メンタルヘルス・マネジメント検定II種とIII種の違いと、人事の在宅ワークでの使い道


この記事のポイント
- ✓メンタルヘルス・マネジメント検定のII種とIII種で迷っている人に向けて
- ✓2026年度の日程と公式テキスト第6版への切り替え
- ✓人事や労務の在宅ワークでの使い道と
メンタルヘルス・マネジメント検定を受けようと調べると、I種、II種、III種の3つのコースがあり、II種とIII種のどちらを受ければよいのか迷う人が多くいます。結論から言うと、III種は自分自身の心の健康を守るための知識、II種は部下や同僚の不調に気づいて職場として対応するための知識を問うコースです。管理職でなくても、人事や労務の仕事に関わる人、これから関わりたい人には、II種のほうが仕事に直結しやすい内容です。この記事では、2つのコースの対象と学ぶ内容の違い、受験料と合格基準、最近の合格率、2026年度の日程と公式テキストの改訂、人事や労務の在宅ワークでの使い道、そして検定でできることとできないことの線引きまでを、主催者の公式の案内をもとに説明します。
メンタルヘルス・マネジメント検定とはどんな試験か
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所と各地の施行商工会議所が主催し、日本商工会議所が後援する検定試験です。働く人の心の不調を防ぎ、活力のある職場をつくるための知識を、職場での立場に合わせて学ぶことを目的にしています。公式サイトでは、試験のねらいを次のように説明しています。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得していただくものです。 出典: mental-health.ne.jp
ここで言うメンタルヘルスケアとは、心の健康を保つための取り組みのことです。病気を治すための知識ではなく、不調を起こさないための予防と、職場としての対応の仕方を中心に学びます。公式サイトでは、学ぶ内容の特徴として、病気の未然防止と健康づくりに重点を置いていること、上司による部下へのケアや組織全体での取り組みを重視していること、産業保健だけでなく人事労務管理の観点も重視していることの3点が挙げられています。
3つのコースの対象
検定は、職場での立場に合わせて3つのコースに分かれています。どのコースから受けてもよく、III種に合格しないとII種を受けられない、という決まりはありません。
| コース | 主な対象 | 目的 |
|---|---|---|
| I種(マスターコース) | 人事労務管理スタッフ、経営幹部 | 社内のメンタルヘルス対策の推進 |
| II種(ラインケアコース) | 管理監督者(管理職) | 部門内での部下のメンタルヘルス対策の推進 |
| III種(セルフケアコース) | 一般社員 | 従業員自らのメンタルヘルス対策の推進 |
表の対象は目安で、受験資格の制限ではありません。学歴、年齢、性別、国籍を問わず、誰でも希望のコースを受けられます。管理職ではない人がII種を受けることも、学生がIII種を受けることもできます。
出題の土台は厚生労働省の指針
各コースの内容は、厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に作られています。この指針では、職場のメンタルヘルスケアを「4つのケア」に分けて進めるよう示しています。
- セルフケア:働く人が自分の心の健康のために行うもの
- ラインによるケア:職場の管理監督者が部下に対して行うもの
- 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医や保健師、人事労務管理スタッフなどが行うもの
- 事業場外資源によるケア:職場の外の専門機関を活用するもの
III種はこのうちセルフケアを、II種はラインによるケアを中心に扱います。I種は、会社全体の対策を企画する立場として、4つのケア全体を扱います。指針の中身は、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の職場における心の健康づくりの指針の解説で読めます。
II種とIII種の違い
ここからは、迷いやすいII種とIII種の違いを、学ぶ内容、試験の形、難しさの3つの面から見ていきます。
学ぶ内容の違い
公式サイトに示されている出題の内容は、次のとおりです。
| III種(セルフケアコース) | II種(ラインケアコース) |
|---|---|
| メンタルヘルスケアの意義 | メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割 |
| ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識 | ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識 |
| セルフケアの重要性 | 職場環境等の評価および改善の方法 |
| ストレスへの気づき方 | 個々の労働者への配慮 |
| ストレスへの対処、軽減の方法 | 労働者からの相談への対応(話の聴き方、情報提供および助言の方法等) |
| 社内外資源の活用 | 社内外資源との連携 |
| なし | 心の健康問題をもつ復職者への支援の方法 |
ストレスの基礎知識は共通していますが、III種は「自分のストレスに気づき、自分で対処し、必要なら助けを求める」ことが中心です。II種は「部下の変化に気づき、話を聴き、職場の環境を見直し、休職から戻る人を支える」ことが中心です。II種には、復職の支援や、相談を受けたときの話の聴き方など、他の人に対応するための内容が加わります。
到達目標も、公式サイトでははっきり書き分けられています。III種は、自分のストレスの状態を把握して不調に早く気づき、自分でケアを行い、必要であれば助けを求められることです。II種は、部下が不調に陥らないよう普段から配慮し、不調が見られたときには、安全配慮義務に沿った対応ができることです。安全配慮義務とは、会社が働く人の命や健康を守るよう配慮しなければならない責任のことです。
試験の形と合格基準
II種とIII種は、どちらも選択問題だけで、試験時間は2時間です。論述問題があるのはI種だけです。
| 項目 | III種 | II種 |
|---|---|---|
| 問題の形 | 選択問題 | 選択問題 |
| 試験時間 | 2時間 | 2時間 |
| 配点 | 100点 | 100点 |
| 合格基準 | 70点以上 | 70点以上 |
| 公開試験の受験料(税込) | 5,280円 | 7,480円 |
公開試験の受験料は、III種が5,280円、II種が7,480円(いずれも税込)です。合格基準はどちらも100点満点中70点以上で、受験者の上位何割という決め方ではありません。決まった点数を超えれば合格です。また、公式のQ&Aでは、合格に有効期限や更新制度はないと案内されています。
合格率から見た難しさ
公式サイトの結果のデータから、最近4回の公開試験の合格率を並べると次のようになります。
| 回(実施日) | II種の合格率 | III種の合格率 |
|---|---|---|
| 第37回(2024年11月3日) | 60.5% | 74.3% |
| 第38回(2025年3月16日) | 54.8% | 77.8% |
| 第39回(2025年11月2日) | 47.8% | 65.1% |
| 第40回(2026年3月15日) | 78.0% | 69.7% |
III種は65%から78%前後で比較的安定しています。II種は回によって50%前後から78%まで振れ幅が大きく、同じ準備をしても、回によって手応えが変わりやすいコースだと読み取れます。合格の基準点が決まっている試験なので、合格率の差は問題の難しさの差と考えられます。II種を受けるときは、合格率の高かった回だけを見て準備を軽く見積もらないことが大切です。最新の結果はメンタルヘルス・マネジメント検定の結果・受験者データで確かめられます。
同じ日に両方を受けることもできる
公開試験では、II種とIII種を同じ日に受けることができます。公式の受験要項では、II種は午前(集合10時)、III種は午後(集合13時30分)に行われると案内されています。どちらにするか決めきれない人は、両方を同じ日に受けるという選び方もあります。ただし、学ぶ内容の半分ほどは重なるものの、II種には復職の支援や相談への対応など独自の範囲があるため、準備の時間は多めに見ておく必要があります。
どちらを受けるかの決め方
II種とIII種のどちらを受けるかは、いまの立場よりも、これからその知識をどう使いたいかで決めると迷いにくくなります。
III種が合う人
III種が合うのは、まず自分自身のストレスとの付き合い方を学びたい人です。在宅で1人で働く時間が長い人、仕事と家事や介護を両立している人、新しい職場に移ったばかりの人などは、自分の不調のサインに早く気づく知識が役に立ちます。受験料が安く、範囲も比較的コンパクトなので、メンタルヘルスの学習の入口として選ぶ人も多いコースです。
在宅で働く人は、会社員のように上司や同僚が様子の変化に気づいてくれる環境にないことが多くあります。そのため、自分で自分の状態を確かめる習慣を持つことが、働き続けるうえでの土台になります。こころの耳には、フリーランスの人に向けたメンタルヘルスケアの情報もまとめられています。
II種が合う人
II種が合うのは、他の人の心の健康に関わる立場にいる人、またはこれからその立場で働きたい人です。管理職はもちろん、人事や労務の担当者、チームのリーダー、研修の企画や社内の相談の受付に関わる人にも向いています。人事や労務の仕事を在宅で受けたい人にとっても、職場としてどう対応するかを学ぶII種のほうが、仕事の場面と結びつきやすい内容です。
迷ったときの目安
迷ったときは、次のように考えると決めやすくなります。
- 履歴書や応募の書類で、人事や労務の仕事への関心を示したいならII種
- まずは自分のストレスへの対処を学びたい、学習の習慣をつけたいならIII種
- 両方の知識がほしく、準備の時間も取れるなら、同じ日に両方を受ける
どちらを選んでも、学んだ知識は自分の働き方にも、周りの人との関わり方にも生かせます。
I種を見据える場合
将来、会社全体のメンタルヘルス対策を企画する立場をめざすなら、I種(マスターコース)も視野に入ります。I種は、心の健康づくり計画の立て方、産業保健スタッフや外部の専門機関との連携、社員への教育研修の企画などを扱うコースです。選択問題に加えて論述問題があり、合格するには、選択問題と論述問題の合計が150点満点中105点以上で、かつ論述問題が50点満点中25点以上であることが求められます。公開試験の受験料は11,550円(税込)で、年に1回、11月の回だけで行われます。I種とII種は同じ日に受けることもできます。
I種もII種やIII種と同じく、前のコースの合格は受験の条件になっていません。ただし、I種の内容は、II種で学ぶラインによるケアやIII種で学ぶセルフケアの知識を前提にしています。人事の仕事を長く続けるつもりなら、まずII種で職場としての対応の基本を固め、そのうえでI種に進むという順番を取ると、学ぶ内容がつながりやすくなります。
会社の団体特別試験を使う方法
勤め先がある人は、会社が実施する団体特別試験で受けられる場合もあります。団体特別試験とは、企業や団体、学校が、所属する人を対象に、日時と場所を自分たちで決めて行う試験のことです。対象はII種とIII種で、1コースにつき原則10人以上の申し込みが必要です。受験料は公開試験より安く、II種が5,980円、III種が4,220円(いずれも税込)と案内されています。会社の研修の一環として行われることが多いため、受験を考えている人は、人事の担当者に実施の予定があるかを聞いてみるとよいでしょう。
III種で学ぶセルフケアの考え方
III種の中心になるセルフケアは、自分の心の状態に早く気づき、自分でできる対処をし、必要なときに助けを求める、という3つの流れで組み立てられています。試験に向けて勉強するときも、この流れを意識すると、テキストの各章のつながりが見えやすくなります。
ストレスに気づくための視点
テキストで扱うストレスの基礎知識は、ストレスの原因になる出来事と、それを受けたときの心や体の反応を分けて考えるところから始まります。仕事の量や人間関係、生活の変化などがストレスの原因になり、眠りや食欲、気分、行動の変化として表れることがあります。III種では、こうした変化を「いつもと違う」と自分で気づくための視点を学びます。大切なのは、変化に気づいたからといって自分で病名を決めつけないことです。気になる状態が続くときは、医療機関や相談の窓口を使うことが、セルフケアの一部として位置づけられています。
対処の方法と、社内外の窓口
ストレスへの対処では、休養や睡眠、気分転換の方法、考え方の整理の仕方など、日常で取り入れられる方法を幅広く学びます。あわせて、職場の中の相談の窓口や、職場の外の専門機関を知り、必要なときに使えるようにしておくことも範囲に入っています。厚生労働省のこころの耳では、働く人向けのセルフケアの情報や、電話やSNS、メールで相談できる窓口の案内がまとめられています。会社に勤めていない在宅の働き手にとっては、社内の窓口がない分、職場の外の窓口を先に調べておくことが、とくに意味を持ちます。
II種で学ぶラインによるケアと復職の支援
II種の中心になるラインによるケアは、上司や職場のリーダーが、部下の働く環境を整え、相談に応じることを指します。人事や労務の仕事をする人にとっては、職場の上司がどう動くべきかを知ることで、人事の側がどんな支えを用意すればよいかが見えてきます。
いつもと違う様子に気づき、話を聴く
II種では、部下の「いつもと違う」様子に気づくことが、ラインによるケアの出発点として扱われます。遅刻や欠勤が増える、仕事のミスが目立つ、表情や口数が変わるといった変化に気づいたら、責めるのではなく話を聴くことが求められます。テキストでは、相談を受けたときの話の聴き方や、情報の伝え方、助言の仕方まで扱っています。上司が自分で解決しようとせず、産業医や人事、職場の外の専門機関につなぐ判断も、この範囲に含まれます。
職場復帰の支援の流れ
II種のもう1つの柱が、心の不調で休んだ人の職場復帰の支援です。厚生労働省の手引きでは、職場復帰の支援を5つのステップに分けて示しています。
- 病気休業の開始と休業中のケア
- 主治医による職場復帰が可能かどうかの判断
- 職場復帰の可否の判断と、職場復帰支援プランの作成
- 最終的な職場復帰の決定
- 職場復帰後のフォローアップ
手引きでは、職場復帰の支援で、職場の配置や処遇、労働条件、勤務の制度などを正しく運用する必要があるため、人事労務管理のスタッフが重要な役割を担うと書かれています。人事や労務の仕事を在宅で手伝う人にとって、この流れを知っておくことは、復職に関わる書類や手順書の整理を任されたときの理解の土台になります。ただし、復職できるかどうかの医学的な判断は主治医や産業医が行うもので、人事の側が決めるものではありません。
2026年度の日程と、公式テキストの切り替え
受験を決めたら、日程と使うテキストを確かめます。2026年度は、公式テキストが改訂されたため、とくに注意が必要です。
公開試験の日程
公開試験は年2回、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡の15都市で行われます。2026年度の日程は次のとおりです。
| 回 | 試験日 | 実施コース | 一般の申込期間 |
|---|---|---|---|
| 第41回 | 2026年11月1日(日) | I種、II種、III種 | 2026年9月4日から9月17日(受け付け終了) |
| 第42回 | 2027年3月21日(日) | II種、III種 | 2027年1月22日から2月4日 |
第41回の申し込みはすでに締め切られているため、これから申し込む人は、2027年3月21日の第42回が対象になります。3月の回はII種とIII種だけで、I種は行われません。コンビニの店頭で支払う場合は、第42回は1月31日までに決済する必要があります。また、受験地とコースごとに定員があり、申込期間の途中でも定員に達すると受け付けが終わります。申し込んだあとの取り消しや返金、次の回への振り替えはできません。受験の要項は公開試験の受験要項で確かめられます。
公式テキストは第6版に切り替わった
公式サイトのお知らせによると、2026年度の公開試験(第41回と第42回)と、2026年10月以降に行われる団体特別試験は、2026年6月に発行された公式テキスト第6版の内容から出題されます。2026年9月末までの団体特別試験は、2021年7月発行の第5版が使われていました。
古いテキストや中古の問題集で勉強すると、統計の数字や法令の扱いが最新の出題とずれることがあります。公式サイトでは、テキストに書かれた統計調査の最新の結果が出題されることがあり、その年の4月1日時点で成立している法令に沿って出題すると案内されています。これから勉強を始める人は、第6版に対応した教材を選んでください。
法令の動きにも目を向ける
職場のメンタルヘルスに関わる制度は、いまも動いています。たとえば、働く人のストレスの状態を調べる「ストレスチェック」は、2015年から労働者数50人以上の事業場で義務になっていました。厚生労働省のストレスチェック制度のページによると、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、令和10年4月1日から、労働者数50人未満の事業場でも実施が義務になります。小さな会社でもメンタルヘルス対策の仕組みを整える必要が出てくるため、制度を理解した人の手を借りたいという場面は今後広がっていくと考えられます。最新の内容はストレスチェック制度・メンタルヘルス対策で確かめられます。
勉強の進め方
II種もIII種も、公式テキストの内容と、それを理解したうえでの応用力を問う試験です。勉強の中心は公式テキストになります。
公式テキストを軸にする
公式テキストは中央経済社から出版され、全国の主要な書店で売られています。試験センターでは販売していません。まずテキストを1回通して読み、全体の構成をつかみます。2回目からは、各章の用語を自分の言葉で説明できるかを確かめながら読み進めると、選択問題で言い回しを変えて問われても対応しやすくなります。
過去の問題と模範解答を使う
公式サイトの結果のページでは、公開試験の選択問題の模範解答が公開されています。問題の出され方や、問われる細かさを知るために、市販の過去問題集と合わせて使うと、本番の感覚がつかめます。ただし、第5版の範囲で作られた古い問題は、第6版と内容がずれている部分があるかもしれません。古い問題の数字や法令の扱いは、第6版のテキストで確かめ直してください。
勉強の時間の目安
勉強にかかる時間は、人事や労務の経験があるか、心理や医療の基礎知識があるかで大きく変わります。III種は範囲が比較的狭いため、テキストを数回読み、過去の問題を解いて準備する人が多いコースです。II種は範囲が広く、法令や復職の支援の流れなど、覚えることが増えます。試験日から逆算して、テキストの通読、過去の問題の演習、間違えた範囲の読み直しの3つの段階に時間を割り振ると、準備の抜けを防げます。
受験対策の講座
主催の大阪商工会議所は、I種、II種、III種それぞれの受験対策のWeb講座をオンデマンドで配信しています。オンデマンドとは、決まった時間ではなく、好きな時間に動画を見て学べる形のことです。独学で進めにくい人は、こうした講座を使うのも1つの方法です。申し込みの方法や受講料は、公式サイトのお知らせで確かめてください。
人事の在宅ワークでの使い道
メンタルヘルス・マネジメント検定は、人事や労務の仕事をしている人、これから在宅でその仕事に関わりたい人にとって、知識の裏づけとして使える検定です。ここでは、在宅で受けられる仕事の中で、検定の知識が生きる場面を見ていきます。
人事や労務の事務を在宅で受ける
中小企業の中には、人事や労務の担当者を社内で十分に確保できず、事務の一部を外に任せる会社があります。たとえば、研修の案内文の作成、社内向けのアンケートの集計、規程や手順書の下書きの整理、会議の資料の作成などは、在宅でも受けやすい作業です。こうした仕事で、メンタルヘルスの用語や会社の取り組みの流れを理解していると、依頼する側の説明を短く済ませられます。II種で学ぶ「職場環境の改善」や「復職の支援」の流れを知っていれば、関連する資料作りの依頼にも対応しやすくなります。
研修の資料や教材の作成
社内のメンタルヘルスの研修では、スライドや配布資料、確認テストなどの教材が必要になります。研修の講師は専門家が務めることが多いものの、資料の下書きや見た目を整える作業は、在宅で外に任されることがあります。III種やII種で学んだ内容は、研修の構成を考えるときの土台になります。ただし、病気の症状や治療について説明する部分は、必ず専門家の監修を受けることが前提です。
健康や働き方に関する記事の執筆
企業の社内報や、人事向けのWebメディアでは、働く人のストレスや職場づくりをテーマにした記事が求められることがあります。検定で体系的に学んだ知識は、こうした記事を書くときの下調べを正確にする助けになります。在宅のライターとして仕事を受けるなら、文章の力を示す資格と組み合わせると、依頼する側に伝わりやすくなります。文章の資格の選び方は、Webライティング能力検定・技能検定の違いと副業への活かし方で、2つの検定の違いと仕事での使い方を説明しています。また、Webライティング技能検定で在宅ライターの信頼度アップ|案件獲得のコツでは、資格を応募の場面でどう見せるかを紹介しています。
健康に関わる記事は、読む人の行動に影響しやすい分野です。執筆するときは、厚生労働省などの公的な情報を出典として確かめ、医学的な判断が必要な内容は専門家に確認してもらう姿勢が欠かせません。
自分の働き方を守る知識として
在宅で働く人にとって、検定の知識は仕事の材料であると同時に、自分を守る道具でもあります。1人で働く時間が長いと、仕事を詰め込みすぎたり、休む時間の区切りがあいまいになったりしがちです。III種で学ぶストレスへの気づき方や対処の方法は、そのまま自分の働き方の点検に使えます。長く在宅の仕事を続けるためにも、心の健康を保つ仕組みを自分で持っておくことが大切です。
検定でできることと、できないこと
メンタルヘルス・マネジメント検定を仕事に生かすときは、検定の合格で何ができるようになるのか、その線引きを正しく知っておくことが大切です。ここを誤ると、依頼する側にも、相談してきた人にも迷惑をかけることになります。
国家資格ではない
メンタルヘルス・マネジメント検定は、商工会議所が行う公的な検定ですが、国家資格ではありません。合格しても、病気の診断や治療、心理の専門的な相談を仕事として行えるようになるわけではありません。心の不調が疑われる人には、医療機関や専門の窓口につなぐことが、検定で学ぶ対応の基本です。
ストレスチェックの実施者にはなれない
ストレスチェックを行う「実施者」は、労働安全衛生規則で、医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師と決められています。検定に合格しても、この実施者にはなれません。また、同じ規則では、検査を受ける人の解雇や昇進、異動について直接の権限を持つ立場の人は、実施の事務に関わってはならないとされています。人事の仕事でストレスチェックに関わるときは、自分がどの立場で、どこまでの作業を任されているのかを、依頼する会社と必ず確かめてください。条文は労働安全衛生規則で読めます。
名称の使い方の決まり
公式のQ&Aによると、名刺に「メンタルヘルス・マネジメント検定試験○種合格」と書くことは問題ないとされています。一方で、名刺以外の印刷物に載せる場合や、講座のタイトルに使う場合は、大阪商工会議所へ名称の使用の申請が必要です。在宅で研修やセミナーの仕事をする人が、検定の名前を宣伝に使うときは、この決まりを確かめてから使ってください。
個人の情報の扱い
メンタルヘルスに関わる情報は、本人にとってとくに知られたくない情報です。厚生労働省の指針でも、事業場内のスタッフが担う役割の1つとして、メンタルヘルスに関する個人情報の取り扱いが挙げられています。在宅で人事の仕事を受けると、社員の健康に関わる情報に触れる場面が出てくることがあります。その場合は、依頼する会社の決まりに従い、作業に使ったファイルの保存場所や共有の範囲を必ず確かめてください。
人事の在宅ワークの情報から見た検定の位置づけ
ここまでの内容を、在宅の仕事の情報と合わせて整理します。メンタルヘルス・マネジメント検定は、それだけで仕事を受けられる資格ではありませんが、人事や労務、研修、執筆の仕事で、知識の裏づけとして使える検定です。
ほかの資格と組み合わせる
人事や労務の仕事では、心の健康の知識だけでなく、労働に関わる法令や、会社の取り組みの考え方も求められます。法律の基礎を示す資格としては、ビジネス実務法務検定があります。契約や労働に関わる法律の基礎を体系的に学べるため、人事や労務の事務を受けるときの説得力が増します。また、会社の社会的な責任や持続可能な経営に関わる資格を組み合わせる人もいます。そうした資格の評価については、CSR検定やサステナビリティ・プランナーは役に立つ?就職・独立への影響で、就職や独立への影響を説明しています。
資格の生かし方を整理する
メンタルヘルス・マネジメント検定のII種とIII種を仕事に生かすときの考え方は、次の3つに整理できます。
- III種は、自分のストレスへの気づき方と対処の方法を身につけ、在宅で長く働くための土台にする
- II種は、職場として不調にどう対応するかを学び、人事や労務、研修の仕事への関心と知識の裏づけとして示す
- どちらの場合も、診断や専門の相談は行わず、医療機関や専門の窓口につなぐという線引きを守る
職場のメンタルヘルス対策は、ストレスチェックの対象の広がりもあり、規模の小さな会社でも取り組みが求められる分野になっていきます。まずは自分の目的に合うコースを選び、第6版の公式テキストで準備を始めてください。法律の知識と組み合わせたい人は、ビジネス実務法務検定で、試験の級ごとの中身と仕事での使い方を確かめられます。
よくある質問
Q. メンタルヘルス・マネジメント検定のII種とIII種はどちらが難しいですか?
II種のほうが範囲が広く、部下への対応や復職の支援など、他の人に対応するための内容が加わります。最近4回の公開試験の合格率は、III種が65%から78%前後で安定しているのに対し、II種は48%から78%と回による振れ幅が大きくなっています。合格基準はどちらも100点満点中70点以上です。
Q. 管理職ではなくてもII種を受けられますか?
受けられます。受験資格に学歴、年齢、性別、国籍の制限はなく、どのコースからでも受験できます。II種の対象として管理監督者が示されているのは目安で、人事や労務の担当者、チームのリーダー、これから人事の仕事に関わりたい人が受けることもできます。III種に合格していなくても、いきなりII種を受けられます。
Q. II種とIII種を同じ日に受けることはできますか?
公開試験では、II種とIII種を同じ日に受けられます。公式の受験要項では、II種は午前、III種は午後に行われると案内されています。ただし、受験地とコースごとに定員があるため、申込期間の途中でも定員に達すると受け付けが終わります。両方を受けるなら、早めに申し込むと安心です。
Q. 合格したら有効期限はありますか?
公式のQ&Aでは、合格に有効期限や更新制度はないと案内されています。一度合格すれば、その後も合格者として名乗れます。ただし、公式テキストは改訂されており、2026年度からは第6版の内容で出題されています。仕事で知識を使う人は、法令や統計の新しい情報を自分で確かめ直す習慣を持つことが大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







