ペットシッターの資格を通信講座で選ぶときに見る点と、開業までの流れ

山口 彩花
山口 彩花
ペットシッターの資格を通信講座で選ぶときに見る点と、開業までの流れ

この記事のポイント

  • ✓ペットシッターの資格を通信講座で選ぶときに見る点を
  • ✓法律で求められる登録と動物取扱責任者の要件から整理しました
  • ✓通信講座だけでは開業の条件を満たせない理由

ペットシッターになりたくて通信講座を探しているけれど、資格の種類が多すぎて、どれを選べばよいか分からない。講座の案内には「開業できる」「自宅で取れる」といった言葉が並び、比べるほど迷ってしまう。そんな人に向けて、この記事では通信講座の選び方を、法律で求められる条件から逆算して整理します。

結論から言うと、ペットシッターを仕事にするには、動物の愛護及び管理に関する法律にもとづく「第一種動物取扱業」の登録が必要で、事業所ごとに「動物取扱責任者」を置かなければなりません。そして、動物取扱責任者になるには、資格や学校の卒業に加えて、半年以上の実務経験などが求められます。つまり、通信講座の資格だけでは開業の条件を満たせません。通信講座は、実務経験と組み合わせて初めて意味を持つもの、と考えて選ぶことが大切です。

ペットシッターに必要な登録の仕組み

通信講座を選ぶ前に、ペットシッターの仕事にどのような決まりがあるのかを押さえておきます。ここを知らずに講座を選ぶと、「資格を取ったのに開業できない」ということになりかねません。

ペットシッターは第一種動物取扱業の「保管」に当たる

動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護管理法)では、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示などを業として行うことを「第一種動物取扱業」と呼び、営もうとする人は都道府県知事(指定都市では市長)の登録を受けなければならないと定めています。環境省の案内では、ペットシッターがこの登録の対象になることが、はっきりと書かれています。

業として、動物*の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合は、営業を始めるに当たって登録をしなくてはなりません。代理販売やペットシッター、出張訓練などのように、動物の所有や飼養施設がない場合も、規制の対象になります。 出典: 環境省「動物取扱業の適正化」

環境省の案内では、業種のうち「保管」を、保管を目的に顧客の動物を預かる業と説明し、その例としてペットホテルや、動物を預かる美容業者と並んでペットのシッターを挙げています。お客さんの家に行って世話をするだけで、自分の施設で動物を預からない場合でも、登録の対象になる点に注意が必要です。

登録しないで営業すると罰則がある

動物愛護管理法の第46条では、登録を受けないで第一種動物取扱業を営んだ人は、100万円以下の罰金に処すると定めています。知人のペットの世話を頼まれて、報酬を受け取る形で続けているうちに、気づけば営業になっていた、ということもあり得ます。報酬を受け取って継続的に引き受けるなら、登録が必要かどうかを、自治体の窓口に確かめておくことが大切です。

登録は5年ごとに更新する

第一種動物取扱業の登録は、動物愛護管理法の第13条により、5年ごとに更新を受けなければ効力を失います。一度登録すれば終わりではなく、続けて営業するには更新の手続きが必要です。

ペットシッターの仕事の中身

通信講座を選ぶ前に、ペットシッターの仕事が実際にどのようなものかを具体的に思い描いておくと、学ぶべき内容がはっきりします。

お客さんの家に出向いて世話をする

ペットシッターの仕事の中心は、飼い主が旅行や出張、入院などで家を空ける間に、お客さんの家に出向いてペットの世話をすることです。決まった時刻に訪問し、食事と水の用意、トイレの掃除、犬なら散歩、猫なら遊びの相手などを行います。1回の訪問にかける時間は依頼の内容によって違い、1日に複数の家を回ることもあります。

世話のほかにも仕事がある

ペットの世話そのもののほかに、事前の打ち合わせ、鍵の受け渡し、世話のあとの報告、料金の請求、予定の調整など、仕事として引き受けるための作業がたくさんあります。開業してから「世話より事務の時間のほうが長い」と感じる人も少なくありません。通信講座を選ぶときに、こうした仕事の進め方まで学べるかを確かめておくと、開業後に慌てずに済みます。

体力と時間の使い方

ペットシッターの依頼は、大型連休や年末年始、夏休みなど、多くの人が旅行に出かける時期に集中します。その時期は1日に何件も訪問することになり、移動も含めて体力が求められます。反対に、繁忙期以外は依頼が少ない時期もあります。年間を通じて、仕事の量に波があることを前提に、収入と時間の計画を立てておく必要があります。

向いている人、向いていない人

動物が好きなことは大前提ですが、それだけでは務まりません。決まった時刻に確実に訪問できる几帳面さ、お客さんの家という他人の空間で丁寧に振る舞える気配り、体調の小さな変化に気づける観察力が求められます。反対に、予定の変更が苦手な人や、1人で判断して動くのが不安な人は、まずは事業者で働いて経験を積むところから始めると安心です。

動物取扱責任者になるための要件

第一種動物取扱業の登録を受けるには、事業所ごとに動物取扱責任者を選ぶ必要があります。ひとりで開業する場合は、自分自身が動物取扱責任者になるのが一般的です。

動物取扱責任者とは

動物取扱責任者とは、事業所の業務を適正に行うために、十分な技術的能力と専門的な知識経験を持つ人のことです。環境省の案内では、専属の常勤職員のうち、一定の要件を満たした人と説明されています。動物取扱責任者になった人は、都道府県などが行う動物取扱責任者研修を受けることも求められます。

要件は4つのうちのいずれか

動物愛護管理法施行規則の第9条では、動物取扱責任者の要件を次のいずれかとしています。

要件 内容
獣医師 獣医師の免許を持っている
愛玩動物看護師 愛玩動物看護師の免許を持っている
実務経験と学校の卒業 半年以上の実務経験、または1年以上の飼養の経験があり、かつ、その業種の知識と技術を1年以上教える学校などを卒業している
実務経験と試験の合格 半年以上の実務経験、または1年以上の飼養の経験があり、かつ、公平性と専門性を持った団体の客観的な試験で、知識と技術の習得の証明を得ている

実務経験は、常勤の職員として在職したものに限るとされています。また、実務経験の代わりに、取り扱う動物の種類ごとに、実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験でもよいとされています。どのような経験が「同等と認められる」かは、登録を受ける自治体の判断になるので、事前に確かめておきます。

通信講座の資格は「試験の合格」の部分に当たる

ペットシッターの通信講座の多くは、民間の団体が行う資格の取得を目指すものです。この資格は、上の表でいえば4つ目の「実務経験と試験の合格」の、試験の部分に当たる可能性があります。ここで大切なのは2つの点です。

・資格だけでは要件を満たさず、半年以上の実務経験か1年以上の飼養の経験も必要になる ・その資格の試験が、要件にいう「公平性と専門性を持った団体の客観的な試験」として認められるかは、登録を受ける自治体が判断する

つまり、通信講座の案内に「動物取扱責任者の要件を満たす」と書かれていても、自分が開業する地域の自治体がその資格を認めているかは、別に確かめる必要があります。申し込む前に、開業を予定している地域の動物愛護の担当窓口に、その資格が要件として認められるかを問い合わせておくのが確実です。

通信講座を選ぶときに見る点

ここからは、通信講座を選ぶときに見ておきたい点を整理します。動画編集のソフトを選ぶときと同じで、最初から機能の多いものを選ぶより、自分の目的に合うものを絞り込むことが大切です。とりあえず、次の5つだけ確かめれば大きく外すことはありません。

1. 開業する地域で要件として認められるか

最も大切なのは、取得できる資格が、開業する地域の自治体で動物取扱責任者の要件として認められるかどうかです。講座の案内の言葉だけで判断せず、自治体の窓口に資格の名前を伝えて確かめます。複数の候補がある場合は、まとめて問い合わせると効率的です。

2. 試験の形式と認定の仕組み

資格の試験が、どの団体によって、どのような形式で行われるのかも確かめます。講座の最後に提出する課題で認定されるものもあれば、別に試験を受けるものもあります。試験を行う団体の情報が公開されているか、合格の基準が示されているかは、資格の信頼性を見る手がかりになります。

3. 学べる内容が実務に近いか

ペットシッターの仕事では、動物の健康の見方、食事や排せつの世話、散歩の注意、急な体調の変化への対応、お客さんとの契約や鍵の管理など、幅広い知識が必要になります。講座の目次を見て、動物の世話の知識だけでなく、仕事として引き受けるための知識が含まれているかを確かめます。

4. 費用と期間

通信講座の費用や学習の期間は、講座によって大きく違います。教材費のほかに、試験の受験料や認定の登録料が別にかかることもあるので、総額で比べます。学習の期間の目安と、期限を過ぎたときの延長の扱いも確かめておくと、仕事や家事と両立しやすくなります。

5. 修了後の支援があるか

講座によっては、修了後に実習の機会を紹介してくれたり、開業の相談に応じてくれたりするものもあります。実務経験をどう積むかが開業の大きな壁になるので、修了後の支援の中身も比べる価値があります。

実務経験の積み方

動物取扱責任者の要件で、多くの人がつまずくのが実務経験です。通信講座で知識を身につけても、実務経験がなければ開業の条件を満たせません。

ペットホテルやペットシッターの事業者で働く

最も分かりやすいのは、すでに登録を受けているペットホテルやペットシッターの事業者で、常勤の職員として半年以上働くことです。施行規則では、実務経験は常勤の職員として在職するものに限るとされているので、短い時間のアルバイトでは要件を満たさない可能性があります。働き方の条件が要件に合うかを、働き始める前に自治体に確かめておくと安心です。

業種ごとに実務経験が決まっている

施行規則では、実務経験は、営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに定められた種別に係るものとされています。ペットシッターは「保管」に当たるので、保管の業種に関わる実務経験として認められるかを確かめておくことが大切です。たとえば、動物の販売の店で働いた経験が、保管の業種の実務経験として認められるかどうかは、自治体に確認が必要です。

自分のペットの飼養の経験

施行規則には、実務経験の代わりに、取り扱おうとする動物の種類ごとに、実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験でもよいとあります。自分で長く犬や猫を飼ってきた人は、この経験が認められる可能性があります。ただし、どのような飼養の経験が実務経験と同等と認められるかは自治体の判断で、証明の方法も求められることがあるので、早い段階で相談しておきます。

登録から開業までの流れ

資格と実務経験の見通しが立ったら、開業までの流れを確かめます。レシピのように手順を追うと、次のようになります。

手順1:自治体の窓口に事前に相談する

最初に、開業する地域の動物愛護の担当窓口に相談します。動物取扱責任者の要件を満たしているか、登録に必要な書類は何か、手数料はいくらかを確かめます。都道府県や指定都市によって、窓口の名前や手続きの細かな点が違うので、自分の地域の案内を必ず確かめてください。

手順2:業務の内容と実施の方法を決める

登録の申請書には、業務の内容と実施の方法、主に取り扱う動物の種類と数などを書きます。どの地域で、どの動物を、どのような方法で世話するのかを、事前に具体的に決めておきます。自分の施設で動物を預かる場合は、施設の構造や規模、管理の方法も記載が必要です。

手順3:登録を申請する

必要な書類をそろえて、登録を申請します。登録を受けると、登録番号が与えられます。動物愛護管理法では、事業所ごとに、氏名や登録番号などを記載した標識を見やすい場所に掲げることが求められています。さらに施行規則の第7条では、事業所以外の場所で営業をする場合には、業者の氏名、事業所の名称と所在地、業の種別、登録番号、登録の年月日と有効期間の末日を記載した識別章を、お客さんと接するすべての職員の胸などの見やすい位置に掲示するよう定めています。お客さんの家に出向くペットシッターは、この識別章の決まりに当たるので、登録の際に様式を確かめておきます。

手順4:動物取扱責任者研修を受ける

登録を受けたあとは、動物取扱責任者として、都道府県などが行う動物取扱責任者研修を受けます。研修では、動物の愛護と管理に関する法令、施設の管理の方法、動物の管理の方法などを学びます。研修の日時は登録している事業者に通知されるので、案内を見落とさないようにします。施行規則では、通知を受けた事業者は、選任したすべての動物取扱責任者に内容を遅滞なく連絡しなければならないとされています。ひとりで開業している場合は自分自身が受け取ることになるので、自治体からの郵便やメールを確実に確かめられるようにしておきます。研修で学ぶ法令や管理の方法は改正されることもあるため、毎回の研修を、最新の決まりを確かめる機会として生かすとよいでしょう。

手順5:契約と保険の準備をする

お客さんの大切なペットを預かる仕事なので、契約の内容を書面で明らかにしておくことが欠かせません。世話の内容、料金、鍵の預かり方、急な体調の変化のときの連絡の方法、責任の範囲などを、契約書の形にしておきます。万一の事故に備えて、賠償責任の保険に入るかどうかも検討します。

開業前に準備しておきたい書類と決まり

開業の手続きと並行して、お客さんと安心して取引するための書類と決まりを準備しておきます。

事前の打ち合わせの記録

ペットシッターの仕事は、お客さんの家に入り、留守の間の世話を任されるものです。初めての依頼の前に、必ず事前の打ち合わせを行い、ペットの性格、持病、食事の量、散歩の道順、かかりつけの動物病院などを記録に残します。打ち合わせの項目をひな形にしておくと、聞き漏らしを防げます。

鍵の管理の決まり

お客さんから預かる鍵の管理は、信頼に直結します。鍵を預かるときと返すときに受け渡しの記録を残す、鍵に住所や名前の分かるものを付けない、仕事が終わったら速やかに返す、といった決まりを作っておきます。

報告の方法

世話をしたあとの報告も、ペットシッターの大切な仕事です。食事の量、排せつの様子、散歩の時間、気になった変化などを、写真や短い動画を添えて報告すると、お客さんは安心します。動画で様子を伝えるときは、明るい場所で、ペットの表情と全身が分かるように撮ると、短くても状態がよく伝わります。報告を送ったら、それで終わりにせず、気になる変化があったときは電話で直接伝えるようにします。

急な体調の変化や事故への備え

ペットシッターの仕事で最も緊張するのは、世話の最中にペットの体調が急に変わったときや、思わぬ事故が起きたときです。開業の前に、備えを整えておきます。

かかりつけの動物病院を事前に確かめる

事前の打ち合わせで、ペットのかかりつけの動物病院の名前、連絡先、診療時間を必ず確かめておきます。夜間や休日に診てもらえる病院も、あわせて調べておくと安心です。病院に連れて行く必要が出たときに、誰の判断で、どこまでの費用で受診してよいかも、契約の段階で決めておきます。

飼い主との連絡の手順を決める

体調の変化に気づいたら、まず飼い主に連絡するのが原則です。ただし、旅行中の飼い主とすぐに連絡が取れないこともあります。連絡が取れないときに誰に連絡するのか、どのような場合に自分の判断で病院に連れて行ってよいのかを、事前に取り決めておきます。この取り決めは口約束にせず、契約書や打ち合わせの記録に残しておきます。

脱走と事故を防ぐ

ペットシッターの事故で多いのが、玄関の出入りの際の脱走です。家に入るときと出るときは、ペットの居場所を確かめてから扉を開ける、散歩の前には首輪やリードの状態を確かめる、といった基本を毎回徹底します。慣れてきたころがいちばん危ないので、確認の手順を書き出しておき、毎回同じ順番で行うようにします。

保険で備える

どれだけ注意しても、事故を完全に防ぐことはできません。お客さんの家の物を壊してしまった、預かったペットにけがをさせてしまった、といった場合に備えて、賠償責任の保険に入るかどうかを検討しておきます。保険の内容は商品によって大きく違うので、補償の範囲と金額を確かめて選びます。

料金の決め方

開業の準備では、料金をどう決めるかも悩みどころです。料金は、自分の働き方と地域の事情を踏まえて決める必要があります。

料金に含める要素を書き出す

ペットシッターの料金は、1回の訪問あたりの基本の料金に、移動の距離、世話するペットの数や種類、早朝や夜間の訪問、繁忙期などを加味して決めるのが一般的です。まずは、1回の訪問にかかる時間、移動にかかる時間と費用、鍵の受け渡しや打ち合わせの時間を書き出し、それに見合う料金になっているかを確かめます。

地域の相場を調べる

料金を決めるときは、同じ地域で営業しているペットシッターやペットホテルの料金を調べておきます。相場より大きく高い料金にすると選ばれにくく、大きく安い料金にすると仕事の量に対して収入が足りなくなります。最初は相場の範囲で始め、実績や評価が積み重なってから見直すのが現実的です。

料金表と取り消しの決まりを用意する

料金は、お客さんが事前に分かるように料金表にまとめておきます。あわせて、依頼の取り消しの決まりも決めておきます。直前の取り消しが続くと、その日の予定が空いてしまい収入に響くので、何日前までなら無料で取り消せるのかを明記しておくと、トラブルを防げます。

会社員が副業として始めるときの注意

会社員として働きながら、週末や休日にペットシッターの仕事を始めたいと考える人もいます。その場合は、次の点を確かめておきます。

勤め先の就業規則を確かめる

まず、勤め先の就業規則で副業がどう扱われているかを確かめます。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業・兼業は第70条に定められ、労務の提供に支障がある場合などに禁止や制限ができるとされています。実際の決まりは会社ごとに違うので、自分の勤め先の就業規則を読み、必要な届け出をしておきます。

副業でも登録は必要

副業として小さく始める場合でも、報酬を受け取って継続的にペットの世話を引き受けるなら、第一種動物取扱業の登録が必要になる可能性があります。動物取扱責任者の要件も、副業だからといって緩やかになるわけではありません。副業で始める場合ほど、事前に自治体の窓口で確かめておくことが大切です。

本業と繁忙期が重なる

ペットシッターの繁忙期は大型連休や年末年始で、会社員にとっても休みの時期と重なります。休みの時期に仕事を集中させることになるので、家族との予定や自分の休息とのバランスを考えておく必要があります。

通信講座を比べる表を自分で作る

候補の講座が2つ以上あるときは、案内のページを見比べるだけでなく、自分で比べる表を作ると判断しやすくなります。

比べる項目 講座A 講座B
取得できる資格の名前
開業予定の自治体で要件として認められるか 窓口に確認した結果を書く 窓口に確認した結果を書く
試験の形式と認定する団体
学べる内容(世話の知識・仕事の進め方)
費用の総額(教材・受験・登録)
学習の期間と延長の扱い
修了後の支援

いちばん上の2行を先に埋める

表を作るときは、資格の名前と、自治体で要件として認められるかの2行を最初に埋めます。ここで認められないと分かった講座は、ほかの項目がどれだけ魅力的でも、開業を目指す目的には合いません。残った講座の中で、費用や学べる内容を比べると、迷う時間を大きく減らせます。

書いた結果は残しておく

自治体の窓口に問い合わせた日付と、担当の部署の名前、回答の内容も、表の横に書いておきます。後で登録の申請をするときに、事前に確かめた内容として役立ちます。

開業後に依頼を得る方法

登録を済ませて開業しても、すぐに依頼が集まるとは限りません。最初の依頼を得るための方法を整理します。

身近な紹介から始める

最初は、知人や近所の飼い主からの紹介が中心になることが多いでしょう。動物病院やペット用品の店に、案内のチラシを店頭で配ってもらえないか相談する方法もあります。紹介でつながったお客さんに丁寧な世話と報告を続けることが、次の紹介を生みます。

案内のページを用意する

自分のサービスを紹介するページを用意し、世話の内容、料金表、対応できる地域、登録番号などを分かりやすく載せておきます。依頼を考えている人は、料金だけでなく、どのような人が来てくれるのかを知りたいと考えています。自己紹介と、動物との関わりの経験を、具体的に書いておくと安心してもらえます。

続けて頼まれるための工夫

ペットシッターの仕事は、一度頼んで満足したお客さんが、次の旅行や出張のたびに繰り返し頼んでくれることで安定していきます。初回の世話のあとに、気づいたことや次回に向けた提案を短くまとめて伝えると、ペットのことをよく見てくれていると感じてもらえます。ペットの好きな遊びや苦手なことなど、訪問のたびに分かったことを記録しておき、次の訪問で生かすことも大切です。お客さんの側から見ると、毎回同じ人が来て、前回のことを覚えていてくれることが、何よりの安心につながります。繁忙期の予約は早く埋まりやすいので、常連のお客さんには早めに予定を聞いておくと喜ばれます。

通信講座と実務経験を組み合わせた計画の例

ここまでの内容を踏まえて、会社員がペットシッターとしての開業を目指す場合の計画の例を紹介します。

1年目:通信講座で知識を身につける

最初の1年は、今の仕事を続けながら、通信講座で動物の世話と仕事の進め方の知識を身につけます。講座を申し込む前に、開業予定の地域の自治体に、その資格が要件として認められるかを確かめておきます。

2年目:実務経験を積む

次に、ペットホテルやペットシッターの事業者で、常勤の職員として働き、半年以上の実務経験を積みます。この期間に、お客さんとのやり取りや、急な体調の変化への対応など、講座では学べない現場の知恵を身につけます。

3年目:登録して開業する

実務経験の要件を満たしたら、自治体の窓口に相談して登録を申請し、開業します。最初は知人の紹介など、少ない件数から始め、仕事の流れが固まってから広げていくと無理がありません。

計画は自治体の確認から逆算する

この計画は一つの例で、実際には、自分の持っている経験が要件にどう当てはまるかによって、必要な期間が変わります。最初に自治体の窓口で要件を確かめ、そこから逆算して計画を立てるのが、遠回りに見えて最も確実な方法です。編集部でも、資格を取ってから要件を調べ、実務経験が足りないことに後から気づいて開業が1年遅れた人の話を聞いたことがあります。順番を逆にするだけで、こうした回り道は避けられます。

通信講座で学ぶときのコツ

通信講座は自分のペースで学べる反面、途中で止まってしまう人も少なくありません。最後までやり切るためのコツを紹介します。

学ぶ時間を予定に入れる

「時間ができたら学ぶ」では、なかなか進みません。週に2回、1回30分など、学ぶ時間をあらかじめ予定に入れておきます。動画の教材がある講座なら、通勤の時間や家事の合間に見る、という使い方もできます。

自分のペットや身近な動物で確かめる

教材で学んだ動物の健康の見方や世話の方法を、自分のペットや身近な動物で確かめると、知識が実感をともなって身につきます。たとえば、教材で学んだ体調の変化のサインを、日々の観察の記録に取り入れてみる、といった形です。

分からないことは質問する

通信講座の多くには、質問の受付の仕組みがあります。分からないところをそのままにせず、早めに質問すると、理解のつまずきを防げます。質問の回数に上限があるかどうかも、講座を選ぶときに確かめておくとよいでしょう。

ペットシッターの仕事を広げる力

ペットシッターとして開業したあとは、世話の技術に加えて、仕事を知ってもらい、続けて頼まれるための力が求められます。

運営者として見てきたこと

フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、報告や連絡の質にこだわっています。ペットシッターでも、世話の内容を分かりやすく報告し、気になることを早めに伝える人ほど、次の依頼や紹介につながっていく傾向が見られます。仲介の手数料が乗らない直接取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手数料0%で手取りが厚く残ります。お客さんとの信頼を自分で築ける人ほど、その利点を生かせます。

伝える力を磨く

お客さんへの報告や、サービスの案内文、契約書の文章を整える力は、ペットシッターの仕事を支える大切な力です。分かりやすく正確な文書を書く力を示したい人はビジネス文書検定が参考になります。自分のサービスを文章で紹介し、実績をまとめる方法はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】でも取り上げています。案内のチラシやホームページの見た目を整える仕事の報酬の目安はデザイナーの年収・単価相場で確認できます。

よくある質問

Q. ペットシッターは通信講座の資格だけで開業できますか?

資格だけでは開業できません。ペットシッターは動物愛護管理法の第一種動物取扱業に当たり、都道府県知事などの登録と、事業所ごとの動物取扱責任者の選任が必要です。動物取扱責任者には、資格や学校の卒業に加えて、半年以上の実務経験か1年以上の飼養の経験が求められます。

Q. 通信講座の資格は動物取扱責任者の要件として認められますか?

施行規則では、公平性と専門性を持った団体の客観的な試験で知識と技術の証明を得ていることが要件の一つとされています。ただし、どの資格が認められるかは登録を受ける自治体が判断します。講座を申し込む前に、開業予定の地域の動物愛護の担当窓口に、資格の名前を伝えて確かめてください。

Q. 自分の犬や猫を飼ってきた経験は実務経験になりますか?

施行規則では、実務経験の代わりに、取り扱う動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる1年以上の飼養に従事した経験でもよいとされています。どのような経験が認められるか、どう証明するかは自治体の判断になるため、早い段階で窓口に相談しておくと安心です。

Q. 登録しないでペットシッターの仕事をするとどうなりますか?

動物愛護管理法では、登録を受けないで第一種動物取扱業を営んだ人は、100万円以下の罰金に処すると定められています。報酬を受け取って継続的にペットの世話を引き受ける場合は、登録が必要かどうかを自治体の窓口に確かめてください。登録は5年ごとに更新が必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年10月6日最終更新:2026年10月12日
山口 彩花

この記事を書いた人

山口 彩花@SOHO編集部

デザイナー兼イラストレーター

美大卒業後、広告代理店でグラフィックデザイナーとして6年間勤務。色彩検定1級、DTP検定を取得。現在はフリーランスとしてブランディングデザインとイラスト制作を手がけています。

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