無資格でネイルの仕事はできるのか|自宅サロンや副業で始める前に知りたい範囲


この記事のポイント
- ✓無資格でネイルの仕事はできるのかを
- ✓厚生労働省の衛生管理の指針
- ✓医療との境目から整理しました
ネイルが好きで、セルフネイルやチップ作りを続けてきた人が「資格がなくてもネイルの仕事はできるのか」と考えるのは自然なことです。自宅の一室でサロンを開きたい、会社勤めの合間に副業として知人に施術したい、未経験からサロンで働きたい。どの場合も、最初に気になるのは、無資格で施術してよいのか、どこまでなら許されるのかという点でしょう。
結論から書くと、ネイリストには美容師のような国家資格がなく、無資格でもネイルの施術を仕事にすることはできます。ただし、無資格でできるのはあくまで爪の手入れと装飾の範囲で、まつ毛の施術や、爪の病気に関わる処置は別の決まりに当たります。また、法律で免許が求められないからといって、衛生管理や事故への備えが不要になるわけではありません。この記事では、無資格でネイルの仕事をするときに知っておきたい範囲と、自宅サロンや副業で始める前の準備を順に説明します。
無資格でもネイルの仕事はできる。その理由
ネイルの施術に国家資格が必要ないのは、法律で免許が求められている仕事にネイルが含まれていないためです。
美容の仕事で国家資格が必要なのは、美容師法で定められた「美容」を仕事として行う場合です。厚生労働省の美容師法の概要では、美容を「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と説明し、美容師の免許を持たない人は美容を仕事として行うことができないとしています。仕事として、という意味については「反復継続の意思をもって行うこと」で、料金を受け取るかどうかは問わないとされています。
一方で、厚生労働省はネイルサロンについて、美容所とは別に衛生管理の指針を出しています。指針では、ネイルサロンを「爪の手入れ、爪の造形、爪の修理、補強、爪の装飾など爪に係る施術を行う施設」と定義し、理容所と美容所は理容師法・美容師法で衛生の水準が義務付けられているので、この指針の対象ではないとしています。つまり、ネイルの施術は美容師の免許が必要な美容とは別のものとして扱われており、無資格の人が行っても法律に反するわけではありません。指針の本文は厚生労働省のネイルサロンにおける衛生管理に関する指針で読めます。
実際の求人でも、資格を求めないサロンは珍しくありません。求人情報の中には、次のように未経験者と無資格者を歓迎すると書かれたものがあります。
【経験・資格】<応募要件>現在活躍中のネイリストなんと90%以上が未経験の方です。...【求人の特徴】未経験可 独立・開業支援あり 歩合制あり ブランク可 駅近(5分以内) 社会保険完備 時短勤務相談可 週休2日 無資格可... 出典: 求人ボックス
こうした求人は、入社してからサロンの研修や提携のスクールで技術を学ぶことを前提にしています。無資格で始められるということは、技術の学び方を自分で選べるということでもあります。
無資格ではできないこと、控えるべきこと
無資格でネイルの仕事ができるといっても、何でも許されるわけではありません。ネイルの周辺には、免許が必要な仕事や、医療の領域に入る処置があります。始める前に、次の3つの線引きを押さえておきます。
まつ毛の施術は美容師の免許が必要
ネイルサロンの中には、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマを一緒に提供しているところがあります。厚生労働省の美容師法の概要では、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれると明記されています。つまり、まつ毛の施術を仕事として行うには美容師の免許が必要で、さらに美容所として届け出た場所で行う必要があります。
ネイルの延長でまつ毛のメニューを加えたいと考えた場合でも、無資格のままでは提供できません。サロンで働く場合も、無資格のスタッフがまつ毛の施術を担当することはできないため、勤め先のメニューと自分の担当範囲を確かめておきます。
爪の病気に関わる処置は医療の領域
爪や周りの皮膚に異常がある場合の処置は、医療の領域に入ることがあります。厚生労働省は通知で、爪そのものに異常がなく、爪の周りの皮膚にも化膿や炎症がなく、糖尿病などの病気に伴う専門的な管理が必要でない場合に、爪切りで切ることと爪やすりでやすりがけをすることは、原則として医師法などの規制の対象とする必要がないものとしています。通知の本文は厚生労働省の医師法第17条等の解釈に関する通知で確かめられます。
この通知を裏返すと、爪が変色している、厚く変形している、周りが赤く腫れている、膿んでいるといった場合は、ネイリストが判断して処置する範囲ではありません。こうした爪のお客様には施術をせず、皮膚科などの医療機関に相談するよう伝えるのが基本です。
治療や効果をうたう説明はしない
ネイルのメニューの説明で、「爪の病気が治る」「巻き爪が改善する」といった、病気の治療や症状の改善をうたう表現は使いません。ネイルの施術は装いと手入れであり、医療ではありません。ネイルケアで爪が整って見えることと、病気を治すことは別のことです。お客様に誤解を与える説明は、トラブルのもとになります。
無資格で始められる4つの働き方
無資格からネイルの仕事を始める形は、大きく4つあります。それぞれに向いている人と注意点が違います。
サロンに雇用されて働く
未経験者や無資格者を歓迎するサロンに、正社員やアルバイトとして雇用される形です。サロンの研修で技術を学びながら働けるため、技術に自信がない人に最も向いています。雇用契約であれば、給与が支払われ、条件を満たせば社会保険にも加入できます。
最初は受付や片付け、ケアの補助から始まり、技術の確認を経てお客様を担当するのが一般的です。サロンによっては、研修の費用を本人が負担する決まりや、一定期間内に辞めると研修費の返還を求める決まりを設けていることがあります。入社前に、研修の内容と費用の扱いを確かめておきます。
サロンと業務委託の契約を結ぶ
サロンの席を使わせてもらい、売上に応じた報酬を受け取る形です。雇用ではないため、勤務時間の自由度が高い反面、報酬は施術した分だけで、集客を自分で行うことを求められる場合もあります。
業務委託で働く場合は、次の点を契約の前に確かめます。
- 報酬の決め方:売上の何割が自分の報酬になるか
- 材料費の負担:ジェルやカラーなどの材料を誰が用意するか
- 集客の担当:新規のお客様をサロンが集めるのか、自分で集めるのか
- 予約の管理:予約サイトへの掲載や予約の受付を誰が行うか
- 事故の責任:施術でトラブルが起きたとき、誰が対応するか
売上に対する報酬の割合が高く見えても、材料費を自分で負担し、新規のお客様がほとんど来なければ、手元に残るお金は少なくなります。報酬の割合だけでなく、材料費と集客を含めた全体で判断することが大切です。
個人が業務委託で仕事を受ける場合、発注する側には、報酬の額や支払期日などの取引条件をはっきり示すことが法律で求められています。こうした決まりは厚生労働省のフリーランスの取引に関する案内で確かめられます。口約束で始めず、条件を書面やメールで受け取っておきます。
自宅サロンを開く
自宅の一室を施術の場所にして、個人でお客様を受ける形です。家賃がかからず、自分のペースで予約を受けられる点が魅力です。一方で、集客、予約、会計、衛生管理のすべてを自分で担います。自宅サロンの準備は、後の節で詳しく説明します。
副業として知人から受ける
会社に勤めながら、休日に知人や紹介のお客様に施術する形です。小さく始められる反面、会社員の場合は勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめる必要があります。副業を届け出制にしている会社も多いため、始める前に人事の窓口に確かめます。
知人だからといって、料金や予約の決まりをあいまいにすると、後から気まずくなることがあります。料金表を作り、キャンセルの扱いを決めておくなど、知人相手でも仕事としての決まりを整えておきます。
未経験可の求人を見るときに確かめること
無資格でサロンに勤める場合、求人の書き方だけで判断せず、面接や契約の前に条件を細かく確かめることが大切です。未経験可、無資格可と書かれた求人の中にも、条件は大きな幅があります。
確かめておきたい点は次のとおりです。
- 雇用か業務委託か:求人に「歩合制」とある場合、雇用の給与の一部が歩合なのか、業務委託の報酬が全額歩合なのかで、働き方が大きく変わります
- 研修の内容と期間:何か月でお客様を担当できるようになるのか、研修中の給与はどうなるのか
- 研修費の扱い:研修費を本人が負担するのか、辞めた場合に返還を求められるのか
- 材料と道具の負担:練習用の材料や道具を自分で買う必要があるか
- 社会保険の加入:雇用の場合、条件を満たせば加入できるか
- 指名とノルマ:指名の数や売上の目標が給与に関わるか
求人に書かれていない点は、面接で質問してかまいません。条件をはっきり答えてもらえない場合や、契約の前に高額な研修費や材料費の支払いを求められる場合は、慎重に判断します。仕事を紹介すると言いながら、先に教材や講座の代金を支払わせる勧誘もあるため、お金を払う前に契約の内容を書面で確かめることが欠かせません。
自宅サロンを始める前の準備
自宅サロンは、ネイリストが無資格から独立する形として多く選ばれています。ただし、自宅で他人に施術するには、サロンに勤めるときとは違う準備が必要です。
住まいの決まりを確かめる
賃貸の住宅やマンションでは、住まいを事業に使うことを契約や管理規約で禁止している場合があります。不特定のお客様が出入りすることや、看板を出すことが問題になることもあります。始める前に、賃貸借契約書や管理規約を確かめ、必要なら管理会社や大家に相談します。
施術の場所と設備を整える
厚生労働省の指針では、施術を行う場所を待合の場所と区分すること、器具を消毒する場所を設けること、手洗いの設備を整えることなどが示されています。自宅サロンでも、家族の生活の場所と施術の場所を分け、施術に使う机や器具を清潔に保つことが基本です。
ネイルの施術では、ジェルやアセトンなど、においが強く揮発する薬剤を使います。換気ができる部屋を選び、窓を開ける、換気扇を回すなどの対策をとります。
開業届を出す
個人で事業を始めた場合は、税務署に開業届を提出します。国税庁の手続きの案内では、提出時期を、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までとしています。詳しくは国税庁の個人事業の開業届出の案内で確かめられます。
開業届を出すと、条件を満たせば青色申告を選べるようになります。青色申告を選ぶには別に届け出が必要で、期限があるため、開業届と合わせて税務署の案内を確かめておきます。
保険に入る
施術中にお客様の皮膚を傷つけてしまった、薬剤でかぶれが出たといった事故に備え、賠償責任保険に入っておきます。ネイリスト向けの保険を扱う団体や保険会社もあります。自宅で施術する場合は、お客様が自宅で転んでけがをすることも考えられるため、保険の補償範囲を確かめておきます。
衛生管理は資格の有無に関係なく求められる
無資格でネイルの仕事ができるとしても、衛生管理の責任がなくなるわけではありません。むしろ、資格の講座で衛生を体系的に学ぶ機会がない分、自分で指針を読んで実行する必要があります。
厚生労働省の指針で示されている主な点は次のとおりです。
- 器具は、お客様ごとに消毒済みのものを使う
- 使用後の器具は、血液が付いた可能性のあるものとそうでないものに分けて消毒する
- 施術の前に、お客様の手指と施術者の手指を消毒する
- 施術の前に、感染症や皮膚の病気の治療中ではないか、アレルギーがないかを問診票などで確認する
- 施術に伴うリスクを事前に説明し、説明と承諾は書面で行うことが望ましい
- 施術者が感染性の皮膚の病気にかかったときは、施術をしない
指針は、ネイルサロンで健康被害が起きて保健所に相談が寄せられたときに、保健所が指導や助言に用いるものと位置付けられています。自宅サロンであっても、お客様から健康被害の相談があれば、保健所から衛生管理の状況を確認される可能性があると考えておきます。
衛生管理を形にするには、問診票と同意書を用意することから始めます。問診票には、持病、服薬、アレルギー、皮膚の状態を記入してもらう欄を設けます。同意書には、施術の内容、起こりうるトラブル(かぶれ、爪の傷みなど)、施術後の手入れの方法を書き、お客様に確認してもらいます。
問診票と同意書に書いておく項目
衛生管理と事故への備えを形にするのが、問診票と同意書です。無資格で始める人ほど、こうした書類を整えておくことが、お客様に安心してもらう材料になります。
問診票に設ける項目の例は次のとおりです。
- 名前と連絡先
- 現在治療中の病気、服用している薬
- 皮膚の病気や、手や爪のトラブルの有無
- アレルギーの有無(化粧品、金属、ジェルなどでかぶれた経験があるか)
- 過去にネイルの施術でトラブルがあったか
- 妊娠中かどうか(薬剤のにおいが気になる場合があるため)
- 希望のメニューと仕上がりのイメージ
同意書には、次の内容を書いておきます。
- 施術の内容と所要時間
- 施術で起こりうるトラブル(かぶれ、爪の傷み、持ちの個人差など)
- 爪や皮膚に異常がある場合は施術をお断りすること
- 施術後の手入れの方法と、トラブルが起きたときの連絡先
- 写真をSNSなどに使う場合の扱い
書類は初回の来店時に記入してもらい、2回目以降は変更がないかを口頭で確かめます。記入された書類には個人の健康に関わる情報が含まれるため、鍵のかかる場所に保管し、不要になったら細かく裁断して処分します。
薬剤のにおいと換気、施術者自身の健康
ネイルの施術では、除光液、ジェルの拭き取りに使う溶剤、アセトンなど、揮発する化学物質を日常的に扱います。お客様の健康だけでなく、施術者自身の健康にも気を配る必要があります。
厚生労働省の職場の安全の情報サイトには、ネイル作業での化学物質の扱いについて、注意すべき点をまとめた資料があります。資料では、作業場で十分な換気が行われているか、作業者から「においがする」「気分が悪くなるときがある」といった声が出ていないか、容器のふたを毎回閉めているか、不要な化学物質を作業場に保管していないか、といった点を確かめるよう示しています。資料は職場のあんぜんサイトから探せます。
この資料は事業者が従業員を守るためのものですが、自宅サロンで一人で施術する場合にも、そのまま役に立つ内容です。具体的には、次の点を習慣にします。
- 施術中は窓を開けるか換気扇を回し、空気の流れを作る
- 薬剤の容器は使うたびにふたを閉める
- 使い終わった綿やペーパーは、ふたの付いた容器に入れる
- 使わなくなった古い薬剤は、決められた方法で処分する
- 薬剤の製品に付いている注意書きや、成分の情報を読んでおく
アセトンなどの溶剤は引火しやすいため、火の気のある場所の近くで使わないことも大切です。自宅のキッチンの近くで施術する場合は特に注意します。
お客様の爪や皮膚にトラブルが起きたときの対応
どれだけ注意していても、施術のあとにお客様から「かゆみが出た」「赤くなった」と連絡が来ることがあります。こうしたときに慌てないよう、対応の流れを決めておきます。
- お客様の話を聞き、いつから、どこに、どんな症状が出ているかを確かめる
- 症状がある場合は、ネイリストが判断せず、皮膚科などの医療機関で相談するよう伝える
- 施術の日、使った薬剤、施術の内容を記録から確かめる
- 必要に応じて、ジェルやカラーを取り除く対応を相談する
- 保険の補償の対象になるかを、加入している保険の窓口に確かめる
症状の原因をその場で決めつけたり、「よくあることなので大丈夫です」と言い切ったりするのは避けます。ネイリストは医療の専門家ではないため、症状についての判断は医療機関に任せます。
施術の記録を残しておくと、こうしたときに、どの薬剤を使ったかをすぐに伝えられます。お客様ごとに、施術の日、メニュー、使った製品の名前を記録しておく習慣をつけておきます。
無資格のままでは困る場面
法律上は無資格で施術できても、実際の仕事の場面では、資格がないことで不利になることがあります。
お客様に技術を伝えにくい
初めてのお客様は、施術者の技術を事前に確かめる方法がありません。資格があれば、一定の技術を身につけていることを示す材料になります。無資格の場合は、作品の写真やお客様の声など、ほかの方法で技術を伝える工夫が必要です。
料金を上げにくい
技術の裏付けがないと、料金を相場より高く設定することが難しくなります。無資格で始める人の多くは、最初は低めの料金で経験を積み、作品の写真が増えてから料金を見直しています。
勤め先や提携先から求められる
サロンによっては、一定の技術を確かめるために、技能検定の級を採用や担当の条件にしているところがあります。高齢者の施設に訪問して施術する仕事など、相手が安全に強く気を配る場面では、講座の修了や資格を確かめられることもあります。
民間資格を取る意味と、主な資格
ネイルの民間資格は、施術の許可証ではなく、技術と知識を身につけたことを示すものです。無資格で始めた人も、仕事をしながら資格を取ることで、技術を客観的に確かめられます。
主な資格には次のものがあります。
- ネイリスト技能検定:公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが実施する試験で、3級から1級までの段階があります。ケア、カラー、アートなどの技術と、爪の構造や衛生の知識が問われます
- ジェルネイル技能検定:NPO法人日本ネイリスト協会が実施する、ジェルネイルの技術の試験です
- ネイルサロン衛生管理士:同じ協会の資格制度で、サロンの衛生管理の知識を学べます
試験の日程、級ごとの内容、受験料は、それぞれの団体の公式サイトで確かめます。独学で受験する人もいれば、スクールに通って受験する人もいます。スクールの費用は大きく違うため、受講料だけでなく、教材費や練習用の材料費を含めて比べます。
技術を身につける方法
無資格からネイルの仕事を始める場合、技術をどう身につけるかが最大の課題です。主な方法は次の3つです。
- サロンの研修で学ぶ:未経験者を受け入れるサロンに勤め、研修を受けながら現場で経験を積む
- スクールや通信講座で学ぶ:体系的に学べる反面、費用がかかる。検定の受験を目標にしたコースが多い
- 独学で練習する:教本や動画で学び、自分の手や家族の手で練習する。費用は抑えられるが、自分の癖に気づきにくい
独学で練習する場合も、一度はプロに施術してもらい、手順や仕上がりを確かめる機会を作ると、自分の技術の足りない部分が見えてきます。練習で仕上げた作品は、写真に残しておくと、後で作品集として使えます。
ケアの技術は、カラーやアートより地味に見えますが、仕上がりの持ちと見た目を左右する土台です。甘皮の処理、爪の形の整え方、表面の整え方を丁寧に練習しておくと、どのメニューでも仕上がりが安定します。
料金の決め方と、お客様の集め方
自宅サロンや副業で始める場合は、料金とお客様の集め方を自分で決める必要があります。
料金は、材料費、施術にかかる時間、地域の相場をもとに決めます。同じ地域のサロンの料金を調べ、自分の技術と経験を考えて設定します。材料費は施術ごとに記録しておくと、料金を見直すときの根拠になります。
お客様の集め方には、次のような方法があります。
- 知人や家族からの紹介
- SNSでの作品の発信
- 予約サイトへの掲載
- 地域の情報誌やチラシ
SNSで作品を発信する場合は、お客様の手の写真を載せる前に、本人の同意を得ます。自宅サロンの場合、住所を公開するかどうかは慎重に判断します。予約が確定したお客様だけに詳しい場所を伝える方法もあります。
業務委託の報酬を手元に残る額で比べる
業務委託でサロンと契約する場合、報酬の割合だけで判断すると、思ったより手元にお金が残らないことがあります。ここでは、計算の考え方を例で示します。数字は説明のための例で、実際の条件はサロンごとに違います。
たとえば、1回の施術の料金が6,000円で、売上の半分が自分の報酬になる契約だとします。この場合、報酬は1回あたり3,000円です。ここから、自分で用意したジェルやカラーなどの材料費を差し引きます。材料費が1回あたり500円かかるなら、手元に残るのは2,500円です。さらに、サロンまでの交通費を自分で負担する場合は、その分も差し引きます。
次に、1か月に何人のお客様を担当できるかを考えます。新規のお客様をサロンが集めてくれる契約なら、ある程度の人数を見込めますが、自分で集める契約では、最初はほとんどお客様が来ないこともあります。報酬の割合が高い契約でも、担当する人数が少なければ、収入は安定しません。
業務委託の契約を比べるときは、次の式で考えると分かりやすくなります。
手元に残る額 = 施術の料金 × 報酬の割合 - 材料費 - 交通費などの経費
この額に、1か月に見込める施術の回数を掛けたものが、おおよその月の収入になります。複数のサロンの条件を、この計算で並べて比べてから決めます。
副業で始めるときの税金の考え方
会社員が副業としてネイルの施術をする場合、給与とは別に収入が生まれるため、税金の扱いを確かめておく必要があります。
国税庁は、給与を1か所から受けている人で、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要と案内しています。条件の詳細は国税庁の確定申告が必要な人の案内で確かめられます。ここでいう所得は、売上から材料費などの必要経費を差し引いた額です。
20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別に必要になることがあります。住んでいる市区町村の窓口で確かめておきます。
必要経費として扱える可能性があるのは、材料費、道具の購入費、練習用の消耗品、施術に使う部屋の光熱費のうち仕事に使った割合などです。どこまでを経費にできるかは事情によって変わるため、領収書と記録を保存しておき、迷うときは税務署に相談します。
最初の1年の進め方の例
無資格から自宅サロンや副業でネイルの仕事を始める場合の、最初の1年の進め方の例を示します。
- 最初の3か月:ケアとカラーの基本を練習し、家族や友人に施術して作品の写真を集める。問診票と同意書を作る
- 次の3か月:知人を中心に、料金を決めて施術を始める。施術の記録をつけ、材料費と時間を把握する
- 次の3か月:技能検定の受験を目標に、アートやジェルの技術を広げる。SNSで作品の発信を始める
- 最後の3か月:材料費と時間の記録をもとに料金を見直す。開業届や確定申告の準備を整える
急いで多くのお客様を受けるより、最初の1年は技術と仕組みを整える期間と考えるほうが、トラブルなく続けやすくなります。
長く続けている人に共通していること
在宅で働く人と仕事を依頼する側をつなぐ仕事を2004年から続けてきた運営者として、無資格から始めて長く続けている人には共通点があります。それは、資格がないことを、学ぶのをやめる理由にしていないことです。仕事を始めたあとも検定の受験や講習に取り組み、技術と知識を少しずつ積み上げています。お客様に技術を伝える材料を、資格、作品の写真、お客様の声と、複数の形で持っている人ほど、料金の見直しにも踏み出しやすくなります。
もう1つの傾向は、断る判断ができることです。爪に異常のあるお客様、まつ毛の施術を求めるお客様、無理な日程を求めるお客様に対して、できないことはできないと伝えられる人は、トラブルが少なく、結果として信頼を得ています。
業務委託で働く場合、仲介の手数料や中間のマージンが少ない形であるほど、同じ料金でも施術者の手取りは厚くなり、お客様も同じ予算でより多くの施術を受けられます。どの形で働くにしても、条件を書面で確かめ、自分の手元に何が残るかを計算してから選ぶことが大切です。
ネイルの経験を、在宅の仕事全体の中で活かすには
ネイルの仕事は、施術の技術だけでなく、作品の見せ方、料金表や同意書の作成、お客様とのやり取りなど、幅広い力が求められます。こうした力は、在宅のほかの仕事にも活かせます。
作品の写真を整理してお客様に見せる方法は、ほかの仕事の実績のまとめ方と共通しています。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】では、実績を見せる順番や説明の添え方が整理されており、ネイルの作品集を作るときにも参考になります。
同意書や料金表、お客様への案内文を正確に書く力は、どの仕事でも信頼の土台になります。文書の作り方を体系的に確かめたい場合は、ビジネス文書検定の内容を見ておくと、自分の文書を見直すきっかけになります。
ネイルのデザインの力を、ほかのデザインの仕事に広げる道もあります。デザインの仕事がどのような働き方と報酬の幅で行われているかは、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。
無資格でもネイルの仕事は始められます。ただし、まつ毛の施術と爪の病気の処置は別の決まりに当たり、衛生管理の責任は資格の有無に関係なく求められます。できる範囲とできない範囲を押さえ、衛生と事故への備えを整えたうえで、自分に合った働き方を選んでください。
よくある質問
Q. 無資格でネイルサロンを開業しても違法になりませんか?
ネイリストには美容師のような国家資格がなく、ネイルの施術は美容師法の美容とは別に扱われています。厚生労働省もネイルサロンについては美容所とは別に衛生管理の指針を出しています。そのため、無資格でネイルサロンを開くこと自体は法律に反しません。ただし、まつ毛の施術は美容師の免許が必要です。
Q. 無資格のネイリストがまつ毛エクステンションも提供できますか?
できません。厚生労働省の美容師法の概要では、まつ毛エクステンションは美容行為に含まれると明記されており、仕事として行うには美容師の免許が必要です。料金を受け取らない場合でも、繰り返し行う意思があれば仕事として扱われます。ネイルのメニューに加える場合は、美容師の免許を持つ人が担当する必要があります。
Q. 自宅でネイルの副業を始めるときに届け出は必要ですか?
個人で事業を始めた場合は、税務署に開業届を出します。国税庁は提出時期を、事業を始めた年分の確定申告期限までと案内しています。会社員の副業であれば、勤め先の就業規則も確かめます。賃貸の住宅では、事業に使うことが契約や管理規約で禁止されていないかも事前に確認が必要です。
Q. 無資格から始めた後、資格は取ったほうがよいですか?
法律上は不要ですが、技術を客観的に示す材料になるため、仕事をしながら取る人が多くいます。ネイリスト技能検定やジェルネイル技能検定などがあり、試験の内容や受験料は各団体の公式サイトで確かめられます。サロンによっては技能検定の級を採用や担当の条件にしていることもあります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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