お手伝いさんとして個人契約で働くには|家事の範囲と契約で決めること

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お手伝いさんとして個人契約で働くには|家事の範囲と契約で決めること

この記事のポイント

  • ✓お手伝いさんとして個人契約で働く方法を
  • ✓雇われて働く家事使用人と
  • ✓業務委託で家事を請け負う形の違いから解説します

お手伝いさんとして個人契約で働くとは、家事代行の会社に雇われるのではなく、家庭と直接約束を交わして、掃除や料理、洗濯などの家事を引き受ける働き方です。会社の取り分が差し引かれない分、受け取る報酬が増えやすい一方で、働く人を守る法律の多くが当てはまらず、条件の決め方を誤ると自分の身を守れなくなります。

よくある勘違いが、「個人契約でも、会社員やアルバイトと同じように労働基準法で守られている」というものです。結論から言うと、家庭に直接雇われて家事をする人は、労働基準法の適用から外れています。この記事では、お手伝いさんの個人契約の2つの形の違いから始めて、法律の扱い、厚生労働省の「家事使用人の雇用ガイドライン」の中身、家事の範囲と契約で決めておくこと、けがへの備え、税金の扱いまでを順に説明します。

お手伝いさんの個人契約には2つの形がある

お手伝いさんが家庭と直接結ぶ契約には、大きく分けて2つの形があります。どちらの形かによって、当てはまる法律も、税金の扱いも変わります。

1. 家庭に雇われる形(家事使用人)

家庭と労働契約を結び、家庭の指示のもとで家事をする形です。厚生労働省は、家政婦(夫)紹介所を経由するなどして、家庭と直接労働契約を結び、家庭との雇用関係の下で家事業務を行う人を「家事使用人」と呼んでいます。住み込みのお手伝いさんや、紹介所を通じて特定の家庭に通う家政婦の多くは、この形に当たります。

2. 家事を請け負う形(業務委託)

家庭から、決まった家事を仕事として請け負う形です。雇われるのではなく、自分の裁量で作業を進め、その結果に対して報酬を受け取ります。家事代行のマッチングサービスに登録し、個人として依頼を受ける人の多くは、こちらの形です。

形の違いは、契約書の名前ではなく、実際の働き方で判断されるのが一般的です。たとえば、作業の手順や時間を家庭が細かく指示し、断る自由がない働き方なら、契約書に「業務委託」と書いてあっても、雇われている形と判断される可能性があります。逆に、作業の進め方を自分で決め、引き受けるかどうかを自分で選べるなら、業務委託の形に近づきます。どちらの形で働くのかを、最初に家庭と確かめておくことが出発点になります。

家庭に雇われるお手伝いさんには、労働基準法が当てはまらない

家庭に雇われて家事をするお手伝いさんには、労働基準法が当てはまりません。労働基準法の第116条第2項には、次のように書かれています。

この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

つまり、法律で決まっている1日8時間・週40時間の上限、残業の割増賃金、休憩、休日、年次有給休暇といったルールは、家事使用人には自動的には当てはまりません。家事代行の会社のルールについて解説する記事でも、次のように説明されています。

「個人契約の家政婦」が「労働基準法の適用外」ということは、「法定労働時間」(1日8時間・1週40時間を超えて働いてはいけないなど)は関係ありませんし、社会保険・労災保険・雇用保険の被保険者にもなれません。 出典: lobby-z.co.jp

ここで、もう1つ押さえておきたいのが最低賃金です。最低賃金法の第2条は、この法律の「労働者」から家事使用人を除いています。家庭に雇われるお手伝いさんには、最低賃金法も当てはまりません。

ただし、法律がまったく働かないわけではありません。労働契約法は、使用者が同居の親族だけを使う場合の労働契約を適用から外していますが、家事使用人は外していません。厚生労働省の家事使用人のページでも、労働契約の更新(無期転換ルール)や、契約の終わり(解雇や雇止め)のルールが参考として案内されています。契約の内容をきちんと決めておくことの大切さは、むしろ会社に雇われる人より大きいと言えます。

なお、家事代行の会社に雇われ、会社の指示で家庭に派遣されて家事をする人は、会社の労働者なので、労働基準法も最低賃金法も当てはまります。同じ家事の仕事でも、誰に雇われているかで法律の扱いが変わる点に注意が必要です。

業務委託で請け負う場合の法律の扱い

家事を業務委託で請け負う場合は、雇われているわけではないので、労働基準法や最低賃金法は関係しません。報酬や作業の範囲は、家庭との約束で決まります。

2024年11月に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスと発注する事業者との取引を守るための法律です。ただし、公正取引委員会の解説では、消費者を相手に取引をしている人は、この法律のフリーランスに当たらないとされています。個人の家庭は事業者ではなく消費者なので、家庭から直接家事を請け負う場合、一般にこの法律の保護は受けられないと考えておく必要があります。

つまり、雇われる形でも、請け負う形でも、家庭と直接結ぶ契約では、法律が自動的に守ってくれる範囲は狭いということです。自分を守る手段は、契約の中身そのものになります。

3つの働き方を比べる

家事の仕事は、誰と契約するかで、法律の扱いが大きく変わります。お手伝いさんとして働く代表的な3つの形を比べると、次のようになります。

働き方 契約の相手 労働基準法・最低賃金法 労災保険
家事代行の会社に雇われる 会社 当てはまる 会社の労働者として対象
家庭に直接雇われる(家事使用人) 家庭 当てはまらない 特別加入で備えられる
家庭から家事を請け負う(業務委託) 家庭 雇われていないので関係しない 特別加入の対象になりうるかは加入団体に確かめる

会社に雇われる形は、法律に守られる範囲が広い代わりに、会社の取り分が差し引かれるため、家庭が払う金額のうち働く人が受け取る割合は小さくなります。家庭と直接契約する形は、受け取る割合が大きくなる代わりに、法律に守られる範囲が狭く、条件を自分で決めて守る必要があります。どちらがよいかは、収入を重視するか、守られる安心を重視するかで変わります。

初めて家事の仕事をする人は、まず会社に雇われる形で経験を積み、家庭の好みや作業の段取りに慣れてから、個人契約に移るという道もあります。会社で働く間に、自分の作業の速さや得意な家事が分かれば、個人契約で報酬や範囲を決めるときの根拠にもなります。

厚生労働省の「家事使用人の雇用ガイドライン」

家事使用人が働く環境を守るため、厚生労働省は「家事使用人の雇用ガイドライン」を作り、家事使用人(家政婦・家政夫)についてのページで公開しています。雇う家庭に向けたものですが、家事使用人本人や紹介所も含めて参照するよう案内されています。概要版で示されている主な内容は次のとおりです。

労働契約の条件をはっきりさせる

雇う家庭は、家事使用人と話し合ったうえで、次のような条件を、口頭だけでなく書面や電子メールなどで示すことが求められています。

・雇用主の情報
・就業場所
・労働契約の期間
・試用期間
・業務の内容
・就業時間と休憩時間
・報酬
・休日と休暇
・退職に関する事項

厚生労働省のページでは、労働契約書のひな型と記載例も公開されています。家庭と条件を話し合うときに、このひな型を一緒に見ながら空欄を埋めていくと、決め忘れを防げます。

条件を適正な水準にする

ガイドラインでは、報酬について、最低賃金を下回るような低い水準になっていないかを確かめ、話し合ったうえで適切な水準にするよう求めています。就業時間は1日8時間、1週40時間を上限とすることが望ましいとされています。労働契約の期間を定める場合は、長くとも3年以内(満60歳以上の場合は5年以内)が望ましいとされています。

法律で義務づけられているわけではありませんが、こうした水準が国の示した目安として存在することは、家庭と条件を話し合うときの大切な根拠になります。「厚生労働省のガイドラインでは、1日8時間までが望ましいとされています」と伝えられれば、交渉はずっと進めやすくなります。

就業環境を整える

ガイドラインは、高所での作業のように明らかに危険な作業をさせないこと、いつでもトイレを使えるようにすること、住み込みの場合は寝具と十分な広さの就寝場所を用意し、プライバシーに配慮しながら更衣室や浴室を使えるようにすることを求めています。パワハラやセクハラなどのハラスメントは絶対に許されないことも明記されています。

家事の範囲は、最初に細かく決める

お手伝いさんの仕事でトラブルになりやすいのが、家事の範囲です。「家事全般」とだけ決めて働き始めると、頼まれる作業が少しずつ増え、最初の約束の時間では終わらなくなります。ガイドラインでも、業務を頼むときは、あらかじめ決めた業務の範囲を超えないように気をつけ、新しい業務が出てきたときは十分に話し合うよう求めています。

決めておきたい家事の範囲の例を挙げます。

・掃除:どの部屋をどの程度まで。窓の外側や換気扇、エアコンの内部のような特別な掃除は含むか
・洗濯:洗う、干す、たたむ、しまうのどこまでか。アイロンがけやクリーニングの出し入れは含むか
・料理:何人分を何食、作り置きか当日の食事か。食材の買い出しは含むか
・買い物:買い物のお金の預かり方と、精算の方法
・子どもの世話:送り迎えや見守りを含むか。含む場合の時間と範囲
・ペットの世話:餌やりや散歩を含むか

ガイドラインでは、法令上資格がないとできない業務は、資格のある人である場合を除いて頼まないよう求めています。また、高度な家事業務や危険を伴う作業を一律に求めることは適切でないとされています。たとえば、たんの吸引のような医療に関わる行為や、脚立に乗っての高い所の作業は、引き受けない、あるいは条件を別に決める、と最初に伝えておきましょう。

編集部に届いた相談の中にも、週2回、3時間の約束で掃除と夕食の支度を引き受けたところ、半年ほどで買い物、子どもの習い事の送迎、来客の準備まで頼まれるようになり、毎回1時間以上延びるようになった、というものがありました。最初の約束が口頭だけで、範囲も時間も書面に残っていなかったため、どこからが追加の仕事なのかを話し合う手がかりがなかったそうです。範囲を書面にしておくことは、家庭を疑うためではなく、お互いの認識をそろえておくための道具だと考えましょう。

範囲を決めたら、「作業ごとのおおよその時間」も話し合っておくと安心です。たとえば「掃除2時間、料理1時間で、合わせて3時間」と決めておけば、時間内に終わらないときに、どの作業を減らすかを相談しやすくなります。

介護と家事の境目に気をつける

お手伝いさんとして高齢の方の家で働くと、家事のつもりが、いつの間にか介護に近い作業を頼まれていることがあります。食事を作るだけでなく食べるのを手伝う、着替えを手伝う、入浴を見守る、といった作業です。

ガイドラインでは、介護保険のサービスとしての訪問介護と、家事使用人として行う保険の対象外のサービスを組み合わせて使う家庭について、介護保険のサービスの時間と、家事使用人としての仕事の時間をはっきり分け、全体の就業時間を踏まえて休憩や休息の時間を確保するよう求めています。同じ人が、ある時間は訪問介護のヘルパーとして、別の時間はお手伝いさんとして働く場合、どちらの時間なのかがあいまいになりやすいからです。

介護の仕事には、資格が必要なものや、医療に関わる行為として限られた人しかできないものがあります。お手伝いさんとして引き受けるのは家事の範囲までとし、身体の介助を頼まれた場合は、家庭に介護保険のサービスの利用を勧めるか、自分が引き受けられる範囲を改めて話し合いましょう。資格を持っている人が介護まで引き受ける場合も、家事とは別の業務として、時間と報酬を分けて決めておくと、あとの行き違いを防げます。

住み込みで働く場合に決めておくこと

住み込みのお手伝いさんは、仕事の場と暮らしの場が同じになります。通いの働き方に比べて、決めておくことが増えます。ガイドラインでは、泊まり込みや住み込みの場合、寝具などを用意したうえで十分な広さの就寝場所を確保し、プライバシーに配慮しながら、更衣室や浴室、シャワーなどの設備を使えるようにするよう求めています。

住み込みの契約で、とくに話し合っておきたいのは次の点です。

・仕事の時間と自由な時間の区切り:何時から何時までが仕事か。夜に呼ばれたときは仕事の時間に入るか
・待機の扱い:家にいるだけで指示を待っている時間を、仕事の時間として数えるか
・食事と部屋の費用:食事や部屋の費用を報酬から差し引くか、無料か
・外出と休日:休日の過ごし方、外出のときの連絡の決まり
・個人の空間:自分の部屋に家庭の人が入ることがあるか、鍵がかかるか

住み込みの仕事は、「いつでも頼める人が家にいる」という状態になりやすく、気がつけば1日中働いていた、ということが起こりがちです。法律の労働時間の上限が当てはまらない分、契約で仕事の時間を区切っておくことが、自分の体と生活を守ることにつながります。ガイドラインでも、就業日ごとの始まりと終わりの時刻を確かめて記録し、お互いに確かめ合うことが望ましいとされています。

契約で決めておきたいこと

家事の範囲のほかに、契約で決めておきたいことを、雇われる形と請け負う形に共通するものを中心に整理します。

項目 決めておく内容
報酬 時給か日給か月給か。交通費の扱い。報酬を見直す時期
時間 曜日、始まりと終わりの時刻、休憩。延長したときの扱い
支払い 支払いの日、方法(振込か手渡しか)、明細の有無
休み 決まった休みの日。家庭の都合で休みになったときの報酬
鍵と貴重品 鍵の預かり方。貴重品は家庭が管理すること
けがと損害 作業中のけが、物を壊したときの扱い。加入している保険
終わり方 契約の期間、やめるときに何日前までに伝えるか

とくに見落としがちなのが、家庭の都合で休みになったときの扱いです。旅行や来客で「今週は来なくていい」と言われたとき、その日の報酬が出るのかどうかを決めていないと、収入が不安定になります。月給の形なら報酬は変わらない、時給の形なら前日までの連絡なら無給、当日の取り消しなら半額、のように決めておきましょう。

貴重品の扱いも大切です。ガイドラインでも、トラブルを避けるため、金品や貴重品など触れてはいけないものは雇い主自身で管理するよう求めています。物がなくなったときに疑いをかけられないためにも、貴重品には触れない、触れる必要があるものは家庭と一緒に確かめる、という約束をしておくと安心です。

報酬の決め方の考え方

報酬の形には、時給、日給、月給、1回あたりの定額などがあります。どれを選ぶかで、収入の安定と、働き方の自由さが変わります。

・時給:働いた時間がそのまま報酬になる。延長したときの扱いが分かりやすい一方、家庭の都合で時間が減ると収入も減る
・日給・1回あたりの定額:1回の訪問の報酬を決める形。作業が早く終わっても報酬は変わらないが、長引いたときの扱いを決めておく必要がある
・月給:住み込みや、決まった曜日に通う場合に多い。収入は安定するが、仕事の量が増えても報酬が変わらないことがある

雇われる形の場合、最低賃金法は当てはまりませんが、ガイドラインでは最低賃金を下回るような低い水準になっていないかを確かめるよう求めています。報酬を決めるときは、働く地域の最低賃金の額を1つの目安として確かめておきましょう。月給の形なら、月の働く時間で割って、時給に直したときにいくらになるかを計算してみると、水準を判断しやすくなります。

たとえば、月給20万円で、1日9時間、月に24日働く住み込みの仕事なら、働く時間は1か月で216時間です。20万円を216時間で割ると、時給に直して約926円になります。食事と部屋が無料で出る点を考えに入れても、地域の最低賃金と比べて低すぎないかを確かめる価値があります。

報酬を見直す時期を契約に書いておくことも大切です。「1年ごとに見直す」「家事の範囲が増えたときは話し合う」と決めておけば、長く働くうちに仕事が増えても、報酬が据え置かれたままになることを防げます。

契約書のひな型を使うときのポイント

厚生労働省は、家事使用人の労働契約書のひな型と記載例を公開しています。雇われる形で働く場合は、このひな型を出発点にすると、決めるべき項目を漏れなく話し合えます。

ひな型を使うときのポイントは3つです。

・空欄を残さない:決めていない項目は「なし」「別途協議」と書き、空欄のままにしない
・具体的に書く:「家事全般」ではなく、「居間と台所の掃除、2人分の夕食の調理」のように書く
・2部作って1部ずつ持つ:あとで内容を確かめられるよう、双方が同じものを保管する

請け負う形の場合は、労働契約書のひな型はそのままは使えませんが、決めておく項目は大きく変わりません。業務の内容、報酬、支払いの条件、期間の4点は、最低限書面に残しておきましょう。口約束で仕事を受けて、終わったあとに「そんな金額で合意していない」と言われるケースは、家事の仕事でも珍しくありません。

けがと損害への備え

家の中の仕事は、安全に見えて、実はけがの多い仕事です。包丁でのけが、熱湯でのやけど、ぬれた床で滑っての転倒、重い物を運んでの腰痛などが起こりえます。家庭に直接雇われる家事使用人は、通常の労災保険の対象になりません。

ここで知っておきたいのが、労災保険の「特別加入」です。厚生労働省の家事使用人のページでは、家事使用人も、介護作業従事者および家事支援従事者として、労災保険に特別加入できると案内しています。特別加入とは、労働者ではない人でも、仕事の実情から見て労働者に準じて守るのが適当な一定の人に、任意で労災保険に入ることを認める制度のことです。

特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じて行います。厚生労働省は、まず登録している家政婦(夫)紹介所が特別加入団体になっているかを確かめるよう案内しています。家事支援作業の特別加入の保険料率は、特定作業従事者のしおりで1,000分の5と示されています。

もう1つの備えが、損害保険です。ガイドラインでは、家事使用人に関係する保険として、家庭や第三者に損害を与えた場合に備える損害保険と、自分のけがや病気に備える災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)の2種類を挙げ、雇う家庭が加入の状況を事前に確かめるよう求めています。高価な食器を割った、床を傷つけた、といった場合にどうするかを、契約の段階で決めておきましょう。

税金と社会保険の扱い

雇われる形の場合

家庭から受け取る報酬は、給与として扱われます。ただし、所得税法の第184条では、常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う人は、その給与から所得税を差し引いて納める必要がないと定めています。多くの家庭はこれに当たるため、お手伝いさんの給与からは所得税が差し引かれず、年末調整も行われません。

この場合、お手伝いさん自身が確定申告をすることになります。国税庁の案内でも、源泉徴収義務のない人から給与などの支払いを受けている人は、確定申告をしなければならない人として挙げられています。1年の給与の合計と、控除の状況をもとに、自分で税額を計算して申告します。

請け負う形の場合

業務委託の報酬は、一般に事業所得か雑所得として扱われます。個人の家庭は、報酬から所得税を差し引く義務を負わないことが多く、報酬は満額で支払われるのが一般的です。その分、1年の所得を自分で計算して確定申告をする必要があります。交通費や作業用の道具の費用は、必要経費として差し引ける場合があります。

社会保険

家庭に雇われる形でも、請け負う形でも、家庭の側で健康保険や厚生年金に入れてもらうことは、一般には期待できません。自分で国民健康保険と国民年金に入るか、家族の扶養に入るかを考える必要があります。扶養に入っている人は、年間の収入によって扶養から外れることがあるので、働く時間を増やす前に確かめておきましょう。

税金と社会保険の扱いは、収入の額や家族の状況で変わります。迷う場合は、税務署や市区町村の窓口、年金事務所で確かめてください。

よくあるトラブルと、相談先

お手伝いさんの個人契約で起きやすいトラブルと、防ぎ方を挙げます。

・頼まれる家事が増え続ける:最初の範囲を書面で決め、新しい作業を頼まれたら、時間か報酬のどちらかを見直す話し合いをする
・終わりの時刻を過ぎても帰れない:延長したときの報酬と、延長を断れる場合を決めておく
・物がなくなった、壊れたと言われる:貴重品には触れない約束をし、作業の前後で気づいたことを記録しておく。損害保険に入っているかも伝えておく
・急に契約を打ち切られる:契約の期間と、やめるときに何日前までに伝えるかを決めておく
・家庭の人からの言動がつらい:ガイドラインでも、家事使用人へのハラスメントは絶対に許されないとされている。一人で抱え込まず、紹介所や相談窓口に相談する

ガイドラインでは、雇う家庭が、家事使用人が困ったときに相談するための家庭内の担当者を、あらかじめ労働契約書に書くなどして共有しておくとよいとしています。紹介所を通じている場合は、紹介所にも相談できます。

家庭との話し合いで解決しない場合は、各地の労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」に相談できます。厚生労働省の案内では、解雇、雇止め、賃金の引下げ、いじめや嫌がらせ、パワハラなど、あらゆる分野の労働問題を対象とし、予約不要で無料で使えるとされています。家事使用人には労働基準法が当てはまらないため、窓口で対応できる範囲は事情によって違いますが、契約の内容をどう話し合えばよいか、どこに相談すればよいかを確かめる最初の窓口として使えます。業務委託の形で、報酬の未払いのような契約のトラブルが起きた場合は、法テラスや弁護士への相談も選択肢になります。

個人契約の仕事を見つける方法

お手伝いさんとして個人契約の仕事を見つける方法は、主に3つあります。

家政婦(夫)紹介所に登録する

紹介所は、家事使用人と家庭の間の労働契約の成立をあっせんする機関です。紹介所を通じて家庭を紹介してもらい、家庭と直接労働契約を結びます。紹介所によっては、労災保険の特別加入団体になっているところもあります。紹介を受けるときに、手数料の扱いと、トラブルのときに相談に乗ってもらえるかを確かめておきましょう。

家事代行のマッチングサービスに登録する

個人として家事を請け負う形で、家庭とつながる方法です。サービスによって、報酬からの手数料の率、登録の審査、トラブルのときの補償の有無が違います。登録の前に、利用規約と手数料の説明をよく読みましょう。マッチングサービスを通じた仕事では、家庭との約束の一部がサービスの利用規約で決まっていることがあります。キャンセルの扱い、報酬の支払いの時期、作業中の事故のときの補償などが規約で決まっているなら、家庭と個別に決めるのはそれ以外の部分になります。規約で決まっていることと、家庭と決めることを分けて整理しておくと、話し合いがすっきりします。

知り合いの紹介

近所の人や知り合いから、家事を手伝ってほしいと頼まれることもあります。顔見知りの間柄ほど条件をあいまいにしがちですが、むしろ関係を壊さないためにこそ、報酬や時間、範囲を書面で残しておくことが大切です。

働き始める前のチェックリスト

個人契約で働き始める前に、次の点を確かめておきましょう。1つでも決まっていない項目があれば、働き始める前に家庭と話し合っておくと安心です。

・雇われる形か、請け負う形かを、家庭と確かめた
・家事の範囲を、部屋や作業ごとに具体的に決めた
・曜日、始まりと終わりの時刻、休憩を決めた
・報酬の額と形、交通費、支払いの日と方法を決めた
・延長したとき、家庭の都合で休みになったときの報酬を決めた
・鍵の預かり方と、貴重品は家庭が管理することを決めた
・作業中のけがや、物を壊したときの扱いを話し合った
・労災保険の特別加入や、損害保険の加入を検討した
・契約の期間と、やめるときに何日前までに伝えるかを決めた
・決めた内容を、書面か電子メールで双方が持っている
・確定申告が自分で必要になることを確かめた

このチェックリストを家庭との最初の話し合いに持っていき、一緒に確かめていくのも1つの方法です。条件を丁寧に確かめる姿勢は、家庭にとっても「この人なら安心して任せられる」という信頼につながります。

向いている人と、長く続けるコツ

お手伝いさんの仕事に向いているのは、家事が得意で、段取りよく作業を進められる人、相手の家の決まりに柔軟に合わせられる人です。家庭によって、物の置き場所や掃除の仕方、料理の味付けの好みが違います。最初の数回で家庭の好みをつかみ、言われなくても同じように整えられるようになると、信頼が深まります。

長く続けるコツは、小さな報告を欠かさないことです。「洗剤が少なくなっています」「冷蔵庫の野菜を使い切りました」といった一言のメモを残すだけで、家庭は安心して任せられるようになります。作業の記録を簡単につけておくと、時間や範囲についての話し合いのときにも役立ちます。

20年この市場を見てきた立場から言えば、個人と直接取引する仕事で長く続く人ほど、条件を最初に書面で決め、そのうえで「この人に任せると楽」という関係を少しずつ積み上げています。仲介の手数料がかからない直接の取引は、同じ予算で依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなる形です。その代わり、条件の確認からトラブルの相談までを当事者どうしで担うので、契約の書き方を身につけておくことが、自分を守る一番の手段になります。

契約書や見積書、作業の報告のような文書を、相手に伝わる形で書く力を身につけたい人は、ビジネス文書検定の資格ガイドが参考になります。

よくある質問

Q. 家庭に直接雇われるお手伝いさんにも最低賃金は当てはまりますか?

当てはまりません。最低賃金法の第2条は、この法律の労働者から家事使用人を除いています。ただし、厚生労働省の家事使用人の雇用ガイドラインでは、報酬が最低賃金を下回るような低い水準になっていないかを確かめ、話し合ったうえで適切な水準にするよう求めています。報酬を決めるときの目安として使えます。

Q. お手伝いさんの仕事でけがをしたら補償はありますか?

家庭に直接雇われる家事使用人は、通常の労災保険の対象になりません。ただし、介護作業従事者および家事支援従事者として、労災保険に特別加入できます。手続きは都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じて行うので、まず登録している紹介所が特別加入団体になっているかを確かめましょう。

Q. 個人契約のお手伝いさんは確定申告が必要ですか?

多くの場合、必要です。常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う家庭は、所得税を差し引く義務がないため、給与から所得税が引かれず、年末調整もされません。国税庁の案内でも、源泉徴収義務のない人から給与を受けている人は確定申告が必要とされています。業務委託の形でも、自分で所得を計算して申告します。

Q. 契約書には最低限何を書けばいいですか?

業務の内容、報酬、支払いの条件、期間の4点は最低限書面に残しましょう。雇われる形なら、厚生労働省が公開している家事使用人の労働契約書のひな型を使うと、就業時間、休日、退職に関する事項まで漏れなく決められます。家事の範囲は「家事全般」ではなく、部屋や作業ごとに具体的に書くのがポイントです。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年3月9日最終更新:2026年10月11日
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