アカウントが乗っ取られたときの対処法

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
アカウントが乗っ取られたときの対処法

この記事のポイント

  • アカウント乗っ取りに気づいたときの初動を
  • 順番どおりに整理しました
  • まだログインできる場合とできない場合で分かれる対応

結論から書きます。アカウント乗っ取りに気づいたときに効くのは、あわてて全部を直そうとすることではなく、順番を守ることです。順番とは、今も自分でログインできるかを確かめる、メールアドレスを取り戻す、パスワードと他端末のログイン状態を切る、被害の連絡と通報をする、という四段階です。この順番を飛ばすと、せっかく変えたパスワードがまた奪われたり、復旧の通知が相手のメールに届いたりします。以下では、段階ごとに何を見て何を押すかを具体的に書いていきます。

最初に確かめるのは、今も自分でログインできるかどうか

対応は、この一点で大きく分かれます。まだ自分の端末でそのサービスを使えている場合と、すでにログアウトさせられている場合では、取れる手段がまったく違います。

まだ使えている場合、アカウントの支配権は自分の側に残っています。LINEヘルプセンターも、現在の端末でメッセージの送受信などができている場合はアカウントは乗っ取られていないとしたうえで、パスワードの変更、他端末からのログインを許可する設定の停止、ログイン中の端末の確認とログアウト、意図せず送信されたメッセージの送信取消という対応を挙げています。ここで重要なのは、順番が明示されていることです。パスワード変更だけでは、すでにログイン中の端末が生き残る場合があります。

すでにログインできない場合は、そのサービスの復旧手続きに進みます。再ログインで戻せることもあれば、本人確認を経た問い合わせが必要になることもあります。LINEの場合、本人からの問い合わせのみを受け付けており、家族や友人による代理の問い合わせは原則として受け付けていないと案内されています。復旧には本人の操作が要る、と最初に知っておくと動きが速くなります。

そして、どちらの場合でも先にやることがあります。そのアカウントに登録しているメールアドレスの受信箱を確認することです。理由は次の節で説明します。

パスワードを変える前に、メールと電話番号の支配権を取り戻す

乗っ取りに慣れた相手は、侵入した後に出口を塞ぎます。具体的には、登録メールアドレスの変更、回復用の電話番号の差し替え、メールの自動転送設定の追加、二段階認証の設定変更です。これをやられると、こちらがパスワードを再設定しようとしても、確認メールが相手に届きます。

ですから、確認の順番はメールが先です。普段使っているメールサービスにログインし、次の四つを見てください。受信箱に、覚えのないパスワード変更や設定変更の通知が届いていないか。迷惑メールフォルダやゴミ箱に、通知が振り分けられていないか。自動転送やフィルタの設定が勝手に追加されていないか。そして、メールアカウント自体のログイン履歴に見覚えのない端末がないか。

メールアカウントが乗っ取られていた場合は、そちらの復旧が最優先です。メールは他のサービスの鍵を配る場所なので、ここが相手の手にある限り、他のアカウントをいくら直しても戻されます。Googleは、ハッキングまたは不正使用されたアカウントを保護する手順として、ログインできるかの確認、セキュリティ設定の見直し、不審なアクティビティの確認という流れを公開しています。

電話番号についても同じです。SMSで確認コードを受け取る設定にしている場合、回復用の番号が書き換えられていないかを見てください。書き換えられていれば、パスワード再設定の確認コードも相手に届きます。

最初の1時間でやること

順番を決めておくと、あわてても手が動きます。次の並びで進めてください。

1つ目は記録です。不審なログイン通知、勝手に送られたメッセージ、身に覚えのない購入履歴。後から消される可能性があるので、先に画面を保存します。2つ目がメールと電話番号の確認で、前の節のとおりです。3つ目にパスワードの変更、4つ目にログイン中の端末の確認とログアウト、5つ目に二段階認証の有効化、6つ目に連携アプリの見直し、7つ目に被害の連絡です。

パスワードは、使い回していないものに変えます。同じパスワードを別のサービスでも使っている場合、そちらも順番に変更してください。侵入の原因が使い回しだった場合、一つだけ変えても他が開いたままになります。

ログイン中の端末の確認は、見落としやすい割に効きます。多くのサービスには、現在ログインしている端末の一覧を表示する画面があり、そこから個別にログアウトできます。LINEの使い方ガイドでも、ホームから設定に入り、アカウントの中のログイン中の端末を開いて、見覚えのない端末があれば速やかにログアウトするよう案内されています。

連携アプリの見直しも必ず入れてください。外部サービスと連携した状態が残っていると、パスワードを変えても連携経由でアクセスが続く場合があります。LINEヘルプセンターも、パスワードを変更しても該当サービスからは自動でログアウトされないと明記しています。

サービス側の窓口を、先に把握しておく

復旧の入口は、サービスごとに決まった場所にあります。検索で出てきた代行業者や、SNSで話しかけてくる復旧屋に頼るのは避けてください。乗っ取りの被害者を狙う二次被害が、そこに集まります。

LINEについては、公式のヘルプセンターに不正ログインの防止と対処のページがあり、パスワードの変更、Webログインの2要素認証の有効化、連携の解除、該当サービスからのログアウトという手順が並んでいます。

推測されやすいパスワードを使用していることが原因と思われる、不正ログインの被害が増えています。第三者によりWebログインを経由してLINEアカウントに不正にログインされると、第三者がLINE関連サービスや連動されている他社サービスにもログインできてしまいます。 出典: help.line.me

この説明は重要です。乗っ取られたのは一つのアカウントでも、そこに連動している他社サービスまで扉が開くという構造を示しています。被害の範囲を、そのアプリの中だけで考えないでください。

Googleアカウントについては、不正使用されたアカウントを保護する手順が公式ヘルプにまとまっています。パスワードの変更だけでなく、セキュリティ診断の項目を一つずつ確認する形になっており、回復用の連絡先、ログイン履歴、連携済みアプリまで見直せます。

金銭が絡むサービス、つまりネットバンキング、証券、電子マネー、通販サイトについては、サービス側のサポート窓口へ電話で連絡するのが早い場合があります。利用停止の措置は、画面の操作ではなく窓口でないとできないことがあるためです。不正利用があったかどうかの判断や補償の扱いは各社の規約と個別の事情で変わるので、断定せずに窓口で確認してください。

乗っ取りの入口は、だいたい四つに整理できる

原因を知っておくと、次の対策が決まります。個人のアカウントが乗っ取られる経路は、おおむね四つです。

一つ目はフィッシングです。送信者を装ったメールやSMSから偽サイトへ誘導し、IDとパスワードを入力させる手口を指します。総務省の解説では、接続先のサイトを本物と区別がつかないように偽造する例が増えており、ひと目では判別できないケースが増えていると説明されています。

二つ目はパスワードの使い回しです。どこかのサービスから漏れたIDとパスワードの組み合わせを、別のサービスで順番に試されます。自分が使っているサービスに侵入されていなくても、他社から漏れた情報で入られる形です。

三つ目は不正なアプリや遠隔操作です。画面を共有する種類のアプリを入れてしまうと、入力中のパスワードや確認コードまで見られます。副業をうたう詐欺の相談事例でも、遠隔操作アプリのインストールを指示される流れが公表されています。

四つ目は、確認コードを自分で渡してしまう形です。QRコードを読み取らせて他の端末でログインさせ、届いた認証番号を相手に送らせる手口が典型です。LINEの防犯ページでも、QRコードログインの画面は本物だが他の端末にログインする操作であり、認証番号を入力すると相手が自分のアカウントを使えるようになる、と手口が説明されています。

この四つのうち、三つ目と四つ目は本人の操作を経由します。つまり、技術ではなく会話で突破されています。だからこそ、対策も設定だけでは足りません。

兆候は、たいてい本番より先に小さく出ている

乗っ取りは、ある日突然始まるように見えて、その前に小さな合図が出ていることがほとんどです。後から振り返ると、気づく機会は何度かありました。

一つ目は、ログインに関する通知です。身に覚えのない端末からのログインを知らせる通知、パスワードの再設定を求めるメール、確認コードだけが届くSMS。とくに自分で操作していないのに確認コードが届いた場合、誰かがログインを試みてコードの入力段階まで到達しています。この時点でパスワードは漏れていると考えたほうが安全です。

二つ目は、届くはずのメールが届かない状態です。受信箱に何も来ない、いつもの通知が止まった。これは転送やフィルタの設定を書き換えられたときに起きます。迷惑メールフォルダに大量に振り分けられているだけの場合もありますが、どちらにしても設定画面を開いて確認する価値があります。

三つ目は、アプリが突然ログアウトされることです。セッションが切れただけのこともありますが、パスワードを変更されると他の端末は強制的にログアウトされます。再ログインしようとしてパスワードが通らない場合、すでに変えられています。

四つ目は、他人からの指摘です。あなたのアカウントから変なメッセージが来た、という連絡は最も確実な合図です。自分の画面には何も残っていないことがあるので、相手にスクリーンショットを送ってもらってください。送信取消をされていると、こちらの送信済み一覧からは消えています。

合図に気づいた段階で動けば、被害は通知の確認とパスワード変更だけで終わります。無視して数日が過ぎると、登録情報の書き換えまで進んでいます。時間が勝負を分けます。

電話番号そのものを狙われる場合がある

パスワードと二段階認証を整えていても、確認コードの受け取り先である電話番号を奪われると崩れます。携帯電話の契約に介入してSIMを再発行させ、SMSの確認コードを受け取る手口が報告されています。海外では金融サービスや暗号資産の取引所で被害が報告されており、SMSだけに頼った認証の弱さが指摘されています。

この形の被害では、前触れとして携帯電話が圏外になります。電波が届く場所にいるのに、突然通信できなくなる。このとき、回線の契約が別の端末に移されている可能性があります。おかしいと思ったら、別の端末から携帯電話会社のサポートへ連絡してください。

対策としては、二段階認証の方式をSMS以外に寄せることが挙げられます。認証アプリが生成する確認コード、端末に保存される鍵を使う方式のほうが、電話番号の乗り換えに影響されません。携帯電話会社が用意している、契約変更時の追加確認や暗証番号の設定も有効です。

あわせて確認したいのが、キャリアメールを使ってサービスに登録しているケースです。回線を解約したあとも、そのアドレスが登録先に残っていると、復旧の通知が届かなくなります。登録アドレスを、回線契約に依存しないものに変えておくと安全です。

サービスの種類ごとに、見る場所が変わる

同じ乗っ取りでも、確認すべき画面はサービスの性質で変わります。慌てないように、種類ごとに整理しておきます。

連絡手段のアプリでは、ログイン中の端末、送信済みのメッセージ、友だちやグループの追加状況を見ます。自分のアカウントから知らないグループが作られている場合、そこに友だちが招待されている可能性があります。

メールサービスでは、転送設定、フィルタ、署名、回復用の連絡先、そして最近のログイン履歴を見ます。署名を書き換えられ、振込先の案内を差し替えられる被害も起こり得ます。自分が最後に送ったメールの署名を、実際の送信済みで確認してください。

通販や決済のサービスでは、配送先住所、登録されている支払い手段、注文履歴、ポイントやギフト券の残高を見ます。注文履歴に覚えのない購入があれば、その場でサービスの窓口に連絡します。配送先が追加されている場合、被害はすでに実害の段階です。

SNSでは、投稿、ダイレクトメッセージ、連携アプリ、登録メールアドレスを確認します。連携アプリは見落とされがちですが、投稿の権限を持ったままになっていることがあります。

金融機関のサービスでは、画面を自分で操作するより先に、電話で連絡するほうが早い場合があります。利用停止の措置を取ってもらえれば、その後の被害は止まります。順番としては、止める、確認する、届け出る、の並びです。

公的機関が並べている脅威の順位を見ておく

個人が直面する脅威の全体像は、IPAが毎年公表している資料で確認できます。情報セキュリティ10大脅威 2026の個人向けでは、インターネット上のサービスへの不正ログインが挙げられており、初選出の2016年から11年連続で選ばれています。

「情報セキュリティ10大脅威 2026」は、2025年に発生した社会的に影響が大きかった情報セキュリティの事故や攻撃の状況などから、IPAが脅威候補を選定し、情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など約250名のメンバーからなる「10大脅威選考会」が審議・投票を経て決定したものです。 出典: ipa.go.jp

同じ個人向けの一覧には、フィッシングによる個人情報等の詐取、クレジットカード情報の不正利用、スマホ決済の不正利用も並んでいます。乗っ取りは単独の事故ではなく、フィッシングと決済の不正利用に挟まれた真ん中の工程だと分かります。

入口側の規模も数字で出ています。フィッシング対策協議会の月次報告によると、2026年8月に寄せられたフィッシングの報告件数は82,338件で、前月より16,219件増えました。報告されたフィッシングサイトのURL件数は39,800件、悪用されたブランドは96件です。分野別では、通販サイト系が全体の約43.3%を占めています。

注目したいのは、なりすましの割合です。同じ報告では、ある調査用アドレスに届いたフィッシングメールのうち、実在するサービスのメールアドレスを差出人に使ったなりすましが約32.3%だったとされています。差出人の表示で見分けるという方法が、およそ三分の一のケースで通用しないということです。正直なところ、目視で見抜けという啓発には限界があります。

法律の扱いと、相談できる場所

他人のIDとパスワードを使ってログインする行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律で禁じられています。同法第11条は、違反した者を3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。第12条では、他人の識別符号を不正に取得したり提供したりした場合について、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。

つまり、乗っ取りは迷惑行為ではなく犯罪です。被害に遭った側が遠慮する理由はありません。相談先は次のとおりです。警察相談専用電話の#9110は、発信地を管轄する警察本部の総合窓口につながります。金銭被害が出ている場合や、脅迫を伴う場合は、最寄りの警察署に直接相談してください。

技術的な相談先としては、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口があります。ウイルスや不正アクセスに関する技術的な相談を受け付けており、届出の窓口も同じ組織にあります。何が起きたのか分からない段階で、状況を整理する助けになります。

金銭を振り込んでしまった、カードを不正利用されたといった場合は、消費者ホットラインの188から最寄りの消費生活センターにつながります。アカウント乗っ取りから物品の購入やチャージにつながっていた場合、こちらも並行して使ってください。

なお、個別の被害回復が可能かどうかは、金額、経緯、サービスの規約によって変わります。ここは一般論で断定できない領域なので、窓口で事実を伝えて判断を仰ぐのが確実です。

仕事で使うアカウントが乗っ取られたときの伝え方

個人の連絡先が乗っ取られた場合、被害は自分だけで終わりません。友だちや取引先に、自分の名前でメッセージが送られます。フリーランスや副業で仕事を受けている場合、ここが一番痛い部分です。

連絡の順番は、影響が大きい相手からにします。進行中の案件の担当者、請求や入金に関わる相手、そして日常的にやり取りしている相手の順です。文面は短くて構いません。乗っ取りがあった事実、送られた可能性のあるメッセージの内容、こちらから金銭や個人情報を求めることはない旨、そして当面の連絡手段を書きます。

謝罪より先に、相手が取るべき行動を書いてください。届いたリンクは開かない、認証番号は送らない、金銭の依頼には応じない。この三つが伝われば、二次被害はほぼ止まります。

請求書のやり取りをメールでしている場合は、振込先の変更を装ったメールが後から届く可能性にも触れておくとよいでしょう。口座情報の変更は電話で確認する、という取り決めを事前に共有しておくと、乗っ取りに限らず有効です。

連絡を出す時期についても一言。全部を調べ終えてから知らせようとすると、たいてい遅れます。原因が分かっていなくても、乗っ取りの可能性があるという一報は先に出してください。後から訂正するほうが、被害が広がった後に謝るより軽く済みます。

そして、復旧後に必ず確認したいのが送信済みフォルダです。自分の名前で何が送られたのかを把握していないと、取引先からの問い合わせに答えられません。削除されている場合もあるので、相手側の画面を見せてもらうほうが早いこともあります。

二度目を起こさないための設定

再発防止で効く順に並べます。優先度が高いのは、認証の強化と使い回しの解消です。

まず二段階認証です。パスワードに加えて、確認コードや生体認証など二つ目の要素を求める仕組みで、パスワードが漏れても単独では入られなくなります。LINEの場合、ホームから設定に入り、アカウントの中のWebログインの2要素認証をオンにします。総務省も、安全にインターネットを利用するために最低限意識することとして、強固なパスワードの設定と多要素認証の活用を挙げています。

次に、他端末からのログインを許可する設定の見直しです。LINEでは、パソコンやタブレットからのログインを可能にする機能が初期状態でオンになっており、オフにすることが乗っ取り対策に有効だと案内されています。パソコン版を使っていないなら、切っておくほうが安全です。

三つ目がパスワードの棚卸しです。同じパスワードを複数のサービスで使っている状態が残っている限り、一箇所の漏えいが全体に波及します。管理を頭の中でやるのは現実的ではないので、ブラウザや端末に備わっているパスワード管理の機能を使うほうが確実です。

四つ目がログイン通知の確認です。見知らぬ端末からのログインが検知されると通知が届く仕組みを持つサービスは多く、通知を無視しないことが早期発見につながります。LINEでは公式アカウントからのトークで通知が届きます。

五つ目は、連携アプリと古いサービスの整理です。何年も使っていないサービスに、今も同じメールアドレスと古いパスワードが登録されています。退会するか、パスワードを変えるかの二択で片付けてください。

家族の端末で起きたときは、操作より先に状況を聞く

家族、とくに高齢の家族のアカウントが乗っ取られたときは、こちらが代わりに操作するより先に、何をしたかを聞き取るほうが早く片付きます。直前に開いたメール、入力した画面、電話で指示された内容。この三つが分かれば、入口がほぼ特定できます。

聞くときに責めないことが大事です。責めると、一番肝心な部分を言わなくなります。とくに、認証番号を人に教えた、遠隔操作アプリを入れた、という二つは言い出しにくい行動です。ここを隠されると、パスワードを変えても同じ経路でまた入られます。

そのうえで、端末の中も見てください。見覚えのないアプリが入っていないか、設定の中に管理者権限を持つアプリが追加されていないか。分からない場合は、端末を購入した店舗や携帯電話会社のサポートに持ち込むほうが確実です。

復旧作業を代理で行えるかどうかは、サービスによって扱いが違います。LINEは、本人からの問い合わせのみを受け付けており、家族や友人など代理の方からの問い合わせは原則として受け付けていないと案内しています。代理でやろうとして時間を失うより、本人が操作する前提で一緒に進めるほうが早いということです。

最後に、家族の連絡先に届いたおかしなメッセージについても、周囲へ一言入れておくと親切です。高齢の知人同士のやり取りでは、金銭を求める偽のメッセージがそのまま信じられてしまうことがあります。

取引先のアカウントを預かっているときの扱い

仕事の一環で、クライアントのSNSアカウントや管理画面を預かることがあります。この場合、乗っ取りが起きたときの責任の所在が問題になるため、預かる前に決めておくことがあります。

一つ目は、共有の方法です。IDとパスワードそのものを受け取る形ではなく、メンバーとして招待してもらう形にできないかを先に確認します。多くのサービスには、権限を分けて人を追加する仕組みがあり、退任時にその人だけを外せます。パスワードを共有した場合、担当が変わるたびに全員分を変更する必要が出ます。

二つ目は、権限の範囲です。投稿だけできればよいのか、設定の変更まで必要なのか。最小限の権限にしておくと、万一こちらの端末が侵入されても被害の範囲が限定されます。

三つ目は、連絡の手順です。異変に気づいたとき、誰にどの順番で連絡するかを先に決めておきます。深夜や休日に気づくこともあるため、電話番号を含めた連絡先を共有しておくと動けます。

四つ目は、作業端末の扱いです。共用のパソコンでログインしない、公衆の無線LANで管理画面を開かない、作業後はログアウトする。地味ですが、事故が起きたときに説明できるかどうかがここで決まります。

こうした取り決めは、契約書や作業の合意書に一行入れておくだけで後から揉めにくくなります。乗っ取りの原因がどちら側にあったのかは、後から特定できないことも多いためです。

市場を見てきた立場からの考察

在宅で仕事を受ける人にとって、アカウントは道具ではなく信用そのものです。連絡先、納品物、請求のやり取り、過去の実績。これらは全部アカウントの内側にあります。20年この市場を運営してきた立場から見ると、機材が壊れて仕事が止まった人より、連絡手段を失って仕事が止まった人のほうが、復旧に時間がかかっています。

復旧の速さを分けているのは、備えの量ではなく、連絡経路を二つ持っているかどうかでした。メッセージアプリしか連絡手段がない相手とは、その一つが止まった瞬間に連絡が切れます。メールアドレスと電話番号を交換している相手とは、片方が止まってももう片方で説明できます。取引先との間に、別経路をもう一つ作っておくことを勧めます。

仕事の種類によって、守るべき対象も変わります。開発や運用に関わる仕事なら、認証情報の扱いそのものが業務の一部です。どんな仕事でどんな情報を預かるのかは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事アプリケーション開発のお仕事で確認できます。預かる情報の重さを知ると、自分のアカウント管理の基準も上がります。

学び直しの入口としては、CCNA(シスコ技術者認定)のようにネットワークと認証の基礎を扱う資格が、用語の整理に役立ちます。報告書や連絡文の書き方を整えたい場合は、ビジネス文書検定の範囲が実務にそのまま効きます。乗っ取りの報告を取引先に出す場面でも、事実と依頼を分けて書ける人は信用を落としません。

報酬の水準を把握しておくことも、判断の材料になります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場で相場を見ておくと、アカウントを預けろと求めてくる不自然な依頼と、通常の業務の線引きがしやすくなります。

最後に、手取りの話を一つ。仲介が入る取引では、発注者が払った額と受注者が受け取る額に差が生まれます。手数料0%の直接取引は、同じ予算で依頼者はより多く頼め、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、直接つながる関係ほど、連絡先を複数持ち、本人確認が自然にできています。安全とお金の話は別々に見えて、同じところでつながっています。

よくある質問

Q. パスワードを変えたのに、まだ勝手にログインされている気がします?

ログイン中の端末が残っている可能性があります。多くのサービスにはログイン中の端末を一覧表示して個別にログアウトできる画面があるので、そこで身に覚えのない端末を切ってください。連携している外部サービスも見直します。パスワード変更だけでは自動でログアウトされない場合があります。

Q. メールアドレスと電話番号を勝手に変えられていました。どうすればよいですか?

そのサービスの復旧手続きから進めます。登録情報を書き換えられていると自力での再設定が難しいため、公式のヘルプページにある問い合わせ窓口を使ってください。検索で出てくる復旧代行には頼らないでください。二次被害の相談が集まっています。

Q. 乗っ取られたアカウントから友だちにメッセージが送られました。何を伝えればよいですか?

乗っ取りがあった事実、届いたリンクを開かないこと、認証番号を送らないこと、金銭の依頼に応じないことの四点を短く伝えてください。謝罪より先に相手が取るべき行動を書くと、二次被害が止まります。進行中の仕事の相手から順に連絡します。

Q. 犯人を警察に相談できますか?

他人のIDとパスワードを使ってログインする行為は不正アクセス行為の禁止等に関する法律で禁じられており、同法第11条は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。警察相談専用電話の#9110や最寄りの警察署に、保存した画面や履歴を添えて相談してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月18日最終更新:2026年9月23日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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