メンタルヘルスの試験はどれを受けるか|相談業務や人事の副業での使い道


この記事のポイント
- ✓メンタルヘルスの試験は
- ✓メンタルヘルス・マネジメント検定
- ✓衛生管理者など目的が異なります
メンタルヘルスの試験を受けてみたいと思っても、名前の似た資格や検定がいくつもあり、どれが自分に合うのか分かりにくいものです。職場の心の健康について学びたい会社員、部下を持つ管理職、人事や総務の担当者、そして相談の仕事や人事の仕事を副業で受けたい人では、選ぶべき試験が違います。この記事では、メンタルヘルスに関わる主な試験の違いを整理したうえで、多くの人が最初の候補にするメンタルヘルス・マネジメント検定の3つのコース、2026年度の試験日程と受験料、合格基準と合格率、勉強の方法を説明します。最後に、試験で学んだ知識を相談の仕事や人事の副業でどう生かせるのか、そして資格によってできることとできないことの線引きまでを見ていきます。
メンタルヘルスに関わる主な試験と、その違い
メンタルヘルスに関わる試験は、目的によって大きく4つに分けられます。まずは全体の違いを一覧で見てください。
| 試験・資格 | 種類 | 主な対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
| メンタルヘルス・マネジメント検定 | 民間の検定 | 一般社員、管理職、人事労務の担当者 | 職場の心の健康管理の知識を学ぶ |
| 公認心理師 | 国家資格 | 心理の専門職を目指す人 | 心理の支援を専門の職業として行う |
| 産業カウンセラー | 民間の資格 | 職場の相談に関わる人 | 働く人の相談に応じる技法を学ぶ |
| 衛生管理者 | 国家資格 | 職場の衛生の管理を担う人 | 職場の健康と衛生の管理全般を担う |
この中で、受験の条件が無く、誰でも受けられて、職場の心の健康について体系的に学べるのが、メンタルヘルス・マネジメント検定です。一方、公認心理師は、大学や大学院で定められた科目を修めるなどの受験の条件があり、心理の専門職として働くための国家資格です。産業カウンセラーは、講座を受けたうえで試験を受ける形で、相談の聴き方の技法を実際に練習する点に特徴があります。衛生管理者は、一定の規模以上の職場で選任が必要な国家資格で、心の健康だけでなく、作業の環境や健康診断など衛生の全般を扱います。
どれを受けるかは、「何のために学ぶか」で決まります。自分や職場の心の健康について正しい知識を身に付けたいなら、メンタルヘルス・マネジメント検定が最初の候補になります。相談を受けることを仕事の中心にしたいなら、産業カウンセラーや公認心理師が視野に入ります。人事や総務として職場の健康管理を担うなら、衛生管理者が役立ちます。
この記事では、以下、最初の一歩として選ばれることの多いメンタルヘルス・マネジメント検定を中心に説明し、相談の仕事との関係を後半で整理します。
メンタルヘルス・マネジメント検定とは
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所などが実施する検定試験です。検定の公式サイトでは、検定の目的を次のように説明しています。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得していただくものです。 出典: メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式サイト
ポイントは「未然防止」です。心の不調になった人を治療するための知識ではなく、不調になる前に気づき、職場で予防するための知識を学ぶ検定です。公式サイトによると、各コースの内容は、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に作られています。
検定は職場での立場に応じて3つのコースに分かれています。
| コース | 対象 | 目的 |
|---|---|---|
| Ⅰ種(マスターコース) | 人事労務管理のスタッフ、経営幹部 | 社内のメンタルヘルス対策の推進 |
| Ⅱ種(ラインケアコース) | 管理監督者(管理職) | 部門内での、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進 |
| Ⅲ種(セルフケアコース) | 一般社員 | 組織の中での、従業員自らのメンタルヘルス対策の推進 |
Ⅲ種は、自分のストレスの状態に気づき、自分でケアを行い、必要なときに助けを求められるようになることが目標です。Ⅱ種は、部下が不調に陥らないよう普段から配慮し、不調が見受けられたときに適切に対応できるようになることが目標です。Ⅰ種は、会社としての計画づくりや、産業保健のスタッフや専門機関との連携、社員への研修の企画まで担えることが目標です。
受験の資格に制限は無く、学歴、年齢、性別、国籍を問わず、どのコースからでも受けられます。管理職でなくてもⅡ種を受けられますし、いきなりⅠ種を受けることもできます。
ほかの3つの資格は、どんな人に向いているか
最初の節で挙げた4つのうち、メンタルヘルス・マネジメント検定以外の3つについても、どんな人に向いているかを整理しておきます。
公認心理師
公認心理師は、心理の支援を職業として行うための国家資格です。病院、学校、福祉の施設、企業の相談室など、働く場は幅広く、相談を受けることを仕事の中心にしたい人の到達点の1つです。ただし、受験するには、大学で定められた科目を修めたうえで大学院で科目を修めるか、大学を出た後に定められた施設で実務の経験を積むといった条件があり、社会人がこれから目指す場合は、学び直しを含めて数年単位の計画になります。受験の条件は細かく決められているため、目指す場合は試験の実施団体と厚生労働省の案内で、自分が当てはまる道を確かめてください。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、働く人の相談に応じるための民間の資格です。資格を出している団体の講座で、話の聴き方の技法を実際に練習したうえで試験を受ける形が特徴です。メンタルヘルス・マネジメント検定が知識を中心に問うのに対して、産業カウンセラーは相談の場面での聴き方の練習に重きがあります。社内の相談の窓口を担う人や、相談の聴き方を体系的に身に付けたい人に向いています。講座の期間や費用は団体の案内で確かめてください。
衛生管理者
衛生管理者は、職場の衛生の管理を担う国家資格で、一定の規模以上の職場では選任が必要です。心の健康だけでなく、作業の環境の管理、健康診断の結果を受けた対応、職場の巡視など、働く人の健康を守るための管理の全般を扱います。総務や人事の担当者として職場の健康管理を担う人には、メンタルヘルス・マネジメント検定と組み合わせて持っておくと、職場の健康管理の全体を見渡せるようになります。
2026年度の試験日程と受験料
公式サイトの受験要項によると、2026年度の公開試験の日程は次のとおりです。
| 回 | 試験日 | 実施コース | 一般の申込期間 |
|---|---|---|---|
| 第41回 | 2026年11月1日(日) | Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種 | 9月4日(金)から9月17日(木) |
| 第42回 | 2027年3月21日(日) | Ⅱ種・Ⅲ種 | 2027年1月22日(金)から2月4日(木) |
第41回の申込はすでに締め切られているため、これから申し込む人は、2027年3月の第42回が次の機会になります。3月の試験はⅡ種とⅢ種だけで、Ⅰ種は11月の試験でしか受けられない点に注意してください。コンビニの店頭での支払いは、申込期間の終わりより早く締め切られます。また、受験地ごとに定員があり、申込期間の中でも定員に達すると受付が終わることがあります。
受験料(消費税込)は、Ⅰ種が11,550円、Ⅱ種が7,480円、Ⅲ種が5,280円です。試験は札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡の15都市から選んで受けます。Ⅱ種とⅢ種、Ⅰ種とⅡ種は、同じ日に続けて受けることもできます。
この公開試験のほかに、企業などが日時と場所を決めて社内で実施する「団体特別試験」もあります。勤め先で団体特別試験を実施しているなら、会社を通じて受けられる場合があります。
試験の日程や受験料は年度ごとに変わることがあるため、申し込む前に 公式サイトの受験要項 で最新の案内を確かめてください。
試験の形式、合格基準、合格率
各コースの試験の形式と合格基準は、公式サイトで次のように示されています。
| コース | 問題と時間 | 合格基準 |
|---|---|---|
| Ⅰ種 | 選択問題2時間、論述問題1時間 | 選択問題100点と論述問題50点の合計が105点以上、かつ論述問題が25点以上 |
| Ⅱ種 | 選択問題2時間 | 100点満点中70点以上 |
| Ⅲ種 | 選択問題2時間 | 100点満点中70点以上 |
Ⅱ種とⅢ種は、決められた点数を取れば合格する絶対評価の試験です。Ⅰ種だけは論述問題があり、合計点だけでなく論述問題の点数にも基準があります。
合格率は回によって大きく変わります。公式サイトで公表されている直近の結果は次のとおりです。
| 回 | 試験日 | Ⅰ種 | Ⅱ種 | Ⅲ種 |
|---|---|---|---|---|
| 第39回 | 2025年11月2日 | 19.4% | 47.8% | 65.1% |
| 第40回 | 2026年3月15日 | 実施なし | 78.0% | 69.7% |
Ⅱ種は、第39回で47.8%、第40回で78.0%と、同じコースでも回によって30ポイント近い差があります。合格率の高い回だけを見て「簡単な試験」と考えると、次の回で苦戦することがあります。どの回でも70点を取れる準備をしておくことが大事です。Ⅰ種は合格率が2割前後で、論述問題があるため、ほかの2つのコースとは別の対策が必要です。
公式テキストが第6版に改訂された
2026年度の試験で必ず押さえておきたいのが、公式テキストの改訂です。公式サイトによると、2026年度に実施する第41回と第42回の公開試験は、2026年6月に発行された公式テキスト第6版の内容と、それを理解したうえでの応用力を問います。それまでの第5版は2021年7月の発行でした。
また、各年度の試験は、その年の4月1日時点で成立している法令に基づいて出題されます。2026年度の試験は、2026年4月1日時点の法令が基準です。公式テキストに載っている統計の調査の最新の結果が出題されることもあります。
このため、古い版のテキストや、改訂前の問題集で勉強するのは避けてください。中古の教材や、知人から譲ってもらった教材は、版を必ず確かめます。テキストの誤りの訂正や、出版後の法令の改正についての案内も公式サイトに掲載されるため、試験の前に一度確かめておくと安心です。
試験の当日に持っていくものと、気をつけること
公式サイトの受験要項では、試験の当日に持っていくものとして、受験票、筆記用具、身分証明書が挙げられています。筆記用具は、HBかBの黒の鉛筆かシャープペンシルと、プラスチックの消しゴムだけです。マークシートの試験なので、ボールペンでは解答できません。
身分証明書は、運転免許証、パスポート、学生証、マイナンバーカード、社員証など、原則として第三者の機関が発行し、氏名、生年月日、顔写真がそろって確認できるものが必要です。電子の社員証や証明書は対象外とされています。
当日の注意として、次の点が案内されています。
・集合の時刻に遅れたり、試験会場を間違えたりすると受験できない
・試験会場によっては時計が無いことがあり、使えるのは原則として通信の機能が無い腕時計だけ
・スマートフォンや通信の機能のある腕時計は、時計としても使えない
・試験の途中でいったん退出すると、再び入室できない
・申し込んだ後の取り消し、受験料の返金、次の回への振り替え、受験地やコースの変更はできない
とくに最後の点は、申し込む前に予定を確かめておく必要があります。子どもの行事や仕事の予定と重ならないかを確かめてから申し込んでください。受験票は、第41回は10月13日、第42回は2027年3月1日に発送される予定です。会場は受験票で知らされるため、届いたらすぐに場所と行き方を確かめておくと安心です。
職場のメンタルヘルスの知識が求められている背景
メンタルヘルスの知識が職場で求められている背景には、法律の改正もあります。その代表が、ストレスチェック制度です。ストレスチェックとは、働く人が質問票に答えることで、自分のストレスの状態を知るための検査のことです。厚生労働省は、制度の今後について次のように案内しています。
ストレスチェックは、2015年から、労働安全衛生法により事業者に実施が義務付けられています(労働者数50人未満の事業場は、当分の間努力義務とされていました。)。 今般、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務化されました。 出典: 厚生労働省(ストレスチェック制度)
同じページでは、50人未満の事業場への義務化は令和10年(2028年)4月1日からと案内されています。これまで努力義務だった小規模の職場でも、ストレスチェックを実施する体制を整える必要が出てきます。
小さな会社では、人事や総務の専任の担当者がいないことも多く、心の健康についての知識を持つ人が社内に少ないのが実情です。ストレスチェックの実施の準備、結果を受けた職場の改善、社員への説明や研修の資料づくりなど、メンタルヘルスの知識が役立つ場面は、今後さらに増えていくと考えられます。
どのコースを受けるか、立場ごとの選び方
3つのコースのどれを受けるかは、いまの立場と、知識を何に使いたいかで選びます。
一般社員で、自分の心の健康を守りたい人
Ⅲ種(セルフケアコース)から始めるのが自然です。ストレスの仕組み、自分のストレスへの気づき方、対処の方法、社内外の相談先の使い方を学べます。在宅で一人で働く人にとっても、職場の同僚に様子を気づいてもらえない分、自分で自分の状態に気づく知識は役立ちます。
管理職、またはこれから部下を持つ人
Ⅱ種(ラインケアコース)が向いています。部下の変化への気づき方、話の聴き方、職場の環境の改善、心の不調で休んだ人の職場への復帰の支援の方法を学べます。管理職でなくても受けられるため、チームのリーダーを任される前に学んでおくこともできます。
人事や総務の担当者、経営者
Ⅰ種(マスターコース)が対象です。会社としての方針と計画をつくり、産業医などの専門家と連携し、社員への研修を企画する立場で必要な知識を問います。いきなりⅠ種を受けることもできますが、範囲が広く論述問題もあるため、Ⅱ種で基礎を固めてからⅠ種に進む人も多くいます。
人事や相談の仕事を副業で受けたい人
副業で人事の業務や研修の資料づくりを受けたい人は、Ⅱ種で職場の対応の全体像を学び、そのうえでⅠ種で会社としての取り組みの組み立て方を学ぶ流れが、仕事の幅に直結します。
合格までの勉強の進め方
メンタルヘルス・マネジメント検定の勉強は、公式テキストと過去の問題を軸に進めるのが基本です。コースごとの進め方を紹介します。
Ⅲ種とⅡ種の進め方
最初に公式テキストを通して読み、全体の流れをつかみます。このとき、細かい数字や用語を覚えようとせず、何がどの章に書いてあるかを把握することを優先します。
次に、問題集や過去の問題を解きます。公式サイトでは、過去の公開試験の選択問題の模範解答が公開されています。問題を解いて間違えたところをテキストに戻って読み直す、という往復を繰り返すと、出題されやすいところが見えてきます。
ここで出題されやすいのは、法律や指針の内容、統計の調査の結果、ストレスの仕組みに関する用語です。とくに、厚生労働省の指針で示されている4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内の産業保健スタッフ等によるケア、事業場外の資源によるケア)は、どのコースでも基本になる考え方なので、確実に押さえておきます。
資格の勉強でよくある失敗が、テキストを何度も読むだけで、問題を解く練習が足りないまま試験の日を迎えてしまうことです。読んで分かった気になっていても、選択肢の細かい言い回しの違いで迷い、時間が足りなくなります。勉強の時間の半分以上は、問題を解く時間に充ててください。
Ⅰ種の進め方
Ⅰ種は、選択問題に加えて論述問題があります。論述問題は、実務の場面を想定して、必要な知識とその応用の力、総合的な判断の力を問います。テキストの知識を覚えるだけでは足りず、事例を読んで、会社としてどう対応するかを文章で組み立てる練習が必要です。
論述の練習では、制限時間の中で、問われていることに対して、根拠となる知識を挙げながら答える型を身に付けます。書いた答案を、テキストの該当の箇所と照らし合わせて、抜けている観点が無いかを確かめると、答案の質が上がります。報告書や提案書のような、筋道の通った文章を書く練習も役立ちます。文書の書き方を体系的に学びたい人には、ビジネス文書検定 の学習が論述の土台づくりにもなります。
3か月で準備する、勉強の計画の例
2027年3月の第42回を目指して、これからⅡ種かⅢ種の勉強を始める人のために、申込の時期から逆算した計画の例を示します。1日に使える時間が30分から1時間ほどの人を想定しています。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 12月 | 公式テキスト第6版を入手し、通して読む。章ごとの要点を自分の言葉で1行ずつ書き出す |
| 1月前半 | 問題集を1周解く。間違えた問題に印を付け、テキストの該当の箇所を読み直す |
| 1月22日から2月4日 | 公開試験に申し込む。受験地とコースを決め、支払いの締め切りに注意する |
| 2月 | 印を付けた問題を中心に2周目を解く。過去の公開試験の問題を時間を計って解く |
| 3月前半 | 苦手な章だけを読み直し、統計の数字や法律の名前など、覚えるべきものを最終確認する |
| 3月21日 | 試験の当日 |
この計画で大事なのは、申込の期間を計画の中に組み込んでおくことです。勉強を始めたものの、申込を忘れて試験を受けられなかった、ということは意外と起こります。申込の期間は2週間ほどしかないため、手帳やカレンダーに先に書き込んでおいてください。
勉強の時間の配分は、テキストを読む時間と問題を解く時間が半分ずつになるのが目安です。2月に入ってもテキストを読む時間のほうが長い場合は、問題を解く時間を意識して確保してください。Ⅰ種を11月に受ける場合は、この計画を半年ほどに広げ、論述問題の練習の時間を加えて組み立てます。
相談の仕事でできること、できないこと
メンタルヘルスの試験に合格すると、その知識を生かして相談の仕事をしたいと考える人もいるはずです。ここで大事なのが、資格によってできることとできないことの線引きです。
メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場の心の健康管理の知識を証明する検定であり、カウンセラーや心理の専門職としての資格ではありません。検定に合格したことで、心の不調を診断したり、治療に関わる助言をしたりできるようになるわけではありません。
心理の専門職としての国家資格である公認心理師について、法律は次のように定めています。
この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。 出典: e-Gov法令検索(公認心理師法 第2条)
公認心理師は、登録を受けた人だけが名乗れる資格です。法律は、公認心理師でない人が公認心理師という名称を使うことも、名称の中に「心理師」という文字を使うことも禁じています。心の不調の診断や治療は、医師の領域です。
これを踏まえると、メンタルヘルス・マネジメント検定の知識を生かせるのは、次のような場面です。
・社員向けの研修の資料や、セルフケアの案内の作成
・ストレスチェックの実施の準備や、社内への説明の資料づくり
・職場の環境の改善の進め方の整理
・相談の窓口や、社外の専門機関への案内の仕組みづくり
・社内報や、職場の健康に関する記事の執筆
反対に、個人の心の不調の相談に乗り、どうすれば治るかを助言する、といった仕事は、検定の範囲を超えます。相談を受けたときは、話を聴いたうえで、産業医や医療機関、専門の相談窓口につなぐことが、検定で学ぶ対応の基本です。厚生労働省は、働く人のメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」で、相談の窓口や情報を案内しています。
人事の副業や在宅の仕事での使い道
メンタルヘルスの知識を、副業や在宅の仕事で生かす道を具体的に見ていきます。
人事や労務の業務の支援
人事の専任の担当者がいない小さな会社では、人事や労務の業務を外部の人に頼むことがあります。ストレスチェックの義務化を控えて、実施の準備や社内の規程づくり、社員への説明の資料の作成を手伝う仕事は、メンタルヘルス・マネジメント検定の知識が直接生きる分野です。ただし、労働社会保険の書類の作成や手続きの代行は社会保険労務士の独占業務にあたるため、資格の無い人が業として行うことはできません。
研修の資料づくり
セルフケアやラインケアの研修の資料を作る仕事では、Ⅲ種とⅡ種で学んだ内容がそのまま使えます。研修の講師を務める場合は、受講者に誤った情報を伝えないよう、公式テキストや厚生労働省の資料で内容を確かめながら作ります。
企業が社員の研修に使える助成金の制度もあります。福祉や介護の事業所を例に、人材開発支援助成金を使った研修の進め方を 福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法 で紹介しています。研修を企画する立場の人は、こうした制度も知っておくと提案の幅が広がります。
職場の健康に関する記事の執筆
企業の社内報、健康経営に関するWebの記事、人事の担当者向けのメディアなど、職場のメンタルヘルスを扱う記事を書く仕事もあります。検定で学んだ正確な知識があると、根拠のある記事を書けます。記事の仕事を始めるときは、書いた記事をまとめた作品集が役立ちます。作り方は Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】 で紹介しています。専門の知識を生かして単価を上げていく考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】 が参考になります。
在宅で働く自分自身のために
在宅で一人で働く人は、通勤が無い分、仕事と生活の区切りがつけにくく、同僚に変化を気づいてもらえることもありません。Ⅲ種で学ぶセルフケアの知識は、在宅で長く働き続けるための土台にもなります。
在宅で一人で働く人にとってのセルフケアの考え方
Ⅲ種で学ぶセルフケアの考え方は、在宅で一人で働く人にこそ役立ちます。会社に勤めていれば、上司や同僚が様子の変化に気づいてくれることがありますが、在宅では、自分の変化に気づけるのは自分だけです。
セルフケアの第一歩は、自分のストレスに気づくことです。眠りの質が変わった、食欲が落ちた、仕事に取りかかるまでに時間がかかるようになった、といった小さな変化は、ストレスが積み重なっている合図であることがあります。普段の自分の状態を知っておくと、変化に気づきやすくなります。
次に大事なのが、仕事と生活の区切りをつけることです。在宅では、仕事を始める時刻と終える時刻があいまいになりやすく、気づけば夜遅くまで画面に向かっていることがあります。始業と終業の時刻を決める、仕事をする場所と休む場所を分ける、終業の後は仕事の通知を切る、といった工夫が、区切りをつける助けになります。
そして、困ったときに頼れる先を前もって知っておくことです。家族や友人、同じ働き方をしている仲間、そして専門の相談窓口など、話せる先がいくつかあると、一人で抱え込まずに済みます。不調が続くときは、自分で判断しようとせず、医療機関や専門の窓口に相談してください。
試験を受けるときと、知識を使うときの注意点
最後に、メンタルヘルスの試験を受けるとき、そして学んだ知識を使うときの注意点を整理します。
1つ目は、資格の名前で誤解を招かないことです。メンタルヘルス・マネジメント検定に合格したことを、プロフィールや名刺に書くのは問題ありませんが、「カウンセラー」「心理の専門家」のように、検定の範囲を超える肩書きを名乗るのは避けてください。
2つ目は、個人の情報の扱いです。ストレスチェックの結果や、相談の内容は、扱いに注意が要る個人の情報です。人事の業務の支援でこうした情報に触れる場合は、会社の決まりと法律に従って扱い、本人の同意なく他の人に伝えないことが基本です。
3つ目は、知識を最新に保つことです。前の節で触れたとおり、公式テキストは改訂され、法律も変わります。ストレスチェックの義務化のように、制度が大きく変わる時期には、厚生労働省の案内を定期的に確かめてください。
4つ目は、相談を受けたときに抱え込まないことです。職場の同僚や知人から心の不調の相談を受けたとき、知識があるからといって自分で解決しようとせず、専門の窓口や医療機関につなぐことを優先してください。
20年にわたってフリーランスと在宅ワークの市場を見てきた運営者の立場から言えば、人事や労務の支援の仕事で長く信頼される人は、知識の多さよりも、自分の範囲を正しく知っていて、専門家につなぐべきところで迷わずつなげる人です。資格で学んだ知識を、依頼主の職場で役立つ形に落とし込み続けることが、次の依頼につながります。人事や総務の業務は、AIの道具を使って資料づくりや社内の問い合わせの対応を効率化する動きも広がっており、こうした業務の改善を支える仕事の中身は AIコンサル・業務活用支援のお仕事 で紹介しています。職場のメンタルヘルスの知識と、業務の改善の知識を組み合わせると、小さな会社の人事を幅広く支えられるようになります。仲介の手数料がかからない直接の取引では、依頼する会社は同じ予算でより多くの支援を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%で直接取引できる環境は、小さな会社と、人事の知識を持つ在宅の人が、長く続く関係を結ぶのに向いています。
よくある質問
Q. メンタルヘルス・マネジメント検定は国家資格ですか?
国家資格ではなく、大阪商工会議所などが実施する民間の検定です。職場の心の健康管理の知識を学ぶもので、合格しても心の不調を診断したり治療の助言をしたりできるようにはなりません。心理の専門職としての国家資格には公認心理師があり、こちらは大学や大学院での科目の履修などの受験の条件があります。
Q. メンタルヘルス・マネジメント検定の次の試験はいつですか?
2026年度は第41回が2026年11月1日、第42回が2027年3月21日です。第41回の申込はすでに締め切られており、次は第42回で、一般の申込期間は2027年1月22日から2月4日です。3月の試験はⅡ種とⅢ種だけで、Ⅰ種は11月だけです。日程は公式サイトで最新の案内を確かめてください。
Q. Ⅱ種とⅢ種はどちらから受けるのがよいですか?
自分の心の健康を守る知識を学びたい一般社員はⅢ種、部下を持つ管理職やリーダーを任される予定の人はⅡ種が向いています。受験の資格に制限は無く、管理職でなくてもⅡ種を受けられます。Ⅱ種とⅢ種は同じ日に続けて受けることもでき、合格基準はどちらも100点満点中70点以上です。
Q. メンタルヘルスの検定を取れば相談の副業ができますか?
検定の知識は、研修の資料づくり、ストレスチェックの準備の支援、職場の健康に関する記事の執筆などで生かせます。一方で、個人の心の不調の相談に乗って治し方を助言する仕事は検定の範囲を超えます。相談を受けたときは話を聴いたうえで、産業医や医療機関、専門の相談窓口につなぐのが基本です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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