ファーストサインの資格を生かしてベビーサイン教室を自宅で開く手順

小林 真帆
小林 真帆
ファーストサインの資格を生かしてベビーサイン教室を自宅で開く手順

この記事のポイント

  • ✓ファーストサインの資格で自宅にベビーサイン教室を開くまでの手順を
  • ✓ロイヤルセラピスト協会の公式の記載をもとに整理しました
  • ✓オンラインの試験の流れ

まだ言葉を話せない赤ちゃんと、手の動きや表情でやり取りを楽しむベビーサイン。その中でも「ファーストサイン」の資格を取って、自宅でベビーサインの教室を開きたいと考える人が増えています。子育てをしながら、自分の経験を生かして教える仕事ができるのは大きな魅力です。

ただ、ファーストサインの資格は、取ればすぐに教室を開けるという単純なものではありません。講座を受けて試験に合格したうえで、教室を開くための講師のライセンスを取る、という段階があります。この記事では、資格を出しているロイヤルセラピスト協会の公式の記載をもとに、ファーストサインの資格の中身、費用、試験の流れ、ライセンスの仕組み、自宅で教室を開くまでの準備を順に整理します。教室づくりはデザインと同じで、才能より段取りで決まる部分が大きい仕事です。順番どおりに進めれば、初めての人でも形にできます。

ファーストサインとはどんな資格か

ファーストサインは、特定非営利活動法人ロイヤルセラピスト協会(RTA)が認定する、赤ちゃんとのコミュニケーションの方法を学ぶ講座と資格です。協会の公式サイトでは、ファーストサインを次のように説明しています。

ファーストサインとは、生後間もなくからの皮膚刺激によるコミュニケーション(ベビーマッサージ)の次の段階で行う、手の動き+表情+声色を使ったコミュニケーション方法です。 出典: npo-rta.org

手で表すサインに加えて、顔の表情で伝える「フェイスサイン」、声のトーンで伝える「ボイスサイン」を組み合わせるのが特徴です。協会は、覚えたサインの数や、早くサインを引き出すことを重視しないと説明しています。大切にしているのは、赤ちゃんとママが目を合わせて「伝えたい、分かりたい」という気持ちを感じ合うことで、家庭ごとのオリジナルのサインがあってもよいとしています。

この考え方は、教室を開くときの姿勢にも直結します。ファーストサインの教室は、たくさんのサインを覚えさせる「暗記の場」ではなく、親子が表情と声で通じ合う時間を楽しむ「遊びの場」です。デザインでいえば、要素を詰め込むより余白を大切にするレイアウトに近い考え方です。

ベビーサインの他の資格との違い

ベビーサインの資格は、ファーストサインのほかにも複数の団体が出しています。団体によって、使うサインの体系、教材、教室を開くときの決まりが違います。ファーストサインの特徴は、RTAのオリジナル教材(手順シート、絵本、CD)を使うことと、教室を開くために協会の講師ライセンスが必要なことです。どの団体の資格を選ぶかで、教室の運営の自由度や毎年かかる費用が変わるので、受講の前に確かめておきます。

ベビーサインの教室が求められる理由

ベビーサインの教室に通う親子の多くは、サインそのものより、言葉が出る前の赤ちゃんとどう関わればよいかを知りたいと考えています。泣いている理由が分からない、何を求めているのか読み取れない、という戸惑いは、初めての子育てではとても自然なものです。ファーストサインの教室は、そうした戸惑いに「表情と声とジェスチャーで気持ちを伝え合う」という具体的な手がかりを渡す場になります。

もう1つの理由は、親どうしのつながりです。赤ちゃんが小さいうちは外出の機会が限られ、同じ月齢の子を育てる人と話す場がなかなか持てません。少人数の自宅教室は、大きな催しより気後れせずに参加でき、毎回同じ顔ぶれで会えるので、ママ友やパパ友をつくるきっかけにもなります。教室の休憩の時間に保護者どうしが話せるよう、プログラムに余白を取っておくのはこのためです。

教える側から見ると、この2つの理由を知っておくことが、教室の作り方と案内の書き方に直結します。案内に「サインを何個覚えられます」と書くより、「言葉が出る前の赤ちゃんと気持ちを通わせる遊び方を一緒に楽しみます」「同じ月齢の親子と知り合えます」と書くほうが、参加を迷っている人の気持ちに届きます。

資格取得までの流れと費用

ファーストサインの講座は、協会の本部では受けられません。全国にある「RTA指定スクール」で、RTA認定講師から受講します。協会のよくある質問のページでは、受講の契約は受講する人と指定スクールの間で交わし、協会に受講料を払うことはないと説明されています。

公式の価格表で見る費用

協会の受講価格表(2025年9月1日版)に載っているファーストサインの費用は次のとおりです。

項目 金額(公式の表示) 内容
受講料 157,080円(税込) 所定の受講時間14時間
試験料 33,000円(税込) 筆記試験と実技試験、認定証の発行を含む
実技の再試験 11,000円(税込) 1科目あたり
教材 受講料に含む テキスト、各種ペーパー、サインシート2枚、絵本、音楽CD

受講料と試験料を合わせると、最初にかかる費用は190,080円です。協会のよくある質問では、指定スクールの受講料の分割払いは原則として受けていないとされています。まとまった額を先に用意する必要がある点は、計画の段階で押さえておきます。

受講の中身

指定スクールの案内では、講義でファーストサインの基礎知識、脳と心と体の発達との関わり、体を使った遊びと絵本を組み合わせる効果、教室の進め方、卒業制作を学び、実技で絵本やサインシート、CDを使ったサインを練習すると説明されています。ある指定スクールは、授業の後半の進め方を次のように紹介しています。

約8時間の授業を終えるとケーススタディを行います。実際の母子を対象にプレ教室を開き、ご自身の準備したプログラムや制作物に実際に赤ちゃんがどのように反応するかを見ます。セラピストとしてどのように語りかければより楽しい教室を作れるかを学び、レポートを作成します。 出典: kiitos-2013.net

講座の中で、実際の親子を相手に小さな教室を開いてみる段階があるわけです。ここで準備した教材や進め方が、そのまま自宅教室の原型になります。別の指定スクールは、平均して3か月で資格を取る人が多いと案内しています。少人数の授業が多く、日程は相談して組めるスクールが多いようです。

試験はオンラインで受ける

協会の受験方法のページによると、試験は第三者機関の一般社団法人日本セラピスト検定機構(JCAT)に委託して運営されています。流れは次のとおりです。

  1. 指定スクールで全カリキュラムを終える
  2. RTAのWEB試験システム「うか郎くん」で筆記試験を受ける。申し込みから1か月以内なら何度でも受け直せる
  3. 筆記試験に合格したら、実技試験を申し込む。申し込みの期限は筆記試験の合格日から6か月以内
  4. オンラインで実技試験を受ける
  5. 試験官が合否を判定し、担当講師に伝える

実技試験は、オンライン上で教室を再現する形で行われます。協会は、危険を伴う行為や非常識な行動がなければ合格率の高い試験だとし、手順を完璧にこなせるかより、一般のママや赤ちゃんとのコミュニケーションの力を重視すると説明しています。なお、申し込んだ実技試験は取り消しや振り替えができず、受けられなかった場合は不合格の扱いになります。日程は余裕を持って選びます。

自宅で教室を開くには講師ライセンスが必要

ここが、ファーストサインの資格で最も誤解されやすい点です。試験に合格しただけでは、RTAの名前で教室を開くことはできません。

協会は、資格そのものではなく、資格を持って教室やスクールを開く権利を「ライセンス」として発行しています。よくある質問のページでは、ライセンスを取らずに教室を開いたり、RTA認定講座を開いたりすることはできないと明記されています。

ライセンスの種類

ライセンス できること 有効期限
インストラクター RTA一般教室の開催 2年
グリーン 一般教室、指定スクールの開業、認定講座の開催 2年
ゴールド グリーンと同じ。グリーンの取得後2年以内に検定を修了した人 3年

自宅でベビーサインの教室だけを開きたいなら、インストラクターのライセンスが入り口になります。自分も講師を育てる側に回りたいなら、グリーン以上を目指します。

協会への加入と更新

ライセンスの申請には、協会への加入が必要です。加入すると、会員向けのオンラインセミナーや、技術を確かめ直すブラッシュアップセミナーにも参加できます。ある指定スクールの案内には、入会金5,000円、年会費18,000円(初年度は月割り)、講師認定検定料27,500円(いずれも税込)が載っています。金額は変わることがあるので、受講するスクールで必ず確かめてください。

ライセンスには有効期限があり、期限が切れると教室を続けることはできません。協会のよくある質問には、期限が切れたまま講師活動を続けて協会に訴えられ、敗訴した事例があると書かれています。教室を始めたら、更新の時期を予定表に登録しておきます。年会費と更新の費用は、教室の料金を決めるときに毎年の固定費として計算に入れます。

スクールの選び方

指定スクールは全国にあり、協会のサイトで都道府県ごとに探せます。協会は、スクールは距離ではなく講師との相性を最優先に選ぶよう勧めています。

面談で確かめたいこと

契約の前に、講師と面談して次の点を確かめます。

・授業は対面か、オンラインか。協会は、実技を伴うので随所で対面のレッスンを受けられるスクールを勧めている ・子どもを連れて受講できるか ・日程をどこまで相談できるか ・資格を取った後の相談や勉強会があるか ・講師自身がどんな教室を開いているか

最後の点は特に大切です。自分が開きたい教室に近い形で活動している講師から学ぶと、教室の運営や集客の具体的な話を聞けます。講師のSNSを見たり、ライブ配信に参加したりして、教室の雰囲気をつかんでから申し込むと、ずれが少なくなります。

自宅教室を開くまでの手順

ライセンスを取ったら、いよいよ自宅で教室を開く準備です。ここでは、初めての教室を開くまでの流れを6つの段階に分けて説明します。

1. 教室に使う部屋を決める

赤ちゃんと保護者が床に座って過ごせる、明るく静かな部屋を選びます。目安として、親子が並んで座り、間に少し余白を取れる広さがあると、赤ちゃんがはいはいしても隣とぶつかりにくくなります。最初は2組から4組の少人数で始めると、一組ずつの表情をよく見られます。

2. 賃貸や集合住宅の決まりを確かめる

賃貸住宅や分譲マンションでは、住まいを教室などの事業に使うことを契約や管理規約で制限している場合があります。人の出入りが増えるので、事前に管理会社や管理組合に確かめておきます。駐車場や自転車を止める場所、ベビーカーの置き場所も、近隣に迷惑がかからないよう決めておきます。

3. 安全と衛生を整える

詳しくは次の節で説明しますが、床の清掃、誤飲につながる小物の片付け、換気、手指の消毒を、毎回の教室の前の決まりにします。

4. プログラムを組む

月齢ごとに、1回あたりの流れを決めます。講座で作った卒業制作や、RTAの教材を土台にすると組み立てやすくなります。

5. 料金と予約の決まりを決める

1回あたりの料金、回数券の有無、キャンセルの期限、赤ちゃんの体調不良のときの振り替えを決め、申し込みの前に示します。

6. 試しの教室を開く

いきなり一般の募集をする前に、知人の親子に来てもらって試しの教室を開き、時間配分や部屋の使い方を確かめます。デザインでいえば、本番の前のラフ案です。ここで見つかった直しが、本番の質を大きく上げます。

教室のプログラムの組み立て方

ファーストサインの教室は、1回あたり60分前後で組むことが多いようです。赤ちゃんの集中は長く続かないので、短い活動をいくつか並べ、合間に休憩を入れる構成が向いています。

1回の流れの例

  1. あいさつと自己紹介(親子の名前を呼び合う)
  2. 手遊びや歌で体をほぐす
  3. 今日のテーマのサインを紹介する(食べる、もっと、おしまい、など生活の場面から選ぶ)
  4. 絵本の読み聞かせの中でサインを使う
  5. CDの歌に合わせてサインで遊ぶ
  6. 休憩と、保護者どうしの会話の時間
  7. おうちでの使い方を伝えて終わる

協会がサインの数を競わない考え方をとっているので、教室でも「今日は何個覚えたか」ではなく、「おうちの中でどんな場面で使えそうか」を一緒に考える時間を大切にします。保護者が家で続けられることが、教室に通い続けてもらう一番の理由になります。

月齢で分ける

首がすわったばかりの赤ちゃんと、歩き始めた赤ちゃんでは、楽しめる活動が違います。参加の対象を月齢で分けて募集すると、どの親子も無理なく参加できます。人数が集まるまでは月齢の幅を広く取り、増えてきたら分けていく形でも構いません。

教材を自分で作る

RTAの教材に加えて、教室のテーマに合わせた教材を自分で作ると、教室の個性が出ます。指定スクールの案内でも、受講中に対象の月齢や人数、テーマに合わせた教材を自分で作ると紹介されています。身の回りの物を使ったサインのカード、季節の行事に合わせた絵、手作りの布の絵本などです。作るときは、赤ちゃんがなめたりかじったりしても安全な素材を選び、角を丸くする、小さな部品を付けない、といった点に気をつけます。色の組み合わせは、赤ちゃんが見分けやすいはっきりした色を中心にし、1枚のカードに入れる要素を絞ると伝わりやすくなります。

安全と衛生の決まりを先に決める

赤ちゃんを預かるわけではなく保護者と一緒に参加してもらう教室でも、場所を用意する側として安全への配慮は欠かせません。こども家庭庁の事故防止のページでは、こどもの事故の現状を次のように伝えています。

我が国では、窒息や溺水などの不慮の事故によって、14歳以下のこどもが毎年200人ほど亡くなっています。 出典: cfa.go.jp

教室の前には、床に落ちている小物、電源コード、手の届く高さの物を片付けます。教材の小物は、赤ちゃんの口に入らない大きさのものを選びます。部屋の換気と、手指の消毒の用意も毎回の決まりにします。

参加の申し込みのときには、赤ちゃんの月齢とアレルギーの有無を聞いておき、当日は体調を確かめてから始めます。熱があるときや体調が悪いときは参加を控えてもらい、振り替えで対応できるようにしておくと、保護者も無理をせずに済みます。万一のけがや、参加者の持ち物を傷めたときに備えて、教室の運営に合う賠償責任保険を調べて加入しておくと安心です。協会の会員向けの保険があるかどうかも、担当の講師に確かめておきます。

写真の扱い

教室の様子をSNSで発信したい場合は、写真に写る親子から必ず同意を得ます。顔が写らない角度で撮る、手元だけを撮るといった工夫もできます。同意の取り方は、申し込みのときの確認項目に入れておくと漏れがありません。

参加者とのやり取りで気をつけたいこと

ベビーサインの教室では、赤ちゃんの発達についての相談を受けることがあります。「うちの子はまだサインをしない」「同じ月齢の子より言葉が遅い気がする」といった声です。教室の講師は医療や発達の専門家ではないので、発達の遅れや心配について判断したり、断定的な答えをしたりしないことが大切です。

ファーストサインでは、サインの数や早さを競わない考え方をとっています。教室でも、ほかの子と比べる言い方を避け、その子なりの反応を一緒に喜ぶ姿勢で接します。発達について心配がある保護者には、自治体の保健センターや、かかりつけの小児科で相談できることを伝えます。地域の相談窓口の名前と連絡先を、教室の前に調べておくと、すぐに案内できます。

また、保護者が赤ちゃんを抱いたまま長く座り続けると疲れます。教室の途中でも、赤ちゃんがぐずったら自由に休んでよいこと、授乳やおむつ替えの場所を使ってよいことを、最初のあいさつで伝えておくと、参加者が安心して過ごせます。教室の終わりには、次回までに家で試してほしいサインを1つか2つだけ伝えると、家庭での練習の負担が軽くなります。

自宅以外の場所やオンラインで開く形

教室は自宅だけで開くとは限りません。自宅の広さや家族の事情で難しい場合や、もっと多くの親子に届けたい場合は、ほかの形も考えられます。

1つは、地域の公民館や貸し会議室、児童館の部屋を借りて開く形です。部屋代はかかりますが、自宅の片付けや家族への気遣いが要らず、広い部屋なら参加の人数を伸ばせます。借りる施設によっては、営利の催しに使えない場合や、事前の登録が必要な場合があるので、利用の条件を確かめておきます。

2つ目は、子育て支援の施設や産婦人科、写真館などから講師として呼ばれる形です。教室の実績が積み重なると、出張の依頼が届くこともあります。報酬の額や支払いの時期、交通費の扱いは、引き受ける前にメッセージや書面で確かめておきます。

3つ目は、オンラインの教室です。画面越しでも、歌やサイン、絵本の読み聞かせは楽しめます。遠くに住む人や、外出が難しい時期の親子にも参加してもらえます。ただし、画面の向こうの赤ちゃんの様子は見えにくいので、少人数にして、一組ずつ声をかける時間を取る工夫が要ります。オンラインで教室を開ける範囲がライセンスの内容に含まれるかは、協会の担当の講師に確かめてください。

1年目の教室の計画

最初の1年は、教室の形を固める期間と考えます。デザインの仕事でいえば、ブランドの土台をつくる時期です。

時期 すること
ライセンス取得の直後 部屋の準備、試しの教室、料金と決まりの決定
1か月目から3か月目 少人数の教室を月に数回開き、時間配分を調整する
4か月目から6か月目 参加者の声をもとにプログラムを見直し、月齢別の教室を検討する
7か月目以降 季節の行事に合わせた特別な回や、出張の教室を試す
1年の終わり 収支と参加者数を振り返り、料金と開催の回数を見直す

毎回の教室のあとに、参加者の人数、うまくいった活動、時間が足りなかった活動を短く記録しておくと、振り返りのときに役立ちます。ライセンスの更新の時期と年会費の支払いの時期も、この表に書き込んでおくと忘れずに済みます。

料金の決め方と収支の見通し

料金は、近くで開かれているベビーサインやベビーマッサージの教室の料金を調べたうえで、自分の費用から組み立てます。

費用として計算に入れるもの

・資格の取得にかかった費用(受講料、試験料) ・毎年かかる費用(協会の年会費、ライセンスの更新の費用) ・教材や消耗品の費用 ・暖房や冷房、清掃にかかる費用 ・保険料 ・集客にかかる費用(チラシの印刷、予約の仕組みの利用料など)

取得の費用は一度に回収しようとせず、何年かけて回収するかを決めて、1回あたりの料金に割り振って考えます。たとえば、資格の取得にかかった約19万円を3年で回収するなら、1年あたり約6.3万円を教室の売上から回収する計算です。そこに毎年の固定費を加え、1年に開ける回数と1回の人数で割ると、1組あたりの料金の下限が見えてきます。

安くしすぎない

最初はお客様が集まるか不安で、料金を低くしたくなります。しかし、安く始めると後から上げにくく、年会費や更新の費用を払うと手元に残らない、ということになりがちです。料金を下げる代わりに、初回だけ体験の料金を設ける、きょうだいでの参加を割り引く、といった形で入り口を広げる方法もあります。

集客の考え方

自宅教室の集客は、地域の口コミとSNSが中心になります。

地域でのつながり

自治体の子育て支援センターや児童館では、地域の親子向けの催しを紹介していることがあります。チラシを置いてもらえるか、講座の講師として呼んでもらえる機会があるかは、施設ごとに違うので問い合わせてみます。最初の参加者が満足すれば、ママ友どうしの口コミで次の参加者につながります。

SNSと案内のページ

SNSでは、教室の雰囲気が伝わる写真と、サインを使う日常の場面を発信します。教室の案内のページやチラシは、見た目の印象で問い合わせの数が変わります。デザインの基本は、伝えたいことを1つに絞り、余白をたっぷり取ることです。自分で作るのが難しい場合は外部に頼む方法もあり、費用の目安はデザイナーの年収・単価相場で確かめられます。

予約の受付は、メッセージでのやり取りでも始められますが、人数が増えると管理が大変になります。教室の日程、定員、キャンセルの期限を1つの表にまとめ、申し込みのたびに更新する習慣をつけておくと、二重の予約を防げます。

開業届と税金の手続き

自宅教室を事業として続けるなら、税務署に開業届を出します。国税庁の案内では、提出の時期は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」とされています。手続きの内容は国税庁の個人事業の開業届出のページで確かめられます。

教室の収入から、教材費や年会費、保険料などの経費を差し引いたものが所得になります。会社に勤めながら副業で教室を開く場合、国税庁の確定申告が必要な人の案内によると、給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要なので、扱いはお住まいの市区町村で確かめてください。資格の取得の費用を経費にできるかどうかは、取った時期や事業との関わりで判断が変わることがあるので、税務署に相談すると確実です。

会社に勤めながら教室を開くときに確かめること

育児休業から職場に戻った後も、週末だけ自宅で教室を続けたいと考える人もいます。その場合は、勤め先の就業規則で副業がどう扱われているかを先に確かめます。

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業・兼業は第70条に定められています。勤務時間外に他の仕事をすることを認めたうえで、会社が禁止や制限をできる場合として、仕事に支障がある場合、会社の秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業で会社の利益を害する場合の4つを挙げています。実際の決まりは会社ごとに違うので、自分の勤め先の規則を読み、届け出が必要なら手続きをしておきます。考え方は厚生労働省の副業・兼業のページで確かめられます。

住民税は、教室の所得を申告するときに、勤め先の給与から差し引く方法ではなく、自分で納付書で納める普通徴収を選べる場合があります。対象は給与以外の所得の分で、扱いは市区町村によって違うので、申告の前に確かめてください。

ほかの講座と組み合わせて教室の幅を広げる

RTAには、ファーストサインのほかに、言葉が出始めた子どもとの会話を学ぶ「ファーストトーク」、ベビーマッサージの講座があります。受講価格表によると、ファーストトークの受講料は187,880円(税込)で、ファーストサインとファーストトークを同時に受ける「コミュニケーションスペシャリスト講師養成コース」は344,960円(税込)です。

1つの資格で教室を始め、参加者の子どもの成長に合わせて次の教室を用意できると、同じ親子に長く通ってもらえます。ベビーサインを卒業した親子に、次の段階の教室を案内できるからです。ただし、講座を増やすほど資格の費用と毎年の負担も大きくなります。まずはファーストサインの教室で参加者が定着するかを確かめ、手応えを得てから次の講座を考えるのが無理のない順番です。

教える仕事を長く続けるために

最後に、フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えることを整理します。

運営者として見てきた限りでは、自宅で教室を開いて長く続けている人は、技術の高さと同じくらい、参加者とのやり取りの丁寧さを大切にしています。申し込みへの返事の早さ、当日の体調への気配り、終わった後の一言のお礼といった小さな積み重ねが、次の参加者の紹介につながっています。仲介を挟まない直接のやり取りでは、こうした信頼がそのまま次の申し込みに結びつきます。教える側にとっては、手数料0%で直接つながる形のほうが、同じ料金でも手取りが厚く、無理のない料金で続けやすくなります。

教室の案内文やキャンセルの決まりを書面にまとめるときは、誤解のない文章を書く力が問われます。文書の書き方を体系的に確かめたい人にはビジネス文書検定があります。SNSでの発信や集客の仕事に関心がある人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で仕事の中身を確かめられます。教室で作った教材や活動の記録を、自分の実績として見せる方法は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】の考え方が参考になります。

ファーストサインの資格は、講座を受けて試験に合格し、講師のライセンスを取って初めて教室を開ける仕組みです。費用と毎年の負担を先に見積もり、少人数の試しの教室から始めれば、子育ての経験を生かした教える仕事を、自宅で無理なく育てていけます。

よくある質問

Q. ファーストサインの資格を取るのにいくらかかりますか?

ロイヤルセラピスト協会の受講価格表(2025年9月1日版)では、指定スクールでの受講料が157,080円(税込、14時間)、筆記と実技の試験料が33,000円(税込)です。合わせて190,080円がかかります。教室を開くには協会への加入とライセンスの取得も必要で、入会金や年会費、検定料が別にかかるので、受講するスクールで確かめてください。

Q. ファーストサインの試験に合格すれば、すぐに自宅で教室を開けますか?

試験の合格だけでは開けません。協会は、ライセンスを取らずに教室を開くことはできないと明記しています。一般の教室を開くにはインストラクターのライセンスが必要で、有効期限は2年です。ライセンスの申請には協会への加入が必要なので、合格後の手続きを担当の講師に確かめてください。

Q. 子育て経験や保育士の資格がなくても受講できますか?

指定スクールの案内には、子育ての経験や保育士などの資格がなくても受講できると書かれているところがあります。試験も、手順を完璧にこなせるかより、一般の親子と安心して教室を開けるコミュニケーションの力を重視すると協会は説明しています。受講の条件はスクールごとに確かめてください。

Q. ファーストサインの試験は自宅で受けられますか?

受けられます。協会の受験方法のページによると、筆記試験はWEB試験システムで受け、実技試験はオンラインで教室を再現する形で行われます。筆記試験は申し込みから1か月以内なら何度でも受け直せます。実技試験は申し込み後の取り消しや振り替えができないので、日程は余裕を持って選んでください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月17日最終更新:2026年10月11日
小林 真帆

この記事を書いた人

小林 真帆@SOHO編集部

元SE→フリーランスWebマーケター

SIerで5年間SEとして勤務した後、Webマーケティングに転身。Google広告認定資格・ウェブ解析士を取得し、現在はフリーランスとして中小企業のデジタルマーケティングを支援しています。

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