印刷すると、位置がずれたり、紙が詰まったりします。1枚目は書き損じてもよいはがきか、はがきの大きさに切った紙で試すと安心です。
ワードを使わずエクセルだけで差し込み印刷する方法
ワードを使わず、エクセルだけで差し込み印刷のようなことをする方法もあります。印刷用のシートを1枚作り、番号を入れると住所録からその番号の人の情報を引いてくる仕組みにして、番号を変えながら1件ずつ印刷するやり方です。
エクセルのVLOOKUP関数を使った差し込み印刷では、一覧ファイルから取得する情報を通し番号で切り替えながら、1件ずつ印刷していきます。印刷したい番号を入力して出力し、次の番号に変更して再度印刷、という手順を繰り返します。 出典: biz-maps.com
作り方は次のとおりです。
- 住所録のシートのA列に、1から順に通し番号を入れる(列の名前は「番号」など)
- 別のシートに、印刷したい書類の見た目を作る。宛名を出したいセルは空けておく
- 印刷用のシートの片隅(例えばH1)に、番号を入れるセルを作る
- 宛名を出したいセルに、VLOOKUP関数で住所録から引く式を入れる
VLOOKUP関数とは、表の左端の列から探したい値を見つけ、同じ行の指定した列の値を返す関数のことです。書式は「=VLOOKUP(探す値, 表の範囲, 何列目か, FALSE)」で、最後のFALSEは「完全に一致するものだけを探す」という指定です。住所録のシートの名前が「住所録」で、A列からG列にデータがある場合、氏名(6列目)を出すセルには次の式を入れます。
「=VLOOKUP($H$1,住所録!$A:$G,6,FALSE)」
同じように、住所は3列目、会社名は5列目と、列の番号を変えた式をそれぞれのセルに入れます。H1に「1」と入れれば1人目、「2」と入れれば2人目の宛名が表示されるので、番号を変えては印刷する、を繰り返します。
この方法のよい点は、ワードを使わずに済み、エクセルの書式で自由に見た目を作れることです。表の形をした請求書や納品書のように、エクセルで作るほうが楽な書類に向いています。一方で、件数が多いと番号を変えて印刷する操作が手間になります。数件から十数件までならこの方法、それより多いならワードとの組み合わせ、と考えておくと選びやすくなります。
番号のセルに住所録に無い番号を入れると、エラーの表示が出ます。IFERROR関数で式を囲み、「=IFERROR(VLOOKUP(…),"")」のようにしておくと、見つからないときは空欄になり、印刷物にエラーの文字が出るのを防げます。
差し込み印刷でよくあるトラブルと直し方
差し込み印刷の困りごとは、原因がある程度決まっています。症状ごとに整理しておきます。
「様様」と敬称が二重になる場合は、住所録の氏名のセルにすでに「様」が入っていて、さらに敬称の項目も差し込んでいます。氏名の列から敬称を取り除くか、文書から敬称の項目を外します。エクセルの[置換]で「 様」を空に置き換えると、一度に取り除けます。
住所録を選んだのに一覧が空になる、または途中で切れる場合は、表の途中に空の行があるか、データが別のシートに入っていることが考えられます。表を見直し、最初のシートにデータを集めます。
住所録を直したのに、ワードの宛名が古いままという場合は、ワードの側が古い住所録を覚えています。差し込み文書を開き直して住所録を読み込み直すか、[宛先の選択]からもう一度ファイルを選びます。エクセルの住所録を開いたままにしていると、ワードから読み込めないことがあるので、エクセルを閉じてから操作します。
日付が「10/23/2026」のような英語圏の並びで出る場合は、ワードが日付を独自の書式で表示しています。日付の列を、エクセルの側で文字列にしておくと、見た目どおりに差し込まれます。
空欄の項目のところで1行空いてしまう場合は、例えば住所2(建物名)が無い人の宛名で、住所の下に空の行ができる状態です。ラベルの[住所ブロック]の機能を使うと空の項目を詰めて表示できますが、日本の住所の並びに合わないことがあります。気になる場合は、住所1と住所2を1つの列にまとめて差し込む方法もあります。
Web版のワード(ブラウザで使うワード)では、差し込み印刷そのものは実行できません。Microsoftのヘルプにも、パソコンにインストールしたワードで作った差し込み文書を開くと、設定は保たれるものの、差し込み印刷の実行や設定の変更はできないと書かれています。差し込み印刷をする作業は、パソコンのワードで行います。
相手によって文面の一部を変える
差し込み印刷は、宛名だけでなく、文面の一部を相手ごとに変えることもできます。例えば、取引のある会社には「いつもお世話になっております」、初めて案内を送る相手には「突然のご案内失礼いたします」と書き分けたい場合です。
いちばん簡単なのは、住所録に「書き出し」のような列を作り、相手ごとの一文をエクセルの側で入れておく方法です。文書には、その列を差し込みフィールドとして入れるだけで済みます。列を増やすだけなので、エクセルに慣れた人ならすぐに使えます。
住所録の値によってワードの側で文面を切り替えたいときは、[差し込み文書]タブの[ルール]から[If...Then...Else]を選びます。条件にする項目(例えば「区分」)と、比べる値(例えば「取引先」)を指定し、一致したときの文と、一致しなかったときの文をそれぞれ入力します。住所録の「区分」の列に「取引先」と入っている人には1つ目の文が、それ以外の人には2つ目の文が印刷されます。
この切り替えは便利ですが、条件の値と住所録の値が1文字でも違うと、すべて「一致しない」側の文になります。「取引先」と「取引先 」のように末尾に空白が入っているだけでも一致しません。エクセルの側で、区分の列は入力規則のリストから選ぶ形にしておくと、表記の揺れを防げます。
金額や日付を相手ごとに差し込む場合は、表示の形にも気を配ります。エクセルで「1,000」と見えている金額が、ワードでは「1000」と区切りの無い形で出ることがあります。エクセルの側でTEXT関数を使い、「=TEXT(C2,"#,##0")」のように見せたい形の文字列にした列を作って、その列を差し込むと見た目どおりになります。
印刷する前に確かめること
差し込み印刷は、1回の操作で全件が一度に出ていきます。間違いに気づいたのが100枚刷ったあとでは、紙もインクも時間も無駄になります。印刷の前に、次の点を順に確かめます。
- 住所録の件数と、[アドレス帳の編集]でチェックが入っている件数が合っているか
- [結果のプレビュー]で、1件目だけでなく、最後の1件と、住所の長い人を確かめたか
- 建物名の無い人、会社名の無い人の宛名で、空の行や余計な空白が出ていないか
- 敬称が二重になっていないか、会社あてに「様」が付いていないか
- プリンターの用紙の設定が、普通紙、はがき、ラベルのどれに合っているか
- まず普通の紙に1枚から2枚だけ印刷し、位置と文字の大きさを確かめたか
プレビューの画面には、全件の中から特定の人を探す[受信者の検索]もあります。住所が長くて枠からはみ出しそうな人を、名前で探して確かめておくと安心です。
[完了と差し込み]から[個々のドキュメントの編集]で全件の文書を作り、ページ数を見るのも確実な点検の方法です。100件のつもりがページ数が98なら、どこかで2件が抜けています。途中から印刷し直したいときも、全件の文書を作っておけば、印刷の画面でページの範囲を指定するだけで済みます。
印刷が終わったら、使った住所録と差し込み文書に、印刷した日付と件数を記録しておきます。次に同じ案内を送るとき、前回どの人に送ったか、宛先不明で戻ってきた人は誰かを確かめられます。戻ってきた郵便物の住所は、その日のうちに住所録へ反映しておくと、次回も同じ相手に送り損ねる事態を防げます。
個人情報の住所録を扱うときに守りたいこと
差し込み印刷で使う住所録は、氏名と住所と電話番号がそろった、まさに個人情報のかたまりです。仕事で扱う場合は、印刷の手順と同じくらい、扱い方に気を配る必要があります。
まず、住所録のファイルを保存する場所と、受け渡しの方法を決めておきます。在宅で差し込み印刷の作業を受ける場合、依頼する側から住所録をメールの添付で受け取ることがありますが、パスワードを付けた圧縮ファイルとパスワードを同じメールで送る方法は、守りとしてはほとんど意味がありません。依頼する側が使っている共有のストレージで、閲覧できる人を絞ってやり取りするほうが安全です。
次に、作業が終わったら、手元のパソコンに残った住所録や、差し込みで作った全件の文書を削除します。印刷の失敗で出た紙も、そのまま捨てずにシュレッダーにかけます。宛名ラベルの台紙に、剥がしたあとのラベルの跡が残っていることもあるので、台紙ごと処分します。
送る相手の絞り込みにも注意します。案内を送ってよい人とそうでない人が同じ住所録に混ざっている場合、[アドレス帳の編集]でのチェックの外し忘れは、そのまま誤送付になります。印刷の前に、印刷する件数を確かめ、依頼する側と件数をすり合わせておくと、送ってはいけない人に送る事故を防げます。
最後に、差し込み印刷の文書を保存すると、住所録とのつながりも一緒に保存されます。差し込み文書のファイルを他人に渡すと、相手のパソコンでは住所録が見つからずエラーになるだけでなく、ファイルの場所の情報が相手に伝わります。文書のひな形だけを渡したいときは、つながりを外した状態で保存し直すと安心です。
事務の効率化を仕事にする道
差し込み印刷のように、手作業を仕組みに置き換える力は、それ自体が仕事になります。宛名の印刷、請求書の作成、顧客への案内の送付といった事務の作業を、エクセルとワードで自動化する依頼は、中小の会社や個人の事業者から多く出ています。
最近は、こうした効率化にAIを組み合わせる相談も増えています。住所録の表記の揺れを整える、案内状の文面を相手に合わせて書き分けるといった作業にAIを使い、業務の流れごと見直す支援の仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。顧客の一覧を使ったDMやメールの配信を、成果の数字まで見て改善する仕事はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で扱っています。
エクセルの関数やマクロから一歩進んで、業務用の小さなアプリを作る道もあります。住所録の管理から印刷までを1つの画面で済ませる仕組みを作るような依頼は、アプリケーション開発のお仕事の領域です。宛名ラベルや案内状の見た目を整える仕事はデザインと重なり、職種全体の収入の目安はデザイナーの年収・単価相場で確認できます。調査の回答者への案内状や謝礼の送付状など、名簿を扱う仕事の水準は研究者の年収・単価相場も参考になります。
事務の仕組み全体を見直す立場を目指すなら、経営の診断と助言を専門とする国家資格の中小企業診断士があります。医療機関の受付や会計で、患者への通知や請求の書類を扱う仕事に就きたい人には、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)が入り口になります。介護や福祉の現場で記録や通知の作業を電子化する取り組みは、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で紹介しています。
在宅ワークの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、事務の仕事を長く任される人は、頼まれた件数を印刷して終わりにせず、「次からは住所録を直すだけで済みます」という形にして渡しています。1回の作業の速さより、次回の手間を減らす仕組みを残すほうが、依頼する側には大きな価値になるからです。直接取引で依頼を受ける形なら、中間の手数料が差し引かれない分、こうした工夫がそのまま受け手の手取りの厚さとして返ってきます。仲介手数料0%で依頼する側と受ける側がつながる仕組みでは、その差がはっきり出ます。
差し込み印刷のできる人を探している依頼は、「宛名印刷」「DM発送」「データ入力と印刷」といった言葉で募集されていることが多くあります。依頼の文面を読むときは、件数、締め切り、住所録の受け渡しの方法、印刷と発送まで含むのかを確かめてから応募すると、あとで食い違いが起きにくくなります。
よくある質問
Q. エクセルだけで差し込み印刷はできますか?
できます。印刷用のシートを作り、番号を入れるとVLOOKUP関数で住所録からその番号の人の情報を表示する仕組みにして、番号を変えながら1件ずつ印刷します。ワードが無くても使え、エクセルで見た目を作りやすい請求書などに向いています。ただし件数が多いと番号を変える手間がかかるので、数十件を超えるならワードと組み合わせる方法が効率的です。
Q. 郵便番号の先頭の0が消えるのはなぜですか?
エクセルが郵便番号を数値として扱い、先頭の0を省いているためです。郵便番号の列を選んで表示形式を文字列にしてから入力し直すか、ハイフンを付けて「060-0001」の形で入力すると消えません。CSVのファイルを開く場合は、ダブルクリックで開かず、データのタブから読み込んで郵便番号の列を文字列に指定してください。
Q. Macのワードでも差し込み印刷はできますか?
できます。MicrosoftのヘルプではMac版のWord for Microsoft 365やWord 2024などでも差し込み印刷の手順が案内されています。ただし画面の配置やメニューの名前がWindows版と少し違うことがあります。一方、ブラウザで使うWeb版のワードでは、差し込み印刷の実行や設定の変更はできないため、パソコンにインストールしたワードを使います。
Q. 会社あてと個人あてで敬称を変えるにはどうしますか?
住所録に敬称の列を作り、会社や部署あては「御中」、個人あては「様」と1件ずつ入れておきます。ワードでは氏名の後ろに敬称の項目を差し込めば、相手ごとに正しい敬称が印刷されます。氏名のセルに直接「様」を書いてしまうと、敬称の項目と重なって「様様」になるので、氏名と敬称は必ず別の列に分けてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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