翻訳実務検定(TQE)の内容と、在宅の翻訳の仕事での活かし方


この記事のポイント
- ✓翻訳実務検定TQEの科目
- ✓主催のサン・フレア アカデミーの公式の記載で確かめて整理しました
- ✓翻訳実務士の認定と翻訳者登録のつながり
翻訳実務検定を調べている人の多くは、「TQEはどんな試験で、どのくらい難しいのか」「合格すると翻訳の仕事につながるのか」「ほかの翻訳の検定とどう違うのか」という疑問を抱えています。結論から言うと、翻訳実務検定TQEは、翻訳会社の株式会社サン・フレアのサン・フレア アカデミーが実施している、産業翻訳の実務の力を判定する検定です。在宅で受けられ、3級以上を取ると「翻訳実務士」に認定され、サン・フレアに翻訳者として登録できる道が開かれます。この記事では、TQEの科目、採点の基準、受け方を公式の記載で確かめたうえで、在宅の翻訳の仕事での活かし方を整理します。
翻訳実務検定TQEとは、産業翻訳の実務力を測る検定
翻訳実務検定TQEは、Translator Qualifying Examination の頭文字を取った名前の検定です。主催するサン・フレア アカデミーの公式サイトでは、次のように紹介されています。
翻訳実務検定 TQE®︎(Translator Qualifying Examination)は、産業翻訳分野のプロフェッショナルな翻訳者としての能力を認定する検定です。限られた時間内で、商品としての価値を持つ訳文を作成できる翻訳実務力を評価・判定します。 出典: サン・フレア アカデミー「翻訳実務検定 TQE」
産業翻訳とは、企業や研究機関などが仕事で使う文書を訳す翻訳のことです。製品の説明書、技術の資料、契約書、特許の明細書、医薬品の資料、会社の広報の資料などが対象になります。実務翻訳と呼ばれることもあり、小説や映画の字幕のような作品の翻訳とは区別されます。
TQEの特徴は、「商品としての価値を持つ訳文」を作れるかを見る点にあります。語学の試験のように、外国語の知識の量を測るのではありません。依頼主にそのまま納められる品質の訳文を、限られた時間の中で仕上げられるかが問われます。実施している会社が翻訳会社であることもあり、翻訳者を探す側の目線で作られた検定と言えます。
翻訳の仕事を始めようとする人にとって、自分の訳が仕事として通用する水準にあるのかは、なかなか分かりません。TQEは、その水準を点数と級で示してくれる仕組みです。
産業翻訳は、在宅で受けやすい仕事の代表の1つです。原文のファイルを受け取り、自宅のパソコンで訳し、決められた形式で納めるという流れで、仕事のほとんどが在宅で完結します。そのため、子育てや介護をしながら働きたい人、地方に住みながら都市部の会社の仕事を受けたい人、会社員として働きながら得意な分野の翻訳を副業にしたい人など、さまざまな人が取り組んでいます。会社員が副業として受ける場合は、勤務先の就業規則で副業の扱いを確かめてください。
翻訳実務士の認定と、翻訳者としての登録
TQEで一定の点数を取ると、「翻訳実務士」に認定されます。公式サイトには次のように書かれています。
翻訳実務士は、翻訳実務検定TQEにおいて3級(70点以上)を取得された方に授与される資格です。 出典: サン・フレア アカデミー「翻訳実務検定 TQE」
公式サイトによると、翻訳実務士に認定された後は、株式会社サン・フレアに翻訳者として登録できます。これまでに約3,000人の翻訳実務士が誕生していると紹介されています。また、新しい区分(和訳か外国語訳か)や科目に合格すれば、追加で登録できるとされています。
この仕組みは、TQEのいちばんの特徴です。多くの翻訳会社では、翻訳者として登録するために「トライアル」と呼ばれる課題の試験を受ける必要があります。TQEで3級以上を取ることは、サン・フレアへの登録の道につながっており、検定の合格がそのまま仕事の入り口になる形です。
ただし、登録できることと、すぐに仕事の依頼が届くことは別です。登録した後に実際に依頼が来るかどうかは、その分野の仕事の量や、登録している翻訳者の数、自分が対応できる日程などによって変わります。登録をきっかけに、短い仕事から実績を積み、信頼を得ていくことが大切です。
級の目安と採点の基準
TQEの成績は、点数と級で示されます。公式サイトに書かれている級の目安を、表に整理します。
| 級 | 点数 | 公式の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 100から90点 | 正確性、明瞭性、表現力の点で全く問題がなく、商品価値が高い産業翻訳を完璧に行うことができる |
| 2級 | 89から80点 | 一部改善を要するものの、致命的な問題はなく、商品価値のある産業翻訳をほぼ的確に行うことができる |
| 3級 | 79から70点 | 改善の余地はあるが、致命的な誤訳はほとんどなく、多少の修正を施せば商品になりうる産業翻訳を行うことができる |
| 4級 | 69から60点 | 実務に向けて、さらに力を伸ばす段階 |
| 5級 | 59から50点 | 現時点では実務に対応するのはかなり難しいが、産業翻訳者として成功しうる潜在能力はある |
翻訳実務士に認定されるのは3級(70点以上)からです。3級の目安に「多少の修正を施せば商品になりうる」とあるように、翻訳会社の側で確かめて直せば納品できる水準が、仕事の入り口の目安になっています。
採点は、原則として次の4つの観点で行われると公式サイトに書かれています。
- 原文解釈力(30点)。原文の意味を正確に理解しているか、文法の知識があるか、辞書を適切に使っているか、原文の誤りに気づいているか
- 訳文表現力(30点)。単なる単語の置き換えの直訳になっていないか、原文に忠実か、訳語の選択が適切か、自然な表現になっているか
- 専門知識(30点)。内容を理解するための専門知識があるか、専門用語を正しく訳しているか、専門分野にふさわしい文体か、知識の不足を補う調査を十分に行っているか
- スタイル(10点)。訳抜けがないか、誤字や脱字がないか、用語や言い回しが統一されているか、段落の形を無視していないか
この4つの観点は、翻訳会社が翻訳者の訳を評価するときの観点とほぼ重なります。特に「専門知識の不足を補うための調査を十分に行っているか」という観点は、実務の翻訳で欠かせない力を表しています。知らない用語が出てきたときに、きちんと調べて正しい訳語を選べるかどうかが、点数に表れる仕組みです。
科目と出題の分野
TQEは、英語の科目が中心で、そのほかの言語の科目もあります。公式サイトによると、英語には15分野・19科目があり、和訳(英語から日本語へ)と英訳(日本語から英語へ)の区分があります。
英語の科目の主な分野は、次のとおりです。
| 分野のまとまり | 科目の例 |
|---|---|
| IT・技術 | IT、電気、機械 |
| 医療・ライフサイエンス | 医療機器、医学・薬学、バイオ |
| 化学・環境・エネルギー | 化学、環境、原子力 |
| 特許 | 特許(電気)、特許(機械)、特許(IT)、特許(医薬品)、特許(化学) |
| ビジネス | 金融・経済、法務・契約書、広報・マーケティング |
| そのほか | 時事・新聞、文芸 |
たとえば、ITの科目ではソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク、セキュリティなどの内容が、医学・薬学の科目では医薬品、薬理、安全性試験、臨床治療などの内容が出題されると説明されています。特許の科目は、それぞれの分野の特許明細書から出題されます。
英語以外では、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語の科目があり、これらはさまざまな分野の、専門性が比較的低い内容から出題されるとされています。ただし、どの言語の試験がどの回に行われるかは回ごとに違います。
科目の選び方で大切なのは、自分が仕事にしたい分野と、自分の経験が活かせる分野を重ねることです。たとえば、機械の設計や製造の仕事の経験がある人なら機械の科目、ITの仕事の経験がある人ならITの科目を選ぶと、専門知識の観点で強みを出しやすくなります。
和訳と外国語訳のどちらを受けるか
TQEには、外国語から日本語に訳す和訳と、日本語から外国語に訳す外国語訳(英語なら英訳)の区分があります。どちらを受けるかは、仕事にしたい方向で決めます。
和訳は、外国語の原文を正確に読み取り、自然で正確な日本語に置き換える力が問われます。日本語を母語とする人にとっては取り組みやすい方向で、産業翻訳の仕事の量も多い方向です。ただし、外国語が読めることと、商品として通用する日本語が書けることは別の力です。和訳の採点では、日本語として自然な表現になっているか、主語が統一されているかといった、日本語の文章の力も見られます。
外国語訳は、日本語の原文を、その外国語を母語とする人が読んで自然に感じる文章に訳す力が問われます。採点の観点にも「外国語として不自然な表現となっていないか(日本人的発想の文章でないか)」という項目があります。外国語で書く力を高い水準で持っている人は限られるため、外国語訳ができる翻訳者は貴重な存在です。
最初は和訳で翻訳実務士を目指し、慣れてから外国語訳に挑戦する人もいます。公式サイトでは、新しい区分や科目に合格すれば追加で登録できると説明されているので、1つずつ段階を踏んで扱える仕事を広げていく進め方ができます。
TQEが向いている人と、受ける前に考えたいこと
TQEは、次のような人に向いている検定です。
- 産業翻訳の仕事を始めたいが、自分の訳が仕事として通用するかを客観的に知りたい人
- 機械、IT、医薬、特許など、自分の仕事の経験を活かせる専門の分野がある人
- 翻訳会社に翻訳者として登録する道を探している人
- 在宅で、自分の都合のよい場所から受けたい人
一方で、受ける前に考えておきたいこともあります。TQEは、語学の初心者が力試しに受ける検定ではありません。採点の基準も、商品として納められる訳文かどうかを見るものです。外国語の文法や読解の基礎がまだ固まっていない段階では、語学の勉強を先に進めたほうが、受検料と時間を有効に使えます。
また、TQEは1回の受検で1つの科目の力を測る検定です。複数の科目を受ければ、その分の受検料がかかります。最初は、自分がいちばん自信のある分野の科目を1つ選んで受け、結果を見てから次の科目を考えるのが無理のない進め方です。
受検料・日程・受け方
TQEは、在宅(インターネット)で受検する形です。公式サイトでは、インターネットの環境が整っていれば受検の場所は問わず、海外からも受検できると説明されています。
受検料は、1言語1科目につき、早割の期間なら8,900円(税込)、通常の料金の期間なら9,900円(税込)です。1回で複数の科目や複数の言語を受けることもできますが、複数を申し込んでも試験の期間は延長されないとされています。申し込んだ後に科目を変えることはできません。
公式サイトに載っている、2026年から2027年にかけての日程は次のとおりです。
| 回 | 通常料金の申込期間 | 試験期間 | 成績発表 | 言語 |
|---|---|---|---|---|
| 110回 | 2026年4月28日から5月28日 | 2026年6月4日から6月8日 | 2026年7月28日 | 英語・中国語・フランス語 |
| 111回 | 2026年8月25日から9月24日 | 2026年10月1日から10月5日 | 2026年11月25日 | 英語・韓国語・ドイツ語・ロシア語 |
| 112回 | 2026年12月29日から2027年1月28日 | 2027年2月4日から2月8日 | 2027年3月30日 | 英語・スペイン語・中国語 |
早割の期間は、通常料金の期間の前に設けられています。たとえば112回は、2026年12月14日から12月28日までが早割の期間です。英語の科目も、回によって行われる科目が違うので、自分が受けたい科目がどの回で行われるかを、公式サイトの科目の一覧で確かめてから申し込みます。日程と科目は変わることがあるので、サン・フレア アカデミーの公式サイトで最新の情報を確かめてください。
試験は、決められた期間の中で問題を受け取り、訳文を仕上げて提出する形です。問題の量は言語や科目で違い、公式サイトでは目安として、外国語訳は日本語の原文2,000文字前後、英語などからの和訳は原文700語ほどとされています。成績は、マイページで1か月間確かめられると案内されています。
ほかの翻訳の検定との違い
翻訳の実務の力を測る検定は、TQEのほかにもあります。代表的なものと比べると、TQEの特徴が見えてきます。
日本翻訳連盟(JTF)の「JTF<ほんやく検定>」は、産業翻訳の業界団体が実施している検定です。公式サイトによると、実用レベルは英日翻訳と日英翻訳があり、「政経・社会」「科学技術」「金融・証券」「医学・薬学」「情報処理」の5分野から1分野を選んで受けます。インターネットで受ける形で、1級・2級に合格すると、JTFの法人会員である一部の翻訳会社でトライアルが免除されたり、受ける条件が緩和されたりすると説明されています。
| 項目 | 翻訳実務検定TQE | JTF<ほんやく検定> |
|---|---|---|
| 主催 | サン・フレア アカデミー(翻訳会社のサン・フレア) | 一般社団法人日本翻訳連盟 |
| 受け方 | 在宅(インターネット) | インターネット |
| 英語の分野の数 | 15分野・19科目 | 5分野 |
| 合格後のつながり | 3級以上で翻訳実務士。サン・フレアに翻訳者として登録できる | 1級・2級で一部の加盟の翻訳会社のトライアルが免除・緩和 |
TQEは、特許や医療機器、原子力など、分野が細かく分かれていることが特徴です。自分の専門の分野にぴったり合う科目を選びやすく、その分野の力を示しやすい検定です。JTF<ほんやく検定>は、業界団体の検定として、複数の翻訳会社に向けて実力を示せることが特徴です。
どちらか一方だけを受けなければならないわけではありません。自分の得意な分野の科目があるか、合格した後にどの翻訳会社とつながりたいかで選び、必要に応じて両方を受ける人もいます。
TQEに向けた勉強の進め方
TQEは実務の力を測る検定なので、勉強も実務に近い形で進めるのが効果的です。
過去問題で出題の形をつかむ
公式サイトでは、過去問題を購入できます。過去問題は、実際の試験で配られた「問題文」「試訳」「ポイントと解説」で構成されていると説明されています。試訳とは、問題を訳した例のことです。まずは過去問題を時間を計って訳し、試訳と見比べて、自分の訳のどこが違うのかを確かめます。解説を読むと、採点で見られている点が具体的に分かります。
分野の文書を読み込む
専門知識の観点で点数を取るには、受ける分野の文書をふだんから読んでおくことが大切です。ITなら技術の解説の記事や製品の説明書、医学・薬学なら薬の説明の文書や論文の要旨など、その分野で実際に使われている文書を、外国語と日本語の両方で読みます。同じ内容を2つの言葉で読み比べると、その分野で決まって使われる訳語が分かってきます。
用語を調べる習慣をつける
採点の観点に「専門知識の不足を補うための調査を十分に行っているか」があるように、知らない用語を調べる力は欠かせません。辞書だけでなく、その分野の用語集や、公的な機関が公開している資料など、裏付けとなる資料を探す練習をします。調べた用語は、自分の用語集に記録しておきます。
訳した後の見直しを型にする
スタイルの観点の10点は、見直しで取れる点です。訳抜け、誤字や脱字、用語の統一、段落の形を、毎回同じ順番で確かめる習慣をつけます。日本語の文章の正確さとそろえ方は、ビジネスの文章の勉強でも身につきます。表記をそろえ、伝わる文章を組み立てる練習には、ビジネス文書検定の勉強も役に立ちます。
翻訳者として登録した後の仕事の流れ
翻訳会社に翻訳者として登録した後の仕事は、一般に次のような流れで進みます。
- 翻訳会社の担当者から、仕事の打診が届く。文書の分野、分量、納期、報酬の条件が示される
- 条件を確かめて、受けるかどうかを返事する。納期に間に合わない場合は、無理に受けずに断る
- 原文と、依頼主の用語集や表記の決まりなどの資料を受け取る
- 翻訳する。翻訳支援ツールの使用を求められることもある
- 見直しをして、決められた形式で納品する
- 翻訳会社の担当者が訳を確かめ、必要に応じて問い合わせや修正の依頼が届く
この流れで大切なのは、2つ目の「受けるかどうかの返事」を早く正確にすることです。翻訳会社の担当者は、依頼主の納期に合わせて翻訳者を探しています。返事が遅いと、ほかの翻訳者に仕事が回ります。受けられないときも、早めに断ることで、担当者は次の手を打てます。
3つ目の資料もおろそかにできません。依頼主ごとに、決まった訳語や表記のしかたがあります。用語集と表記の決まりに従っていない訳は、内容が正確でも手直しが必要になり、評価が下がります。
納品した後の問い合わせにすぐ答えることも、次の仕事につながる大切な点です。在宅で仕事をしていると、連絡を見落としがちになるので、仕事を受けている期間は、決まった時間にメールを確かめる習慣をつけておきます。
翻訳の報酬が決まる仕組み
産業翻訳の報酬は、一般に、原文の分量に単価をかけて決まります。外国語から日本語に訳す場合は原文の語数、日本語から外国語に訳す場合は原文の文字数を基準にすることが多い形です。
単価は、翻訳会社、分野、訳す方向、納期によって変わります。専門性の高い分野や、担える翻訳者の少ない外国語訳は、単価が高めに設定される傾向があります。急ぎの仕事に割増の単価が設定されることもあります。
翻訳支援ツールを使う仕事では、過去に訳した文と同じ文や似た文について、単価を下げて計算する翻訳会社もあります。仕事を受ける前に、単価の計算の方法と、支払いの時期を確かめておくと、思っていた報酬と違ったということを防げます。
翻訳の報酬は、所得税の源泉徴収の対象になる報酬の1つです。源泉徴収とは、報酬を払う側が所得税をあらかじめ差し引いて国に納める仕組みのことです。差し引かれた額は確定申告で精算されるので、支払いの明細を保存しておいてください。個別の扱いは事情で変わるので、迷ったら税務署に相談してください。
仕事と両立しながら受検する予定の立て方
TQEは年に複数回行われ、申し込みの期間から試験の期間、成績の発表までに数か月かかります。会社員や家事と両立しながら受ける人は、次の回の日程から逆算して予定を立てておくと、準備の時間を確保しやすくなります。
たとえば、2027年2月の112回を受けると決めた場合、次のような予定が組めます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 受検の3か月前から | 受ける科目を決め、過去問題を購入する。分野の文書を毎日少しずつ読む |
| 受検の2か月前から | 過去問題を時間を計って訳し、試訳と解説で答え合わせをする |
| 早割の期間(2026年12月14日から28日) | 申し込みを済ませる。早割なら受検料が1,000円安い |
| 受検の1か月前から | 用語集を整え、見直しの手順を型にする。辞書と資料の置き場所を決める |
| 試験の期間(2027年2月4日から8日) | 訳す時間と見直す時間を予定に入れて、余裕を持って提出する |
この予定のポイントは、早割の期間に申し込みを済ませることです。早割の期間は通常の料金の期間の前にあるため、準備の途中で申し込むことになります。申し込みを先に済ませておくと、受検の日が決まり、勉強の進め方にも締まりが出ます。
成績が発表されたら、採点の観点ごとの評価を見直し、次に伸ばす力を決めます。3級に届かなかった場合も、どの観点で点を落としたかが分かれば、次の回に向けた対策を立てられます。
翻訳支援ツールに触れておく
産業翻訳の仕事では、翻訳支援ツールを使う場面が多くあります。翻訳支援ツールとは、過去に訳した文を記録して似た文が出てきたときに呼び出したり、用語集を表示したりして、翻訳の作業を助けるソフトのことです。翻訳会社によっては、特定のツールの使用を仕事の条件にしています。検定の勉強と並行して、無料の体験版などでツールの基本の操作に触れておくと、翻訳者として登録した後の仕事にすぐ入れます。
機械翻訳が広がる中での産業翻訳の仕事
産業翻訳の現場では、機械翻訳の利用が広がっています。機械翻訳で作った訳文を、人が原文と見比べて直す「ポストエディット」と呼ばれる仕事を出している翻訳会社もあります。
機械翻訳が広がっても、TQEの採点の観点が求める力の価値は変わりません。むしろ、機械翻訳がもっともらしい誤りを出したときに、それに気づける原文解釈力と専門知識の重みは増しています。単語の置き換えにすぎない不自然な訳を、読みやすく正確な文章に直す訳文表現力も、ポストエディットの仕事でそのまま求められる力です。
機械翻訳を使ってよいかどうかは、翻訳会社や依頼主の決まりで変わります。守秘義務のある文書を、外部の機械翻訳のサービスに入れることを禁じている依頼主も多くあります。仕事を受けるときは、機械翻訳の扱いを必ず確かめてください。
AIの道具を業務にどう取り入れるかは、翻訳に限らず多くの仕事で問われている課題です。AIの活用を支える仕事も、在宅で受けられる仕事として広がっています。
在宅の翻訳の仕事でTQEを活かす方法
TQEの結果は、在宅で翻訳の仕事を受けるときに、いくつかの形で活かせます。
1つ目は、サン・フレアへの翻訳者の登録です。3級以上を取って翻訳実務士に認定されれば、翻訳者として登録できます。検定の合格が、そのまま翻訳会社への入り口になるのは、TQEならではの使い道です。
2つ目は、ほかの翻訳会社への応募の材料にすることです。翻訳者の履歴書やプロフィールに、TQEの科目と級を書くことで、自分の分野と水準を具体的に伝えられます。「機械の英日で2級」のように書けば、相手はどの分野でどのくらいの仕事を任せられるかを判断しやすくなります。
3つ目は、自分の力の伸びを確かめることです。TQEは年に複数回行われるため、同じ科目を時間を置いて受けると、点数で伸びを確かめられます。採点の観点ごとの評価を見れば、次に伸ばすべき力も分かります。
4つ目は、扱える分野を広げることです。1つの科目で翻訳実務士になった後、別の科目や、和訳と外国語訳の別の区分に挑戦して合格すれば、追加で登録できると公式サイトに書かれています。扱える分野が広がれば、受けられる仕事の幅も広がります。
翻訳会社への登録とあわせて、直接の依頼を受けるための準備もしておくと、仕事の幅が広がります。自分の得意な分野と実績を分かりやすく見せる方法は、分野は違いますがWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】の考え方が参考になります。
受検の前に整えておく在宅の環境
TQEは在宅で受ける検定なので、受検する環境を整えておくことも準備の1つです。
まず、インターネットの回線です。問題の受け取りと訳文の提出をインターネットで行うため、試験の期間中に回線が不安定にならないよう、前もって確かめておきます。
次に、辞書や資料の用意です。実務の翻訳では、辞書や用語集、参考になる資料を手元に用意して作業します。電子辞書や、パソコンで引ける辞書をそろえ、受ける分野の用語集や参考の資料を、すぐに開ける状態にしておきます。使ってよい道具の決まりは、受検の規約と案内で事前に確かめてください。
さらに、作業の時間の確保です。試験の期間は数日ありますが、仕事や家事の合間に受ける場合は、訳す時間と見直す時間をあらかじめ予定に入れておきます。訳し終えてすぐに提出するのではなく、時間を置いてから見直す時間を取れると、スタイルの観点の失点を減らせます。
翻訳の仕事を長く続けている人に見られる傾向
在宅の仕事とフリーランスの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、産業翻訳を在宅で長く続けている人は、検定の合格を1回の到達点にせず、扱える分野を1つずつ深めています。機械の分野で始めた人が、関連する特許の分野へ広げる、ITの分野の人がセキュリティの文書に強くなる、というように、隣り合う分野へ少しずつ足場を広げていく人ほど、依頼が途切れにくくなっています。
もう1つ見えてくるのは、訳の品質と同じくらい、納期と連絡の確かさで信頼を得ていることです。翻訳会社の担当者にとって、期限どおりに、決められた形式で、問い合わせにすぐ答えてくれる翻訳者は、次も頼みたい相手です。報酬の水準を上げていく考え方は、分野は違いますがWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で整理しています。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くの分量を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。専門の分野の翻訳ほど、この構造の恩恵は大きくなります。
TQEは、産業翻訳の実務の力を、仕事を出す側の目線で測ってくれる検定です。過去問題で形をつかみ、分野の文書を読み込み、見直しを型にしておけば、在宅で翻訳の仕事を始める確かな足がかりになります。AIの活用が進む中で、翻訳と業務の改善を組み合わせた働き方を考えたい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事もあわせて確かめてみてください。
よくある質問
Q. 翻訳実務検定TQEは自宅で受けられますか?
TQEは在宅(インターネット)で受ける検定です。公式サイトでは、インターネットの環境が整っていれば受検の場所は問わず、海外からも受検できると説明されています。決められた試験の期間の中で問題を受け取り、訳文を仕上げて提出する形なので、回線の安定と、辞書や資料をすぐに開ける環境を前もって整えておくと安心です。
Q. TQEで何級を取れば翻訳の仕事につながりますか?
公式サイトでは、3級(70点以上)を取ると翻訳実務士に認定され、株式会社サン・フレアに翻訳者として登録できると説明されています。3級の目安は、多少の修正を施せば商品になりうる産業翻訳ができる水準です。登録した後に実際に依頼が来るかは、分野の仕事の量などで変わるので、短い仕事から実績を積んでいくことが大切です。
Q. TQEの受検料はいくらですか?
公式サイトによると、受検料は1言語1科目につき、早割の期間なら8,900円(税込)、通常の料金の期間なら9,900円(税込)です。1回で複数の科目や言語を受けることもできますが、試験の期間は延長されません。申し込んだ後に科目は変えられないので、受けたい科目がその回で行われるかを確かめてから申し込んでください。
Q. TQEとJTF<ほんやく検定>はどちらを受けるべきですか?
TQEは英語で15分野・19科目と分野が細かく分かれ、3級以上でサン・フレアへの翻訳者の登録につながります。JTF<ほんやく検定>は業界団体の検定で、5分野から選び、1級・2級で一部の加盟の翻訳会社のトライアルが免除・緩和されます。自分の得意な分野の科目があるか、どの翻訳会社とつながりたいかで選び、両方を受ける人もいます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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