心のケアに関わる資格の種類と、仕事での活かし方の違い


この記事のポイント
- ✓心のケアに関わる資格を
- ✓職場の心の健康を学ぶ検定
- ✓民間の講座の資格の4つに分けて説明します
心のケアに関わる資格を調べている人の多くは、「悩んでいる人の力になりたい」「職場で部下や同僚の様子に気づけるようになりたい」「心理の仕事に就きたい」といった思いを持っています。ひとくちに心のケアの資格と言っても、大学や大学院で学んで国家試験に合格する国家資格から、数日の講座で取れる民間の資格まで、取り方も、仕事でできることも大きく違います。資格の名前だけで選ぶと、取った後に「思っていた仕事につながらなかった」ということになりかねません。この記事では、心のケアに関わる資格を4つの種類に分けて整理し、それぞれの取り方と仕事での活かし方の違い、選ぶときに確かめたいことを説明します。
心のケアの資格は4つの種類に分かれる
心のケアに関わる資格は、認定する主体と取り方で、大きく次の4つに分けると整理しやすくなります。
| 種類 | 主な例 | 取り方の特徴 |
|---|---|---|
| 国家資格 | 公認心理師、精神保健福祉士 | 決められた学校や課程を修了し、国家試験に合格して登録する |
| 協会などの認定資格 | 臨床心理士、産業カウンセラー | 認定する団体の受験資格を満たし、試験に合格する |
| 職場の心の健康を学ぶ検定 | メンタルヘルス・マネジメント検定 | 受験資格の制限がなく、試験に合格する |
| 民間の講座の資格 | 各団体が認定するさまざまな資格 | 団体の講座を受け、試験や課題を修了する |
この4つは、学ぶ期間も費用も、取った後に任される仕事も違います。心理の専門職として相談の仕事をしたいのか、今の仕事の中で心の健康の知識を生かしたいのか、自分や家族のために学びたいのかで、選ぶべき資格は変わります。
また、心のケアの資格には、取れば何でもできるという性格のものはありません。病気の診断や治療は医師の仕事であり、どの資格を持っていても、医師の代わりに診断をしたり、治療の方針を決めたりはできません。心の不調が疑われる人に接するときは、医療機関や専門の相談窓口につなぐことも、心のケアに関わる人の大切な役割です。
資格を選ぶ前に考えたい3つの問い
心のケアの資格は種類が多く、名前も似ているので、選ぶ前に自分の目的を整理しておくと迷いにくくなります。次の3つの問いに答えてみてください。
問い1:誰の心を支えたいのか
病気や障害のある人を支えたいのか、職場の同僚や部下を支えたいのか、家族や自分自身のために学びたいのかで、選ぶ資格は変わります。病気や障害のある人を専門職として支えるなら国家資格、職場の人を支えるなら産業カウンセラーやメンタルヘルス・マネジメント検定、自分や家族のためなら検定や民間の講座が候補になります。
問い2:それを仕事にするのか、今の仕事に生かすのか
心のケアを仕事そのものにしたいなら、求人の条件になっている資格を目指す必要があります。病院や学校の心理職の求人の多くは、公認心理師や臨床心理士を条件にしています。一方、今の仕事に知識を生かしたいなら、学ぶ期間が短く、働きながら取り組める資格から始めるのが現実的です。
問い3:どのくらいの時間と費用をかけられるのか
国家資格は、大学や大学院、養成施設で学ぶ期間が必要で、数年単位の時間と学費がかかります。検定は、テキストでの学習と受験料で取り組めます。今の生活の中で、1週間にどのくらいの時間を学びに使えるか、学費をどこまで用意できるかを考え、無理のない計画を立てます。
3つの問いに答えると、「職場の部下を支えたいので、まずⅡ種のラインケアコースを受け、その後に産業カウンセラーの養成講座を考える」のように、具体的な道筋が見えてきます。
国家資格:公認心理師
公認心理師は、心理の分野で初めてできた国家資格です。公認心理師法という法律にもとづく資格で、法律の第2条では、公認心理師を次のように定めています。
この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。 出典: laws.e-gov.go.jp
法律が挙げている行為は、次の4つです。
- 心理に関する支援を要する人の心理状態を観察し、その結果を分析すること
- 心理に関する支援を要する人の相談に応じ、助言や指導などの援助を行うこと
- 支援を要する人の家族などの関係者の相談に応じ、助言や指導などの援助を行うこと
- 心の健康に関する知識を広めるための教育と情報の提供を行うこと
名前を名乗れるのは登録した人だけ
公認心理師は、登録を受けた人だけが「公認心理師」という名前を名乗れる資格です。こうした資格は「名称独占」と呼ばれます。名称独占とは、資格のない人がその名前を名乗ることを禁じる仕組みのことで、資格がなければ相談の仕事そのものができないという意味ではありません。
取り方
厚生労働省のページによると、公認心理師試験の受験資格を得る道(受験ルート)は7つあります。代表的なのは、大学で心理学の決められた科目を学んだうえで、大学院で決められた科目を修めるか、決められた施設で一定の期間の実務の経験を積む道です。試験は、指定の試験機関である一般財団法人公認心理師試験研修センターが行っていて、2026年9月には第10回の試験の実施が案内されています。受験資格の細かな条件は、厚生労働省の公認心理師のページと試験研修センターの案内で確かめてください。
働く場所
公認心理師が働く場所は、法律の定義にあるとおり、保健医療、福祉、教育などの分野にまたがります。病院やクリニック、学校、児童の相談の機関、福祉の施設、企業の健康管理の部門などです。大学と大学院で学ぶ期間が長く、社会人が働きながら目指すには、学び直しの計画をしっかり立てる必要があります。
国家資格:精神保健福祉士
精神保健福祉士は、心の病気のある人の生活や社会参加を支える国家資格です。心理の専門職というより、福祉の専門職として、医療機関や地域の支援の機関で、退院した後の暮らしや仕事、福祉の制度の利用などの相談を受け持ちます。
取り方
精神保健福祉士国家試験は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行っています。受験資格は、福祉系の大学などで決められた科目を修めるか、養成施設を修了するなどの道があり、学んだ学校や実務の経験によって道が分かれます。センターの案内では、第29回の試験の受験の申し込みが2026年9月3日に始まり、受付の期限は10月2日と案内されていました。受験資格の取得の道は、センターのサイトにある資格取得ルート図で確かめられます。
働く場所
精神保健福祉士が働く場所には、精神科のある病院やクリニックの相談室、地域で暮らす人を支える相談の事業所、障害のある人の就労を支える事業所、行政の保健や福祉の窓口などがあります。病院では、入院している人が退院した後の住まいや仕事、福祉の制度の利用の相談を受け持ち、地域では、暮らしの中の困りごとに寄り添います。医師や看護師、公認心理師など、ほかの専門職と一緒に支える場面が多いのも特徴です。
公認心理師との違い
公認心理師が心理学の知識と技術で心の状態を見立て、相談に応じるのに対して、精神保健福祉士は、福祉の制度や地域の資源を使って、生活の困りごとの解決を支えます。同じ「心のケア」でも、支える角度が違います。両方の資格を持って働く人もいます。
協会などの認定資格:臨床心理士と産業カウンセラー
国家資格のほかに、協会や学会などの団体が認定する資格があります。団体が独自に審査して認定する資格で、長い歴史を持つものもあります。
臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。協会のサイトでは、臨床心理士を「臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”」と紹介しています。臨床心理士になるには、協会の資格試験に合格することが必須の条件で、受験には所定の受験資格が必要です。協会のサイトでは、受験資格に関わる指定の大学院の一覧なども案内されています。資格には更新の制度もあり、取った後も研修を続けて資格を保つ形です。
公認心理師ができる前から、病院や学校のカウンセラーの仕事で広く求められてきた資格で、今も求人の条件に「臨床心理士または公認心理師」と並べて書かれることがあります。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が行う試験の資格です。協会のサイトでは、産業カウンセラーを、働く人や組織が抱える問題を自ら解決できるよう、心理的な手法を用いて支援するカウンセラーと説明しています。ハラスメント、心の不調、人間関係や職場の環境の問題を、働く現場に通じた立場から支えるのが役割です。
協会のサイトによると、産業カウンセラーの試験には1級と2級があり、「産業カウンセラー試験」は厚生労働省の認定団体検定を取得したと案内されています。協会は産業カウンセラー養成講座も開いていて、講座で傾聴の技法などを学んでから試験に進む人が多くいます。講座の内容、受験の条件、日程は協会のサイトで確かめてください。
産業カウンセラーは、企業の人事や総務の担当者、管理職、キャリアの相談に関わる人が、職場で相談に乗る力を身につけるために取ることもある資格です。協会は、国家資格であるキャリアコンサルタントの養成講習も行っています。
職場の心の健康を学ぶ検定:メンタルヘルス・マネジメント検定
職場で働く人の心の健康を守る知識を学ぶ検定として、大阪商工会議所などが行うメンタルヘルス・マネジメント検定試験があります。検定の公式サイトでは、試験のねらいを、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて必要な心のケアの知識や対処の方法を身につけてもらうものと説明しています。
3つのコース
検定には、職場での役割に応じた3つのコースがあります。
- Ⅰ種(マスターコース):人事や労務の担当者、経営に関わる人向け。会社全体の心の健康の対策を考える
- Ⅱ種(ラインケアコース):管理職向け。部下の心の健康を気づかい、支える
- Ⅲ種(セルフケアコース):働く人すべて向け。自分の心の健康を自分で管理する
「ラインケア」とは、管理職が部下の心の健康に気を配り、職場の環境を整えることを指す言葉です。「セルフケア」は、自分自身でストレスに気づき、対処することです。
試験の日程と受験料
公式サイトの公開試験の案内では、試験は年2回、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡など全国15都市の会場で行われます。2026年度は、第41回が2026年11月1日、第42回が2027年3月21日で、3月の回はⅡ種とⅢ種だけです。受験料(消費税込み)は次のとおりです。
| コース | 受験料 |
|---|---|
| Ⅰ種(マスターコース) | 11,550円 |
| Ⅱ種(ラインケアコース) | 7,480円 |
| Ⅲ種(セルフケアコース) | 5,280円 |
受験資格は、学歴、年齢、性別、国籍に制限がなく、希望のコースを受けられます。Ⅰ種とⅡ種、Ⅱ種とⅢ種は同じ日に受けることもできます。第41回以降の公開試験は、公式テキストの第6版にもとづいて出題されると案内されています。最新の日程はメンタルヘルス・マネジメント検定試験の公開試験のページで確かめてください。
この検定は、相談の専門職になるための資格ではなく、働く人が自分や職場の心の健康を守るための知識を身につける検定です。受験資格の制限がないので、心のケアの学びの入口としても選びやすいものです。
民間の講座の資格
心のケアに関わる資格には、民間の団体が認定するものも数多くあります。「心理カウンセラー」「メンタルケア」「心理学」などの言葉が名前に入った資格で、通信の講座や数日の講座を受け、試験や課題を修了して取る形が一般的です。
民間の資格の特徴
民間の資格は、短い期間で学べ、費用も国家資格に比べて抑えられるものが多くあります。自分や家族の心の健康のために学びたい人、今の仕事で人の話を聞く場面が多い人が、基礎の知識を学ぶきっかけにはなります。
一方で、民間の資格は、団体ごとに学ぶ内容も、試験の水準も大きく違います。同じような名前でも、認定している団体が違えば別の資格です。また、民間の資格を取っても、それだけで病院や学校の心理職として採用されるとは限りません。心理の専門職の求人では、公認心理師や臨床心理士が条件になっていることが多いからです。
選ぶときに確かめること
民間の資格を選ぶときは、次の点を確かめます。
- 認定している団体の名前、所在地、連絡先がはっきり示されているか
- 講座で何を、どのくらいの時間学ぶのかが示されているか
- 試験の形と合格の基準が示されているか
- 講座の費用と、資格の登録や更新の費用がいくらかかるか
- 取った後に「何ができるようになる」と案内しているか。誇大な説明がないか
「この資格を取れば高収入のカウンセラーになれる」「すぐに独立して開業できる」といった説明には注意が必要です。資格の名前だけで仕事が得られるわけではなく、相談の仕事には経験と、医療機関や専門の窓口との連携が欠かせません。
資格ごとに仕事でできることの違い
4つの種類の資格は、取った後の仕事でできることが違います。
心理の専門職として働く
病院、学校、福祉の施設、企業などで、心理の専門職として相談や心理の検査を受け持ちたい場合は、公認心理師や臨床心理士が求められることが多くあります。求人の条件をよく見て、どちらが求められているかを確かめます。
福祉の専門職として働く
心の病気のある人の生活や社会参加を支えたい場合は、精神保健福祉士が中心の資格になります。医療機関の相談室、地域の支援の機関、障害のある人の就労を支える事業所などで働きます。
職場の心の健康づくりに関わる
人事や総務、管理職の立場で、職場の心の健康づくりに関わりたい場合は、メンタルヘルス・マネジメント検定や産業カウンセラーが役に立ちます。会社のストレスチェックの運用、相談の窓口の設け方、休職した人の職場への復帰の支え方などを学べます。
今の仕事に生かす
接客、介護、保育、教育、営業など、人と接する仕事では、心のケアの知識が日々の対応に生かせます。相手の話を最後まで聞く、気持ちを受け止めてから話を進める、といった傾聴の基本は、どの仕事でも信頼を築く助けになります。
自分と家族のために学ぶ
資格を仕事に使う予定がなくても、自分や家族の心の健康のために学ぶことには意味があります。ストレスの仕組みや、心の不調のサインを知っておくと、早めに休む、専門家に相談するといった判断がしやすくなります。
傾聴の基本を知っておく
心のケアの資格の多くで、最初に学ぶのが「傾聴」です。傾聴とは、相手の話を、評価や助言をはさまずに、気持ちに寄り添いながら聞くことを指します。資格を取る前でも、傾聴の基本を知っておくと、職場や家庭での会話が変わります。
最後まで聞く
相手が話している途中で、自分の意見や経験を話し始めないようにします。相手が言葉に詰まったときも、すぐに言葉を足さず、少し待ちます。最後まで聞いてもらえたという感覚が、相手の安心につながります。
気持ちを受け止める
「それはつらかったですね」「不安に感じているのですね」のように、相手の気持ちを言葉にして返します。内容に賛成できなくても、相手がそう感じていること自体は受け止めます。
すぐに助言をしない
悩みを聞くと、つい「こうすればいい」と助言したくなります。しかし、相手が求めているのは、解決策より先に、気持ちを分かってもらうことである場合が少なくありません。助言は、相手が求めたときや、気持ちを十分に聞いた後にします。
専門家につなぐ判断をする
傾聴は大切ですが、聞く側がすべてを抱え込む必要はありません。相手の様子が普段と大きく違う、眠れない日や食べられない日が続いている、といった様子が見られたら、医療機関や専門の相談窓口を勧めます。「一緒に相談先を調べてみませんか」と声をかけるのも一つの方法です。
職場で心のケアの知識が役立つ場面
心のケアの知識は、資格を仕事にしない人にとっても、職場のさまざまな場面で役立ちます。
部下や後輩の変化に気づく
遅刻が増えた、表情が暗くなった、ミスが続くようになった、といった変化は、心の不調のサインであることがあります。管理職が心の健康の知識を持っていると、こうした変化に早く気づき、声をかけるきっかけをつかめます。声をかけるときは、責めるのではなく、「最近、疲れているように見えるけれど、大丈夫ですか」と気づかう形で話します。
職場の環境を整える
長い時間の労働、人間関係のもつれ、仕事の量と裁量の釣り合いの悪さなどは、心の負担の原因になります。メンタルヘルス・マネジメント検定のⅠ種やⅡ種では、こうした職場の要因を見つけ、改善する考え方を学べます。
休んだ人の職場への復帰を支える
心の不調で休んだ人が職場に戻るときは、仕事の量を少しずつ戻す、相談できる相手を決めておく、といった配慮が必要です。復帰の進め方は会社の決まりや主治医の意見を踏まえて決めるもので、職場の誰か1人の判断で進めるものではありません。心のケアの知識があると、本人と会社と医療の間の調整の役割を理解しやすくなります。
自分のストレスに気づく
心のケアの知識は、自分自身を守るためにも役立ちます。こころの耳には、5分でできる職場のストレスのセルフチェックが用意されています。自分の状態を定期的に確かめ、無理が続いていると感じたら、早めに休む、誰かに相談する、といった行動につなげます。
心のケアに関わる人が気をつけたいこと
心のケアの資格を取って人の相談に乗る立場になったら、次の点に気をつけます。
自分の役割の範囲を知る
どの資格を持っていても、診断や治療は医師の仕事です。相談を受けている人に、心の病気が疑われる様子や、命に関わる危険のサインが見られたときは、自分だけで抱えず、医療機関や専門の相談窓口につなぎます。
秘密を守る
相談の内容は、相談した人にとって大切な秘密です。公認心理師法にも秘密を守る義務の定めがあります。資格の種類を問わず、相談で聞いたことをみだりに人に話さないことは、心のケアに関わる人の基本です。
自分の心の健康も守る
人の悩みを聞き続けることは、聞く側の心にも負担がかかります。相談に乗る立場の人こそ、自分のストレスに気づき、休むことや、自分も誰かに相談することを大切にします。
相談先を知っておく
働く人の心の健康については、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に、電話やSNS、メールで相談できる窓口がまとめられています。自分が相談に乗る立場になったときも、つなぎ先として知っておくと役に立ちます。
心のケアの資格についてのよくある思い違い
心のケアの資格を調べていると、いくつかの思い違いに出会います。資格を選ぶ前に整理しておきます。
「カウンセラー」という名前の資格がある
「カウンセラー」という言葉そのものは、国家資格の名前ではありません。民間の資格の名前に「カウンセラー」が入っていることは多くありますが、それぞれの団体が独自に認定するもので、中身は団体ごとに違います。国家資格として法律で定められているのは、公認心理師や精神保健福祉士などです。
資格があれば開業してすぐに相談の仕事ができる
資格を取ることと、相談の仕事を安全に続けられることは別のことです。相談を受ける人を守るためには、十分な知識と経験、緊急の場面での医療機関との連携が欠かせません。資格を取っただけで経験のないまま相談を始めると、相談する人を危険にさらすことにもなりかねません。多くの専門職は、医療や福祉、教育の現場で経験を積んでから、仕事の幅を広げています。
心のケアの資格を持てば、心の病気を治せる
前の節でも触れたとおり、病気の診断や治療は医師の仕事です。心のケアの専門職は、医師と連携しながら、相談や生活の支え、心の状態の見立てなどで役割を担います。資格の名前に「心理」や「メンタル」が入っていても、治療ができるという意味ではありません。
一度取れば学び直しは要らない
心理や福祉の知識、職場の心の健康の制度は、少しずつ変わっていきます。臨床心理士のように更新の制度がある資格もあり、メンタルヘルス・マネジメント検定も、公式テキストの改訂に合わせて出題が変わります。資格を取った後も、研修や新しい資料で学び続けることが、相談する人を守ることにつながります。
資格を取った後に学び続ける
心のケアに関わる人にとって、資格はゴールではなく出発点です。学び続けるための方法を挙げます。
研修や研究会に参加する
資格を認定する団体の多くは、取った人向けの研修を開いています。公認心理師試験研修センターも、試験とは別に研修の案内を出しています。新しい知識や支援の方法を学ぶ機会として活用します。
経験のある人に相談する
相談の仕事では、自分の対応が適切だったかを、経験のある人に相談して振り返る仕組みがあります。日本産業カウンセラー協会のサイトでも、こうした振り返りの指導(スーパービジョン)の案内があります。1人で抱え込まず、振り返りの機会を持つことが、質の高い支援につながります。
公的な情報を確かめる習慣をつける
職場の心の健康の制度や、相談窓口の情報は、厚生労働省のこころの耳などの公的なサイトで確かめる習慣をつけます。インターネットには根拠のはっきりしない情報も多いので、人に伝える前に公的な資料で確かめることが大切です。
学び方と費用の考え方
心のケアの資格は、種類によって学ぶ期間も費用も大きく違います。
国家資格を目指す場合
公認心理師や精神保健福祉士は、大学や大学院、養成施設で学ぶ期間が必要で、数年単位の学び直しになります。社会人が目指す場合は、通信制の大学や夜間の課程を利用する人もいます。学費に加えて、実習のための時間の確保も必要です。勤め先に学び直しの支援の制度があるかを確かめると、負担を抑えられることがあります。
協会の資格や検定を目指す場合
産業カウンセラーは養成講座の受講から始める人が多く、講座の期間と費用は協会の案内で確かめます。メンタルヘルス・マネジメント検定は、公式テキストで学び、受験料だけで受けられるので、働きながらでも取り組みやすい検定です。
会社の制度を使う
社員の学び直しを支える会社の制度として、国の人材開発支援助成金があります。会社が社員に職業訓練などを受けさせるときの経費や、訓練の間の賃金の一部を助成する制度です。対象になる訓練や条件は、厚生労働省の案内で確かめます。介護や福祉の事業所での活用の例は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で取り上げています。
資格を在宅の仕事につなげる
心のケアの資格や知識は、在宅の仕事にもつなげられます。
心の健康についての記事を書く
心の健康や働き方についての記事を書く仕事では、心のケアの知識があると、正確で読み手に寄り添った文章が書けます。ただし、医療や健康の記事では、読み手の行動を左右する断定をしない、公的な資料で確かめた事実だけを書く、といった注意が特に求められます。記事の仕事を受けるときの作品の見せ方は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】が参考になります。
オンラインの相談の仕事
オンラインのカウンセリングのサービスに所属して相談を受ける働き方もあります。こうしたサービスでは、公認心理師や臨床心理士などの資格を応募の条件にしていることが多く、資格の種類によって受けられる仕事が変わります。応募の前に、サービスが求める資格と経験、相談の形、緊急時の対応の決まりを確かめます。
研修や教材づくり
職場の心の健康づくりの研修の資料や、学び直しの教材を作る仕事もあります。メンタルヘルス・マネジメント検定や産業カウンセラーで学んだ内容は、こうした仕事の土台になります。
心のケアの仕事と働き方について見てきたこと
在宅ワークやフリーランスの仲介を20年続けてきた運営者として見てきた限りでは、心のケアに関わる仕事を長く続けている人ほど、自分の資格でできることとできないことの線をはっきり引いています。相談の仕事でも、記事を書く仕事でも、「ここから先は医師や専門の窓口の役割」と伝えられる人のほうが、依頼する側からも相談する側からも信頼されています。資格の名前より、その線引きの確かさが、仕事を任される理由になっていると感じます。
仲介の手数料が乗らない直接の取引は、手数料0%で依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなる、双方に得のある形です。心のケアの知識を生かした記事や研修の仕事を直接受ける場合も、できることの範囲を最初に伝えておくことが、気持ちのよい取引につながります。
相談の記録や報告書、研修の資料を書く仕事では、文書を正確に書く力も求められます。その基礎を確かめる検定として、ビジネス文書検定があります。文章の仕事の報酬を上げていく考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で整理しています。
よくある質問
Q. 心のケアの資格で、いちばん信頼されるのはどれですか?
目的によって違います。病院や学校などで心理の専門職として働くなら、国家資格の公認心理師や、協会が認定する臨床心理士が求人の条件になることが多くあります。職場の心の健康づくりに関わるなら、産業カウンセラーやメンタルヘルス・マネジメント検定が役立ちます。どの資格でも、診断や治療は医師の仕事である点は変わりません。
Q. 社会人でも公認心理師を目指せますか?
目指せますが、時間がかかります。厚生労働省の案内では受験資格を得る道は7つあり、代表的なのは大学で心理学の決められた科目を学び、大学院で学ぶか決められた施設で実務の経験を積む道です。社会人は通信制の大学や夜間の課程を使う人もいます。受験資格の条件は厚生労働省と試験研修センターの案内で確かめてください。
Q. メンタルヘルス・マネジメント検定は誰でも受けられますか?
受けられます。公式の案内では、学歴、年齢、性別、国籍に制限がなく、希望のコースを受験できます。Ⅰ種は人事や労務の担当者、Ⅱ種は管理職、Ⅲ種は働く人すべてが対象の内容です。公開試験は年2回、全国15都市で行われ、2026年度は11月1日と2027年3月21日が試験日です。
Q. 民間の心理の資格を取れば、カウンセラーとして働けますか?
民間の資格だけで病院や学校の心理職として採用されるとは限りません。心理の専門職の求人では、公認心理師や臨床心理士が条件になっていることが多いからです。民間の資格は基礎を学ぶきっかけにはなりますが、認定する団体、学ぶ内容、取った後にできることを確かめ、誇大な説明のある講座には注意してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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