精神保健の仕事の資格|精神保健福祉士と関連資格


この記事のポイント
- ✓精神資格を探す人向けに
- ✓精神保健福祉士と公認心理師の2つの国家資格
- ✓産業カウンセラーやメンタルヘルス・マネジメント検定などの民間資格の違いを整理
心の不調を抱える人を支える仕事に就きたい、あるいは職場のメンタルヘルス対策を任されたので知識を身につけたい。そう考えて精神資格を調べると、国家資格から1日で受けられる検定まで、似た名前の資格が数十種類も並んでいて、どれを選べばよいのか分からなくなります。
結論から言うと、精神保健の分野で「専門職として雇われる」ための軸になる国家資格は、精神保健福祉士と公認心理師の2つです。それ以外の資格の多くは民間の団体が認定するもので、仕事の幅を広げたり、職場で知識を生かしたりするための資格です。この記事では、2つの国家資格の違いと取り方、民間資格の位置づけ、目的別の選び方を、試験を実施する機関と厚生労働省の公表している情報で確かめながら整理します。
精神資格は「国家資格」と「民間資格」で役割が違う
最初に押さえておきたいのは、資格の種類によって、その資格で何ができるかが大きく違うという点です。精神保健に関わる資格は、大きく次の3つに分けられます。
- 国家資格:法律で定められ、国の指定を受けた機関が試験を行う資格。精神保健福祉士、公認心理師など
- 学会や協会が認定する専門資格:大学院の修了や講座の受講を条件に、民間の団体が審査して認定する資格。臨床心理士、産業カウンセラーなど
- 検定:受験料を払って試験を受け、知識の水準を確かめるもの。メンタルヘルス・マネジメント検定など
国家資格の中でも、精神保健福祉士と公認心理師は「名称独占資格」と呼ばれます。名称独占資格とは、資格を持っていない人がその名前を名乗ることを法律で禁じている資格のことです。たとえば精神保健福祉士法の第42条は、精神保健福祉士でない者がその名称を使ってはならないと定めています。一方で、相談に乗ること自体は資格がなくても禁止されていません。医師や看護師のように「資格がなければその仕事をしてはならない」業務独占資格とは性格が違います。
それでも国家資格が重く見られるのは、病院、福祉施設、行政の採用で「資格を持っていること」が応募の条件になる場面が多いからです。精神科病院の相談員や、障害福祉サービスの事業所の職員、自治体の相談職の募集では、精神保健福祉士や公認心理師の資格が求められるのが一般的です。民間資格は、こうした採用の条件を満たすものではありませんが、職場での役割を果たすうえで役立つ知識を体系的に学べます。
| 区分 | 主な資格 | 取り方の目安 | 主な使い道 |
|---|---|---|---|
| 国家資格 | 精神保健福祉士 | 養成課程を経て国家試験 | 医療・福祉・行政の相談職 |
| 国家資格 | 公認心理師 | 大学と大学院などで所定の科目を修めて国家試験 | 医療・教育・福祉・産業の心理支援 |
| 団体の認定資格 | 臨床心理士、産業カウンセラー | 大学院修了や講座の受講のあと審査 | 心理相談、職場のカウンセリング |
| 検定 | メンタルヘルス・マネジメント検定 | 誰でも受験できる | 職場のメンタルヘルス対策 |
自分が「専門職として働きたい」のか、「今の仕事に知識を生かしたい」のかで、選ぶべき資格はまったく変わります。この線引きを先にしておくと、資格選びで遠回りをせずに済みます。
心の不調を支える仕事の需要と社会の背景
精神保健の資格が注目される背景には、心の不調を抱える人が増え、支える人の必要性が高まっていることがあります。心理学の資格を紹介している東京未来大学のコラムも、この流れを次のように説明しています。
近年、学校や職場、日常生活といったあらゆるシーンで心理的なストレスを感じてしまい、精神的に苦痛や問題を抱える人が増えている傾向があります。 出典: tokyomirai.ac.jp
職場でも、メンタルヘルス対策は会社が取り組むべき課題として位置づけられています。厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」は、職場のメンタルヘルス対策に関わる資格を、社内の産業保健の担当者、治療に携わる人、労務の相談に乗る人、心の相談に乗る人の4つの立場に分けて紹介しています。
メンタルヘルス対策に関連する資格等には多くの種類があります。社内の体制を整えたり、外部機関に相談したりするときの参考としてください。 出典: kokoro.mhlw.go.jp
この一覧を見ると、精神保健の仕事は1つの資格で完結するものではなく、医師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師、社会保険労務士、産業カウンセラーなど、立場の違う専門職が連携して成り立っていることが分かります。たとえば休職した社員の職場復帰を支える場面では、主治医が治療を担い、産業医が働けるかどうかを判断し、保健師や心理職が本人の相談に乗り、社会保険労務士が休職と復職の手続きを整えます。
資格を選ぶときも、この「どの立場で関わるのか」を考えると選びやすくなります。相談に乗る専門職を目指すのか、会社の中で対策を進める立場なのか、自分や家族の心の健康を守るための知識が欲しいのかで、ふさわしい資格は違ってきます。需要があるからといって、自分の立場に合わない資格を取っても、仕事には結びつきにくいのが実情です。
精神保健福祉士とは:心の病を抱える人の生活を支える国家資格
精神保健福祉士は、1997年に制定された精神保健福祉士法に基づく国家資格です。英語の略称からPSWと呼ばれることもあります。試験と登録の事務は、厚生労働大臣の指定を受けた公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行っています。
法律が定める仕事の中身を、かみくだいて言うと「精神障害のある人や、心の健康に課題を抱える人の相談に乗り、生活と社会復帰を支える」ことです。病気そのものを治すのは医師の役割ですが、精神保健福祉士は、退院したあとの住まいや仕事、使える福祉サービス、家族との関係など、暮らしの側から本人を支えます。精神保健福祉士法の第41条は、仕事をするにあたって医療や障害福祉サービスの関係者と連携を保つことと、主治医がいるときはその指導を受けることを求めています。
主な職場は次のとおりです。
- 精神科病院や診療所:入院や退院の相談、退院後の生活の準備
- 障害福祉サービスの事業所:就労の支援、生活の訓練、相談の支援
- 行政:保健所、精神保健福祉センター、市区町村の相談窓口
- 企業や学校:職場のメンタルヘルス対策、スクールソーシャルワーカー
行政の相談職については、精神保健福祉法の第48条に「精神保健福祉相談員」という職が定められています。精神保健福祉相談員とは、保健所や精神保健福祉センターなどで、心の病を抱える人やその家族の相談に乗り、家庭を訪ねて支援する職員のことです。この職は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を持つ人の中から、都道府県知事や市町村長が任命すると定められています。公務員として相談の仕事に就きたい人にとって、精神保健福祉士は有力な入り口になります。
精神保健福祉士は、心理の専門職ではなく福祉の専門職です。カウンセリングで心の内面を深く扱うよりも、本人が地域で暮らしていくために、制度やサービスと人をつなぐ役割が中心です。「心の病気の人を支えたい」という動機は同じでも、心理の専門職とは仕事の重心が違うことを知っておくと、後で迷いません。
精神保健福祉士の受験資格と試験の中身
精神保健福祉士の国家試験は、誰でも受けられるわけではありません。社会福祉振興・試験センターが示している受験資格は、大きく次の4つです。
- 4年制の大学で指定科目を修めて卒業した人
- 2年制または3年制の短期大学などで指定科目を修めて卒業し、指定施設で2年以上(3年制なら1年以上)相談援助の仕事に就いた人
- 精神保健福祉士の短期養成施設(6か月以上)を卒業した人
- 精神保健福祉士の一般養成施設(1年以上)を卒業した人
指定科目とは、国が精神保健福祉士の養成に必要だと定めた科目のことで、福祉系の大学で学ぶことが多い科目です。福祉系以外の大学を卒業した社会人は、一般養成施設に1年以上通うのが一般的な道になります。短期養成施設は、福祉系の大学で基礎科目を修めた人や、相談援助の実務経験がある人などが対象です。養成施設に入学できる条件は、それぞれの養成施設が審査するので、気になる学校の募集要項を取り寄せて確かめます。通信の課程を持つ養成施設もあり、働きながら学ぶ人も少なくありません。
令和8年度の第29回試験の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 令和9年2月6日(土)専門科目、2月7日(日)共通科目 |
| 出題数 | 132問(専門科目48問、共通科目84問) |
| 出題形式 | 五肢択一を基本とする多肢選択形式 |
| 試験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県 |
| 受験手数料 | 精神保健福祉士のみ28,910円 |
| 合格発表 | 令和9年3月9日(火) |
受験の申し込みは令和8年9月3日から10月2日までで、インターネットからの申し込みに限られています。今年度の受け付けはすでに終わっているので、これから目指す人は翌年度の日程を試験センターの第29回試験の案内ページで確かめて準備します。
試験科目は、専門科目6科目と、社会福祉士と共通の12科目に分かれています。専門科目は「精神医学と精神医療」「現代の精神保健の課題と支援」「精神保健福祉の原理」「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」「精神障害リハビリテーション論」「精神保健福祉制度論」です。共通科目には、医学概論、心理学と心理的支援、社会保障、権利擁護を支える法制度、障害者福祉などが並びます。範囲が広いので、養成課程の授業と並行して過去の試験問題を解き、出題の形に慣れておくことが合格への近道です。
社会福祉士との同時受験と科目の免除
社会福祉士と精神保健福祉士は、共通科目が同じです。両方を同時に受けると受験手数料は45,020円で、別々に受けるより負担が軽くなります。また、すでに社会福祉士の登録を受けている人は、精神保健福祉士の試験で共通科目の免除を申請でき、その場合の受験手数料は22,950円です。福祉の相談職として幅を広げたい人は、2つの資格をそろえる道も検討できます。
公認心理師とは:心理支援を担う国家資格
公認心理師は、2015年に制定された公認心理師法に基づく、心理職として初めての国家資格です。試験と登録の事務は、文部科学大臣と厚生労働大臣の指定を受けた一般財団法人公認心理師試験研修センターが行っています。
公認心理師法の第2条は、公認心理師の仕事を次の4つと定めています。
- 心理的な支援が必要な人の心理状態を観察し、その結果を分析すること
- 心理的な支援が必要な人の相談に乗り、助言や指導などの援助をすること
- その人の家族など関係者の相談に乗り、援助をすること
- 心の健康についての知識を広めるための教育や情報提供をすること
精神保健福祉士が「暮らしと制度」の側から支えるのに対し、公認心理師は「心の状態」を見立てて支えるのが中心です。見立てとは、面接や心理検査を通じて、相談に来た人がどのような状態にあり、どのような支援が合うかを判断することです。働く場は、病院や診療所などの医療、児童相談所などの福祉、学校のスクールカウンセラーなどの教育、企業の相談室などの産業、家庭裁判所などの司法と幅広くあります。
公認心理師の受験資格は大学から積み上げる
公認心理師の受験資格は、精神保健福祉士より長い時間がかかります。基本の道は、大学で心理学の所定の科目を修めたうえで、大学院でも所定の科目を修めて修了する道です。大学院に進まない場合は、大学で所定の科目を修めたあと、文部科学大臣と厚生労働大臣が認めた施設で、所定のプログラムに沿って2年以上の実務を経験する道があります。
つまり、社会人がいまから公認心理師を目指す場合、心理学の科目を修めるために大学に入り直し、さらに大学院か実務経験を経る必要があります。最短でも6年ほどかかる計算になり、働きながら取るには大きな決断が要ります。試験研修センターの案内でも、受験資格は区分ごとに細かく分かれているので、自分の学歴がどの区分に当たるかを受験資格取得ルートのページで確かめるところから始めます。
第10回試験の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2027年3月7日(日) |
| 試験地 | 東京都、大阪府 |
| 受験申込受付期間 | 2026年12月1日(火)から12月25日(金)まで(消印有効) |
| 受験手数料 | 28,700円(非課税) |
| 合格発表 | 2027年3月31日(水)14時予定 |
申し込みはこれからなので、受験資格を満たす見込みの人は、受験の手引を早めに取り寄せて必要な書類をそろえておきます。
精神保健福祉士と公認心理師の違いを比べる
2つの国家資格は、どちらも心の不調を抱える人を支える仕事ですが、学ぶ内容も、取るまでの道のりも、働く場面も違います。違いを表に整理します。
| 比べる点 | 精神保健福祉士 | 公認心理師 |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 精神保健福祉士法(1997年) | 公認心理師法(2015年) |
| 専門の軸 | 福祉(生活と制度をつなぐ) | 心理(心の状態を見立てて支える) |
| 社会人の主な道 | 一般養成施設に1年以上通う | 大学で心理学を修め、大学院か実務経験 |
| 取るまでの期間の目安 | 福祉系以外の大卒なら1年以上 | 大学から積み上げると6年ほど |
| 試験の時期 | 2月 | 3月 |
| 主な職場 | 精神科病院、福祉事業所、行政 | 医療、教育、福祉、産業、司法 |
社会人が「いまの学歴を生かして、数年以内に専門職として働きたい」なら、精神保健福祉士のほうが現実的です。4年制大学を卒業していれば、一般養成施設に通うことで受験資格を得られます。一方で「心理検査やカウンセリングそのものを専門にしたい」なら、時間がかかっても公認心理師を目指す価値があります。
両方の資格を持つ人もいます。医療機関では、精神保健福祉士が退院後の生活を整え、公認心理師が心理面の支援を受け持つというように、役割を分けて連携することが多くあります。将来どちらの役割を担いたいかを考えると、取るべき資格の順番も見えてきます。
臨床心理士と産業カウンセラー:団体が認定する専門資格
国家資格ではありませんが、採用の場面で評価されることが多い専門資格もあります。代表的なのが臨床心理士と産業カウンセラーです。
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が審査して認定する資格です。公認心理師が生まれる前から心理職の代表的な資格として広く知られており、指定された大学院の修了などが受験の条件になります。「こころの耳」の一覧では、職場で相談面接や組織への助言などの心理的援助を担う専門家として紹介されています。公認心理師と両方を持っている心理職も多く、求人では「公認心理師または臨床心理士」と並べて書かれることがよくあります。
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会の養成講座を受講し、試験に合格した人が名乗れる資格です。「こころの耳」では、働く人全員を対象に、メンタルヘルスに関する教育や研修、職場の人間関係やストレスに悩む人のカウンセリングを行うと説明されています。大学院の修了を求められないので、社会人が仕事を続けながら学びやすい点が特徴です。人事部門の担当者や、キャリアの相談に乗る仕事をしている人が、話を聴く技術を身につけるために受講する例が多く見られます。
注意したいのは、こうした団体の資格は、取っただけで病院や福祉施設の専門職として採用されるものではないという点です。採用の条件として国家資格が求められる職場では、団体の資格は「あれば評価される」位置づけにとどまります。受講料や受験料は団体ごとに決まっていて改定もあるので、申し込む前に各団体の公式の案内で今年度の金額を確かめてください。
メンタルヘルス・マネジメント検定:職場の対策に生かす
会社員が職場で知識を生かすなら、大阪商工会議所が主催するメンタルヘルス・マネジメント検定試験が候補になります。受験資格は学歴・年齢・性別・国籍に制限がなく、誰でも希望のコースを受けられます。
コースは立場ごとに3つに分かれています。
- Ⅰ種(マスターコース):人事労務管理の担当者や経営幹部向け。会社全体のメンタルヘルス対策を企画し進める知識
- Ⅱ種(ラインケアコース):管理職向け。部下の不調に気づき、話を聴き、職場の環境を整える知識
- Ⅲ種(セルフケアコース):一般社員向け。自分のストレスに気づき、対処する知識
2026年度の公開試験は、第41回が2026年11月1日(日)にⅠ種からⅢ種まで、第42回が2027年3月21日(日)にⅡ種とⅢ種で行われます。第42回の一般の申し込みは2027年1月22日から2月4日までです。受験地は札幌から福岡まで全国15か所から選べます。
この検定の特徴は、専門職になるための資格ではなく、職場の一員として心の不調を防ぐための知識を確かめるものだという点です。管理職になったばかりで部下への接し方に不安がある人や、人事の担当として社内の対策を任された人には、仕事に直結する内容になっています。2026年3月には公式テキストが第6版に改訂されたと公表されているので、教材を買うときは版を確かめます。
目的別のおすすめの選び方
ここまでの内容をもとに、目的ごとにおすすめの資格を整理します。迷ったときは、次の質問に順番に答えてみてください。
心の病を抱える人の相談職として働きたい
精神科病院や福祉の事業所、行政の相談窓口で働きたいなら、精神保健福祉士が第一の候補です。社会人なら一般養成施設か短期養成施設に入ることになるので、通学か通信か、実習の期間をどう確保するかを先に考えます。養成課程には現場での実習が含まれ、まとまった日数の休みが必要になるので、今の勤め先と相談しておくことが欠かせません。
カウンセリングや心理検査を専門にしたい
心の状態を見立て、面接を通じて支える仕事を専門にしたいなら、公認心理師を目指します。大学で心理学の所定の科目を修めていない人は、大学への編入や入学から始めることになります。時間と学費の負担が大きいので、大学のオープンキャンパスや説明会で、大学院までの道筋と費用を具体的に聞いてから決めます。
今の仕事で話を聴く力を生かしたい
人事、営業、接客、教育など、今の仕事で相手の話を聴く場面が多い人は、産業カウンセラーの養成講座が候補です。講座では話の聴き方を実習で身につけるので、資格そのものよりも、学んだ技術が日々の仕事に生きます。
職場のメンタルヘルス対策を任された
管理職や人事担当になって、職場の対策を進める立場になったなら、メンタルヘルス・マネジメント検定が向いています。自分の立場に合わせてⅡ種かⅠ種を選び、まずは公式テキストで全体像をつかみます。
資格選びで失敗しないコツ
失敗しやすいのは、「心理」「メンタル」と名の付く資格を、採用の条件になるものだと思い込んで取ってしまうケースです。通信講座の中には、数日の講座と在宅の試験で取れる民間資格もあります。学ぶこと自体には意味がありますが、それだけで相談職として採用されることはほとんどありません。気になる資格があれば、その資格を認定している団体はどこか、採用の求人で応募条件として書かれているかを確かめてから申し込みます。求人を実際にいくつか見て、どの資格名が並んでいるかを数えてみるのが、もっとも確実な確かめ方です。
申し込む前に無料で分野を知る方法
資格の講座や養成施設は、費用も時間もかかります。申し込む前に、自分がこの分野に本当に関心を持ち続けられるかを、無料の情報で確かめておくと失敗が減ります。
もっとも手軽なのは、厚生労働省の「こころの耳」です。働く人、家族、管理職、支援する人など、立場ごとに読み物が分かれていて、職場のメンタルヘルス対策の基本や、休職した人の職場復帰の流れを無料で学べます。eラーニングの教材もあり、産業保健の担当者がどのように関わるかを短い時間でつかめます。ここで紹介されている仕事のうち、自分が担いたいのはどの立場かを考えると、目指す資格がはっきりしてきます。
次に、試験を実施する機関が公開している情報を読みます。社会福祉振興・試験センターは精神保健福祉士の過去の試験問題を公開しており、試験研修センターは公認心理師の出題基準を公開しています。出題基準とは、試験でどの範囲からどのくらい出すかを示した一覧のことです。実際の問題や範囲を見て「この内容を何年も学び続けられるか」を自分に問いかけると、向き不向きが見えてきます。
養成施設や大学の説明会も、多くは無料で参加できます。実習の日数、通学の頻度、卒業までの総額、卒業生の就職先を、その場で質問できる貴重な機会です。複数の学校の説明会に出て比べると、費用の差や学び方の違いがよく分かります。
資格を取るまでの費用と学び方の工夫
精神保健の国家資格は、取るまでに学費と時間がかかります。負担を軽くするために、使える制度と学び方の工夫を知っておきます。
雇用保険に入っている会社員や、離職して間もない人は、厚生労働省の教育訓練給付金の対象になる講座を選ぶと、受講費用の一部が戻る場合があります。教育訓練給付金とは、働く人が自分で仕事の能力を高めるための講座を受けたときに、雇用保険から費用の一部が支給される制度のことです。養成施設の課程が対象になっているかどうか、支給の割合や条件は講座と本人の加入期間で変わるので、申し込みの前に最寄りのハローワークで確かめます。
福祉の事業所で働きながら資格を目指す人は、勤め先が研修費用を負担してくれる場合もあります。事業所が職員の研修に使える国の助成金の仕組みについては、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、対象になる研修と申請の流れを解説しています。勤め先に資格取得を相談するときの材料にもなります。
学び方の面では、次の3つが効果的です。
- 過去の試験問題を早めに解く:精神保健福祉士の試験センターは過去の試験問題を公開しています。最初に1回分を解いて、出題の範囲と形を体で覚えます
- 科目を「制度」「医学」「援助の方法」に分ける:暗記が中心の制度の科目と、理解が中心の援助の科目では、勉強のしかたが違います。性格の違う科目を交互に進めると飽きにくくなります
- 実習の記録を教材にする:実習で出会った事例を、試験の知識と結びつけて整理すると、記述の理解が深まります
相談の仕事では、記録や報告書を書く力も欠かせません。支援の経過を分かりやすい文章にまとめる力は、職場で信頼を得るうえで大きな武器になります。文書の作り方を体系的に学びたい人は、ビジネス文書検定の内容と難易度が参考になります。
資格を生かした働き方と在宅の仕事の広がり
精神保健の資格を持つ人の働き方は、病院や施設に勤めるだけではありません。近年は、資格と専門知識を生かして、在宅や業務委託で関わる仕事も広がっています。
たとえば、メンタルヘルスや福祉制度について書かれた記事の監修や執筆、企業向けの研修資料の作成、オンラインの相談窓口の運営などです。医療や福祉の情報は、間違いがあると読む人の生活に影響するため、専門の資格を持つ人に内容の確認を頼みたいという依頼者は少なくありません。資格を持っていること自体が、内容の正しさを担保する根拠になります。
ただし、在宅でカウンセリングを行う場合は注意が必要です。医師でない人が診断をしたり、薬について助言したりすることはできません。また、公認心理師には、支援の対象者に主治医がいるときはその指示を受けることが法律で求められています。資格の範囲を超えた助言をしないこと、緊急のときにつなげる医療機関や相談窓口を決めておくことは、在宅でも勤め先でも変わらない基本です。
記事の執筆で専門性を生かしたい人は、実績の見せ方が受注を左右します。過去に書いた文章や監修した資料をどのようにまとめて見せるかは、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】が具体的な手順を示しています。専門の資格名と、扱える分野をはっきり書くだけでも、依頼する側の判断は大きく変わります。
精神保健の資格を仕事にする人を見てきた考察
フリーランスや在宅ワークの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、精神保健や福祉の資格を持つ人が在宅の仕事で長く続く場合、共通しているのは「資格の名前」ではなく「現場の経験を言葉にできること」です。精神保健福祉士や公認心理師の資格を持っていても、どのような場面でどのような支援をしてきたかを具体的に説明できる人ほど、記事の監修や研修資料の作成で繰り返し声がかかっています。
もう1つ見えている傾向は、専門職の知識を持つ人ほど、仲介の手数料がかからない直接のやりとりの価値を実感しやすいということです。監修や専門記事の仕事は、1件あたりの作業に時間がかかり、確認の手間も大きい仕事です。中間の手数料が乗らなければ、同じ予算でも依頼する側はより丁寧な確認を頼むことができ、受ける側は手元に残る報酬が厚くなります。専門性の高い仕事ほど、この構造の違いが働き続けられるかどうかに直結します。
専門知識を生かして文章の仕事を受ける場合、報酬の上げ方には順序があります。Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】では、専門分野を絞って単価を上げていく道筋を紹介しています。また、心理学の研究や調査に関わる仕事をしたい人は、研究者の年収・単価相場で、研究職の報酬の目安を確かめられます。
精神資格を選ぶときは、まず自分が専門職として相談の現場に立ちたいのか、今の仕事に知識を生かしたいのかを決めてください。専門職を目指すなら、精神保健福祉士と公認心理師のどちらが自分の学歴と時間に合うかを、試験を実施する2つの機関の案内で確かめます。職場で生かすなら、メンタルヘルス・マネジメント検定の次回の申し込み期間を確かめ、公式テキストを手に取るところから始めると、無理なく一歩目を踏み出せます。
よくある質問
Q. 精神保健福祉士と公認心理師はどちらが取りやすいですか?
社会人にとっては、精神保健福祉士のほうが受験資格を得るまでの期間が短い傾向があります。4年制大学を卒業していれば、一般養成施設に1年以上通うことで受験資格を得られます。公認心理師は大学で心理学の所定の科目を修め、さらに大学院か認められた施設での2年以上の実務が必要です。試験の難しさは人によって違うので、受験資格の道のりで比べるのが現実的です。
Q. 民間の心理系資格だけで相談の仕事に就けますか?
病院や福祉施設、行政の相談職では、精神保健福祉士や公認心理師などの国家資格が応募の条件になることが多く、民間資格だけで採用されるのは難しいのが実情です。民間資格は、今の仕事で話を聴く力を生かしたり、職場のメンタルヘルス対策に役立てたりする目的で取ると生かしやすくなります。申し込む前に、求人で応募条件として書かれているかを確かめると安心です。
Q. 精神保健福祉士の試験はいつ申し込めばよいですか?
令和8年度の第29回試験は、申し込みが令和8年9月3日から10月2日まで、試験日が令和9年2月6日と7日でした。毎年おおむね同じ時期に行われるので、翌年度に受ける人は夏ごろから社会福祉振興・試験センターの案内を確かめ、受験資格を証明する書類を早めにそろえておきます。申し込みはインターネットに限られています。
Q. 管理職ですが、部下のメンタルヘルスについて学べる資格はありますか?
大阪商工会議所のメンタルヘルス・マネジメント検定のⅡ種(ラインケアコース)が、管理職向けの内容です。部下の不調に気づく方法や話の聴き方、職場の環境づくりを学べます。受験資格に制限はなく、2026年度は11月と翌年3月に公開試験があります。人事の担当として会社全体の対策を進める立場なら、Ⅰ種(マスターコース)も候補になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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