ウェブデザイン実務士とは|内容と取り方


この記事のポイント
- ✓ウェブデザイン実務士は
- ✓全国大学実務教育協会の会員校で20単位以上を修得すると取れる資格です
- ✓試験ではなく単位で取る仕組み
ウェブデザイン実務士は、大学や短期大学で決められた科目の単位を修得すると取れる資格です。検定試験のように1日の試験で合否が決まるものではなく、在学中の授業の積み重ねで認定されます。そのため、「どこで取れるのか」「社会人でも取れるのか」「就職でどのくらい評価されるのか」が分かりにくく、調べ始めた人がつまずきやすい資格でもあります。この記事では、認定している一般財団法人全国大学実務教育協会の公式の記載をもとに、資格の中身、取り方、活かし方を順番に説明します。
ウェブデザイン実務士とはどんな資格か
ウェブデザイン実務士は、一般財団法人全国大学実務教育協会(略称JAUCB)が認定する資格です。協会は、大学と短期大学の教育課程を審査し、仕事に必要な実務の力を学んだ証として、さまざまな「実務士」の資格を認定しています。ウェブデザイン実務士はその1つで、協会はこの資格を「ウェブページ編集・制作・運営の能力を修得します」と説明しています。
試験ではなく単位で取る資格
この資格の最大の特徴は、試験がないことです。協会は資格取得の仕組みを次のように説明しています。
この資格は、検定試験等による資格とは異なり、大学、短期大学の単位(資格に関する教育課程の単位)を修得すれば誰にでも授与されます。 出典: 全国大学実務教育協会「本協会での資格取得について」
つまり、協会に入会している大学や短期大学(会員校)で、資格のための科目を履修して単位を取れば、卒業時などに資格が授与されます。テストの一発勝負で落ちる心配がない一方で、会員校に在籍していなければ取れないという制約があります。
民間資格としての位置づけ
ウェブデザイン実務士は国家資格ではなく、一般財団法人が認定する民間の資格です。この資格がないとウェブデザインの仕事ができない、という性格のものではありません。ウェブデザインの仕事には、医師や弁護士のような業務独占の資格はなく、資格の有無よりも作ったものの質と実務の経験で評価されます。
それでも、在学中に体系立った授業を受け、一定の水準まで学んだことを第三者の認定で示せる点には意味があります。協会も、資格を「学びの証(あかし)」と位置付けています。新卒の就職活動では、職務経歴がない分、何をどこまで学んだかを示す材料として使えます。
資格を取るまでの流れ
ウェブデザイン実務士を取るまでの流れは、協会の資格ページに図で示されています。高校を卒業し、協会に入会している4年制大学か短期大学に進み、規定の科目と単位を履修して資格を得る、という順番です。
必要な単位数
協会の資格ページでは、取得の条件を「必修修得単位数8単位以上を含めて20単位以上を履修し、到達目標を達成すること」としています。20単位は、一般的な大学の授業でいえば10科目程度に当たる量で、1年や2年で取り切るより、在学期間を通じて計画的に履修することが多くなります。
単位の内訳は、次の3つの領域ごとに必修の最低単位数が決まっています。
| 領域 | 開発する能力 | 必修修得単位数 |
|---|---|---|
| 領域1 | ウェブデザインの理解、基礎的な情報実務能力、ウェブデザイン実務力 | 3単位以上 |
| 領域2 | ウェブデザイン実務スキル、ウェブデザイン能力の活用、ウェブデザイン実務実践力 | 4単位以上 |
| 領域3 | ウェブデザイン実務の総合的実践力、実践活動における学びの継続力 | 1単位以上 |
必修の合計は8単位以上で、そのほかの科目を合わせて総修得単位数を20単位以上にします。どの授業がどの領域に当たるかは学校ごとに決まっているため、履修登録の前に、学校の履修の手引きや資格の説明会で確かめてください。
申請は学校を通して行う
資格の申請は、個人ではできません。協会のよくある質問では、資格認定証の授与申請は、資格授与の認定を受けている大学の学長からの申請に基づいて行うと説明されています。単位を取ったら、学校の事務担当者の案内に従って手続きをします。
卒業したあとに気付いた場合でも、取得はできます。協会は、会員校で資格の単位を取り、申請しないまま卒業した人について、卒業後でも資格の取得は可能で、卒業した大学の事務担当者に申し出るよう案内しています。
更新は不要
協会が授与する資格は、更新の必要がありません。結婚などで名字や住所が変わっても、認定証の名義変更の手続きは不要です。就職先などで証明が必要になったときは、現在の氏名で授与証明書を発行してもらえます。協会の案内では、証明書は1通1,100円です。認定証をなくした人向けの再発行の案内も、協会のサイトにあります。詳しくは全国大学実務教育協会のよくあるご質問で確かめてください。
授業で学ぶ内容
ウェブデザイン実務士の授業は、3つの領域で段階的に組まれています。協会が示している到達目標をもとに、どのような力を身に付けるのかを具体的に見ていきます。
領域1:HTMLとCSSでサイトの土台を作る
領域1の到達目標は、「ウェブサイト制作に必要なHTMLを修得し、ウェブページのスタイルを決めるCSSを用いて基礎的なウェブサイトの開発、運営を行うことができる」ことです。HTMLとは、ウェブページの見出しや段落、画像などの構造を記述する言語のことです。CSSとは、そのページの色、文字の大きさ、配置などの見た目を指定する言語のことです。
この領域では、ウェブがどのような仕組みで表示されるのか、ファイルをサーバーに公開するとはどういうことかといった、基礎の理解も深めます。インフラの仕事でもよくあることですが、土台の仕組みを理解しているかどうかで、表示が崩れたときやサイトが開かなくなったときに原因を探せるかが変わります。見た目を作る技術だけでなく、裏側の仕組みまで押さえる意識を持って学ぶと、後の領域での理解が速くなります。
領域2:作成ツールを使ってサイトを作る
領域2の到達目標は、ウェブサイト作成ツールを活用してウェブコンテンツやサイトを制作し、基礎分野で学んだ力をデザインの各段階で活かせることです。画像編集ソフトやデザインツール、サイト制作用のソフトなどを使い、企画から設計、制作までの流れを一通り体験します。
協会は、この資格で学べることとして「インターネット技術に関する知識に加え、デザイン、プログラミング、動画利用、セキュリティ対策などの手法を修得できます」と説明しています。見た目のデザインだけでなく、動画の組み込みや、安全にサイトを運営するための基本まで扱う点が特徴です。
領域3:総合演習で実践力を仕上げる
領域3の到達目標は、ウェブデザインに関する幅広い課題に取り組む総合的な演習や事例研究を通して、専門的な知識とスキルを総合的に活かす実践力を備え、学びを続ける重要性を理解することです。多くの学校では、オリジナルのウェブサイトやコンテンツを制作し、成果物として発表する授業がこの領域に当たります。
横浜美術大学は、資格のための授業について次のように紹介しています。
本学ではウェブデザイン実務士を取得するための科目を開講しており、コースに関わらず多くの学生が資格を取得し、就職や制作活動に役立てています。 出典: yokohama-art.ac.jp
同大学では、基礎的な科目を履修したうえで、3年次または4年次に演習の授業でオリジナルのウェブサイトを構築し、作品を公開する流れになっています。こうした成果物は、そのまま就職活動の作品集にも使えます。
取れる学校の探し方と学費の目安
ウェブデザイン実務士は会員校でしか取れないため、進学先を選ぶ段階で、資格の科目を開いている学校かどうかを確かめる必要があります。
協会の会員校サーチを使う
協会のサイトには「会員校サーチ」があり、希望する地域や資格の名前から、取得できる大学と短期大学を探せます。同じ資格名でも、学部やコースによって開講していない場合があるため、気になる学校が見つかったら、その学校のシラバス(授業計画)や入試の説明会で、どの学科から取れるのかを確かめてください。
オープンキャンパスや入試の説明会では、次の点を聞いておくと、入学後のずれを防げます。
- ウェブデザイン実務士の科目は、どの学科・コースで履修できるか
- 毎年どのくらいの学生が資格を申請しているか
- 制作に使うパソコンやソフトは学校が用意するか、自分で買う必要があるか
- 総合演習で作った作品を、学外に公開する機会があるか
学費の傾向
大学や短期大学の学費は、学校によって大きく違います。進学情報サイトでは、ウェブデザイン実務士に関わる学校の数と学費の分布が次のようにまとめられています。
スタディサプリ進路ホームページでは、大学・短大により金額が異なりますが、ウェブデザイン実務士にかかわる大学・短大は、81~100万円が1校、101~120万円が5校、121~140万円が7校、141~150万円が2校、151万円以上が3校となっています。 出典: shingakunet.com
この金額は、資格のための追加費用ではなく、学校そのものの学費の分布です。資格を取るために特別な受講料がかかるわけではなく、通常の授業料の中で単位を取る形になります。ただし、制作に使うパソコンやソフトの費用が別にかかる学校もあるため、入学前に確かめておくと安心です。
この資格を活かせる仕事
協会は、この資格を活かせる職種として、ウェブデザイナー、ウェブディレクター・ウェブプロデューサー、一般事務の3つを挙げています。それぞれの仕事の中身を見ていきます。
ウェブデザイナー
ウェブデザイナーは、HTMLやCSSを使ってページのデザインやレイアウトを作り、企業や団体のウェブサイトを構築する仕事です。協会は、専用のソフトを使った動画や音声の編集と組み込みも、この仕事に含めて説明しています。デザイナーの仕事の報酬の傾向は、デザイナーの年収・単価相場で整理しています。
ウェブディレクター・ウェブプロデューサー
ウェブディレクターは、デザイナーを指導・管理し、見た目の良さ、操作のしやすさ、情報の伝わりやすさなど、依頼主と閲覧者の両方にとって良いサイトを実現する仕事です。制作の工程を管理し、予算と納期の中で品質を保つ役割を担います。最初からディレクターとして採用されることは少なく、デザイナーや制作の経験を積んだ後に進む道として考えるのが現実的です。
一般事務(自社サイトの担当者)
意外に思われるかもしれませんが、協会は一般事務も活かせる職種に挙げています。自社で運営するウェブサイトの担当者として、掲載内容の更新、発送や在庫の管理、顧客対応などを行う仕事です。協会の資格取得者の就職先のアンケートでも、情報通信業のほかに、金融業、医療・福祉、卸売業・小売業、不動産業などで一般事務に就いた例が並んでいます。制作会社に入らなくても、ウェブの知識を持つ事務職として重宝される場面は多くあります。
社会人が取りたい場合の選択肢
ウェブデザイン実務士は、会員校で単位を取ることが前提のため、すでに働いている社会人が後から取るのは簡単ではありません。社会人がウェブデザインの力を証明したい場合は、試験で取れる別の資格を検討するほうが現実的です。
ウェブデザイン技能検定
代表的なのが、ウェブデザイン技能検定です。これは、職業能力開発促進法に基づく国家検定である技能検定の1つで、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が、厚生労働省から指定試験機関の指定を受けて実施しています。試験は学科と実技があり、合格すると「ウェブデザイン技能士」の合格証書が発行されます。1級の合格証書は厚生労働大臣、2級と3級は協会の理事長の名前で出されます。
受検資格は等級ごとに決まっています。3級は、ウェブの作成や運営に関する業務に従事している人、または従事しようとしている人が対象で、未経験からでも受けられます。2級は2年以上の実務経験、または3級の合格などが条件です。詳しくはウェブデザイン技能検定の受検資格のページで確かめてください。
令和8年度の受検手数料は次のとおりです(非課税)。
| 等級 | 学科 | 実技 |
|---|---|---|
| 1級 | 8,000円 | 27,000円 |
| 2級 | 7,000円 | 17,500円 |
| 3級 | 6,000円 | 9,000円 |
3級の実技は、試験を行う年度の4月1日時点で23歳未満の人は減額があり、在職者は4,500円、在職者以外は6,800円です。令和8年度の試験は4回で、2級と3級は5月24日、8月30日、11月29日、令和9年2月21日の各回に実施される予定です。1級は11月29日に学科、2月21日に実技があり、実技は学科に合格した人だけが受けられます。
試験では、関連する国際標準規格などに基づいて、ウェブデザインに関する知識と技能、実務の能力が問われます。協会のサイトでは練習問題や過去問題が公表されているため、受検を決めたら、まず過去問題を解いて出題の傾向をつかむのが近道です。学科で問われる用語や規格の知識は、ウェブデザイン実務士の授業で学ぶ内容と重なる部分が多く、授業のノートを見直すことがそのまま対策になります。受検申請の期間は回ごとに決まっているため、協会の試験日程のページで申請期間と合格発表の予定日を確かめ、締め切りに遅れないように準備を始めてください。
ウェブデザイン実務士と技能検定の違い
2つの資格は、取り方がまったく違います。ウェブデザイン実務士は在学中の授業の積み重ねで取る資格で、技能検定は試験の点数で合否が決まる資格です。学生のうちに実務士を取り、卒業後に実務経験を積みながら技能検定の上の等級を目指す、という組み合わせも考えられます。実務士で学んだHTMLとCSSの基礎は、技能検定の学科と実技の両方の土台になります。
履歴書への書き方と就職活動での伝え方
ウェブデザイン実務士を持っている人、または取る予定の人は、就職活動での見せ方を工夫すると評価につながります。
資格欄の書き方
協会は、就職活動において、履歴書の資格欄に「取得見込み」と書けると案内しています。在学中に単位の取得を進めている人は、「ウェブデザイン実務士 取得見込み」のように書けます。取得後は、認定された年月とともに「ウェブデザイン実務士(全国大学実務教育協会)」のように、認定団体名を添えて書くと、読む側に資格の性格が伝わりやすくなります。
作品で見せることが最も強い
ウェブ制作の採用では、資格名より「何を作ったか」が重視されます。資格の授業で作ったサイトやコンテンツは、作品集(ポートフォリオ)にまとめて見せる準備をしておきましょう。作品ごとに、制作の目的、担当した範囲、使った技術、工夫した点を短く添えると、採用担当者が判断しやすくなります。作品集の組み立て方は、文章の仕事を例にしたWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】も参考になります。見せ方の考え方はデザインの作品集でも共通です。
在学中に資格と合わせて身に付けたいこと
ウェブデザイン実務士の授業は、仕事の土台を作るものです。実際の仕事でつまずかないために、授業の外でも身に付けておきたいことがあります。
依頼主とのやり取りの力
ウェブ制作の仕事は、依頼主の要望を聞き取ることから始まります。要望があいまいなまま作り始めると、何度も作り直すことになり、納期と費用の両方が膨らみます。打ち合わせの内容を文書にまとめ、合意した内容を確かめる習慣を学生のうちから身に付けておくと、現場で大きな差になります。文書の形式や敬語の使い方を体系的に学べる資格として、ビジネス文書検定があります。
サーバーと公開の仕組み
サイトを作ったあと、実際に公開して運用するには、サーバーやドメイン、通信の暗号化(SSL)の知識が必要です。インフラの現場では、公開の直前になって設定の誤りで表示されない、という場面がよく起こります。授業で作ったサイトを、実際にサーバーに公開してみる経験をしておくと、仕組みの理解が一気に深まります。アプリやシステムを作る仕事に関心がある人は、アプリケーション開発のお仕事で仕事の範囲を確かめておくと、将来の選択肢が広がります。
セキュリティの基本
協会が学べる内容にセキュリティ対策を挙げているように、ウェブの仕事では安全の知識が欠かせません。お問い合わせフォームから入力された情報の扱い、パスワードの管理、ソフトの更新など、基本を押さえていないと、依頼主に大きな損害を与えることがあります。授業で触れた内容を、実際に自分のサイトで試しておくと、知識が定着します。
同じ協会の資格と組み合わせる
全国大学実務教育協会は、ウェブデザイン実務士のほかにも、単位の修得で取れる資格を多く認定しています。会員校によっては、同じ在学期間に複数の資格の科目を履修できるため、ウェブの仕事と相性のよいものを組み合わせると、学んだ範囲を広く示せます。
| 資格 | 協会の説明 | 単位の条件 |
|---|---|---|
| 情報処理士 | 業務の課題を解決するための最新の情報活用能力を身につける | 必修6単位以上を含めて10単位以上 |
| データサイエンス・AI実務パスポート | データサイエンスやAIを活用するための基礎知識を持ち、実務を適切に実践できることを目指す | 必修6単位以上を含めて16単位以上 |
| プレゼンテーション実務士 | ビジネスで必要とされるプレゼンテーション能力を修得する | 必修6単位以上を含めて16単位以上 |
組み合わせの考え方
ウェブデザイナーとして働く人は、作ったデザインの意図を依頼主に説明する場面が多くあります。プレゼンテーション実務士で学ぶ説明の組み立て方は、提案や打ち合わせの場で役立ちます。サイトの運用や改善まで担いたい人には、アクセスの数字を読み解く力が必要になるため、情報処理士やデータサイエンス・AI実務パスポートの科目が支えになります。
ただし、資格の数を増やすことが目的になると、1つひとつの学びが浅くなります。まずはウェブデザイン実務士の科目を確実に取り、時間の余裕があれば関連する資格の科目を加える、という順番で考えるのが現実的です。どの資格の科目が自分の学科で開講されているかは、学校ごとに違うため、履修の手引きや資格の説明会で確かめてください。
在学中の履修計画の立て方
20単位以上を確実に取るには、入学した時点で大まかな計画を立てておくことが大切です。ここでは、4年制大学で資格を取る場合の考え方の一例を示します。学校によって科目の配置は違うため、自分の学校の履修の手引きに合わせて組み替えてください。
1年次:基礎の科目を落とさない
1年次は、領域1に当たるHTMLとCSSの基礎、情報処理の基礎などの科目を中心に履修します。この時期に土台を固めておかないと、2年次以降の制作の授業についていけなくなります。授業の課題とは別に、自分の趣味や好きなものを題材にした小さなサイトを1つ作ってみると、学んだことが定着しやすくなります。
2年次:制作ツールと企画に慣れる
2年次は、領域2に当たる制作ツールの使い方や、サイトの企画・設計の授業が増えます。画像編集やデザインツールは、使い方を覚えるだけでなく、どの作業にどの機能を使うと速いかを体で覚えることが大切です。友人や家族の活動など、身近な依頼を題材にサイトを作ると、要望を聞き取って形にする練習にもなります。
3年次から4年次:総合演習と作品づくり
3年次と4年次は、領域3の総合演習で、オリジナルのサイトやコンテンツを制作します。就職活動の時期と重なるため、演習の作品をそのまま作品集の中心に据えられるよう、テーマ選びの段階から「見せたい自分の強み」を意識しておくと効率的です。資格の申請に必要な単位がそろっているかは、4年次の始めに学校の窓口で確認しておくと、卒業間際に慌てずに済みます。
単位を落としたときの考え方
必修の科目を落とすと、資格の条件を満たせなくなることがあります。再履修の機会があるか、ほかの科目で代えられるかは学校ごとに違うため、早めに担当の教員や窓口に相談してください。協会の資格は、卒業後でも学校を通して申請できるため、必要な単位さえそろっていれば、申請の時期が遅れても取得できます。
授業で使う道具と、仕事の現場との違い
授業で学ぶ内容は、仕事の基礎として十分なものです。ただし、実際の仕事の現場では、授業とは違う点がいくつかあります。在学中から意識しておくと、就職後の戸惑いを小さくできます。
道具は数年で入れ替わる
ウェブ制作で使われるデザインツールや制作の仕組みは、数年単位で主流が入れ替わります。授業で習った道具が、就職したときには別のものに置き換わっていることも珍しくありません。大切なのは特定の道具の操作を覚えることではなく、「なぜその配置にするのか」「なぜその色を選ぶのか」という考え方を身に付けることです。考え方が分かっていれば、新しい道具にもすぐに慣れます。
1人で全部作ることは少ない
授業の課題は1人で企画から制作まで行うことが多いのに対し、仕事では、ディレクター、デザイナー、コーディングの担当、文章の担当など、複数の人で分担して作るのが一般的です。自分の担当範囲を正しく理解し、ほかの人に作業を引き継ぐときに分かりやすく伝える力が求められます。グループで制作する授業があれば、役割分担と進み具合の共有を意識して取り組むと、現場に近い経験になります。
公開したあとの運用が長い
授業では作品を完成させたところで終わりますが、仕事ではサイトを公開してからの運用の期間のほうがずっと長くなります。情報の更新、表示速度の改善、利用者の反応を見た手直しなど、公開後の作業が収益につながります。サイトの集客や分析の仕事に関心がある人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で仕事の範囲を確かめておくと、デザインの先にある仕事のイメージをつかめます。
よくある誤解
ウェブデザイン実務士について調べると、誤った理解のまま広まっている情報もあります。資格を正しく理解するために、よくある誤解を整理します。
試験に合格すれば取れるという誤解
ウェブデザイン実務士には試験がありません。協会の会員校で単位を修得することが条件です。検定試験の対策講座や問題集で取れる資格ではないため、学校に通っていない人が独学で取ることはできません。
持っていないとウェブの仕事に就けないという誤解
ウェブデザインの仕事には、法律で定められた必須の資格はありません。ウェブデザイン実務士がなくても、作品と経験があれば仕事に就けます。逆に、資格があっても作品がなければ評価されにくいのが現実です。資格は学びの証明として、作品と組み合わせて使うものと考えてください。
一度取れば知識も更新しなくてよいという誤解
協会の資格は更新の手続きが不要ですが、それは知識を更新しなくてよいという意味ではありません。協会自身も、領域3の到達目標に「学びの継続力」を挙げています。ウェブの技術は変化が速いため、資格を取ったあとも新しい技術や表現を学び続ける姿勢が、仕事を続ける力になります。
卒業後の働き方の選択肢
ウェブデザインの仕事は、働き方の幅が広いことも特徴です。資格を活かして卒業後にどのような道があるのかを整理します。
制作会社や事業会社に就職する
最も一般的なのは、ウェブ制作会社や、自社のサービスやサイトを持つ事業会社に就職する道です。制作会社では多くの依頼主の案件に関わり、短い期間で多様な経験を積めます。事業会社では自社のサイトを長く育てる仕事が中心になり、数字を見ながら改善を重ねる力が身に付きます。どちらが向いているかは、いろいろな案件に触れたいか、1つのサービスを深く育てたいかで考えると選びやすくなります。
事務職として働きながらウェブを担当する
協会が一般事務を活かせる職種に挙げているように、事務職として就職し、自社サイトの更新やネットでの販売の運営を担当する道もあります。ウェブ専門の職種ではなくても、サイトの手直しを社内でこなせる人は重宝され、仕事の幅が広がります。
経験を積んでから独立する
実務の経験を積んだ後、フリーランスとして独立する人もいます。独立すると、依頼主を自分で探し、見積もりや契約、請求まで1人でこなす必要があります。いきなり独立するのではなく、会社に勤めながら副業として小さな案件を受け、依頼主とのやり取りや納品までの流れに慣れてから判断するのが安全です。会社員の副業には就業規則の確認が必要なため、勤め先の規則を先に読んでおきましょう。
どの道を選ぶ場合でも、在学中に作った作品と、資格の授業で身に付けた基礎は、最初の一歩を踏み出す支えになります。
運営者の視点から見た、資格を仕事につなげる人の共通点
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、ウェブ制作の仕事で長く依頼を受け続ける人は、資格の名前より「この人に任せると話が早い」という信頼を積み重ねています。デザインの腕前だけでなく、要望の聞き取り、進み具合の報告、納品後の小さな修正への対応まで丁寧な人に、次の依頼が集まります。ウェブデザイン実務士の授業で学ぶ制作の一連の流れは、この信頼の土台になります。
依頼主と直接やり取りできる仕組みには、もう1つの利点があります。仲介の手数料が重い場では、依頼主が払った金額のうち、作り手に届く分が小さくなります。手数料0%で直接取引できる場では、同じ予算で依頼主はより多くの作業を頼め、作り手は手取りが厚くなります。学生のうちに作品を作り、卒業後に小さな案件から実績を積み上げていく人ほど、こうした関係を長く続けています。
ウェブデザイン実務士は、在学中に体系立てて学んだことを示せる資格です。会員校に通っているなら、履修計画に組み込んで確実に取り、作品と一緒に見せる準備を進めてください。デザインの仕事の報酬の目安を知りたい人は、デザイナーの年収・単価相場で、経験に応じた単価の幅を確かめておくと、将来の働き方を考えやすくなります。
よくある質問
Q. ウェブデザイン実務士に試験はありますか?
試験はありません。全国大学実務教育協会に入会している大学や短期大学で、必修8単位以上を含む20単位以上を修得し、到達目標を達成すると授与されます。申請は個人ではなく、学校の学長を通して行うため、単位を取ったら学校の事務担当者の案内に従って手続きをします。
Q. 社会人がウェブデザイン実務士を取ることはできますか?
会員校に入学して単位を修得すれば取れますが、働きながら新たに大学に通うのは負担が大きくなります。社会人がウェブデザインの力を証明したい場合は、国家検定のウェブデザイン技能検定のように試験で取れる資格を検討するのが現実的です。3級は未経験でも受検できます。
Q. 卒業後に申請し忘れたことに気付きました。取れますか?
協会のよくある質問では、会員校で資格の単位を取ったまま申請せずに卒業した場合でも、卒業後の取得は可能とされています。ただし申請は学長を通して行うため、個人では申し込めません。卒業した大学の事務担当者に申し出て、手続きを依頼してください。
Q. ウェブデザイン実務士があれば就職に有利になりますか?
資格は在学中に体系立てて学んだ証明になりますが、ウェブ制作の採用では作品の質が最も重視されます。授業で作ったサイトやコンテンツを作品集にまとめ、制作の目的や担当した範囲、工夫した点を説明できるようにしておくと、資格と作品の両方で学びを示せます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
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