イラレ検定(Illustrator クリエイター能力認定試験)の内容と、在宅の仕事での活かし方


この記事のポイント
- ✓イラレ検定と呼ばれるIllustratorクリエイター能力認定試験の中身を
- ✓公式の出題範囲から詳しく解説します
- ✓スタンダードとエキスパートの違い
Illustratorを「イラレ」と呼んで使いこなしている人でも、検定の中身まではよく知らないことが多いものです。何が出るのか、どこまでできれば合格なのか、受かったら仕事にどう生かせるのか。この3つが分からないまま申し込むと、勉強の的を外してしまいます。
結論を先に書きます。一般にイラレ検定と呼ばれているのは、株式会社サーティファイが運営する「Illustratorクリエイター能力認定試験」です。級はスタンダードとエキスパートの2つで、どちらも最後に90分で1つの作品を仕上げる実践問題があります。出題範囲は、ロゴやチラシ、Webの部品を作る在宅の仕事で使う機能とほぼ重なっていて、勉強した内容がそのまま仕事の道具になります。
この記事では、公式ページに公開されている出題範囲を単元ごとに読み解き、勉強のポイントと、仕事への結びつけ方を順に整理します。
イラレ検定の正式名称と、試験のねらい
イラレ検定の正式名称は「Illustratorクリエイター能力認定試験」です。主催と認定は、サーティファイのソフトウェア活用能力認定委員会が行っています。公式ページでは、この試験を、Adobe Illustratorを使ったDTP(パソコンで印刷物を作ること)のファイルやWebデザインの部品の作成、そして問題の指示に従って1つの作品を作り上げる表現力など、コンテンツ制作のスキルを認定する試験と説明しています。
ポイントは「1つの作品を作り上げる」という点です。機能の名前を覚えているかを問うだけの試験ではなく、指示書を読み、素材を使い、決められた仕様で作品を仕上げる力を見ます。これは在宅でデザインの仕事を受けるときの流れとほぼ同じです。依頼主から指示と素材を受け取り、決められた形式で納品する。その一連の作業を、試験の中で再現していると考えると分かりやすいでしょう。
受験資格はなく、学歴や年齢の制限もありません。公式ページによると、累計の受験者数は2026年3月31日時点で120,897名、2025年度の平均合格率は72.1%です。
なお、Illustratorの操作を確かめる試験には、アドビ社が認定する「アドビ認定プロフェッショナル」もあります。こちらは試験会場のパソコンで50分、30問前後を解く形式で、試験の作りが違います。この記事では、イラレ検定と呼ばれることの多いサーティファイの試験を中心に解説します。
スタンダードとエキスパートの違い
級は2つあります。公式ページの認定基準を、言葉を補って整理します。
スタンダードは、Illustratorを使って、指示どおりの作業を正確かつ無駄なく行えるレベルです。作業指示書に基づいた制作ができること、Illustratorの基本的な操作ができることが基準です。
エキスパートは、Illustratorを使って、依頼主のニーズに応じた創造性の高いコンテンツを作れるレベルです。デザインの考え方や表現の目的に応じて適切な機能を選んで表現できること、DTPとWebデザインの基本的な知識があることが基準です。
言い換えると、スタンダードは「言われたとおりに正確に作れる人」、エキスパートは「目的を理解して、最適な方法を自分で選べる人」です。在宅の仕事に当てはめると、スタンダードはトレースや修正作業など指示がはっきりした仕事、エキスパートはロゴや印刷物など提案を求められる仕事の目安になります。
受験料は税込でスタンダードが8,100円、エキスパートが9,100円です。2つの級は同じ日に続けて受けることもできます。
試験の形式。第1部と第2部で何をするか
試験は2部に分かれています。公式ページの出題形式の表を整理すると次のとおりです。
| 級 | 第1部 | 第2部 |
|---|---|---|
| スタンダード | 実技問題。テーマ別の大問7〜9問程度、40分 | 実践問題。1テーマで作品を制作、90分 |
| エキスパート | 知識問題(多岐選択)と実技問題。それぞれテーマ別の大問4〜6問程度、合わせて50分 | 実践問題。1テーマで作品を制作、90分 |
第1部の実技問題は、問題文の指示に従ってIllustrator上で編集し、解答データを提出する形式です。スタンダードでは、DTPのファイルとWebデザインの部品の作成が中心です。エキスパートでは、これに知識問題が加わります。知識問題は選択肢から答えを選ぶ形式で、Illustratorの機能とDTP、Webデザインに関する知識が問われます。
第2部の実践問題は、1つのテーマについて作品を作る形式です。公式ページでは、第2部の内容を「Adobe Illustratorの操作による作品制作」としています。90分の中で、指示書を読み、素材を配置し、決められた仕様で仕上げて提出します。
合格の基準は、スタンダードが実技問題の得点率65%以上かつ実践問題の得点率70%以上。エキスパートが知識問題と実技問題の得点率65%以上かつ実践問題の得点率70%以上です。どちらの級も、第2部の実践問題のほうが基準が高く設定されています。部品を1つずつ作れるだけでなく、最後に作品として仕上げきる力が求められているということです。
出題範囲を読む。基本機能とオブジェクトの基本操作
公式ページは、出題範囲を単元ごとに細かく公開しています。ここからは、その内容を仕事の目線で読み解いていきます。
バージョンにより用語の表現や設定画面の配置に違いがある場合がありますが、同等の内容が出題されます。 出典: sikaku.gr.jp
最初の単元は基本機能です。指定されたファイル形式での保存、指定された内容でのドキュメント設定、アウトライン表示とプレビュー表示の切り替え、スクリーンモードの変更、用紙サイズやプリントサイズの設定、単位やガイド・グリッドの設定などがスタンダードとエキスパートの両方に含まれます。
地味に見えますが、仕事では最も大事な部分です。依頼主が指定したサイズ、単位、保存形式を守れないと、どれだけデザインがよくても使ってもらえません。試験でも、保存の形式を間違えると得点になりません。
次の単元はオブジェクトの基本操作です。カラーピッカーやカラーパネルでの色の選択、線パネルでの線の太さや破線の設定、スポイトツールでの属性のコピー、長方形や楕円形、多角形、スターなどの図形の描画、ブラシツールでの描画などが並びます。さらに、オブジェクトの移動と複製、重ね順の変更、定規やガイド、スマートガイドを使った正確なレイアウト、整列パネルでの整列と分布、グループ化やロックといった操作も含まれます。
この中で仕事に直結するのは、整列とガイドの使い方です。図解やチラシでは、要素がきちんとそろっているかどうかで見た目の印象が大きく変わります。目で見て合わせるのではなく、整列パネルやガイドを使って数値で正確にそろえる癖をつけてください。
出題範囲を読む。パスの描画と編集
Illustratorの中心となる技術が、パスの描画と編集です。パスとは、点(アンカーポイント)と点を結ぶ線のことで、Illustratorで作る図形や線はすべてパスでできています。
出題範囲には、ペンツールやアンカーポイントの追加・削除ツール、アンカーポイントツールを使ったパスの描画と編集、鉛筆ツールでの描画、選択ツールやダイレクト選択ツール、はさみツールやナイフツールでのパスの編集、スムーズツールやパス消しゴムツールでの編集、連結や平均のコマンドなどが並びます。エキスパートでは、オブジェクトメニューのパスの機能を使った高度な編集も加わります。
ペンツールは、多くの人が最初につまずく機能です。思いどおりの曲線を引くには、アンカーポイントの位置と、曲がり具合を決めるハンドルの扱いに慣れる必要があります。練習の方法として効果的なのは、簡単な図形やロゴを下絵にして、上からなぞる練習を繰り返すことです。
この技術は、在宅の仕事で頼まれることの多い「トレース」にそのまま使えます。トレースとは、手描きの絵や画質の粗いロゴを、きれいな線のデータに作り直す作業です。指示がはっきりしていて、初心者でも取り組みやすい仕事の1つです。ペンツールを自在に使えるようになることが、仕事の入口を広げる一番の近道です。
出題範囲を読む。カラー設定とグラデーション
色に関する単元も重要です。出題範囲には、カラーモードの設定、スウォッチパネルでの色の管理、グローバルプロセスカラーの設定と適用、パターンの作成と適用、グラデーションツールとグラデーションパネルによるグラデーションの設定、透明パネルでの不透明度と描画モードの設定が、両方の級に含まれています。
エキスパートでは、さらに各カラーモデル(グレースケール、RGB、HSB、CMYK)の概念の理解、目的に応じた適切なカラーモードの設定、Webセーフカラー、スポットカラー(特色)、メッシュツールによる複雑なグラデーション、不透明マスク、カラーマネジメントの知識などが加わります。
仕事の目線で大事なのは、カラーモードの使い分けです。画面で見るWebの画像はRGB、印刷物はCMYKで作るのが基本です。ここを間違えると、印刷したときに色が大きく変わってしまいます。
もう1つ、グローバルプロセスカラーは仕事で特に便利な機能です。スウォッチに登録した色をグローバルにしておくと、その色を使っているすべてのオブジェクトの色を一度に変えられます。依頼主から「ブランドの色を少し明るくしてほしい」と言われたときに、1つずつ直す手間がなくなります。修正に強いデータを作る習慣は、依頼主からの評価に直結します。
出題範囲を読む。オブジェクトの編集
オブジェクトの編集の単元には、デザインの表現の幅を広げる機能が集まっています。両方の級に含まれるのは、複数のアピアランスの適用、アピアランスの分割、回転・リフレクト・拡大縮小・シアー・自由変形ツールによる変形、リキッドツールでの編集、エンベロープ、変形の繰り返し、ブレンドオブジェクトの作成と編集、クリッピングマスク、複合パス、パスファインダーパネルでの複合シェイプの作成、グラフィックスタイルの適用、効果メニューのスタイライズやパスの変形などです。
エキスパートでは、グループやレイヤーへのアピアランスの設定、個別に変形のコマンド、シンボルの扱い、グラフィックスタイルの登録、そのほかの効果やラスタライズなどが加わります。
仕事でとくに使う機会が多いのは、パスファインダーとクリッピングマスクです。パスファインダーは、複数の図形を合体させたり、重なった部分を切り抜いたりする機能で、ロゴやアイコンを作るときに欠かせません。クリッピングマスクは、写真や図形を好きな形で切り抜いて見せる機能で、チラシやバナーでよく使います。
アピアランスは、1つのオブジェクトに複数の線や塗りを重ねて表現する機能です。元の形を保ったまま見た目だけを変えられるので、修正が入ったときにも対応しやすくなります。仕事では、あとから直せる形で作ることがとても大切です。
出題範囲を読む。レイヤーとテキスト
レイヤーの単元では、レイヤーの作成、ロック、表示と非表示、削除、移動、サブレイヤーを使った管理が両方の級に含まれます。エキスパートでは、テンプレートレイヤーの利用と、レイヤーを使ったクリッピングマスクが加わります。
レイヤーを整理して作ることは、自分の作業のしやすさのためだけではありません。納品したデータを依頼主や別のデザイナーが開いたとき、どこに何があるかが分かるデータは喜ばれます。背景、写真、文字、ロゴなど、要素ごとにレイヤーを分けて名前を付ける習慣をつけてください。
テキストの単元は範囲が広く、文字ツール、エリア内文字ツール、パス上文字ツールとそれぞれの縦書きのツールでの入力、フォントやサイズ、行揃え、色の設定、行送りやトラッキング、カーニングの設定、段落の行揃えやインデント、禁則処理、文字組みの設定、スレッドテキスト(複数の枠に文章を流し込む機能)、アウトライン化などが両方の級に含まれます。エキスパートでは、テキストの回り込み、段組み、タブとリーダー、OpenTypeや字形の知識、フォントの検索と置換、合成フォントの作成などが加わります。
チラシやパンフレットの仕事では、文字の扱いが仕上がりの質を大きく左右します。とくに、文字と文字の間隔を整えるカーニングと、行と行の間隔を決める行送りは、読みやすさに直結します。試験の勉強で、数値を変えたときに見た目がどう変わるかを確かめておくと、仕事で迷わなくなります。
エキスパートだけの範囲。印刷とWebの知識
エキスパートには、スタンダードにない範囲がいくつかあります。グラフツールでのグラフの作成と編集、アクションの再生・作成・編集・保存、スクリプトによる一括処理、そしてDTPとWebデザインの基本知識です。
DTPの知識として挙げられているのは、PDFの形式と特徴、画像解像度、色分解、プロファイルとガンマ補正、オーバープリントやトラッピング、レジストレーションカラー、トリムマーク(トンボ)と裁ち落としの設定です。Webデザインの知識としては、ファイル形式の知識と、オブジェクトへのイメージマップの設定が挙げられています。共通の知識として、フォントの形式の知識も含まれます。
トンボは、印刷した紙を切りそろえる位置を示す目印です。裁ち落としは、紙の端まで色を入れたいときに、仕上がりの線より外側まで少し広げて作っておく部分のことです。どちらも、印刷所にデータを渡すときに必ず問われる知識で、知らないまま入稿すると作り直しになることがあります。
グラフとアクションの範囲も、仕事で役立ちます。資料用の図解やインフォグラフィックの仕事では、グラフをきれいに整える技術が求められます。アクションは、同じ操作を記録して何度も繰り返す機能で、大量の画像を同じ形式で書き出すような作業の時間を大きく減らせます。
単元をどの順番で勉強するか
出題範囲は広いので、上から順に全部を同じ重さで勉強すると時間が足りなくなります。仕事でも試験でも使う頻度の高いものから固めていく順番をおすすめします。
最初の2週間は、基本機能とオブジェクトの基本操作に集中します。ドキュメントの設定、保存の形式、図形の描画、整列とガイド、グループ化といった操作を、迷わずできるようにします。ここが固まっていないと、どの問題でも時間を失います。
次の2週間で、パスの描画と編集、カラー設定に進みます。ペンツールで簡単なロゴをなぞる練習を毎日続け、スウォッチの登録やグローバルカラー、グラデーションの設定を繰り返します。
その次に、オブジェクトの編集とテキストに取り組みます。パスファインダー、クリッピングマスク、アピアランス、文字の設定と段落の設定です。チラシのような作品を1つ作ってみると、これらの機能を組み合わせて使う感覚がつかめます。
最後の期間は、サンプル問題や問題集を本番と同じ時間で通して解く練習に充てます。エキスパートを受ける人は、ここに知識問題の対策を加えます。印刷とWebの用語は、操作の練習だけでは身につきにくいので、公式テキストの知識の章を読んで用語を自分の言葉で説明できるようにしておきます。
この順番で進めると、ふだんからIllustratorを使っている人なら1か月半から2か月ほどで、試験の形式に慣れることができます。初めて触る人は、最初の基本操作の期間を長めに取ってください。
アドビ認定プロフェッショナルと組み合わせる
Illustratorの操作を確かめる試験には、アドビ社が認定する「アドビ認定プロフェッショナル」もあります。日本では株式会社オデッセイコミュニケーションズが運営していて、Illustratorの科目は「Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator」という名前です。
Illustrator 2025の試験概要によると、問題数は30問前後、試験時間は50分、受験料は税込で一般12,980円、学割9,680円です。全国の試験会場のパソコンで受験し、合否は試験直後に表示されます。出題範囲には、操作のほかに、コンテンツやフォントを使うときの著作権やライセンスの知識も含まれています。
イラレ検定とアドビ認定プロフェッショナルは、試験の作りが違うため、両方を受けることに意味があります。イラレ検定は、指示書に沿って1つの作品を仕上げる力を示します。アドビ認定プロフェッショナルは、アドビ社による国際的な認定で、PhotoshopとIllustratorの2科目に合格すると「Adobe Certified Professional in Visual Design」として認定されます。海外の依頼主と仕事をしたい人や、写真の加工までまとめて引き受けたい人は、組み合わせて取ることを考えてみてください。
試験の受け方と日程
受け方は2つあります。1つは、サーティファイが直接運営する全国一斉の「公開試験」です。「リモートWebテスト」という仕組みで、自宅や職場から受験できます。もう1つは、パソコンスクールなどの認定会場で受ける「随時試験」で、会場ごとに受けられる日程が違います。
公式ページに載っている公開試験の日程は、第9回が2026年7月5日(日)で受付を終えています。次の第10回は2027年1月24日(日)で、申込期間は2026年11月10日から2027年1月10日まで、結果の発表は2027年2月17日です。スタンダードは10時から12時の間、エキスパートは13時から15時の間の好きな時点で受験を始められます。詳しい受け方は公式の試験日程・受験方法のページにまとめられています。
試験時間は、スタンダードが130分(第1部40分、第2部90分)、エキスパートが140分(第1部50分、第2部90分)で、第1部と第2部の間に最大10分の休憩を取れます。受験を始めた時点から時間の計測が始まります。
申し込みは「資格受付ONLINE」にアカウントを登録してから行います。合否は試験日から1か月後を目安に通知され、合格者にはオープンバッジとデジタル認定証明書が発行されます。同じ試験にもう一度申し込むのは、前回の合否結果を受け取った後と決められています。
自宅で受験するときの準備
リモートWebテストで受ける場合は、自分で受験の環境を整える必要があります。公式ページに書かれている条件を、チェックの一覧にまとめます。
- 対応しているOSか。Windows 11は23H2以降、macOSは14(Sonoma)から26(Tahoe)
- 対応しているIllustratorのバージョンか。2026(30.x)と2025(29.x)
- Illustratorに最新のアップデートを適用しているか
- Adobe Fontsで、小塚明朝 Pro、小塚ゴシック Pro、小塚明朝 Pr6N、小塚ゴシック Pr6Nを、すべての太さで有効にしているか
- Illustratorのスクリーンモードを「標準スクリーンモード」にしているか
- RTF形式のファイルを開ける環境があるか
- インターネット回線、スマートフォン、スマートフォンのスタンド、静かな個室を用意できるか
RTFは、文字の書式を含めて保存できる文書の形式です。試験ではこの形式のファイルが使われ、Windows 11では開くソフトが入っていない場合があると公式ページに書かれています。その場合は、エクスプローラーのプレビューウィンドウで中身を表示する方法が案内されています。
フォントの準備は忘れやすい点です。指定のフォントが有効になっていないと、問題の指示どおりに文字を設定できません。試験の数日前には準備を終え、申し込み後に体験できるリモートWebテストの操作も試しておくと、当日落ち着いて臨めます。
実践問題90分の進め方
合否を左右する第2部の実践問題は、90分で1つの作品を仕上げる形式です。時間内に終わらない、指示の一部を見落とす、という2つの失敗が多くなりがちです。練習の段階から、次の手順を体に染み込ませておきます。
- 最初の5分で、作業指示書を最後まで読む。サイズ、色、フォント、保存形式、ファイル名の指定に印を付ける
- 作る順番を決める。背景や枠など全体の土台から作り、細かい部品は後に回す
- 素材を配置し、ガイドや整列パネルで位置を正確に合わせる
- 文字を入力し、フォント、サイズ、行送りなどを指示どおりに設定する
- 残り15分になったら新しい作業を止め、指示書と見比べて抜けがないかを確かめる
- 指定の形式とファイル名で保存し、提出する
迷ったときの判断も決めておきます。1つの作業で5分以上止まったら、いったん飛ばして先に進むことです。最後に時間が余れば戻ればよく、途中で止まって全体が仕上がらないほうが得点を大きく失います。
作業中のデータは、こまめに保存する癖もつけておきます。試験の途中でソフトが止まったり、操作を誤って大きく崩したりしたとき、直前の状態に戻れるかどうかで残り時間の使い方が変わります。仕事でも同じで、こまめな保存は自分を守る基本の技術です。
練習には、公式のサンプル問題と公式の問題集を使います。本番と同じ90分を計って通しで解き、終わったら指示書と自分の作品を1項目ずつ照らし合わせる。この振り返りを繰り返すと、見落としやすい指示の傾向が分かってきます。
出題範囲と在宅の仕事を結びつける
試験の範囲で身につけた技術は、在宅の仕事にそのまま対応させられます。主な対応関係を表にまとめます。
| 試験の範囲 | 結びつく在宅の仕事 |
|---|---|
| パスの描画と編集 | 手描きのロゴやイラストのトレース、アイコンの制作 |
| パスファインダー、複合パス | ロゴやマークのデザイン |
| クリッピングマスク、透明 | バナーやSNS画像の制作 |
| テキスト、段落、文字組み | チラシ、名刺、パンフレットの制作 |
| カラーモード、スウォッチ | ブランドの色を守った販促物の制作 |
| グラフ、整列 | 資料の図解、インフォグラフィック |
| アクション、書き出し | 大量の画像の一括書き出しなどの作業 |
| DTPの知識(エキスパート) | 印刷所への入稿データの作成 |
応募するときは、この表の右側の仕事ごとに作品を用意すると、依頼主が判断しやすくなります。試験の練習で作ったものも、整えれば作品集に入れられます。
作品に添える説明文も大切です。何のために、誰に向けて、どう工夫したかを短く書いておくと、依頼主は自分の依頼を任せられるかを判断しやすくなります。分かりやすい説明文を書く力は、ビジネス文書検定のような文書作成の資格で体系的に学ぶこともできます。
単価を上げていく考え方
在宅のデザインの仕事は、最初は単価の低い作業から始まることが多いものです。そこから単価を上げていくには、受ける仕事の種類を少しずつ変えていく考え方が役立ちます。
最初は、指示がはっきりしたトレースや修正作業など、スタンダードの技術で対応できる仕事から始めます。正確さと納期を守ることで評価を積み重ねます。次に、印刷物やバナーなど、レイアウトや色の判断を自分で行う仕事に進みます。最後に、ロゴやブランドの販促物一式のように、依頼主の目的を聞いて提案する仕事を目指します。この段階では、エキスパートで問われる「目的に応じて機能を選び表現する力」と、印刷やWebの知識がそのまま生きてきます。
単価を段階的に上げていく考え方は、職種が違っても共通しています。ライターの仕事で単価を上げる手順を整理したWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】は、実績の積み方や見せ方の点でデザインの仕事にも応用できます。
文章とデザインの両方を扱えると、受けられる仕事の幅はさらに広がります。チラシの文面とデザインをまとめて頼まれることも多いからです。文章を書く仕事の収入の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。
運営者として見てきた、検定を生かせる人
在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、検定に合格した後に仕事を伸ばしている人には共通点があります。それは、試験で身につけた「指示書を最後まで読み、指定を1つも落とさない」という習慣を、仕事でもそのまま続けていることです。依頼主にとって、言ったことが正確に反映される安心感は、デザインの好みよりも大きな価値を持ちます。
もう1つは、仕事の受け方です。仲介する事業者の手数料が大きい形では、同じ収入を得るために多くの案件を抱えることになり、指定の確認や仕上げの見直しにかける時間が削られます。依頼主と直接やり取りし、手数料0%で報酬を受け取れる形にすると、同じ作業量でも手取りが厚くなり、1件ごとに確認の時間を確保できます。依頼主にとっても、同じ予算でより丁寧な仕事を頼めることになり、双方が得をする関係が続きやすくなります。
次に何をするか
最後に、イラレ検定を受けると決めた人が、今日から始められることを整理します。
- 公式のサンプル問題をダウンロードし、時間を計って1回解く。できなかった操作を単元ごとに書き出す
- 受ける級を決める。まずはスタンダードで実践問題の流れに慣れ、次にエキスパートへ進むのが無理のない順番
- 次の公開試験(2027年1月24日)の申込期間(2026年11月10日から2027年1月10日)を予定表に入れる
- 練習で作ったものを、仕事の種類ごとに作品集の候補として保存しておく
Illustratorの技術は、Webやアプリの開発の現場でも使われています。画面のアイコンやボタンなどの部品を作る仕事に関心があるなら、アプリケーション開発のお仕事で開発の現場の仕事の内容を確認しておくと、検定の先にある働き方の選択肢が広がります。
よくある質問
Q. イラレ検定の正式名称は何ですか?
一般にイラレ検定と呼ばれているのは、サーティファイが運営する「Illustratorクリエイター能力認定試験」です。級はスタンダードとエキスパートの2つで、Illustratorを使ったDTPのファイルやWebデザインの部品の作成、問題の指示に従って1つの作品を仕上げる力を認定します。受験資格はなく、誰でも受けられます。
Q. スタンダードとエキスパートはどう違いますか?
スタンダードは、作業指示書に基づいて指示どおりの作業を正確に行えるレベルです。エキスパートは、目的に応じて機能を選び、依頼主のニーズに応える制作ができ、DTPやWebデザインの基本知識もあるレベルです。エキスパートには知識問題が加わり、印刷の知識やグラフ、アクションなども出題範囲に入ります。
Q. 合格するにはどれくらいの点数が必要ですか?
スタンダードは実技問題の得点率65%以上かつ実践問題の得点率70%以上、エキスパートは知識問題と実技問題の得点率65%以上かつ実践問題の得点率70%以上が合格の基準です。どちらも第2部の実践問題の基準が高く、90分で1つの作品を仕上げきる力が合否を分けます。
Q. イラレ検定は在宅の仕事に役立ちますか?
出題範囲は、トレース、ロゴ、バナー、チラシ、図解など在宅で頼まれることの多い仕事で使う技術とほぼ重なっています。ただし資格だけで仕事が決まるわけではないので、仕事の種類ごとに作品を用意し、資格と一緒に見せることが大切です。指示書の指定を落とさない習慣も、依頼主からの信頼につながります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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