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EAPカウンセラーの資格|職場のメンタルヘルスの仕事

@SOHO編集部
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EAPカウンセラーの資格|職場のメンタルヘルスの仕事

この記事のポイント

  • ✓EAPカウンセラー資格を調べる人向けに
  • ✓EAP(従業員支援プログラム)の仕組み
  • ✓EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)の受験資格・試験・受験料・初期研修と更新

EAPカウンセラーの資格を調べ始めると、「EAP」という言葉そのものの意味が分かりにくいうえに、産業カウンセラーや公認心理師など似た分野の資格も多く出てきて、どれを取れば職場のメンタルヘルスの仕事に就けるのかが見えにくいと感じる人が多いはずです。結論から書くと、EAPとは、企業が従業員の心の健康や仕事の悩みを支えるために、外部の専門機関などと契約して提供する支援の仕組みのことです。この分野の名前を冠した代表的な資格が、特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会(EMCA)が認定する「EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)」で、国家資格ではなく民間の資格です。

この記事では、まずEAPがどんな仕組みで、なぜ必要とされているのかを国の制度とあわせて整理し、そのうえでeMCの受験資格、試験の内容と受験料、合格後の初期研修と更新の仕組みを、協会の公式の案内をもとに書きます。後半では、関連する資格との違い、資格を活かせる働き方、取る前に考えておきたいことまでを順に整理します。試験の日程や受験料は、2026年11月時点で協会の公式サイトに載っている内容だけを使っています。

EAPとは何か

EAPは、英語の Employee Assistance Program の頭文字で、日本語では従業員支援プログラムと訳されます。従業員が抱える心の不調や、仕事、職場の人間関係、家庭の悩みなどを、専門のカウンセラーが相談に乗って支える仕組みです。企業が自社の中に相談の窓口を設ける場合と、外部のEAPの専門機関と契約して従業員が利用できるようにする場合があります。

EAPで行われる主な支援には、次のようなものがあります。

  • 従業員本人からの相談への対応:電話、オンライン、対面などで悩みを聞き、必要に応じて医療機関などの専門の窓口を紹介する
  • 管理職への助言:部下の様子が気になるときの声のかけ方や、休職した部下への対応について助言する
  • 休職した人の職場復帰の支援:復帰に向けた準備や、復帰後の働き方の調整を支える
  • 研修や教育:セルフケア(自分で自分の心の健康を守ること)や、管理職向けの研修を行う
  • 組織への助言:職場の環境の改善や、ストレスチェックの結果を使った取り組みについて企業に助言する

EAPはもともとアメリカで、職場の飲酒の問題への対策として広まった仕組みだといわれています。その後、対象が心の不調や家庭の悩み、仕事の悩みへと広がり、日本でも企業の福利厚生や健康管理の一環として取り入れられるようになりました。日本では、外部のEAPの専門機関が企業と契約し、従業員が電話やオンラインで無料で相談できる形が多く見られます。

一般のカウンセリングとの違いは、相談者の個人の悩みに寄り添うだけでなく、職場という組織の中でどう働き続けるかを視野に入れて支える点です。従業員の秘密を守りながら、企業の人事や管理職とどう連携するかという、職場ならではの難しさがあります。

EAPの相談で大切にされること

EAPの相談は、一般のカウンセリングと共通する部分が多い一方で、職場という場の特徴から、特に気をつけるべき点があります。資格の勉強に入る前に知っておくと、学ぶ内容の意味がつかみやすくなります。

相談の秘密を守ること

従業員が安心して相談できるかどうかは、話した内容が会社に筒抜けにならないと信じられるかにかかっています。EAPでは、本人の同意なく相談の内容を会社に伝えないことが大前提です。会社がEAPの費用を払っていても、相談の中身を会社が知る仕組みにはなっていないことを、従業員にきちんと伝えることが利用につながります。

会社と連携する場面を見極めること

一方で、本人の同意を得たうえで、会社と連携したほうが本人のためになる場面もあります。たとえば、仕事の量が原因で不調になっている場合、本人の了解を得て上司や人事に働き方の調整を相談すれば、根本の原因に手を打てることがあります。休職からの復帰では、産業医や人事、上司と情報を共有しながら段取りを組む必要があります。どこまでを誰と共有するかを、本人と一緒に決めていく力が求められます。

命に関わる場面での対応

相談の中で、命に関わる危険がうかがえる場面に出会うこともあります。こうした場面では、秘密を守ることよりも、本人の安全を守ることが優先されます。医療機関への受診を勧める、家族や関係者と連携するなど、あらかじめ決められた手順に沿って動くことが大切です。eMCの初期研修にクライシス・カウンセリング(危機の場面での相談の技法)の科目があるのは、こうした場面に備えるためです。

自分の役割の範囲を知ること

EAPのカウンセラーは、病気を診断したり治療したりする立場ではありません。医療が必要と考えられる場合は、医療機関につなぐことが役割です。自分にできることとできないことを見極め、ほかの専門家に引き継ぐ判断ができることも、EAPの仕事に欠かせない力です。

職場のメンタルヘルス対策とEAPの位置づけ

EAPが注目される背景には、国が企業に求めている職場のメンタルヘルス対策があります。厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、職場のメンタルヘルス対策として、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの考え方が紹介されています。

  • セルフケア:働く人が自分でストレスに気づき、対処すること
  • ラインによるケア:管理職が部下の様子に気を配り、職場の環境を改善したり相談に乗ったりすること
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医や保健師、社内の相談担当者などが支えること
  • 事業場外資源によるケア:外部の専門機関の力を借りること

外部のEAPの専門機関は、この最後の「事業場外資源」にあたります。自社に専門の相談員を配置するのが難しい中小企業にとって、外部のEAPを利用することは、心の健康対策を整える現実的な方法の1つです。「こころの耳」のページでは、事業場外資源との連携を進めることも、国のメンタルヘルス対策の柱として挙げられています。

もう1つ大きな動きが、ストレスチェック制度の対象の拡大です。ストレスチェックとは、働く人が質問票に答えて自分のストレスの状態を知り、高ストレスと判定された人が医師の面接指導を受けられるようにする仕組みのことです。厚生労働省は、この制度について次のように案内しています。

令和10年4月1日から、労働者数50人未満の事業場にも ストレスチェックが義務化されます。 出典: 厚生労働省 ストレスチェック制度

ストレスチェックは2015年から、労働者数50人以上の事業場に義務付けられてきました。50人未満の事業場は当分の間の努力義務とされていましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法で、こうした小さな事業場にも義務が広がることになりました。社内に専門のスタッフがいない小さな事業場が制度に対応するには、外部の専門機関の支えが必要になる場面が増えると考えられます。

働く人が抱えるストレスの大きさも、厚生労働省の調査に表れています。「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は68.3%でした。前年の調査とは設問の形式が一部変わっているため単純には比べられないと厚生労働省は断っていますが、働く人の多くが強いストレスを感じている状況が分かります。ストレスの中身として多かったのは「仕事の量」「仕事の失敗、責任の発生等」「仕事の質」でした。

EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)とは

EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)は、特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会(EMCA)が認定する民間の資格です。協会は資格について次のように説明しています。

EAPとメンタルヘルス分野における総合カウンセラー資格が日本に初めて誕生しました。 資格試験の名称はEAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)資格認定試験です。 出典: EAPメンタルヘルスカウンセリング協会 EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)

協会の案内によると、資格を持つ人は、メンタル不調の予防や早期発見、メンタル不調を抱える人へのカウンセリング、心の病で休職した人の復職支援、企業へのEAPの仕組みづくりや助言などの場面で活躍することが期待されています。活躍の場として、企業のほか、医療機関、行政や自治体、地域、教育機関が挙げられています。

EMCAは、株式会社日本ライセンスバンクが2013年8月に設立した団体で、2013年11月に東京都の認証を受けて特定非営利活動法人になったと、協会の公式サイトは説明しています。

受験資格:年齢と学習の2つの要件

eMCの資格認定試験を受けるには、年齢の要件と学習の要件の両方を満たす必要があります。協会の試験概要のページによると、第25回以降の受験資格は次のとおりです。学歴、性別、国籍、職業の経験は問われません。

年齢の要件は、出願日の時点で21歳以上であることです。

学習の要件は、次の3つのいずれかを満たすことです。

  1. 4年制大学の心理学、または心理学関係の学科や専攻などを卒業した人
  2. 心理学、または心理学関係の大学院の課程に在学している人、または修了した人
  3. 協会の認定校のeMCカリキュラムを修了した人で、実践コースの修了から1次試験の日まで3年以内の人

大学で心理学を学んでいない社会人が受験するには、3つ目の道、つまり協会の認定校の講座を修了する必要があります。協会の「eMCカリキュラム提供教育機関」のページでは、認定校として、日本ライセンスバンクの関係会社である株式会社リカレントのメンタルヘルスカウンセラー養成講座が案内されています。コースとして、EAPメンタルヘルスカウンセラー養成コースと、EAPメンタルヘルスコンサルタントコースが挙げられています。講座の受講料や期間は、講座を提供する会社の案内で確かめてください。

試験の内容と受験料

eMCの資格認定試験は、1次試験(学科)と2次試験(実技)の2段階です。1次試験に合格したあと2次試験に合格し、協会に入会することで資格の取得へと進みます。試験の概要は次のとおりです。

区分 形式 時間 合格基準 受験料(税込)
1次(学科) 筆記試験 90分 100点満点で60点以上 11,000円
2次(実技) 面接試験 20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分) 100点満点で60点以上 27,500円

2次試験のロールプレイとは、受験者がカウンセラー役になり、相談者役を相手に実際の相談の場面を演じる形式のことです。知識だけでなく、相談を受ける場面での聞き方や対応の力が見られます。

1次と2次の受験料を合わせると38,500円です。協会の案内によると、過去に2次試験で不合格になった人が再受験する場合、実技の受験料は半額になります。

試験は例年、1次試験が6月と12月、2次試験が8月と2月の予定で、年2回の機会があります。2026年度の第28回の予定は次のとおりです。

  • 受験のWeb申請の受付:2026年10月20日から11月19日まで
  • 1次試験:2026年12月20日(東京・名古屋・大阪)
  • 1次試験の合格発表:2027年1月8日
  • 2次試験:2027年2月20日から3月7日までの間に、名古屋、仙台、東京、大阪で実施

1次試験が免除される場合

受験資格を満たしたうえで、次のいずれかに当てはまる人は、1次試験が免除され、2次試験に合格すれば資格認定試験に合格したことになります。

  • 過去の2次試験で不合格になった人で、その合格発表日から今回の1次試験の日まで2年以内の人
  • 過去の1次試験に合格した人で、その合格発表日から今回の1次試験の日まで2年以内の人
  • 協会の認定校のeMCカリキュラムを修了した人で、協会が指定する専門の資格の要件(検定試験の合格など)のうち、いずれか1つを満たしている人

3つ目の場合は、受験の申請のときに、指定の資格を取ったことを示す書類を出す必要があります。1次試験を免除されて入会した人は、資格の取得までに協会が指定する専門の資格の要件も満たす必要があると案内されています。

認定校の講座から合格までの進め方

大学で心理学を学んでいない社会人がeMCを目指す場合、認定校の講座を受けるところから始まります。合格までの進め方を、時期ごとに整理します。

講座で基礎を固める

まず、認定校のeMCカリキュラムを修了します。講座では、心理学の基礎、カウンセリングの理論と技法、職場のメンタルヘルスの制度、EAPの仕組みなどを学びます。受験資格の要件として、実践コースの修了から1次試験の日まで3年以内であることが求められているので、講座を修了したら、間を空けずに受験の計画を立てます。

受験の申し込みの時期を確かめる

試験は年2回で、受験案内の配布とWeb申請の受付の期間が決まっています。第28回の場合、受験のWeb申請の受付は2026年10月20日から11月19日までとされています。受付の期間を逃すと次の回まで待つことになるので、協会のホームページで日程を早めに確かめておきます。

1次試験に向けて知識を整理する

1次試験は90分の筆記試験で、100点満点で60点以上が合格の基準です。講座で学んだ内容を、心理学の基礎、カウンセリングの技法、職場のメンタルヘルスの制度、EAPの仕組みといった分野ごとに整理し、苦手な分野を重点的に見直します。ストレスチェック制度のように、改正が続いている制度は、最新の内容を厚生労働省の案内で確かめておくと安心です。

2次試験のロールプレイに備える

2次試験は、15分のロールプレイと5分の口頭試問からなる20分の面接試験です。ロールプレイでは、相談者役の話を聞き、相談の場面を進める力が見られます。知識を覚えるだけでは対応できないため、講座の仲間と相談者役とカウンセラー役を交代して練習したり、自分の聞き方を録音して振り返ったりするのが効果的です。

練習のときに意識したいのは、相手の話をさえぎらない、相手の言葉を受け止めて返す、質問を重ねて相手を追い詰めない、といった基本です。15分という限られた時間の中で、相手が話しやすい雰囲気をつくり、悩みの中心を一緒に確かめていく流れを身につけておきます。口頭試問では、ロールプレイでの自分の対応を振り返って説明することが求められると考えられるので、なぜその応答をしたのかを言葉にする練習もしておくとよいでしょう。

1次試験に合格した人は、合格発表日から2年以内であれば、次の回で1次試験が免除されます。2次試験で不合格になった場合も、2年以内であれば1次試験が免除され、実技の受験料は半額になります。一度で合格できなくても、2年の間に再挑戦できる仕組みになっています。

合格してから正式な資格を得るまで

eMCの大きな特徴は、試験に合格しただけでは正式な資格にならないことです。協会の「eMC資格取得の流れ」によると、合格後の手順は次のとおりです。

  1. 協会に入会する:試験の合格と協会への入会で、まず「EAPメンタルヘルスアソシエイトカウンセラー(eMCA)」として会員証が交付される
  2. 初期研修を受ける:全90時間の初期研修制度を受講する
  3. 初期研修を修了する:修了すると、正式に「EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)」として会員証が交付される

初期研修は、必修科目、選択必修科目、実務実践科目の3つの区分で、それぞれ30時間ずつ、合計90時間です。標準の受講期間は2年間とされています。この制度は、2020年11月以降に入会の登録を希望する人から、資格の登録と更新の要件として組み込まれました。

初期研修の科目と受講料は、協会の案内(2023年12月1日現在)で公開されています。必修科目には、倫理研修、システムズ・アプローチ、共通要因アプローチ・カウンセリングが並び、選択必修科目には、認知行動療法、対人関係療法、クライシス・カウンセリング、交流分析、ブリーフセラピーなどの科目があります。1科目15時間の講座の受講料は39,600円(税込)と案内されている科目が多く、90時間を修了するまでには、受験料とは別に相応の研修費がかかります。最新の科目と受講料は、協会の案内で確かめてください。

5年ごとの更新と、学び続ける仕組み

eMCの資格の有効期間は5年で、5年ごとに更新が必要です。更新を受けるには、協会の会員であることと、学び続けたことを示す「更新ポイント」を申告することが求められます。

協会の案内によると、初回の更新では200ポイント以上、2回目以降の更新では100ポイント以上が必要です。そのうち半分は、研修やセミナーへの参加、スーパービジョン(経験の豊かなカウンセラーから相談の進め方について指導を受けること)の聴講などの学習で得る必要があります。初期研修の講座は、すべて更新ポイントの対象になります。協会は、5時間の研修への参加や、総会の研修、カウンセリングの実習などでポイントを積み上げるモデルケースも示しています。

協会の会員には年会費がかかります。資格を持ち続けるには、受験料や研修費のほかに、年会費と継続的な研修の費用がかかることを、最初から計画に入れておく必要があります。

この仕組みは、資格を取ったあとも学び続けることを前提にしています。職場のメンタルヘルスの分野は、法律や制度の変化が大きく、相談の技法も更新されていきます。資格を取って終わりではなく、取ってからが本当の学びの始まりだという考え方です。

関連する資格との違い

職場のメンタルヘルスに関わる資格は、eMCのほかにもあります。主なものとの違いを整理しておきます。

公認心理師

公認心理師は、心理の分野で唯一の国家資格です。大学と大学院で決められた科目を学ぶなどの条件を満たしたうえで国家試験に合格し、登録を受けてなれます。医療、福祉、教育、司法、産業のすべての分野で働く心理の専門職の資格で、職場のメンタルヘルスでは、企業の健康管理室やEAPの専門機関で働く人もいます。EAPの専門機関の求人では、公認心理師や臨床心理士の資格が条件や歓迎の要件になっていることが少なくありません。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間の資格です。働く人の悩みに寄り添う相談の担い手を育てる資格で、名前のとおり職場の分野に重きを置いています。受験の要件や講座の中身は、協会の案内で確かめてください。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、相談を受ける専門家になるための資格ではなく、働く人自身や管理職、人事の担当者が、職場のメンタルヘルス対策の知識を身につけるための検定です。セルフケア、ラインケア、組織全体の対策と、立場ごとにコースが分かれています。

eMCの位置づけ

eMCは、これらの中で、EAPという仕組みそのものと、職場でのカウンセリングの両方を学ぶことに重点を置いた民間の資格です。心理学を大学で学んでいない社会人でも、認定校の講座を修了すれば受験できる道が用意されている点が特徴です。一方で、民間の資格であるため、国家資格である公認心理師と同じ扱いにはなりません。EAPの専門機関で専門職として働きたい人は、公認心理師などの国家資格と組み合わせることで、選べる求人の幅が広がります。

EAPカウンセラーとして働く場

EAPの仕事に関わる働き方は、主に次の4つに分けられます。

  1. EAPの専門機関で働く:企業と契約して従業員の相談を受ける会社で、カウンセラーやコンサルタントとして働く。電話やオンラインでの相談、企業への訪問、研修の講師などを担う
  2. 企業の中で働く:企業の健康管理室や人事の部門で、社内の相談窓口の担当者として働く
  3. 医療機関や自治体で働く:復職支援を行う医療機関や、働く人の相談を受ける自治体の窓口などで働く
  4. 独立して活動する:研修の講師や相談の仕事を個人で受ける

どの働き方でも、実際の相談を受けた経験が重視されます。資格を取ったばかりの段階では、いきなり独立するより、専門機関や組織の中で経験を積み、スーパービジョンを受けながら相談の力を磨くのが一般的な進み方です。

すでに人事や総務の仕事をしている人が、仕事に活かすためにeMCの学びを生かす道もあります。社員の相談を受ける場面や、休職した社員の復職の段取りを考える場面で、EAPの考え方と相談の技法を知っていることは、大きな支えになります。管理職としてラインによるケアを担う人にとっても、部下の話の聞き方を学ぶ意味があります。

EAPの仕事に向いている人

EAPの仕事は、人の話を聞くことが好きというだけでは続けにくい面があります。職場という組織の事情と、相談する個人の気持ちの両方を考えながら動く必要があるからです。向いているのは、次のような人です。

  • 会社で働いた経験があり、職場の人間関係や仕事の量の悩みを実感として理解できる人:EAPの相談の多くは、仕事と職場に関わる悩みです。会社の仕組みや人事の流れを知っていると、相談者の状況を具体的に想像できます
  • 相手の立場と組織の立場の両方を考えられる人:本人の気持ちに寄り添いながら、会社とどう調整すれば状況がよくなるかを考える場面が多くあります
  • 自分の限界を知り、ほかの専門家に引き継げる人:一人で抱え込まず、医療機関や産業医などにつなぐ判断ができることが大切です
  • 学び続けることをいとわない人:eMCは5年ごとの更新があり、研修やスーパービジョンを受け続けることが前提です。制度の変化にも合わせて知識を更新していく必要があります
  • 自分自身の心の健康を保てる人:重い相談を受け続けると、聞く側も疲れます。自分のストレスに気づき、休んだり誰かに相談したりできることも、長く続けるための条件です

人事、総務、営業、管理職など、会社員としての経験は、EAPの仕事では大きな財産になります。心理学を大学で学んでいなくても、会社員としての経験を活かしてこの分野に移る人がいるのは、こうした理由からです。

取る前に考えておきたいこと

eMCを取るまでには、時間と費用がかかります。大学で心理学を学んでいない人は、まず認定校の講座を修了し、1次試験と2次試験に合格し、協会に入会して、90時間の初期研修を標準2年で修了するという流れになります。受験料、講座の費用、初期研修の費用、年会費を合わせた総額を、事前に見積もっておくことが大切です。

そのうえで、資格を何に使うのかをはっきりさせておくと、学ぶ順番を決めやすくなります。

  • EAPの専門機関で専門職として働きたい:公認心理師などの国家資格の条件を確かめ、eMCとの組み合わせを考える
  • 今の人事や管理職の仕事に活かしたい:eMCの講座や、メンタルヘルス・マネジメント検定などで知識を身につける
  • 相談の仕事を副業や独立で始めたい:資格に加えて、相談の実務の経験とスーパービジョンを受けられる環境を確保する

心の健康に関わる相談は、相手の人生や仕事に大きな影響を与える仕事です。相談を受ける側が一人で抱え込まず、必要なときは医療機関などの専門の窓口につなぐことが欠かせません。厚生労働省のこころの耳には、働く人や家族、事業者向けの相談窓口の情報がまとめられています。相談を受ける立場になる人は、こうした窓口をすぐに案内できるようにしておくと安心です。

メンタルヘルスの知識を在宅の仕事につなげる

職場のメンタルヘルスの知識は、在宅の仕事にもつなげやすい分野です。運営者として20年以上、在宅ワークとフリーランスの仕事の流れを見てきた立場から言えば、メンタルヘルスや人事労務の制度を解説する記事、企業向けの研修資料や社内向けの案内文を作る仕事など、専門知識を文章で伝える仕事は継続して依頼が出ています。ストレスチェックの対象の拡大のような制度の変化があると、企業向けの分かりやすい解説の需要も高まります。

心の健康を扱う文章では、公的な資料を確かめて書く、診断や治療にあたる言い切りを避ける、専門家への相談が必要な場面をはっきり書く、といった姿勢が欠かせません。こうした書き方ができる書き手は、依頼する側から信頼されます。単価を上げていく考え方はWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で、実績の見せ方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で整理しています。企業の業務の見直しに関わる仕事に関心がある人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、企業の業務を支える仕事の中身も確かめておくと視野が広がります。

在宅の仕事で長く続く人ほど、「この人に任せると確認の手間が少ない」という関係を依頼主と作っています。仲介の手数料が間に入らない直接の取引なら、同じ予算で依頼主はより多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなります。相手の話を丁寧に聞き、意図を正確にくみ取るというカウンセリングの基本は、文章の仕事でも信頼の土台になります。

EAPカウンセラーの資格として知られるeMCは、21歳以上で心理学の学びの要件を満たした人が、1次と2次の試験に合格し、協会に入会して90時間の初期研修を修了することで得られる民間の資格です。5年ごとの更新があり、学び続けることが前提になっています。目指す働き方に合わせて、国家資格や関連の検定との組み合わせを考えてください。研修資料や報告書を分かりやすく書く力を伸ばしたい人は、ビジネス文書検定の資格ガイドで、文書の基本を確かめておくと次の選択肢が見えてきます。

よくある質問

Q. EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)は国家資格ですか?

国家資格ではありません。特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会(EMCA)が認定する民間の資格です。心理の分野の国家資格は公認心理師で、EAPの専門機関の求人では公認心理師や臨床心理士が条件や歓迎の要件になっていることもあります。働きたい職場の求人を確かめて、資格の組み合わせを考えてください。

Q. 心理学を大学で学んでいなくても受験できますか?

受験できる道があります。出願日の時点で21歳以上であることに加え、協会の認定校のeMCカリキュラムを修了し、実践コースの修了から1次試験の日まで3年以内であれば、学習の要件を満たします。4年制大学で心理学関係の学科を卒業した人や、心理学関係の大学院に在学または修了した人は、講座を受けずに受験できます。

Q. 試験の受験料はいくらですか?

協会の案内によると、1次(学科)試験が11,000円(税込)、2次(実技)試験が27,500円(税込)で、合わせて38,500円です。過去の2次試験で不合格になった人が再受験する場合、実技の受験料は半額になります。このほかに、認定校の講座の費用、合格後の初期研修の費用、協会の年会費がかかります。

Q. 試験に合格すればすぐにeMCを名乗れますか?

試験の合格と協会への入会で、まずEAPメンタルヘルスアソシエイトカウンセラー(eMCA)としての会員証が交付されます。そのあと、必修・選択必修・実務実践の各30時間、合計90時間の初期研修を受講して修了すると、正式にeMCとしての会員証が交付されます。初期研修の標準の受講期間は2年間です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月17日最終更新:2026年11月3日
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