ExcelでWBSを作る手順と、ガントチャートにつなげる方法


この記事のポイント
- ✓ExcelでWBSを作る手順を
- ✓グループ化まで具体的に解説します
- ✓作ったWBSを条件付き書式や積み上げ横棒グラフでガントチャートにつなげる方法
プロジェクトを任されて、まず作業の一覧を作ろうとExcelを開いたものの、どんな列を用意して、どこまで細かく分ければよいのか分からない。ネットで見つけたテンプレートを使ってみたが、自分のプロジェクトに合わせて直すうちに崩れてしまった。ExcelでWBSを作ろうとする人の多くが、こうした壁に当たります。
結論から書くと、ExcelでWBSを作るときは、最初に「成果物から作業へ」と上から下に分解し、列を「WBS番号・作業名・担当者・開始日・終了日・日数・状態」の基本の形にそろえることが近道です。そのうえで、日付の列から条件付き書式で横棒を描けば、同じシートの中でガントチャートにつなげられます。WBSとガントチャートは別々に作るものではなく、同じ表の左半分と右半分として作ると、更新の手間が大きく減ります。
この記事では、WBSの考え方から、Excelでの具体的な作り方、ガントチャートへのつなげ方、Microsoftの公式テンプレートの使い方、そしてExcelで管理し続けるときの限界と、その次の選択肢までを順番に紹介します。
WBSとは何か、ガントチャートとの関係
WBSとは、Work Breakdown Structure(作業分解構成図)の略で、プロジェクトで作るべき成果物と、そのために必要な作業を、階層の形に分解して整理したものです。家を建てるなら「基礎」「骨組み」「内装」と大きく分け、さらに「内装」を「壁紙」「床」「照明」と分けていく。このように、大きな仕事を、担当者と期間を決められる規模の作業になるまで分けていくのがWBSの考え方です。
WBSの考え方は、身近な例でも説明できます。作業を分解して整理する目的について、次のように説明されています。
今回は晩ごはんを例えで使いましたが、実際の仕事においてもシステムを開発するプロジェクトではこのように何を作業として実施するかを分解して整理することでスケジュールを考えたり、タスク漏れを防いだりすることができるのでWBSを考えることが多いです。 出典: note.com
一方、ガントチャートは、作業ごとの期間を横棒のグラフで並べた工程表です。WBSが「何をやるか」を整理するものだとすれば、ガントチャートは「いつやるか」を見せるものです。Microsoftは、Excelのガントチャートのテンプレートを紹介するページで、両者の順番について次のように書いています。
これらは、作業分解構造またはその他の計画手法でプロジェクトを計画した後に使用するのが最適です。 出典: excel.cloud.microsoft
つまり、順番はWBSが先で、ガントチャートが後です。WBSで作業を洗い出さずにいきなりガントチャートを描くと、途中で抜けていた作業に気づき、工程表を何度も描き直すことになります。正直なところ、工程表が崩れる原因の多くは、描き方ではなく、最初の分解が足りないことにあります。
Excelで作り始める前に決めておく3つのこと
いきなりExcelに作業を打ち込み始めると、途中で列の構成を変えたくなり、作り直しになりがちです。最初に次の3つを決めておくと、手戻りを防げます。
1. 最終的な成果物を書き出す
WBSは、作業ではなく成果物から考え始めるのが基本です。「Webサイトの公開」「新店舗の開業」「マニュアルの完成」のように、プロジェクトの終わりに何ができあがっているかを書き出します。そのうえで、成果物を構成する部品(ページ、設備、章など)に分け、部品ごとに必要な作業を洗い出します。作業から考え始めると、思いついた順に並ぶだけで、抜けや重なりに気づきにくくなります。
2. 階層の深さを決める
階層は、小さなプロジェクトなら3段程度で十分です。1段目が成果物やフェーズ、2段目が部品や作業のまとまり、3段目が担当者に割り当てる作業、という形です。階層を深くしすぎると、表が縦に長くなり、全体を見渡せなくなります。
3. 作業の粒度をそろえる
一番下の階層の作業は、担当者が1人に決まり、数日から2週間程度で終わる規模にそろえるのが目安です。1か月以上かかる作業は、途中の進み具合が見えないので、さらに分けます。反対に、数時間で終わる作業まで分けると、表の更新が負担になります。迷ったら、「週に1回の打ち合わせで、終わったかどうかを確かめられる単位」を基準にしてください。
ExcelでWBSを作る手順
ここからは、実際にExcelでWBSを作る手順を紹介します。新しいブックを開き、1枚目のシートに作っていきます。
手順1:列を用意する
最初に、1行目に見出しを入れます。基本の列は次のとおりです。
| 列 | 見出し | 入れる内容 |
|---|---|---|
| A | WBS番号 | 1、1.1、1.1.1のような階層の番号 |
| B | 作業名 | 作業の内容を短い言葉で |
| C | 担当者 | 作業の責任者を1人 |
| D | 開始日 | 作業を始める日 |
| E | 終了日 | 作業を終える日 |
| F | 日数 | 開始日から終了日までの営業日数 |
| G | 状態 | 未着手、進行中、完了など |
| H | 備考 | 前提となる作業、成果物の保存先など |
必要に応じて、「予定工数」「実績工数」「進捗率」「成果物」などの列を加えます。ただし、列が多いほど更新の手間は増えます。最初は基本の列だけで始め、運用しながら必要なものを加えていくのが現実的です。
手順2:WBS番号の列を文字列にしておく
ここは見落としやすいところです。Excelでは、「1.1」と入力すると数値として扱われ、「1.10」と入力すると「1.1」に変わってしまいます。また、入力のしかたによっては日付と見なされることもあります。これを防ぐために、A列を選んで「セルの書式設定」から表示形式を「文字列」にしてから番号を入力します。番号を入力したあとに文字列に変えても、すでに変わってしまった値は元に戻らないので、必ず先に設定してください。
手順3:階層ごとに作業を入力する
成果物やフェーズを「1」「2」「3」と入力し、その下に「1.1」「1.2」、さらに「1.1.1」「1.1.2」と作業を入力していきます。作業名の列は、階層が分かるように、「セルの書式設定」の「配置」でインデントを設定すると読みやすくなります。2段目は1つ、3段目は2つ下げる、というようにそろえておくと、表を見ただけで構造が分かります。
手順4:日付と日数を入れる
開始日と終了日を入力し、日数の列には営業日数を計算する式を入れます。土日を除いた営業日数は、NETWORKDAYS関数で求められます。たとえば =NETWORKDAYS(D2,E2) と入れると、開始日から終了日までの土日を除いた日数が表示されます。祝日も除きたい場合は、別のシートに祝日の一覧を作り、その範囲を3つ目の引数に指定します。
反対に、開始日と日数から終了日を求めたい場合は、WORKDAY関数を使います。=WORKDAY(D2,F2-1) のように入れると、開始日から数えて指定した営業日数の最後の日が求められます。どちらの列を入力して、どちらを計算で出すかは、チームで決めておきましょう。
手順5:状態の列に選択肢を設定する
状態の列は、人によって「完了」「済」「終わり」とばらばらに入力されると、あとで絞り込みや集計ができなくなります。G列を選んで「データ」タブの「データの入力規則」を開き、「リスト」を選んで「未着手,進行中,完了,保留」のように選択肢を設定すると、入力をそろえられます。担当者の列も同じように、メンバーの名前を選択肢にしておくと、表記の揺れを防げます。
手順6:グループ化と枠の固定で見やすくする
作業の行が増えてきたら、「データ」タブの「グループ化」で、階層ごとに行をまとめて折りたためるようにします。会議で全体を説明するときは上の階層だけを表示し、担当者が作業を確かめるときは開く、という使い分けができます。また、「表示」タブの「ウィンドウ枠の固定」で見出しの行と作業名の列を固定しておくと、下や右にスクロールしても、どの作業の行を見ているかが分かります。
具体例:小さなWebサイトの制作をWBSにする
手順だけでは分かりにくいので、5ページほどの会社のWebサイトを制作するプロジェクトを例に、WBSの作り方をたどってみます。
まず、最終的な成果物は「公開されたWebサイト」です。これを1段目で、フェーズに分けます。「1 企画」「2 デザイン」「3 制作」「4 公開」の4つです。
次に、それぞれのフェーズを2段目の作業のまとまりに分けます。たとえば「1 企画」は、「1.1 目的と対象の整理」「1.2 ページ構成の決定」「1.3 原稿の準備」に分けます。「2 デザイン」は「2.1 トップページのデザイン」「2.2 下層ページのデザイン」「2.3 デザインの確認と修正」とします。
最後に、2段目を3段目の作業に分けます。「1.3 原稿の準備」なら、「1.3.1 会社概要の原稿」「1.3.2 サービス紹介の原稿」「1.3.3 写真の撮影と選定」「1.3.4 原稿の確認」といった形です。ここまで分けると、担当者を1人ずつ決められ、それぞれの作業に何日かかるかも見積もれるようになります。
この例で分かるのは、3段目まで分けて初めて、見落としていた作業が見えてくるということです。「原稿の準備」とだけ書いていると、写真の撮影や、依頼主による原稿の確認の時間が抜けがちです。依頼主の確認のように、自分たちではなく相手が行う作業も、WBSに入れておくことが大切です。相手の作業が遅れると、後ろの工程がすべてずれるからです。
作業を洗い出したら、「4.1 公開前の確認」のような最後の作業から逆算して、日付を入れていきます。公開日が決まっているプロジェクトでは、後ろから日付を決めると、どの作業に余裕がなく、どこで調整できるかが見えやすくなります。
作ったWBSをガントチャートにつなげる方法
WBSができたら、同じシートの右側にガントチャートを描きます。方法は大きく2つあります。
方法1:条件付き書式でセルを塗る
最も手軽なのが、日付の列を並べて、条件付き書式でセルを塗る方法です。
- I列から右に、1行目に日付を1日ずつ入力します(I1に開始の日付を入れ、J1に
=I1+1と入れて右にコピーします) - 日付の列の幅を狭くし、表示形式を「d」にして日だけを表示します
- 塗りたい範囲(たとえばI2から右下まで)を選び、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選びます
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選び、
=AND(I$1>=$D2,$E2>=I$1)と入力します - 書式で塗りつぶしの色を選びます
これで、開始日から終了日までのセルが塗られ、横棒のように見えます。開始日や終了日を変えれば、塗られる範囲も自動で変わるので、手で塗り直す必要はありません。
さらに、条件付き書式のルールを加えると、見やすさが上がります。土日の列を薄い灰色にするには =WEEKDAY(I$1,2)>5、今日の列に色を付けるには =I$1=TODAY() という式を使います。状態が「完了」の行の色を変えるには =$G2="完了" という式を、最初のルールより上に設定します。
方法2:積み上げ横棒グラフで描く
もう1つは、グラフの機能を使う方法です。開始日と日数の2つの列を選び、「挿入」タブから「積み上げ横棒」のグラフを作ります。開始日の部分の棒の塗りを「塗りつぶしなし」にすると、日数の部分だけが横棒として残り、ガントチャートの形になります。縦軸の作業の並びが逆になる場合は、軸の書式設定で「軸を反転する」を選びます。
グラフで描く方法は、資料に貼り付けたり、印刷したりするときに見栄えが良いのが利点です。一方で、作業の行を増やすたびにグラフの範囲を直す必要があり、日々の更新には条件付き書式の方法のほうが扱いやすいことが多いです。
Microsoftの公式テンプレートを使う方法
一から作るのが手間なら、Microsoftが公開しているガントチャートのテンプレートから始める方法もあります。Microsoftのテンプレートのページでは、「単純なガント チャート」「アジャイル ガント チャート」「ガント プロジェクト プランナー」などが紹介されていて、計画上の開始日、実際の開始日、期間の長さ、カテゴリ、担当者、進行状況などの項目を自分のプロジェクトに合わせて変えられると説明されています。
テンプレートを使うときのコツは、最初に列の意味を理解してから入力することです。テンプレートには数式が組み込まれていることが多く、列を消したり、行の途中に別の表を挟んだりすると、数式が崩れて横棒が描かれなくなります。自分の列を加えたいときは、テンプレートの表の右端に加えるのが安全です。
また、テンプレートの多くはガントチャートとしての見せ方が中心で、WBSの階層の番号の列がないこともあります。その場合は、前の節で紹介したように、左端にWBS番号の列を加え、文字列の形式にしてから番号を入れてください。
作業の前後関係(依存関係)を表す方法
WBSとガントチャートで見落とされがちなのが、作業の前後関係です。「デザインが決まらないとコーディングを始められない」のように、ある作業が終わらないと始められない作業があります。この前後関係を依存関係と呼びます。Microsoftのページでは、Excelでの依存関係の表し方について、次のように説明しています。
Excel のガント チャート テンプレートから始めて、開始日と終了日を含む依存タスクを追加します。条件付き書式を使用して、他のタスクに依存するタスク名を強調表示できます。また、矢印を手動で挿入して、依存タスクを示すこともできます。 出典: excel.cloud.microsoft
実務で扱いやすいのは、「前提作業」の列を設け、先に終わらせる必要がある作業のWBS番号を入れておく方法です。さらに、後の作業の開始日を、前提作業の終了日から計算する式にしておくと、前の作業がずれたときに後の作業も自動でずれます。たとえば、前提作業の終了日の翌営業日を開始日にするなら、=WORKDAY(前提作業の終了日のセル,1) と入れます。
ただし、依存関係が増えるほど、式のつながりは複雑になります。どの式がどのセルを参照しているのかを把握しているのが作った本人だけ、という状態になりやすいのは、Excelで工程を管理するときの注意点です。
WBSを作ったあとの運用の回し方
WBSは作って終わりではありません。プロジェクトが進むにつれて、作業の追加、日付の変更、担当者の交代が起こります。表が実態とずれ始めると、誰も表を見なくなり、作った意味がなくなります。運用を続けるために、次のような決まりを作っておくと効果的です。
まず、更新する日を決めます。週に1回、たとえば月曜日の午前中に、担当者が自分の作業の状態と日付を更新する、と決めておきます。毎日の更新を求めると負担になり、続きません。週に1回でも、決まった日に全員が更新していれば、表は十分に信頼できる状態を保てます。
次に、更新した結果を見る場を決めます。週の打ち合わせでガントチャートの部分を画面に映し、今日の線より左にあって完了していない作業、つまり遅れている作業を確かめます。遅れている作業について、原因と次の手を決めるだけで、打ち合わせは短く済みます。
日付を変えるときのルールも決めておきます。担当者が自分の判断で終了日を後ろにずらしてしまうと、後ろの工程への影響に気づくのが遅れます。終了日を変えるときは、管理者に一言伝える、変えた理由を備考の列に書く、といった決まりがあると、計画の変化を全員が把握できます。
最後に、計画の基準を残しておきます。プロジェクトの最初に立てた計画のシートをコピーして保存しておけば、あとから当初の計画と実際の進み具合を比べられます。次のプロジェクトで見積もりを立てるときに、どの作業が予定より長くかかったのかを振り返る材料になります。
Excelで管理し続けるときの限界
ExcelのWBSとガントチャートは、費用がかからず、自由に形を作れるのが強みです。小さなプロジェクトや、1人で進める仕事なら、これで十分です。一方で、プロジェクトが大きくなり、関わる人が増えると、次のような問題が出てきます。
| 起きやすい問題 | 理由 |
|---|---|
| どれが最新版か分からなくなる | メールでファイルを送り合うと、版が分かれる |
| 更新が1人に集中する | 式や書式を理解している人しか触れない |
| 進み具合が実態とずれる | 担当者が表を開いて更新する手間がかかる |
| 依存関係の式が壊れる | 行の追加や削除で参照がずれる |
| 作業の話し合いが別の場所に散らばる | チャットやメールで決めたことが表に反映されない |
Microsoftのページでは、Excelをオンラインで使うと、コメントやタグで共同作業ができ、共有リンクにアクセスと編集の権限や有効期限を設定できると紹介されています。最新版が分からなくなる問題は、クラウドに保存して共有リンクで共同編集するだけでもかなり減らせます。
それでも、担当者が自分で更新する手間と、作業の話し合いが表の外で行われる問題は残ります。表が「誰かが更新しないと古くなるもの」になった時点で、プロジェクト管理の道具を検討する時期と考えてよいでしょう。
移る時期を見極める目安として、次のような状態が2つ以上当てはまるかを確かめてみてください。
・関わる人が5人を超え、表を更新するのが特定の1人になっている
・同じ表について、チャットやメールで「最新はどれですか」と聞かれることがある
・作業の行が100行を超え、グループ化しても全体を見渡しにくい
・依存関係の式を直せるのが作った本人だけになっている
・打ち合わせのたびに、表の内容と実際の進み具合の食い違いを直している
どれも、Excelの使い方が悪いのではなく、プロジェクトの規模が表計算で扱える範囲を超え始めているという合図です。
工数を入れて、見積もりと進み具合を数字で見る
WBSに慣れてきたら、作業ごとの工数を入れておくと、見積もりと進み具合を数字で確かめられるようになります。工数とは、その作業にかかる手間を時間や人日(1人が1日働く量)で表したものです。期間が同じ5日間の作業でも、1日に1時間しか使わない作業と、1日じゅうかかる作業では、必要な手間はまったく違います。期間と工数を分けて持つことで、担当者に仕事が集中していないかを確かめられます。
列は「予定工数」と「実績工数」の2つを用意します。予定工数は作業を始める前に見積もった時間、実績工数は実際にかかった時間です。作業が終わるたびに実績を入れておくと、プロジェクトの終わりに、どの作業が見積もりより長くかかったのかを振り返れます。
担当者ごとの工数の合計は、SUMIF関数で求められます。たとえば、担当者の名前を別の表に並べ、=SUMIF(C:C,担当者の名前のセル,予定工数の列) と入れると、その人に割り当てられた予定工数の合計が出ます。特定の週に1人の合計が多すぎるようなら、作業の日付をずらすか、担当者を替える判断ができます。
全体の進み具合は、完了した作業の予定工数を、全体の予定工数で割ると求められます。作業の数で数えるよりも、手間の量を反映した進み具合になるため、「作業の数では半分終わったのに、実際の手間はまだ3割しか終わっていない」といったずれに気づけます。
見積もりの段階では、予定工数に余裕を持たせておくことも大切です。初めての種類の作業や、相手の確認が必要な作業は、思った以上に時間がかかるものです。過去のプロジェクトの実績工数が残っていれば、それを見積もりの根拠にすると、精度が上がります。
ExcelのWBSでよくある失敗と直し方
ExcelでWBSを作ったものの、うまく使えなかったという声には、共通する原因があります。代表的な失敗と、その直し方を紹介します。
1つ目は、作業名があいまいなことです。「デザイン」「調整」「確認」のように1語で書かれた作業は、何をすれば終わりなのかが分かりません。「トップページのデザイン案を2案作る」「依頼主の修正点を反映する」のように、終わった状態が分かる書き方にすると、担当者も管理者も判断に迷いません。
2つ目は、1つの作業に担当者が複数いることです。「田中・佐藤」のように2人の名前が入っていると、どちらが責任を持つのかがあいまいになり、作業が止まったときに誰も気づきません。担当者の列には責任者を1人だけ入れ、協力する人は備考の列に書くようにします。
3つ目は、階層がそろっていないことです。ある部分は3段目まで細かく分かれているのに、別の部分は1段目のまま、という状態では、進み具合を比べられません。全体を見直して、一番下の作業の規模がそろっているかを確かめてください。
4つ目は、横棒を手で塗っていることです。セルを手で塗ってガントチャートを作ると、日付を変えるたびに塗り直しが必要になり、やがて日付の列と塗りが食い違います。前に紹介した条件付き書式の方法に切り替えれば、日付を変えるだけで横棒も変わります。
5つ目は、ファイルを複数の人がそれぞれ持っていることです。メールで送られたファイルを各自が更新すると、版が分かれてしまいます。ファイルはクラウドに1つだけ保存し、全員がそこを開いて更新する形にそろえましょう。
AIを使ってWBSの下書きを作る
最近は、AIを使ってWBSの下書きを作る方法も広がっています。Microsoftのページでは、Microsoft Copilot in Excelのチャットで、タイムラインの列を広げたり、作業の依存関係の列を作ったりできると紹介されています。ほかの対話型のAIに「Webサイトを公開するまでの作業を3階層のWBSにして、表の形で出して」と頼み、出てきた表をExcelに貼り付けて整える、という使い方もできます。
AIの下書きは、作業の洗い出しの抜けを減らすのに役立ちます。ただし、AIが出した作業の一覧は、一般的なプロジェクトを想定したものです。自分のプロジェクトに固有の作業(取引先の承認、社内の稟議、行政への届出など)が抜けていないか、必ず関係者と確かめてください。日付や工数は、AIの出した数字をそのまま使わず、担当者と話して決めるのが基本です。
Excelの次に検討したい、ガントチャートを最初から使える選択肢
ExcelのWBSが、更新が追いつかない、共有がうまくいかない、という段階に来たら、ガントチャートを最初から備えたプロジェクト管理のサービスに移る方法があります。作業をカードや課題として登録し、日付を入れればガントチャートが自動で描かれるため、条件付き書式や式を保守する必要がなくなります。
その選択肢の1つが、プロジェクト管理のサービスであるPinatecaです。公式の料金ページによると、フリープランは5人まで、ボード10個まで、期限なしで無料で、クレジットカードの登録も要りません。無料の範囲でも、カンバン、ガント、カレンダー、リストなど8種類のボードと、チャット、コメント、カスタムフィールド、権限ロールが使えます。ガントチャートのボードでは、カードの期間を横棒で一覧でき、バーをドラッグすると開始日や締切をその場で変えられます。カードの中にはサブタスクのチェックリストを作れるので、WBSの下の階層の作業をカードの中で管理する使い方もできます。6人目、または11個目のボードから必要になるスタンダードプランは1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
ただし、どの道具に移る場合でも、作業を分解するWBSの考え方そのものは変わりません。Excelで作ったWBSは、移行の際の作業の一覧としてそのまま役立ちます。移るときは、WBSの1段目や2段目をボードやリストの単位に、一番下の作業をカードに対応させると、Excelで整理した構造を崩さずに引き継げます。最初から全部を移すのではなく、次に始めるプロジェクトから新しい道具で管理を始めると、チームの負担も小さく済みます。
プロジェクトを分解する力は、仕事を受ける力になる
WBSを作る力は、プロジェクトの管理者だけのものではありません。業務委託で仕事を受ける側にとっても、依頼を受けた時点で作業を分解し、どこまでを何日で終えるかを示せることは、相手の信頼を得るための強い武器になります。見積もりの根拠を作業の一覧で示せれば、金額の交渉もしやすくなります。
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた運営者の視点から言えば、継続して依頼を受けている人ほど、仕事の最初に「全体の段取り」を相手と共有しています。何をいつまでにやるかが見えていれば、依頼する側は安心して任せられ、途中で追加の依頼も出しやすくなります。中間のマージンがかからない直接のやり取りであれば、その信頼は受け手の手取りの厚さにも、依頼側の頼みやすさにも、そのままつながります。
業務の分解や改善の力を生かせる仕事は、在宅でも依頼が出ています。業務の進め方の改善やAIの活用を支援する仕事に興味があれば、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、仕事の内容と求められる力を確かめられます。開発の現場で工程を組む立場を目指すなら、アプリケーション開発のお仕事や、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で、仕事の内容と相場の目安を把握しておくと役立ちます。
文書の作成や手続きの段取りを仕事にしたい人には、行政書士の資格も選択肢になります。許認可の申請のように、書類と期限が多い仕事では、WBSの考え方がそのまま生きます。介護や福祉の事業所のように、業務のデジタル化に補助金を使える分野もあり、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化では、その考え方を紹介しています。Excelで作業を分解する練習は、どの仕事にも通じる段取りの力を身につける第一歩です。
よくある質問
Q. WBSとガントチャートは何が違いますか?
WBSは、プロジェクトの成果物と作業を階層の形に分解して「何をやるか」を整理したものです。ガントチャートは、作業ごとの期間を横棒で並べて「いつやるか」を見せる工程表です。順番はWBSが先で、洗い出した作業に日付を入れてガントチャートにつなげます。
Q. ExcelでWBS番号の「1.10」が「1.1」になってしまうのはなぜですか?
Excelが「1.10」を数値として扱い、末尾の0を省くためです。WBS番号の列は、番号を入力する前に「セルの書式設定」で表示形式を「文字列」にしておきます。入力したあとに文字列に変えても、すでに変わった値は戻らないので、必ず先に設定してください。
Q. Excelでガントチャートを作る簡単な方法はありますか?
日付を1日ずつ横に並べ、条件付き書式で「開始日以上かつ終了日以下」のセルを塗る方法が手軽です。開始日や終了日を変えれば塗られる範囲も自動で変わります。Microsoftが公開しているガントチャートのテンプレートから始める方法もあります。
Q. WBSは何階層まで分ければよいですか?
小さなプロジェクトなら3段程度が目安です。一番下の作業は、担当者が1人に決まり、数日から2週間程度で終わる規模にそろえると管理しやすくなります。1か月以上かかる作業はさらに分け、数時間で終わる作業まで分けすぎないようにします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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