CROで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

長谷川 奈津
長谷川 奈津
CROで派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面

この記事のポイント

  • ✓CRO(開発業務受託機関)で派遣として働く場合と
  • ✓CROに直接雇われる場合の差を
  • ✓雇用期間の3つから整理しました

CROで派遣として働くことを考えたとき、最初に整理しておきたいことがあります。「CRO 派遣」という言葉には、実は2つのまったく違う働き方が含まれているんです。1つは、派遣会社に登録し、CROに派遣されて働く形。もう1つは、CROに正社員などとして雇われ、そのCROから製薬会社などへ派遣されて働く形です。

これ、知らない人が本当に多いんです。求人を見比べているうちに、両方が同じ「派遣」として並び、条件の違いが分からなくなってしまう。雇用主が誰かによって、給与の決まり方も、契約の期間も、困ったときの相談先も変わります。

この記事では、CROで派遣として働く場合と、CROに直接雇われる場合の差を、仕事の範囲、待遇、雇用期間の3つの軸で整理します。そのうえで、派遣という働き方が合う場面と、契約前に確認しておきたい点をまとめます。

「CROで派遣」には2つの意味がある

まず、2つの働き方を並べて整理します。

項目 派遣会社からCROへ派遣 派遣型CRO(外部就労)
雇用主 派遣会社 CRO
働く場所 CROのオフィスや在宅 製薬会社や別のCROの職場
仕事の指示を出す人 派遣先のCROの社員 就労先の製薬会社などの社員
雇用形態 有期雇用が中心(無期雇用派遣もあり) 正社員が中心
募集の例 安全性情報、内勤CRA、立ち上げ業務、DM CRA、DM、統計解析、薬事など

1つ目の「派遣会社からCROへ派遣」は、一般的に「派遣社員」と聞いてイメージする働き方です。派遣会社に登録し、紹介された仕事に就き、CROのオフィスや自宅で、CROの社員の指示を受けて働きます。給与は派遣会社から支払われます。

2つ目の「派遣型CRO」は、治験業界に独特の働き方です。治験業界の転職情報サイトは、この違いを次のように説明しています。

受託型CROとは「CROが主体となって製薬会社から受託した新薬開発の業務を進めていく組織形態」のことを言います。それに対して派遣型CROとは「CROが製薬会社や別のCROへCRA(臨床開発モニター)を派遣して(外部就労と言う)、派遣を受け入れた製薬会社やCROが主体となって新薬開発の業務を進めていく組織形態」のことを言います。日本では、CROの多くが受託型で占められており、派遣型の数は少なくなっています。また、受託と派遣の両方を展開しているCROも存在します。 出典: cra-bank.com

つまり、派遣型CROで働く人は、雇用の上では「CROの社員」ですが、毎日の仕事は「製薬会社の中」で行うことになります。求人票に「外部就労」「常駐」「クライアント先での勤務」と書かれていれば、この形です。

同じ「派遣」でも、1つ目は雇用そのものが派遣会社との有期契約であることが多く、2つ目はCROとの正社員契約の中で働く場所が変わる、という違いがあります。どちらを検討しているのかを最初に分けておかないと、この後の比較がすべてずれてしまいます。この記事では、以下「派遣」と書くときは主に1つ目を指し、2つ目は「外部就労」と呼んで区別します。

派遣会社からCROに派遣される働き方の仕組み

派遣会社からCROへ派遣される場合、関係する当事者は3つになります。あなた、派遣会社(派遣元)、CRO(派遣先)です。

労働者派遣法の仕組みでは、雇用契約を結ぶのは派遣元で、仕事の指揮命令をするのは派遣先です。つまり、給与の支払い、社会保険の加入、有給休暇の付与、契約の更新といった「雇用に関すること」は派遣会社が担い、「今日この書類を処理してください」という仕事の指示はCROの社員が出します。

CROの派遣求人で多いのは、次のような仕事です。求人検索を見ると、条件の例として次のようなものが並んでいます。

仕事 求人に見られる条件の例
外勤CRA 時給5,000円から、在宅勤務の週あり
内勤CRA 週3日在宅
スタディスタートアップ 週5日の短時間勤務で時給4,000円
安全性情報の受付・評価 完全在宅や週4日在宅、時給1,700円から
医薬品情報(DI) フル在宅で時給2,000円から
統計プログラミング CDISC対応のSASプログラミングで時給2,500円から

こうして並べると、同じCROの派遣でも、時給に3倍近い開きがあることが分かります。経験者が担う専門業務ほど時給が高く、在宅で完結しやすい入力中心の業務は時給が抑えめ、という傾向です。

もう1つ、知っておきたい仕組みがあります。派遣先のCROは、派遣社員を受け入れる前に、面接で人を選ぶことが原則として禁止されています。つまり、派遣先が「この人を採用するかどうか」を決める面接はできない、ということです。実際には「職場見学」「顔合わせ」という形で事前に会うことが多いのですが、これは仕事内容を説明し、あなたが職場を確認する場という位置づけです。

例外は「紹介予定派遣」です。これは、最長6か月の派遣期間の後に、派遣先に直接雇用されることを前提とした派遣で、この場合は事前の面接が認められています。CROの求人でも「紹介予定派遣」「正社員登用前提」と書かれた募集が見られます。

医療職の方には、ここでもう1つ押さえておいてほしいことがあります。病院や診療所で看護師などが医療の業務を行う派遣は、法律で原則として禁止されています。一方、CROでのモニタリングや安全性情報の業務は、医療機関で医療行為を行う仕事ではないため、派遣で働くことができます。「看護師は派遣で働けないと聞いた」という方も、CROの仕事なら選択肢に入る、ということです。

派遣型CRO(外部就労)という働き方

次に、CROに雇われて製薬会社などで働く「外部就労」を詳しく見ます。

外部就労では、CROの社員として入社し、研修を受けた後、製薬会社や別のCROの職場に配属されます。仕事の指示は就労先の社員から受け、就労先のルールや手順書、システムを使って働きます。一方で、給与や評価、有給休暇の管理はCROが担います。就労先との契約期間が終われば、CROの社内に戻るか、別の就労先に移ることになります。

外部就労の特徴は、「製薬会社の側から治験を見られる」ことです。受託型のCROで働くと、依頼者である製薬会社からの指示を受けて動く立場になります。外部就労では、その製薬会社の中で、治験全体をどう計画し、CROにどう委託し、どう監督しているのかを間近で見ることになります。将来的に製薬会社への転職を考えている人にとっては、得がたい経験になります。

一方で、外部就労ならではの難しさもあります。

1つ目は、職場が変わるたびに、手順書やシステム、社内の文化を覚え直す必要があることです。数年ごとに就労先が変わると、そのたびに新人のような立場に戻ります。

2つ目は、所属意識の持ちにくさです。毎日一緒に働くのは就労先の社員で、自分の会社の上司や同僚とは、月に数回の面談や社内行事で顔を合わせる程度、ということもあります。

3つ目は、評価の見えにくさです。日々の仕事を見ているのは就労先の社員ですが、評価するのはCROの上司です。就労先からの評価をCROがどう聞き取り、どう反映しているのかは、入社前に確認しておきたい点です。

以前、外部就労で働く方から、こんな話を聞いたことがあります。「就労先の社員の方と同じ仕事をしているのに、会議の資料が自分だけ閲覧できなかった」と。就労先の情報管理のルール上、外部の人間には開示できない情報があるのは当然なのですが、毎日同じ机で働いていると、線引きに戸惑うことがあるそうです。つまり、外部就労は「同じ職場の一員」でありながら、「別の会社の人」でもある、という二重の立場で働く仕事です。

外部就労の求人を見るときは、就労先の種類にも目を向けてください。国内の製薬会社、外資系の製薬会社、別のCROなど、就労先によって使う言語や会議の進め方、在宅勤務の運用が大きく違います。外資系の製薬会社に就労する場合は、手順書や報告書が英語で、海外のチームとの会議が夕方以降に入ることもあります。「どのような就労先が多いか」は、面接で必ず聞いておきたい質問です。

※外部就労は、CROが派遣元として労働者派遣を行う形のほか、業務委託の形で行われる場合もあります。業務委託なのに就労先の社員が直接細かく指示を出している場合は、いわゆる偽装請負にあたる可能性があります。気になる場合は、労働局の相談窓口に相談してください。

直接雇われる場合との差:仕事の範囲と責任

ここからは、派遣会社からCROに派遣される場合と、CROに直接雇われる場合の差を、3つの軸で比べていきます。まずは、仕事の範囲と責任です。

派遣の場合、あなたが担当する仕事の範囲は、派遣会社とCROの間の労働者派遣契約と、あなたに渡される就業条件明示書で決まっています。つまり、書かれていない仕事を頼まれても、原則として引き受ける義務はありません。「安全性情報の入力」として派遣された人が、ある日突然「CRAの訪問に同行して」と言われた場合、それは契約の範囲外です。

これは、派遣の大きな利点でもあります。仕事の範囲がはっきりしているので、自分の専門や希望に合った仕事に集中できます。一方で、範囲が固定されている分、経験を広げにくいという面もあります。

直接雇用の正社員は、職務の範囲が「会社の指示する業務」と広めに定められていることが多く、配置転換や担当の変更があり得ます。CRAとして入社した人が、数年後にリーダーやプロジェクトマネージャー、品質管理などに移ることもあります。つまり、仕事の範囲が変わる可能性がある代わりに、キャリアの幅を会社の中で広げやすい働き方です。

責任の重さにも差があります。派遣社員が担うのは、契約で決められた業務を手順どおりに行うことで、依頼者への報告の最終責任や、チーム全体の期限管理の責任は、CROの社員が持つのが一般的です。例えば、安全性情報の業務で報告期限が迫った案件があれば、その判断と依頼者への連絡は社員が行います。

ただし、経験者向けの高い時給の派遣、例えば外勤CRAの派遣では、担当する医療機関のモニタリングを任され、社員とほぼ同じ責任を担うこともあります。時給の高さは、その責任の重さと裏表の関係にあります。

もう1つ、研修の違いにも触れておきます。直接雇用の正社員は、入社後に集合研修や同行研修を受け、未経験からでも育てる前提で採用されることがあります。派遣は、「その業務ができる人」を前提に受け入れることが多く、未経験可の募集でも、研修は業務に必要な範囲に限られる傾向があります。未経験からCRAを目指すなら、直接雇用のほうが入口として整っている、というのが実情です。

加えて、情報へのアクセスの範囲にも差が出ることがあります。派遣社員は、契約で決められた業務に必要な範囲でシステムや資料の権限が与えられるため、社内の会議資料や他の試験の情報は見られないことがあります。仕事に支障が出るほど権限が足りない場合は、派遣先の指揮命令者か派遣会社の担当者に相談してください。

直接雇われる場合との差:待遇とお金

次に、待遇とお金の差です。ここは、時給の数字だけを見ていると判断を誤りやすいところです。

先ほど見たように、CROの派遣の時給は、専門業務では高い水準になります。時給2,500円で1日7.5時間、月20日働けば、月の給与は37万5,000円になります。同じ職種の正社員の月給と比べると、派遣のほうが高く見えることもあります。

ただし、比べるなら年間の総額で見る必要があります。正社員には賞与があり、退職金制度がある会社もあります。派遣は時給制が中心なので、祝日の多い月や年末年始、夏季休暇のある月は、働く日数が減ってその分収入が下がります。

ここで知っておきたいのが、2020年4月から施行された「同一労働同一賃金」のルールです。派遣社員の待遇は、次のどちらかの方式で決めることが派遣会社に義務づけられています。

1つは「派遣先均等・均衡方式」で、派遣先で同じ仕事をしている社員と比べて、不合理な差がないように待遇を決める方式です。もう1つは「労使協定方式」で、派遣会社が労働者の代表と協定を結び、同じ地域の同じ職種の一般的な賃金水準以上になるように待遇を決める方式です。実際には、多くの派遣会社が労使協定方式を採用しています。

つまり、派遣社員だからという理由だけで、不合理に低い待遇にすることは許されていない、ということです。労使協定方式の場合、通勤手当の支給や、一定の勤続年数に応じた賃金の上昇、退職金に相当する扱いも協定で定められます。派遣会社には、派遣社員から求められれば待遇の決め方を説明する義務があるので、分からないことは遠慮なく聞いてください。

外部就労の場合は、雇用主がCROの正社員なので、待遇はCROの給与規程に沿って決まります。就労先が変わっても給与は基本的に変わらず、賞与や退職金も正社員と同じ扱いになるのが一般的です。安定という面では、派遣会社からの派遣より外部就労のほうが、直接雇用に近いと考えてよいでしょう。

福利厚生の面では、派遣社員も、派遣先の食堂や休憩室、更衣室などの利用について、派遣先の社員と同じように配慮されることになっています。社会保険は、加入の条件を満たせば派遣会社を通じて加入します。

直接雇われる場合との差:期間と雇用の安定

3つ目の軸は、期間と雇用の安定です。派遣を選ぶかどうかを考えるとき、最も慎重に見てほしいのがここです。

派遣会社から有期雇用で派遣される場合、同じ派遣先の同じ部署(組織単位)で働ける期間は、原則として3年までと決められています。いわゆる「3年ルール」です。つまり、CROの安全性情報のチームに派遣されて3年たつと、同じチームでは働き続けられず、別の部署に移るか、別の派遣先に移るか、直接雇用に切り替わるかを考えることになります。

ただし、この期間制限には例外があります。派遣会社に無期雇用されている派遣社員や、60歳以上の派遣社員は、期間の制限を受けません。CROの派遣求人の中にも、派遣会社の無期雇用社員として働く募集があります。

もう1つ、派遣会社には「雇用安定措置」という義務があります。同じ部署で3年働く見込みがある派遣社員について、本人が希望すれば、派遣会社は次のいずれかの措置を講じなければなりません。

措置 内容
直接雇用の依頼 派遣先に、その派遣社員を直接雇用するよう依頼する
新たな派遣先の提供 能力や経験に合った、合理的な新しい派遣先を紹介する
派遣元での無期雇用 派遣会社が、派遣以外の仕事で無期雇用する
その他の措置 教育訓練など、雇用の安定に必要な措置を講じる

1年以上3年未満の見込みの場合は、これらの措置は努力義務になります。つまり、3年近く同じCROで働いて評価されていても、自動的にそのCROの社員になれるわけではない、ということです。派遣会社が直接雇用を依頼しても、CROが受け入れるかどうかはCROの判断になります。

これ、知らない人が本当に多いんです。「3年たてば社員になれると聞いていた」と思っていたのに、実際には派遣先の変更を提案された、というケースは珍しくありません。

一方、直接雇用の正社員は、期間の定めのない契約なので、試験が終わっても次の試験に配属されて働き続けるのが基本です。契約社員として直接雇用される場合は有期契約ですが、同じ会社で有期契約が更新されて通算5年を超えると、本人の申し込みによって無期契約に転換できる「無期転換ルール」があります。

※雇止めや契約更新をめぐってトラブルになった場合、事情によって判断が分かれます。具体的な事案では、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください。

派遣が合う場面と、直接雇用が合う場面

ここまでの比較を踏まえて、CROで派遣として働くことが合う場面と、直接雇われるほうが合う場面を整理します。

派遣が合うのは、次のような場面です。

1つ目は、専門の経験がすでにあり、その経験を活かした仕事に絞って働きたい場合です。外勤CRAや統計プログラミングの経験者が、管理職への昇進や配置転換を望まず、現場の仕事を続けたいなら、派遣の高い時給と明確な業務範囲は合っています。

2つ目は、在宅勤務や短時間勤務など、働き方の条件を優先したい場合です。求人検索を見ると、「完全在宅」「週4日在宅」「週5日の短時間」といった条件は、正社員の募集より派遣の募集に多く見られます。子育てや介護の事情がある人にとっては、条件で仕事を選べる派遣の強みは大きいと言えます。

3つ目は、CROの仕事が自分に合うかを確かめたい場合です。紹介予定派遣を使えば、最長6か月実際に働いてから、直接雇用に進むかどうかを双方で判断できます。臨床からCROへの転身に迷っている医療職の方にとって、いきなり正社員として入社するよりも、失敗したときの負担を小さくできます。

一方、直接雇用が合うのは、次のような場面です。

1つ目は、未経験からCRAなどの専門職を目指す場合です。前の章で見たとおり、育てる前提の研修は、直接雇用の正社員のほうが整っています。

2つ目は、長期的な雇用の安定を優先したい場合です。住宅ローンの審査や、将来の生活設計を考えると、期間の定めのない雇用であることは大きな意味を持ちます。

3つ目は、リーダーやプロジェクトマネージャーなど、キャリアを会社の中で広げていきたい場合です。

そして、製薬会社の側で働く経験を積みたいが、雇用の安定も手放したくない、という人には、外部就労が1つの選択肢になります。

迷ったときは、「今後3年で何を優先したいか」を1つに絞ってみてください。収入の高さなのか、在宅や時間の条件なのか、専門性を広げることなのか、雇用の安定なのか。すべてを同時に満たす働き方はありません。例えば、子どもが小さいうちの数年間は派遣で在宅の条件を優先し、手が離れたら経験を活かして直接雇用に移る、という順番で考える人もいます。働き方は一度選んだら終わりではなく、生活の段階に合わせて選び直せるものです。

ただ、選び直すときに効いてくるのは、それまでに積んだ経験の中身です。派遣で働く期間も、担当した試験の領域、使ったシステム、任された業務の範囲を記録しておくと、次に応募するときの説明がぐっと具体的になります。職務経歴書に「CROで派遣就業」とだけ書くのと、「がん領域の第3相試験で安全性情報の受付と入力を担当」と書くのとでは、伝わる情報量がまるで違います。

契約の前に確認したいこと

最後に、CROで派遣として働くときに、契約の前に確認しておきたい点をまとめます。

派遣で働く場合、派遣会社は、派遣を始める前に「就業条件明示書」を交付することが義務づけられています。つまり、あなたが働く条件を書面などで示さなければならない、ということです。ここには、仕事の内容、就業場所、指揮命令者、派遣期間、就業日と就業時間、休憩時間、時間外労働、苦情の申出先などが書かれています。

特に確認したいのは、次の項目です。

・仕事の内容が、紹介のときに説明された内容と一致しているか ・在宅勤務の日数と、出社が必要な場面が書かれているか ・時間外労働の有無と、その上限 ・派遣期間と、更新の見込み ・派遣先の組織単位(どの部署か)と、期間制限の抵触日 ・待遇の決定方式(派遣先均等・均衡方式か労使協定方式か) ・苦情や相談の申出先

「抵触日」とは、期間制限により、それ以上その部署で派遣を受け入れられなくなる日のことです。この日が近い部署に派遣されると、働き始めてすぐに期間の上限が来てしまうことがあります。

外部就労を前提としたCROの正社員として応募する場合は、面接で次の点を確認しておくと安心です。

・入社後、自社内で研修を受ける期間はどのくらいか ・就労先はどのように決まり、本人の希望はどの程度考慮されるか ・就労先での評価を、CROの人事評価にどう反映しているか ・就労先の契約が終わったとき、次の配属までの間は何をするのか

もう1つ、派遣会社の選び方にも触れておきます。CROの仕事を扱う派遣会社には、医療や治験の分野に特化した会社と、幅広い職種を扱う総合型の会社があります。特化型の会社は、担当者が治験の業務内容を理解していて、職場見学の前に仕事の中身を詳しく説明してもらえることが多い一方、紹介できる職場の数は限られます。総合型の会社は求人の数が多い一方、担当者によって治験の知識に差があります。複数の会社に登録して、同じ求人について説明を聞き比べるのも1つの方法です。

派遣会社は、厚生労働大臣の許可を受けて事業を行っています。許可番号は派遣会社のウェブサイトなどに記載されているので、登録前に確認しておくと安心です。

私の知人に、派遣でCROに入った方がいます。その方が後から「時給だけを見て決めたけど、抵触日と在宅の条件をもっと確認しておけばよかった」と話していました。条件は、働き始める前が一番確認しやすいんです。遠慮せずに、書面で確かめてください。法律はあなたの味方です。

運営者として見てきた、働き方を選び直せる人の共通点

20年にわたってフリーランスや在宅ワークの市場を見てきた立場から言えば、派遣、直接雇用、外部就労のどれを選んでも、長く専門分野で働き続けている人には共通点があります。それは、「自分の雇用契約の中身を説明できる」ことです。誰に雇われていて、誰の指示で働いていて、いつまでの契約で、困ったときにどこへ相談するのか。これを言葉にできる人ほど、条件が合わなくなったときに、次の働き方へ落ち着いて移っています。

治験の周辺では、派遣やCROでの経験を積んだ後に、メディカルライティングや翻訳、統計プログラミングなどを業務委託で請け負う人もいます。派遣では派遣会社の手数料が料金に含まれますが、発注者と直接契約する形では、仲介の手数料が乗らない分、発注者は同じ予算で多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなります。運営者として見てきた限りでは、手数料0%の直接取引の強みは、金額そのものより、この「双方が得をする」関係の質にあります。ただし業務委託では、労働者を守る法律の多くが適用されないため、契約書の確認はより大切になります。

CROで派遣として働く人の多くは、看護師や薬剤師の資格を持っています。資格を活かして働いた場合の年収の相場や、職場ごとの違いは、看護師の年収・単価相場と薬剤師の年収・単価相場で確認できます。派遣の時給を年収に換算して比べるときの目安にしてください。

派遣と直接雇用のどちらを選ぶか、一人で決めきれないときは、キャリアの専門家に話を聞いてもらうのも1つの方法です。キャリア相談を担う国家資格についてはキャリアコンサルタントで、職場や転職の悩みを受け止める仕事の広がりは職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。

CROで派遣として働くことは、専門性と働き方の条件を両立させる有力な選択肢です。雇用主が誰で、何年働けて、何を任されるのか。この3つを確かめてから選べば、後悔の少ない働き方ができます。

よくある質問

Q. 派遣型CROと派遣会社からの派遣は何が違いますか?

雇用主が違います。派遣会社からの派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、CROの社員の指示で働く形で、有期雇用が中心です。派遣型CROは、CROの正社員などとして雇われ、製薬会社や別のCROの職場で働く外部就労の形です。給与や評価はCROが担うため、雇用の安定という点では直接雇用に近い働き方になります。

Q. CROで派遣として同じ部署に何年まで働けますか?

派遣会社に有期雇用されている場合、同じ派遣先の同じ組織単位で働ける期間は原則3年までです。ただし、派遣会社に無期雇用されている人や60歳以上の人は、この期間制限を受けません。3年働く見込みがある場合、本人が希望すれば、派遣会社は派遣先への直接雇用の依頼などの雇用安定措置を講じる義務があります。

Q. 看護師の資格でCROの派遣として働くことはできますか?

できます。病院や診療所で看護師が医療の業務を行う派遣は原則として禁止されていますが、CROでのモニタリングや安全性情報の業務は、医療機関で医療行為を行う仕事ではないため派遣で働けます。求人検索でも、看護師や薬剤師の経験を歓迎する安全性情報や内勤CRAの派遣募集が見られます。

Q. 派遣と正社員ではCROの年収はどちらが高いですか?

時給で見ると専門業務の派遣は高い水準のことがありますが、比べるなら年間の総額で見る必要があります。正社員には賞与や退職金制度があり、派遣は時給制が中心のため祝日や休暇の多い月は収入が下がります。派遣社員の待遇は同一労働同一賃金のルールで決められており、決定方式の説明を派遣会社に求めることもできます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月7日最終更新:2026年9月16日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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