法人の青色申告の申請期限|3か月と決算日のどちらが先か


この記事のポイント
- ✓法人の青色申告の承認申請書は設立から3か月以内と説明されがちですが
- ✓第1期の決算日が先に来る会社はそちらが期限になります
- ✓設立月と決算月の組み合わせごとの注意点
法人の青色申告の承認申請書について調べると、「設立から3か月以内」と書かれた説明によく行き当たります。これは半分だけ正しい言い方です。正確には、3か月を経過した日と第1期が終わる日のうち、早いほうが基準になります。
つまり、第1期が3か月より短い会社は、3か月を待たずに期限が来ます。設立月と決算月の組み合わせによっては、設立の1か月後が締め切りということも起こります。この記事では、国税庁の案内をもとに期限の数え方を1本ずつほどき、自分の会社の締め切りがいつなのかを自分で計算できる形にします。
原則の期限と、設立した年の期限は別
まず全体像を置きます。期限は2通りあります。
すでに動いている法人が、来期から青色申告に切り替えたい場合の原則は、青色申告書によって申告書を提出しようとする事業年度が開始する日の前日までです。3月決算の会社が令和9年4月開始の期から青色にしたいなら、令和9年3月31日までに出すことになります。
これに対して、設立した年については別の定めがあります。国税庁は次のように案内しています。
1 普通法人又は協同組合等の設立の日の属する事業年度の場合は、設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで 出典: nta.go.jp
なぜ設立した年だけ扱いが違うのか。原則をそのまま当てはめると、設立の日の前日までに出さなければならないことになり、法人がまだ存在していない時点で申請することになってしまうからです。そこで、設立した年については後から出せる猶予が置かれています。
この猶予の長さが、3か月か、第1期の終わりか、早いほうということです。ここを「3か月」とだけ覚えていると、決算日が先に来る会社が取り逃がします。
期限を自分で計算する
数え方を分解します。必要な情報は2つだけです。設立の日と、第1期の終わりの日です。
設立の日は、登記所が設立登記の申請を受け付けた日です。登記が完了した日ではありません。法務局は、たとえば登記所が設立登記申請書を7月1日に受け付けたときは、その会社の設立年月日は7月1日として登記される、と案内しています。登記事項証明書の会社成立の年月日の欄で確認できます。
第1期の終わりの日は、定款で定めた事業年度の末日です。設立の日から、定款で決めた決算月の末日までが第1期になります。
この2つが決まったら、次の順で計算します。
まず、設立の日から3か月を経過した日を出します。7月1日設立なら、3か月後は10月1日です。ここが1つ目の候補。
次に、第1期の終わりの日を見ます。3月決算なら令和何年かの3月31日です。ここが2つ目の候補。
2つを比べて早いほうを取り、その前日が期限になります。7月1日設立で3月決算なら、10月1日のほうが早いので、期限は9月30日です。
もう1つ例を出します。2月1日設立で3月決算の会社。3か月を経過した日は5月1日ですが、第1期は3月31日で終わります。早いのは3月31日なので、期限はその前日の3月30日です。設立からわずか2か月弱で締め切りが来る計算になります。
ここで挙げた日付は、3か月後の応当日をもとにしたおおよその目安です。「経過した日」の1日単位の数え方は、次の節で見るとおり少し込み入っています。締め切りぎりぎりを狙う理由はないので、余裕を持って設立の翌月中に出してしまえば、どの数え方でも間に合います。
「3か月を経過した日」の数え方
日付が1日ずれる場面があるので、期間の数え方の原則を押さえておきます。
民法は、日、週、月または年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しないと定めています。ただし、その期間が午前零時から始まるときは算入します。これを初日不算入といいます。
そして、月によって期間を定めたときの満了については、次のように定められています。
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。 出典: laws.e-gov.go.jp
ただし書きが効いてくるのは、月末付近に設立した会社です。11月30日に設立した会社の3か月後を考えると、2月には30日がありません。この場合は2月の末日が満了日になります。1月31日設立、3月31日設立も同じ理屈で、応当日がない月では末日に寄ります。
さらに、期限が土曜、日曜、祝日に当たる場合の扱いもあります。国税に関する期限については、その日が休日に当たるときは翌日が期限になる取扱いが置かれています。ただし、この扱いに頼って直前に動くのは危険です。
つまり、1日単位で正確に出そうとすると、初日を入れるか入れないか、応当日があるかないか、休日に当たるかどうかの3つを重ねて考えることになります。実務では、この計算に神経を使うより、早く出してしまうほうが確実です。どうしても正確な日付を知りたい場合は、自社の設立日と決算日を伝えて所轄の税務署に確認してください。電話で答えてもらえます。
設立月と決算月の組み合わせで見る
具体的な形をいくつか並べます。自社に近いものを探してください。
第1期が長い会社。4月1日に設立して3月決算にすると、第1期はほぼ1年になります。3か月を経過した日は7月1日、第1期の終わりは翌年3月31日。早いのは7月1日なので、期限は6月30日です。このパターンは、期限が来る前に事業が軌道に乗り始めるので、忘れにくいほうに入ります。
第1期が3か月ちょうど前後の会社。1月1日に設立して3月決算にすると、第1期は3か月です。3か月を経過した日は4月1日、第1期の終わりは3月31日。早いのは3月31日なので、期限は3月30日です。かろうじて決算日のほうが先に来ます。
第1期が極端に短い会社。3月10日に設立して3月決算にすると、第1期は3週間しかありません。3か月を経過した日は6月10日ですが、第1期の終わりは3月31日です。期限は3月30日、つまり設立から20日です。設立の手続きが終わって一息ついている間に過ぎてしまう長さです。
決算月を後から動かした会社。設立時に12月決算にしていたが、事業の都合で9月決算に変えた、という場合、第1期の終わりの日が前倒しになります。期限もそれに連動して早まります。決算期を変更したら、青色申告の申請を済ませたかどうかを必ず確認してください。
いちばん安全なのは、設立の登記を申請したその日に、青色申告の承認申請書も作ってしまうことです。書く内容は設立届とほとんど同じで、法人番号だけが登記完了後に分かります。登記が終わったら番号を埋めて、設立届と一緒の封筒で出す。この形にしておけば、期限の計算そのものが不要になります。
第1期が短すぎる場合の特別な定め
第1期が極端に短い会社のために、もう1つ定めがあります。
国税庁の案内には、設立等の日から第1期の終わりの日までの期間が3月に満たない場合における、その事業年度の翌事業年度についての期限が別に挙げられています。その場合は、設立等の日以後3月を経過した日と、その翌事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日まで、とされています。
読み解くと、こういうことです。第1期が3か月に満たない会社は、第1期を青色にするには第1期の終わりの前日までに出す必要があります。それが間に合わなかったとしても、第2期については設立の日から3か月を経過した日を基準に、もう少し猶予が残ります。
とはいえ、これは救済の幅が狭い話です。第1期が3週間しかない会社なら、設立の日から3か月を経過した日は第2期の途中に来るので、その日の前日までに出さないと第2期も白色になります。結局、設立から3か月という感覚は変わりません。
考え方としては、第1期が3か月より短い会社は、決算日までに1回、そこを過ぎても設立から3か月までにもう1回、機会があると捉えてください。どちらにせよ早く出すに越したことはありません。
期限を過ぎたらどうなるか
出し忘れに気づいたときの扱いを整理します。
まず、その事業年度をさかのぼって青色にすることはできません。期限を過ぎた分については、白色申告として確定申告をすることになります。後から申請書を出しても、その期には効きません。
次に、次の事業年度からなら間に合います。原則の期限は、青色申告書で出そうとする事業年度が開始する日の前日までです。つまり、今期を白色で終えることが確定していても、今期のうちに申請書を出しておけば、来期から青色になります。気づいた時点で出してください。
問題は、白色で終えた事業年度に出た赤字です。青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額でなければ、翌期以降に繰り越せません。設立初年度は赤字になりやすいので、ここが最も痛いところです。2期目に黒字が出ても、初年度の赤字を引けないまま課税されます。
金額で考えるとはっきりします。初年度に150万円の赤字、2期目に200万円の黒字が出たとします。初年度が青色なら、2期目の所得は50万円として計算されます。白色なら200万円に対してそのまま計算されます。この差が、申請書1枚を出したかどうかで生まれます。
30万円未満の資産を一度に費用にする特例も、対象が青色申告書を提出する中小企業者等に限られているため、白色の年には使えません。設立初年度はパソコンや機材をそろえる時期なので、ここも効いてきます。
期限内に出すと何が守られるのか
期限を守る価値を、金額に直る形で並べておきます。
1つ目が、赤字を将来に繰り越せることです。国税庁の青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除の解説では、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、所得金額の計算上損金に算入されるとされています。平成30年4月1日前に開始した事業年度に生じた分は9年です。
繰り越すには、赤字が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を出していること、そしてその後の各事業年度について連続して確定申告書を出していることが必要です。つまり、赤字が出る年に青色であることが決定的に重要になります。設立初年度が赤字になりやすい以上、1年目の申請期限がいちばん重い、ということになります。
2つ目が、前の期に払った税金を戻してもらえることです。国税庁の欠損金の繰戻しによる還付の解説によると、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合、その欠損金額を事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して、法人税額の還付を請求できます。資金が細っている局面では、将来の控除より現金が戻るほうが効きます。
3つ目が、資産を一度に費用にできることです。国税庁の中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の解説では、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得して事業に使った場合、一定の要件のもとにその取得価額を損金に算入できるとされています。適用期間は平成18年4月1日から令和8年3月31日までで、その事業年度の合計額は300万円が限度です。事業年度が1年に満たない場合は、300万円を12で割って月数を掛けた金額になります。
設立初年度は、パソコン、カメラ、工具、ソフトウェアといったものをまとめてそろえる時期です。1台25万円のパソコンを2台買ったとして、青色ならその年に全額を費用にできますが、白色なら数年に分けることになります。
4つ目は金額に表れないものです。税務署が申告の内容を直す処分をする場合、青色申告の法人に対してはその理由を書面に付記することが求められます。なぜ直されたのかが文面で分かるので、納得できなければ反論する材料になります。
事業年度を決めるときに、期限も一緒に考える
ここまで見てきたとおり、申請期限は決算月に引きずられます。だから、設立のときに決算月を決める段階で、この話を織り込んでおくのが本当は正しい順番です。
第1期を長く取れば、青色申告の申請期限は設立から3か月を基準に決まります。逆に第1期を短くすると、決算日が先に来て期限が前倒しになります。設立月の直後を決算月にするのは、この点では不利です。
決算月の選び方には、期限以外の観点もあります。自分の仕事の繁忙期と決算作業が重ならない月を選ぶ、消費税の扱いを考える、取引先の締めと揃える、といった観点です。日本では3月決算が多いのですが、3月は税理士がいちばん忙しい時期でもあります。小さな会社なら、あえて外す選択に意味があります。
すでに設立してしまった会社でも、事業年度は定款を変えれば変更できます。ただし、変更すると第1期の終わりの日が動くので、青色申告の申請期限も動きます。決算期の変更を考えるときは、青色申告の申請がすでに済んでいるかどうかを先に確認してください。済んでいないのに決算日を前倒しすると、期限が過ぎてしまう可能性があります。
なお、事業年度を変更した場合は税務署と自治体への届出が必要です。登記事項ではないので登記の変更は不要ですが、届出を忘れると申告書が届く時期がずれます。
申請書の書き方で止まらないために
期限は分かっても、書き方で手が止まると結局遅れます。書く内容を先に把握しておきます。
用紙は1枚です。上半分は会社の基本情報で、納税地、法人名、法人番号、代表者の氏名と住所、事業種目、資本金または出資金の額、そして青色申告書によって申告書を提出しようとする事業年度を書きます。ここは登記事項証明書と定款から転記できます。
下半分が参考事項の欄です。帳簿組織の状況として、伝票から総勘定元帳までの帳簿書類等の種類、形態、記帳の時期を書きます。記載要領が挙げている形態の例は大学ノートやルーズリーフといったもので、様式の古さが出ているところです。いまは会計ソフトで付けている会社がほとんどなので、帳簿の名称として総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳などを書き、形態の欄に使っているソフトの名前を書く形で差し支えありません。記帳の時期は実際の運用に合わせます。
特別な記帳方法を採用しているかどうかの欄、税理士が関与している場合のその関与度合を書く欄もあります。税理士に頼んでいないなら空欄で構いません。税理士がいないと承認されない、ということはありません。
提出先は納税地の所轄税務署長です。e-Taxソフトで作って送るか、書面で1部を持参または送付します。税務署の開庁時間は8時30分から17時までですが、閉庁日でも送付や時間外収受箱への投函で提出できます。締め切りが休日に重なりそうなら、投函という手段があることを覚えておいてください。
承認の通知が来ないまま期が終わるとき
申請書を出したあと、承認の通知を待つことになりますが、届かないことがあります。この場合の扱いは決まっています。
国税庁は、申請書を提出した場合において、青色申告書によって申告書を提出しようとする事業年度終了の日までに承認または却下の処分がなかったときは、その日においてその承認があったものとみなされる、と案内しています。中間申告書を提出すべき法人については、その事業年度開始の日以後6月を経過する日が基準です。
つまり、何も言われなければ承認されたことになります。設立初年度に申請を出した会社の多くは、この形で青色申告書を提出します。通知が来ないからといって申告を白色で出す必要はありません。
出した記録は必ず残してください。e-Taxで送ったなら受信通知を保存し、書面で出したなら控えに受付印をもらうか、送付の記録を残します。後から「出したはずだが記録がない」という話になったときに、控えがあるかどうかで話が変わります。
税理士に頼むなら、声をかけるのはいつか
顧問税理士を探している途中で期限が来てしまう、というのもよくある形です。設立してから税理士を探し始めると、面談して、見積もりを比べて、契約して、という流れだけで1か月以上かかります。その間に申請期限が過ぎます。
順番としては、申請書を自分で出してしまってから税理士を探すのが安全です。青色申告の承認申請書は、税理士が作らないと通らない書類ではありません。参考事項の欄に税理士の関与度合を書く欄はありますが、いないなら空欄で構いません。後から顧問を頼んでも、承認そのものには影響しません。
逆に、設立の手続きを司法書士や税理士に一括で頼んでいる場合は、青色申告の申請が含まれているかどうかを確認してください。設立登記までが業務範囲で、税務の届出は別扱いになっていることがあります。「全部やってもらえていると思っていた」という行き違いは、この境目で起きます。契約の内容に税務署への届出が入っているか、地方税の設立届まで含まれるかを、着手前に1行で確かめておくのが確実です。
自分で出す場合も、そう手間はかかりません。様式と記載要領は国税庁のページから無料でダウンロードでき、書く内容のほとんどは登記事項証明書と定款からの転記です。設立届と一緒に作れば、追加の時間は30分ほどで済みます。
承認は取り消されることがある
期限内に出して承認を受けても、その後に取り消される場合があります。法人税法が定める事由は4つです。
帳簿書類の備付け、記録または保存が財務省令の定めどおりに行われていないこと。帳簿書類について税務署長の指示に従わなかったこと。帳簿書類に取引の全部または一部を隠蔽または仮装して記載したこと、その他記載した事項の全体について真実性を疑うに足りる相当の理由があること。そして、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことです。
4つ目を見落としがちです。帳簿をきちんと付けていても、申告が期限に間に合わなければ取消しの事由に当たります。ひとり法人で決算を自分でやっていると、1日遅れることは現実に起きます。期限の管理は、申請のときだけでなく毎年の申告についても必要です。
取消しがあった場合、その事業年度の開始の日以後に提出した青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなされます。処分をするときは書面で通知され、その書面には4つのどれに当たるかが付記されます。
申請を済ませたあとに来る期限
青色申告の申請を出したら、次に来る期限をその場でカレンダーに入れてしまうのが確実です。設立の年に走る期限を並べておきます。
税務署に出す法人設立届出書は、国税庁の案内によると設立の日、つまり設立登記の日以後2か月以内です。添付するのは定款などの写しです。青色申告の申請より期限が後ろなので、まとめて出すなら青色のほうに合わせて動くことになります。
地方税の設立届は別です。自治体の条例で定められているため期限が場所によって違い、東京都の場合は開始または設置の日から15日以内と案内されています。国税より短いので、実務上はここがいちばん早い締め切りになります。
役員や従業員に報酬や給料を払うなら、給与支払事務所等の開設届出書も出します。ひとり法人で自分に役員報酬を払う場合も対象です。
そして、第1期の確定申告です。原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告と納付をします。この期限を落とすと、青色申告の承認の取消し事由に当たります。設立の年は、決算日が来る前に税理士に頼むかどうかを決めておくと慌てずに済みます。
社会保険の届出も並行して走ります。法人は原則として社会保険の適用事業所になるので、年金事務所への手続きが必要です。期限は税務のものと別に決まっているので、年金事務所の案内で確認してください。個別の扱いは事情によって変わるため、迷ったら窓口に電話するのがいちばん早い解決になります。
期限を落とさない仕組みを作る
ここまで見てきたとおり、法人の1年目には期限が集中します。しかも、それぞれ起算点も長さも違います。人の記憶で管理するのは無理があります。
いちばん簡単な方法は、設立の日を決めた時点で、逆算した日付を全部カレンダーに入れてしまうことです。地方税の設立届、青色申告の申請、税務署の設立届、第1期の決算日、第1期の申告期限。この5つを入れておけば、1年目の大きな抜けは防げます。通知はそれぞれ2週間前と3日前の2回にしておくと、準備の時間が取れます。
もう1つ、書類の置き場所を1か所に決めることです。定款、登記事項証明書、法人番号の通知、各種届出の控え。設立の年に発生する書類は多くありませんが、散らばると探す時間が積み上がります。1つのフォルダにまとめて、出した日付をメモしておくだけで十分です。
顧問税理士がいるなら、設立のタイミングで期限の一覧を共有しておく手もあります。ただし、地方税の設立届のように自治体ごとに違うものは、自分でも確認しておくのが安全です。
1年目の時間をどこに使うか
編集部がこの市場を長く見てきた限り、法人1年目に期限を落とす人は、手続きを軽く見ているわけではありません。むしろ、設立の手続きに集中しすぎて、その先にある期限の存在に気づいていないことが多いところです。登記が終わった時点で「終わった」と感じてしまい、そこから3か月のうちに来る締め切りが視界に入っていません。
20年この市場を見てきた立場から言えば、法人を作るときに人が時間をかけるのは設立の手続きで、維持にはほとんど時間をかけません。設立は1回きりの行事なので関心が高く、維持は毎年か数年に1度なので関心が続かない。その落差が、そのまま期限落ちの頻度になっています。設立の日にカレンダーを埋めるだけで、この落差はかなり埋まります。
もうひとつ、運営者として見てきた実感を書いておきます。法人を維持する負担は、税金や決算費用のような目に見えるお金だけではありません。期限を覚えておく、書類を探す、窓口に出す。この見えない負担は、ひとり法人では全部代表者の時間に乗ります。だから、その時間を吸収できる単価で動けているかどうかが効いてきます。中間マージンが乗らない直接取引は、同じ予算で依頼者がより多くを頼めて、受け手の手取りが厚くなります。手数料0%の強みは、額面の大きさではなく手取りの厚さに出ます。1年目に手続きで削られる時間があるからこそ、この差が効いてきます。
いま自分の職種がどの水準で動いているのかを確かめるなら、公的統計をもとにしたソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場が手がかりになります。法人にして事務の手間が増えたのに単価が個人事業のときと同じなら、そこが先に直すところです。
受ける仕事の軸を組み直すなら、企業の業務にAIを組み込む相談が増えているAIコンサル・業務活用支援のお仕事や、法人として受託しやすいアプリケーション開発のお仕事に、仕事の中身と求められる経験が整理されています。申請書や届出書のような型のある文書を正確に扱う力を体系的に押さえたいなら、ビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。
守りの面も、1年目のうちにそろえておくと後が楽です。発注側との関係を規律するルールはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに、支払われなかったときの手順と費用の目安は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとまっています。青色申告の申請を出してカレンダーを埋めたら、この2つに目を通しておくと、法人としての足元がひと通り固まります。
よくある質問
Q. 法人の青色申告の申請期限は設立から3か月以内ですか?
正確には、設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までです。第1期が3か月より短い会社は決算日の前日が期限になるため、3か月を待たずに締め切りが来ます。設立月と決算月が近い会社は特に注意が必要です。
Q. 期限の起算点になる設立の日はいつですか?
登記所が設立登記の申請を受け付けた日です。登記が完了した日ではありません。登記事項証明書の会社成立の年月日の欄に記録されているので、そこで確認できます。この日から3か月を数えるため、登記の完了を待っていると数日分を損します。
Q. 期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
その事業年度をさかのぼって青色にすることはできず、白色申告になります。その年の赤字は翌期以降に繰り越せません。ただし次の事業年度からなら間に合うので、その事業年度が始まる日の前日までに申請書を出してください。気づいた時点で出すのが正解です。
Q. 承認の通知が来ないまま決算日を迎えたらどうしますか?
そのまま青色申告書で申告できます。国税庁は、青色申告書で申告しようとする事業年度終了の日までに承認も却下の処分もなかったときは、その日に承認があったものとみなされると案内しています。中間申告書を提出すべき法人は、事業年度開始の日以後6か月を経過する日が基準です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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