二級建築士の講師・講座の仕事

長谷川 奈津
長谷川 奈津
二級建築士の講師・講座の仕事

この記事のポイント

  • 二級建築士の資格を持つ人が講師や講座の仕事を副業で始めるための実務ガイド
  • 資格スクールや専門学校の募集条件
  • コマ単価と監修料の相場

二級建築士の免許を持っている人から、「設計の仕事以外に、この資格をどう使えばいいのか」という相談を受けることが増えました。図面を引く仕事は勤務先で手一杯、けれど休日に何かできないか。そこで浮かぶのが「教える側に回る」という選択です。これ、知らない人が本当に多いんですが、講師や講座の仕事は二級建築士の募集要件に入っていることが珍しくありません。一級建築士限定だと思い込んで応募していない人が、かなりの数います。

この記事では、二級建築士が講師として引き受けられる仕事の種類、報酬の決まり方、教材の作り方、そして資格の名称や業務範囲を説明するときに気をつけたい建築士法の論点までをまとめます。資格の取り方や試験の勉強法は扱いません。すでに免許を持っている人が、その免許を教える仕事に換えるための話です。

教える側の仕事は一枚岩ではない

「建築士の講師」と一括りにされがちですが、実際には性質のまったく違う仕事が並んでいます。求められる準備も、拘束時間も、報酬の決まり方も別物です。まずここを分けて考えないと、自分に合わない募集に応募して疲れるだけになります。

大きく分けると、受験対策講座の講師、専門学校や職業訓練の教員、企業内研修の講師、個人向けのオンライン講座や個別指導の4つです。副業として始めやすい順に言えば、受験対策講座と個人向けオンライン講座が入口になります。専門学校の教員は年間カリキュラムに紐づくため、平日昼の拘束が発生しやすく、勤務先との調整が必要になります。

資格スクールの受験対策講座

もっとも募集が安定しているのがここです。建築士や施工管理技士の受験対策を扱うスクールは全国にあり、学科と製図で講師が分かれています。二級建築士の学科講座であれば、二級建築士の免許保持者が要件を満たす募集が多く見られます。

実際の募集条件を見ると、拘束のしかたが具体的に書かれています。

2級建築施工管理技士資格受験対策講座の学科講師を募集しています。日曜のみ週1回、1コマ3時間で、20~30名の少人数制教室を担当していただきます。統一カリキュラムとテキストが完備されており、合格ノルマはありませんので、あなたの経験や知識を活かしたオリジナリティのある講義を存分に展開できます。受講生は20代から50代まで幅広く、感謝の声も多数届いています。交通費実費支給です。 出典: 求人ボックス

この募集で注目したいのは3点です。第1に、日曜のみ週1回という拘束の軽さ。第2に、統一カリキュラムとテキストが用意されていること。第3に、合格ノルマがないこと。副業で講師を始めるとき、いちばん重い負担は教材作りです。それがスクール側で用意されているなら、準備時間は「渡された教材を自分の言葉で説明できるようにする」だけで済みます。3時間の講義に対して、初回は同じ時間かそれ以上の予習が必要になりますが、同じ単元を2年目に担当するときには準備時間が大きく減ります。

つまり、受験対策講座は「初年度に投資して、2年目以降に回収する」型の仕事です。1年で辞めるつもりなら割に合いませんが、3年続ける前提なら効率は悪くありません。

専門学校・職業訓練の非常勤

建築系の専門学校や職業訓練校でも、非常勤講師の枠があります。こちらは実務経験の年数を条件にしているケースが目立ちます。

建築分野の専門学校教員を募集します。建築実務経験5年以上の方、または建築士指定科目を修められた方が対象です。建築士や施工管理技士の資格をお持ちの方は優遇いたします。授業準備や科目指導、学生指導、カリキュラム開発などを担当していただきます。年間休日127日前後で、土日祝日休み、夏季・年末年始休暇も充実しており、残業は月20時間程度です。副業・Wワークも可能です。 出典: 求人ボックス

この募集は常勤前提の書き方ですが、副業やWワークが可能と明記されている点は見逃せません。非常勤枠であれば、週1コマから相談できる学校もあります。ただし専門学校は平日昼の授業が中心なので、勤務先が平日フルタイムなら現実的には難しい。土曜開講のコースや、夜間部を持つ学校を探すのが実際的です。

職業訓練の委託訓練は、CADや建築設計の科目で外部講師を募る形が多く、期間が区切られています。3か月や6か月の訓練コースを1つ担当し、それが終われば契約も終わる。継続性は低いものの、期間限定なので予定が読みやすいという利点があります。

企業内研修とツール教育

設計事務所や工務店、建材メーカーの社内研修も講師の需要があります。近年増えているのはBIMやCADの操作研修、法令改正の解説、確認申請の実務講習です。教える相手が学生ではなく実務者なので、抽象的な原理よりも「この場面でどう判断するか」を求められます。

この分野は募集要件に資格そのものより実務歴を置くことが多く、二級建築士でも十分に成立します。むしろ、木造住宅や小規模建築物の実務を長くやってきた人のほうが、工務店向けの研修では歓迎される場面があります。

【仕事内容】お仕事内容建築士、建築設備士、施工管理技士等の講座の企画・講義内容・教材・講師の研修・受講生の学習指導を全体を通して担当。...【経験・資格】<必須資格・免許>一級建築士又は建築設備士又は二級建築士 出典: 求人ボックス

必須資格として二級建築士が並記されている点が重要です。講座の企画や教材制作まで含む募集でも、二級建築士は要件を満たします。「一級でないと教えられない」という思い込みは、募集要項を読めばすぐに崩れます。

個人向けのオンライン講座と個別指導

自分で講座を作って売る形もあります。動画講座のプラットフォームに教材を置く、オンライン会議ツールで個別指導をする、有料のニュースレターで法令改正を解説する。いずれも組織に属さずに始められます。

この形の利点は、自分の得意分野をそのまま商品にできることです。木造住宅の構造計算、確認申請書類の書き方、既存不適格建築物の調査、性能表示制度の実務。ニッチであるほど、大手スクールが手を出さない領域になります。

一方で、集客を自分で担う必要があります。最初の受講者を集めるまでが最も長い。ここを甘く見て「作れば売れる」と考えると、教材だけが残ります。オンライン講座の作り方や集客の考え方については、資格を軸にした独立の進め方を扱ったキャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】が参考になります。国家資格を持つ人が講座や相談業務に展開していく流れは、建築士でも構造が同じです。

報酬はどう決まるのか

講師の報酬は仕事の形ごとに計算方法が違います。ここを理解しないまま「時給いくら」で比べると判断を誤ります。

コマ単価で払われる仕事

資格スクールや専門学校の講義は、1コマいくらのコマ単価が基本です。1コマは90分から180分で設定されることが多く、単価は科目の専門性と講師の経験で変わります。建築系の受験対策講座では、1コマあたり8,000円から2万5,000円程度の幅で提示される例が見られます。

ここで注意したいのは、準備時間が単価に含まれるかどうかです。多くのスクールではコマ単価に準備時間が含まれる前提で、別途の準備手当はありません。初年度は準備に講義と同等以上の時間がかかるため、実質的な時間単価は表示の半分以下になります。この構造を知らずに「時給1万円の仕事だ」と思って始めると、想定と現実がずれます。

交通費が実費支給かどうかも確認事項です。教室が遠い場合、実費支給がないと手取りが目に見えて削られます。オンライン開講の講座であれば移動時間がゼロになるため、同じコマ単価でも実質の効率は大きく変わります。

監修料で払われる仕事

教材や記事に名前を出して内容を確認する監修は、講義とは別の報酬体系です。1本あたりの固定額で決まり、専門性と拘束時間で幅が出ます。建築系の記事監修は1万円から5万円程度の提示が多く、書籍や講座教材の全体監修になると桁がひとつ上がります。

監修は在宅で完結し、締切さえ守れば時間帯は自由です。本業のある人には相性がいい。ただし、名前を出す以上は内容に責任が生じます。誤りを見落としたまま公開されれば、訂正の対応まで含めて自分の仕事になります。引き受ける前に、修正回数の上限と、公開後に誤りが見つかった場合の扱いを契約書に書いておくべきです。

執筆そのものを引き受ける場合の相場感については、著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種としての収入分布がまとまっています。監修と執筆を両方引き受けるなら、執筆分の文字単価を別立てで交渉するのが妥当です。

自分で講座を売る場合

自作の講座を販売する場合、報酬は売上から手数料を引いた額になります。動画プラットフォームの手数料は30%前後が一般的で、決済手数料が別にかかることもあります。受講料1万円の講座が10本売れても、手元に残るのは7万円前後です。

自分のサイトで直接販売すれば手数料は決済分だけで済みますが、集客を全部自分で背負うことになります。どちらが得かは販売本数によって変わるため、最初はプラットフォームで反応を見て、売れる講座が固まってから自前販売に移すのが現実的です。販売用のページを自分で作りたい場合、WordPressカスタマイズで稼ぐ|副業エンジニアの実践法【2026年版】にサイト構築を仕事として扱うときの考え方が整理されています。外注する場合の費用感を掴む材料にもなります。

資格の名称と業務範囲をどう説明するか

講師の仕事は「建築士です」と名乗ることから始まります。だからこそ、名乗り方と、教える内容の範囲には慎重さが要ります。

建築士法第34条は、建築士でない者が建築士またはこれに紛らわしい名称を用いることを禁じています。逆に言えば、免許を持つ人が「二級建築士」と名乗ることに問題はありません。ただし「建築士」とだけ書いて一級と誤認させる書き方は避けるべきです。プロフィールには免許の区分と登録先を正確に書きます。

二級建築士が設計や工事監理を行える建築物の範囲は、建築士法第3条から第3条の3にかけて規模や構造で区分されています。講座の中で「この規模なら二級建築士で対応できる」と説明する場面は必ず出てきますが、個別の建物が範囲に入るかどうかは、構造・階数・延べ面積・用途の組み合わせで判断が分かれます。教材に書くときは、条文の該当箇所を示したうえで、実際の案件では所管の建築主事や建築指導課への確認が要ると添えるのが安全です。断定して書いた教材が独り歩きすると、受講者が誤った前提で申請に進むおそれがあります。

もうひとつ、報酬を得て設計や工事監理を業として行う場合には、建築士法第23条に基づく建築士事務所の登録が必要とされています。講師業そのものは設計行為ではありませんが、講座の延長で「図面を見てあげる」「代わりに描いてあげる」という依頼が来ることがあります。その線をどこで引くかは、内容によって判断が変わります。個別に受ける前に、所管する都道府県の建築指導部局に確認してください。この登録手続きの書類作成を専門家に任せる選択肢もあり、行政書士の資格ガイドには、許認可の申請代理を扱う専門職の業務範囲が整理されています。

法律はあなたの味方です。ただし味方でいてもらうには、境界線を自分で把握しておく必要があります。

教材を作る手順

講座を持つと決めたら、次は教材です。ここで詰まる人が多いので、順序を分けて書きます。

何を教えるかを1行で決める

最初にやるのは、対象と到達点を1行に落とすことです。「二級建築士試験の学科を初めて受ける人が、法規で足切りに遭わないようにする」「木造住宅の設計を始めたばかりの人が、確認申請の添付図書を漏れなく揃えられるようにする」。この1行が曖昧なままスライドを作り始めると、内容が広がりすぎて時間内に終わらない講義になります。

到達点は、受講後に受講者ができるようになる行動で書きます。「理解する」ではなく「揃えられる」「判断できる」と書けるかどうかが分かれ目です。

骨子を先に確定する

1行が決まったら、見出しだけを並べます。3時間の講義なら、大きなブロックは3つか4つが上限です。それ以上に分けると1つあたりが浅くなり、受講者の記憶に残りません。各ブロックの終わりに、その場で手を動かす作業を1つ入れておくと、集中が切れにくくなります。

骨子の段階で、削る候補も決めておきます。講義は必ず時間が足りなくなります。当日に何を削るかを事前に決めていれば、慌てて全体を早口で流すことを避けられます。

スライドと配布資料を分ける

スライドは投影用、配布資料は持ち帰り用と割り切ります。スライドに文章を詰め込むと読ませる資料になり、話を聞いてもらえません。スライドは1枚1メッセージ、配布資料には条文の抜粋や計算例など、後で読み返す情報を載せます。

作図や図解の作成には、資料作成のツールを一通り扱えると効率が上がります。Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressは、そうしたビジュアル作成ツールの操作力を証明する認定で、教材制作の質を安定させたい人が押さえておくと役に立つ領域です。

質問を先に集める

初回の講義前に、受講者から質問を集められるなら集めます。集まらない場合は、実務で自分が最初につまずいた箇所を10個書き出します。教える側は「知っていて当たり前」の前提を持ちがちで、そこが受講者の最大のつまずきになっていることが少なくありません。

契約と税務で見落としやすい点

講師の仕事は、雇用契約と業務委託契約のどちらもあり得ます。この違いが手取りと手続きの両方に効きます。

雇用契約であれば、報酬は給与所得になり、勤務先とは別の給与収入が発生します。年末調整は主たる勤務先でしか受けられないため、確定申告が必要です。加えて、給与所得は住民税の計算で合算されるため、本業の勤務先に副業収入の存在が伝わる経路ができます。この点は詳しく後述するテーマなので、勤務先との関係が気になる人は先に就業規則を確認してください。

業務委託契約であれば、報酬は事業所得または雑所得になります。講師料や監修料は所得税法上の源泉徴収の対象になることがあり、支払時に10.21%が差し引かれる形で支払われるケースがあります。差し引かれた分は確定申告で精算されるので、支払調書や振込明細は必ず保管します。

契約書で確認しておきたいのは、教材の著作権の帰属です。自分が作ったスライドや問題集の権利が発注側に移る条項になっていると、契約終了後に同じ内容を別の場所で使えなくなります。講師業を長く続けるつもりなら、教材は自分の資産です。譲渡ではなく利用許諾にできないか、交渉の余地があります。

もうひとつ、競業避止の条項です。同種の講座を他社で担当することを禁じる条項が入っていると、複数のスクールで掛け持ちができません。副業として複数の収入源を持ちたいなら、ここは契約前に読み込むべき箇所です。

最初の1コマをどう取るか

経験がない状態から講師の仕事を取る手順を、現実的な順で並べます。

まず、実務の棚卸しです。担当した建物の用途、構造、規模、確認申請で苦労した点を一覧にします。講師募集の書類選考では、免許の有無よりも「何を教えられる人か」が見られます。木造住宅を年10棟担当してきた人と、店舗改修を中心にやってきた人では、向いている講座が違います。

次に、話す練習の材料を作ります。実務の中から1テーマを選び、15分で説明する原稿を書いて、録画して自分で見ます。ここで多くの人が、専門用語をそのまま使っていることに気づきます。教える相手は、その用語をまだ知りません。

そのうえで応募です。資格スクールの講師募集は通年で出ていることが多く、模擬講義が選考に入ります。模擬講義では、話のうまさより「時間内に収める」「受講者に一度も置いていかれない」ことが評価されます。

組織の講師枠と並行して、自分で小さく始める手もあります。同業の勉強会で30分の話をする、社内で若手向けの解説をする。これらは無報酬でも実績として書けます。人にものを教える仕事全般の広がりを見たいなら、ITコンサルティング・講師のお仕事に講師や研修の依頼がどのような形で出るかがまとまっています。キャリアや働き方をテーマにした相談業務まで含めるなら、キャリア・副業・人生相談のお仕事も併せて見ておくと、教える仕事の周辺にある依頼の種類が掴めます。

オンライン開講で必要になるもの

講師の仕事は、この数年でオンライン比率が大きく上がりました。教室に通う前提だと応募できる範囲が住んでいる地域に縛られますが、オンラインなら全国の講座が候補になります。副業で講師を始めるなら、オンライン対応は事実上の前提条件です。

必要な機材は多くありません。有線接続のインターネット回線、外付けのマイク、手元を映せるカメラかタブレット、そして画面共有ができるパソコン。このうち優先度が高いのはマイクです。映像が多少粗くても受講者は耐えられますが、音声が聞き取りにくい講義は10分で離脱されます。パソコン内蔵マイクではなく、5,000円程度の外付けマイクを用意するだけで印象が変わります。

建築の講義で特有なのが、図面や計算過程を見せる場面です。スライドに貼った図では細部が読めないため、書き込みながら説明できる手段が要ります。タブレットに図面を表示してペンで書き込み、その画面を共有する方法がもっとも安定します。紙の図面を手元カメラで映す方法もありますが、照明と影の管理が必要で難易度が上がります。

録画の扱いも事前に決めておくべき事項です。受講者が後から見返せるように録画を残すスクールが増えていますが、録画が残るということは、自分の説明がそのまま教材として保存されるということでもあります。誤った説明をした場合、その場で訂正しても録画には残ります。講義後に訂正の告知を出す運用を、発注側と決めておくと安心です。

受講者の反応をどう扱うか

講座にはアンケートが付きます。ここに書かれることを全部受け止めると疲れますが、無視すると次の依頼が来なくなります。見るべきは満足度の点数ではなく、自由記述の中にある「わからなかった箇所」の指摘です。同じ箇所を複数の受講者が挙げていれば、そこは自分の説明が届いていません。

一方で、「話し方が好みではない」といった主観的な指摘は、改善対象にする必要はありません。全員に好かれる講義は存在しません。改善すべきなのは、理解が届かなかった箇所と、進行の遅れだけです。この切り分けができないと、アンケートを読むたびに自信を失って続けられなくなります。

独自データから見た講師案件の考察

在宅とリモートの仕事を長く扱ってきた運営者の立場から見ると、講師の依頼には他の業務委託と違う特徴があります。1回きりで終わらないのです。

図面作成やトレースの依頼は、案件が終われば関係も終わることが多い。ところが講師は、1つの講座を担当すると、翌期も同じ枠を頼まれる確率が高くなります。教える人を替えると教材と運営の両方を作り直す必要があり、発注側にとって講師の交代はコストだからです。この構造は、副業として収入を安定させたい人に有利に働きます。

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続く人ほど「うまく話せる人」ではなく「任せると運営が楽な人」です。開始10分前に接続を済ませる、教材の差し替えを期限前に出す、受講者からの質問を放置しない。地味な部分の積み重ねが、次の依頼を呼びます。逆に、講義の内容がどれだけ良くても、連絡が遅い人は静かに外されていきます。

もうひとつ、報酬の構造について触れておきます。講師の仕事は、仲介会社を経由すると発注側が払う金額と講師が受け取る金額の間に差が生まれます。中間マージンが乗らない直接取引であれば、発注側は同じ予算でより多くのコマを頼めますし、講師の手取りは厚くなります。手数料0%で直接つながる形が広がってきたのは、この双方が得をする構造が理由です。額面の大きさより、手取りがどれだけ残るかで比べる習慣をつけたほうがいい。

技術寄りの教材、たとえばeラーニングのシステムや動画配信の仕組みを自分で組みたい場合は、外注の費用感を把握しておくと判断が早くなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には開発職の単価帯がまとまっており、自作と外注を比べる材料になります。また、AI を使って教材の下書きや問題の自動生成を行う動きも広がっており、そうした領域の仕事の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事から掴めます。

最後に、資格を軸にした講師業の隣接領域を挙げておきます。管理組合向けのコンサルティングや講習は、建築の知識が直接効く分野です。マンション管理士の副業|管理組合のコンサルティング【2026年版】では、住民説明会や勉強会の講師として入る形が扱われています。二級建築士が建物の構造や修繕の話をできることは、この分野で強い武器になります。教える相手が受験生だけとは限らない、という視点を持っておくと、仕事の幅は一段広がります。

よくある質問

Q. 二級建築士でも受験対策講座の講師になれますか?

なれます。建築士や施工管理技士の受験対策講座の募集では、必須資格として一級建築士・建築設備士と並んで二級建築士が明記されている例があります。一級限定と思い込んで応募していない人が多いため、募集要項の必須資格欄を実際に確認してください。二級建築士の学科講座であれば要件を満たす募集は珍しくありません。

Q. 講師の報酬はどのくらいですか?

資格スクールの講義は1コマ単価が基本で、90分から180分の1コマあたり8,000円から2万5,000円程度の提示が見られます。ただし多くの場合、準備時間は単価に含まれ別途手当は出ません。初年度は準備に講義と同等以上の時間がかかるため、実質の時間単価は表示より低くなる点を織り込んでください。

Q. 講座で建築士の業務範囲を説明するとき、何に注意すべきですか?

二級建築士が扱える建築物の範囲は建築士法第3条から第3条の3で規模や構造により区分されていますが、個別の建物が範囲に入るかは条件の組み合わせで判断が分かれます。教材では条文の該当箇所を示したうえで、実際の案件は所管の建築指導部局への確認が要ると添えてください。断定した記述は受講者を誤らせます。

Q. 副業で講師をする場合、契約書のどこを見るべきですか?

教材の著作権の帰属と、競業避止条項の2つです。作成したスライドや問題集の権利が発注側に移る条項だと、契約終了後に同じ内容を他で使えなくなります。また同種講座の他社担当を禁じる条項があると掛け持ちができません。譲渡ではなく利用許諾にできないか、契約前に交渉の余地を確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月8日最終更新:2026年8月28日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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