産休中にできる副業の範囲と、会社と手当への届け出


この記事のポイント
- ✓産休中にできる副業の範囲を
- ✓育児休業給付金の就業日数の上限
- ✓税金と扶養の線まで一次資料に沿って整理しました
産休中にできる副業を調べている人が知りたいのは、「やってもいいのか」ではなく「やったら手当が止まらないか、会社に怒られないか」という2点だと思います。結論から書きます。産後8週間の就業禁止は、他人に雇われて働く形にかかる規定で、自分の裁量で進める業務委託には直接かかりません。一方、出産手当金は「休んだ期間」に対して支払われる給付なので、本業を休んでいる事実が崩れなければ、別の収入があっても止まる仕組みにはなっていません。ただし条件があり、扶養に入っている場合は別の線が出てきます。この記事では、条文と給付の条件を1つずつ確かめながら、どこまでが範囲なのかを整理します。体の回復については個人差が大きく、医師の判断が最優先になるので、この記事は制度の側だけを扱います。
産休の期間は法律でどう決まっているのか
まず期間を確かめます。労働基準法第65条が産前と産後の休業を定めていて、条文はこうなっています。
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。 2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。 出典: laws.e-gov.go.jp
産前と産後で、条文の書き方が違う点に注目してください。産前は「休業を請求した場合」に就業させてはならない、という形です。本人が請求しなければ働けます。産後は請求の有無に関わらず「就業させてはならない」となっています。本人が働きたいと言っても、使用者は働かせられません。
産後だけが例外つきの絶対的な禁止になっているのは、体の回復に時間が必要だという前提が制度に組み込まれているからです。ただし但し書きがあり、産後6週間を過ぎたあとに本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務であれば就業できます。この2つの条件が揃わないと例外は使えません。
日数の数え方も確かめておきます。産前の6週間は出産予定日を含めて数え、実際の出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間も産前休業に含まれます。産後の8週間は出産日の翌日から数えます。予定日と実際の出産日がずれると期間の境目が動くので、給付の申請時期にも影響します。
同法第66条には、妊産婦が請求した場合に時間外労働や休日労働、深夜業をさせてはならないという規定もあります。産前に働く選択をした場合でも、請求すれば働き方を軽くできる根拠です。
産後8週間の就業禁止は、どこまで及ぶのか
ここが多くの人が迷う部分です。条文の主語を見ると答えが出ます。第65条第2項の主語は「使用者」です。つまり、労働契約を結んで人を働かせる側に向けた規定です。
この構造から、次のように整理できます。本業の会社に雇われている状態で働く形は、産後8週間のあいだ認められません。別の会社に新しく雇われて働く形も、その会社が使用者になるので同じです。時間の短いアルバイトでも、雇用契約であれば同じ規定がかかります。
一方、業務委託として自分の裁量で仕事を受ける形は、使用者がいません。労働基準法の適用対象になる労働者としての働き方ではないので、第65条第2項の直接の対象ではありません。文章を書いて納める、絵を描いて納める、自分の商品を売る、といった形がここに入ります。
ただし、この整理を「業務委託なら自由」と読むと誤ります。理由が3つあります。
1つめは、契約の名前ではなく実態で判断される点です。業務委託という名前でも、作業の時間や場所を指示され、断る自由がなく、他人の指揮のもとで働いているなら、労働者として扱われることがあります。判断は実態で行われるので、名前だけでは決まりません。
2つめは、健康の問題です。制度が働かせないことにしている期間に、自分の判断で作業を入れる形になります。体の状態は個人差が大きく、出産後の経過も人によって違います。作業を入れるかどうかは、医師に状況を伝えて確認したうえで決める話です。
3つめは、次の節で扱う出産手当金との関係です。条文の規定とは別の条件が付いてきます。
出産手当金が出る条件と、副業収入との関係
出産手当金は健康保険から出る給付で、産休中の収入を支える仕組みです。条件を正確に押さえると、副業との関係が見えます。全国健康保険協会の説明は次のとおりです。
被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。 出典: kyoukaikenpo.or.jp
条件は2つです。「会社を休んだ」ことと、「その間に給与の支払いを受けなかった」ことです。この「給与」は、健康保険の被保険者になっている勤め先から支払われる給与を指します。別の場所から受け取る業務委託の報酬は、この勤め先からの給与ではありません。
金額の計算も確かめておきます。支給開始日以前の12か月間の標準報酬月額を平均し、それを30で割った額の3分の2が、1日あたりの金額です。支給開始日以前の被保険者期間が12か月に満たない場合は、直近の継続した各月の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均額のうち低いほうを使います。この全被保険者の平均額は、支給開始日が令和7年4月1日以降なら32万円、令和7年3月31日以前なら30万円です。
休んだ期間に勤め先から一部の給与が支払われる場合の扱いも決まっています。同じページには、給与の日額が出産手当金の日額より少ない場合は差額が支給されると書かれています。全額止まるのではなく、差額が調整される仕組みです。
ここまでを整理すると、出産手当金の観点では、勤め先を休んでいる事実と、勤め先から給与が出ていない事実が保たれていれば、別の場所から報酬を受け取っても給付の条件を崩す構造にはなっていません。ただし、勤め先を休んでいるはずの期間に、その勤め先のために働いていたと見られる形は避けます。在宅で本業の業務を少しだけ処理する、という運用が一番危ない形です。それは休んでいない扱いになりかねません。
出産育児一時金も同じページ群に案内があります。1児につき50万円が支給され、多胎の場合は胎児の数に応じて支給されます。医療機関が直接受け取る制度を使うと、退院時に支払う額がその分減ります。この給付は働いたかどうかに関係しません。
産休のあとに続く育児休業給付では、就業に上限がある
産休が終わったあと育児休業に入る場合、ここからは条件が変わります。混同すると計算が合わなくなるので、分けて押さえます。
育児休業給付金は雇用保険から出る給付です。雇用保険法第61条の7が定めていて、休業を開始した日から通算180日に達するまでは休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の67%、それ以降は50%が支給されます。
ここに、就業の上限があります。雇用保険法施行規則は、支給の対象になる休業を次の範囲に限っています。
法第六十一条の七第五項に規定する支給単位期間において公共職業安定所長が就業をしていると認める日数が十日(十日を超える場合にあつては、公共職業安定所長が就業をしていると認める時間が八十時間)以下であるもの 出典: laws.e-gov.go.jp
1か月ごとの単位期間で、就業した日数が10日以下であること。10日を超える場合は、就業した時間が80時間以下であること。この範囲を超えると、その単位期間の給付が出ません。
さらに、賃金による調整もあります。同法第61条の7は、休業した被保険者に勤め先から賃金が支払われた場合、その賃金と給付の合計が休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の80%以上になるときは、80%相当額から賃金を引いた額に減らすと定めています。賃金だけで80%以上になると、給付は支給されません。
この就業日数と時間の上限は、雇用されている勤め先での就業を数えます。業務委託の作業がどう扱われるかは、事情によって判断が分かれる部分です。ハローワークに状況を具体的に伝えて確認してください。ここは自分で結論を出さないほうがいい領域です。
産休のあとに受けられる給付は、ほかにもあります。厚生労働省は、両親がともに育児休業を取得する場合の給付について、通常の育児休業給付の67%と合わせて80%の給付率となり、手取りで10割相当になると案内しています。育児のために時短で働く場合の給付もあります。制度は組み合わせで効くので、自分が対象になる給付を一度並べて確かめる価値があります。
産休中は社会保険料が免除される。この仕組みを崩さない
副業を考えるときに知っておきたい制度がもう1つあります。産前産後休業の期間は、社会保険料が免除されます。健康保険法第159条の3の条文はこうです。
産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。 出典: laws.e-gov.go.jp
免除されるのは、本人の負担分と会社の負担分の両方です。厚生年金保険にも同じ趣旨の規定があり、免除された期間も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金額が減りません。免除を受けるには事業主が申出をする必要があるので、産休に入る前に手続きが済んでいるかを確かめておきます。
重要なのは、この免除が「産前産後休業をしている被保険者」を対象にしている点です。休業していることが前提なので、副業の形が本業の休業と矛盾しないようにします。ここまで書いてきた話と同じ結論になりますが、本業の勤め先の業務を在宅で進める形が、いちばん危ないです。免除も出産手当金も、休業の事実に乗っている制度なので、その事実が崩れると両方に影響します。
育児休業に入ったあとも、保険料の免除は続きます。こちらは子が3歳になるまでの育児休業等の期間が対象で、やはり事業主の申出が必要です。産休から育休へ切り替わるタイミングで手続きが漏れることがあるので、給与明細で控除額を確かめておくと気づけます。
もう1つ、押さえておきたい制度があります。産休に入る前に体調を崩して働けなくなった場合、傷病手当金の対象になることがあります。ただし出産手当金と傷病手当金は重複して受け取れません。協会けんぽの案内では、傷病手当金の支給額が出産手当金の支給額より多い場合に、その差額が傷病手当金として支給されるとされています。どちらか有利なほうを選ぶ形ではなく、自動的に調整される仕組みです。
申請の時期と、手続きの流れを先に押さえる
給付は自動では出ません。手続きの時期を知っておくと、入金の遅れで慌てません。
出産手当金は、産休が終わってからまとめて申請する形が一般的です。会社の担当者が書類を用意し、医師または助産師が出産の証明を記入し、事業主が休業と給与の支払い状況を証明します。産休期間を区切って複数回に分けて申請することもできますが、そのつど証明が必要になるため、会社の運用によって扱いが変わります。入金までの期間は、申請から1か月から2か月程度かかることが多いです。産休に入る前に、会社がどの運用を取っているかを確かめておくと、資金の見通しが立ちます。
出産育児一時金は、医療機関が直接受け取る制度を使うのが一般的です。出産予定の医療機関で「直接支払制度の利用に合意する文書」の内容に同意する形になります。この制度を使うと、退院時に窓口で払う額が一時金の分だけ減ります。出産にかかった費用が一時金を下回った場合は、差額を請求できます。協会けんぽの案内では、出産後おおむね3か月後に、差額の申請に必要な書類が本人宛に送られてくるとされています。
育児休業給付金は、育児休業を開始してから申請します。最初の申請で受給資格の確認と初回の支給申請を同時に行い、その後は原則として2か月ごとに申請します。ここで、就業日数と就業時間の申告が必要になります。副業を続けている場合、どの作業を申告するのかが問題になるので、日付と時間の記録を最初から残しておきます。あとから思い出して書く形は、申告の正確さを保てません。
手続きの窓口も整理しておきます。出産手当金と出産育児一時金は健康保険の保険者で、協会けんぽに加入している場合は都道府県支部です。健康保険組合の場合は組合です。育児休業給付金はハローワークで、手続きは事業主を経由するのが原則です。保険料の免除は事業主が保険者へ申出をします。自分が直接動くところと、会社を経由するところが混ざっているので、どちらなのかを確かめてから連絡します。
復職後に続ける前提で、記録を残す
産休中に始めた仕事を復職後も続けるつもりなら、記録の作り方が効いてきます。この期間に作った記録が、復職後の交渉の材料になります。
残すものを3つに分けます。1つめは、実績です。何を、いつ、誰に納めたかを一覧にします。金額は入れても入れなくてもよく、大事なのは納めた事実です。2つめは、時間の記録です。1件にどれだけかかったかを書いておくと、復職後に使える時間で何件受けられるかが計算できます。3つめは、やりとりの記録です。依頼の文面、確認した内容、変更の経緯を残しておくと、同じ相手から次の依頼が来たときに前提を確かめ直す手間が省けます。
復職後の働き方を交渉する場面では、この記録が言葉を変えます。「在宅でも仕事はできると思います」ではなく、「この期間に自宅でこれだけの作業を納めました」と言えると、話の性質が変わります。時短で働きたい、在宅を組み込みたい、という要望を出すときに、根拠のある話として受け取られます。
副業の届け出を出している場合は、届け出の内容と実際の稼働がずれていないかも確かめます。稼働時間が想定を大きく超えていると、労務の提供に支障があるという判断につながりかねません。時間の記録を残していれば、この点も説明できます。
資格の取得を組み込む選択もあります。時間が細かく区切られる期間は、まとまった作業より、少しずつ進める学習のほうが相性がいい場合があります。技術の土台を証明する形としてはCCNA(シスコ技術者認定)のような認定があり、取得しておくと復職後に選べる仕事の幅が変わります。ただし、この期間に無理をして詰め込む必要はありません。体の回復が最優先で、学習も仕事も、その次です。
会社への届け出。就業規則を先に読む
制度の条件をクリアしても、勤め先との関係は別の話です。ここを飛ばすと、復職後に問題になります。
まず就業規則を読みます。副業に関する条文があるか、届け出制か許可制か、禁止されている業種があるかを確かめます。厚生労働省のモデル就業規則は令和7年12月版で、副業と兼業の条文を第70条に置いています。届け出制を原則とし、会社が禁止または制限できる事由を4つに限定しています。労務の提供に支障がある場合、企業の秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損ない信頼関係を壊す場合、競業により会社の利益を侵害する場合です。
この4つに当たらない副業を一律に禁じる形は、現在の考え方に合いません。とはいえ、自社の就業規則がモデルどおりとは限らないので、自分の会社の条文を確かめる必要があります。
伝える順番も考えます。産休中は、人事や上司との連絡が最小限になっているタイミングです。そこへ副業の話を持ち込むと、話の受け取られ方が難しくなることがあります。実務としては、次の順で進めると角が立ちません。就業規則を確認する。届け出が必要なら、書式と提出先を人事に確認する。届け出には、業務の内容、稼働する時間帯、想定する時間数、本業との競業がないことを書く。産休中である点には触れず、制度上の届け出として出す。
隠して進める選択もありますが、規則で届け出が求められているなら、出しておいたほうが後々楽です。復職後に発覚した場合、副業そのものより届け出を出していない点が問題になります。
競業の判断は具体的に見ます。本業と同じ業種の会社から仕事を受ける形、本業の取引先から直接受ける形は、条文の4つめに触れる可能性があります。下請けの取引に関わるルールの全体像はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに整理されていて、発注する側と受ける側で何が決まっているかを把握しておくと、競業に当たるかどうかの判断もしやすくなります。
産休中に組みやすい仕事の形と、選ぶときの3つの軸
制度の条件を満たす形を探すとき、仕事の内容そのものより、次の3つの軸で選ぶほうが現実に合います。
1つめは、中断できるかどうかです。産後は予定どおりに時間が取れません。1件を数時間で終える形ではなく、10分単位で進めて止められる形が続きます。文章の下書き、画像の整理、データの入力、確認作業などは、区切って進められます。逆に、会議に出る形、決まった時間に対応する形、電話を受ける形は、途中で止められないので相性が悪いです。
2つめは、納期の幅です。締め切りが週単位で、前倒しで進められる仕事は扱いやすいです。当日の締め切りがある仕事、リアルタイムで反応が必要な仕事は、体調が読めない期間には合いません。受ける前に、締め切りを延ばせる余地があるかを確かめます。
3つめは、収入の見通しです。産休中は給付と貯蓄で生活を組んでいるので、副業の収入を生活費に組み込むと苦しくなります。復職後に続ける前提の練習として位置づけたほうが、無理がありません。
具体的な仕事の水準を知っておくと、時間の使い方を決めやすくなります。文章や編集の仕事の単価水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場、開発の仕事の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。1時間でどのくらいの金額になるかを先に知っておくと、限られた時間をどこに使うかの判断がつきます。
作業の量を増やす方向ではなく、単価を上げる方向を選ぶのが、この時期の現実的な戦略です。時間が限られているので、量を増やす道は最初から使えません。書類を整える力や、取引のやりとりを自分で回せる力があると、単価の高い仕事を受けられます。ビジネス文書検定のような形で文書作成の基礎を確かめておくと、見積や請求のやりとりでつまずきません。
税金の扱い。20万円の線と、住民税の別の線
収入が出ると申告の話になります。ここは条文がはっきりしているので迷いません。
給与以外の所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。国税庁のタックスアンサーは、給与所得者の副収入について、20万円を超える所得があるときは、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて確定申告が必要になると説明しています。インターネットを利用した個人取引による所得や、人的役務の提供による所得は、一般的に雑所得に当たるものとして挙げられています。
注意点が2つあります。1つめは、20万円が売上ではなく所得の数字だという点です。所得は売上から必要経費を引いた残りです。2つめは、この線が所得税だけの話だという点です。
住民税には20万円の線がありません。地方税法第317条の2は、3月15日までに、賦課期日現在の住所地の市町村長へ申告書を提出しなければならないと定めています。給与以外の所得があれば、金額が小さくても住民税の申告は必要になります。所得税の確定申告をすれば情報が市区町村へ回るので別の手続きは要りませんが、確定申告をしない場合は住民税の申告だけを自分で出す形になります。
産休中に注意したいのは、出産手当金と育児休業給付金の税の扱いです。この2つは非課税で、所得の計算に入りません。確定申告の20万円を数えるときも、これらは含まれません。副業の所得だけで判断します。
住民税の納め方も確かめておきます。地方税法第321条の3第2項のただし書きは、給与所得以外の所得に係る税額について、申告書に普通徴収の方法で徴収されたい旨の記載があるときは、給与から特別徴収しないと定めています。副業の所得が給与以外なら、自分で納める形を選べます。ただし、副業がアルバイトなどの給与だと、この規定の対象外なので選べません。ここはよく間違われます。
業務委託で受けるときに明示してもらうこと
業務委託の形で仕事を受ける場合、条件を書面で示してもらう根拠があります。2024年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律です。
第3条は、業務を委託した側が「直ちに」給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で明示しなければならないと定めています。口約束で始める形は、この法律が想定している姿ではありません。
明示してもらう項目を具体的に並べます。何を納めるのか、いつまでに納めるのか、いくら受け取るのか、いつ支払われるのか、修正は何回までか、権利をどう扱うか。産休中に受ける場合は、これに1項目を加えます。納期を延ばせる条件です。体調で作業が止まったときにどうするかを、受ける前に決めておきます。「事情があれば相談する」という曖昧な合意では、いざそうなったときに揉めます。何日前に連絡すれば何日延ばせるのかを、数字で決めておくのが確実です。
報酬が支払われないときの対処も、先に知っておくと安心です。支払いが止まったときの回収の流れは未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に整理されています。産休中は時間も余裕もない期間なので、揉めない相手を選ぶ判断のほうが大事になりますが、手順を知っていると相手を見る目も変わります。
扶養に入っている場合は、別の線が出てくる
ここまでは自分が健康保険の被保険者である前提で書きました。配偶者の健康保険の被扶養者になっている場合は、別の条件が加わります。
日本年金機構が案内している被扶養者の収入要件は、年間収入が130万円未満で、同居の場合は扶養者の収入の半分未満です。60歳以上または障害者の場合は180万円未満です。給与所得などの収入がある場合は、月額108,333円以下であれば要件を満たすとされています。
ここで重要な点があります。同じページは、被扶養者の収入に「雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます」と明記しています。出産手当金が収入に数えられるという点は、見落とされやすい部分です。出産手当金を受け取りながら副業の収入を足すと、この130万円の線に近づく可能性があります。
なお、出産手当金は自分が健康保険の被保険者である場合に受け取る給付なので、被扶養者の立場では受け取れません。どちらの立場にいるのかを整理してから、どの線を見ればいいかを決めます。
勤め先が複数になって、それぞれで厚生年金保険と健康保険の加入要件を満たした場合は、届出が必要です。日本年金機構の案内では、事実が発生してから10日以内に被保険者所属選択・二以上事業所勤務届を提出し、それぞれの勤め先で受ける報酬月額を合算した額で標準報酬月額が決まります。保険料は各勤め先で按分されます。産休中に新しく雇用される形を選ぶ場面は少ないと思いますが、復職後に短時間の勤務を2か所で組む場合は関わってきます。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークとフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、産休や育休の期間に副業を始めた人には、続く人と続かない人のはっきりした差があります。差が出るのは、稼いだ金額ではなく、始めるときの位置づけです。
収入を目的に始めた人は、思ったほど時間が取れないことに直面して止まります。産後の時間は、計画どおりに動きません。一方、復職後の選択肢を増やすために始めた人は、金額が小さくても続きます。1件でも納めた実績があると、復職後に働き方を交渉するときの材料になるからです。時短で働くのか、在宅を組み込むのか、別の道を選ぶのか。その判断に使える材料を作っているという意識があると、量が少ない期間も意味を持ちます。
運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、作業そのものより関係づくりに時間を使っています。返信が早い、納期を守る、無理なときは早めに言う。この3つだけで、次の依頼が来ます。産休中は量をこなせない期間ですが、この3つは量に関係なく守れます。むしろ、量を追えない時期こそ、この3つで評価される形を作りやすいです。
金額の話もします。仲介が入る取引では、中間の手数料が受け手の手取りを削ります。同じ予算を用意した依頼者から見ると、手数料が乗るほど頼める量が減ります。手数料0%で直接つながる取引が広がってきたのは、この双方が得をする構造があるからです。手取りが厚い形に移った人は、1件あたりに使える時間が増えて、限られた時間でも成り立つようになります。時間が足りない時期には、単価の厚さが効きます。
確かめる順番をもう一度並べます。労働基準法第65条で就業禁止の期間を確かめる。雇用と業務委託のどちらの形かを整理する。出産手当金の条件が崩れないかを見る。育児休業に入るなら就業日数と時間の上限を確かめる。就業規則の副業の条文を読んで届け出を出す。所得の申告と住民税の申告を忘れない。扶養に入っているなら収入の線を確かめる。体の状態については医師に確認する。この8つを踏めば、あとから困る場面はかなり減ります。復職後の選択肢を広げる方向で考えるなら、どんな仕事があるかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事やアプリケーション開発のお仕事で見ておくと、限られた時間をどこに向けるかの判断がつきます。
よくある質問
Q. 産後8週間は、業務委託の仕事もしてはいけないのですか?
労働基準法第65条第2項の主語は「使用者」で、労働契約を結んで人を働かせる側に向けた規定です。自分の裁量で進める業務委託は、この条文の直接の対象ではありません。ただし契約の名前ではなく実態で判断されるため、時間や場所を指示される形だと労働者として扱われることがあります。体の状態については医師に確認してください。
Q. 副業の収入があると、出産手当金は止まりますか?
出産手当金の条件は、会社を休んだことと、その間に勤め先から給与の支払いを受けなかったことです。別の場所から受け取る業務委託の報酬は、この勤め先からの給与ではありません。勤め先を休んでいる事実が保たれていれば、条件を崩す構造にはなっていません。休んでいる勤め先の業務を在宅で処理する形は避けてください。
Q. 育児休業に入ってからも副業を続けられますか?
育児休業給付金は、1か月ごとの単位期間で就業した日数が10日以下、10日を超える場合は就業時間が80時間以下であることが条件です。この上限は雇用されている勤め先での就業を数えます。業務委託の作業がどう扱われるかは事情で判断が分かれるので、ハローワークに状況を伝えて確認してください。
Q. 会社に副業を届け出る必要はありますか?
就業規則によります。厚生労働省のモデル就業規則は令和7年12月版で副業と兼業を第70条に置き、届け出制を原則としています。禁止や制限ができる事由は、労務提供上の支障、企業秘密の漏洩、名誉や信用の毀損、競業による利益侵害の4つに限られます。自社の条文を確かめ、届け出が必要なら書式と提出先を人事に確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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