簿記2級の講師・講座の仕事

長谷川 奈津
長谷川 奈津
簿記2級の講師・講座の仕事

この記事のポイント

  • ✓簿記2級 講師 副業を検討している人向けに
  • ✓個人指導という4つの入り口を整理しました
  • ✓準備時間まで含めた値付けの計算

簿記2級を取ったあと、「この知識を教える側で使えないか」と考える人は思っているより多いです。実際、簿記2級 講師 副業という組み合わせで検索する人の多くは、すでに合格証書を持っていて、勉強法を知りたいわけではありません。知りたいのは、教える仕事がどこにあるのか、いくらで受けるのが妥当なのか、そして受ける前に確認しておくべき契約や法律の話です。

結論から書きます。簿記2級で教える仕事は存在しますし、在宅で完結する形も増えています。ただし「簿記2級を持っている」だけでは値段がつきません。値段がつくのは、つまずいている人がどこで止まるかを説明できる力と、それを時間内に伝える段取りです。これ、知らない人が本当に多いんです。以下では、教える場の種類、報酬の決め方、教材の作り方、契約と税務の注意点を順に整理します。

簿記2級の保有者が教える側に回れる背景

日商簿記検定は、商工会議所が実施する検定の中でも受験者数が多い試験です。2級は工業簿記が加わり、独学だと途中で止まる人が一定数出ます。ここに「教わりたい人」の需要が生まれます。教える側が不足しているというより、正確には「2級でつまずいた経験を言語化できる人」が不足しています。

同時に、教える場そのものが増えています。オンライン会議ツールが当たり前になり、資格スクールの授業も、企業の階層別研修も、画面越しで成立するようになりました。以前は教室の近くに住んでいることが講師の応募条件でしたが、いまは録画配信やオンライン個別指導という形が普通に選択肢に入ります。副業として週に数時間だけ関わるという働き方も、以前より通りやすくなりました。

教える仕事は、経理実務の代行と性質が違います。記帳代行は月次で作業量が積み上がり、繁忙期に逃げ場がありません。講師の仕事は、講義日と準備期間が事前に決まるので、本業のスケジュールに載せやすいという特徴があります。逆に、講義日は動かせません。この差を理解しておくと、自分の生活にどちらが合うかを判断できます。

なお、簿記2級は業務独占資格ではありません。教えるために許認可や登録が必要な資格ではないため、「簿記2級を持っていないと教えてはいけない」という法律はありません。資格の位置づけを整理したい人は日商簿記2級の資格ガイドで、試験の範囲と実務での評価のされ方を確認しておくと、募集要項を読むときの判断が速くなります。

教える仕事の5つの形

「講師の副業」と一言で言っても、中身はかなり違います。拘束時間、準備の重さ、報酬の出方が違うので、まず分類してください。

資格スクールの非常勤講師

簿記講座を持つ専門学校や資格スクールが、非常勤の講師を募集する形です。カリキュラムと教材が用意されているケースが多く、自分で教材を作らなくてよいのが利点です。その代わり、進度と教え方に規定があり、自由度は低くなります。報酬は1コマ90分で計算されることが多く、地域と学校によって幅があります。

募集は経理職の求人と同じ求人媒体に出ていることがあります。実際の募集文には、講師業務が他の職種と束ねて示されている例もあります。

学校法人小池学園にて、総合職のアルバイト・パートを募集します。希望や適性に応じて、フリースクール指導員、教育支援センター指導員、美容専門学校の非常勤講師、入試広報、総務経理庶務のいずれかの業務をお任せします。未経験やブランクのある方も歓迎しており、子どもの成長を支えたい、学校運営に関わりたいという熱意を重視します。有給休暇取得率が高く、家庭との両立もしやすい環境です。各種社会保険完備、交通費支給(月額3万5,000円まで)があります。 出典: 求人ボックス

この形は雇用契約になることが多く、副業として受けるなら勤務先の就業規則の確認が先です。業務委託であれば労働時間の通算は生じませんが、雇用であれば話が変わります。つまり、契約書の表題ではなく中身を見て判断する必要があります。

企業の経理研修

事業会社が、経理部門の新人や、経理以外の部署の社員に向けて簿記の基礎を教える研修です。1回2時間から半日程度で、単発または数回のシリーズになります。企業研修は1回あたりの単価が比較的高い一方、対象者のレベル差が大きく、教材を作り込む必要があります。営業担当者に損益計算書の読み方を教える研修と、経理新人に仕訳を教える研修では、必要な準備がまったく違います。

企業側は「日商簿記2級レベルの知識」を明示して社内の目標にしていることがあり、資格手当と講師の役割を同じ制度の中に置いている会社もあります。

資格手当(簿記2級5,000円/月支給、税理士1科目10,000円/月支給、他)…セミナー開催も積極的に行っており、ご経験を積まれるとセミナー講師としてご活躍いただくことも可能です。 出典: 求人ボックス

つまり、会計事務所や事業会社の内部でも、簿記2級は「教える人」の入口として使われているということです。社内で研修を担当した経験があるなら、それは外部向けの研修を受けるときの実績として書けます。

オンライン講座の販売

動画教材を作って、学習プラットフォームや自分のサイトで販売する形です。作った後は在庫を持たずに売れるので、時間の使い方としては最も自由度が高くなります。ただし、最初に作り切るまでの負荷が重い。2級の全範囲を扱うなら、収録だけで数十時間、教材作成を含めると100時間を超えることも珍しくありません。

現実的なのは、全範囲を狙わず、つまずきが集中する領域だけを切り出すやり方です。工業簿記の原価計算、連結会計の基本、税効果会計といった単元は、独学者が止まりやすい場所です。全範囲の講座は大手スクールと正面から競合しますが、単元を絞った講座は棲み分けができます。

マンツーマンの個人指導

オンライン会議ツールで1対1の指導をする形です。1回60分から90分で、受講者の質問に答えながら進めます。教材は市販のテキストを使えばよいので、準備は比較的軽くなります。相場は指導者の実績によって幅がありますが、1時間あたり3,000円から8,000円程度の帯で提示されている例が多く見られます。

個人指導で気をつけたいのは、受講者の合格が自分の評価に直結する点です。合格率を約束することはできませんし、約束すべきでもありません。募集文には「合格を保証するものではない」と明記しておくと、後のトラブルを防げます。

教材・問題の作成

教える周辺には、教材そのものを作る仕事があります。問題作成、解説執筆、テキストの校正、動画の台本作成といった案件です。人前に出るのが苦手でも受けられるうえ、在宅で完結します。文章で説明する力が価値になる仕事なので、単価の考え方は執筆業に近くなります。相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場のデータが参考になります。ここでは職種ごとの年収分布が見られるので、時間あたりいくらで受けるかを決めるときの基準になります。

値付けの考え方

講師の副業で最も多い失敗は、値付けを講義時間だけで計算することです。90分の講義に1万円と言われて引き受け、実際には教材作成と予習に6時間かかった、という話は珍しくありません。この場合の実質時給は1,333円です。

準備時間を含めた時給で判断する

計算式は単純です。報酬額を、講義時間と準備時間の合計で割ります。初回は準備が講義時間の3倍から5倍かかると見積もってください。2回目以降は教材が再利用できるので、同じ内容なら準備は大きく減ります。つまり、初回の実質時給が低くても、継続する前提なら成立することがあります。逆に、単発で二度と使わない教材を作る依頼は、初回の負荷がそのまま最終的な負荷になります。

見積もりを出すときは、この構造を依頼側に説明したほうが通ります。「講義2時間分の見積もりです」ではなく、「教材作成4時間と講義2時間の計6時間分の見積もりです」と内訳を書く。内訳があると値切られにくくなります。

3つの値付け方式

1つ目はコマ単価です。1コマ90分でいくら、と決める方式で、資格スクールの非常勤はほぼこの形です。計算が簡単で、依頼側も予算を組みやすい。

2つ目は時間単価です。準備を含めた実働時間に単価を掛けます。企業研修のカスタム教材を作る場合はこの方式が公平になります。

3つ目はパッケージ料金です。「全8回の講座一式でいくら」と決める方式で、オンライン講座や継続的な個人指導に向きます。回数と範囲を先に確定させるので、途中で範囲が膨らむのを防げます。パッケージにするなら、契約書に「含まれない作業」を書いておくのが要点です。質問対応を無制限にすると、報酬は固定なのに作業だけ増えます。

値下げを求められたときの向き合い方

金額を下げるのではなく、範囲を下げる。これが基本です。教材作成を依頼側で持つ、講義回数を減らす、質問対応の期間を区切る。範囲を動かさずに金額だけ下げると、次の依頼も同じ金額が基準になります。1回の値下げは1回では終わりません。

教える中身の作り方

簿記2級の講師として価値が出るのは、正解を説明できることではありません。正解はテキストに書いてあります。価値が出るのは、どこで人が間違えるかを先回りできることです。

つまずきが集中する単元を押さえる

商業簿記では、連結会計の開始仕訳、税効果会計、有価証券の評価替えあたりで手が止まる人が多い。工業簿記では、直接原価計算と全部原価計算の違い、標準原価差異の分析、部門別計算が壁になります。共通するのは「手続きは覚えたが、何のためにその処理をするのかが腹落ちしていない」状態です。

ここを教えるときは、処理の手順から入らず、目的から入る。たとえば税効果会計なら、会計と税務で費用として認める時期がずれるから、その差を調整する処理なのだと説明する。つまり、順番を変えるだけで理解の速度が変わります。

カリキュラムの組み方

全範囲を均等に配分すると、つまずく単元に時間が足りなくなります。時間配分は受講者の状態に合わせて先に決めてください。受講前に簡単な確認テストを送り、どこが弱いかを把握してから初回に臨むと、初回の満足度が変わります。この事前確認は15分程度で済む分量にしておくと、受講者も負担なく答えてくれます。

教材と著作権で確認すべきこと

自作教材に、市販テキストの図表や過去問題をそのまま貼り付けるのは避けてください。試験問題や解説には著作権が及ぶ可能性があり、権利者の許諾なく複製して配布すると問題になります。自分で数値を変えたオリジナル問題を作る、公表されている統計や制度の説明を自分の言葉で書く、という手順を踏むのが安全です。

引用として使う場合も、引用の要件(自分の記述が主で引用が従であること、出所を明示すること、必要な範囲にとどめること)を満たす必要があります。研修先の企業に配る資料は特に注意が要ります。社内で複製されて長く使われるためです。ここは判断に迷ったら、教材の作り方そのものを変えるほうが早い。権利関係で後から止まるより、最初から自作にしておくほうが結局は速く進みます。

生徒や依頼をどこから取るか

教える仕事は、待っていても来ません。入口は大きく3つです。

1つ目はスクール経由です。資格スクール、専門学校、通信講座の運営会社に応募します。安定していますが、単価は自分で決められません。実績づくりの入口としては有効です。

2つ目は法人研修です。研修会社に登録するか、直接企業に提案します。単価は高いものの、実績がないと選ばれにくい。まずは自分が所属する会社や、取引のある会社の社内研修から始めるのが現実的です。社内で1回教えた経験があれば、それは提案時に書ける材料になります。

3つ目は直接受注です。在宅ワーク求人サイトや業務委託のマッチングサービスで、教材作成や個別指導の案件を探します。仲介手数料が引かれないサービスを選べば、同じ予算でも受け取る額が変わります。手数料0%で直接取引ができる場では、依頼側は同じ予算でより多くを頼めますし、受ける側は手取りが厚くなります。

教える仕事の隣接領域を探すなら、ITコンサルティング・講師のお仕事のガイドが参考になります。講師業務がどういう案件の形で発注されるか、募集にどんな条件が書かれるかが分かります。キャリア相談や学習支援の方向に広げたい場合は、キャリア・副業・人生相談のお仕事のカテゴリも見ておくとよいでしょう。教える技術は、資格講座以外にも転用が効きます。資格を軸に相談業へ広げた例としては、キャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】で、資格保有者が個人向けの支援をどう組み立てているかが整理されています。

契約と税務で確認しておくこと

法律はあなたの味方ですが、知らないままだと味方になってくれません。ここは面倒でも先に押さえてください。

契約の形を確認する

業務委託なのか雇用なのかで、扱いがまったく変わります。指揮命令を受けて決まった時間に働くなら雇用に近く、成果物や役務の提供として受けるなら業務委託です。副業を検討する段階では、勤務先の就業規則で兼業がどう定められているかを先に確認してください。

源泉徴収の扱い

個人が法人から講演料や講師料を受け取る場合、支払側が所得税を源泉徴収するのが原則です。税率は支払金額に応じて決まり、100万円以下の部分は10.21%が目安になります。つまり、請求額がそのまま振り込まれるとは限りません。見積もりを出すときは、税込か税抜か、源泉徴収の有無を明記しておくと後の行き違いを防げます。最新の取扱いは国税庁の案内で確認してください。

税務の相談に踏み込まないこと

ここが最も重要です。簿記の内容を教えることと、個別の税務相談に応じることは別物です。税理士法第2条は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を税理士の業務として定めており、同法第52条は税理士でない者がこれらの業務を行うことを制限しています。

条文そのものは税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)で確認できます。読み飛ばさずに第2条と第52条だけでも目を通しておいてください。

講義の中で「この仕訳はこう切ります」と一般的な会計処理を説明することと、受講者の会社の具体的な事情を聞いて「この費用はこう申告すれば節税になります」と答えることの間には線があります。この線がどこにあるかは個別の事情で変わるため、この記事で「ここまでは大丈夫」と断定することはできません。受講者から個別の税務の質問が出たら、一般論の説明にとどめ、具体的な判断は税理士に確認するよう案内してください。研修の依頼を受ける段階で、扱わない範囲を書面に書いておくのが確実です。※判断に迷うケースでは税理士または所轄の税務署に相談してください。

法務や許認可の周辺まで仕事を広げたいなら、行政書士の資格ガイドで、どの範囲がどの資格の業務とされているかを見比べておくと、自分が受けてよい仕事の輪郭がはっきりします。

運営者として見てきた、教える仕事が続く人の共通点

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から言えば、講師の仕事で長く続いている人には、はっきりした共通点があります。教える内容がうまい人ではなく、依頼側の手間を減らせる人が続いています。

具体的には、講義の後に「今回の受講者はここでつまずいていました」と一行の報告を返す人。次回の教材案を先に出す人。日程調整をこちらから提案する人。こうした動きは講義そのものの質とは関係がありませんが、依頼側から見ると「この人に任せると楽だ」という評価になります。教える仕事は、次回も呼ばれるかどうかで年間の収入が決まります。単発の出来より、任せやすさが効くのはそのためです。

もうひとつ観察されるのは、額面ではなく手取りで判断している人が長く残ることです。仲介手数料が引かれる場では、同じ3万円の案件でも手元に残る額が変わります。直接取引の場を併用して、実績づくりは仲介、継続案件は直接、と使い分けている人が多い。これは節約というより、教える準備に時間を割くための現実的な選択です。準備時間が確保できないと、講義の質は必ず落ちます。

見積書に必ず書く項目

見積書は金額だけの紙にしないでください。講義の日時と時間、対象人数の上限、教材作成の有無と枚数の目安、質問対応の期間、録画の可否と利用範囲、キャンセル規定、源泉徴収の扱い。この7項目が入っていれば、後から揉める余地はほとんどなくなります。逆に、金額だけを口頭で伝えて始めた案件は、追加の作業を断りにくくなります。

依頼側にとっても、内訳がある見積書のほうが社内で通しやすい。稟議に出す担当者は、金額の根拠を上司に説明しなければならないからです。項目を分けて書くことは、自分を守るだけでなく、相手の手間を減らす行為でもあります。

講義当日までの段取り

教える中身が決まっても、段取りが甘いと当日に崩れます。副業として受ける場合は特に、本業の合間で準備するので、確認する項目を固定しておくと事故が減ります。

引き受ける前に確認する4点

1つ目は受講者の人数です。5人までなら質問を拾いながら進められますが、20人を超えると一方向の講義になります。人数によって教材の作り方が変わるので、見積もり前に必ず聞いてください。

2つ目は受講者のレベルです。「経理の初心者向け」という依頼は当てになりません。仕訳を切ったことがない人と、日常仕訳はできるが決算が分からない人では、必要な時間が倍近く違います。事前に確認テストを送るか、依頼側の担当者に「借方と貸方の意味を説明できる人は何割ですか」と具体的に聞くと、実態が見えます。

3つ目は使用している会計ソフトです。研修の中で実際の画面を見せるなら、ソフトが違うと教材を作り直すことになります。クラウド会計を使っている会社と、インストール型を使っている会社では、説明する操作が変わります。

4つ目はゴールです。資格取得が目的なのか、日常業務の精度を上げたいのか、決算書を読めるようになりたいのか。ゴールが違えば同じ簿記でも扱う範囲が変わります。依頼側がここを言語化できていないことは珍しくないので、こちらから選択肢を出して選んでもらうのが早い。

オンライン講義の環境

在宅で講義をするなら、環境の準備は自分の責任範囲です。有線の回線、外付けのマイク、手元を映せるカメラかタブレット、この3点があれば大半の講義は成立します。特にマイクは効果が大きく、聞き取りにくい音声は内容の評価まで下げます。

仕訳を書いて見せる場面が多いので、画面共有で書けるツールを1つ決めておいてください。ホワイトボード機能でも、タブレットの手書きアプリでも構いません。決めておくと当日に迷いません。

録画とキャンセルの取り決め

講義を録画して社内で使いたい、という依頼はよくあります。録画物の利用範囲は事前に決めてください。何回まで、いつまで、誰に配るのか。ここを決めずに渡すと、教材が繰り返し使われて次回の依頼が来なくなります。利用範囲を限定する代わりに料金を抑える、無制限にするなら料金を上げる、という調整ができます。

キャンセルの規定も先に書いておきます。教材を作り終えた後に中止になっても、作業は発生しています。実施7日前までは全額返金、それ以降は教材作成分として50%を請求する、といった条件を見積書に一行入れておくだけで守れます。書いていないと請求できません。

在宅の仕事全体の中での位置づけ

在宅で受けられる仕事を俯瞰すると、講師と教材作成は「単価は高いが供給できる量に上限がある」領域に入ります。データ入力や記帳代行のように作業量で伸ばすことはできませんが、1件あたりの単価は上がりやすい。逆に言えば、量を増やして収入を伸ばす設計には向きません。

この特性を踏まえると、簿記2級の保有者にとって現実的な組み立ては次のようになります。まず記帳代行や経理サポートで安定した稼働を作り、その上に月に数本の講師案件を載せる。講師案件は事前に日程が決まるので、作業案件のスケジュールを崩しにくいからです。逆の順番、つまり講師だけで組み立てようとすると、依頼が来ない月の収入がゼロになります。

教材作成の案件は、その中間に位置します。納期が数週間あり、在宅で完結し、単価は執筆業の相場に準じます。講師の仕事が途切れた月の埋め合わせとして機能するので、講師をやるなら教材作成も受けられる状態にしておくと、収入の波が小さくなります。

最後に、教える仕事を始める前にやっておくとよいことを1つだけ挙げます。自分が2級の学習中に最も時間を溶かした単元を、A4で1枚にまとめてみてください。合格した人なら必ず1つはあるはずです。その1枚が書けるなら、教える材料はもう手元にあります。書けないなら、まだ言語化が済んでいないということです。値段がつくのは合格証書ではなく、その1枚のほうです。

よくある質問

Q. 簿記2級だけで講師の仕事は受けられますか?

受けられます。簿記の指導に業務独占の定めはないため、資格の級そのものが法的な制限になることはありません。ただし資格スクールの募集では1級や税理士科目合格を条件にしている例もあります。2級で受けやすいのは企業の基礎研修、個人指導、教材や問題の作成です。まずこの3つから実績を作るのが現実的です。

Q. 講師の副業はどのくらいの報酬になりますか?

形態によって幅があります。個人指導は1時間あたり3,000円から8,000円程度で提示されている例が多く、企業研修は1回単位で見積もるのが一般的です。重要なのは準備時間を含めて時給換算することで、初回は講義時間の3倍から5倍の準備がかかると見ておくと見積もりを外しません。

Q. 受講者から税金の質問をされたらどう答えればよいですか?

一般的な会計処理の説明にとどめ、個別の申告や節税の判断には踏み込まないでください。税理士法第2条は税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士の業務と定めており、同法第52条で税理士でない者による実施が制限されています。線引きは事情によって変わるため、具体的な判断は税理士や所轄の税務署に確認するよう案内するのが安全です。

Q. 教材に市販テキストの過去問を使ってもよいですか?

そのまま複製して配布するのは避けてください。試験問題や解説には著作権が及ぶ可能性があります。数値や設定を変えた自作問題を用意する、公表資料を自分の言葉で書き直すという手順にすると、権利関係で止まるリスクを減らせます。引用として扱う場合も、出所の明示と必要最小限の範囲という要件を満たす必要があります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月10日最終更新:2026年8月30日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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