高校生ができる副業|学校の決まりと親への相談の仕方


この記事のポイント
- ✓高校生副業の法律上の扱いを
- ✓アルバイトと業務委託の違い
- ✓未成年の契約の取消権から整理しました
「高校生でも副業ができるのか」。この検索をしている人は、たいてい2つのことを同時に心配しています。法律で禁止されていないか、そして学校や親に何と言えばいいか。
結論から言います。高校生が働いて収入を得ることは、法律で禁止されていません。ただし、年齢によって守るべきルールがいくつかあり、さらに「アルバイト」と「業務委託の副業」では適用される法律が違います。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、高校生の副業について、法律上の扱い、学校の決まりの確認、親への相談の仕方、在宅でできる仕事の種類、税金、そして絶対に手を出してはいけない誘いまで整理します。保護者の方が読んでも判断できるように書きました。
高校生の副業は、法律の上でどう扱われるのか
まず整理が必要なのは、「アルバイト」と「業務委託」がまったく別の契約だということです。ここを混同すると、話がかみ合いません。
アルバイトの場合に適用されるルール
お店や会社に雇われて働く形は、労働契約です。この場合、労働基準法が適用されます。高校生に関わる条文を挙げます。
年齢の下限。 労働基準法56条は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの人を使用してはならないと定めています。つまり中学を卒業する年度末までは原則として働けません。高校生であれば、この条件はすでに満たしています。
深夜の制限。 労働基準法61条は、満18歳に満たない人を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないと定めています。つまり18歳未満のうちは、深夜のシフトに入ることが法律で禁止されています。これは本人が希望しても変わりません。
時間の制限。 満18歳未満の人には、時間外労働や休日労働の協定が適用されません。1日8時間、1週40時間が上限になります。
年齢を証明する書類。 満18歳未満の人を雇う事業場は、年齢を証明する書類を備えておく義務があります。これは会社側の義務なので、提出を求められたら普通のことだと思ってください。
労働のルールについての公式な案内は厚生労働省のサイトにまとまっています。気になる点があれば、そちらで条文の趣旨を確認してください。
業務委託の場合はどうなるか
一方、記事を書く、イラストを描く、動画を編集するといった仕事を「引き受けて納品する」形は、雇用ではありません。請負や委任と呼ばれる契約です。
この場合、労働基準法は適用されません。つまり、深夜の制限も、1日8時間の上限も、法律上はかかりません。
ここで「じゃあ自由だ」と考えるのは早いです。労働基準法が守ってくれないということは、働きすぎても誰も止めてくれないという意味でもあります。学校があるのに深夜まで作業して、成績が落ちる。これは法律の問題ではなく、自分で管理しなければならない領域になります。
未成年者の契約には取消権がある
もうひとつ、知っておくべき大事な条文があります。民法5条です。
未成年者が契約をするには、法定代理人、つまり多くの場合は親の同意が必要です。同意を得ずにした契約は、取り消すことができます。
そして民法4条により、成年年齢は18歳です。2022年4月に20歳から引き下げられました。ですので、高校3年生で18歳の誕生日を迎えた人は、もう成年です。この取消権は使えません。
つまり、17歳までは「親の同意なしに結んだ契約は取り消せる」という保護があり、18歳になるとその保護がなくなる。ここは境目がはっきりしています。
保護があるうちは、それを前提にした仕組みも多いです。だから、仲介サービスの多くが「18歳未満は保護者の同意が必要」または「18歳以上のみ登録可」と規約で定めています。サービスによって扱いが違うので、登録の前に利用規約の年齢に関する項目を必ず読んでください。ここを飛ばして登録し、後で規約違反として止められる例があります。
法律はあなたの味方です。守られる範囲を知っておけば、必要以上に怖がることはありません。
学校の決まりを先に確認する
法律とは別に、通っている学校の決まりがあります。ここを先に確認してください。
学校の決まりは法律ではありません。ですので「校則違反は違法」ではありません。ただ、学校との関係で処分の対象になることはあります。指導を受ける、届出を求められる、場合によっては許可が取り消される。ここは学校ごとに違います。
確認するのは3点です。
アルバイトや収入を得る活動が禁止されているか。 全面的に禁止している学校、許可制にしている学校、届け出だけでよい学校があります。生徒手帳や入学時の書類に書かれていることが多いので、まず自分で読んでください。
許可制の場合、何が条件か。 成績、学年、期間、業種。条件が設定されていることがあります。長期休暇中だけ認める、という形の学校もあります。
業務委託の副業が想定されているか。 ここが難しいところです。多くの学校の決まりは「アルバイト」を前提に書かれていて、在宅で作品を作って納品する形は想定されていません。書かれていないことをどう扱うかは、学校の判断になります。
書かれていないから自由だと解釈するのは、おすすめしません。後で問題になったとき、解釈の争いになります。判断に迷ったら、担任の先生に聞くのがいちばん確実です。聞いた結果「認められない」と言われる可能性はありますが、隠して続けて後で発覚するより、影響は小さく収まります。
ひとつ、経験上のことを書きます。私のところに持ち込まれた相談で、隠して続けていたことが原因で話が大きくなったケースは何度もあります。本人は「知られたくなかった」というだけなのですが、隠していた事実そのものが問題として扱われてしまうのです。つまり、活動の中身より隠したことが論点になる。これは避けたほうが得です。
親への相談の仕方
ここがいちばん難しいと感じている人が多いと思います。反対されるのが怖い、という気持ちは分かります。
反対される理由は、たいてい3つのどれかです。勉強に影響するのではないか。危ない仕事ではないか。だまされるのではないか。ですので、この3つに先に答える形で話すと、通りやすくなります。
勉強への影響について。 「週に何時間やるか」を先に決めて伝えてください。「空いた時間にやる」では不安が消えません。「平日は1時間まで、テスト前2週間は休む」と具体的に言うほうが、納得してもらえます。
仕事の中身について。 誰から何を頼まれて、いくら受け取るのか。ここを説明できるようにしておいてください。説明できない仕事は、そもそも受けないほうがよい仕事です。
契約の安全について。 未成年のうちは、親の同意が必要な契約があります。むしろこれを逆に使ってください。「同意が必要だから、内容を一緒に見てほしい」と持ちかけると、相談の形になります。反対される話ではなく、確認してもらう話に変わります。
そして、お金の扱いについても先に決めておくといいです。全部自分で使うのか、一部は貯めるのか、家に入れるのか。ここを決めてから話すと、真剣に考えていることが伝わります。
保護者の方に向けても書いておきます。心配になるのは自然なことです。ただ、頭から禁止すると、隠れてやるようになります。そのほうが危険です。「やるなら内容を教えて、契約は一緒に確認する」という条件にしたほうが、実際には守りが厚くなります。
実際に、こうした心配の声はよく見られます。
高校生の息子がパソコンのアフィリエイトで月200万程稼いでいるそうなのですがあり得ますか? そういう方面に疎いので何か危険なことをしているか心配で質問しました。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
この心配は、もっともだと思います。金額が大きすぎるときは、何をしているのか確かめる理由があります。中身を説明できる活動なら問題ありませんが、説明を避けるようなら、そこは踏み込んで聞くべきところです。
高校生が在宅でできる仕事の種類
現実的に受けられる仕事を挙げます。どれも特別な資格は要りません。
文章を書く仕事。 体験にもとづくレビュー、説明文、要約。文字単価は入口では0.3円から0.8円あたりが相場です。高校生にしか書けない内容、たとえば学生向けのサービスを実際に使った感想は、需要があります。
データ入力と簡単な事務。 指示どおりに打ち込む、リストを作る、表を整える。単価は低めですが、始めるハードルがいちばん低い仕事です。
イラストやデザイン。 描ける人には、需要があります。ただし著作権の扱いや修正の範囲を最初に決めないと、揉めます。ここは契約の話が関わるので、親と一緒に条件を確認してください。
動画の編集。 切り抜き、字幕付け、簡単な加工。需要が多く、覚えれば単価も上がっていく領域です。ただし作業時間が読みにくいので、最初は短い動画から受けてください。
プログラムを書く仕事。 学んでいる人には、いちばん単価が伸びる方向です。すぐに仕事にならなくても、学習そのものが後で効きます。どの分野があるかはアプリケーション開発のお仕事を見ると、実際にどんな依頼が動いているかが分かります。
アンケートやモニター。 収入としては小さいですが、仕組みを知る入口にはなります。ただしこれで生活の足しにするのは難しいので、期待値は下げておいてください。
選び方について、大事な視点を引用します。
勉強になるような副業をすれば将来の役に立ちます。例えば、クラウドソーシングでライターの仕事をすれば文章力が上がるでしょう。アフィリエイトをすればホームページ制作やSEOのスキルが身につくはずです。クラウドソーシングで仕事を請け負えば「仕事をしてお客さんから報酬を得る」というビジネスの仕組みを経験できます。 出典: biz.moneyforward.com
これは、高校生の副業についていちばん本質的な部分だと思います。金額で選ぶと、時間あたりがいちばん高い単純作業に落ち着きます。でも、そこには何も残りません。
逆に、少し安くても、調べる力や伝える力が身につく仕事を選べば、大学生になったときに受けられる仕事の幅が変わります。高校生のうちは時間があるので、この選び方ができます。
未経験から始める道筋としては、Webデザイナー初心者必見!失敗しない学習方法から転職まで徹底解説のように、学習の順番から仕事につなげるまでを追った記事が参考になります。資格を先に取るべきか迷っている人は、資格なしでも始められる副業 vs 資格ありで単価が上がる副業|どっちが正解?で、どちらの道が自分に合うか整理できます。
収入の目安を、現実的に見ておく
期待と現実のずれが、いちばん早く離脱につながります。ですので、ここは正直に書きます。
在宅の仕事は、始めたばかりの時期がいちばん時間あたりの実入りが低いです。慣れていないので作業に時間がかかり、実績がないので単価も低い。この2つが重なります。
たとえば文章を書く仕事で、文字単価0.5円で2,000文字なら、報酬は1,000円です。調べる時間を含めて3時間かかったとすると、時間あたりは333円になります。地域のアルバイトと比べると、明らかに低い水準です。
ここで「割に合わない」と感じるなら、それは正しい判断です。お金だけを目的にするなら、時給が決まっているアルバイトのほうが効率がよい。これは事実として認めておくべきところです。
では、なぜ在宅の仕事を選ぶ意味があるのか。理由は3つです。移動の時間がかからない、深夜の制限に関係なく自分の時間に作業できる、そして積み上げた実績が次の仕事につながる。この3つ目がいちばん大きい違いです。
アルバイトの時間は、終わった時点で消えます。書いたもの、作ったものは残り、次の依頼を受けるときの材料になります。半年続けた人は、続けなかった人より受けられる仕事の幅が広くなっています。
ですので、目標の置き方としては、金額ではなく本数で考えるのがおすすめです。「月に2本納める」。これなら学校と両立できて、半年で12本の実績になります。
絶対に手を出してはいけない誘い
ここは、いちばん強く書きます。
「簡単に高収入」を掲げる募集。 内容が具体的に書かれていないのに報酬だけ大きく書かれているものは、まず疑ってください。仕事の中身が説明できないなら、それは仕事ではありません。
荷物の受け取りや、口座やカードの受け渡しを求めるもの。 これは犯罪に使われます。自分は「運ぶだけ」「受け取るだけ」だと思っていても、詐欺の実行に関わったと判断されます。未成年であっても、責任を問われます。誘いに乗ってから「知らなかった」では通りません。
身分証の写真を求めてくるだけの相手。 正規の登録で本人確認が必要な場合はあります。ただ、会社名も所在地も分からない相手に送ってはいけません。別の目的に使われます。
先にお金を払わせるもの。 登録料、教材費、システム利用料。名目はいろいろですが、仕事を受けるために先に払わせる形は避けてください。
個人のメッセージアプリだけで進めようとするもの。 やりとりの記録が残らない場を選んでくる相手は、記録を残したくない理由があります。
「稼げるやり方を教える」という形の勧誘。 情報を売る側に回らせて、友人を誘わせる形があります。これは友人関係を失う結果になります。
判断の基準は1つだけ覚えてください。親に内容をそのまま説明できるか。 説明できないなら、受けてはいけません。この基準は、法律の知識がなくても使えます。
そして、もし関わってしまったと気づいたら、すぐに大人に言ってください。早く言えば言うほど、被害は小さく収まります。※すでに金銭の被害が出ている場合や、犯罪に関わる可能性がある場合は、家族に話したうえで警察や消費生活センターに相談してください。一人で抱えないことが、いちばん大事です。
仕事を受けてから納品までの流れ
実際に受けると決めたあと、どう進めるか。ここでつまずく人が多いので、順番に書きます。
受ける前に確認する4点
何をどこまでやるのか。 「記事を書く」だけでは足りません。文字数はいくらか、画像は自分で用意するのか、参考にする資料は支給されるのか。ここが曖昧な依頼は、始めてから作業が増えます。
いつまでか。 納期を必ず文字で確認してください。「なるべく早く」は納期ではありません。学校の予定と照らして、無理なら受けないという判断ができます。
いくらか、いつ払われるか。 金額と、支払いの時期。仲介サービスを通す場合は仕組みで守られますが、直接のやりとりなら、メッセージに残しておいてください。口約束だけにしないことが自分を守ります。
直しは何回までか。 ここを決めていないと、終わりが見えません。「修正は2回まで」と最初に確認しておくだけで、後の負担が大きく変わります。
この4点を聞くのは、失礼ではありません。むしろ、聞いてくる人のほうが信頼されます。きちんとした依頼者なら、答えてくれます。答えを濁す相手は、その時点で警戒してよいところです。
進めるときのコツ
早めに一度見せてください。全部作ってから出すのではなく、最初の一部分ができた時点で「この方向で合っていますか」と確認する。方向が違っていたら、そこで気づけます。全部作り終えてから違うと言われるのが、いちばんつらい展開です。
そして、作業の時間を記録してください。何分かかったかをメモする。3,000円の仕事に6時間かかったなら、時間あたりは500円です。この数字を見て、次に同じ条件で受けるかどうかを判断できます。感覚だけで続けると、割の悪い仕事を繰り返すことになります。
納品のときに書く一行
これがいちばん差がつくところです。ファイルを送るだけで終わらせないでください。
「指定の文字数は満たしています。2か所、資料に書かれていない部分があったので、こう判断しました」。この一行を添えるだけで、受け取った側の確認作業が大きく減ります。
依頼する側の立場で考えてみてください。受け取った成果物を全部点検しなければならないのか、それとも迷った箇所だけ見ればよいのか。次に頼むのがどちらかは、考えなくても分かります。
年齢は関係ありません。この一行を書ける人が、続けて頼まれます。ビジネスの文書の基本的な書き方を押さえておきたい人は、ビジネス文書検定の出題範囲が、そのまま実務のチェックリストとして使えます。
トラブルになったときの備え
やりとりは残してください。メッセージ、メール、チャット。全部が証拠になります。電話で決めたことは、後で「先ほどの内容を確認します」と文字にして送ってください。
払ってもらえない、話が違う、そういう事態になったとき、記録があるかないかで結果が変わります。未成年であれば、親の同意なく結んだ契約を取り消せる場合もあります。一人で抱えず、まず家族に話してください。
学校と両立させるための時間の使い方
法律の話とは別に、ここが実際にはいちばん難しいところです。
高校生の時間は、思っているより少ないです。授業、宿題、部活、通学。ここに副業を足すと、削られるのは睡眠になります。そして睡眠が削られると、成績が落ちます。順番として、これは避けなければなりません。
現実的な組み方を書きます。
上限を先に決める。 「週5時間まで」と決めてしまう。空いた時間にやる、という決め方だと、必ず増えます。上限を決めておけば、依頼を断る判断ができます。
テスト前は休む。 2週間前から受けない。これを最初から相手に伝えておいてください。「試験期間は対応できません」と先に言っておけば、依頼する側も予定を組めます。後から言うと迷惑になりますが、先に言えば条件のひとつです。
やる時間を固定する。 「夜9時から10時まで」と決めると、その時間に集中できます。決めていないと、ずっと気になって、結果としてどちらも進みません。
納期は余裕を持って受ける。 3日でできると思ったら、5日もらってください。学校の予定は突然変わります。余裕がない受け方をすると、間に合わなかったときに逃げ場がありません。
そして、成績への影響は自分で確認してください。始めてから最初の定期試験の結果を見る。下がっていたら量を減らす。この点検を自分でやっていることを親に伝えられると、続けさせてもらいやすくなります。
保護者の方に向けても書いておきます。時間の管理を本人に任せたうえで、定期試験の結果で判断する、という約束にするのが現実的です。毎日の作業時間を監視するのは、双方が消耗します。結果で見るほうがお互い楽です。
在宅で作業する環境についても一言。通信が不安定だと、納品の直前に困ります。家族と共有している回線であれば、作業する時間帯に速度が落ちないかを確認しておいてください。オンラインの打ち合わせが入る形の仕事なら、ここは特に重要になります。
税金と確定申告、親の扶養への影響
お金が入ってきたら、税の話が関係してきます。年齢は関係ありません。高校生でも、所得があれば課税の対象です。
ここは仕組みから整理します。
所得税の考え方
所得税は、収入そのものにかかるのではなく、収入から必要な経費や控除を引いた後の金額にかかります。ですので、少額であれば税金は発生しません。
ただし、その「少額」の線は、収入の種類によって違います。アルバイトの給与だけの場合と、業務委託の報酬がある場合で計算が変わります。
アルバイトの給与だけの場合。 給与には給与所得控除という仕組みがあり、そこに基礎控除を加えた金額までは所得税がかかりません。毎月の給与から税金が引かれていた場合、年末調整または確定申告で戻ってくることがあります。
業務委託の報酬がある場合。 売上から経費を引いた金額が所得になります。この所得が基礎控除の額を超えると、所得税が発生します。
両方ある場合。 勤務先で年末調整を受けていて、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。
控除の金額は改正で変わります。基礎控除は2025年の改正で引き上げられ、合計所得の区分ごとに金額が分かれる形になりました。区分が細かいので、自分の場合にいくらまで課税されないのかは国税庁のタックスアンサーで確認してください。この記事の数字をそのまま当てはめるのではなく、必ず一次情報を見てほしいところです。
住民税は基準が違う
注意が必要なのはここです。所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要になることがあります。住民税には先に書いた20万円の扱いがないため、自治体の案内を確認してください。
見落としやすいので、あらためて書いておきます。所得税と住民税は別の税金で、基準も別です。
親の扶養に与える影響
これがいちばん現実的な論点です。
16歳以上の子どもは、親の扶養控除の対象になります。つまり、親の税金が軽くなる仕組みが働いています。ところが、子どもの所得が一定の額を超えると、この控除の対象から外れます。
すると何が起きるか。子どもが増やした収入よりも、親が余分に払う税金のほうが大きくなる場合があります。家全体では損をする、という状況です。
対象から外れる所得の上限額も、2025年の改正で変わりました。ですので、年間でどのくらいまでにしておくかは、国税庁の案内で確認したうえで、家族と相談して決めてください。ここを知らずに働きすぎて、後で親の税負担が増えたことが分かる。これがいちばん多いトラブルです。
記録をつけておく
売上と経費は、最初から記録してください。日付、内容、金額の3列でかまいません。表計算ソフトでも、ノートでも構いません。
経費になるのは、業務のために使った分です。作業に使う機材、通信費、資料として買った本。ただし、生活にも使っているものは按分が必要です。
将来につながる選び方
最後に、選び方の話をします。
高校生のうちに収入を得る経験には、金額以上の意味があります。仕事を引き受け、期限までに納め、報酬を受け取る。この流れを一度通しておくと、大学生になってからの動き方が変わります。
ですので、選ぶときは3つの軸で見てください。
説明できる相手か。 誰から頼まれているかが分かること。これが最優先です。
残るものがあるか。 作業が終わったときに、経験か作品か技術のどれかが残るか。単純に消える作業だけを選ぶと、時間だけが過ぎます。
続けられる量か。 学校があることが前提です。週5時間くらいから始めて、成績への影響を見ながら調整してください。
そして、伸ばす方向について。文章を書く技術は、どの分野でも使えます。自分の考えを整理して人に伝える力は、進学でも就職でも効きます。文章を書く仕事としての相場の幅は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。
技術の方向に興味があるなら、若いうちに始める利点は大きいです。ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、この分野の水準が分かります。ネットワークや情報の基礎を体系的に学びたい人には、CCNA(シスコ技術者認定)のような認定の出題範囲が学習の地図として使えます。
家庭と両立しながら在宅で働く形の実例は、主婦がWebライターで在宅収入を得る方法|子育てと両立する働き方【2026年版】にまとまっています。立場は違いますが、限られた時間の中で仕事を組む工夫は共通しています。
保護者の方へ、確認しておきたい5点
ここは、お子さんの副業について相談を受けるときに、私が必ずお伝えしている点をまとめます。
契約の相手を確かめる。 誰から依頼を受けているのか。会社名と連絡先が分かるか。ここが不明なまま進んでいる場合は、いったん止めて確認してください。未成年の契約は、親の同意なく結んだものであれば取り消せる場合があります。つまり、確認する権限は法律上こちらにあります。
報酬の入り方を見る。 どの口座に入るのか、いつ入るのか。本人の口座に直接入る形であれば、金額の把握が難しくなります。定期的に見せてもらう約束にしておくと、税の判断もしやすくなります。
扶養控除への影響を計算する。 16歳以上の子どもは扶養控除の対象です。所得が一定額を超えると対象から外れ、世帯全体の税負担が増える場合があります。上限の額は2025年の改正で変わったので、国税庁の案内で確認してください。増えた収入より増えた税額のほうが大きい、という状態は避けられます。
危ない誘いの型を共有する。 荷物の受け取り、口座やカードの受け渡し、身分証の写真だけを求めてくる相手。これらは犯罪に使われます。禁止するだけでなく、なぜ危ないのかを一緒に確認しておくほうが効きます。※すでに関わってしまった可能性がある場合は、家庭内で抱え込まず、警察や消費生活センターに相談してください。
判断の基準を1つ渡す。 「その仕事の内容を、親にそのまま説明できるか」。この基準だけは、法律の知識がなくても使えます。説明できない仕事は受けない、という線をお子さんと共有しておいてください。
禁止するより、条件をつけて見える形にしたほうが守りは厚くなります。隠れて進めさせないことが、いちばんの安全策です。
20年この市場を見てきた立場からの観察
ここからは、フリーランスと在宅の仕事の市場を長く運営してきた立場からの観察を書きます。
若いうちに在宅の仕事を始めた人を何人も見てきましたが、うまく続いた人と、そうでなかった人には、はっきりした違いがありました。
続いた人は、最初に小さく受けていました。いきなり大きな案件を取ろうとせず、確実に納められる量から始めていた。そして、納品のときに一言添えていました。「ここで迷ったので、こう判断しました」という一行です。この一行があるだけで、依頼した側の確認が楽になる。だから次も頼まれる。年齢は関係ありませんでした。
続かなかった人は、逆でした。金額の大きい仕事に飛びつき、抱えきれず、連絡が途絶える。相手からすると、いちばん困る終わり方です。そして、その記録は残ります。
もうひとつ、お金の流れについて見てきたことを書きます。同じ仕事でも、仲介が何段か入ると、頼んだ側が払った額と受け取る側が手にする額のあいだに差が生まれます。頼んだ側は「それなりに払っている」と思っていて、受け取る側は「これでは合わない」と感じている。この食い違いが双方の不満になっていく場面を、いくつもの分野で見てきました。
中間の取り分が乗らない直接の取引では、この食い違いが起きません。同じ予算で頼む側はより多く依頼でき、受け取る側の手取りは厚くなる。手数料0%の値打ちは、金額の大小というより、この「双方が納得しやすい」という質にあります。
高校生のうちは、稼ぐ額を目標にしなくていいと思います。むしろ、契約の読み方、納期の守り方、相手に伝える書き方を身につけるほうが、あとで大きく効きます。これらは学校では教わりませんが、社会に出ると毎日使う技術です。
そして、ここまで読んでくれた人に伝えたいことがあります。法律は、あなたを縛るためにあるのではありません。18歳未満は深夜に働かせてはいけない、未成年の契約は取り消せる。こうした決まりは全部、若い人を守るために置かれています。使えるものとして知っておいてください。
法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 高校生が副業をすることは法律で禁止されていますか?
禁止されていません。雇われて働く場合は労働基準法が適用され、満18歳未満は午後10時から午前5時までの勤務が禁止され、1日8時間、1週40時間が上限になります。記事を書く、動画を編集するといった業務委託の形は労働基準法の対象外ですが、17歳までは親の同意なく結んだ契約を取り消せる保護があります。
Q. 学校に届け出ないと問題になりますか?
学校の決まりは法律ではありませんが、許可制や届出制にしている学校では指導の対象になることがあります。生徒手帳や入学時の書類を自分で読んで、禁止か許可制か届出だけかを確認してください。在宅の業務委託は決まりに書かれていない場合が多いので、判断に迷ったら担任の先生に確認するのが確実です。
Q. 親に反対されないように相談するにはどうすればよいですか?
反対の理由はほぼ3つです。勉強への影響、仕事の安全、だまされる心配。この3つに先に答えてください。週に何時間やるか、誰から何を頼まれていくら受け取るのかを具体的に伝え、契約は一緒に確認してほしいと持ちかけると、反対する話ではなく確認する話に変わります。
Q. 稼いだお金に税金はかかりますか?親の扶養に影響しますか?
年齢に関係なく、所得があれば課税の対象です。勤務先で年末調整を受けている場合、給与以外の所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。また16歳以上の子どもは親の扶養控除の対象なので、所得が一定額を超えると親の税負担が増えます。上限額は2025年の改正で変わったので国税庁の案内で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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