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人事の仕事に役立つ資格|選び方と取る順番

@SOHO編集部
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人事の仕事に役立つ資格|選び方と取る順番

この記事のポイント

  • ✓人事の仕事に役立つ資格を
  • ✓社会保険労務士・衛生管理者・キャリアコンサルタントの国家資格と
  • ✓ビジネス・キャリア検定

人事部に配属された、人事の仕事に転職したい、今の人事の経験を形にしたい。そう考えて人事の資格を調べると、社会保険労務士のような難しい国家資格から、数か月で取れる検定まで幅が広く、どれが自分に合うのか判断しにくいものです。人事の仕事は資格がなくても始められますが、担当する業務によっては会社として資格者が必要になる場面があり、知識を体系的に整理する道具としても資格は役に立ちます。

この記事では、人事の仕事を「採用・育成」「労務・社会保険」「安全衛生・健康管理」などの領域に分け、それぞれに対応する資格を、主催団体や厚生労働省の公式の案内で確かめた内容をもとに整理します。受験資格、試験の時期、受験料、そして経験年数に合わせて取る順番まで、順を追って解説します。

人事の仕事に資格は必須ではないが、役立つ場面がある

最初に押さえておきたいのは、人事の仕事そのものに、持っていないとできないという資格はほとんどないことです。採用面接をする、給与を計算する、研修を企画するといった社内の業務は、資格がなくても担当できます。そのため「人事になるには何の資格が必要か」という問いに対しては、「必須の資格はないが、役立つ資格はある」というのが答えになります。

それでも人事の仕事で資格が意味を持つ場面は3つあります。

  1. 会社として資格者を選任する必要がある場面:衛生管理者のように、一定の規模の事業場で選任が法律で義務づけられている資格です
  2. 知識を体系的に身につけたい場面:労働法や社会保険の制度は改正が多く、試験勉強を通じて全体を整理できます
  3. 経験を客観的に示したい場面:転職や社内の異動で、人事の知識があることを第三者の基準で示せます

管理部門の人材紹介を手がける会社の解説でも、資格の役割について次のように説明されています。

採用・人材育成・労務など業務領域が広がる中で、知識を体系的に整理し、自身の経験を客観的に示す手段として資格が活きる場面があります。 出典: MS-Japan「人事におすすめの資格一覧」

ここで大切なのは、資格を取ること自体を目的にしないことです。人事の仕事は会社ごとに担当範囲が違い、採用だけを専門にする人もいれば、給与計算から労務トラブルの対応までを1人で担う人もいます。自分が今どの業務を担当しているのか、これからどの業務を担当したいのかを先に決めると、取るべき資格が自然に絞られます。

人事の業務と資格の対応を整理する

人事の仕事は、大きく次の領域に分けられます。それぞれの領域で役立つ資格を並べると、全体像がつかみやすくなります。

業務の領域 主な仕事 役立つ資格
労務・社会保険 入退社の手続き、社会保険・労働保険、就業規則 社会保険労務士、ビジネス・キャリア検定(労務管理)
人事企画・制度 等級制度、評価制度、賃金制度の設計と運用 ビジネス・キャリア検定(人事・人材開発)
採用・育成 募集、面接、研修の企画、キャリア面談 キャリアコンサルタント、ビジネス・キャリア検定(人事・人材開発)
安全衛生・健康管理 職場の衛生管理、健康診断、ストレスチェック 衛生管理者、メンタルヘルス・マネジメント検定
給与計算 月々の給与、賞与、年末調整 社会保険労務士の知識、表計算ソフトの資格

給与計算は人事の仕事の中でも毎月必ず発生する業務ですが、それだけを対象にした国家資格はありません。給与計算で必要になるのは、労働基準法の賃金の決まり、社会保険料と雇用保険料の計算、所得税の源泉徴収と年末調整の知識です。このうち賃金の決まりと社会保険・労働保険の部分は社会保険労務士の試験範囲と重なるため、給与計算を担当している人が社会保険労務士の勉強を始めると、毎月の作業の根拠が分かるようになります。所得税の源泉徴収と年末調整は国税庁の案内で確かめる分野で、社会保険労務士の試験範囲とは別に学ぶ必要があります。

この表のうち、国家資格は社会保険労務士、衛生管理者、キャリアコンサルタントの3つです。ビジネス・キャリア検定は厚生労働省の職業能力評価基準に沿った公的な検定で、メンタルヘルス・マネジメント検定は商工会議所が主催する検定です。

国家資格は試験の範囲が広く、取得まで時間がかかるものもありますが、その分、社内外での信頼につながります。検定は受験資格の制限がないものが多く、人事の仕事を始めたばかりの人でも挑戦しやすいのが特徴です。次の節から、それぞれの資格の中身を公式の案内に沿って見ていきます。

社会保険労務士は人事・労務の最上位の国家資格

社会保険労務士とは、労働や社会保険に関する法律の専門家として、手続きの代行や就業規則の作成、労務管理の相談に応じる国家資格です。人事の資格の中で最も難しく、最も評価が高い資格と言えます。

社会保険労務士試験の公式サイトによると、第58回(令和8年度)の試験は申込受付期間が4月13日から5月31日まで、試験日が8月23日、合格発表日が10月1日でした。受験手数料は15,000円です。毎年8月の下旬に1回だけ行われるので、受けると決めたら1年単位で計画を立てる必要があります。

社会保険労務士試験には受験資格があります。公式サイトでは、受験資格を「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つに分け、いずれか1つを満たす必要があると説明しています。人事の仕事をしている人に関係が深いのは次の2つです。

  • 学歴:大学、短期大学、専門職大学、高等専門学校(5年制)を卒業した人など
  • 実務経験:一般の会社を含む法人や個人事業の従業者として労働社会保険の法令に関する事務に従事した期間、社会保険労務士事務所で業務の補助をした期間、法人の役員として労務を担当した期間などが、通算して3年以上になる人

申込みのときには受験資格を証明する書類を提出する必要があるので、自分がどの区分に当たるのかを公式サイトの受験資格のページで早めに確かめてください。実務経験で受ける場合は、勤め先に証明書を書いてもらう手間もかかります。

試験は選択式と択一式の2つの形式で、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法などの科目が出題されます。合格基準点は総得点と科目ごとに決められ、どれか1つでも基準に届かないと不合格になります。苦手な科目を作らないことが合格の条件で、ここが他の資格と大きく違う点です。

人事の担当者が社会保険労務士を目指す意味は、仕事で日々使う知識がそのまま試験範囲に入っていることです。入社や退社の手続き、労働時間の管理、育児休業や介護休業、労災の手続きなど、試験の勉強をしながら実務の理解も深まります。ただし、他人の依頼を受けて報酬を得て手続きを代行するのは社会保険労務士の業務なので、登録をしていない人が副業として代行を請け負うことはできません。社内の人事担当として自社の手続きをするのとは扱いが違うことに注意してください。

2つ目の実務経験の区分は、人事・総務で社会保険や労働保険の手続きを担当している人にとって大事なポイントです。公式サイトでは「法人等若しくは事業を営む個人の従業者(いわゆる一般企業を含む)」として労働社会保険の法令に関する事務に従事した期間が通算3年以上になる人を受験資格に挙げています。大学を卒業していなくても、人事の実務を3年続ければ受験の道が開ける場合があるということです。どの事務が対象になるかは公式サイトで確かめ、証明書の書き方の例も事前に見ておいてください。

勉強の進め方は、科目の性格で2つに分けると組み立てやすくなります。労働基準法や労働安全衛生法などの労働の科目は、日々の人事の仕事と重なる部分が多く、実務の経験がそのまま理解の助けになります。一方、国民年金法や厚生年金保険法などの年金の科目は、実務で触れる機会が少なく、用語も独特なので、時間をかけて繰り返す必要があります。得意な科目を伸ばすより、苦手な科目で基準点を割らないことを優先するのが、科目ごとに基準点がある試験での基本の考え方です。

衛生管理者は会社が選任しなければならない国家資格

人事の資格の中で、会社として持つ人を確保しなければならない資格が衛生管理者です。試験を実施する安全衛生技術試験協会は、次のように説明しています。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者免許を有する者のうちから労働者数に応じ一定数以上の衛生管理者を選任し、安全衛生業務のうち、衛生に係わる技術的な事項を管理させることが必要です。 出典: 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」

従業員が50人を超える事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません。人事や総務の担当者が受けるよう会社から求められることが多いのは、このためです。衛生管理者の主な職務は、作業環境の管理、作業の管理、健康管理、労働衛生教育、健康の保持増進などです。

衛生管理者には第一種と第二種があります。第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれます。第二種は、有害業務との関わりが少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場でのみ衛生管理者になれます。事務系の会社であれば第二種で足りることもありますが、製造業や建設業の事業場では第一種が必要です。転職や異動の可能性を考えると、最初から第一種を受ける人も少なくありません。

受験には労働衛生の実務経験が必要です。安全衛生技術試験協会の案内では、大学・短期大学・高等専門学校を卒業した人はその後1年以上、高等学校を卒業した人はその後3年以上の労働衛生の実務経験が求められ、学歴にかかわらず10年以上の実務経験がある人も受験できます。労働衛生の実務には、健康診断の実施に関する事務や、職場の衛生に関する業務などが含まれます。どの業務が当たるかは協会の案内で確かめ、勤め先に事業者証明書を書いてもらって申請します。

試験は全国の安全衛生技術センターで年間を通して日程が組まれており、年に1回しか受けられない試験と比べると時期を選びやすいのも特徴です。第一種は労働衛生、関係法令、労働生理の3分野が出題されます。人事の担当者にとっては、健康診断やストレスチェック、長時間労働の対応など、日々の業務と直結する知識が身につく資格です。

キャリアコンサルタントは採用と育成の担当者向けの国家資格

キャリアコンサルタントとは、働く人の職業の選択や能力の開発について相談に応じ、助言する専門家です。2016年に国家資格となりました。社員のキャリア面談や研修の企画、採用面接で応募者の志向を見極める場面など、人事の中でも採用と育成の担当者に役立ちます。

厚生労働省の案内によると、キャリアコンサルタント試験は次のいずれかの要件を満たした人が受験できます。

  1. 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した人
  2. 労働者の職業の選択、職業生活設計、職業能力の開発と向上のいずれかに関する相談について3年以上の経験がある人
  3. 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した人
  4. 上記と同等以上の能力がある人

人事の担当者が受ける場合、多くは1つ目の養成講習を修了する道を選びます。2つ目の実務経験は、一対一の相談、またはおおむね6人以内の少人数のグループワークの運営などが対象で、情報提供だけのものや授業・訓練の運営そのものは含まれないと厚生労働省は説明しています。人事の面談がこれに当たるかどうかは個別に判断されるので、試験実施機関の案内で確かめてください。

試験に合格したら、キャリアコンサルタント名簿に登録して初めてキャリアコンサルタントを名乗れます。厚生労働省の案内では、登録手数料は8,000円で、別に登録免許税9,000円がかかります。登録は5年ごとに更新が必要で、更新のためには知識と技能を維持するための講習を一定の時間以上受ける必要があります。

キャリアコンサルタントは「名称独占」の資格です。名称独占とは、資格を持たない人がその名前を名乗れないという意味で、キャリアの相談そのものは資格がなくてもできます。それでも、社内の面談制度を作る人や、研修講師として独立を考える人にとっては、相談の技法を体系的に学んだことを示す有力な資格です。

ビジネス・キャリア検定は人事の実務知識を段階的に示せる

ビジネス・キャリア検定(ビジキャリ)は、中央職業能力開発協会が実施している検定で、事務系の職務に必要な知識を分野ごと、等級ごとに測ります。人事の分野には「人事・人材開発」と「労務管理」の2つの区分があり、1級は両方を合わせた「人事・人材開発・労務管理」です。

中央職業能力開発協会の案内では、2級・3級の「人事・人材開発」は人事制度の運用、給与や賞与の支給、募集・採用、研修に関わる人が対象で、「人事企画」「雇用管理」「賃金管理」とOJTやOff-JTなどの人材開発業務が範囲です。「労務管理」は労使交渉や労働紛争への対応、就業規則の立案、労働時間の管理、健康管理・メンタルヘルス、労働災害への対応、福利厚生に関わる人が対象で、「労使関係」「就業管理」「安全衛生」「福利厚生」が範囲です。

等級の目安は、3級が実務経験3年程度で係長やリーダーを目指す人、2級が実務経験5年程度で課長やマネージャーを目指す人、1級が実務経験10年以上で部長やディレクターを目指す人とされています。受験資格はなく、どの級からでも受けられます。受験料は1級12,100円、2級8,800円、3級7,920円、BASIC級4,950円です。

試験は前期と後期の年2回で、令和8年度は前期が10月4日、後期が令和9年2月14日です。人事の分野は、2級・3級が前期と後期の両方、1級が前期に実施されています。ビジキャリの良いところは、自分の担当業務に合わせて区分を選べることと、3級から2級、1級へと段階を踏んで知識を広げられることです。社会保険労務士ほどの勉強時間をかけずに、人事の実務知識を客観的に示したい人に向いています。

メンタルヘルス・マネジメント検定は職場の心の健康を扱う

メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所が主催する検定で、職場での心の健康づくりに関する知識を測ります。立場に応じて3つのコースがあり、Ⅰ種(マスターコース)は人事労務管理スタッフや経営幹部、Ⅱ種(ラインケアコース)は管理監督者、Ⅲ種(セルフケアコース)は一般社員が対象です。

公式サイトの案内では、受験料はⅠ種が11,550円、Ⅱ種が7,480円、Ⅲ種が5,280円(いずれも税込)です。学歴、年齢、性別、国籍の制限はなく、希望のコースを受けられます。2026年度の公開試験は11月1日と2027年3月21日で、3月の試験はⅡ種とⅢ種だけです。Ⅰ種は選択問題2時間と論述問題1時間の試験で、Ⅰ種とⅡ種、Ⅱ種とⅢ種を同じ日に受けることもできます。

第41回(2026年11月1日実施)以降の公開試験は公式テキストの第6版に沿って出題されると案内されているので、これから勉強を始める人は版を確かめてから教材を買ってください。

人事の担当者がⅠ種を目指す意味は、メンタルヘルス対策を会社の仕組みとして考える立場の知識が身につくことです。休職と復職の対応、ストレスチェックの結果の活用、管理職への教育など、人事が中心になって動く場面で判断の拠り所になります。Ⅰ種の範囲が広いと感じる人は、まずⅡ種で管理職の視点を学び、次にⅠ種に進む順番で取り組むと無理がありません。

担当業務と経験年数から資格を選ぶ

ここまでの資格を、人事の経験年数と担当業務に合わせて整理すると次のようになります。

立場 まず取りたい資格 次に目指す資格
人事に配属されたばかり ビジキャリ3級(担当に近い区分)、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅲ種またはⅡ種 衛生管理者
労務・社会保険の担当者 ビジキャリ3級・2級(労務管理)、衛生管理者 社会保険労務士
採用・育成の担当者 ビジキャリ3級・2級(人事・人材開発) キャリアコンサルタント
人事の管理職 ビジキャリ2級・1級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種 社会保険労務士
人事への転職を目指す人 ビジキャリ3級、衛生管理者(受験資格がある場合) 担当業務が決まってから選ぶ

配属されたばかりの人は、まず担当業務に近い検定で全体像をつかむのがおすすめです。いきなり社会保険労務士に挑戦すると、範囲の広さに圧倒されて続かないことがあります。ビジキャリ3級の勉強で労働法や人事制度の基本を押さえておけば、社会保険労務士の勉強に進んだときも土台ができています。

事業場の人数が50人を超えている会社では、衛生管理者を早めに取ると会社から喜ばれます。受験資格に実務経験が必要なので、人事・総務の仕事を1年以上続けたところで受けるのが現実的な時期です。

社員数が少ない会社で、人事・総務・経理を1人で担当している人もいます。いわゆる「ひとり人事」の立場では、採用から給与計算、社会保険の手続き、安全衛生までを幅広く扱うため、1つの分野を深める資格より、全体を広く押さえる資格が役立ちます。ビジキャリの3級を「人事・人材開発」と「労務管理」の両方で受け、人事の業務の地図を頭に入れてから、自社で最も困っている分野の資格に進むと、限られた時間を有効に使えます。困ったときに相談できる外部の社会保険労務士との付き合い方を知っておくことも、ひとり人事にとっては大切な備えです。

人事への転職を目指す人の場合、資格だけで採用が決まることは多くありません。応募先がどの業務の担当を募集しているのかを確かめ、その業務に近い資格を選ぶほうが、面接で話す材料になります。

取る順番と1年間の計画の立て方

人事の資格を複数取りたい人に向けて、試験の時期から逆算した1年間の計画の例を示します。日程は2026年度の公式の案内をもとにしているので、翌年度に受ける場合は各団体の最新の案内に合わせてください。

時期 試験と準備
4月〜5月 社会保険労務士試験の申込み(受ける年のみ)。ビジキャリ前期の申込みは4月下旬から
8月下旬 社会保険労務士試験
10月上旬 ビジキャリ前期試験(人事の1級・2級・3級)
11月上旬 メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種)
2月中旬 ビジキャリ後期試験(人事の2級・3級)
3月下旬 メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種・Ⅲ種)
通年 衛生管理者(各地の安全衛生技術センターで実施)

社会保険労務士を目指す年は、他の試験を詰め込みすぎないことが大切です。8月の本試験までは社会保険労務士の勉強に集中し、試験が終わった秋以降にビジキャリやメンタルヘルス・マネジメント検定を受けると、社会保険労務士で身につけた知識をそのまま活かせます。

衛生管理者は年間を通して受けられるので、仕事の繁忙期を避けて時期を選べます。人事の仕事は年末調整のある12月や、新卒の入社と社会保険の算定がある4月から7月が忙しい会社が多いので、比較的落ち着いた時期に受験日を入れると無理がありません。

勉強の進め方で共通して大事なのは、法改正に注意することです。労働や社会保険の制度は毎年のように改正があり、古いテキストで勉強すると、すでに変わった内容を覚えてしまいます。教材は受ける年度に合わせたものを選び、主催団体の試験案内に書かれている「いつの時点の法令で出題するか」を確かめてから勉強を始めてください。

資格の勉強を人事の実務に活かすコツ

資格の勉強は、試験に合格するためだけでなく、日々の人事の仕事の質を上げるために使えます。勉強した内容を実務に結びつけるために、次の4つを意識してみてください。

  1. 自社の就業規則と照らし合わせる:労働時間、休日、休暇、懲戒などの単元を勉強したら、自社の就業規則の該当する条文を読み、法律の決まりとどう対応しているかを確かめます
  2. 社内の手続きの流れを書き出す:入社、退社、育児休業などの手続きを、勉強した法律の順番に沿って書き出すと、抜けている確認作業に気づけます
  3. 法改正を一次資料で追う:労働や社会保険の制度は改正が多いので、厚生労働省のサイトで施行日と中身を確かめる習慣をつけます。テキストの解説だけでなく、元の案内を読むことが大切です
  4. 学んだことを社内向けの資料にする:管理職向けの説明資料や社員向けのお知らせを作ると、自分の理解の浅い部分がはっきりします

特に3つ目は、人事の担当者にとって欠かせない習慣です。たとえば社会保険の加入の基準や育児・介護に関する制度は、ここ数年で何度も見直されています。古い知識のまま社員に説明すると、本人に不利益を与えたり、会社が法令違反を問われたりするおそれがあります。資格の勉強で身につけた「元の資料を確かめる」姿勢は、そのまま実務の信頼につながります。

受験の費用を抑える方法を先に確かめる

人事の資格は、受験料だけでなく、テキスト代や講座の受講料もかかります。特にキャリアコンサルタントの養成講習や、社会保険労務士の通信講座は費用が大きくなりがちです。申し込む前に、費用を抑える方法がないかを確かめておくと負担が軽くなります。

1つ目は、勤め先の支援制度です。資格の取得を会社が推奨している場合、受験料や講座の費用を会社が負担したり、合格したら一時金を支給したりする制度を設けていることがあります。衛生管理者のように会社が選任しなければならない資格は、会社の業務として受験を指示されることも多く、その場合は費用を会社が負担するのが一般的です。人事部の中の人ほど制度を見落としやすいので、就業規則や社内の規程を一度確かめてみてください。

2つ目は、国の教育訓練給付金です。教育訓練給付金とは、雇用保険に入っている人などが、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受けたときに、費用の一部が雇用保険から支給される制度のことです。厚生労働省の案内では、講座のレベルに応じて専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、一般教育訓練なら教育訓練経費の20%(上限10万円)が修了後に支給されます。

キャリアコンサルタントの養成講習や社会保険労務士の講座の中には、この給付金の対象になっているものがあります。対象かどうかは講座ごとに違うので、厚生労働省の教育訓練給付制度のページから教育訓練講座検索システムで確かめてください。受給には雇用保険に入っていた期間などの要件があり、受講を始める前の手続きが必要な種類もあるので、申し込む前にハローワークで確かめておくと確実です。

資格を履歴書に書くときの正式な名前

人事の資格を履歴書や職務経歴書に書くときは、正式な名前で書くと正確に伝わります。主な資格の書き方の例を示します。

資格 書き方の例
社会保険労務士 社会保険労務士試験 合格(登録済みなら「社会保険労務士 登録」)
第一種衛生管理者 第一種衛生管理者免許 取得
キャリアコンサルタント キャリアコンサルタント 登録
ビジネス・キャリア検定 ビジネス・キャリア検定試験 2級 人事・人材開発 合格
メンタルヘルス・マネジメント検定 メンタルヘルス・マネジメント検定試験 Ⅱ種(ラインケアコース)合格

社会保険労務士は、試験に合格しただけの段階と、社会保険労務士会に登録した段階で扱いが違います。合格だけなら「合格」と書き、登録まで済んでいる場合に「登録」と書き分けます。衛生管理者は試験に合格したあと免許の申請をして交付を受ける資格なので、「免許取得」と書くのが一般的です。キャリアコンサルタントも試験の合格と名簿への登録が別なので、登録まで済ませてから「登録」と書きます。

職務経歴書では、資格の名前を並べるだけでなく、その知識を使ってどんな業務をしたかを書き添えると評価されやすくなります。たとえば「衛生管理者として月1回の職場巡視と衛生委員会の運営を担当」のように、資格と業務を結びつけて書くと、採用する側がその人の働く姿を想像しやすくなります。

人事の知識を在宅やフリーランスの仕事につなげる

人事の資格と経験は、会社の中だけでなく、在宅や業務委託の仕事にもつながります。採用の代行、研修資料の作成、人事制度に関する記事の執筆、社内規程や案内文の作成など、人事の知識を活かせる外部の仕事は少なくありません。

ただし、先に触れたとおり、他人の依頼で労働・社会保険の手続きを代行したり、就業規則を作成して報酬を得たりするのは社会保険労務士の業務です。資格を持たない人が受けられるのは、手続きの代行ではない周辺の仕事、たとえば採用の連絡業務や面接日程の調整、研修資料のデザイン、人事に関する解説記事の執筆などです。

文書を作る仕事では、正確で読みやすい文章を書く力が求められます。社内向けの通知や人事の案内文を作る力を示したい人は、ビジネス文書検定の内容も参考になります。人材育成の分野では、国の助成金を使って研修を行う会社も多く、その仕組みは福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、人材開発支援助成金の使い方を業種の例とともに整理しています。

最近は、人事の業務に生成AIを取り入れる会社も増えています。求人票の作成、面接の評価の整理、研修資料の下書きなどにAIを使う流れを支援する仕事もあり、AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、どのような業務が外部に依頼されているかをまとめています。人事の実務を知っている人がAIの活用を支援すると、現場に合った提案ができる強みがあります。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、人事の経験を外部の仕事に活かして長く続けている人ほど、資格の名前よりも「この会社の事情を分かってくれる人」と思ってもらえる関係を大切にしています。中間の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する会社は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。専門知識を持つ人ほど、この形の取引で力を発揮しやすくなります。

人事の資格は、担当業務に近い検定で全体像をつかみ、必要に応じて衛生管理者やキャリアコンサルタント、社会保険労務士へと進むのが基本の道筋です。まずは自分の担当業務と、今年度の試験の時期を確かめるところから始めてください。

よくある質問

Q. 人事の仕事に就くために必須の資格はありますか?

人事の仕事そのものに、持っていないとできない資格はほとんどありません。ただし常時50人以上の労働者を使う事業場では衛生管理者の選任が法律で必要なため、人事や総務の担当者が取るよう求められることがあります。転職の場面では、資格の有無より担当した業務の経験が重視されることが多いので、経験と資格を組み合わせて伝えることが大切です。

Q. 人事未経験から最初に取るならどの資格がよいですか?

受験資格の制限がないビジネス・キャリア検定の3級(人事・人材開発または労務管理)が取り組みやすい選択肢です。労働法や人事制度の基本を体系的に学べ、社会保険労務士などに進むときの土台になります。メンタルヘルス・マネジメント検定のⅢ種やⅡ種も、受験資格がなく受けやすい検定です。

Q. 社会保険労務士の受験資格がない場合はどうすればよいですか?

社会保険労務士試験の受験資格は、学歴、実務経験、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格の3つの区分があり、いずれか1つを満たせば受験できます。学歴の要件を満たさない場合でも、法人の役員として労務を担当した期間や社会保険労務士事務所での補助業務などが通算3年以上あれば受験できることがあります。詳しくは試験センターの公式サイトで確かめてください。

Q. 衛生管理者は第一種と第二種のどちらを受けるべきですか?

第二種は情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場でのみ衛生管理者になれます。製造業や建設業などの事業場では第一種が必要です。今の勤め先の業種で第二種が使えるかを確かめたうえで、転職や異動の可能性も考えて選ぶとよいでしょう。どちらも受験には労働衛生の実務経験が必要です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月26日最終更新:2026年11月6日
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会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方