産休中に在宅ワークをしてよいか|手当と働き方の境目

@SOHO編集部
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産休中に在宅ワークをしてよいか|手当と働き方の境目

この記事のポイント

  • ✓産休中在宅ワークは制度上どこまで認められるのか
  • ✓育児休業に入ってからの就業日数の数え方までを一次資料で確かめ
  • ✓始める前に確認する順番で整理しました

産休中在宅ワークという言葉で検索する人が知りたいのは、たいてい「やってはいけないことなのか」「手当が消えてしまわないか」の2点です。結論を先に書くと、産休中に在宅で仕事をすること自体を一律に禁じる法律はありません。ただし、出産手当金の計算に関わる「報酬」の扱いと、勤め先の就業規則という2つの関門があり、ここを読み違えると受け取れる金額が変わります。この記事では、制度の条文と公的機関の説明を突き合わせながら、確認する順番を整理していきます。

まず、落ち着いて考えたいのは、産休中の収入について不安になるのは自然だということです。出産手当金は給与の全額ではなく、おおむね3分の2の水準です。差が出る分をどう埋めるかを考えた結果、在宅でできる仕事に目が向くのは無理のない流れです。大切なのは、焦って契約を結ぶ前に、制度の線引きを先に知っておくことです。

産休はどんな期間なのかを先に整理する

産休という言葉は日常的に使われていますが、制度としては「産前休業」と「産後休業」の2つに分かれています。産前は出産予定日の前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は出産の翌日から8週間です。この区切りは労働基準法第65条に書かれています。

ここで重要なのは、産前と産後で性質がまったく違うことです。産前休業は「本人が請求したときに休める」もので、請求しなければ働き続けられます。一方の産後休業は「働かせてはならない」という強い規制で、本人が働きたいと言っても原則として認められません。例外は産後6週間を過ぎた後で、本人が請求し、かつ医師が支障がないと認めた業務に限られます。

使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。 出典: laws.e-gov.go.jp

健康保険の側にも別の期間の定めがあります。出産手当金の対象になるのは、出産の日(実際の出産が予定日より後になったときは出産予定日)以前42日から、出産の翌日以後56日目までの範囲で、勤務先を休んだ期間です。多胎妊娠の場合、産前側は98日に広がります。労働基準法の産前6週間(42日)と健康保険の42日はそろっていますが、多胎の数え方は14週間と98日で表記が違うだけで、実質は同じ長さを指しています。

つまり産休とひとくちに言っても、「休む権利がある期間」「働かせてはいけない期間」「手当が出る期間」という3つの物差しが重なっています。在宅ワークを考えるときは、どの物差しの話をしているのかを分けて考えると混乱しません。

法律が禁じているのは「使用者が働かせること」

産後8週間の規制は、条文をよく読むと「使用者は……就業させてはならない」という書き方になっています。つまり規制の相手は働く本人ではなく、雇っている側です。労働基準法は労働契約の下で働く人と雇う側の関係を定めた法律なので、雇用関係のないところまで手を伸ばしてはいません。

このため、勤め先とは別に、業務委託の形で在宅の仕事を受けた場合、労働基準法の産後就業制限が直接かかる場面ではないと考えられます。業務委託は、決められた成果物を納める約束であって、雇われて指示どおりに働く関係ではありません。在宅ワーク仲介サイトで募集されている案件の多くは、この業務委託の形です。

ただし、ここで安心して進めてよいという話にはなりません。理由が3つあります。

1つ目は、名前が業務委託でも、実質が雇用と変わらない働き方は雇用として扱われることがある点です。作業時間を指定され、進め方を細かく指示され、断る自由がないような契約は、実態から労働契約と判断される余地があります。この判断は個別の事情で変わるため、契約書の文面だけで決まるものではありません。

2つ目は、勤め先の就業規則です。法律が禁じていなくても、会社の規則で副業に許可が必要とされていれば、その手続きを踏む必要があります。

3つ目は、体調です。制度上できることと、産後の体で無理なくできることは別の話です。産後の回復には個人差が大きく、出血や痛みの続き方も人によって違います。仕事量の判断は、健診のときに医師や助産師へ具体的な作業内容を伝えて相談するのが確実です。この記事では治療や体調の判断そのものには踏み込みません。

産後6週間を過ぎてから勤め先で働く場合は、本人の請求と医師の確認という2つが必要です。在宅勤務であっても、勤め先の指示で働くのであればこの手順は変わりません。在宅だから軽い扱いになる、という規定は条文にありません。

出産手当金が減るのはどんなときか

多くの人がいちばん気にするのがここです。出産手当金は、産休中に給与が支払われなかった期間を対象に、健康保険から支給されます。金額の計算は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2です。

被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。 出典: kyoukaikenpo.or.jp

減額の仕組みは健康保険法第108条第2項にあります。出産した場合において報酬の全部または一部を受けることができる人には、その期間の出産手当金を支給しない。ただし、その報酬の額が出産手当金の額より少ないときは差額を支給する、という書き方です。全額止まるか、差額だけになるかの二段構えです。

ここでの「報酬」は、健康保険に加入している勤務先から労働の対価として受けるもの、という意味で使われています。休業中に勤め先から給与や手当が出ているなら調整の対象になります。逆に、勤め先とは無関係の業務委託で受け取る報酬は、労働の対価として使用者から受けるものではないため、通常はこの調整の対象として扱われません。

とはいえ、これは一般的な整理です。契約の実態が雇用に近いと見られる場合や、勤め先の関連会社から受注している場合など、判断が変わる余地は残ります。金額が大きくなりそうなときは、加入している健康保険の窓口(協会けんぽなら都道府県支部、健康保険組合なら組合の事務局)に、契約書の写しを手元に置いて事前に確認してください。手当を受け取った後で返金を求められる形は避けたいところです。

もう1つ、見落としやすい数字があります。支給開始日以前の被保険者期間が12か月に満たない場合は、直近の各月の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均額のいずれか低い額を使います。後者は支給開始日が令和7年4月1日以降の人で32万円です。転職して間もない時期に産休へ入る場合、思っていたより手当の日額が低く出ることがあります。先に金額の見込みを立てておくと、在宅の仕事をどれだけ引き受けるかの判断がしやすくなります。

産前産後の保険料はどう扱われるか

産休中に収入が減っても、健康保険と厚生年金の保険料は別に扱われます。勤め先の健康保険と厚生年金に加入している人は、産前産後休業の期間について保険料が免除されます。しかもこの免除は、将来の年金額を計算するときには保険料を納めた期間として数えられます。

産前産後休業期間(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。 出典: nenkin.go.jp

注意したいのは、この免除が自動ではないことです。勤め先が産前産後休業取得者申出書を年金事務所へ提出して初めて成立します。産休に入る前に、人事や総務の担当者へ提出の予定を確認しておくと確実です。

自営業やフリーランスとして国民年金の第1号被保険者になっている人には、別の制度があります。出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間、国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠なら、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間です。届け出の窓口は住民登録をしている市区町村の国民年金担当で、出産予定日の6か月前から手続きができます。出産後の届け出も可能です。

この国民年金の産前産後免除も、老齢基礎年金の受給額には納付したものとして反映されます。免除された期間でも付加保険料を納めることはできます。産休を機に業務委託の仕事へ軸足を移す人は、勤め先の社会保険から国民年金へ切り替わるタイミングでこの届け出を思い出せるよう、母子健康手帳と一緒にメモを残しておくとよいでしょう。

なお、令和8年度の国民年金保険料は1か月あたり17,920円です。4か月間の免除は決して小さな額ではありません。届け出をしないまま未納にしてしまうと、老齢基礎年金の受給額に反映されないうえ、追納の手続きという余計な手間が後から発生します。産前産後免除は所得の多い少ないを問わずに使えるので、対象になる人は必ず届け出てください。

育児休業に入ると数え方が変わる

産後休業の8週間が終わると、多くの人は育児休業に移ります。ここから先は、在宅ワークの扱いが大きく変わります。育児休業給付金には、休業中に働ける日数と時間の上限があるからです。

厚生労働省の資料では、1つの支給単位期間(おおむね1か月)の中で就業した日数が10日以下、10日を超える場合は就業した時間数が80時間以下であることが要件とされています。出生時育児休業給付金(いわゆる産後パパ育休に対応する給付)でも、28日の休業に対して最大10日、10日を超える場合は80時間という線が引かれています。

給付率も押さえておきたい数字です。育児休業給付金は休業開始時賃金日額に支給日数を掛け、67%(育児休業開始から181日目以降は50%)です。これに出生後休業支援給付金の13%が上乗せされる場合があり、合わせて最大80%になります。令和8年8月1日時点の支給上限額は、給付率67%で332,454円、50%で248,100円です。

ここでの「就業」は、育児休業を取得している勤め先での就業を指します。別の相手から業務委託で受けた仕事が、そのまま日数や時間に数えられるとは資料に書かれていません。ただし、賃金が支払われた場合の減額の仕組みや、休業の実態があるかどうかの確認は、ハローワークが個別に行います。金額や働き方が大きくなるなら、事前に管轄のハローワークで確認するのが安全です。

産休中は比較的自由度が高く、育休に入ると数え方の縛りが出てくる。この差を知らないまま受注量を増やして、育休の申請時に慌てる例があります。契約の期間を産休の範囲に区切っておく、あるいは育休に入る前に納品を終える形にしておく、といった組み方が現実的です。

会社への伝え方と就業規則の見方

法律が禁じていない話と、会社の規則で認められている話は別です。産休中でも在籍している従業員なので、副業に関する規定はそのまま適用されます。

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業と兼業の条文は第70条に置かれています。そこでは労働者が勤務時間外に他の会社等の業務に従事できることを原則としつつ、会社が禁止または制限できる場合を4つに限っています。労務の提供に支障がある場合、企業秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を壊す行為がある場合、競業により会社の利益を害する場合です。

自社の就業規則を確認するときは、次の順番で見ると早く済みます。

  1. 副業や兼業について「届出」なのか「許可」なのかを確かめる。届出なら書式を出すだけで足ります
  2. 禁止される業種や取引先の指定があるかを見る。同業への受注が引っかかることがあります
  3. 産休や育休の章に、休業中の就労について別の定めがあるかを確かめる
  4. 情報の持ち出しや貸与端末の扱いに関する規定を読む。会社のパソコンで副業の作業をすると規定違反になる場合があります

伝える相手は直属の上司より、まず人事や総務の担当者にした方が話が早い場合が多いです。届出の書式や判断の基準を持っているのはそちらです。伝える内容は、受ける仕事の種類、想定する時間帯と1週間あたりの時間、取引先の業種の3点にしぼると、判断してもらいやすくなります。収入の見込みまで細かく書く必要はありません。

黙って始める選択は勧められません。住民税の通知や社会保険の手続きを通じて把握される経路があり、後から発覚したときの扱いは規定違反になります。届出で済む会社が増えてきているので、まず規則を読むところから始めてください。

産休中に進めやすい在宅ワークの種類

産休中の在宅ワークで現実的なのは、作業を細かく区切れて、締め切りを自分で調整しやすい仕事です。まとまった時間が取れない前提で選ぶと、続けやすさが変わります。

種類としては、次のような区分で考えると整理しやすくなります。

・文章を書く仕事。記事の執筆、取材のまとめ、商品説明文の作成など。1文字あたりの単価で示されることが多く、内容の専門性で幅が出ます
・整える仕事。データ入力、表計算での集計、文字起こし、資料の体裁を整える作業など。単価は高くありませんが、作業の見通しが立ちやすい部類です
・確認する仕事。校正、テストの実施、問い合わせ対応の下書きなど。判断の基準が決まっているため、途中で中断しても戻りやすい特徴があります
・作る仕事。図やバナーの制作、資料のデザイン、短い動画の編集など。使う道具を覚える時間が先にかかりますが、単価の伸びは大きい部類です
・相談に応じる仕事。前職の知識を使った助言や、業務の手順づくりの支援など。実務経験がそのまま値段になります

分野の相場を知るには、職種ごとの単価をまとめた資料に目を通すのが早道です。文章を書く仕事の相場感は著述家や記者、編集者の職種で見た水準が目安になり、開発寄りの仕事に関心があるならソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。自分の経験がどの職種に近いかを先に決めてから相場を見た方が、目標の立て方がぶれません。

伸びている分野を押さえておくのも有効です。AIの導入を支援する仕事は、業務の棚卸しから手順づくりまでが対象になるため、社内の実務経験がそのまま生きます。どんな案件があるのかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事の内容と求められる経験を確認できます。技術寄りの仕事を視野に入れるならアプリケーション開発のお仕事にも目を通しておくと、求人の読み方が分かってきます。

おすすめの順番としては、最初の1件は単価より「作業の見通しが立つこと」を基準に選ぶことです。産後の生活のリズムが読めない時期に、納期が読めない仕事を抱えるのは負担が大きくなります。

体調と時間の線引きをどう決めるか

産休中の在宅ワークで失敗しやすいのは、量の見積もりです。作業そのものの時間だけを数えて、連絡の往復や修正の時間を数え忘れる人が多いです。

進め方のコツは4つあります。

1つ目は、受注の上限を時間で決めておくことです。1週間で使える時間を先に決め、その枠に入る仕事しか受けません。金額で決めると、単価の低い案件を大量に抱える形になりがちです。

2つ目は、締め切りを実際に必要な日数の1.5倍で申告することです。子どもの体調で1日作業できない日は必ず来ます。余裕を持った締め切りで確実に納める方が、評価は安定します。

3つ目は、作業を15分から30分の単位に割ることです。文章なら1本を一気に書かず、構成、下書き、推敲の3段階に分けます。途中で止まっても、どこから戻ればよいかが分かる状態にしておきます。

4つ目は、連絡の時間帯を先に伝えることです。返信できる時間帯を契約時に共有しておけば、深夜に連絡が来ても焦りません。「平日の10時から16時に確認します」と書くだけで十分です。

体調について1つだけ書き添えます。産後は回復の途中であって、健康な状態に戻り切っているわけではありません。座り続ける姿勢や画面を見続ける作業が負担になることもあります。無理のない量かどうかは、健診の場で作業内容と時間を具体的に伝えて相談してください。この判断は制度の話ではなく、個々の体の話です。

20年この市場を見てきた運営者の立場から言えば、産休や育休の時期に始めた人で長く続いているのは、最初に少なく受けた人です。最初の3か月で高い評価を積んだ人は、その後に単価を上げる交渉ができます。逆に、抱えすぎて納期を落とした履歴は、しばらく残ります。

使う道具と、後から効くスキルの育て方

在宅ワークを始めるときに必要な道具は、思っているより少ないです。反面、あとで効いてくる準備には差が出ます。

最低限そろえておきたいものを挙げます。

・作業用のパソコン。勤め先から貸与された端末は使いません。規定違反になる場合があり、情報の管理でも問題になります
・安定した通信回線。オンラインでの打ち合わせが入る案件では、映像が止まらない環境が前提になります
・請求書を作る手段。表計算ソフトの雛形でも足りますが、取引が増えるなら会計ソフトの請求書機能を使う方が記録が残ります
・ファイルを受け渡す手段。取引先の指定に合わせる形が基本です。自分の判断で別の場所に保存しないでください
・作業記録。日付、案件、作業時間、報酬を1行ずつ残します。確定申告のときにも使えます

スキルの育て方は、案件をこなすだけでは伸びにくい部分があります。書く仕事なら、社内文書の書き方を体系的に学び直すと、修正の回数が減ります。文章の型を学ぶという観点ではビジネス文書検定のような検定の出題範囲が、実務で求められる形をそのまま示していて参考になります。技術寄りの分野に進みたい場合は、CCNA(シスコ技術者認定)のようにネットワークの基礎を扱う資格が、在宅でも通用する土台になります。

資格そのものが案件を連れてくるわけではありません。ただ、産休中は勉強の時間を細かく確保しやすい時期でもあります。育休が明けたときの選択肢を増やしておくという意味では、進めておく価値のある使い方です。

学ぶ順番としては、道具の操作より先に「仕事の進め方」を身につけた方が単価に響きます。見積もりの出し方、確認事項の洗い出し方、修正依頼の受け止め方です。この部分がしっかりしている人は、分野を変えても仕事が続きます。

報酬が出たときの税金と扶養の扱い

在宅ワークで報酬を受け取ると、確定申告の話が出てきます。勤め先の給与とは別に所得が生じるためです。

会社員として給与を受けている人が、給与以外の所得の合計で20万円を超えた場合、所得税の確定申告が必要になります。20万円以下なら所得税の申告は不要になる場合がありますが、住民税の申告は別に必要です。住民税の申告期限は3月15日で、提出先は1月1日現在の住所地の市区町村です。20万円の線は所得税だけの話なので、ここを混同しないようにしてください。

在宅ワークの形態によっては、家内労働者等の必要経費の特例が使える場合があります。特定の相手に継続して役務を提供する人が対象で、令和8年分は69万円までを必要経費として扱える仕組みです。給与の収入金額が69万円以上ある場合はこの特例を受けられません。適用できるかどうかは働き方の中身で変わるため、税務署の窓口で契約の形を説明して確認してください。

配偶者の扶養に入っている人は、収入の線も確認が必要です。令和8年分からは、配偶者控除と扶養控除の所得要件が合計所得62万円以下(給与のみなら136万円以下)に変わりました。「103万円の壁」「160万円の壁」という表現は、いずれも現在の数字ではありません。給与所得控除の最低保障額は74万円、基礎控除は合計所得132万円以下で104万円となり、本人に所得税が出はじめるのは給与178万円からです。数字の改定が続いている分野なので、年をまたぐときは国税庁の案内で確かめる習慣を持ってください。

健康保険の被扶養者の収入要件も別に定められています。ここは加入している健康保険によって確認書類が違うため、扶養に入っている場合は配偶者の勤め先を通じて確かめるのが確実です。税の扶養と社会保険の被扶養者は別の制度で、金額の線も違います。

なお、育児休業給付は非課税で、休業中の社会保険料の負担もありません。手取りで考えると、給与の80%に近い水準になる場合があります。在宅ワークの収入をどこまで積むかは、この非課税の部分も含めて世帯の手取りで考えると判断しやすくなります。

契約で確かめる項目と、トラブルを避ける手順

在宅の業務委託で起きるもめ事は、たいてい契約の入り口で防げます。厚生労働省は、雇用されずに在宅で働く形を「自営型テレワーク」と呼び、発注する側が守るべき事項をガイドラインにまとめています。受ける側もこの内容を知っておくと、条件の甘い募集を見分けられます。

契約時に文書で確かめる項目を挙げます。

・仕事の内容と成果物の範囲。どこまでが1件に含まれるかを書き出します
・報酬の額と計算方法。文字あたりか、件あたりか、時間あたりかを明示します
・支払期日と支払方法。納品から何日で支払われるかを日付で確かめます
・修正の回数と範囲。無制限の修正を前提にした条件は避けます
・契約を終える条件。途中で打ち切られた場合の精算方法を含めます
・秘密として扱う情報の範囲。勤め先の情報と混ざらないように分けておきます

条件の合わない募集を見分ける目安もあります。報酬額を書かず「実力に応じて」とだけ書いてある募集、先に登録料や教材費の支払いを求める募集、成果物の権利を無条件で譲渡させる条項がある契約は、いずれも慎重に扱うべき類です。募集の文面で報酬の計算根拠が示せない相手は、支払いの場面でも根拠を示しません。

報酬が支払われない事態に備えた知識も、あらかじめ持っておくと落ち着いて動けます。少額であっても請求の手順は決まっており、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】では手続きの流れと費用の考え方が整理されています。発注書や契約書で先に押さえておく項目については、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストが確認の観点をまとめています。産休中は動ける時間が限られるので、もめないための準備にこそ時間を使う価値があります。

やりとりの記録を残す習慣も効きます。依頼内容の変更が口頭で来たときは、内容を1行で書き起こしてメッセージで確認を取ります。この1行が、後から範囲を争う場面で効いてきます。

市場の動きから見た、産休中の在宅ワークの位置づけ

在宅で受けられる仕事の総量は、この数年で明確に増えました。オンラインでの打ち合わせが当たり前になり、成果物をやりとりする仕組みが整ったことで、勤務地を前提としない発注が普通になったからです。業務委託で募集される職種の幅も広がり、以前は社内でしか扱われなかった業務の切り出しが進んでいます。

その一方で、在宅ワークの募集は入口の競争が激しい構造を持っています。応募の手間が小さいため、1件の募集に多くの人が集まります。ここで差がつくのは経歴の派手さではなく、案件の要件を読んで「自分が何をどの期間で納められるか」を具体的に書けるかどうかです。産休中に応募する場合、稼働できる時間帯と量を正直に書いた方が通りやすい傾向があります。条件を隠して受注しても、続かなければ評価が下がるだけです。

運営者として長くこの市場を見てきた限りでは、長く続く人は単発の作業をこなす関係ではなく「この人に任せると楽だ」という関係を作ることに時間を使っています。納期を守る、確認事項を先に出す、変更があれば早く言う。この3つを続けている人は、相場より高い単価で継続の依頼を受けています。産休中の限られた時間でも、この3つは実行できます。

もう1つ、手取りの話をしておきます。仲介の手数料が乗る形の取引では、依頼する側が払った金額と受け手が受け取る金額に差が生じます。手数料が乗らない直接取引の形なら、同じ予算で依頼する側はより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。この構造は、金額の大小の話ではなく、同じ仕事に対する手取りの質の違いです。産休中のように稼働時間が限られる時期は、1時間あたりの手取りが特に効いてきます。手数料の条件は、募集を比べるときの評価軸に入れておいてください。

分野を選ぶ段階なら、需要の伸びている領域を押さえておくと次の一手が決めやすくなります。情報の扱いや広告運用のような領域は、在宅でも成立しやすく、実務経験がそのまま値段になります。どんな案件が募集されているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で仕事の内容と必要な経験を確かめられます。専門職の副業がどう扱われているかを知りたい場合は、資格が必要な職種の事例を読むと、勤め先との調整の仕方の参考になります。

最後に、確認の順番をもう一度並べておきます。就業規則で副業の扱いを確かめる、加入している健康保険に出産手当金と報酬の関係を確認する、契約の形と条件を文書で押さえる、体調に合わせて量を決める。この順番で進めれば、手当を失う心配をしながら働く事態は避けられます。分野の選び方に迷ったら、まず著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような職種別の資料で自分の経験に近い領域の水準を確かめ、そこから募集を探すのが遠回りの少ない道です。

よくある質問

Q. 産休中に在宅ワークをすると出産手当金は止まりますか?

出産手当金の調整は、健康保険に加入している勤務先から報酬を受けた場合の話です。勤め先とは別の相手から業務委託で受け取る報酬は、通常この調整の対象として扱われません。ただし契約の実態によって判断が変わるため、契約書を手元に置いて加入先の健康保険の窓口に確認してください。

Q. 産後8週間は在宅でも働いてはいけないのですか?

労働基準法が禁じているのは、使用者が産後8週間を経過しない人を就業させることです。規制の相手は雇う側なので、雇用関係のない業務委託には直接かかりません。勤め先で働く場合は、産後6週間を過ぎた後に本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に限られます。

Q. 会社に届け出ずに始めても問題ありませんか?

就業規則で副業に届出や許可が必要とされていれば、産休中でも手続きが必要です。在籍している従業員として規定は適用されます。住民税や社会保険の手続きを通じて把握される経路があるため、先に人事や総務へ仕事の種類と時間帯を伝えておく方が安全です。

Q. 育児休業に入ってからも同じように続けられますか?

育児休業給付金には、1つの支給単位期間で就業日数10日以下、10日を超える場合は80時間以下という要件があります。これは育児休業を取得している勤め先での就業を指しますが、働き方や金額が大きくなる場合は管轄のハローワークに事前に確認してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月17日最終更新:2026年9月27日
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