未経験からCROで働く|受け入れている募集と、慣れるまで

中西 直美
中西 直美
未経験からCROで働く|受け入れている募集と、慣れるまで

この記事のポイント

  • ✓未経験からCRO(開発業務受託機関)で働きたい人に向けて
  • ✓未経験者を受け入れている募集の種類
  • ✓職種ごとに求められる下地

「CROに興味はあるけれど、治験の仕事をしたことがない。未経験で入って、本当にやっていけるのだろうか」。

こういう不安を抱えて調べている方は、とても多いです。

先にお伝えしておきますね。CROは、未経験者を受け入れてきた歴史のある業界です。ただし「未経験可」という言葉には幅があり、どの募集なら入りやすいのか、入ったあとにどこでつまずきやすいのかを知っておくと、気持ちがずいぶん楽になります。

この記事では、未経験からCROで働くときに、受け入れている募集の種類と、入社してから慣れるまでの流れを、順を追ってお話しします。

CROが未経験者を受け入れてきた背景

まず、なぜCROは未経験者を受け入れているのか。ここを知っておくと、「自分は場違いではないか」という不安が少し和らぎます。

CROは、製薬会社から治験などの業務を引き受ける会社です。新薬の開発は国内外で続いていて、治験の件数や手続きの量に合わせて、人を確保し続ける必要があります。

一方で、CROの仕事は人の入れ替わりが一定程度ある職場でもあります。製薬会社へ移る人、別のCROへ移る人、専門職として独立する人。経験を積むほど選べる道が増えるため、どうしても人が動きます。

治験業界の経験者が書いた記事にも、こんな一文があります。

そして、その入れ替わる人は、経験者もいれば未経験者としてCROに入社してくる人もそれなりにいました。 出典: chikennochikara2.com

つまり、未経験で入ってくる人は、珍しい存在ではないということです。

経験者だけで人を埋めようとすると、業界の中で人を取り合うことになります。だから多くのCROは、医療や理系の下地がある人を採用し、社内で育てる仕組みを持っています。GCP省令と呼ばれる治験のルールの研修や、社内の手順書の研修、先輩に同行しての実地の研修などです。

ここで大事なのは、「育てる前提で採用している」ということ。

入社した時点で治験のことを知らなくても、それだけで評価が下がるわけではありません。見られているのは、学ぶ姿勢と、医療や科学の基礎があるかどうか、そして書類や期限を丁寧に扱えるかどうかです。

もう1つ、CROならではの事情があります。CROの仕事は、製薬会社から見れば「外に任せる業務」です。製薬会社が開発のすべてを自社で抱えず、CROに任せる流れが続いてきたことで、CROの側には、医療機関とのやり取りや書類の管理、データの点検といった仕事がまとまって集まるようになりました。仕事の量が多い分、職種の種類も多く、未経験者が最初に担当しやすい仕事が社内にある。これも、未経験者を受け入れやすい理由の1つです。

大丈夫ですよ。未経験であることは、スタート地点の違いにすぎません。ただ、どの入口から入るかによって、慣れるまでの道のりは変わります。次の章で、その入口の違いを見ていきましょう。

「未経験可」には2種類ある

求人票の「未経験可」という言葉。ここに落とし穴があります。

実は、CROの求人でいう「未経験」には、大きく2つの意味があるんです。

1つ目は「業界未経験可」です。治験やCROでの経験はなくてよいけれど、医療機関での臨床経験や、製薬会社以外の研究・品質管理の経験など、何らかの下地は求める、という意味です。

例えば、「CRA(臨床開発モニター)業界未経験可、薬剤師・看護師・臨床検査技師のいずれかの資格をお持ちの方」という書き方がこれにあたります。

2つ目は「職種未経験可」です。こちらは、社会人としての経験はあればよく、その職種そのものの経験は問わない、という意味。事務職から治験の文書管理へ、ITの仕事から統計プログラミングへ、といった移り方がこれにあたります。

求人検索を見ると、「事務へキャリアチェンジ、看護師・薬剤師・理系出身者、大募集」のように、医療職からの転身を歓迎する派遣の募集も出ています。こちらは業界も職種も未経験だけれど、医療系の知識を下地として求めている例です。

この2つを混同すると、「未経験可と書いてあったのに、書類で落ちた」ということが起こります。

こういう相談、本当によくあるんです。求人票を読み返してみると、応募条件の欄に小さく「医療系資格保有者」「理系学部卒」と書いてあった。「未経験可」は、「何もなくてよい」という意味ではなかったんですね。

もう1つ、年齢の書き方にも目を向けてみてください。年齢で応募を制限することは法律で原則として禁じられていますが、例外として、長期的なキャリア形成のために若い人を募集する場合などは認められています。「第二新卒歓迎」「若手の育成」といった表現がある募集は、20代から30代前半を想定していることが多いです。

だからといって、30代後半や40代で諦める必要はありません。臨床の経験が長い医療職の方は、その経験そのものが下地になります。自分がどちらの「未経験」にあたるのかを整理してから応募先を選ぶと、遠回りが減ります。

整理の仕方は簡単です。紙に「持っている資格」「これまでの仕事で毎日していたこと」「得意だった作業」の3つを書き出してみてください。資格の欄に医療系の資格があれば、業界未経験可の募集が視野に入ります。毎日していたことの欄に「書類の管理」「データの入力と点検」「期限のある手続き」があれば、職種未経験可の募集でも、そのまま活かせる経験があるということです。書き出してみると、思っていたより入口が多いことに気づく方も少なくありません。

未経験から入りやすい職種と、求められる下地

では、具体的にどの職種が未経験者を受け入れているのか。代表的なものを、求められる下地と一緒に整理します。

職種 未経験での入りやすさ 求められることが多い下地
CRA(臨床開発モニター) 業界未経験なら比較的多い 医療系資格、理系大卒、臨床経験
CRAアシスタント・治験事務 職種未経験でも入りやすい 事務経験、パソコン操作、正確さ
安全性情報(PV)の受付・入力 派遣を中心に募集が多い 医療系資格、理系の基礎知識
データマネジメント(DM) 業界未経験なら見られる 理系大卒、データ処理の経験
統計解析・プログラミング 職種経験を求められやすい 統計学、SASなどのプログラミング
メディカルライティング 未経験は少なめ 研究経験、論文執筆、英語

CRAは、未経験者の入口として最も知られている職種です。医療機関を訪問して治験が正しく進んでいるかを確認する仕事で、薬剤師や看護師、臨床検査技師などの資格を持つ人、理系の大学を出た人が、業界未経験で採用されることがよくあります。

CRAアシスタントや治験事務は、治験に必要な書類を集めて保管したり、CRAの訪問日程を調整したりする仕事です。医療系の資格がなくても、事務の経験があれば入りやすい職種です。ここで治験の流れを覚えてから、CRAや他の職種に進む人もいます。

安全性情報の受付・入力は、副作用などの症例情報をデータベースに入力する仕事です。求人検索では「在宅週4日」「電話対応なし」といった条件の募集が多く、医療職の方が、夜勤や立ち仕事から離れて働く入口にもなっています。

データマネジメントは、集まった治験データに矛盾がないかを点検する仕事です。理系の学部を出ていて、データを丁寧に扱える人なら、業界未経験でも採用されることがあります。

一方、統計解析やメディカルライティングは、専門の技能そのものが仕事の中身なので、職種経験を求められやすい傾向があります。ただ、大学院で統計を使って研究していた人、研究職で論文を書いていた人などは、業界未経験でも挑戦できる場合があります。

大切なのは、「どの職種なら入れるか」だけでなく、「どの職種なら自分の下地が活きるか」を考えることです。そのほうが、入社後に慣れるまでの時間も短くなります。

医療職から移る人がつまずきやすいところ

未経験からCROに移る人の中で、特に多いのが看護師や薬剤師などの医療職です。臨床の知識があるので、治験の内容そのものは理解しやすい。けれど、別のところでつまずくことがあります。

1つ目は、「患者さんと接しない」ことへの戸惑いです。

CRAの仕事は、医療機関を訪問しても、患者さんと直接話すことはほとんどありません。確認するのはカルテや記録で、話す相手は医師や治験コーディネーター(CRC)です。「目の前の人の役に立っている実感」が薄くなって、しばらく気持ちが落ち込む人もいます。

これは、とても自然な反応です。臨床で大切にしてきたものが、形を変えるのですから。

新しい薬が患者さんに届くまでの道のりを支えている、という実感は、半年から1年ほどして、担当した試験が節目を迎えたときに少しずつ湧いてくることが多いです。

2つ目は、「正解を自分で判断できない」ことです。

臨床では、目の前の状況を見て自分で判断し、動くことが求められます。CROでは、判断の根拠が治験の計画書や手順書、依頼者の指示にあり、自分の経験だけで決めてはいけない場面が多くあります。

「自分ならこうするのに」と思っても、手順書に沿って確認し、上長や依頼者に相談してから動く。このテンポの違いに、もどかしさを感じる人は少なくありません。

3つ目は、パソコンとメールの量です。

臨床では、記録は電子カルテでも、やり取りは口頭が中心だった人も多いはずです。CROでは、報告も相談も、基本はメールと書類です。1日に何十通ものメールを読み、表計算ソフトで進捗を管理し、会議資料を作る。この量に最初は圧倒されます。

私自身、仕事の場所を大きく変えたとき、同じような戸惑いを経験しました。それまで顔を見て話せば済んだことを、すべて文章で伝えなければならない。言葉を選ぶのに時間がかかって、1通のメールに30分かけていた時期があります。慣れるまでは、自分が仕事のできない人間になったような気がしたものです。

でも、それは能力の問題ではなく、道具と作法が変わっただけでした。

4つ目に、勤務時間の感覚の違いもあります。夜勤やシフト勤務から、平日の日中に働く生活へ変わると、最初は体が楽になったと感じる一方で、「時間が余っている気がして落ち着かない」という声もよく聞きます。生活のリズムが整うまでに、数か月かかることもあります。

医療職から移るあなたも、同じです。臨床で身につけた観察力や、記録を正確に残す習慣は、CROの仕事でそのまま活きます。最初の戸惑いは、場所が変わったことのサインにすぎません。

入社後、慣れるまでの流れ

未経験で入社したあと、どのくらいで仕事に慣れるのか。ここは、多くの方が気にしているところだと思います。

会社や職種によって違いはありますが、CRAを例にすると、おおよそ次のような流れになることが多いです。

時期 主な内容
入社から1〜2か月 座学の研修。治験の基礎、GCP省令、社内の手順書、使うシステムの操作
3〜6か月 先輩の医療機関訪問に同行。報告書の下書きを作り、レビューを受ける
6か月〜1年 一部の医療機関を担当として持つ。先輩がサポートにつく
1年〜 独り立ち。担当施設が増え、立ち上げから終了まで一通りを経験

最初の1〜2か月は、座学が中心です。治験がどういうルールで進むのか、どんな書類があるのか、どの順番で手続きが進むのかを学びます。ここで確認テストがある会社も多く、医療の知識があっても、ルールの細かさに驚く人がほとんどです。

3か月目以降は、先輩について医療機関を訪問します。自分で報告書を書いてみて、先輩から赤字を入れてもらう。このやり取りを何度も繰り返すうちに、「何を確認して、どう書けばよいか」が体に入っていきます。

半年から1年ほどで、担当する医療機関を少しずつ持つようになります。最初は症例の少ない施設や、治験が安定して進んでいる施設から任されることが多いです。

そして、1つの試験を立ち上げから終了まで経験すると、全体の流れがつながります。「あのときの書類は、ここで使うためのものだったのか」と腑に落ちる瞬間が来るんです。

この流れの中で、未経験者が特に苦労しやすいのが、報告書の書き方です。臨床の記録は、自分や同僚が読むためのものでした。CROの報告書は、依頼者や監査の担当者など、その場にいなかった人が読んで事実を把握できるように書く必要があります。「何を確認し、何が分かり、何をいつまでにするのか」を、誰が読んでも同じ意味に取れる言葉で書く。この感覚がつかめるまで、先輩の赤字が何度も入ります。赤字の多さは、指導が丁寧な証拠だと受け止めてください。

安全性情報の入力やCRAアシスタントなどの職種では、この期間がもう少し短く、数週間の研修のあとに、先輩のチェックを受けながら実務に入ることが多いです。

慣れるまでの間、気持ちが一番揺れやすいのは、実は入社3か月前後です。座学が終わり、現場に出始めて、覚えることの多さと自分のできなさに向き合う時期。

こういう相談、よく受けます。「半年たっても、分からないことばかりです」と。

大丈夫。1年目で全体がつながらないのは、普通のことです。焦らなくていいんです。1つの試験を最後まで見届けることを、最初の目標にしてみてください。

最初の半年の気持ちの揺れと、その整え方

仕事の中身に慣れることと、気持ちが落ち着くことは、実は別々に進みます。ここでは、未経験でCROに入った人が最初の半年に感じやすい気持ちの揺れと、その整え方をお話しします。

入社して最初の数週間は、新しい環境への期待で気持ちが前を向いています。研修で新しい知識を学ぶことは、それ自体が刺激になります。

ところが、1か月、2か月とたつと、少しずつ疲れが出てきます。覚えることが終わらない。周りの会話が分からない。前の職場なら頼られていたのに、今は質問ばかりしている。

この「前はできていたのに」という感覚は、医療職や、ある程度の経験を積んでから移った人ほど強く出やすいです。心理学では、環境が大きく変わったあとに一時的に気持ちが沈む状態を、適応の途中の反応として説明することがあります。つまり、おかしなことが起きているのではなく、新しい場所に体と心が合わせようとしている途中なんです。

では、どう整えればよいか。私がよくお伝えしている方法を3つ挙げますね。

1つ目は、「できるようになったこと」を週に1回書き出すことです。「略語を5つ覚えた」「報告書の赤字が前回より減った」。小さなことで構いません。できないことばかりに目が向く時期だからこそ、前に進んでいる証拠を自分の手で残しておくことが支えになります。

2つ目は、同じ時期に入った人と話すことです。同期がいれば、同じ場所でつまずいていることが分かるだけで、ずいぶん気持ちが軽くなります。同期がいない場合は、少し先に入社した先輩に「最初の半年、どうでしたか」と聞いてみてください。多くの人が、同じ揺れを通ってきています。

3つ目は、仕事と生活の境目をつくることです。在宅勤務の日は特に、終業後もメールが気になって、ついパソコンを開いてしまいがちです。終業の時間になったら、パソコンを閉じて部屋を出る、散歩に行く、といった「区切りの行動」を決めておくと、頭の切り替えがしやすくなります。

それでも、眠れない日が続く、食欲が落ちる、朝起きるのがつらい、といった状態が2週間以上続くときは、一人で抱えずに、社内の産業医や外部の相談窓口、医療機関に相談してください。無理をして乗り切ろうとしないことも、長く働き続けるための大切な選択です。

慣れるまでに押さえておきたい言葉と習慣

未経験で入った人が、最初の数か月で「これを先に知っていれば」と感じることが多いのが、専門用語と、仕事の習慣です。

まず、言葉です。CROの職場では、アルファベットの略語が日常的に飛び交います。代表的なものをいくつか挙げておきますね。

略語 意味
GCP 治験を実施するときの基準。日本では省令で定められている
SDV カルテなどの記録と、症例報告書の内容を突き合わせる確認作業
EDC 症例のデータを電子的に入力・管理するシステム
IRB 治験を実施してよいかを審議する治験審査委員会
ICF 患者さんが治験に参加することに同意したことを示す同意文書
SAE 重篤な有害事象。定められた期限で報告が必要になる
SOP 社内の標準業務手順書

最初は会議で飛び交う略語が聞き取れず、話についていけないこともあります。自分用の用語メモを作り、分からない言葉が出たら書き足していくと、3か月ほどで会話の意味が取れるようになります。

次に、習慣です。

1つ目は、「記録に残す」習慣です。治験の世界では、記録に残っていないことは、やっていないのと同じと扱われます。電話で確認したことも、あとでメールや記録に残す。この習慣が早く身につく人ほど、慣れるのが早いです。

2つ目は、「期限から逆算する」習慣です。報告書の提出期限、IRBの開催日、重篤な有害事象の報告期限。多くの作業に期限があり、1日遅れると次の工程がずれます。毎朝、今週の期限を見直すだけでも、焦りがずいぶん減ります。

3つ目は、「分からないことを早めに聞く」習慣です。未経験者がつまずく大きな原因の1つが、「自分で調べてから聞こう」と抱え込んでしまうこと。手順書に書いていないことは、どれだけ調べても分かりません。

「こんなことを聞いてもいいのかな」と思ったら、それはきっと、聞いていいことです。

4つ目は、「依頼者の立場で考える」習慣です。CROの仕事は、最終的には製薬会社から受けた仕事です。報告書を書くときも、メールを送るときも、「これを受け取った依頼者の担当者は、次に何をしなければならないか」を考えると、何を先に書けばよいかが見えてきます。医療機関の側に立ってきた医療職の方にとっては、最初は少し不思議な視点かもしれません。けれど、この視点が身につくと、仕事の優先順位が自然と整っていきます。

周りの先輩も、みんな最初は同じ場所にいました。あなたは一人じゃありません。

未経験者の応募書類と面接で見られること

未経験からCROに応募するとき、書類と面接で何を伝えればよいのか。ここも不安の多いところだと思います。

未経験者の場合、治験の経験がない分、「これまでの経験が、CROのどの仕事にどうつながるか」を具体的に書くことが大切です。

例えば看護師なら、「患者さんの状態の変化を記録し、医師に報告してきた経験」は、CRAが医療機関で逸脱や有害事象の情報を確認し、依頼者に報告する仕事とつながります。

薬剤師なら、「医薬品の管理や、添付文書を読み込んで情報提供してきた経験」は、治験薬の管理状況の確認や、安全性情報の仕事とつながります。

事務職なら、「複数の部署から書類を集め、期限までに不備なくまとめてきた経験」は、治験事務や立ち上げの手続きの仕事とつながります。

大切なのは、仕事の名前ではなく、中身で語ることです。

面接でよく聞かれるのは、次のようなことです。

・なぜ臨床(または今の仕事)を離れてCROを選ぶのか ・CROの仕事内容をどう理解しているか ・外勤や出張、パソコン作業が多いことをどう考えているか ・分からないことがあったとき、どう対処してきたか ・英語に抵抗はないか

特に1つ目の「なぜCROか」は、ほぼ必ず聞かれます。「夜勤がつらいから」「人間関係に疲れたから」という本音があっても、それだけを伝えると、「つらくなったらまた辞めるのでは」と受け取られかねません。

本音を否定する必要はありません。ただ、「臨床で患者さんと向き合う中で、新しい薬が届くまでの過程に関わりたいと思うようになった」というように、次に向かいたい方向と一緒に伝えると、面接官にも伝わりやすくなります。

2つ目の「仕事内容の理解」も大切です。CROのウェブサイトや業界団体の資料を読み、職種ごとの1日の流れをイメージしてから面接に臨んでください。「医療機関を回る仕事」とだけ思っていると、報告書や会議の多さを説明されたときに戸惑ってしまいます。

3つ目の「外勤や出張、パソコン作業」への質問は、入社後のミスマッチを防ぐためのものです。「体力には自信があります」とだけ答えるより、「前職でも複数の病棟を移動しながら記録を管理していました」「表計算ソフトで勤務表を作っていました」のように、似た経験を添えて答えると説得力が増します。

4つ目の「分からないことへの対処」では、一人で抱え込まずに、誰にどう相談してきたかを話せると安心されます。CROの仕事は、手順書と相談で進める仕事だからです。

英語については、未経験の募集で高い水準を求められることは多くありません。ただ、英語の資料を読む場面はあるので、「辞書を使えば読める」「学び直している」と伝えられると安心材料になります。

求人票で、受け入れ体制を見分けるポイント

最後に、未経験で応募するときに、求人票のどこを見れば、その職場の受け入れ体制が分かるのかを整理します。

1つ目は、研修の中身と期間です。「研修制度あり」だけでなく、「入社後2か月の集合研修」「先輩CRAによる同行研修」のように、具体的な期間や方法が書かれているかを見てください。書き方が具体的な会社は、未経験者を育てた実績があることが多いです。

2つ目は、同じ時期に入社する人数です。「未経験者の同期入社あり」「年間複数名採用」といった記載があれば、研修が集合型で行われ、同じ立場の仲間がいる可能性が高くなります。一人で入社するより、気持ちの支えになります。

3つ目は、配属の考え方です。CROの中には、自社で受託した試験を担当する働き方と、製薬会社などに出向いて働く「外部就労」の働き方があります。未経験のうちに外部就労に配属されると、就労先のルールに合わせながら治験の基礎を覚えることになり、負担が大きくなることがあります。入社後しばらくは自社内で経験を積めるかどうかを、面接で聞いておくと安心です。

4つ目は、雇用形態です。正社員のほか、派遣や契約社員での募集もあります。派遣で安全性情報や治験事務の経験を積み、その後に正社員として応募する人もいます。求人検索では「未経験OK、正社員登用あり」といった募集も見られます。最初の入口として、選択肢を広く持っておくのも1つの方法です。

5つ目は、在宅勤務の条件です。未経験のうちは、分からないことをその場で聞ける環境のほうが慣れるのが早い傾向があります。「入社後しばらくは出社、慣れてから在宅併用」という会社もあり、これはむしろ未経験者にとってありがたい仕組みだと考えてください。

6つ目は、残業と出張の書き方です。CRAの募集なら「出張あり(日帰り中心)」「担当エリアは首都圏」のように、移動の範囲が書かれているかを確認してください。未経験のうちは、移動に慣れるだけでも体力を使います。子育てや介護など、家庭の事情で遠方への出張が難しい場合は、応募の前に確認しておくと、入社後の食い違いを防げます。

そして、面接の場で「未経験で入社した人は、どのくらいで独り立ちしていますか」と聞いてみてください。この質問への答え方で、その会社が未経験者をどう見ているかが、かなり伝わってきます。

運営者として見てきた、未経験から専門職に移る人のこと

20年にわたってフリーランスや在宅ワークの市場を見てきた立場から言えば、未経験から新しい専門分野に移って長く続く人には、共通点があります。それは、最初の1年を「成果を出す期間」ではなく、「仕組みを覚える期間」と割り切っていることです。焦って成果を求めるほど、分からないことを抱え込み、つまずきが大きくなります。

治験の周辺では、経験を積んだ後に、安全性情報の評価やメディカルライティング、翻訳などを業務委託で請け負う人もいます。運営者として見てきた限りでは、発注者と直接つながる関係を築いた人ほど、仲介の手数料が乗らない分、依頼する側は同じ予算で多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなっています。手数料0%の直接取引の良さは、金額の大きさより、この「双方が得をする」関係の質にあります。ただ、それはあくまで、CROで基礎を身につけた先の話です。

CROに未経験で移る人の多くが持っている資格について、年収の相場や働く場所ごとの違いは、看護師の年収・単価相場と薬剤師の年収・単価相場にまとめています。臨床に残った場合と比べて、条件がどう変わるかを考える材料にしてください。

また、「自分の経験がCROのどの職種につながるのか、一人では整理しきれない」と感じたら、キャリアの専門家に相談するのも1つの方法です。キャリア相談を担う国家資格についてはキャリアコンサルタントで、そうした相談を受ける仕事の広がりは職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。

未経験からCROで働くことは、決して特別な挑戦ではありません。入口を選び、最初の1年を仕組みを覚える期間として過ごせば、少しずつ景色は変わっていきます。自分のペースで、一歩ずつ進んでくださいね。

よくある質問

Q. 医療系の資格がなくても未経験でCROに入れますか?

入れる職種はあります。CRAアシスタントや治験事務、立ち上げ手続きの補助などは、事務経験があれば医療系資格がなくても採用されることがあります。データマネジメントは理系の学部卒を歓迎する募集が見られます。一方、CRAや安全性情報の評価は、医療系資格や理系の下地を求める募集が中心です。求人票の応募条件欄を必ず確認してください。

Q. 未経験でCROに入社してから独り立ちまでどのくらいかかりますか?

CRAの場合、座学研修、先輩への同行、一部施設の担当を経て、独り立ちまで1年前後かかることが多いです。1つの試験を立ち上げから終了まで経験すると、全体の流れがつながります。安全性情報の入力や治験事務は研修期間が短く、数週間から数か月で先輩のチェックを受けながら実務に入る形が一般的です。

Q. 30代後半や40代でも未経験からCROに転職できますか?

可能性はあります。若手の育成を目的とした募集は20代から30代前半を想定していることが多いものの、看護師や薬剤師など臨床経験の長い人は、その経験自体が評価される場合があります。派遣の安全性情報や治験事務から経験を積み、正社員を目指す人もいます。年齢よりも、これまでの経験がどの職種につながるかを具体的に示すことが大切です。

Q. 未経験でCROに応募するとき英語はどのくらい必要ですか?

未経験者向けの募集で、高い英語力を条件にしていることは多くありません。ただし、治験の資料や手順書には英語のものがあり、読む場面は日常的にあります。国際共同治験を多く扱う会社では会議で使うこともあります。面接では、辞書を使えば読めること、学び直していることなど、抵抗がない姿勢を伝えられると安心材料になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月12日最終更新:2026年9月18日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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