ITトレンド運営のイノベーションで情報漏えいの可能性|GitHubへの不正アクセス 62,689名分 氏名・メールアドレス 対象と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓ITトレンドなどを提供するイノベーショングループの情報漏洩について
- ✓2026年8月の速報・確定報・訂正をもとに整理
- ✓GitHubへの不正アクセスで62,689名分の氏名やメールアドレス
ITトレンドの情報漏洩を調べている人に向けて、運営元の株式会社イノベーションの公式発表を整理します。イノベーションは2026年8月4日、グループがソフトウェア開発とシステム管理に使っている「GitHub」の認証情報が漏えいし、それを使った第三者の不正なアクセスで、リポジトリの中のファイルに書かれていた個人情報の一部が流出した可能性があると発表しました。8月7日の確定報と8月10日の訂正で、対象は62,689名分(氏名62,631件、メールアドレス62,689件、電話番号506件)と示されています。 お客さま情報を収めた本番データベースへの不正アクセスや、本番環境からの漏えいは確認されていないと発表されています。 対象になりうる人がまずすることは、イノベーショングループやITトレンドを名乗るメールや電話に注意し、URLを開いたり個人情報を入力したりしないことです。
この件は、2026年8月4日の速報、8月7日の確定報、8月10日の確定報の一部訂正の3本で公表されています。2026年11月1日時点で、イノベーションのニュースの一覧を見た範囲では、8月10日より後にこの件の続報は掲載されていません。補償の案内も出ていません。なお、2026年10月20日に、ウェブサイト制作サービス「Studio」への不正アクセスによる別の件が公表されています。対象も原因も違う事案のため、後半の節で分けて説明します。この記事は、2026年11月1日時点でこれらの公式発表を開き直して確かめた内容だけで書いています。報道の数字や推測は入れていません。
イノベーションとITトレンドの関係
株式会社イノベーションは、法人向けのIT製品の比較サイト「ITトレンド」などを提供するグループの会社です。会社のサイトでは、グループのサービスとして、ITトレンド、ITトレンドEXPO、bizplay、List Finder、Sales Doc.、Cocripoなどが紹介されています。
今回の発表は、株式会社イノベーションのニュースとして出ています。発表の冒頭は「イノベーショングループが提供するサービスをご利用いただき」となっており、特定のサービスの名前を挙げて、そのサービスの利用者が対象だとは書かれていません。対象の62,689名分が、どのサービスの利用者や関係者なのかの内訳も示されていません。
そのため、ITトレンドで資料請求をした人や、ITトレンドEXPOに申し込んだ人が対象かどうかは、発表からは決められません。対象かどうかは、後で紹介する方法で確かめてください。ITトレンドのサイトのトップページには、2026年11月1日時点でこの件の案内は見当たりません。公式の情報は、株式会社イノベーションのニュースのページにまとまっています。
GitHubへの不正アクセスで何が起きたのか
GitHub(ギットハブ)とは、米国のGitHub社が提供している、ソースコードを管理するサービスです。プログラムを作る会社の多くが、プログラムの設計図にあたるソースコードや、その変更の履歴をGitHubで管理しています。リポジトリとは、そのソースコードや関連するファイル、変更の履歴をまとめて管理する場所のことです。
発表の骨子は次のとおりです。
- グループがソフトウェア開発とシステム管理に使っているGitHubの認証情報が漏えいした
- その認証情報を使って、第三者による不正なアクセスが起きた
- ソースコードと、リポジトリに含まれていたファイルに書かれていた個人情報の一部が流出した可能性がある
- お客さま情報を収めた本番データベースへの不正アクセスや、本番環境からの漏えい、個人情報の不正利用などの被害は確認されていない
- 個人情報の流出は、GitHub上のリポジトリに含まれていたものに限られると確認した
認証情報とは、システムやサービスにログインするためのIDやパスワード、アクセスするための鍵などのことです。今回は、GitHubにアクセスするための認証情報(アクセストークンと呼ばれるもの)が第三者に取られ、悪用されたと説明されています。
大事なのは、狙われたのがサービスを動かしている本番のデータベースではなく、開発のためのGitHubだったという点です。本来は開発のための場所に、作業の途中で個人情報が保存されていたため、そこから流出の可能性が出たという説明です。
アクセストークンとは何か
アクセストークンは、パスワードの代わりにサービスへのアクセスを許すための、長い文字列の鍵のようなものです。プログラムが自動でGitHubにアクセスするときなどに使われます。人がログインするときのように毎回パスワードを入れる代わりに、この文字列を渡すことで、決められた範囲の操作ができるようになります。
便利な反面、アクセストークンを持っている人は、それを発行した人と同じようにサービスを操作できてしまいます。多要素認証を設定していても、アクセストークンそのものが盗まれると、その鍵で入られてしまうことがあります。そのため、アクセストークンはパスワードと同じか、それ以上に慎重に扱う必要があります。
今回の件では、このアクセストークンがプログラムの設定ファイルにそのまま書かれていたことが、直接の原因と説明されています。設定ファイルは、プログラムと一緒にいろいろな場所に写されたり、共有されたりしやすいものです。そこに鍵が書かれていると、どこかの写しから鍵が見つかってしまうおそれがあります。
公表の経緯と各報で分かったこと
この件は、3本の発表で公表されています。
| 日付 | 発表 | 分かったこと |
|---|---|---|
| 2026年8月4日 | 速報 | GitHubの認証情報が漏えいし、不正アクセスが発生。最大約60,000件の氏名とメールアドレス、そのうち一部の人の電話番号が流出した可能性 |
| 2026年8月7日 | 確定報 | 精査が完了。62,691名分(氏名62,631件、メールアドレス62,691件、電話番号506件)。原因と再発防止策を公表 |
| 2026年8月10日 | 確定報の一部訂正 | 対象件数を62,689名分(メールアドレス62,689件)に訂正 |
| 2026年11月1日時点 | 続報なし | ニュースの一覧に、この件の続報は掲載されていない |
8月10日の訂正では、対象範囲の調査そのものに誤りはなく、調査結果を社内で集計して共有する途中で件数の記載を誤ったと説明されています。この記事では、訂正後の62,689名分を使います。
速報では「流出した可能性」と書かれ、確定報の概要でも「流出の可能性が判明した個人データ」と書かれています。一方で確定報の項目の部分には「漏洩が確認された件数」という言い方もあります。この記事では、題と見出しは速報と確定報の概要の表現に合わせて「可能性」と書きます。
原文は、イノベーションの速報、確定報、確定報の一部訂正で読めます。
流出した可能性のある情報と含まれない情報
8月10日の訂正を反映した、流出した可能性のある情報は次のとおりです。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 対象の人数 | 62,689名分 |
| 氏名 | 62,631件 |
| メールアドレス | 62,689件 |
| 電話番号 | 506件 |
確定報で、被害が確認されていないと明記されている点は次のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 確認されていない | お客さま情報を収めた本番データベースへの不正アクセス |
| 確認されていない | 本番環境からの情報漏えい |
| 確認されていない | 個人情報の不正利用などによる二次被害 |
件数を見ると、メールアドレスは対象の全員分、氏名はほぼ全員分にあたります。電話番号が含まれるのは506件で、対象のごく一部です。住所、生年月日、パスワード、クレジットカード情報は、流出した可能性のある項目として挙げられていません。
速報の時点では「最大約60,000件」と書かれていましたが、確定報で62,691名分、訂正で62,689名分となりました。速報の数字より確定報の数字のほうが大きい点に注意してください。検索で速報だけを取り上げた記事を見ると、件数が古いままのことがあります。
原因について発表で分かっていること
確定報では、原因が2つに分けて説明されています。
社内の開発システムの一部において、外部サービス(GitHub)に アクセスするための認証情報が、プログラムの設定ファイル内に直接記載された状態で運用されておりました。この認証情報を 第三者が不正に取得し、悪用したことが、今回の不正アクセスの直接の原因でした。 出典: 株式会社イノベーション「GitHubへの不正アクセスに関する詳細調査の完了および セキュリティ対策強化のお知らせ(確定報)」
1つ目は、認証情報の管理の方法です。GitHubにアクセスするための認証情報が、プログラムの設定ファイルの中にそのまま書かれた状態で使われていて、それを第三者が不正に手に入れて悪用した、という説明です。
2つ目は、個人情報の保管のしかたの問題です。本来、個人情報は厳重に管理されたデータベースなどでだけ保管すべきものですが、社内の分析や開発の作業の途中で、一部の個人情報がGitHub上のリポジトリにも保存されていたと説明されています。そのため、1つ目の不正アクセスの結果、個人情報の流出につながったということです。
確定報は、この2つは別々の原因なので、再発防止策もそれぞれに対応する形で取ったとしています。第三者が設定ファイルの認証情報をどうやって手に入れたのか、いつから不正なアクセスが続いていたのかは、発表には書かれていません。
イノベーションの対応と再発防止策
速報の時点で、次の措置が取られたと書かれています。
- 不正アクセスの経路になった認証情報の無効化と、アカウントの遮断(完了)
- ソースコードに含まれていた各種の認証キーとパスワードの無効化と再発行(おおむね完了)
確定報では、2つの原因それぞれに対する再発防止策が示されています。
- 認証情報への対策:悪用された認証情報(アクセストークン)は無効化と停止を完了。認証情報の権限や発行の手順を見直し、組織全体で統制された仕組みに切り替えた。レビューの決まりを見直して強化した。GitHubのリポジトリへのアクセス状況の見張りを強めた
- 個人情報への対策:個人情報を含むデータをリポジトリに保存しない運用の決まりに見直し、既存のリポジトリの点検と是正を完了した。個人情報がリポジトリにアップロードされたときに検知する仕組みを導入した。混入を前もって止める自動チェックの導入を進めている
関係当局への個人データの漏えいなどに関する確定報告は、期限内に提出する予定だと書かれています。対象であることが確認できた人のうち、会社が連絡先を把握している人には、個別に連絡するとしています。速報では、メールなどで個別に連絡するとされていました。
お詫びの品や金銭による補償については、2026年11月1日時点の発表に記載はありません。補償があるかどうかは、この記事では推測しません。補償についての一般的な考え方は、情報漏洩の補償はもらえるのか|お詫び金・ポイントの例と利用者が確かめること 2026で整理しています。
公式発表で分かっていないこと
2026年11月1日時点の公式発表には、次の点が書かれていません。検索で見つかる記事にこうした話が出ていても、公式で確かめられないものは事実として扱わないほうが安全です。
- 62,689名分が、どのサービスの利用者や関係者にあたるのか
- 設定ファイルに書かれていた認証情報を、第三者がどうやって手に入れたのか
- 不正なアクセスがいつ始まり、いつ気づいたのか
- リポジトリに保存されていた個人情報が、いつごろ集められたものか
- 個別の連絡を、いつまでに、どの方法で送り終えたのか
- お詫びの品や補償の有無
確定報には、個人情報の流出はGitHub上のリポジトリに含まれていたものに限られると書かれています。つまり、サービスの本番のデータベースに登録されている情報全体が流出した可能性がある、という発表ではありません。検索で「ITトレンドの会員情報が全部漏れた」のような書き方を見かけても、公式の発表はそうなっていない点に注意してください。
自分が対象かを確かめる方法
対象になりうるのは、イノベーショングループが提供するサービスを使ったことがある人や、グループと関わりがある人です。ただし、どのサービスの利用者が含まれるかは、発表に書かれていません。
自分が対象かを考えるときの手がかりは、次のとおりです。
- 2026年8月ごろに、イノベーションから個別の連絡(メールなど)が届いていないか
- ITトレンドでの資料請求、ITトレンドEXPOへの申し込みなど、グループのサービスに氏名とメールアドレスを登録したことがあるか
- 登録したときのメールアドレスで、受信箱を「イノベーション」「ITトレンド」などの語で検索して、登録の記録が残っていないか
会社は、対象であることが確認できた人のうち、連絡先を把握している人に個別に連絡するとしています。逆に言えば、連絡先が分からない人には連絡が届かないこともありえます。心当たりがあるのに連絡が見当たらない場合は、後で紹介する窓口に尋ねてください。
連絡が来たように見えても、本物とは限りません。届いたメールのURLを開いて入力する前に、イノベーションのニュースのページで公表された内容と食い違いがないかを確かめてください。
対象かもしれない人がすること
流出した可能性があるのは、氏名、メールアドレス、一部の人の電話番号です。パスワードやカード番号は含まれていないため、やることは「なりすましの連絡に備えること」が中心になります。
イノベーショングループやITトレンドを名乗るメールに注意する
氏名とメールアドレスがそろうと、送り手は宛名に本名を書いたメールを送れます。宛名が正しいと、本物の連絡だと思い込みやすくなります。
とくに注意したいのは、次のようなメールです。
- 「情報流出のお詫び」として、ギフト券やポイントを受け取るためのURLを開かせるメール
- 「アカウントの安全確認」として、ログイン画面に見せかけたページでIDとパスワードを入力させるメール
- 「資料請求のお礼」や「展示会の案内」として、添付ファイルを開かせるメール
ITトレンドのような法人向けのサービスに登録したことがある人は、仕事のメールアドレスで登録していることが多いはずです。仕事のメールアドレスに届いたなりすましのメールを開くと、勤め先のパソコンや社内のシステムまで危険にさらすことがあります。フィッシングのメールの見分け方は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処でまとめています。
メールアドレスの漏えいを確かめる
自分のメールアドレスが、今回の件に限らず過去の漏えいに含まれていないかを確かめておくと、どのくらい警戒すべきかの目安になります。メールアドレスを入れて過去の漏えいを調べる方法は、Have I Been Pwnedの使い方|メールアドレスとパスワードの漏洩を確認する方法と、大手クラウドの過去の漏洩で紹介しています。
電話番号が含まれた人が気をつけること
電話番号が含まれるのは506件です。自分が当たるかは個別の連絡でしか分かりませんが、イノベーショングループやITトレンドを名乗る電話で、パスワードや社内のシステムのログイン情報、口座番号を聞かれたら、答えずに切ってください。電話番号が知られたときに起きやすいことと備えは、電話番号の流出チェックの方法|流出したらどうなるかと迷惑電話・SMSへの備え 2026で詳しく紹介しています。
届いたメールを開いてしまったとき
不審なメールのURLを開いてIDとパスワードを入力してしまった、添付ファイルを開いてしまった、という場合は、すぐに次のことをします。
- 入力したパスワードを、そのパスワードを使っているすべてのサービスで変える
- 仕事のパソコンで開いた場合は、ネットワークから外し、職場の情報システムの担当者に開いたメールと時刻を伝える
- カード番号を入力した場合は、カード会社に連絡して止めてもらう
- 送金してしまった場合は、すぐに銀行に連絡し、警察にも相談する
開いてしまったこと自体よりも、知らせるのが遅れることのほうが、職場や取引先への影響は大きくなります。
しなくてよいこと
発表の内容から見て、今回の件だけを理由に次のことをする必要はありません。
- クレジットカードの停止や再発行(カード情報は含まれていない)
- ITトレンドなどのサービスの退会(退会しても、すでに流出した可能性のある情報は戻らない)
退会するかどうかは、そのサービスを今後も使うかどうかで決めてかまいません。ただ、今回の件への対策としての効果はほとんどありません。それよりも、登録に使ったメールアドレスのパスワードを見直し、多要素認証を設定しておくほうが、なりすましへの備えとして役に立ちます。
法人向けのサービスで登録した情報が狙われるとき
ITトレンドのような法人向けのIT製品の比較サイトでは、資料請求のときに、氏名やメールアドレスに加えて、会社名や部署、役職などを登録することが多いものです。今回の発表で流出した可能性のある項目は、氏名、メールアドレス、電話番号の3つで、会社名や部署は挙げられていません。それでも、仕事のメールアドレスであれば、ドメインから勤め先が分かることがあります。
法人のメールアドレスが狙われると、次のようなことが起きやすくなります。
- IT製品の販売会社や展示会の事務局を装ったメールで、添付ファイルを開かせる
- 製品の無料体験をうたって、ログイン画面に見せかけたページで社内のアカウントの情報を入力させる
- 取引先を装って、請求書の振込先の変更を伝える
今回の件で、こうした被害が起きたという発表はありません。ただ、仕事のメールアドレスで登録したことがある人は、自分の職場の情報システムの担当者に今回の件を伝え、イノベーショングループやITトレンドを名乗るメールへの注意を共有しておくと安心です。
勤め先の情報システムの担当者が確かめたいこと
法人向けのサービスに社員が仕事のメールアドレスで登録していた場合、今回の件は社員一人の問題ではなく、会社のメールの安全の問題にもなります。情報システムの担当者や、社内の総務の担当者が確かめておきたい点は次のとおりです。
- 社内で、ITトレンドなどイノベーショングループのサービスに登録した社員がいるか
- イノベーショングループやITトレンドを名乗るメールが、2026年8月以降に社内に届いていないか
- 届いたメールの中に、ログイン画面に見せかけたページへのURLや、不審な添付ファイルがないか
- 社員に向けて、なりすましのメールへの注意を一度周知したか
会社によっては、資料請求を担当者個人の判断で行っていて、誰がどのサービスに登録したかを把握していないこともあります。今回の件をきっかけに、仕事のメールアドレスで外部のサービスに登録したときは、登録先を記録しておく決まりを作っておくと、同じような事案が起きたときに影響の範囲をすぐに確かめられます。
社員への周知のしかたや、なりすましのメールに気づくための訓練の考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドが参考になります。
開発の現場で同じことを起こさないために
今回の原因は、プログラムの設定ファイルに認証情報がそのまま書かれていたことと、開発のための場所に個人情報が保存されていたことでした。どちらも、ソフトウェアを作る仕事に関わる人にとっては身近な話です。
開発の仕事をしている人が見直したい点は、次のとおりです。
- アクセストークンやパスワードを、ソースコードや設定ファイルにそのまま書いていないか
- リポジトリに、本番のデータや顧客の名簿を写したファイルを入れていないか
- アクセストークンの権限を、必要な範囲だけに絞っているか
- 使わなくなったアクセストークンを、無効にしているか
- リポジトリへのアクセスの記録を、ときどき見ているか
イノベーションの再発防止策でも、認証情報の権限と発行の手順の見直し、個人情報のアップロードを検知する仕組み、混入を前もって止める自動チェックが挙げられています。個人や小さなチームでも、まずは「認証情報と個人情報をリポジトリに入れない」という決まりを作り、作業の前に確かめる習慣をつけることから始められます。
GitHubのアカウント自体の守り方としては、多要素認証の設定が基本です。多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンのアプリに出る確認コードなど別の手段も使ってログインする仕組みのことです。仕組みの違いと選び方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版にまとめています。
2026年10月20日のStudioの件との違い
イノベーションは、2026年10月20日に「ウェブサイト制作サービス「Studio」への不正アクセスによるお問い合わせ情報の漏えいの可能性に関するお知らせとお詫び」を公表しています。同じ会社の発表なので、検索で2つの件が混ざって見えることがありますが、別の事案です。
| 項目 | 2026年8月の件 | 2026年10月20日の件 |
|---|---|---|
| 原因 | グループが使うGitHubの認証情報が漏えいし、不正アクセス | ウェブサイト制作サービス「Studio」(Studio株式会社が提供)への第三者の不正アクセス |
| 対象 | 62,689名分の氏名、メールアドレス、電話番号(506件) | 連結子会社2社のWebサイトのフォームから寄せられた問い合わせ情報の一部 |
| 対象のサイト | 発表に記載なし | 株式会社Innovation & Co.の海外向け検証用サイト(国内向けサイトは対象外)、株式会社Innovation M&A Partnersのコーポレートサイト |
10月20日の件では、Studio株式会社から連絡を受けてグループ内を確かめたところ、子会社2社のWebサイトが対象に含まれていたと説明されています。問い合わせ先は、個人情報に関するお問い合わせフォームとされています。8月の件とは、原因も対象も違います。
問い合わせ窓口
8月の件の問い合わせ先は、確定報に次のとおり載っています。
| 名称 | 連絡方法 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 株式会社イノベーション 個人情報保護管理担当 | メール [email protected] | 平日10時から17時 |
速報では「株式会社イノベーション 個人情報お問い合わせ窓口」という名前で、同じメールアドレスと受付時間が案内されていました。電話の窓口は載っていません。
問い合わせるときは、次の点を書いておくと話が早く進みます。
- 自分が使ったことがあるグループのサービス(ITトレンドでの資料請求など)
- 登録したと思われる氏名とメールアドレス
- 個別の連絡が届いているかどうか
- 不審なメールや電話があれば、その日時と内容
問い合わせのメールにも、パスワードやカード番号を書く必要はありません。受付時間は平日の10時から17時とされているため、週末や夜に送ったメールへの返事は、次の平日以降になると考えておいてください。返事を待つ間に、窓口を名乗る電話がかかってきても、その場で個人情報を答えないようにします。問い合わせのメールは、自分が登録したと思われるメールアドレスから送ると、会社の側で照合しやすくなります。また、問い合わせ先を名乗る別のアドレスから返事が来た場合は、そのアドレスが本当にイノベーションのものかを確かめてください。
続報の確かめ方
8月10日の訂正のあと、2026年11月1日時点で、この件の続報は出ていません。確定報には、関係当局への確定報告を期限内に提出する予定と書かれており、今後、開示すべき新しい事実が見つかった場合は速やかに開示するとしています。
続報が出るとすれば、株式会社イノベーションのニュースのページに載るはずです。ニュースの一覧には、プレスリリース、お知らせ、IRの区分があり、年ごとに絞り込めます。2026年の一覧を開き、題名に「GitHub」「不正アクセス」が入っているものを探すと見つけやすくなります。
続報で確かめたいのは、件数の変更、流出した可能性のある項目の変更、二次被害の有無、補償の案内の有無です。検索結果の上のほうに出てくるまとめ記事は、速報の「最大約60,000件」のまま更新されていないことがあります。件数を確かめるときは、日付の新しい公式発表を直接開いてください。
在宅で仕事をする人が気をつけること
ITトレンドのような法人向けのサービスは、在宅で業務委託の仕事を受けている人が、取引先のためにIT製品を調べるときにも使われます。在宅で働く人は、取引先から顧客の名簿やソースコード、社内の資料などを預かる立場になることがあります。自分のアカウントの認証情報が盗まれると、預かった取引先の情報まで外に出るおそれがあります。
個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴など、とくに慎重に扱う情報)を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等が挙げられています。不正アクセスによる漏えいは、不正の目的で行われたおそれがある例として示されています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。
業務委託でソースコードや個人情報を扱う人が、自分のGitHubのアカウントやアクセストークンを盗まれて、預かった情報を見られてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。
今回の件をきっかけに、仕事で使う環境について次の点を見直しておくと安心です。
- 取引先から渡されたアクセストークンやパスワードを、自分のパソコンのメモやソースコードに残していないか
- 取引先のリポジトリに、テストのために顧客のデータを入れていないか
- 仕事で使うGitHubやメールに、多要素認証を設定しているか
- 契約が終わった取引先のアクセス権を、返したり消したりしているか
- 不審なアクセスに気づいたとき、取引先の誰に、どの手段で連絡するかを決めているか
フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報やアカウントの扱い方で信頼を得ています。認証情報をソースコードに書かない、用が済んだデータを消す、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。
アカウントを守る力を仕事に生かす
認証情報の守り方は、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。企業の中には、開発の現場での認証情報の扱い方の点検、社員向けのセキュリティの研修資料の作成、顧客向けの注意喚起の文面づくりなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような事案を公式の発表から正確に読み取り、「何が含まれて何が含まれないか」「対象者は何をすればよいか」を整理する作業も、その一つです。
開発やセキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分のアカウントと認証情報の管理を整えるところから始められます。@SOHOのアプリケーション開発のお仕事では、在宅で受けられる開発の仕事の種類と探し方を紹介しています。
イノベーションの件は、2026年8月10日の訂正で件数が確定し、2026年11月1日時点で続報は出ていません。ITトレンドなどグループのサービスに氏名とメールアドレスを登録したことがある人は、イノベーショングループやITトレンドを名乗るメールのURLや添付ファイルを開く前に確かめる習慣をつけ、気になることは個人情報保護管理担当のメールアドレスに尋ねてください。
よくある質問
Q. ITトレンドで資料請求をしたことがあれば、対象になりますか?
発表は「イノベーショングループが提供するサービス」の利用者などを対象としており、ITトレンドなど特定のサービスの利用者が対象だとは書かれていません。資料請求をしたことがあるだけで対象かどうかは、発表からは決められません。個別の連絡が届いていない場合は、[email protected] に尋ねてください。
Q. パスワードは流出したのですか?
流出した可能性のある項目として示されているのは、氏名62,631件、メールアドレス62,689件、電話番号506件です。サービスのログインパスワードは挙げられていません。速報では、ソースコードに含まれていた各種の認証キーとパスワードを無効にして再発行したと書かれていますが、これは会社のシステムの認証情報です。
Q. 件数が速報と確定報で違うのはなぜですか?
速報の時点では精査の途中で、最大約60,000件と示されていました。8月7日の確定報で精査が完了して62,691名分となり、8月10日の訂正で62,689名分に直されました。訂正は、調査の範囲ではなく、社内で集計して共有する途中での記載の誤りと説明されています。
Q. 10月に出たStudioの件と同じ事案ですか?
別の事案です。8月の件は、グループが使うGitHubの認証情報が漏えいして起きた不正アクセスです。10月20日の件は、ウェブサイト制作サービス「Studio」への不正アクセスで、連結子会社2社のWebサイトのフォームから寄せられた問い合わせ情報の一部が対象です。原因も対象も違います。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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