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社会保険労務士の国家資格|試験の内容と登録

@SOHO編集部
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社会保険労務士の国家資格|試験の内容と登録

この記事のポイント

  • ✓社会保険労務士は社会保険労務士法にもとづく国家資格です
  • ✓2026年の第58回試験の結果(合格率9.3%)
  • ✓合格後に必要な2年の実務経験または事務指定講習

社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士法という法律にもとづく国家資格です。会社の労働と社会保険の手続きを代わりに行い、働き方や職場の決まりについて相談に応じる専門家で、試験に合格したうえで全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録して、はじめて社労士を名乗れます。

国家資格を取ろうと考えたとき、知りたいのは「どのくらい難しいのか」「誰が受けられるのか」「合格したあと何が必要なのか」の3つでしょう。この記事では、2026年10月1日に発表された第58回試験の結果、受験資格、試験科目と合格基準、受験手数料、合格後の実務経験と事務指定講習、登録の費用、資格を生かした働き方までを、社会保険労務士試験オフィシャルサイトと全国社会保険労務士会連合会、法令の条文で確かめた内容で順に説明します。

項目 内容(2026年11月時点の公式情報)
資格の種類 国家資格(社会保険労務士法)
試験の実施 全国社会保険労務士会連合会 試験センター
試験日(第58回) 2026年8月23日(日)
合格発表(第58回) 2026年10月1日(木)
受験手数料 15,000円
第58回の合格率 9.3%(受験者42,510人、合格者3,961人)
登録の条件 2年以上の実務経験、または事務指定講習の修了

社会保険労務士はどんな国家資格か

社労士の仕事は、社会保険労務士法の第2条に定められています。大きく分けると、次の3つです。

  1. 労働と社会保険の法律にもとづく申請書や届出書を作り、行政機関への提出を代わりに行うこと
  2. 労働者名簿や賃金台帳など、法律で備えることが求められる帳簿書類を作ること
  3. 会社の労務管理や社会保険について相談に応じ、指導すること

このうち1つ目と2つ目は、社労士の独占業務です。社会保険労務士法の第27条は、社労士または社労士法人でない者が、他人の求めに応じて報酬を得て、これらの事務を業として行ってはならないと定めています。業務独占とは、資格を持つ人だけがその仕事を報酬を得て行える仕組みのことです。会社の総務の担当者が自分の会社の手続きをするのは問題ありませんが、ほかの会社から頼まれて報酬を受け取り、手続きを代わりに行えるのは社労士だけです。

条文そのものはe-Gov法令検索の社会保険労務士法で読めます。第2条の第4項には、ほかの法律で制限されている事務や、医療機関などが行う療養の給付の費用の請求に関する事務は、社労士の業務に含まれないことも書かれています。どこまでが社労士の仕事なのかを正しく知っておくことは、受験の勉強でも、合格後の仕事でも土台になります。

3つ目の相談と指導は独占業務ではありませんが、労働と社会保険の両方の法律を体系的に学んだ専門家として、社労士の大きな役割になっています。採用、賃金、労働時間、休職、退職といった職場の問題は、労働基準法や雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法などが絡み合っていて、1つの法律だけでは答えが出ないことが多いからです。

さらに、紛争解決手続代理業務試験に合格して付記を受けた「特定社会保険労務士」は、個別の労働トラブルについて、あっせんなどの手続きで当事者を代理できます。特定社労士とは、社労士の中でも、労働者と会社の間の争いを話し合いで解決する手続きの代理まで行える人のことです。特定社労士になるには、登録したあとに所定の研修を受け、紛争解決手続代理業務試験に合格して、名簿にその旨の付記を受けます。まずは社労士として登録し、経験を積んでから目指す人が多い資格です。

2026年の試験の結果

第58回社会保険労務士試験は、2026年8月23日に全国19都道府県の会場で行われ、10月1日に合格者が発表されました。厚生労働省の発表資料によると、結果は次のとおりです。

(1) 受験申込者数 52,842 人(前年 53,618 人、対前年 1.4%減) (2) 受験者数 42,510 人(前年 43,421 人、対前年 2.1%減) (4) 合格者数 3,961 人(前年 2,376 人) (5) 合格率 9.3%(前年 5.5%) 出典: 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「合格発表」(厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」)

合格率は前年の5.5%から9.3%に上がりました。合格者数も、前年の2,376人から3,961人に増えています。ただし、合格率は年によって大きく動きます。試験センターが公表している過去10年の推移を見ると、合格者数は2,100人台から2,900人台で推移してきて、第58回の3,961人はこの10年で最も多い人数です。それでも合格率はどの年も1割を下回っています。1回の結果だけを見て「易しくなった」と考えるのは早計です。

合格者の内訳も公表されています。年齢では30歳代が31.4%、40歳代が28.2%、50歳代が21.2%で、最年少は20歳、最高齢は77歳でした。職業別では会社員が61.9%と最も多く、男女別では男性58.7%、女性41.3%です。働きながら受験して合格する人が多い試験だと言えます。

なお、2026年8月31日時点の社労士の登録者数は47,407人と発表されています。

受験資格の3つの区分

社労士試験は、誰でも受けられる試験ではありません。試験センターの案内では、受験資格を「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣が認めた国家試験の合格」の3つに分けていて、このうちどれか1つを満たす必要があります。申し込むときには、受験資格があることを示す書類を出します。

学歴による受験資格の主なものは次のとおりです。

  • 大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、5年制の高等専門学校を卒業した人
  • 大学(短期大学を除く)で62単位以上の卒業要件単位を修得した人
  • 修業年限2年以上で、総授業時間数1,700時間(62単位)以上の専門学校の専門課程を修了した人

実務経験による受験資格は、労働と社会保険の法律に関する事務に通算3年以上従事した人などが対象です。会社や個人事業の従業者として、労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上携わった人、社労士や弁護士の補助の事務に3年以上携わった人、公務員として行政事務に3年以上携わった人などが含まれます。この場合は、試験センターの様式の実務経験証明書を出します。

国家試験の合格による受験資格には、行政書士試験の合格、司法試験予備試験の合格、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格などがあります。高校を卒業してすぐ働き始めた人が、まず行政書士試験に合格して社労士試験の受験資格を得る、という道もあります。

自分に受験資格があるかどうかわからない場合は、試験センターの事前確認の仕組みを使えます。申し込みの直前に慌てないよう、早めに確かめておくとよいでしょう。

実務経験で受験する人は、とくに注意が必要です。実務経験証明書は、勤めている会社や、以前に勤めていた会社に書いてもらう書類です。退職した会社に依頼する場合は、担当者を探すところから始まり、届くまでに時間がかかることもあります。どの仕事が「労働社会保険諸法令に関する事務」に当たるのかも細かく決まっているので、証明書を頼む前に、試験センターの記載例で対象の範囲を確かめておくと、出し直しを防げます。

試験科目と合格基準

社労士試験は、選択式と択一式の2つの形式で行われます。選択式は文章の空欄に入る語句を選ぶ問題、択一式は5つの選択肢から正しいものや誤っているものを選ぶ問題です。

試験科目 選択式 択一式
労働基準法及び労働安全衛生法 1問(5点) 10問(10点)
労働者災害補償保険法(徴収法を含む) 1問(5点) 10問(10点)
雇用保険法(徴収法を含む) 1問(5点) 10問(10点)
労務管理その他の労働に関する一般常識 1問(5点) 10問(10点、社会保険の一般常識と合わせて)
社会保険に関する一般常識 1問(5点) 同上
健康保険法 1問(5点) 10問(10点)
厚生年金保険法 1問(5点) 10問(10点)
国民年金法 1問(5点) 10問(10点)
合計 8問(40点) 70問(70点)

徴収法とは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律のことで、労災保険と雇用保険の保険料の決め方と納め方を定めています。択一式の労災保険法と雇用保険法は、それぞれ10問のうち3問が徴収法から出ます。

合格するには、選択式と択一式のそれぞれで、総得点と科目ごとの点数の両方が基準を超える必要があります。どれか1つでも基準に届かなければ不合格です。第58回の合格基準は次のとおりでした。

  • 選択式: 総得点25点以上、かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)
  • 択一式: 総得点47点以上、かつ各科目4点以上

合格基準は、試験の難しさに応じて毎年の合格発表の日に公表されます。第58回では、難しさの差を補正した結果、選択式の雇用保険法だけ基準が2点に下げられました。科目ごとの基準があるため、得意な科目で高得点を取っても、苦手な科目が1つでも基準を割れば不合格になります。この「足切り」が、社労士試験を難しくしている最大の理由です。

受験の申し込みと試験の当日

試験センターの案内によると、受験手数料は15,000円で、払い込みの手数料は受験する人の負担です。申し込みの期間は、厚生労働大臣が官報で試験の実施を公示する毎年4月中旬から、5月31日までです。第58回は4月13日から5月31日まで受け付けました。

申し込みは、インターネットと郵送の2つの方法があります。どちらの場合も受験資格を示す書類が必要なので、卒業証明書や実務経験証明書は早めに用意しておきます。卒業した学校に証明書を頼むと、届くまでに日数がかかることがあります。

試験は例年8月下旬の日曜日に行われ、午前に選択式、午後に択一式を受けます。会場は全国の主な都市に置かれ、第58回は19都道府県で行われました。合格発表は例年10月上旬で、合格者の受験番号は後日官報にも載ります。

試験が終わった翌日には、試験問題が試験センターのサイトに掲載されます。正答は合格発表の日に公表されるので、自己採点をするときは、予備校などが出す解答速報を参考にする人が多くいます。ただし、合格基準は発表の日まで決まらないため、自己採点の点数が基準の近くにある人は、発表まで結果を待つことになります。

合格から登録までの流れ

社労士試験に合格しても、それだけで社労士を名乗れるわけではありません。社会保険労務士法の第14条の2は、社労士となる資格を持つ人が社労士になるには、社会保険労務士名簿に登録を受けなければならないと定めています。

登録するには、労働と社会保険の法律に関する事務に通算2年以上従事した経験か、それに代わる「事務指定講習」の修了が必要です。厚生労働省の発表資料にも、合格者のうち、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事した人、または厚生労働大臣が指定した講習を修了した人は、名簿に登録することで社労士になれると書かれています。

登録の道 条件 必要な書類
実務経験 労働社会保険諸法令の事務に通算2年以上 従事期間証明書
事務指定講習 実務経験が2年に満たない人が講習を修了 修了証の番号と修了年月日

実務経験は、試験に合格する前の経験も含められます。会社の総務や人事で社会保険の手続きを担当してきた人は、合格後すぐに登録できることがあります。どの仕事が対象になるかは細かく決まっているので、連合会の案内で確かめてください。

事務指定講習の中身

実務経験が2年に満たない人は、全国社会保険労務士会連合会が行う事務指定講習を修了することで、登録の条件を満たせます。連合会の事務指定講習の案内によると、講習は4か月間の通信指導課程と、eラーニング講習の組み合わせで行われます。

通信指導では、教材を使って自分で学び、郵便で課題を提出して添削を受けます。科目は、労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、年金裁定請求等の手続の8つです。試験で学んだ法律を、実際の書類の作成や手続きの流れに結びつける内容になっています。

第46回(令和8年度)の事務指定講習は、連合会のサイトで2026年11月4日から申し込みを受け付ける予定と案内されています。合格発表から申し込みまでの期間は短いので、合格したら、すぐに講習の案内を読んでおくことをおすすめします。

事務指定講習を修了した人は、実務の経験がないまま登録することになります。登録したあと、いきなり独立して会社の手続きを受けるのは難しいため、社労士事務所や会社の人事部門で経験を積んでから独立する人が多くいます。

登録にかかる費用と手続き

登録の申請は、入会する予定の都道府県の社会保険労務士会に提出します。全国社会保険労務士会連合会の登録申請の案内によると、登録の費用は次のとおりです。

費用 金額
登録免許税 30,000円
登録手数料 30,000円
都道府県会の入会金と年会費 都道府県会ごとに異なる

登録免許税と登録手数料は、オンラインで申請する場合はオンラインで決済でき、収入印紙を用意する必要はありません。ただし、登録免許税には別に決済の手数料がかかります。都道府県の社労士会の入会金と年会費は、このオンライン決済の対象外で、金額も都道府県会ごとに違います。入会する予定の社労士会に、先に確かめておきます。

登録には、開業、勤務、その他の区分があります。社会保険労務士法の第14条の2では、事務所を構えて他人の依頼を受ける社労士は事務所の名称や所在地を、会社などに勤めて社労士の事務に従事する社労士はその事業所の名称や所在地を、それぞれ名簿に登録することになっています。会社に勤めながら、その会社の中で社労士の知識を生かす「勤務社労士」として登録する道もあります。

合格発表から登録までの過ごし方

合格発表のあと、登録までに何をするかは、実務の経験があるかどうかで変わります。

会社の総務や人事で社会保険の手続きを2年以上担当してきた人は、勤め先に従事期間証明書を書いてもらい、入会する予定の都道府県の社労士会に登録を申請します。証明書の書き方には決まりがあるので、連合会が公開している留意事項と記載例を読んでから依頼すると、書き直しの手間が省けます。

実務の経験が2年に満たない人は、事務指定講習を申し込みます。講習は4か月間の通信指導とeラーニングの組み合わせなので、修了して登録できるのは、合格発表から見ると半年以上先になります。その間に、登録したあとの働き方を考えておくとよいでしょう。勤務社労士として今の会社に登録するのか、社労士事務所に転職して経験を積むのか、すぐに開業するのかで、準備することが変わります。

登録の申請から名簿への登録までにも、一定の日数がかかります。開業の日を決めている人は、逆算して早めに手続きを進めます。社労士会には、新しく登録した人向けの研修や、地域ごとの勉強会があります。開業したばかりの時期は、こうした場で同じ地域の社労士とつながっておくと、わからないことを相談できる相手ができます。

数字から見る試験の特徴

第58回の発表資料からは、合格率のほかにも試験の特徴が読み取れます。

1つ目は受験率です。受験を申し込んだ52,842人のうち、実際に試験を受けたのは42,510人で、受験率は80.4%でした。申し込んだ人の5人に1人は、当日の会場に来ていません。申し込みの時点では受けるつもりでも、仕事や家庭の事情で勉強が進まず、受験を見送る人が一定の割合でいることがわかります。申し込みは5月末に締め切られ、試験は8月下旬なので、申し込んだあとの3か月の過ごし方が合否を大きく左右します。

2つ目は科目免除です。発表資料には、受験申込者のうち科目免除者が973人、そのうち公務員の特例による免除者が424人と書かれています。科目免除とは、一定の実務経験や資格を持つ人について、試験の一部の科目を受けなくてよいとする仕組みのことです。対象になる条件は細かく決められているので、心当たりのある人は試験センターの免除資格の案内で確かめてください。

3つ目は年齢の幅です。最年少の合格者は20歳、最高齢は77歳でした。30歳代と40歳代の合格者を合わせると約6割を占め、仕事の経験を積んだ世代が、働きながら取る資格になっています。会社で人事や総務の仕事を経験した人にとっては、毎日の仕事の内容がそのまま試験の範囲と重なるため、学んだことを職場で確かめながら勉強を進められるのも強みです。

独学と講座、どちらで学ぶか

社労士試験の勉強の方法は、独学、通信講座、通学の講座の3つに分かれます。どれが正解ということはなく、使える時間と、自分で計画を立てて進められるかどうかで選びます。

独学の良さは、費用を抑えられることと、自分のペースで進められることです。市販のテキストと問題集、過去の試験問題で準備できます。ただし、法改正の情報を自分で追う必要があり、一般常識の科目のように範囲の読みにくい分野では、何をどこまで学ぶかの判断に迷いやすくなります。

講座の良さは、学ぶ順番と量があらかじめ決まっていて、法改正や統計の情報もまとめて届くことです。働きながら勉強する人にとって、何を学ぶかを考える時間を減らせるのは大きな利点です。一方で、講座の費用は数万円から十数万円かかるものもあり、受講しただけで合格できるわけではありません。

迷う人は、まず市販のテキストを1冊読み通してみるとよいでしょう。最後まで読めて、問題集にも手をつけられるなら独学で進められます。途中で手が止まるなら、講座の力を借りることを考えます。どちらを選ぶ場合も、試験の前の数か月は過去の試験問題と模擬試験で、本番の形に慣れることが欠かせません。

合格に向けた勉強の進め方

社労士試験は、範囲が広く、科目ごとの足切りがある試験です。勉強は、とりあえず次の4つの段階で進めると迷いません。

  1. 全体の地図を作る: 8科目の法律がそれぞれ何を決めているかを、最初の1か月でざっと把握する
  2. 労働の科目を固める: 労働基準法、労災保険法、雇用保険法を先に仕上げる
  3. 社会保険の科目を固める: 健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法を、共通点と違いを比べながら学ぶ
  4. 一般常識と統計を詰める: 白書や統計、最近の法改正を、試験の直前期にまとめて押さえる

労働の科目を先にするのは、職場で起きることに近く、イメージがつかみやすいからです。社会保険の3つの法律は、似た言葉が多く、混同しやすい分野です。たとえば、健康保険の被扶養者と、国民年金の第3号被保険者は、どちらも「扶養されている人」の話ですが、基準も手続きも違います。表を作って並べて覚えると、混同が減ります。

選択式の対策では、条文の言葉を正確に覚えることが大切です。空欄に入る語句の候補には、似た言葉が並びます。択一式で何となく理解しているだけでは、選択式で足切りにかかることがあります。条文を読むときは、数字や期間、主語に印をつけて読む習慣をつけます。

一般常識の科目は範囲が広く、何が出るか予想しにくい分野です。ここで満点を狙うのではなく、基準点を確実に超えることを目標にします。時間の使い方は、得点しやすい主要科目に多くを割き、一般常識は直前期に集中させるのが効率的です。

働きながら合格する人の時間の使い方

合格者の6割以上が会社員という数字のとおり、社労士試験は働きながら挑む人が多い試験です。限られた時間で合格するには、勉強の時間を生活の中に組み込む工夫が要ります。

平日は、通勤の時間や昼休みを使って、条文や問題集を少しずつ解きます。まとまった時間がとれない日でも、1日に択一式の問題を10問解く、と決めておけば、1か月で300問に触れられます。休日は、平日に解けなかった問題の見直しと、新しい範囲の読み込みにあてます。

試験の前の数か月は、本番と同じ時間で模擬試験を解いて、選択式と択一式の両方で基準点を超えられるかを確かめます。社労士試験は、午後の択一式が長丁場です。70問を最後まで集中して解き切る練習をしておかないと、知識はあっても後半で失点します。

一度で合格できなかった場合でも、科目ごとの得点を分析すると、次の年にどこを補えばよいかがわかります。足切りにかかった科目があれば、その科目の基礎を固め直すことが最優先です。社労士試験は年1回なので、結果を待つ間に次の年の計画を立てておくと、時間を無駄にせずに済みます。

社労士の資格を生かした働き方

社労士の働き方は、大きく分けると、独立して事務所を開く開業社労士と、会社や社労士事務所に勤める勤務社労士の2つです。

開業社労士は、顧問先の会社と契約し、毎月の給与計算、入社や退社にともなう社会保険の手続き、就業規則の作成、助成金の申請の支援、労務の相談などを受けます。会社の規模が小さいほど、人事や総務の専門の担当者がいないことが多く、社労士に手続きをまとめて任せる需要があります。

助成金の申請の支援は、社労士の仕事の中でも相談が多い分野です。雇用関係の助成金は、労働と社会保険の法律にもとづく制度で、申請書の作成と提出の代行は社労士の業務に含まれます。たとえば、職員の研修の費用を助成する人材開発支援助成金について、介護や福祉の事業所の例を福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で整理しています。こうした制度を理解して、事業所の計画づくりから支えられることが、顧問先からの信頼につながります。

勤務社労士は、会社の人事部門で、手続きや規程の整備、働き方の制度づくりを受け持ちます。社労士の資格は、人事や総務の仕事での専門性を示す材料になり、転職の場面でも評価されやすくなります。

社労士を取り巻く制度の変化

社労士の仕事は、法律の改正とともに中身が変わり続けます。たとえば、短時間で働く人の社会保険の加入の範囲は段階的に広がっていて、加入の要件だった「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金の要件は、2026年10月に撤廃されました。会社が新しく加入の手続きをする人が増えれば、その手続きや説明を支える社労士の仕事も増えます。

年金の制度も、改正のたびに働く人と会社の手続きが変わります。社会保険の手続きは電子申請が広がり、紙の書類を窓口に持っていく場面は減りました。手続きが電子化されても、どの制度を使うべきか、どの届出が必要かを判断する仕事はなくなりません。むしろ、制度が複雑になるほど、全体を見渡して説明できる専門家の価値は高くなります。

試験の勉強で学んだ知識は、合格した時点の法律です。登録したあとも、改正を追い続けることが社労士の仕事の前提になります。社労士会が行う研修や、厚生労働省と日本年金機構の発表を定期的に確かめる習慣を、受験生のうちから身につけておくと、合格後の仕事にそのまま生きます。

履歴書の資格欄への書き方

社労士試験に合格したら、履歴書の資格欄には正式な名称で書きます。登録しているかどうかで書き方が変わる点に注意してください。

  • 2026年10月 社会保険労務士試験 合格
  • 2027年4月 社会保険労務士 登録

試験に合格しただけで登録していない場合は、「社会保険労務士試験 合格」と書きます。登録前に「社会保険労務士」と書くと、社労士を名乗っていると受け取られかねません。登録したあとは、登録した年月とあわせて「社会保険労務士 登録」と書きます。特定社会保険労務士の付記を受けている場合は、その旨も書き添えます。

自己PRでは、資格名を並べるよりも、何ができるかを書きます。「入社から退社までの社会保険と労働保険の手続きを一通り説明できる」「就業規則の改定の案を、法改正に合わせて作れる」のように、仕事の場面に結びつけて書くと伝わります。社外向けの文書を正しく書く力を示したい場合は、ビジネス文書検定で学べる文書の作り方も、応募書類と実務の両方で役に立ちます。

専門知識で仕事を受ける働き方

フリーランスや在宅ワークの市場を2004年から運営してきた立場から見ると、労働と社会保険の専門知識を持つ人が、会社の外で仕事を受ける例は増えています。労務や社会保険の制度を解説する記事の執筆や監修、人事の担当者向けの研修の資料づくり、手続きのマニュアルの作成など、制度を正しく理解している人にしか頼めない仕事があるからです。

運営者として見てきた限りでは、こうした仕事で長く続く人ほど、資格の名前よりも「この人に任せると、改正まで正しく反映してくれる」という信頼を積み重ねています。労働と社会保険の制度は毎年のように変わるため、変化を追い続けられることそのものが価値になります。また、仲介の手数料が引かれない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手元に残る報酬が厚くなります。手数料0%で直接取引できる場があることは、専門知識を持つ人が小さな仕事から始めるうえで大きな意味を持ちます。

ただし、ほかの会社から頼まれて報酬を得て、申請書の作成や提出の代行、帳簿書類の作成を行えるのは、登録した社労士だけです。試験に合格しただけの段階や、受験の勉強中の段階では、こうした独占業務の仕事は受けられません。受けられるのは、制度の一般的な解説の執筆や、資料づくりなどに限られます。執筆の仕事を始めるときの準備は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で説明しています。

社労士は、受験資格の確認から登録まで、ほかの資格より手順の多い国家資格です。まずは試験センターのサイトで自分の受験資格を確かめ、次の年の申し込みの時期と試験日を手帳に書き込むところから始めてください。資格の勉強と並行して事務職の基礎を固めたいなら、ビジネス文書検定の出題範囲にも目を通しておくと、応募書類と仕事の両方に生かせます。

よくある質問

Q. 社会保険労務士は国家資格ですか?

社会保険労務士は、社会保険労務士法にもとづく国家資格です。試験は全国社会保険労務士会連合会の試験センターが実施し、合格したうえで社会保険労務士名簿に登録すると社労士を名乗れます。労働と社会保険の申請書類の作成や提出の代行などは、社労士だけが報酬を得て行える独占業務です。

Q. 社労士試験の合格率はどのくらいですか?

2026年8月23日に行われた第58回試験は、受験者42,510人に対して合格者3,961人で、合格率は9.3%でした。前年の第57回は5.5%です。合格率は年によって大きく動き、選択式と択一式の両方で総得点と科目ごとの基準点を超える必要があるため、難しい試験の1つです。

Q. 社労士試験は誰でも受けられますか?

受験資格があります。大学や短期大学などの卒業といった学歴、労働社会保険諸法令の事務に通算3年以上従事した実務経験、行政書士試験など厚生労働大臣が認めた国家試験の合格の3つの区分があり、どれか1つを満たす必要があります。自分に資格があるかは、試験センターの事前確認で確かめられます。

Q. 社労士試験に合格したらすぐに社労士になれますか?

合格に加えて、名簿への登録が必要です。登録には、労働社会保険諸法令の事務に通算2年以上従事した経験か、全国社会保険労務士会連合会の事務指定講習の修了が求められます。登録には登録免許税30,000円と手数料30,000円のほか、都道府県の社労士会の入会金と年会費がかかります。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月27日最終更新:2026年11月2日
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