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年末調整を装う詐欺|詐欺電話・詐欺メールの手口と本物かどうかの確かめ方 2026

@SOHO編集部
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年末調整を装う詐欺|詐欺電話・詐欺メールの手口と本物かどうかの確かめ方 2026

この記事のポイント

  • ✓年末調整を装う詐欺電話や詐欺メールの手口と
  • ✓本物かどうかの確かめ方を国税庁と警察庁の公式の記載で解説します
  • ✓税務署はATMの操作を求めず

年末調整の時期に「還付金があります」「年末調整の手続きが済んでいません」といった電話やメール、SMSが届き、本物かどうか迷っている人に、先に結論をお伝えします。国税庁は、国税庁や国税局、税務署が、還付金の受け取りや納付のためにATMの操作を求めることはないと公式に案内しています。また、ショートメッセージ(SMS)にURLを書いた案内を送ることはなく、納付の求めや差押えについてSMSやメール、LINEでメッセージを送ることもないと明言しています。

そもそも年末調整は、会社員などが勤務先に申告書を出し、勤務先が1年間の所得税を精算する手続きです。税務署の職員を名乗る人から「年末調整の還付があるのでATMへ」と言われたら、その時点で詐欺を疑ってください。この記事では、国税庁と警察庁の公式の記載をもとに、2026年11月1日時点の情報で、年末調整を装う詐欺の手口と、電話やメールが本物かどうかの確かめ方、被害にあったときの連絡先を順番に整理します。

年末調整を装う詐欺について国税庁が公式に案内していること

国税庁は「不審な電話や振り込め詐欺にご注意を」のページで、電話、メール、文書、訪問のそれぞれについて、国税庁がしないことを明記しています。年末調整を名目にした連絡を見分けるときの物差しになるので、主なものを表にまとめます。

連絡の手段 国税庁が公式に「しない」と案内していること
電話 還付金の受け取りや納付のために、ATMの操作を求めることはない
電話 国税の納付のために、金融機関の口座を指定して振込みを求めることはない
電話 アンケートなどと称して電話することはない
電話 AIや自動音声による電話で国税の納付を求めることはしていない
SMS SMSにURLを記載した案内を送信することはない
SMS・メール・LINE 国税の納付の求めや差押えに関して、メッセージを送信することはない
メール 納税者が利用を希望した場合にのみメールを使い、同意なく送信することはない
訪問 滞納整理を外部の業者に委託することはない

いちばん大切な一文は、ATMについての記載です。国税庁のページには次のように書かれています。

国税庁(国税局、税務署を含みます)では、国税の還付金受取や納付のために金融機関等の現金自動預け払い機(ATM)の操作を求めることはありません。また、国税の納付のために金融機関の口座を指定して振込みを求めることはありません。 出典: 国税庁

税務職員が電話で問い合わせをするときは、提出された申告書などをもとに、その内容を本人に確かめることを原則にしているとも国税庁は説明しています。申告書を出した覚えのない人に、突然「還付がある」と電話がかかってくること自体が、本来の連絡の形と合いません。

年末調整の本来の流れと、会社に出す書類

詐欺の手口を見分けるために、年末調整の本来の流れを短く押さえておきます。国税庁の「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」のページでは、年末調整を、源泉徴収された税額の年間の合計額と年税額を一致させる精算の手続きと説明しています。源泉徴収とは、給与から毎月あらかじめ所得税を差し引いて納める仕組みのことです。

年末調整の対象は、原則として勤務先に「扶養控除等申告書」を出している人です。控除を受けるために、従業員は次のような申告書を勤務先に提出します。

  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 特定親族特別控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書

国税庁は、令和8年分の年末調整について、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などの見直しが行われていると案内しています。基礎控除は、合計所得金額に応じて最大104万円が控除される仕組みで、年末調整で受けるには基礎控除申告書を勤務先に出す必要があります。

ここで押さえておきたいのは、提出先がどれも勤務先だという点です。年末調整の書類の出し方や締め切りは、勤務先の担当部署から案内されます。年末調整の書類を名目に、税務署や役所が個人に直接ATMの操作やお金の振込みを求めることは、この流れの中にはありません。

年末調整の時期に多い詐欺の手口

国税庁は、国税庁をかたった電話、メール、SMS、文書、訪問の事例を公式のページで紹介しています。年末調整の時期に気をつけたいものを、手口ごとに整理します。

手口 国税庁が紹介している事例の要点 見分けるポイント
還付をうたう電話 「定額減税の関係で還付を受けられる」と切り出し、口座番号や暗証番号を聞き出そうとする 税務署は電話で暗証番号を聞かず、ATMの操作も求めない
未納をうたう電話 「国税局査察部です。税金の未納があります」と切り出し、住所や氏名、口座番号を聞き出そうとする 一度電話を切り、税務署に自分でかけ直す
アンケートの電話 「税務署からのアンケートの協力依頼です」と切り出し、個人情報を聞き出そうとする 税務職員がアンケートと称して電話することはない
還付金の受取手続きのメール 件名「【 重 要 】 還付金の受取手続きのご案内」で、アプリのインストールに誘導する 国税庁が還付金額を表示したメールを送ったり、アプリのダウンロードを求めたりすることはない
未納や差押えのメール・SMS 財産の差押えを予告し、偽の国税庁のホームページへ誘導する 国税庁は支払いの催促や差押えの予告のメールを送らない
チャットアプリ 国税庁の職員をかたり、ビジネスチャットツールで税務調査について連絡する 本物の連絡は、申告書の内容の確認が原則

年末調整そのものを名目にした連絡でも、中身はこの表の手口と同じ形になります。「年末調整で払いすぎた税金が戻る」「年末調整の手続きが未完了」などと言いながら、最終的にはATMの操作、口座番号や暗証番号、クレジットカードの情報、アプリのインストールのどれかを求めてくるのが特徴です。

警察庁も、還付金詐欺を、税金の還付などに必要な手続きを装ってATMを操作させ、口座間の送金でお金をだまし取る手口と説明しています。自治体や税務署、年金事務所の職員などを名乗り、医療費や保険料の過払い金、未払いの年金などお金を受け取れるという内容の電話をかけてくるのが典型です。

電話がかかってきたときの確かめ方

税務署や国税局を名乗る電話がかかってきたら、国税庁が案内している手順で確かめます。

  1. その場で答えない。国税庁は、不審に思ったら即答を避けるよう案内している。
  2. 相手の所属部署、氏名、電話番号を聞く。
  3. 一度電話を切る。
  4. 国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」のページで、最寄りの税務署の電話番号を自分で調べる。
  5. 調べた番号に電話し、税務署の総務課か、国税局の納税者支援調整官に、その電話が本物かを問い合わせる。

手順4が大切です。相手が教えた電話番号にかけ直しても、詐欺の仲間につながるだけです。国税局や税務署の電話番号は、国税庁の税務署の所在地などを知りたい方のページから調べられます。

警察庁の還付金詐欺のページは、最寄りの警察署にかけ直して本物かを確かめることも対策に挙げています。税務署に確かめるのが難しい時間帯なら、警察相談専用電話「#9110」に相談する方法もあります。

自動音声の電話にも注意が必要です。国税庁は、AIや自動音声による電話で国税の納付を求めることは行っていないと明記しています。電話に出ると録音された音声で「税金の未納があります」「この後、担当者におつなぎします」などと流れる電話は、ボタンを押したり担当者を待ったりせず、そのまま切ってください。

電話の着信そのものを減らす工夫も有効です。警察庁は、特殊詐欺の対策では何よりも犯人と話をしないことが大切だとして、相手の電話番号が分かる番号表示サービスや、非通知の電話に音声メッセージで応答する非通知拒否サービスを紹介しています。また、令和7年中に特殊詐欺に使われた電話番号のうち、約75.5%が国際電話番号だったとしています。「+」から始まり、日本の国番号の「+81」以外の番号からの着信には、出ないようにしておくと安全です。

メールやSMSが届いたときの確かめ方

年末調整や還付金を名目にしたメールやSMSが届いたら、次の3点で確かめます。

1つ目は、SMSにURLが書かれているかどうかです。国税庁はSMSにURLを書いた案内を送らないと明言しているので、税務署や国税庁を名乗るSMSにURLがあれば、その時点で国税庁からのものではありません。

2つ目は、メールの送信元と本文の形です。国税庁の電子申告の仕組みであるe-Taxは、メールアドレスを登録した人に「税務署からのお知らせ」などの件名で、e-Taxのメッセージボックスにお知らせが入ったことを知らせるメールを送っています。e-Taxの公式の案内では、その送信元の表記はすべて「e-Tax(国税電子申告・納税システム)‹[email protected]›」で、本文は決まった形の文面で、原則としてURLを書いていません。

ただし、e-Taxは、送信元のアドレスや表示名をe-Taxに見せかけたなりすましのメールもあると注意しています。送信元が同じに見えても、本文にリンクやボタンがあれば押さないでください。メッセージボックスとは、e-Taxにログインすると見られる、税務署からのお知らせの受け取り箱のことです。本物のお知らせかどうかは、メールのリンクではなく、自分で開いたe-Taxにログインしてメッセージボックスを見れば確かめられます。

3つ目は、宛名です。e-Taxの案内によると、メールアドレスと一緒に宛名を登録していれば、件名や本文に自分で登録した宛名が表示されます。「納税者様」「担当者様」のように広く一般的な宛名のメールは、不審なメールの特徴として挙げられています。

メールやSMSの見分け方は、フィッシング詐欺メールの見分け方とスミッシング詐欺の見分け方でも、本文とURLで見分ける手順を詳しく紹介しています。

文書や訪問で接触してきたときの確かめ方

年末調整の時期には、郵便や訪問を使った手口にも注意が必要です。国税庁は、文書や訪問についても公式の目安を示しています。

税務職員が申告書の内容について文書で照会するときは、原則として、国税局や税務署、業務センターの名前が印字された封筒を使います。名前が印字されていない封筒(ゆうパックなど)で届いた場合や、心当たりのない内容の文書が届いた場合は、最寄りの税務署の総務課か国税局の納税者支援調整官に問い合わせるよう国税庁は案内しています。国税庁が紹介している事例には、手書きで「○○国税局」と書かれたゆうパックで照会文書が送られ、生命保険の契約内容を聞き出そうとしたものもあります。

訪問についての目安は次のとおりです。

  • 税務調査をする職員は、質問検査章と顔写真付きの身分証明書を必ず持っている
  • 滞納整理をする職員は、徴収職員証票と顔写真付きの身分証明書を必ず持っている
  • 自宅などで現金を受け取るときは、必ずその場で領収証書を渡す
  • 税務職員が、会報の購読や有料の講習会の受講を勧めたり、手数料を求めたりすることはない

国税庁は、自宅を訪ねて帳簿や金庫を見たり、現金やカードを持ち去ったりする事例も紹介しています。玄関先で身分証明書を見せてもらい、それでも不安なら、その場で手続きをせずに税務署に確かめてください。

ATMへ行くように言われたら詐欺と考える

年末調整や還付金を名目にした詐欺の多くは、最後にATMへ誘導します。警察庁の還付金詐欺のページは、犯人が払い戻しには期限があると焦らせ、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうよう指示してくる流れを紹介しています。ATMに着いて電話をすると、犯人の言うとおりにボタンを押させ、実際には犯人の口座にお金を振り込ませます。

警察庁は、被害を防ぐためのポイントとして次のことを挙げています。

ATMでお金が返ってくることは、絶対にありません。 出典: 警察庁

ATMは、自分の口座からお金を引き出したり、ほかの口座へ振り込んだりする機械です。ATMの画面でお金を「受け取る」操作はありません。電話で操作を指示されている時点で、その操作はお金を送る手続きです。

警察庁と金融庁は、「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」ことを社会の常識にするための「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で進めています。ATMの前で携帯電話を耳に当てて話している人がいたら、銀行の職員やほかの利用者が声をかけることがあります。声をかけられたら、恥ずかしがらずに手を止めてください。

警察庁は、ATMの利用限度額を低く設定しておくことも対策に挙げています。限度額は口座のある金融機関で変えられるので、普段ATMで大きな金額を動かさない人は、あらかじめ下げておくと被害を小さくできます。

勤務先からの本物の年末調整の案内と見分ける

年末調整の書類は、勤務先から案内されます。最近は、紙の申告書のほか、勤務先が用意したシステムで申告書を作って出す会社もあります。国税庁も、年末調整の手続きの電子化についての情報を「年末調整がよくわかるページ」で案内しています。このため、勤務先から年末調整のメールが届くこと自体は珍しくありません。

一方で、勤務先や人事部を装ったメールでログイン画面に誘導し、IDやパスワードを入力させる手口も考えられます。勤務先からの案内かどうかは、次の方法で確かめます。

  1. 年末調整の案内が、例年と同じ経路(社内の掲示、社内のメール、社内のシステムのお知らせなど)で届いているかを見る。
  2. メールのリンクから開かず、普段使っている社内のポータルやブックマークから年末調整のシステムを開く。
  3. 迷ったら、社内のチャットや内線など普段使う連絡手段で、人事や総務の担当者に確かめる。

年末調整の申告書には、扶養している家族の氏名や生年月日、マイナンバーなど、大切な個人情報が書かれます。勤務先の担当者が、個人のメールアドレスやSMSで、申告書の写真やマイナンバーを送るよう求めてきた場合は、送る前に社内の正規の窓口で確かめてください。

SMSのURLを押してしまったときの対処

国税庁や税務署を名乗るSMSのURLを押してしまったときは、そのあと何をしたかで対処が変わります。IPAの解説をもとに、場面ごとに整理します。IPAは、偽のサイトに入力した情報は取り返すことができないため、入力した情報に応じた対処をするよう呼びかけています。

押した後にしたこと IPAが案内している対処
ページを開いただけで、何も入力していない 画面を閉じ、同じSMSのURLを再び開かない
プリペイドカードの番号を入力した カードの発行元か、最寄りの消費生活センターに相談する
クレジットカードの情報や認証コードを入力した 不正に使われていないかを確かめ、カードの一時停止や番号の変更をカード会社に相談する
氏名や電話番号などの個人情報を入力した 自分のことを知っているかのような文面の詐欺メールやSMSが届くおそれがあるので注意する
Androidでアプリを入れてしまった 下の手順で通信を止めてからアプリを削除する

IPAによると、国税庁をかたるSMSからAndroidのスマートフォンに不正なアプリを入れさせる手口では、同じ内容の偽SMSが知らない宛先に大量に送られたり、スマートフォンの中のデータが盗まれたりする被害が確認されています。アプリを入れてしまったときは、次の順番で対処します。

  1. スマートフォンを機内モードにし、Wi-Fiもオフにする。通信を止めることで、偽SMSの送信や情報の送信を止められる。
  2. 機内モードのまま、不正なアプリを削除する。ホーム画面に表示されないこともあるので、設定アプリのアプリ一覧から探す。
  3. 携帯電話会社やフリマアプリ、後払い決済のサービスなどから、登録や変更の覚えのないメールやSMSが届いていないかを確かめる。届いていたら、そのサービスの公式の窓口に不正利用がないかを問い合わせる。
  4. スマートフォンを初期化する場合は、その前に手順3の確認を済ませ、写真などのデータを別の場所に保存しておく。初期化するとSMSも消えてしまう。

IPAが確認した不正なアプリには、実在するセキュリティのアプリと同じ名前が付けられていたものもあります。名前だけで安全なアプリと判断せず、SMSのリンクから入れたアプリは削除の対象と考えてください。

プリペイドカードや電子マネーで払うよう言われたら

年末調整や税金を名目にした詐欺は、ATMだけでなく、コンビニで買えるプリペイドカードや電子マネーで支払わせることもあります。IPAは、国税庁になりすましたサイトでプリペイドカードの発行番号や額面を入力させ、券面の写真まで送らせる手口を紹介しています。

国税庁は、国税の納付のために口座を指定して振込みを求めることはないと公式に案内しています。税金を、コンビニで買ったプリペイドカードの番号を伝える形で納めることもありません。「税金の未納があるので、コンビニでカードを買って番号を送ってください」という連絡は、どんな名目でも詐欺です。

プリペイドカードの番号は、一度伝えてしまうと、すぐに使われてしまうことがあります。番号を伝えた、入力したと気づいたら、カードの発行元の窓口にすぐ連絡し、あわせて警察にも相談してください。カードの券面やレシートは、相談のときに必要になるので捨てずに残します。

減税や給付金をうたう連絡も同じ形で見分ける

年末調整の時期には、所得税の減税や給付金の話題と結びつけた連絡も届きます。国税庁は、定額減税のときに「定額減税や給付金をかたった不審な電話、ショートメッセージやメールにご注意ください」というリーフレットを出しました。そこには、国税庁や税務署、都道府県や市区町村が、「定額減税の関係で還付を受けられるので」と切り出して、銀行の口座番号や暗証番号をメールや電話で聞くことや、ATMを操作してもらうような連絡をすることはないと書かれています。

同じリーフレットには、給付金や定額減税について、内閣官房、内閣府、総務省、国税庁、国税局、税務署、都道府県、市区町村のどこも、電話やSMS、メールで銀行の口座情報を聞き出したり、ATMの操作を頼んだりすることは一切していないとも書かれています。心当たりのない電話では口座の情報を伝えないこと、心当たりのないSMSやメールはURLにアクセスせず削除すること、不審な電話やSMSの相談は「#9110」か警察署へ、という案内も載っています。

減税や給付金の制度は年によって変わりますが、詐欺の形は変わりません。制度の名前が新しくなっても、次の3つが求められたら詐欺だと考えてください。

  • 電話やSMS、メールで、銀行の口座番号や暗証番号を聞かれる
  • 還付や給付を受け取るためにATMを操作するよう言われる
  • SMSやメールのURLから、口座やカードの情報を入力するよう求められる

制度について本当に確かめたいことがあるときは、国税庁のリーフレットの案内のとおり、給付は住んでいる市区町村に、減税は担当の税務署に、自分で調べた番号から問い合わせます。

本物のお知らせを確かめられる場所を決めておく

年末調整の時期から確定申告の時期にかけては、本物の税のお知らせも増えます。偽の連絡に振り回されないためには、本物のお知らせを確かめられる場所を、あらかじめ決めておくのが近道です。

お知らせの種類 確かめる場所
年末調整の書類の案内、締め切り 勤務先の社内の掲示、社内のシステム、人事や総務の担当者
e-Taxを使っている人へのお知らせ 自分で開いたe-Taxにログインし、メッセージボックスを見る
還付申告の処理の状況 e-Taxのメッセージボックス(「還付金の処理状況に関するお知らせ」の件名で届く仕組みがある)
税務署からの文書 封筒に国税局や税務署の名前が印字されているかを見て、迷えば税務署に電話で確かめる
給付金の案内 住んでいる市区町村の公式ホームページ、市区町村の窓口

e-Taxの公式の案内には、メッセージボックスにお知らせが入ったときに届くメールの件名が一覧で載っています。「税務署からのお知らせ(宛名様)【還付金の処理状況に関するお知らせ】」「税務署からのお知らせ(宛名様)【給与所得の源泉徴収票情報に関するお知らせ】」のように、件名の決まった形も確かめられます。

国税庁のホームページを開くときは、ブラウザのアドレス欄を必ず確かめるよう、国税庁のリーフレットも呼びかけています。国税庁のホームページやe-Taxは、検索結果やメールのリンクからではなく、一度確かめて登録したブックマークから開くようにしておくと、偽のホームページに誘導されにくくなります。

被害にあったとき、情報を伝えてしまったときにすること

ATMで操作してしまった、口座番号や暗証番号、カードの情報を伝えてしまったと気づいたら、すぐに次の順番で連絡します。

  1. ATMで振り込んでしまったときは、振込に使った金融機関に連絡し、詐欺で振り込んだことを伝える。
  2. 警察に連絡する。被害にあったばかりなら「110」、相談なら最寄りの警察署か「#9110」。
  3. 口座番号や暗証番号を伝えたときは、口座のある金融機関に連絡し、口座の利用停止や暗証番号の変更を相談する。
  4. クレジットカードの情報を入力したときは、カードの裏面の番号からカード会社に連絡し、利用停止と再発行を相談する。
  5. 偽のサイトにIDやパスワードを入力したときは、同じパスワードを使っているすべてのサービスでパスワードを変える。
  6. 偽のメールやSMSからアプリを入れてしまったときは、この記事の「SMSのURLを押してしまったときの対処」の手順で、通信を止めてからアプリを削除する。

銀行振込でだまし取られたお金は、振り込め詐欺救済法の手続きで、犯人の口座に残っていたお金が分配されることがあります。預金保険機構の振り込め詐欺救済法に基づく公告のページは、手続きを行うには警察と振込先の金融機関への連絡が必要だと案内しています。口座のお金が引き出されてしまえば分配できないため、気づいたらすぐに連絡することが大切です。

国税庁をかたるSMSのURLを押したときのことは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が国税庁をかたる偽ショートメッセージサービス(SMS)や偽メールに注意で解説しています。IPAは、偽のSMSのURLを押すと、プリペイドカードの番号やクレジットカードの情報を入力させるサイトに誘導される手口と、Androidのスマートフォンでは不正なアプリが入れられる手口があると説明しています。

お金の返し方や契約のことで迷うときは、消費者ホットライン「188」で近くの消費生活センターにつないでもらえます。電話番号が知られてしまったと感じるときの備えは、電話番号の流出チェックの方法でも紹介しています。

相談の前に残しておきたい記録

警察や税務署に相談するときは、記録があるほど話が早く進みます。電話のあとは記憶が薄れやすいので、気づいた時点ですぐに書き残します。

  • 電話がかかってきた日時と、表示された電話番号(非通知なら非通知と書く)
  • 相手が名乗った名前、所属、言われた内容(「年末調整の還付がある」「期限は今日まで」など)
  • 教えられた電話番号やURL
  • メールやSMSなら、その画面のスクリーンショットと、メールそのもの(削除しない)
  • ATMを操作したなら、利用明細と、操作した日時、場所、振込先の金融機関の名前

国税庁は、不審なメールやSMSを受け取ったり、国税庁のホームページになりすましたサイトを見つけたりした場合は、アクセスや支払いをしないよう呼びかけています。記録のためにURLを開き直す必要はありません。画面の画像と、届いたメッセージそのものを残しておけば十分です。

偽のメールやSMSは、フィッシング対策協議会に知らせることもできます。協議会は、メールはリンクを押さずに報告受付のアドレスへ転送し、SMSはスクリーンショットをメールに添付して送るよう案内しています。報告は、ほかの人の被害を防ぐことにつながります。

家族や高齢の親と決めておきたいこと

年末調整を装う電話や還付金詐欺は、自宅の固定電話に昼間かかってくることが多い手口です。家族、特に高齢の親と、次のことを話し合っておくと被害を防ぎやすくなります。

  • 役所や税務署、年金事務所を名乗る電話で「お金が戻る」と言われたら、その場で手続きをせず、家族に連絡する
  • 「ATMへ行って」「携帯電話を持って」と言われたら、詐欺だと決めておく
  • 固定電話に番号表示サービスや非通知拒否サービスを付ける
  • 普段、海外と固定電話で話さないなら、国際電話の利用休止を申し込む
  • ATMの利用限度額を下げておく

警察庁の「みんなでとめよう!!国際電話詐欺」のページによると、固定電話の国際電話の利用休止は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)への電話か、Webから申し込めます。手続きが難しい人は、最寄りの警察署に連絡すれば手伝ってもらえると案内されています。

年末調整は、会社員の家族がいれば毎年話題になる手続きです。「年末調整は勤務先との間で済む手続きで、税務署や役所からATMの操作を頼む電話は来ない」という形で家族と共有しておくと、似た電話が来たときに思い出しやすくなります。会社を退職して年金で暮らしている親でも、子どもの年末調整の話をきっかけに、還付金詐欺の手口を一緒に確かめておくと安心です。警察庁の還付金詐欺のページには、実際の犯人の電話の音声も公開されています。家族で一度聞いておくと、似た口調の電話がかかってきたときに気づきやすくなります。

年末調整の対象でない人が気をつけたいこと

フリーランスや個人で事業をしている人、勤務先に扶養控除等申告書を出していない人は、原則として年末調整の対象ではなく、自分で確定申告をして所得税を精算します。年末調整の時期の詐欺は自分には関係ないと思いがちですが、確定申告をする人ほど、税務署や国税庁、e-Taxからの連絡を受け取る機会が多く、そこを装った連絡にさらされます。

確定申告でe-Taxを使っている人は、e-Taxのメッセージボックスで本物のお知らせを確かめる習慣をつけておくと、年末から確定申告の時期にかけての偽メールに強くなれます。e-Taxの公式の案内では、還付申告をした人には「還付金の処理状況に関するお知らせ」という件名のお知らせが届く仕組みがあります。件名は似せられても、本文に還付金額を書いたり、アプリのインストールを求めたりするメールは、国税庁が送らないものです。

副業で給与以外の収入がある会社員も、年末調整に加えて確定申告が必要になる場合があります。税の手続きが増えるほど、似た名前の連絡が届く機会も増えます。確定申告の要否は収入の種類や金額で変わるため、迷ったら税務署や国税庁の案内で確かめてください。

在宅で働く人が税の手続きを装う詐欺から身を守るために

在宅で働く人は、勤務先の年末調整に加えて、副業の確定申告、取引先への請求、ネットバンキングでの入出金など、お金と税の手続きをひとりでオンラインで進めることが多くなります。電話やメールで急かされたときに、相談できる同僚が近くにいないことも、詐欺に狙われやすい理由の1つです。

フリーランスや在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、税やお金の連絡で被害を防げている人は、連絡を受けたら必ず自分で調べた窓口に確かめ直す、という手順を決めています。年末調整を装う詐欺の見分け方も、この手順を守れているかどうかで結果が分かれます。社内で手順を共有したいときは、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果が参考になります。

不審な連絡を見抜き、落ち着いて確かめる力は、セキュリティに関わる仕事でも求められる力です。@SOHO では、セキュリティやマーケティングの分野の在宅の仕事をAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。年末調整を装う詐欺を見分ける基本は変わりません。年末調整の相手は勤務先、税務署はATMの操作を求めない、SMSにURLを載せない。電話は一度切って、自分で調べた税務署の番号にかけ直す。この順番を覚えておけば、年末の慌ただしい時期でも落ち着いて判断できます。

よくある質問

Q. 税務署を名乗る電話で「年末調整の還付金がある」と言われました。本物ですか?

国税庁は、還付金の受け取りのためにATMの操作を求めることはないと公式に案内しています。年末調整は勤務先に申告書を出して精算する手続きです。相手の所属と名前を聞いて一度電話を切り、国税庁のホームページで調べた税務署の番号にかけ直して確かめてください。

Q. e-Taxから「税務署からのお知らせ」というメールが届きました。開いても大丈夫ですか?

e-Taxの本物のメールは送信元の表記が「[email protected]」で、原則として本文にURLがありません。ただし送信元を装ったメールもあります。メールのリンクは押さず、自分で開いたe-Taxにログインしてメッセージボックスに同じお知らせがあるかを確かめてください。

Q. ATMで言われたとおりに操作してしまいました。どうすればよいですか?

すぐに振込に使った金融機関と警察に連絡してください。被害にあったばかりなら110番、相談なら#9110です。犯人の口座が凍結されて残高があれば、振り込め詐欺救済法の手続きで分配を受けられることがあります。利用明細や電話の記録は捨てずに残してください。

Q. 勤務先から年末調整のシステムのメールが届きました。偽物との見分け方はありますか?

例年と同じ経路で届いているかを確かめ、メールのリンクではなく、普段使っている社内のポータルやブックマークからシステムを開いてください。迷ったら社内のチャットや内線など、普段使う連絡手段で人事や総務の担当者に確かめるのが確実です。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日
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