子育てしながらCROで働く|シフトの融通と、頼れる制度

長谷川 奈津
長谷川 奈津
子育てしながらCROで働く|シフトの融通と、頼れる制度

この記事のポイント

  • 子育てしながらCROで働くとき
  • 職種ごとに時間の融通はどう違うのか
  • DMや安全性情報の在宅勤務

「病棟の夜勤と子育ての両立が限界で、CROなら続けられるかもしれない」。こういう相談、実はとても多いんです。

結論から言うと、CROは子育て中の人が働き続けやすい条件がそろいやすい職場です。夜勤が無く、在宅勤務やフレックスタイム制を取り入れている会社が多いからです。ただし、職種によって時間の融通の利き方がまったく違います。そして、会社の制度だけでなく、法律で使える権利を知っているかどうかで、働きやすさは大きく変わります。

この記事では、CROという職場の中で時間がどう流れているのかを先に整理し、職種ごとの融通の利き方、2025年に改正された育児・介護休業法で使える制度、求人票で確かめる行を順番にお伝えします。

CROの職場では、時間がどう流れているのか

まず、CROという職場のリズムを知っておきましょう。病院とはかなり違います。

CROは、製薬会社から治験の業務を請け負う会社です。社員が患者さんに直接会うことは基本的に無く、仕事の中心は、病院の外から治験の進み具合を確かめ、データを整え、報告書にまとめることです。つまり、「今この瞬間に誰かがいないと困る」という仕事が少ないんですね。

病院やクリニックでは、勤務表に沿って交代で持ち場を守ります。誰かが休めば、誰かが代わりに入る必要があります。CROでは、仕事の単位は「試験」というプロジェクトで、締め切りが決まっています。極端に言えば、締め切りまでに必要な作業が終わっていれば、それを朝やるか夕方やるかは、ある程度自分で組み立てられます。

この「シフトではなく、締め切りで動く」という性質が、子育てとの両立を考えるうえでの出発点です。保育園のお迎えに合わせて夕方に仕事を切り上げ、子どもが寝た後に少しだけメールを確認する、といった働き方がしやすいのはこのためです。

一方で、締め切りで動く職場には、別の大変さもあります。日本CRO協会のQ&Aでは、残業について次のように説明されています。

・会社によって異なるものの、携わるプロジェクトなどによって繁忙時期がある業界である ・各社、仕事にメリハリをつけて就業している

たとえば、試験のデータを確定させる前の時期や、報告書の提出が迫った時期は、どうしても作業が集中します。「普段は定時で帰れるけれど、数か月に1度、忙しい週がある」というリズムを想定しておくと、入社後のギャップが小さくなります。

もう1つ知っておきたいのは、CROは会社として両立支援に力を入れやすい業界だということです。日本CRO協会は、CROで働く魅力の1つとして次のように書いています。

また、“人”が資本の仕事であることから、CRO各社は独自の教育・研修制度や福利厚生制度を整備しており、キャリアアップやワークライフバランスへの支援が充実していることも大きな魅力です。 出典: jcroa.or.jp

専門知識を持つ社員が辞めてしまうと、会社にとっては大きな損失です。だからこそ、子育て中でも辞めずに働き続けてもらう仕組みを整える動機が、会社の側にもあります。

職種によって、時間の融通はこれだけ違う

CROの中には、いくつもの職種があります。子育てとの両立という視点で見ると、融通の利き方ははっきり分かれます。

CRA(臨床開発モニター)

CRAは、治験を行う病院を訪問して、試験が手順どおりに進んでいるかを確かめる仕事です。日本CRO協会のQ&Aでは、出張について「週の半分は出張、もう半分は内勤という会社が多い」と答えています。

子育て中の人にとっての壁は、この出張です。担当する病院が遠方にあると、朝早く家を出て、帰りが遅くなる日が出てきます。宿泊を伴う出張が入ることもあります。医師との面談は外来の合間になるため、時間を自分で選べない場面もあります。

ただ、最近は変化もあります。病院の電子カルテに社外から接続して記録を確認するリモートでのモニタリングが広がり、訪問の回数を減らせる試験が増えています。また、会社によっては、子育て中のCRAに近隣の病院を優先して割り当てる、日帰りで行ける範囲に担当を絞るといった配慮をしているところもあります。CRAを続けたいなら、こうした配慮の実績があるかどうかが、会社選びの大きな分かれ目になります。

データマネジメント(DM)

DMは、病院から集まった症例データを画面上で点検する仕事です。パソコンとシステムがあれば仕事ができるので、在宅勤務との相性がとても良い職種です。出張もほとんどありません。子育て中の人が、CRAからDMに職種を変えて働き続けるケースもあります。

安全性情報(PV)

副作用などの安全性情報を評価し、報告書にまとめる仕事です。これも机に向かう時間が中心で、在宅勤務を取り入れやすい職種です。ただし、重篤な副作用の報告には当局への報告期限が決まっているため、報告が入ったタイミングによっては、急ぎの対応が必要になることがあります。チームで当番を回している会社が多いので、その当番の仕組みを確かめておくと安心です。

メディカルライティング・統計解析

文書を書く仕事や、データを解析する仕事も、在宅と相性が良い職種です。成果物の締め切りで動くため、時間の組み立てがしやすい一方で、締め切り前は作業が集中します。

QC・事務・アシスタント

文書の点検や管理を担う仕事で、派遣社員の募集も多い職種です。勤務時間が決まっている分、残業が少ない傾向があります。「まずは短い時間から、医療に関わる仕事に戻りたい」という人の入口にもなります。

こうして見ると、子育てとの両立を最優先にするなら、在宅と相性の良いDMやPVが働きやすく、CRAは会社の配慮と試験の形によって大きく変わる、ということが分かります。

子育て中の1日を、職種別に並べてみる

言葉だけでは想像しにくいので、保育園に通う子どもがいる場合の1日を、よくある例で並べてみます。あくまで一例で、会社の制度や試験の状況によって変わります。

DMで、在宅勤務と時短を組み合わせる日

時間 動き
7:00 起床、朝食、登園の準備
8:30 保育園に送り、そのまま帰宅
9:00 在宅で業務開始。メールと問い合わせの回答を確認
10:00 症例データの点検、病院への問い合わせの作成
12:00 昼休み
13:00 チームのオンライン会議、点検の続き
16:00 当日の作業記録を残して業務終了
16:30 保育園へお迎え

通勤が無い分、朝と夕方に余裕が生まれます。1日6時間の短時間勤務でも、会議がオンラインなら参加しやすく、チームから外れている感覚になりにくいのが在宅の良さです。

CRAで、日帰りの訪問がある日

時間 動き
6:30 起床。お迎えは家族に頼んである
7:30 家族が保育園に送り、自分は駅へ
9:30 担当病院に到着、治験事務局と打ち合わせ
10:00 カルテと症例報告書の照合
13:30 医師との面談(外来の合間の短い時間)
15:00 治験薬の保管状況の確認、次回の日程調整
16:00 帰りの電車でメール対応
18:00 帰宅。報告書の下書きは翌日の内勤日に回す

訪問日は、家族の協力やファミリーサポートなど、お迎えを誰かに頼む手当てが必要になります。逆に言えば、内勤の日を在宅にできる会社なら、週の半分は子どもとの時間を確保しやすくなります。CRAを続けるかどうかは、この訪問日を月に何日まで許容できるかで考えると判断しやすいです。

どちらの例にも共通しているのは、「その日のうちに作業の記録を残してから終える」ことです。翌朝に子どもの体調が崩れて急に休むことになっても、記録さえ残っていれば、同僚が状況を把握して代わりに対応できます。CROの仕事は、この記録の習慣が両立の安全網になります。

法律で使える制度を、まず知っておく

ここからは、会社の制度とは別に、法律で認められている権利の話です。これ、知らない人が本当に多いんです。

育児・介護休業法は、子育て中の労働者が使える制度を定めた法律です。つまり、会社の就業規則に書いていなくても、条件を満たせば請求できる権利があります。しかも、この法律は2024年に改正され、2025年4月と10月に段階的に施行されました。厚生労働省は、改正の柱を次のように示しています。

令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正されました。 1 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充 2 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化 3 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等 出典: mhlw.go.jp

子育て中の人に関係の深いものを、厚生労働省のリーフレットに沿って整理します。

2025年4月から変わったこと

・子の看護等休暇:対象が「小学校就学前まで」から「小学校3年生修了まで」に広がりました。取得できる理由に、感染症による学級閉鎖や、入園式・入学式・卒園式が加わっています。日数は、1年に5日、子どもが2人以上なら10日です。 ・残業の免除(所定外労働の制限):請求できる人が「3歳未満の子を育てる人」から「小学校就学前の子を育てる人」に広がりました。 ・3歳未満の子を育てる人がテレワークを選べるようにすることが、会社の努力義務になりました。 ・男性の育児休業の取得率などを公表する義務が、従業員1,000人超の企業から300人超の企業に広がりました。

2025年10月から変わったこと

3歳から小学校に入る前の子を育てる人について、会社は次の5つの中から2つ以上の措置を用意しなければならなくなりました。

・始業時刻などの変更(フレックスタイム制や時差出勤) ・テレワーク等(1か月に10日以上) ・保育施設の設置運営など(ベビーシッターの手配や費用負担など) ・養育両立支援休暇(1年に10日以上) ・短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの)

働く人は、会社が用意した措置の中から1つを選んで使えます。さらに会社は、子どもが3歳になる前の適切な時期に、これらの制度を個別に知らせ、利用の意向を確かめなければなりません。妊娠や出産を申し出たときにも、勤務時間帯や勤務地、業務量などについての意向を個別に聞き、配慮することが義務になっています。

つまり、2025年10月以降は、3歳を過ぎても「短時間勤務か、在宅か、時差出勤か」を選べる仕組みが、法律で後押しされているということです。CROは在宅やフレックスとの相性が良い職場なので、この改正の恩恵を受けやすいと言えます。

※ 制度の細かい対象条件は、雇用の形や会社の労使協定によって変わることがあります。自分に当てはまるか分からないときは、会社の人事部か、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。

妊娠が分かってから復職するまでの動き方

CROで働いている途中で妊娠が分かった場合の流れも、先に知っておくと慌てずに済みます。

休業の期間

産前は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から、本人が請求すれば休むことができ、産後は8週間、原則として働くことができません。その後、子どもが1歳になるまで育児休業を取ることができ、保育園に入れないなどの事情があれば、最長で2歳まで延ばせます。

お金の面で使える制度

育児休業中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。休業を始めてから180日までは休業前の賃金の67%、それ以降は50%が目安です。また、育児休業中は、申出によって健康保険と厚生年金の保険料が免除されます。

さらに2025年4月からは、子の出生直後に両親がともに一定期間の育児休業を取った場合に上乗せされる出生後休業支援給付金や、2歳未満の子を育てるために短時間勤務で働いて賃金が下がった場合に支給される育児時短就業給付金も始まっています。これ、知らない人が本当に多いんです。支給の条件は細かいので、ハローワークや会社の人事部で確かめてください。

CROならではの引き継ぎのタイミング

CROで気をつけたいのは、担当している試験の引き継ぎです。試験には、症例の登録、データの確定、報告書の作成といった区切りがあります。妊娠を会社に伝える時期が早いほど、区切りの良いところで後任に引き継ぐ計画を立てやすくなります。つまり、報告を早めることは、自分のためだけでなく、試験の品質を守ることにもつながるんです。

復職のときに職種を見直す

復職の際に、出張のあるCRAから在宅と相性の良いDMやQCへ、一時的に職種や担当を変える人もいます。2025年10月からは、子どもが3歳になる前などに、会社が働き方についての意向を個別に聞き、配慮することが義務になっています。この面談の場を、職種や担当範囲の相談に使うこともできます。

パートナーの育児休業も、あわせて考える

子育ての負担を1人で抱えないためには、パートナーの働き方も一緒に考えることが欠かせません。子の出生後8週間以内に最大4週間まで取れる出生時育児休業(産後パパ育休)は、2回に分けて取ることもできます。出産直後の時期や、自分が復職する時期に合わせてパートナーが休むと、生活の立て直しがかなり楽になります。CRAのように出張がある職種を続けるなら、訪問日にお迎えを代わってもらえるかどうかを、復職前に夫婦で具体的に話し合っておきましょう。

派遣でCROに入る場合に、知っておきたいこと

子育て中の人がCROで働き始めるとき、派遣社員として入るケースも少なくありません。データの点検補助や文書管理など、派遣の募集が多い職種があるからです。

派遣の良さは、勤務時間や日数の条件を先に決めて仕事を探せることです。「9時半から16時まで」「週4日」といった条件で探しやすく、残業が少ない職場も見つけやすいです。

CROの派遣の仕事は、データの点検補助、治験の文書管理、安全性情報の症例登録の補助、CRAの事務サポートなどが中心です。時給は地域や業務の難しさによって違いますが、首都圏では1,500円から2,000円前後の募集がよく見られ、看護師や薬剤師の資格を活かす業務ではそれより高く設定されることもあります。

派遣で働く人にも、同じ職場で働く正社員との不合理な待遇の差を設けてはならないという、同一労働同一賃金のルールが適用されています。つまり、通勤手当や休憩室の利用などで、派遣だからという理由だけで差をつけることは認められません。

ここで、よくある誤解を1つ解いておきます。「派遣だから育児休業は取れない」と思い込んでいる人がいますが、そうではありません。有期の契約で働く人も、子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了することが明らかでなければ、育児休業を取ることができます。以前あった「同じ会社に1年以上雇われていること」という条件は、2022年の改正で原則として無くなっています。つまり、派遣で働き始めてすぐでも、条件によっては育休の対象になり得るということです。

こんな相談を受けたことがあります。派遣でデータ入力の仕事をしていた方が、2人目の妊娠を派遣会社に伝えたところ、「契約更新は難しいかもしれない」と言われて、そのまま諦めかけていたんです。妊娠や出産、育児休業の申出を理由にした不利益な扱いは、法律で禁止されています。結果として、その方は派遣会社の担当者と改めて話し、育休を取ったうえで同じ職場に戻ることができました。知っているかどうかで、選べる道が変わる典型的な例です。

派遣で働く場合に注意したいのは、次の点です。

・育児休業や子の看護等休暇の申出先は、派遣先ではなく派遣元(派遣会社)であること ・契約期間と更新の見込みを、妊娠や出産の予定と合わせて早めに確認しておくこと ・在宅勤務の可否は派遣先の運用によるため、契約前に確かめること ・社員登用の実績があるか、登用後に時短や在宅の制度を使えるかを聞いておくこと

※ 契約の打ち切りなど、不利益な扱いを受けたと感じたときは、1人で抱え込まずに都道府県労働局に相談してください。状況によっては弁護士への相談も検討しましょう。

求人票で、両立のしやすさを確かめる行

同じCROでも、子育てとの両立のしやすさは会社ごとに違います。求人票や会社の採用ページを読むときは、次の行を順番に確かめてみてください。

在宅勤務の日数と対象の職種

「在宅勤務可」とだけ書かれている場合、全職種が対象なのか、DMなど一部の職種だけなのか、月に何日まで使えるのかが分かりません。「週3日まで在宅可」「DMはフル在宅可」のように具体的に書かれている会社は、運用が定着していることが多いです。

フレックスタイム制とコアタイム

フレックスタイム制がある場合は、コアタイム(必ず勤務する時間帯)の有無と時間帯を確かめます。コアタイムが無いか短いほど、保育園の送り迎えに合わせやすくなります。

短時間勤務の対象年齢

法律で義務になっている短時間勤務は3歳未満の子が対象ですが、会社独自に「小学校3年生まで」「小学校卒業まで」と広げているところもあります。この年齢の書き方は、会社がどこまで両立支援に本気かを示すサインの1つです。

育児休業の取得実績と復職率

「育休取得率100%」だけでなく、「復職率」や「時短勤務中の社員数」が書かれていると、休んだ後に戻って働ける環境かどうかを判断しやすくなります。従業員300人超の企業は男性の育児休業の取得率などを公表する義務があるので、厚生労働省の「両立支援のひろば」で確かめられることもあります。

出張の頻度と担当エリア

CRAの求人では、出張の頻度、担当エリア、宿泊を伴う出張の有無を確かめます。書かれていなければ、面接で「子育て中のCRAはどのように担当を決めていますか」と聞いて大丈夫です。聞いたことで評価が下がるような会社なら、入社後も両立は難しいと考えたほうがよいでしょう。

残業時間の平均と繁忙期

「月平均残業15時間」のような数字だけでなく、繁忙期にどのくらい増えるのかを聞いておくと、生活の見通しを立てやすくなります。

くるみん認定

厚生労働省の「くるみん」認定は、子育て支援に取り組む企業が一定の基準を満たすと受けられるものです。認定を受けているかどうかは、会社選びの手がかりの1つになります。

入社してから、両立を続けるために

制度がそろった会社に入っても、実際に使い続けられるかどうかは、日々の働き方にかかっています。CROで子育てと両立を続けている人に共通している工夫を、いくつか紹介します。

締め切りを「自分の締め切り」に置き直す

試験の締め切りは動かせません。だからこそ、自分の作業の締め切りを、本来の期限より2日から3日前に置いておくと、子どもの急な発熱で休んだときにも、チームに迷惑をかけずに済みます。これは、締め切りで動くCROならではの両立の作法です。

引き継ぎを「いつでも渡せる状態」にしておく

子どもの体調で急に休むことは、避けられません。作業の進み具合や、病院とのやり取りの経緯を、共有のフォルダやシステムに毎日残しておく習慣があると、誰かに引き継ぐ負担が小さくなります。CROは記録を残す文化が強い職場なので、この習慣は評価にもつながります。

繁忙期の予定を、家族と先に共有する

データの確定や報告書の提出の時期は、数か月前から分かっていることが多いです。その週だけは家族にお迎えを頼む、一時保育の予約を先に入れておく、といった準備をしておくと、忙しい時期を乗り切りやすくなります。

子どもの急な体調不良に、先に手を打っておく

保育園に通い始めた最初の1年は、子どもが熱を出して呼び出される日が想像以上に多くなります。病児保育の施設や、自治体のファミリーサポートは、実際に使う前に登録や面談が必要なことがほとんどです。入社や復職が決まったら、仕事が始まる前に登録を済ませておきましょう。在宅勤務ができる会社でも、熱のある子どものそばで集中して仕事をするのは現実的ではありません。子の看護等休暇と、預け先の確保を組み合わせて考えるのが現実的です。

チームに「連絡のつく時間」を伝えておく

在宅や時短で働いていると、周りから「いつなら連絡がつくのか」が見えにくくなります。社内のチャットの予定表に、勤務時間とお迎えの時間を入れておく、急ぎの連絡は何時までに欲しいかを伝えておく。こうした小さな工夫で、チームは安心して仕事を頼めるようになります。CROは社外とのやり取りも多いので、病院や製薬会社への返信の目安を決めておくことも大切です。

制度の利用を、遠慮せずに申し出る

これ、とても大事なことです。育児・介護休業法の制度は、会社の好意ではなく、働く人の権利です。2025年10月からは、会社の側から個別に制度を知らせ、意向を確かめることが義務になっています。「周りに悪いから」と黙って無理を重ねるより、早めに相談して働き方を整えるほうが、結果として長く働き続けられます。

私自身、仕事と家庭の予定が重なった時期に、「言い出しにくい」と先延ばしにして、結局は締め切りの直前に周りに頭を下げることになった苦い経験があります。早く伝えていれば、担当の調整だけで済んだはずでした。言いにくいことほど、早く、具体的に。これは職場を問わず通じる教訓です。

CROの経験を、この先の働き方につなげる

子育ての時期は、何年も続きます。そのあいだの働き方を考えるとき、CROで身につく力は、会社の中だけでなく外でも活きることを知っておくと、選択肢が広がります。

薬剤師の資格を持つ人なら、在宅でできる医薬品情報の業務やデータのレビューという道もあります。具体的な仕事の種類と探し方は、薬剤師 在宅 治験|DI業務やデータレビューで在宅勤務する方法で紹介しています。看護師の資格を持つ人については、治験に関わる在宅の業務を看護師 治験コーディネーター 在宅|CRC資格で就ける在宅業務で整理しています。

働き方を変えると、収入の水準も変わります。フルタイムの常勤、時短、派遣、在宅の業務委託と、それぞれでどのくらいの収入になるのかは、薬剤師の年収・単価相場看護師の年収・単価相場で相場を確かめておくと、家計の見通しを立てやすくなります。

「今の職場で続けるか、CROに移るか、働き方そのものを変えるか」。1人で考えていると、どうしても堂々巡りになりがちです。キャリアの専門家に相談して、自分の経験と家庭の事情を整理するのも1つの方法です。相談の場でどんなことが行われているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。

長くこの市場を見てきた立場から言えば、子育て期に働き方を変えた専門職が、その後も仕事を得続けるときに決め手になるのは、「この人に任せると記録が正確で、話が早い」という信頼です。仲介の手数料が間に入らない直接のやり取りであれば、依頼する側は同じ予算でより多くの仕事を頼め、受ける側は手取りが厚くなる。短い時間でも質の高い仕事を積み重ねた経験は、時間の制約がある時期ほど、そのまま強みになります。

法律はあなたの味方です。制度を知り、職種を選び、早めに相談する。この3つがそろえば、CROは子育てと専門性を両立させられる職場になります。

よくある質問

Q. 子育て中でもCRAとして働けますか?

働いている人はいますが、出張があるため会社の配慮と試験の形によって大きく変わります。リモートでのモニタリングが広がり訪問回数を減らせる試験も増えています。近隣の病院を優先して担当させる会社もあるので、面接で子育て中のCRAの担当の決め方を具体的に確かめましょう。出張を避けたいならDMやPVも選択肢です。

Q. CROで在宅勤務しやすい職種はどれですか?

データマネジメント、安全性情報、メディカルライティング、統計解析は、パソコンとシステムで仕事が完結するため在宅勤務と相性が良い職種です。ただし在宅の日数や対象職種は会社ごとに違います。求人票に在宅勤務の日数と対象職種が具体的に書かれているか、繁忙期に出社が増えるかを確かめてください。

Q. 2025年の育児・介護休業法の改正で何が使えるようになりましたか?

2025年4月から子の看護等休暇が小学校3年生修了まで広がり、残業免除も小学校就学前まで請求できるようになりました。10月からは、3歳から就学前の子を育てる人に、会社が時差出勤、テレワーク、短時間勤務など5つのうち2つ以上の措置を用意することが義務になり、働く人はその中から1つを選べます。

Q. 派遣社員でも育児休業は取れますか?

条件を満たせば取れます。有期契約の人も、子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了することが明らかでなければ対象になり、2022年の改正で「1年以上雇用」という条件は原則無くなりました。申出先は派遣会社です。妊娠や育休の申出を理由にした不利益な扱いは禁止されているので、困ったときは労働局に相談しましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月25日最終更新:2026年9月16日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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