衛生管理者の免許はどう取るか、選任された人が担う役割


この記事のポイント
- ✓衛生管理者免許の取り方と
- ✓選任された人が実際に担う役割を条文と公式データで整理しました
- ✓試験手数料8,800円
会社から「衛生管理者の免許を取ってほしい」と言われて調べ始めた人、あるいは自分の経歴に加えられる資格を探していて名前を見つけた人。どちらの立場でも最初に押さえるべきことは同じです。衛生管理者は、免許を取ったら終わりの資格ではなく、選任された後に法律上の職務が発生する役職だということです。
衛生管理者の免許が必要になる理由は、労働安全衛生法が常時50人以上の労働者を使用する事業場に選任を義務づけているからです。そして選任しなかった場合には罰則があります。だから会社は免許を持っている人を確保したがるわけです。裏を返せば、免許を持っていることは会社にとって「法律上の義務を満たせる人」という価値になります。
もう1つ、取り方の話で最初に知っておきたいのが受験資格です。誰でも受けられる試験ではありません。学歴に応じた労働衛生の実務経験が必要で、事業者による証明書の提出が求められます。学生が就職前に取れる資格ではない点が、他の資格と大きく違います。
この記事では、衛生管理者が何をする人かを条文で確認し、第一種と第二種の違い、受験資格、試験科目と合格基準、手数料、合格率の実像、選任の手続きと期限、選任後の職務、そして罰則までを順に整理します。数字と手続きはすべて公益財団法人安全衛生技術試験協会の公式サイトと法令の条文で確認したものです。
衛生管理者は何をする人か
条文から見ます。労働安全衛生法第12条は、事業者は政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、事業場の業務の区分に応じて衛生管理者を選任し、その者に第10条第1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならないと定めています。
第10条第1項各号に挙げられている業務は5つです。労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること。労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること。健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。労働災害の原因の調査および再発防止対策に関すること。そしてこれら以外に労働災害を防止するため必要な業務で厚生労働省令で定めるもの。
このうち衛生に係る技術的事項を管理するのが衛生管理者の役割です。安全衛生技術試験協会の説明では、主な職務として、労働者の健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育の実施、健康の保持増進措置などが挙げられています。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者免許を有する者のうちから労働者数に応じ一定数以上の衛生管理者を選任し、安全衛生業務のうち、衛生に係わる技術的な事項を管理させることが必要です。 出典: exam.or.jp
実務でこれが何を意味するかというと、健康診断の手配と結果の管理、長時間労働者への面接指導の段取り、作業環境測定の結果の確認、職場の衛生状態の点検、そして衛生委員会の運営です。人事や総務の担当者が兼務している形が多く、専任の役職として置かれるのは規模の大きい事業場だけです。
選任が必要な事業場と、置く人数
義務が生じる規模は政令で決まっています。労働安全衛生法施行令第4条は、法第12条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とすると定めています。
ここで注意したいのは「事業場ごと」という点です。会社全体の従業員数ではなく、工場や支店といった場所ごとに数えます。本社が200人でも、10人の営業所には選任義務がありません。逆に、会社全体では小さくても1つの事業場に50人が集まっていれば義務が生じます。パートやアルバイトも常時使用する労働者に含めて数えるのが基本です。
置く人数は労働安全衛生規則第7条第1項第4号の表で決まっています。常時使用する労働者数が50人以上200人以下で1人、200人を超え500人以下で2人、500人を超え1,000人以下で3人、1,000人を超え2,000人以下で4人、2,000人を超え3,000人以下で5人、3,000人を超える場合で6人です。
さらに専任が求められる場合があります。同条第5号では、常時1,000人を超える労働者を使用する事業場、そして常時500人を超える労働者を使用する事業場で坑内労働または労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものについて、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者とすることとされています。専任とは、他の業務を兼務せずに衛生管理の業務だけを担当することです。
もう1つ、衛生工学衛生管理者免許が必要になる場合もあります。常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条の特定の号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任することとされています。これは第一種や第二種とは別の免許です。
50人という線は他の義務とも連動しています。労働安全衛生法第18条は、政令で定める規模の事業場ごとに衛生委員会を設けなければならないと定めており、産業医の選任義務も同じ規模で生じます。つまり事業場が50人に達すると、衛生管理者、産業医、衛生委員会の3つが同時に必要になります。会社が急いで免許取得を求めてくるのは、人数がこの線を超えるときです。
第一種と第二種、どちらを取るべきか
免許には第一種と第二種があり、就ける事業場の業種が違います。安全衛生技術試験協会の説明では、第一種衛生管理者免許を有する者はすべての業種の事業場で衛生管理者になれ、第二種衛生管理者免許を有する者は有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ衛生管理者になれるとされています。
条文で確認すると、労働安全衛生規則第7条第1項第3号が業種を2つに分けています。イとして挙げられているのは、農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業および清掃業です。この業種では第一種衛生管理者免許か衛生工学衛生管理者免許を持つ者、または規則第10条各号に掲げる者から選任します。ロとして「その他の業種」が挙げられ、こちらは第一種、第二種、衛生工学のいずれかの免許を持つ者から選任できます。
判断は単純です。自分の会社の業種がイに入るなら第一種が必要です。入らないなら第二種でも足ります。ただし転職や配置転換の可能性を考えると、第一種を取っておいたほうが使い道が広くなります。医療業がイに入っている点は見落としやすいので、病院や介護の事業所に勤めている人は第一種が必要だと覚えておいてください。
なお、規則第10条は免許以外の資格も定めています。医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、そして厚生労働大臣の定める者です。医師が衛生管理者になれるのはここが根拠です。
第二種から第一種に進む道も用意されています。特例第一種衛生管理者免許試験という仕組みで、第二種衛生管理者免許を受けた者が第一種を受験する場合に使えます。試験科目は労働衛生(有害業務に係るものに限る)10問と関係法令(有害業務に係るものに限る)10問だけになり、試験時間は2時間です。受験時には第二種衛生管理者免許証の写しの添付が必要で、受験資格を証する添付書類は不要です。まず第二種で受かってから第一種に進む形を選べるということです。
受験資格。学歴に応じた実務経験が要る
ここが衛生管理者免許の最大の特徴です。学歴だけでは受けられず、労働衛生の実務経験が必要です。主な区分を整理します。
大学(短期大学を含む)または高等専門学校を卒業した者は、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験が必要です。提出書類は卒業証明書または卒業証書(学位記)の写しと、事業者証明書です。なお、大学、短期大学、高等専門学校には専修学校、高等専門学校以外の各種専門学校、各種学校は含まれません。
高等学校または中等教育学校を卒業した者は、その後3年以上の実務経験が必要です。中等教育学校とは中高一貫教育の学校のことで、中学校ではありません。
学歴による区分に当てはまらない場合は、10年以上労働衛生の実務に従事した経験があれば受験できます。この区分では事業者証明書だけが必要な添付書類になります。
このほか、大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者や専門職大学前期課程を修了した者で1年以上の実務経験、省庁大学校を卒業(修了)した者で1年以上、高等学校卒業程度認定試験に合格した者や外国において学校教育における12年の課程を修了した者で3年以上、船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けた者で1年以上、職業訓練の課程に応じて1年以上から4年以上、といった区分が定められています。
実務上の壁になるのは事業者証明書です。労働衛生の実務に従事したことを事業者に証明してもらう書類なので、勤務先の協力が必要です。会社から取得を指示されている場合は問題になりませんが、自分の意思で受けたい場合は、上司や人事に事情を説明して署名をもらう手順が入ります。
労働衛生の実務の範囲は広く取られています。健康診断の事務、職場の衛生管理、作業環境の管理、安全衛生教育の運営などが該当し得ます。人事や総務で健康診断の手配をしていた経験は実務に含まれる可能性があります。自分の経歴が該当するかどうかは、受験申請先のセンターに確認してください。判断が分かれる部分なので、申請前に問い合わせるのが確実です。
試験科目、試験時間、合格基準
試験の中身を確認します。第一種衛生管理者の学科試験は3科目で、労働衛生と関係法令はそれぞれ有害業務に係るものと、それ以外のものに範囲が分かれています。
第一種の出題数と配点は次のとおりです。労働衛生の有害業務に係るものが10問80点、有害業務に係るもの以外のものが7問70点。関係法令の有害業務に係るものが10問80点、有害業務に係るもの以外のものが7問70点。労働生理が10問100点。合計44問で400点です。試験時間は13時30分から16時30分までの3時間、科目免除者は13時30分から15時45分までの2時間15分です。
第二種は範囲が狭くなります。労働衛生(有害業務に係るものを除く)が10問100点、関係法令(有害業務に係るものを除く)が10問100点、労働生理が10問100点で、合計30問300点です。試験時間は第一種と同じ3時間です。
合格基準は協会が明記しています。科目ごと(第一種で範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつその合計が60%以上であることです。つまり総得点が6割を超えていても、どこか1つの範囲が4割を切っていると不合格になります。第一種は範囲が5つに分かれているので、苦手分野を作らない学習が必要です。有害業務に係る労働衛生と関係法令は暗記量が多い一方で配点も大きいため、ここを捨てる形は成り立ちません。
科目免除の制度もあります。船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けた者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験がある者は、労働生理の免除を受けられます。受験申請書の学科欄で一部免除を選び、労働生理と記入する手続きです。
試験手数料は学科試験共通で8,800円です。消費税法により非課税とされています。受験票を発行した後は試験手数料の返還ができず、試験日の変更もできません。払込みは受験申請書にとじ込まれている払込用紙を使って郵便局または銀行で行い、指定の払込用紙以外での納入はできません。会社がまとめて払い込むと個人別の払込状況が確認できなくなるため、依頼人欄には受験者本人の氏名を記入して個人別に払い込む必要があります。
合格率は5割を切っている
難易度を数字で確認します。令和7年度の免許試験の結果は、第一種衛生管理者が受験者66,401人、合格者31,046人、合格率46.8%でした。第二種衛生管理者は受験者40,653人、合格者19,796人、合格率48.7%です。
第一種と第二種で合格率がほとんど変わらない点が興味深いところです。第一種のほうが範囲が広いのに合格率が近いのは、第一種を受ける人のほうが実務で有害業務に接しており、内容に馴染みがあるためだと考えられます。逆に第二種は範囲が狭いぶん、受験者層に学習量の少ない人が含まれる形になります。いずれにしても、受験者の半分以上が落ちる試験です。
受験者数の規模も押さえておきましょう。第一種と第二種を合わせて10万人以上が受験しています。協会が実施する労働安全衛生法に基づく免許試験全体の受験者数は175,624人で、合格者は90,230人、合格率は51.4%でした。つまり衛生管理者だけで全体の6割を占めています。数の多い試験です。
合格率が5割前後ということは、公式テキストを1回読んだ程度では届かないという意味です。範囲ごとに4割以上という条件があるため、得意分野で稼いで苦手分野を捨てる戦法が使えません。過去問を使って範囲ごとの得点を測り、4割を切っている範囲から潰す順番で学習するのが効率的です。協会は過去問題を公開しているので、それを使えば出題の形式と水準を実際に確かめられます。
試験は年に数回ではなく、かなり頻繁に実施されています。全国7か所の安全衛生技術センターと東京、大阪の試験場で実施され、日程を見るとおおむね1か月あたり2回程度の頻度です。受験を希望するセンターに申請書を提出する形で、定員に達すると受付が終了します。このほか出張特別試験が地区ごとに実施されています。落ちても次の機会が近いのは、受験計画を立てるうえで有利な点です。
申請から免許を受けるまでの手続き
申請の流れを整理します。オンライン申請と書面での申請の2通りがあります。
オンライン申請の場合、受験申請書の取り寄せは不要です。受付は試験日の2か月前の深夜0時から始まり、試験日の14日前の23時59分59秒までです。添付書類の郵送が必要な試験では、支払い手続き後1週間以内に特定記録で申請先のセンターまたは試験場へ郵送します。
書面で申請する場合、郵送なら第1受験希望日の2か月前から14日前の消印までに、申請先のセンターまたは試験場へ簡易書留で郵送します。センター窓口へ持参する場合は、第1受験希望日の2か月前からセンターの休業日を除く2日前までです。窓口持参なら原則としてその場で受験票を受け取れます。
いずれの方法でも、受付期間中であっても定員に達した場合は受付が終了します。協会と各センターの休業日は土曜日、日曜日、国民の祝日と休日、年末年始(12月29日から1月3日)、そして協会の設立記念日である5月1日です。
提出するものは、受験申請書、受験資格を証する添付書類、試験手数料、そして証明写真(2.4センチメートル×3.0センチメートル)です。添付書類は受験資格の区分によって変わり、卒業証明書や卒業証書の写しと事業者証明書が基本です。提出された添付書類は返却されません。外国語で書かれた卒業証書の写しや卒業証明書を添付する場合は、日本語訳も添付します。
受験票は原則として申請先のセンターまたは試験場から郵送されます。オンライン申請の場合はマイページの申請一覧で申請状況が審査完了になっていることを確認し、審査完了なのに受験票が届かないときは試験日の2日前(休業日を除く)までに連絡します。書面申請の場合は郵送後10日過ぎても届かないときに連絡します。
合格すると免許試験合格通知書が届きます。試験に合格しただけでは免許を持ったことにならず、都道府県労働局長へ免許申請の手続きをして免許証の交付を受ける必要があります。ここを忘れて合格通知書のまま放置している人がいるので、合格後の手続きまで済ませてください。
選任は14日以内。選任後の職務も法律で決まっている
免許を取ったあと、会社が実際に選任する段階の決まりも知っておくと役に立ちます。ここを知らないまま「免許を取ったので終わり」と考えている人が多いところです。
労働安全衛生規則第7条第1項第1号は、衛生管理者の選任は選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければならないと定めています。事業場の労働者数が50人に達した日、あるいは前任者が辞めた日から14日です。免許を持っている人が社内にいないと、この期限を守れません。会社が先回りして免許取得を求めるのは、この期限があるからです。
同じ条文の第2号は、その事業場に専属の者を選任することを求めています。ただし2人以上の衛生管理者を選任する場合で、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人については専属でなくてもよいという例外があります。つまり外部の労働衛生コンサルタントに任せられるのは、2人以上置く事業場で1人分だけです。1人しか置かない事業場は、社内の人が免許を持つ必要があります。
選任したら報告義務があります。規則第7条第3項では、事業者は衛生管理者を選任したときは遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。報告する内容には、衛生管理者の氏名、生年月日、選任年月日、担当する職務の内容、専属であるか否かの別、専任であるか否かの別、前任者がいる場合はその氏名と辞任や解任等の年月日などが含まれます。資格を証明できる電磁的記録を添える必要もあります。
選任後の職務として条文に明記されているものが2つあります。1つは規則第11条第1項の定期巡視です。衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないとされています。週1回という頻度は、兼務している人にとって軽い負担ではありません。
もう1つは同条第2項で、事業者は衛生管理者に対し衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならないとされています。名前だけの選任は認められないという趣旨です。実際に改善を求める権限がないまま選任されている状態は条文に反します。
衛生委員会の運営も関わります。労働安全衛生法第18条第2項では、衛生委員会の委員として衛生管理者のうちから事業者が指名した者を含めることとされています。そして規則第23条第1項は、事業者は委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないと定めています。議事の概要は労働者に周知する義務もあります。衛生管理者になると、この月1回の会議の実務を担うことになるのが通例です。
選任しなかったときの罰則
会社にとっての重みを確認しておきます。労働安全衛生法第120条は、同法第12条第1項などの規定に違反したときは、違反行為をした者は50万円以下の罰金に処すると定めています。衛生管理者を選任しないことは、この罰金の対象です。
実務上は、労働基準監督署の調査で選任していないことが判明すると、まず是正勧告が出ます。期限を定めて改善を求められ、それに応じない場合に手続きが進む流れです。ただし罰則の条文があること自体が、会社に選任を急がせる理由になります。
選任だけしておいて職務を果たさせない形も、条文上は問題になります。毎週1回の巡視は規則に書かれた義務で、衛生管理者に権限を与えることも事業者の義務です。名義だけ貸す形で選任されると、実際に労働災害や健康被害が起きたときに責任の所在が問われます。免許を持つ人の側から見ても、職務の内容と権限の範囲を選任時に文書で確認しておく価値があります。
この点は、会社から免許取得を求められている人が交渉に使える材料です。選任されると毎週の巡視と月1回の衛生委員会が業務に加わります。担当する範囲、巡視に使える時間、改善を求めるときの決裁ルートを先に決めてもらう形で話を進めれば、選任後に無理が生じません。免許を取ってほしいという依頼を受けた時点で、選任後の業務の話まで同時にしておくのが筋の通った進め方です。
学習の進め方と、落ちる人がつまずく場所
学習の中身にも触れておきます。範囲ごとに4割以上という条件があるため、順番の設計が結果を左右します。
労働生理は3科目の中でもっとも独立しています。呼吸、循環、消化、神経、筋肉、体温調節、睡眠、ストレスといった人体の仕組みを扱い、法令の知識は不要です。暗記中心で範囲も限られるため、ここを最初に固めると得点が安定します。第一種でも第二種でも10問100点の配点があり、比重が大きい科目です。
関係法令は、労働安全衛生法と施行令、労働安全衛生規則の条文から出ます。数字を覚える設問が多く、選任の人数、期限、健康診断の頻度、作業環境測定の間隔といった数値が並びます。条文をそのまま覚えるより、この記事で整理したような「規模と人数の表」「期限の一覧」を自分で作るほうが定着します。第一種では有害業務に係る関係法令が別の範囲として扱われ、特定化学物質や有機溶剤、粉じん、石綿に関する規定が加わります。
労働衛生は、作業環境管理、作業管理、健康管理の3つの柱で構成されます。第一種の有害業務に係る労働衛生では、有害物質の性質、局所排気装置の構造、保護具の選び方、職業性疾病の種類が問われます。ここが第一種で最初につまずく範囲です。実務で有害業務に接していない人は馴染みがないため、用語を1つずつ確認する時間が必要になります。
落ちる人がつまずく場所は2つに集約されます。1つは、総得点で6割を超えたのに1つの範囲が4割を切って不合格になる形です。得点の管理を範囲ごとに行っていないと、これが起きます。過去問を解いたら、範囲ごとに正答率を出して記録してください。2つは、数字の混同です。選任の期限、報告の期限、健康診断の頻度、測定の間隔といった数字が似ているため、まとめて覚えると取り違えます。表にして並べ、違いが見える形にするのが確実です。
学習期間の目安は、労働衛生の実務に就いている人なら数週間から2か月程度で組める範囲です。ただし有害業務に係る範囲に馴染みがない場合は、その部分だけで追加の時間が必要になります。試験がおおむね1か月あたり2回実施されているので、準備が整った時点で直近の回に申し込む形が組みやすいです。申込みの締切が試験日の14日前なので、逆算して日程を決めてください。
資格として見たときの位置づけと、働き方の広げ方
最後に、この免許を自分の経歴としてどう使えるかを整理します。
在宅の仕事の募集を長く見てきた立場から言うと、衛生管理者免許は在宅で単独の仕事になる資格ではありません。選任は事業場に専属の者を選ぶことが原則で、毎週1回の職場巡視が職務として書かれているからです。現場に行かなければ果たせない職務が中心なので、完全な在宅で衛生管理者として働く形は制度上成り立ちません。この点を先に理解しておくと、期待の置き方を間違えません。
では価値はどこにあるか。1つは、人事や総務の職種で転職するときの強みになることです。事業場が50人に達すると選任義務が生じるため、成長している中小企業は免許を持つ人を探しています。求人票に「衛生管理者免許をお持ちの方優遇」と書かれる理由がここにあります。もう1つは、社内での交渉力です。専任が必要な規模ではない事業場では兼務が前提なので、業務の割り振りを決める場に関わることになります。
副業や独立の方向で考えるなら、労働衛生コンサルタントという上位の資格があります。規則第10条で衛生管理者になれる者として挙げられており、規則第7条の専属の例外にも登場します。2人以上の衛生管理者を置く事業場では、労働衛生コンサルタントなら1人分については専属でなくてもよいとされているため、外部から関与できる道があります。ただし労働衛生コンサルタント試験は衛生管理者免許試験とは別の試験で、水準も大きく違います。段階を踏む形になります。
並行して収入の土台を作る方向も現実的です。文章や資料を扱う仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種ごとの水準が確認でき、技術寄りの仕事の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場にあります。労働衛生の知識は、安全衛生に関する社内資料や研修教材を作る仕事に直接使えます。その領域の文章を書ける人は少ないので、書く技能と組み合わせると値段が付きやすくなります。実績の並べ方の型はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で扱っている考え方がそのまま使えます。
20年この市場を見てきた立場から言えば、資格を持つ人が単価を上げられるのは、資格名を示したときではなく「この人に任せると自分の手間が減る」と思われたときです。衛生管理者の文脈で言えば、健康診断の手配を頼まれたときに、受診率の管理表と未受診者への案内文まで整えて渡す。次回そのまま使える形にしておく。これだけで依頼側は次も同じ人に頼みます。免許で担保されるのは知識の範囲で、評価されるのは段取りです。
単価そのものの交渉の進め方はWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で扱っている段取りが参考になります。金額を切り出す前に、手戻りの少なさを示す材料をそろえる順番です。資格取得の費用を会社が負担する場合や、企業が従業員の研修として実施する場合は助成金の対象になる制度もあり、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で扱っているような仕組みがあります。適用の可否は要件で変わるので、実施機関に確認してください。
手取りの話もしておきます。仲介が中間マージンを取る仕組みでは、依頼側が払った金額と受け手に届く金額に差が生まれます。手数料0%の直接取引では、同じ予算で依頼側はより多くを頼めて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、この差がもっとも大きく出るのは、1件あたりの金額が小さく毎月続く取引のほうです。社内資料の作成や研修教材の更新のような継続の仕事を受けるなら、取引の形が手取りに直結します。
業務の進め方を仕組みで改善する方向に興味があるならAIコンサル・業務活用支援のお仕事に整理があります。健康診断の管理や巡視の記録を仕組みに落とす作業は、この領域と重なります。文書の型を体系的に押さえたい場合はビジネス文書検定の出題範囲が土台になります。
試験日程と手数料は年度で変わる可能性があるため、申し込む前に安全衛生技術試験協会の第一種・第二種衛生管理者の紹介で受験資格と試験科目を、統計で最新の合格率を確認してください。条文そのものは労働安全衛生法と労働安全衛生規則で読めます。選任の人数や期限は規則第7条に、職務は第11条に書かれています。
よくある質問
Q. 衛生管理者免許は誰でも受験できますか?
できません。学歴に応じた労働衛生の実務経験が必要です。大学や高等専門学校の卒業者は1年以上、高等学校や中等教育学校の卒業者は3年以上、学歴の区分に当てはまらない場合は10年以上の実務経験が求められます。いずれも事業者証明書の提出が必要なので、勤務先の協力が要ります。
Q. 第一種と第二種はどちらを取るべきですか?
勤務先の業種で決まります。農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業では第一種が必要です。それ以外の業種は第二種でも足ります。転職の可能性を考えるなら第一種のほうが使い道が広く、第二種から特例試験で第一種に進む道もあります。
Q. 合格率と受験料はどのくらいですか?
令和7年度の合格率は第一種46.8%(受験66,401人)、第二種48.7%(受験40,653人)です。試験手数料は学科試験共通で8,800円、消費税法により非課税です。合格基準は科目ごと(第一種は範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ合計が60%以上なので、苦手な範囲を作らない学習が必要になります。
Q. 選任された後はどんな業務が発生しますか?
少なくとも毎週1回、作業場等を巡視し、有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じる義務があります。衛生委員会の委員として指名されるのが通例で、委員会は毎月1回以上開催されます。このほか健康診断の管理、作業環境の管理、労働衛生教育の実施などを担当します。事業者は衛生管理者に衛生に関する措置をなし得る権限を与える義務があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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