九州大学の不正アクセス|九州大学病院の患者43名 氏名と手術動画データ 流出の可能性 対象と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓九州大学の不正アクセスについて
- ✓2026年6月10日の公表をもとに整理
- ✓研究室の端末がランサムウェアに感染したとみられ
九州大学の不正アクセスについて、国立大学法人九州大学は2026年6月10日、大学の研究室が管理する端末が2026年5月25日にサイバー攻撃による不正アクセスを受け、ランサムウェアに感染したとみられると発表しました。その端末に保存されていた九州大学病院の患者43名の氏名と手術動画データが、外部に流出した可能性を否定できない状況だとしています。公表の時点で、情報が実際に外部に公開されたり悪用されたりした事実は確認されていません。 対象の患者には、大学から個別に連絡し、順次報告とお詫びを行うとされています。 心当たりのある人は、届いた連絡を確かめ、被害と思われることがあれば九州大学病院事務部総務課(092-642-5013)に連絡します。
公表から約5か月がたった2026年11月1日時点で、6月10日のお知らせは九州大学のウェブサイトから外れており、元のページを開くと「ファイルが見つかりません」と表示されます。大学のお知らせ一覧と九州大学病院の新着情報を見直しても、この件の続報(調査結果や件数の確定)は見つかりませんでした。この記事は、6月10日に公表された本文の記載だけをもとに書いています。
なお、九州大学は2026年10月28日にも、外部サービスへの不正アクセスに関するお知らせを出しています。こちらは九州大学校友会のメール配信サービスと、九州大学病院の治験管理システムの2件で、6月の件とは別の事案です。後半の節で分けて説明します。
九州大学の研究室の端末で何が起きたのか
6月10日のお知らせ「本学研究室の端末への不正アクセスについてのご報告とお詫び」の要点は、次のとおりです。
- 2026年5月25日に、大学の研究室が管理する端末がサイバー攻撃による不正アクセスを受けた
- その端末は、ランサムウェアに感染したとみられる
- 端末に保存されていた九州大学病院の患者43名の氏名と手術動画データが、外部に流出した可能性を否定できない
- 公表の時点で、その情報が実際に外部に公開・悪用された事実は確認されていない
- 不審な挙動を検知したあと、直ちに端末をネットワークから切り離した
- 端末は診療用ネットワークとは切り離されたもので、電子カルテなど診療用のシステムへの影響は確認されていない
- 診療業務は通常どおりで、受診への影響は確認されていない
ここで押さえておきたいのは、被害を受けたのが病院の診療のシステムではなく、大学の研究室が管理する1つの端末だという点です。電子カルテなどには影響が確認されていないため、九州大学病院にかかったことがある人全員が対象になるわけではありません。対象として示されたのは、その端末に保存されていた患者43名です。
お知らせの本文は、次のように書いていました。
本事案においては、当該端末に保存されていた九州大学病院の患者様43名の氏名と手術動画データが、不正アクセスにより外部に流出した可能性を否定できない状況です。 出典: 九州大学「本学研究室の端末への不正アクセスについてのご報告とお詫び」(2026年6月10日。2026年11月1日時点で大学のウェブサイトには掲載されていません)
「可能性を否定できない」とは、流出したと確かめられたわけではないが、流出していないとも言い切れない、という意味です。大学は警察と連携して原因と影響を調べているとしていました。どの研究室の端末か、どういう研究のために動画が保存されていたか、といった点は、お知らせには書かれていません。
公表の経緯と2026年11月1日時点で分かっていること
日付の順に整理すると、次のとおりです。
| 日付 | 分かっていること |
|---|---|
| 2026年5月25日 | 研究室が管理する端末が、サイバー攻撃による不正アクセスを受け、ランサムウェアに感染したとみられる |
| 2026年6月10日 | 九州大学が「本学研究室の端末への不正アクセスについてのご報告とお詫び」を公表 |
| 2026年10月28日 | 九州大学が、別の事案として「外部サービスへの不正アクセスに伴う個人情報の漏えい等について」を公表(校友会のメール配信サービスと治験管理システムの2件) |
| 2026年11月1日 | 6月10日のお知らせは大学のウェブサイトで表示されない。続報は見つからない |
6月10日のお知らせは、公表から数日後の2026年6月13日にはウェブの記録サービス(Wayback Machine)に保存された形で残っていますが、2026年11月1日時点では元のアドレスを開いても表示されません。お知らせ一覧の2026年の各ページにも、九州大学病院の新着情報の5月から7月の分にも、移動先は見当たりませんでした。掲載をやめた理由は、大学から説明されていません。調査が終わったという意味なのか、単に掲載期間が終わったのかは分からないため、この記事では推測しません。
そのため、2026年11月1日時点で公式に確かめられないことは、次のとおりです。
- 外部に流出した事実があったかどうかの確定
- 43名という人数の見直しがあったかどうか
- 不正アクセスの経路と、調査の結果
- 対象の患者への補償の有無
一方で、お知らせには、対象となる患者に個別に連絡のうえ、順次報告とお詫びを行っていると書かれていました。対象の人には、ウェブサイトに載らない形で説明が届いている可能性があります。届いた書面や連絡があれば、その内容が最も新しい情報です。
検索で「九州大学 不正アクセス」と調べると、2026年10月28日の校友会の件の報道が上位に多く並びます。6月の件と10月の件は、対象の人も漏れた情報もまったく違います。自分がどちらに関係するのかを、まず分けて考えてください。
流出の可能性がある情報と分かっていないこと
6月10日のお知らせに書かれた情報を、表で整理します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 研究室の端末に保存されていた、九州大学病院の患者43名 |
| 流出の可能性を否定できない情報 | 患者の氏名、手術動画データ |
| 影響が確認されていないもの | 電子カルテなど診療用のシステム(端末は診療用ネットワークと切り離されていた) |
| 公表時点の状況 | 情報が実際に外部に公開・悪用された事実は確認されていない |
お知らせには、住所、電話番号、生年月日、病名、クレジットカードの情報などが含まれるかどうかは書かれていません。含まれる、含まれない、のどちらとも書かれていないため、この記事では「含まれていない」とも書きません。分かっているのは、氏名と手術動画データが対象だということだけです。
手術動画データとは、手術の様子を記録した映像のことです。今回の動画がどの目的で端末に保存されていたかは、お知らせに書かれていません。動画にどこまでの範囲が映っているか(顔が映っているか、など)も書かれていないため、ここでは推測しません。
氏名と手術を受けた事実が結びつく情報は、病歴に関わる情報として、本人にとって知られたくないものです。個人情報保護委員会の案内では、病歴や診療の情報は「要配慮個人情報」に当たるとされています。要配慮個人情報とは、知られると差別や偏見につながるおそれがあるため、とくに慎重に扱う情報のことです。
ランサムウェアとは何か、今回の原因について分かっていること
ランサムウェアとは、パソコンやサーバに入り込んでデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えにお金を要求する不正なプログラムのことです。最近は、暗号化する前にデータを盗み出し、「払わなければ公開する」と脅す手口も知られています。今回、大学が「流出した可能性を否定できない」としているのは、こうした手口がありうるためだと読めます。
6月10日のお知らせで、原因について書かれていたのは次の点です。
- 2026年5月25日に、研究室の管理する端末がサイバー攻撃による不正アクセスを受けた
- ランサムウェアに感染したとみられる
- 警察と連携して、原因と影響を調べている
- 不正アクセスの経路や被害状況の調査を進め、再発防止に努める
どこから入り込まれたのか(メールの添付ファイルなのか、ネットワーク機器の弱点なのか、など)は書かれていません。攻撃した側がお金を要求したかどうか、大学が支払ったかどうかも、お知らせには書かれていません。報道ではいくつかの説明が出ていますが、公式に書かれていないことはこの記事では扱いません。
ランサムウェアへの一般的な備え(侵入されやすい入り口、データの控えの取り方)は、ランサムウェアへの対策で整理しています。今回の件は、診療用のネットワークと研究室の端末が切り離されていたため、電子カルテなどには影響が確認されなかったと書かれています。ネットワークを用途ごとに分けておくことが、被害の広がりを抑える手当てになることを示す例といえます。
自分のパソコンがランサムウェアに感染したと感じたら
今回の大学の対応は、個人や小さな事業者がランサムウェアの被害に遭ったときにも参考になります。ファイルが開けなくなった、見覚えのない拡張子に変わった、画面にお金を求める文章が出た、といったときは、次の順で動きます。
- ネットワークから切り離す(Wi-Fiを切る、LANケーブルを抜く)。大学も、不審な挙動を検知したあと直ちに端末をネットワークから遮断したと書いていました
- 電源を切る前に、画面に出た文章を写真に撮っておく
- 画面に書かれた連絡先には連絡せず、お金も払わない
- 仕事のデータを預かっていれば、取引先にすぐ伝える
- 警察の相談窓口や、情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口など、公的な相談先に相談する
データの控えを別の場所に取っていれば、パソコンを初期化しても仕事を続けやすくなります。控えの取り方は、前に挙げたランサムウェアへの対策の記事でも説明しています。どのデータを、どこに、どのくらいの間隔で控えるかを、仕事の内容に合わせて決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
流出の可能性を否定できないという意味
6月10日のお知らせには、2つの書き方が並んでいました。1つは「外部に流出した可能性を否定できない状況」、もう1つは「当該情報が実際に外部に公開・悪用された事実は確認されておりません」です。
前者は、端末がランサムウェアに感染したとみられる以上、中のデータが攻撃した側に持ち出された可能性を、大学として打ち消せていないという意味です。後者は、大学が調べた範囲では、その情報がインターネット上に公開されたり、誰かへの連絡に使われたりした事実は見つかっていないという意味です。「可能性を否定できない」と「公開・悪用は確認されていない」は、同時に成り立つ書き方です。
そのため、対象かもしれない人は「何も起きていないから何もしなくてよい」とも、「必ず公開される」とも考えず、届いた連絡を確かめ、不審な連絡に答えないという備えをしておくのが落ち着いた対応です。大学は警察と連携して調べているとしていたため、新しい事実が分かれば、対象の人に連絡が届くことも考えられます。
九州大学の対応
6月10日のお知らせに書かれた大学の対応は、次のとおりです。
- 不審な挙動を検知したあと、直ちに当該端末をネットワークから遮断するなど、被害の拡大を防ぐ措置をとった
- 警察と連携して、原因と影響を調べている
- 対象となる患者に、個別に連絡のうえ、順次報告とお詫びを行っている
- 被害と思われる事案が発生した場合は、担当の窓口に連絡するよう呼びかけている
- 不正アクセスの経路と被害状況を調べ、再発防止に努める
お知らせには、補償やお詫びの品についての記載はありません。情報漏洩のあとに一般にどういう補償が行われることがあるかは、情報漏洩の補償はもらえるのかで整理していますが、今回の大学が何をするかは、大学から届く連絡と窓口で確かめるほかありません。
また、診療業務は通常どおりで、受診への影響は確認されていないとされていました。九州大学病院に通院している人は、今回の件を理由に予約を取り直したり、通院先を変えたりするよう求める案内は出ていません。治療そのものについての不安は、主治医に相談してください。情報の扱いの問題と、治療をどう続けるかは分けて考えることが大切です。
九州大学病院に通院している人が知っておきたいこと
今も九州大学病院に通院している人や、これから手術を受ける予定の人もいるはずです。6月10日のお知らせでは、問題の端末は診療用ネットワークと切り離されたもので、電子カルテなど診療用のシステムへの影響は確認されていないとされていました。診療業務も通常どおりで、受診への影響は確認されていないと書かれています。
通院の予定がある人は、受診の日に、受付や事務の窓口で今回の件について尋ねることもできます。電話で話しにくい内容があるときは、直接たずねるほうが落ち着いて確かめられる場合があります。そのときも、対象かどうかの確認に必要なのは、氏名や診察券などで、カード番号や暗証番号を求められることはありません。
これから手術を受ける人が、手術の映像の扱いについて不安を感じる場合は、主治医や病院の窓口に、映像を記録するのか、どう保管するのかを尋ねることができます。治療をどう進めるかを、情報漏洩の件だけで判断しないことが大切です。
自分が対象かを確かめる方法
対象は、研究室の端末に手術動画データが保存されていた患者43名です。九州大学病院で手術を受けた人すべてが対象ではありません。確かめる手順は、次の順に進めると迷いません。
- 九州大学病院で手術を受けたことがあるかを思い出す
- 2026年6月以降に、九州大学または九州大学病院から、今回の件についての連絡(電話、郵便など)がなかったかを確かめる
- 連絡があれば、その内容(対象かどうか、どの情報が関係するか)を確かめる
- 連絡があったか分からない、内容がよく分からないときは、九州大学病院事務部総務課に問い合わせる
お知らせでは、対象の患者に「個別に連絡の上」報告とお詫びを行っていると書かれていました。どの手段で連絡するかは書かれていないため、電話か郵便か、と決めつけずに、心当たりのある連絡を振り返ってください。
問い合わせのときは、次のものを用意しておくと話が進みやすくなります。
- 診察券
- 手術を受けたおおよその時期と診療科
- 届いた連絡があれば、その日付と内容
- 家族のことを問い合わせる場合は、本人との関係が分かるもの
ここで気をつけたいのは、大学や病院を名乗る連絡が向こうから来た場合です。お知らせには、患者にお金やカード番号を求めるといった記載は一切ありません。「お詫びの返金がある」「本人確認のため」と言って、口座番号、暗証番号、カード番号、パスワードを聞く連絡があれば、答えずに切ってください。そのうえで、この記事の後の節にある、お知らせに載っていた番号に自分からかけ直して確かめます。
対象かもしれない人がすること
届いた連絡を確かめる
まず、大学や病院から届いた連絡を確かめます。対象の人には個別に連絡するとされていたため、その連絡が最も正確な情報になります。
被害と思われることがあれば窓口に連絡する
お知らせでは、今回の件による被害と思われる事案が起きた場合は、担当の窓口に連絡するよう求めていました。たとえば、手術を受けた事実を知っていることをほのめかす不審な連絡が来た、インターネット上で自分に関係する映像を見かけた、といった場合です。日時と内容をメモし、画面であれば写真を撮っておくと、窓口に状況を伝えやすくなります。
不審な連絡に答えない
便乗した詐欺への備えも大切です。ニュースになった件に便乗して、大学、病院、警察、保険会社を名乗る連絡が来ることは、ほかの事案でもよく見られます。次のような連絡には応じないと決めておきます。
- 「お詫びの返金がある」と言って、口座番号や暗証番号を聞く
- 「動画の削除に費用がかかる」と言って、お金を払わせようとする
- 「調査に協力してほしい」と言って、パソコンやスマートフォンに遠隔操作のアプリを入れさせようとする
- SMSやメールで、大学や病院の名前を付けたURLを送ってきて、開かせようとする
家族に一声かける
手術を受けた家族がいる人は、家族と今回の件を話しておくと安心です。とくに高齢の家族は、病院を名乗る電話に丁寧に応じてしまいがちです。「病院を名乗る電話でお金や番号を聞かれたら、答えずに切って家族に相談する」と決めておくだけで、便乗した詐欺を防ぎやすくなります。
しなくてよいこと
お知らせには、カード番号や口座の情報が含まれるとは書かれていません。今回の件だけを理由に、カードを止めたり、銀行口座を作り直したりするよう求める案内は出ていません。個人情報が漏れたときの一般的な対応の順番は、個人情報が漏えいしたときの対応にまとめています。
大学や病院を名乗る連絡の見分け方
大学や病院を名乗る連絡は、本物と偽物を見分けにくいものです。連絡の手段ごとに、確かめ方を整理します。
電話の場合
電話で大学や病院を名乗られたら、次の点を確かめます。
- 相手がお金、口座、カード番号、暗証番号、パスワードの話をしていないか
- 「今すぐ」「今日中に」と急がせていないか
- 折り返しの番号として、大学や病院の公式サイトにない番号を伝えてこないか
1つでも当てはまれば、いったん電話を切ります。そのうえで、公式に案内された番号に自分からかけ直して、本当にその連絡があったかを確かめます。
SMSとメールの場合
SMSやメールで大学や病院を名乗られたら、本文のURLを開かないことが基本です。大学や病院の名前が入っていても、それだけで本物とは限りません。差出人の表示名は誰でも自由に変えられるためです。気になる内容なら、メールのリンクからではなく、自分で公式サイトを開いて確かめます。
インターネットで気になる映像や書き込みを見かけたとき
手術の映像や、自分の名前に関わる書き込みをインターネット上で見かけたと感じたら、まず画面の写真を撮り、見かけた日時とアドレスをメモします。そのページに書かれた連絡先には連絡せず、削除の費用を求められても払わずに、九州大学病院事務部総務課に相談してください。お知らせでは、被害と思われる事案が起きた場合は担当の窓口に連絡するよう求めていました。
2026年10月28日の別の2件との違い
九州大学は2026年10月28日に、6月の件とは別に、外部サービスへの不正アクセスに関するお知らせを出しています。こちらは今も大学のサイトで見られます。
本学が利用する外部サービスに対する不正アクセスにより、個人情報の漏えい又は漏えいのおそれがある事案が2件発生しました。 出典: 九州大学「外部サービスへの不正アクセスに伴う個人情報の漏えい等について」
2件の中身は、次のとおりです。
| 事案 | 対象と情報 | 2026年10月28日時点の状況 |
|---|---|---|
| 九州大学校友会のメール配信サービス | 校友会に登録された同窓生等の氏名とメールアドレス(漏えいが確認された項目)。メール配信サービスへの登録情報は最大9,999件 | 実際に漏えいした対象者数と件数は確認中 |
| QLIFICAモニタリングシステム(治験管理システム) | 大学の職員9名の氏名、所属、メールアドレス、ログインID、パスワード等のハッシュ値(漏えいのおそれ) | 9名が実際の流出の対象に含まれるかは調査中。患者・被験者情報、要配慮個人情報、業務データの持出しは確認されていない |
1件目は、校友会のウェブサイトで同窓生への情報配信に使っていたメール配信サービス「ブラストメール」(株式会社ラクスライトクラウドのサービスで、校友会サイトの運用を委託している株式会社QTmediaを通じて利用)への第三者の不正アクセスです。ブラストメールへの不正アクセスは、ほかの多くの会社や自治体でも公表されています。サービス側の経緯と利用者がすることは、ブラストメールの不正アクセスで説明しています。校友会に登録している卒業生などは、九州大学や校友会を名乗る不審なメールに注意し、本文のURLを開かないようにしてください。
2件目は、九州大学病院ARO次世代医療センターが株式会社SOLUMINAとの契約で使っている治験管理システムへの不正アクセスです。対象は大学の職員9名の利用者アカウントの情報で、患者や治験に参加した人の情報の持出しは確認されていないとされています。ハッシュ値とは、パスワードを元に戻せない形に変換した値のことです。大学は対象の職員に、同じパスワードを使っている他のサービスのパスワードを変えるよう求めています。
校友会に登録している卒業生などがすることは、大学の案内に沿って、九州大学や校友会を名乗る不審なメールに注意することです。漏えいが確認された項目は氏名とメールアドレスなので、名前で呼びかけてくる本物らしいメールが届くおそれがあります。対象者が確定したあとに、大学から事案の説明と注意喚起が届くとされています。大学の職員で治験管理システムを使っていた人は、大学からの説明に沿って、同じパスワードを使っている他のサービスのパスワードを変えます。パスワードが漏れたかもしれないときに変える順番は、パスワードが漏洩したらどうなるで説明しています。
まとめると、6月の件は「研究室の端末」と「九州大学病院の患者43名」、10月の2件は「外部サービス」と「同窓生」「職員9名」です。患者の手術動画データが関係するのは6月の件だけです。
問い合わせ窓口
6月の件と10月の件では、問い合わせ先が違います。それぞれのお知らせに載っていた窓口は、次のとおりです。
| 事案 | 名称 | 連絡先 | 受付時間 |
|---|---|---|---|
| 6月10日公表(患者43名) | 九州大学病院事務部総務課(患者様、ご家族様からのご相談、お問い合わせ窓口) | 092-642-5013 | 平日9時00分から17時00分 |
| 6月10日公表(報道機関向け) | 九州大学病院事務部総務課企画・広報係 | 092-642-5051 | 平日9時00分から17時00分 |
| 10月28日公表(校友会のメール配信サービス) | 九州大学校友会事務局(総務部同窓生・基金課) | 092-802-2151、[email protected] | 記載なし |
| 10月28日公表(治験管理システム) | 九州大学病院 総務課 | 092-642-5005、[email protected] | 記載なし |
| 10月28日公表(公表全般) | 九州大学総務部総務課 法人文書監理室 | 092-802-2129、[email protected] | 記載なし |
6月の件で患者や家族が問い合わせるのは、表の1段目の番号です。2段目は報道機関向けの窓口なので、患者の問い合わせには使いません。6月の件の窓口は、お知らせがサイトから外れた2026年11月1日時点で、今も同じ番号で受け付けているかは確かめられていません。つながらない場合は、九州大学病院の公式サイトに載っている代表の連絡先から、事務部総務課につないでもらってください。
電話をかける前に、自分の氏名、診察券、手術を受けたおおよその時期、届いた連絡の内容をメモしておくと、話がまとまりやすくなります。窓口に電話するときも、パスワードやカード番号を伝える必要はありません。10月28日の2件のお知らせでは、受付時間は書かれていません。電話がつながらないときは、表に載っているメールアドレスに、氏名と問い合わせたい内容を書いて送る方法もあります。その場合も、メールにパスワードやカード番号を書く必要はありません。
在宅で仕事をする人が気をつけること
今回の6月の件は、組織の中の1台の端末がランサムウェアに感染し、そこに保存されていた情報が流出した可能性を否定できなくなったものです。在宅で業務委託の仕事を受けている人も、取引先から顧客の名簿、原稿、デザイン、映像のデータなどを預かり、自分のパソコンで作業することがよくあります。自分のパソコンがランサムウェアに感染すれば、自分のデータだけでなく、預かった取引先の情報まで外に出るおそれがあります。
個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴、診療の情報など)が含まれる漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が一定の数を超える漏えい等が挙げられています。不正の目的で行われたおそれがある例として、不正アクセスによる漏えいや、ランサムウェア等により個人データが暗号化され復元できなくなった場合が示されています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。
業務委託で個人情報を扱う人が、自分の端末から預かった情報を漏らしてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。今回の大学のお知らせでも、不審な挙動を検知した直後に端末をネットワークから切り離したことが書かれています。
今回の件をきっかけに、仕事で使う端末について、次の点を見直しておくと安心です。
- 取引先から預かったデータを、仕事が終わったあとも手元に残していないか
- 預かったデータの控えを、パソコンとは別の場所に取っているか
- パソコンの基本ソフトとセキュリティ対策ソフトを、最新の状態にしているか
- 仕事のメールやクラウドのアカウントに、多要素認証を設定しているか
- 不審な動きに気づいたとき、まずネットワークから切り離し、取引先の誰に、どの手段で連絡するかを決めているか
とくに、動画の編集や文字起こしの仕事では、取引先から映像や音声のデータを預かることがあります。映像には、人の顔や名前、話している内容など、文字のデータ以上に多くの情報が映り込むことがあります。今回の件で手術動画データが対象になったように、映像のデータも個人情報として扱われる場合があることを意識し、作業が終わったら取引先の決まりに沿って削除する、取引先が指定した保管場所以外に写さない、といった扱いを徹底しておくと安心です。
フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。作業が終わったデータを削除する、仕事と個人の端末やアカウントを分ける、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。
情報の守り方を仕事に生かす
情報の守り方は、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。大学や病院、企業の中には、職員向けのセキュリティの研修資料の作成、不審なメールへの注意を呼びかける文面づくり、端末やアカウントの棚卸しの手伝いなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような事案を、公式の発表から正確に読み取り、「何が分かっていて何が分かっていないか」「対象の人は何をすればよいか」を整理する作業も、その一つです。
職員の意識を高める取り組みとして、模擬のフィッシングメールを使った訓練を行う組織もあります。その効果や進め方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。
セキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分の端末とアカウントの管理を整え、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。
九州大学の6月の件は、2026年11月1日時点で、お知らせがサイトから外れ、続報も見つからない段階です。九州大学病院で手術を受けたことがあり心当たりのある人は、大学や病院から届いた連絡を確かめること、大学や病院を名乗る連絡でお金や番号を聞かれても答えないこと、被害と思われることがあれば九州大学病院事務部総務課に連絡することの3つを先に済ませておいてください。
よくある質問
Q. 九州大学病院で手術を受けたことがあれば、必ず対象になりますか?
対象は、研究室の端末に手術動画データが保存されていた患者43名です。九州大学病院で手術を受けた人すべてが対象ではありません。電子カルテなど診療用のシステムへの影響は確認されていないとされています。対象の患者には大学から個別に連絡するとされていたため、心当たりがあれば届いた連絡を確かめ、分からなければ九州大学病院事務部総務課(092-642-5013)に問い合わせてください。
Q. 2026年10月28日に報道された校友会の件と同じ事案ですか?
別の事案です。10月28日に公表されたのは、校友会のメール配信サービスで同窓生等の氏名とメールアドレスが漏えいした件(登録情報は最大9,999件)と、治験管理システムで職員9名のアカウント情報に漏えいのおそれがある件の2件です。患者の手術動画データが関係するのは、2026年6月10日に公表された件だけです。
Q. 続報や調査の結果は出ていますか?
2026年11月1日時点で、6月10日のお知らせは大学のウェブサイトで表示されず、お知らせ一覧と九州大学病院の新着情報にも続報は見つかりません。調査の結果や人数の確定、補償についての公表は確かめられていません。対象の人は、大学や病院から届いた連絡の内容を基準にしてください。
Q. 大学や病院を名乗る電話がかかってきたら、どうすればよいですか?
お金、口座、カード番号、暗証番号、パスワードの話が出たら、答えずに電話を切ってください。「動画の削除に費用がかかる」といった話にも応じないでください。そのうえで、公式に案内された番号に自分からかけ直して、本当に連絡があったかを確かめます。相手が教えた番号にはかけ直さないことが大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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