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治験のコーディネーターの人間関係|狭い職場での距離の取り方

@SOHO編集部
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治験のコーディネーターの人間関係|狭い職場での距離の取り方

この記事のポイント

  • ✓治験のコーディネーターの人間関係を
  • ✓被験者という相手ごとに整理しました
  • ✓SMOと院内CRCで人間関係の広がり方がどう違うか

治験のコーディネーターの人間関係について調べている方は、これからCRCになろうとしていて職場の雰囲気が気になっている方か、今まさに職場の誰かとの関係に悩んでいる方のどちらかだと思います。

CRCの人間関係には、ほかの医療職とは違う難しさがあります。雇い主はSMOなのに、毎日過ごすのは病院の中。指示を出すのは病院の医師で、仕事の確認をしてくるのは製薬会社の担当者。そして真ん中には被験者がいます。つまり、立場の違う人たちの間に1人で立ち続ける仕事、ということです。

この記事では、CRCが関わる相手ごとに、どこで関係がこじれやすいのか、どう距離を取ればよいのかを整理します。職場の形によって人間関係の広がり方がどう違うのか、そしてハラスメントだと感じたときにどう考えればよいのかも、法律の決まりを噛み砕きながらお伝えします。

治験のコーディネーターの人間関係が難しくなりやすい理由

CRCに向いている人を説明するとき、専門知識より人との調整の力が挙げられることがよくあります。

医療に関わる仕事と聞くと、専門知識や特別な経験が必要そうで不安になる人も多いでしょう。実際には、CRCに求められるのは高度な医療スキルよりも、人の話を丁寧に聞き、周囲と調整しながら物事を進める力です。 出典: sanko.ac.jp

これは裏を返せば、CRCの仕事の大部分が人間関係の中で進む、ということです。調整の相手が多いぶん、関係がこじれる場面も多くなります。

難しくなりやすい理由を、構造から見ていきます。

1つ目は、雇い主と働く場所が違うことです。

SMOに雇われたCRCは、契約先の病院やクリニックで働きます。病院の職員から見ると、CRCは「外の会社から来ている人」です。病院の休憩室に入りにくい、院内の連絡が自分には届かない、職員同士の会話の輪に入れない、といった場面が日常的にあります。

2つ目は、立場の違う人の間に立つことです。

製薬会社は手順どおりに正確なデータを求め、医師は診療の忙しさの中で治験に時間を割き、被験者は自分の体調と生活の都合を抱えています。CRCは、それぞれの要望を受け止めて、ぶつからないように調整します。どちらかの味方をすると、もう片方との関係が崩れる、という板挟みが起きやすいのです。

3つ目は、チームが小さいことです。

院内の治験管理室は数人から十数人、SMOでも1つの病院を担当するCRCは数人ということがよくあります。合わない人がいても物理的に離れにくく、1人との関係が職場全体の居心地を左右します。

4つ目は、頼みごとが仕事の中心であることです。

CRCは、医師に確認をお願いし、検査部門に依頼を出し、治験事務局に書類を頼みます。相手にとっては本来の業務に上乗せされる仕事なので、頼み方ひとつで関係が変わります。

これ、知らない人が本当に多いんです。「CRCは人と話すのが好きな人に向いている」とよく言われますが、実際に求められるのは話す力より、相手の立場を想像して頼み方を選ぶ力です。人と話すのが好きでも、この構造を知らずに入ると、思わぬところで疲れてしまいます。

職場の形で、人間関係の広がり方が変わる

CRCの人間関係は、どこで働いているかによって、広がり方がかなり違います。

職場の形 毎日関わる人 関係がこじれやすい場面 良い面
SMOで大病院を専任担当 複数の診療科の医師、病棟、検査部門、薬剤部、治験事務局、同じ会社のCRC 部署ごとの頼み方の違い、院内での疎外感 相手が多く、1人との関係に左右されにくい
SMOでクリニックを複数担当 院長、クリニックのスタッフ、SMOの上司 院長との相性、施設ごとの決まりの違い 相手が少なく、話が早い
病院に雇われる院内CRC 治験管理室の同僚、医師、病棟、薬剤部、製薬会社 小さなチーム内の固まった関係、院内の上下関係 病院の職員として受け入れられやすい

SMOで大病院を担当する場合

関わる人の数が多く、部署ごとに文化が違います。検査部門は依頼の締め切りに厳しく、病棟は忙しい時間帯に声をかけられるのを嫌い、治験事務局は書類の形式にこだわる、といった具合です。一方で、相手が多いぶん、1人と合わなくても別の人に頼れる逃げ道があります。

SMOでクリニックを担当する場合

院長と、少人数のスタッフとの関係がすべてです。院長と信頼関係ができれば、仕事は驚くほど進みやすくなります。反対に、院長との相性が悪いと、ほかに頼れる人がいません。スタッフにとっては、治験は日常の診療に上乗せされる手間なので、協力をお願いするときの配慮も欠かせません。

院内CRCの場合

病院の職員なので、院内での疎外感は少なくなります。その代わり、治験管理室という小さなチームの中の関係が、毎日の居心地を決めます。看護部や薬剤部の上下関係がそのまま持ち込まれることもあり、前の部署での経験年数や資格による序列を感じる人もいます。

どの形が合うかは、人によって違います。多くの人と浅く付き合うほうが楽な人は大病院の担当、少数の人と深く付き合うほうが楽な人はクリニックや院内CRCが合いやすい傾向があります。職場選びの段階で、この違いを知っておくと、入った後に「こんなはずじゃなかった」と感じる場面を減らせます。

担当医師との距離の取り方

CRCにとって、治験責任医師や分担医師との関係は、仕事の進みやすさを最も左右します。

医師にとって治験は、診療の上乗せ

多くの医師は、外来や手術、病棟の仕事を抱えながら治験に関わっています。CRCから見れば大切な確認でも、医師にとっては忙しい合間に差し込まれる用件です。この前提を忘れて、自分の都合のよいタイミングで話しかけると、「今それ?」という反応を招きやすくなります。

確認は「まとめて、短く、答えやすく」

医師への確認は、細かく何度も声をかけるより、1日の決まった時間にまとめて持っていくほうが喜ばれます。確認したいことを紙やメモに整理し、「はい」「いいえ」や選択肢で答えられる形にしておくと、医師の負担が減ります。「この検査値、有害事象として扱いますか。前回の値はこうで、プロトコルの基準はこうです」と、判断の材料を一緒に示すのが基本です。

医師の判断が必要なことと、CRCが決めてよいことを分ける

治験では、有害事象の判断や、被験者の参加の可否など、医師にしか判断できないことがあります。一方で、来院日の調整や書類の準備など、CRCが進めてよいことも多くあります。この線引きがあいまいだと、医師から「そんなことまで聞かないで」と言われたり、反対に「なぜ勝手に決めたのか」と言われたりします。担当になった最初の段階で、どこまでを任せてもらえるかを医師と確認しておくと、後のすれ違いが減ります。

協力的でない医師への向き合い方

治験に積極的でない医師も、残念ながらいます。そういう医師に対しては、正面から不満をぶつけるより、SMOの上司や病院の治験事務局に状況を共有し、組織として調整してもらうほうが、関係を壊さずに済みます。CRCが1人で抱えて医師と対立すると、担当を外れた後もその施設との関係に影響が残ります。

私が以前、医療系の職場で働く方から聞いた話では、確認のたびに不機嫌になる医師に悩んでいたCRCが、上司に相談して、確認事項を週2回の決まった時間にまとめて持っていく形に変えたところ、医師の態度が目に見えて柔らかくなったそうです。相手の性格を変えることはできませんが、関わり方の形は変えられます。

病院のスタッフとの距離の取り方

医師以外にも、CRCは病院のさまざまなスタッフと関わります。

看護師や病棟のスタッフ

入院を伴う試験では、決められた時刻の採血や観察を病棟の看護師にお願いすることがあります。病棟にとっては、通常の業務の流れを変えてもらう依頼です。依頼は前日までに、手順を書いた紙を添えて伝え、当日も声をかけて確認します。終わったら「ありがとうございました」と伝える。当たり前のことですが、これを続けているCRCと、そうでないCRCとでは、半年後の協力の得やすさがまったく違います。

看護師出身のCRCの場合、病棟の看護師から「元同業者」として親しく接してもらえる一方で、「看護師なのに治験の仕事ばかりで」と距離を感じさせる言葉をかけられることもあります。立場が変わったことを自分の中で受け止めておくと、そうした言葉に振り回されにくくなります。

検査部門や薬剤部

検査部門には検体の依頼を、薬剤部には治験薬の管理をお願いします。どちらも決まりと締め切りを大切にする部署なので、依頼の形式と時間を守ることが信頼につながります。依頼の締め切りに遅れそうなときは、遅れる前に連絡を入れるだけで、関係はずいぶん違ってきます。

治験事務局

病院の治験事務局は、治験審査委員会の運営や契約、書類の管理を担います。SMOのCRCにとっては、病院側の窓口にあたる大切な相手です。書類の形式や提出の期限に厳しく感じることもありますが、それは病院として治験を適正に行う責任を負っているからです。分からないことは早めに聞き、指摘を受けたら理由を確認して次に生かす姿勢が、関係を良くします。

院内での疎外感との付き合い方

SMOのCRCが病院の中で「外の人」として扱われるのは、ある程度は仕組みの問題です。院内の職員向けの情報が届かないのは、あなたが嫌われているからではなく、職員ではないからです。そう割り切ったうえで、必要な情報は治験事務局や担当医師を通して確認する、と決めておくと、気持ちが楽になります。

製薬会社のCRAとの距離の取り方

製薬会社や、製薬会社から委託を受けた会社のCRA(臨床開発モニター)は、治験が手順どおりに行われているか、記録が正確かを確認する立場です。CRCにとっては、仕事を確認される相手です。

確認されることは、責められることではない

CRAがカルテと症例報告書を突き合わせて、ずれを指摘するのは、CRAの仕事そのものです。指摘が多いと、自分が責められているように感じるかもしれません。でも、CRAが見ているのは記録であって、あなたの人格ではありません。つまり、指摘は「このままだと試験のデータとして問題が残る」という連絡だ、ということです。

言いにくいことこそ早く伝える

手順から外れたことが起きたとき、CRAに伝えるのは気が重いものです。ただ、後から発覚するほうが、試験にとってもCRCとCRAの関係にとっても、ずっと大きな問題になります。起きたことは、事実と経緯を整理して、早めに伝えるのが原則です。

無理な要求には、上司を通す

まれに、CRAから、病院の手順や契約の範囲を超えるようなことを求められることがあります。被験者の登録を急がせる、医師の判断を待たずに記録を進めるよう求める、といった場面です。こうした要求は、その場で引き受けず、SMOの上司や治験事務局に相談してください。

※手順や法令に反する可能性がある要求を受けた場合は、1人で判断せず、必ず所属先の上司や治験事務局に報告してください。

CRAとの関係は、うまくいくと、試験を一緒に進める仲間のような関係になります。CRCから製薬会社側のCRAに転職する人もいて、同じ試験に向き合う相手として、互いの立場を理解し合えるのが理想です。

同じチームのCRCや上司との距離の取り方

外の人との関係と同じくらい、あるいはそれ以上に悩みが多いのが、同じチームの中の関係です。

担当の偏りから生まれる不満

小さなチームでは、担当する試験の数や難しさに偏りが出やすくなります。「自分ばかり大変な試験を任されている」「あの人は定時で帰っている」という不満が生まれると、チームの空気が悪くなります。こうした不満は、同僚に言うより、事実を整理して上司に相談するほうが解決に近づきます。担当の数、試験の段階、残業の時間を並べて伝えると、感情の話ではなく業務量の話として扱ってもらいやすくなります。

先輩との関係

CRCの仕事は、先輩の同行や引き継ぎで覚えることが多く、先輩との関係が最初の1年の居心地を左右します。先輩によって手順の細かなやり方が違い、どちらに合わせればよいか迷うこともあります。そういうときは、「会社の手順書ではどうなっているか」を基準にして確認すると、誰かを否定せずに済みます。

引き継ぎの場面

担当の交代や退職で引き継ぎが起きると、「前の担当が記録を残していなかった」「引き継いだ後に問題が見つかった」といった場面で関係がこじれやすくなります。自分が引き継ぐ側のときは、被験者ごとの状況、未入力の記録、残っている問い合わせを一覧にして渡す。受け取る側のときは、分からないことをその場で聞いておく。これだけで、後のすれ違いはかなり防げます。

陰口や噂との距離

狭い職場では、誰かの噂話が回りやすくなります。加わらないのが一番ですが、完全に避けるのが難しい場面もあるでしょう。そういうときは、聞くだけにして自分からは広げない、個人の評価に関わる話には相づちも控える、と決めておくと、後で巻き込まれにくくなります。

SMOの上司との関係

SMOの上司は、担当施設にいつもいるわけではないので、現場の状況が伝わりにくいことがあります。困っていることは、日報や定期の面談で、具体的な場面と数字を添えて伝えておくと、いざというときに相談しやすくなります。

被験者との距離の取り方

最後に、被験者との関係です。CRCにとって、被験者との信頼関係は仕事の中心ですが、近すぎる距離もまた悩みの種になります。

私的な連絡先は交換しない

長く担当していると、被験者から個人の携帯電話の番号やSNSを聞かれることがあります。気持ちはありがたいものですが、治験に関わる連絡は、施設やSMOが決めた窓口を通すのが原則です。個人の連絡先でやり取りすると、記録に残らない情報が生まれ、治験の手順の面でも、個人情報の管理の面でも問題になります。「決まりで、連絡はこちらの番号にお願いしています」と、決まりを理由にお断りすると、相手を傷つけにくくなります。

感情移入しすぎない

がん領域など、治療の選択肢が限られた被験者を担当すると、気持ちが深く入り込みやすくなります。寄り添うことは大切ですが、被験者の不安をすべて自分が受け止めようとすると、心が持ちません。医師や、病院の相談窓口、医療ソーシャルワーカーなど、ほかに頼れる人につなぐことも、CRCの大切な役割です。

試験の終わりの寂しさ

試験の期間が終わると、担当も終わります。その後の経過を知ることができないことも多く、寂しさを感じるCRCは少なくありません。それは、あなたがその人と誠実に向き合ってきた証拠です。

こじれてしまった関係を立て直すには

距離の取り方に気をつけていても、関係がこじれてしまうことはあります。ここでは、よく聞く場面をもとに、立て直しの考え方を整理します。個人が特定されないよう、細部は変えています。

事例1 検査部門への依頼漏れで、担当者との関係が冷えた

あるCRCは、来院の前日に検査部門へ出すはずだった依頼を忘れ、当日の朝に急いでお願いしました。検査部門の担当者は対応してくれましたが、それ以来、依頼のたびにそっけない態度をとられるようになりました。

この場面で大切なのは、言い訳をせずに、何が起きたかと、再発を防ぐために何を変えたかを伝えることです。このCRCは、改めて担当者に謝り、「前日の午後3時に依頼の一覧を見直すことにしました」と具体的な対策を伝えました。その後、依頼の締め切りを守り続けるうちに、数か月で関係は元に戻ったそうです。こじれた関係は、1回の謝罪より、その後の積み重ねで戻っていきます。

事例2 同じ施設を担当する先輩と、手順のやり方で対立した

別のCRCは、先輩と記録の残し方で意見が合わず、言い合いになってしまいました。その後、2人の間で必要な連絡が途切れ、被験者の情報の共有に支障が出始めました。

こうなると、2人だけで解決しようとしても、感情が先に立ってうまくいきません。このケースでは、上司に入ってもらい、会社の手順書に沿ってやり方を統一することで、どちらが正しいかという話ではなく「会社としてどうするか」という話に置き換えました。個人と個人の対立を、組織の決まりの話に移すと、互いのメンツを保ったまま関係を戻しやすくなります。

事例3 院長の機嫌を損ね、治験への協力が得にくくなった

クリニックを担当していたCRCが、診察の最中に確認をお願いしたところ、院長に強く注意され、その後は確認のたびに不機嫌な対応をされるようになりました。

クリニックは院長との関係がすべてなので、CRC1人で抱えると行き詰まりやすい場面です。このケースでは、SMOの上司が院長を訪ね、確認の時間帯と方法を改めて取り決めました。CRCが悪者になるのではなく、「会社として、先生のご負担を減らす形に変えたい」と伝えたことで、院長も受け入れやすかったようです。

※相手の言動が人格を否定するものだったり、長く続いていたりする場合は、関係の立て直しより先に、次の節で触れる相談先を頼ってください。

3つの事例に共通すること

どの事例でも、立て直しのきっかけは「自分1人で相手を変えようとしなかったこと」でした。具体的な対策を示す、組織の決まりに置き換える、上司に間に入ってもらう。CRCの人間関係は構造から生まれるので、立て直しも構造の側から手を入れるほうがうまくいきます。

これからCRCになる人が、職場の人間関係を見極める方法

これからCRCとして働く職場を選ぶ方に向けて、入る前に人間関係の雰囲気をつかむ方法も整理しておきます。これ、知らない人が本当に多いんです。求人票には人間関係のことはほとんど書かれていませんが、面接や見学の場で確かめられることはたくさんあります。

面接で聞くこと

・配属予定の施設で、同じ会社のCRCは何人働いているか
・担当施設の医師とのやり取りで困ったとき、誰に相談する仕組みになっているか
・担当の数や施設の変更を相談できる仕組みがあるか
・新人のときに、指導を担当する先輩は決まっているか
・この1年ほどで、同じチームから辞めた人はいるか、その理由は何か

最後の質問は聞きにくいかもしれませんが、答え方にその職場の姿勢が表れます。はぐらかされるより、「こういう理由で辞めた人がいて、今はこう変えています」と説明してくれる職場のほうが、問題に向き合っている職場だと言えます。

見学や面談で見ること

見学ができる場合は、CRC同士の会話の様子、上司が現場のCRCに声をかける様子、病院のスタッフとのやり取りの様子を見ておきます。現場のCRCと話す機会があれば、「困ったときに誰に相談していますか」と聞いてみてください。

口コミの読み方

インターネット上の口コミは、辞めた人が不満を書いていることが多く、全体の姿より悪く見えやすいものです。一方で、同じ内容の不満が何年にもわたって繰り返し書かれているなら、職場の構造に根づいた問題である可能性があります。1件の強い言葉より、繰り返し出てくる内容に注目して読むのがよいでしょう。

求人の探し方や、応募の前に確かめておきたいことについては、治験のコーディネーターの求人はどこで探すのか、募集の出方と応募前に確かめることもあわせて読んでみてください。

ハラスメントと感じたとき、法律上の考え方と相談先

人間関係の悩みの中には、我慢すべきではないものもあります。ハラスメントです。

パワーハラスメントの考え方

労働施策総合推進法では、職場のパワーハラスメントを防ぐための措置をとることが、事業主に義務づけられています。職場のパワーハラスメントは、次の3つをすべて満たすものとされています。

・優越的な関係を背景とした言動であること
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
・働く人の就業環境が害されるものであること

つまり、立場が上の人や、その人の協力なしには仕事が進まない相手から、仕事に必要な範囲を超えた言動を受け、働くのがつらくなっている、ということです。人前での大声での叱責、人格を否定する言葉、無視、過大な仕事の押し付けなどが典型的な例です。

一方で、記録の誤りを指摘される、手順どおりに進めるよう注意される、といった業務上必要な指導は、言い方が厳しくても、それだけではパワーハラスメントにはあたりません。

SMOのCRCが病院の職員から受けた場合

SMOのCRCにとって、担当施設の医師や職員は、自分の会社の人ではありません。それでも、雇い主であるSMOには、社員が働く中で受けるハラスメントについて相談に応じ、必要な対応をとることが求められます。取引先など社外の人からの言動についても、相談に応じる体制を整えることが望ましいとされています。また、顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントへの対策を事業主に求める法改正も行われています。

まず記録を残す

ハラスメントだと感じたら、いつ、どこで、誰から、どんな言動を受けたか、その場に誰がいたかを、できるだけその日のうちにメモしておいてください。メールやチャットの記録も保存しておきます。記録は、相談するときにも、後で状況を説明するときにも、あなたを守る材料になります。

相談先

・SMOや病院の社内の相談窓口
・直属の上司、またはそのさらに上の立場の人
・人事の担当部署
・都道府県の労働局に置かれている総合労働相談コーナー

社内で相談しても解決しない場合や、相談したことで不利な扱いを受けた場合は、労働局に相談できます。相談したことを理由に解雇や不利な扱いをすることは、法律で禁止されています。

※心身の不調が出ている場合や、損害賠償などを考える場合は、医師や、労働問題に詳しい弁護士に相談してください。

狭い職場で、自分を守りながら続けるために

ここまで、相手ごとの距離の取り方を見てきました。最後に、どの相手にも共通する、狭い職場で自分を守るための習慣をまとめます。

決まりを味方にする

頼みごとや断りごとは、「私がこうしたい」ではなく「手順ではこうなっています」と、決まりを理由に伝えると、相手とぶつかりにくくなります。

記録を残す

誰に、いつ、何を依頼し、どう返事をもらったか。仕事の記録として残しておくと、言った言わないのすれ違いを防げます。

1人で抱えない

医師との関係、CRAからの要求、チームの不満。どれも、上司や治験事務局と共有すれば、組織として扱ってもらえます。

合わない職場からは離れてよい

どれだけ工夫しても関係が改善しないなら、担当施設の変更や異動、別の職場への転職を考えてよいのです。CRCの人間関係は職場の形で大きく変わるので、別の形の職場で楽になる人はたくさんいます。職場の選び方や、長く続けている人の考え方については、治験のコーディネーターに向いている人と、長く続く人に共通していることも参考になります。

人間関係の悩みで働き方そのものを見直したいときは、職業選択の相談に応じる国家資格であるキャリアコンサルタントに相談し、自分の大切にしたいことを整理するのも1つの方法です。反対に、立場の違う人の間で調整してきたCRCの経験は、医療職の悩みに向き合う職場・転職・キャリア相談のお仕事のような仕事に生かすこともできます。前職に戻る選択肢も含めて考えるなら、看護師の年収・単価相場で働く場所ごとの水準を見比べておくと、判断の材料になります。

CRCの人間関係は、確かに難しいものです。でも、その難しさの多くは、あなたの性格ではなく、立場の違う人の間に立つという仕事の構造から来ています。構造を知り、決まりを味方にし、困ったときは相談する。そうすれば、狭い職場でも、自分を守りながら働き続けることができます。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 治験のコーディネーターの人間関係で、一番悩みが多いのは誰との関係ですか?

担当施設の医師との関係と、同じチームの中の関係に悩む人が多い傾向です。医師にとって治験は診療の上乗せなので、確認の頼み方で関係が変わります。チームは人数が少なく、担当の偏りや先輩とのやり方の違いで不満が生まれやすくなります。どちらも上司に具体的に相談すると解決に近づきます。

Q. SMOのCRCと院内CRCでは、人間関係の悩みは違いますか?

SMOのCRCは病院の中で外の会社の人として扱われる疎外感や、施設ごとの相性に悩みやすい傾向です。院内CRCは病院の職員として受け入れられやすい一方で、小さな治験管理室の中の固まった関係や、院内の上下関係に悩むことがあります。どちらが楽かは人によって違います。

Q. 担当施設の医師から強い言葉で責められるのは、ハラスメントにあたりますか?

記録の誤りの指摘など業務上必要な指導は、言い方が厳しくてもそれだけではパワーハラスメントにあたりません。ただし人格を否定する言葉や人前での大声の叱責などが続く場合は、日時と内容を記録し、SMOの相談窓口や上司に相談してください。解決しなければ労働局の総合労働相談コーナーも利用できます。

Q. 被験者から個人の連絡先を聞かれたら、どうすればよいですか?

治験に関わる連絡は、施設やSMOが決めた窓口を通すのが原則なので、個人の連絡先は交換しないようにします。記録に残らないやり取りは、治験の手順と個人情報の管理の両面で問題になるためです。決まりで連絡はこちらの番号にお願いしていると伝えると、相手を傷つけにくくなります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年8月19日最終更新:2026年10月9日
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