ベトナム語の動画の字幕と翻訳


この記事のポイント
- ✓ベトナム語の字幕翻訳を在宅の副業にするための実務ガイド
- ✓尺と話速から作業時間を見積もる方法
- ✓字幕1枚あたりの文字数の考え方
ベトナム語の字幕翻訳を副業として受けるとき、最初に決めなければならないのは「この動画は何時間の仕事なのか」です。ここを外すと、受けた瞬間に赤字が確定します。動画の長さが10分だから10分の仕事、ではありません。台本があるかないか、話す速度、話者の数、専門用語の量。この四つで、同じ10分の動画が1時間の仕事にも4時間の仕事にもなります。
この記事では、ベトナム語の字幕と動画翻訳の仕事を、作業時間の見積もり方を中心に整理します。字幕1枚に入る文字数の考え方、単価の形の違い、使うツール、AIの下訳との付き合い方、そして収入が出たときの税金と保険まで。ベトナム語の学び方の話はしません。すでに使える方が、その力を在宅の仕事に換えるための内容です。
ベトナム語の映像翻訳に、どれだけの需要があるか
動画の需要は増え続けています。企業の採用動画、製品の使い方の説明、安全衛生の教育動画、eラーニングの講座、そしてSNSに載せる短い動画。これらを多言語で出す動きが広がり、ベトナム語はその対象言語として上位に入るようになりました。
理由は二つあります。ひとつは、日本国内で働くベトナム出身の方が増えたこと。製造、建設、食品、介護、農業の現場では、日本語で作られた安全教育や作業手順の動画にベトナム語字幕を付ける需要が常時あります。もうひとつは、ベトナム市場に向けた発信です。製品紹介、企業紹介、観光の案内。日本からベトナムへ向けた動画の翻訳がここに入ります。
方向としては、日本語からベトナム語への翻訳が量として多く、ベトナム語から日本語への翻訳は単価が高くなりやすい、という傾向があります。後者は現地で撮影された素材の内容確認や、SNS投稿の監視、市場調査の一環として発生することが多く、日本語の表現力が問われるぶん報酬が上がります。
在宅で受けられる案件が集まる場も整っています。
ベトナム語翻訳の仕事・案件一覧ページです。クラウドソーシング・アウトソーシングに強いランサーズでは、ベトナム語翻訳の仕事情報の検索から納品、報酬の受け取りまで、すべて完結します。時間や場所にとらわれず、在宅や副業などさまざまな働き方を実現可能です。24時間365日のサポート体制をご用意しています。仕事、業務委託/副業案件、求人をお探しのフリーランスの方はまず会員登録がおすすめです。 出典: lancers.jp
登録が無料の場が複数あるので、まずは案件の実物と提示単価を見るところから始められます。相場を知らないまま最初の見積もりを出すのが、この仕事で最も損をするパターンです。
字幕の仕事は、実は複数の作業の束
「字幕翻訳」とひとことで言っても、依頼の中身は案件ごとに違います。どこまでが自分の担当なのかを最初に確認しないと、見積もりが崩れます。
書き起こし
音声を文字にする作業です。台本や原稿がない動画では、ここから始まります。日本語音声の書き起こしなら日本語の聞き取り力が、ベトナム語音声ならベトナム語の聞き取り力が問われます。方言や早口、複数人の同時発話が入ると急激に時間がかかります。
この作業が含まれるかどうかで、作業時間は倍近く変わります。見積もりの前に必ず確認してください。
スポッティング
字幕を表示する開始と終了のタイミングを決める作業です。話し始めと話し終わりに合わせるだけでなく、場面の切り替わりをまたがないようにする、読む時間を確保する、といった調整が入ります。
専門の会社では、この作業を翻訳と分けて別の担当が行うこともあります。個人で受ける場合は、翻訳とセットで求められることが多いです。
翻訳と字幕化
ここが本体です。ただし通常の文書翻訳とは別の技術が要ります。字幕には表示できる文字数の上限があり、その中に意味を収める必要があるからです。逐語訳では入りません。何を残し、何を落とすかの判断が毎行発生します。
テロップと画面内文字の処理
映像の中に日本語の文字が映り込んでいる場合、それも訳す必要があります。看板、資料、スライド、商品パッケージ。これらの処理が含まれるかどうかも、見積もりに影響します。
焼き付けと納品形式
字幕データだけを納品するのか、動画に焼き付けた状態で納品するのか。データ形式は何か。この違いで必要な作業とソフトが変わります。データのみなら翻訳者の作業で完結しますが、焼き付けが必要なら動画編集の工程が加わります。
映像に関わる仕事の全体像を確認しておきたい場合は、映像翻訳・字幕・通訳のお仕事で扱われている業務の並びが、どこまでが翻訳者の領域でどこからが編集者の領域かを知る手がかりになります。
尺と話速から、作業時間を見積もる
ここが本題です。見積もりの精度が、この仕事の収益性を決めます。
まず話速を測る
日本語のナレーションは、おおむね1分あたり300文字前後で読まれます。落ち着いた説明動画ならこの程度、テンポの速い対談やバラエティ寄りの動画では400文字を超えることもあります。逆に、機械の操作説明のように間が多い動画では200文字を切ることもあります。
つまり、同じ10分の動画でも、扱う文字量は2,000文字から4,000文字まで倍の幅があります。尺だけで見積もると、この差を丸ごと被ることになります。
見積もりの前に、動画の冒頭1分を実際に聞いて、そこに何文字あるかを数えてください。この一手間で、見積もりの精度が大きく上がります。全体を見なくても、1分の実測から全体量が推定できます。
実尺の何倍かかるか
作業時間は「実尺の何倍」という形で見積もるのが実務的です。目安は素材の状態で変わります。
| 素材の状態 | 実尺に対する作業時間の目安 |
|---|---|
| 台本あり、タイムコードあり、単一話者 | 3倍から5倍 |
| 台本あり、タイムコードなし | 5倍から8倍 |
| 台本なし、単一話者、明瞭な音声 | 8倍から12倍 |
| 台本なし、複数話者、専門用語が多い | 12倍から20倍 |
10分の動画で、台本がなく複数の話者が話す素材なら、作業時間は2時間から3時間を見ておく必要があります。これに最終チェックの時間が加わります。
慣れると倍率は下がりますが、下がるのは同じ分野を繰り返した場合です。初めての業種、初めての話者、初めての形式では、経験者でも倍率が戻ります。
見積もりに入れ忘れやすい時間
素材の受け取りと確認、用語の調査、依頼元への質問と回答待ち、納品後の修正対応。これらは作業時間に含まれないことが多いのに、実際には確実に発生します。
特に修正対応は要注意です。何回まで無償で対応するのかを決めていないと、無制限の修正に巻き込まれます。誤訳の修正は当然対応する範囲ですが、依頼元の都合で原文や方針が変わった場合は新しい作業です。この区別を受注時に伝えておいてください。
実質時給に直す
報酬額を、上で出した総作業時間で割ります。この数字が、その案件の本当の時給です。字幕の仕事は「1本いくら」で提示されることが多く、時間で考える習慣がないと採算が見えません。
言葉を扱う職種全体の収入水準と比べておくと、自分の値付けが妥当かを判断しやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場のようなデータは、その物差しとして使えます。
字幕特有のルールを知る
字幕は、翻訳文をそのまま並べる仕事ではありません。物理的な制約があります。
表示できる文字数
日本語の字幕では、視聴者が読める速度を基準に、1秒あたりおよそ4文字という慣行が長く使われてきました。4秒表示なら16文字程度が上限、という計算です。行数は2行までとするのが一般的です。
ベトナム語の字幕では、ラテン文字に声調記号が付く表記なので、同じ意味を表すのに必要な横幅が日本語より長くなります。文字数の上限は日本語と同じ基準では測れず、画面の横幅に何文字入るかで判断することになります。依頼元が仕様を指定してくる場合はそれに従い、指定がない場合は1行あたりの文字数を決めて統一してください。
大事なのは、上限に収めるために意味を削る判断です。「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」を全部訳すと入りません。感謝の意味が伝わる短い形に置き換える。この判断が字幕翻訳の技術そのものです。
分割と改行の位置
一つの文を二枚の字幕に分けるとき、どこで切るかで読みやすさが変わります。意味のまとまりを壊さない位置で切る。修飾語と被修飾語を分断しない。これは日本語でもベトナム語でも共通する原則です。
改行位置も同じ考え方です。読み手が視線を戻したときに意味が続いて見える位置で折る。ここが雑だと、内容が正確でも「読みにくい字幕」と評価されます。
表示のタイミング
話し始めより少し早く出し、話し終わりより少し遅く消すのが基本です。ただし場面が切り替わるところをまたぐと違和感が出るので、カットの境界では切ります。
短すぎる表示も避けます。1秒未満の字幕は読み切れません。前後と結合するか、文字数を削って表示時間を確保します。
用語と表記の統一
同じ語が動画の中で違う訳になっていると、品質評価が一気に下がります。作業を始める前に、固有名詞、製品名、役職名、専門用語の対応表を作ってください。この表は次の案件でも使えるので、蓄積するほど作業が速くなります。
翻訳の品質をどう担保するかという枠組みに関心があるなら、JTF翻訳品質認証で扱われている考え方が、自分の作業手順を組み立てる参考になります。
使うツールと、無料で始められる範囲
字幕作業のためのソフトは、無料のもので十分に始められます。
字幕編集の専用ソフトには無料で使えるものが複数あり、波形を見ながらタイミングを合わせ、SRTなどの標準的な形式で書き出せます。まずはこれで作業の流れを覚えるのが現実的です。
動画配信サービスの字幕エディタを使う方法もあります。ブラウザだけで完結するので、ソフトを入れられない環境でも作業できます。ただし細かいタイミング調整には向きません。
有償の動画編集ソフトは、焼き付けまで含めて納品する案件を受けるなら必要になります。ただし最初から買う必要はありません。データ納品の案件で実績を作り、焼き付けの依頼が繰り返し来るようになってから検討すれば十分です。
作業環境として必要なのは、映像を扱えるパソコンと、音を正確に聞けるヘッドホンです。内蔵スピーカーだと聞き取りづらい音があり、書き起こしの精度が落ちます。有線のヘッドホンなら3,000円台から選べます。ここは投資に見合う部分です。
単価の形と、値付けの考え方
字幕翻訳の報酬には、いくつかの数え方があります。それぞれ有利になる条件が違うので、案件の性質で使い分けます。
分単価は、動画の実尺1分あたりいくら、という形です。最も一般的で、依頼元にとっても分かりやすい。ただし話速の速い動画では作業量が増えるのに報酬が変わらないので、受ける側は不利になります。冒頭1分の文字数を確認してから受けるべきなのは、このためです。
字幕1枚あたりの単価は、実際の作業量に比例するので公平な数え方です。話速が速ければ枚数が増え、報酬も増えます。ただし完成するまで枚数が確定しないので、事前見積もりが出しにくいという問題があります。
文字単価は、書き起こしや台本がある場合に使いやすい形です。原文の文字数が確定しているので、見積もりが明確になります。
どの形であっても、確認すべき項目は同じです。書き起こしが含まれるか、スポッティングが含まれるか、画面内文字の処理が含まれるか、焼き付けが必要か、修正は何回まで無償か、支払いの締め日と支払日はいつか。この六つを受注前に文字で確認してください。これ、決めないまま始めてしまう人が本当に多いんです。
単価を上げていく道筋は、分野を絞ることです。安全衛生、製造工程、医療、eラーニング、観光。特定の分野の用語に慣れると、同じ時間で処理できる量が増え、実質時給が上がります。そして「この分野ならこの人」という状態を作ると、価格の交渉が成立します。
AIの下訳とどう付き合うか
音声認識と機械翻訳の精度が上がり、字幕の下訳を自動で作れるようになりました。この変化は、脅威であると同時に道具でもあります。
現状で分かっているのは、自動生成された字幕は、そのままでは納品できないということです。固有名詞の誤認、同音異義語の取り違え、話し言葉特有の省略の処理、そして字幕としての文字数調整。これらは人が直す必要があります。
つまり仕事の性質が、ゼロから作る作業から、生成されたものを直す作業へ移りつつあります。この作業は後編集と呼ばれ、単価は新規翻訳より低く設定されることが多い。ただし作業時間も短くなるので、実質時給で見れば必ずしも不利ではありません。判断の基準は、直す量が多すぎて一から作ったほうが速い状態になっていないか、です。誤りが多い下訳は、むしろ足を引っ張ります。
自分で下訳を作って作業を効率化する使い方も有効です。音声認識で書き起こしを作り、それを土台に翻訳する。この形なら書き起こしの時間が大きく減ります。ただし、依頼元との契約で機械翻訳の使用が禁止されている場合があります。機密性の高い素材では、外部サービスに音声や文章を送ること自体が問題になります。使用の可否は必ず確認してください。
収入が出たときの税金と保険
字幕翻訳を業務委託で受ける場合、報酬は給与ではなく事業所得や雑所得として扱われるのが一般的です。会社員が副業として行う場合、給与以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。基準となる金額や手続きは国税庁の案内で確認してください。
翻訳の報酬は、支払時に源泉徴収される場合があります。源泉徴収された額は確定申告で精算されるので、支払調書や支払明細は保管しておいてください。
経費として扱える可能性があるものには、パソコンやヘッドホンなどの機材、通信費、ソフトの利用料、専門書や辞書の購入費、プラットフォームに支払った手数料があります。何がどこまで認められるかは状況によるので、領収書と記録を残すことが前提になります。
保険については、業務委託で受ける報酬に雇用保険や労災は基本的に付きません。副業のうちは勤務先の社会保険が適用されますが、独立する場合は国民健康保険と国民年金に自分で加入することになります。年金の扱いは日本年金機構、制度全体の説明は厚生労働省の案内が出発点になります。会社員の場合は、勤務先の副業規定を先に確認してください。
案件をどこで探し、どう応募するか
経路は三つあります。在宅ワーク・業務委託のマッチングサービス、映像翻訳を扱う制作会社や翻訳会社、そして企業からの直接の依頼です。
マッチングサービスは登録が無料で、案件と提示単価をその場で確認できます。相場を掴む目的で使う価値があります。最初は単価が高くありませんが、実績を作る場としては機能します。
翻訳会社や制作会社は、登録時にトライアルがあります。通過すると案件が継続的に回り、チェック体制があるので品質面の負担が軽い。経験の浅いうちはこの体制の中で場数を踏むのが安全です。
直接の依頼は、ベトナム出身の従業員を抱える企業や、ベトナム市場に展開する企業から来ます。継続することが多く、業種の用語に慣れるほど効率が上がります。
応募で見られているのは、語学力の自己申告ではなく、実物です。守秘義務に触れない範囲で、自分で作った字幕のサンプルを用意しておいてください。公開されている短い動画に字幕を付けたものでよい。文字数の調整、改行位置、タイミングの取り方。この三点が見えるだけで、依頼側は判断できます。
書く力そのものを鍛えたい場合は、翻訳・ライティングレッスンのお仕事で扱われている内容が、日本語側の表現力を上げる道筋として参考になります。また、他の言語での翻訳副業の進め方は構造が共通しているので、中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安や英語翻訳の副業ガイド|TOEIC何点から仕事ができる?を読むと、参入の順序が具体的に見えてきます。
作業の進め方を、手順として固める
同じ品質を毎回出すには、手順を決めてしまうのが確実です。案件ごとにやり方を変えると、抜けが出ます。実務で使われている流れを並べます。
素材を受け取ったら、まず全体を通して見る
翻訳を始める前に、一度通して視聴します。この時間は無駄に見えますが、後の手戻りを大きく減らします。話者が何人いるか、専門用語がどの分野のものか、画面内に訳すべき文字があるか、音質はどうか。ここで分かった問題は、着手前に依頼元へ確認できます。
確認すべきことが出てきたら、まとめて一度に聞きます。作業の途中で小刻みに質問すると、回答待ちで手が止まります。用語の指定はあるか、既存の訳例はあるか、想定する視聴者は誰か。この三つは特に聞く価値があります。
用語を先に決める
本文の翻訳に入る前に、固有名詞と専門用語の訳を確定させます。会社名、製品名、部署名、役職、機械の名称、作業工程の呼び方。ここを先に固めておくと、途中で表記が揺れません。
依頼元に既存の資料があれば必ずもらってください。過去に作った日本語とベトナム語の対訳資料、社内で使っている呼び方の一覧。これがあるかないかで、品質評価が変わります。無いと言われた場合は、自分が決めた訳語の一覧を納品時に添えると、次回以降の基準になります。
タイミングを取ってから訳す
翻訳文を作ってからタイミングを合わせようとすると、文字数が入らずに全部書き直しになります。先に区切りとタイミングを決め、それぞれの枠に何文字入るかを確定させてから訳す。この順序にすると手戻りがほぼ消えます。
枠の中に収める作業は、削る作業です。挨拶、繰り返し、言いよどみ、相槌。これらは落としてよい情報です。逆に、数字、固有名詞、否定、条件は絶対に落としてはいけません。この線引きを自分の中で決めておくと、判断が速くなります。
通しで確認してから納品する
字幕を入れた状態で、最初から最後まで通して見ます。単体では正しくても、続けて見ると意味がつながっていない箇所が見つかります。表示が短すぎて読めない、前の字幕と重なっている、場面の切り替わりをまたいでいる。この確認をしていない納品は、修正依頼が返ってきます。
余裕があれば、一晩置いてから確認するのが理想です。作った直後は自分の意図が頭に残っているので、読めてしまう。時間を空けると、視聴者に近い目で見られます。
副業として続けるための時間の作り方
字幕の仕事は、細切れの時間では進みません。書き起こしもタイミング調整も、集中が切れると精度が落ちます。まとまった時間を確保できる日を先に決めて、そこに合う量だけ受けるのが現実的です。
会社員として働きながら受ける場合、平日の夜に2時間、週末に半日、という形が一般的です。この稼働で処理できるのは、台本ありの素材なら実尺で週に60分から90分程度が目安になります。台本なしの素材ならその半分以下です。この上限を知らずに引き受けると、納期直前に破綻します。
納期の交渉は、受注時が唯一の機会です。着手してから「間に合いません」と言うのは信用を大きく損ないます。逆に、受注時に「この分量なら5日いただきます」と根拠を示して伝える人は、無理な納期を押し付けられなくなります。作業時間の記録を取っていると、この交渉が具体的にできます。
体調と目の負担も現実的な問題です。映像を長時間見続ける仕事なので、目が疲れます。一時間ごとに休む、画面の明るさを落とす、といった対策を最初から習慣にしておくほうが長続きします。副業の設計そのものをどう考えるかについては、キャリア・副業・人生相談のお仕事で扱われている相談内容が、時間配分を見直す視点として参考になります。
20年この市場を見てきて分かること
在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から見ると、字幕翻訳で伸びる人には共通の癖があります。作業ログを取っていることです。
この動画は何分で、何文字あって、何時間かかったか。これを毎回記録している人は、三か月もすると自分の作業速度を正確に把握します。すると見積もりが外れなくなり、無理な納期を受けなくなり、結果として品質が安定します。記録を取らない人は、いつまでも感覚で受けて、いつまでも徹夜をしています。差がつくのは翻訳力ではなく、この習慣です。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、長く続く人は用語集を資産として扱っています。案件ごとに作った対応表を捨てずに蓄積し、次の案件で使う。同じ業種の依頼が二度目、三度目と来るころには、作業時間が半分近くまで落ちています。単価が同じでも実質時給が倍になるので、値上げ交渉をしなくても収入が増える構造です。
そして構造の話です。映像翻訳は、制作会社、翻訳会社、コーディネーターと、間に入る段が多い分野です。依頼者が支払った金額のうち、実際に訳す人に届く割合は段数で目減りします。手数料0%で直接つながる形が取れると、依頼側は同じ予算でより多くの本数を頼めて、受け手の手取りは厚くなる。一本ごとの差は小さくても、年間で数十本を扱えば働き方そのものが変わります。会社経由で経験を積みつつ、続いた取引先とは直接の関係に移していく。この二段構えを最初から設計しておく人が、結果として長く残っています。
最後に、ベトナム語の映像翻訳者は、まだ数が足りていません。日本語とベトナム語の両方を扱えて、しかも字幕の作法を知っている人は、探しても簡単には見つかりません。最初の見積もりで安く出す必要はないはずです。作業時間を正しく数え、その時間に見合う額を提示する。それが受け入れられない依頼は、断っても仕事はなくなりません。
よくある質問
Q. 字幕翻訳の作業時間はどう見積もればよいですか?
動画の実尺の何倍かかるかで考えます。台本とタイムコードがあり話者が一人なら実尺の3倍から5倍、台本がなく複数話者で専門用語が多い素材なら12倍から20倍が目安です。見積もりの前に冒頭1分を聞いて文字数を数えると精度が上がります。日本語のナレーションは1分あたり300文字前後が目安で、速い動画では400文字を超えます。
Q. 字幕に入れられる文字数はどれくらいですか?
日本語の字幕では、視聴者が読める速度を基準に1秒あたり4文字程度、行数は2行までとする慣行が使われてきました。ベトナム語は声調記号の付くラテン文字表記のため、同じ意味でも横幅が長くなります。依頼元の仕様があればそれに従い、なければ1行あたりの文字数を自分で決めて全体を統一してください。
Q. 無料で始められますか?
始められます。字幕編集用の無料ソフトが複数あり、波形を見ながらタイミングを合わせてSRT形式で書き出せます。動画配信サービスの字幕エディタもブラウザだけで使えます。案件を探す場も登録無料のところが多いです。必要な投資は、音を正確に聞くための有線ヘッドホン程度で、3,000円台から選べます。
Q. AIの自動字幕があっても仕事は残りますか?
残りますが、性質が変わります。自動生成された字幕は固有名詞の誤認や話し言葉の処理、文字数の調整が必要で、そのままでは納品できません。仕事はゼロから作る作業から、生成物を直す後編集へ移りつつあります。ただし依頼元によっては機密保持の観点で機械翻訳の使用が禁止されているため、使用の可否は必ず確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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