カスタマーサポートツールの選び方|問い合わせの量と窓口の数で決める


この記事のポイント
- ✓カスタマーサポートツールの選び方を
- ✓問い合わせの量と窓口の数の数え方
- ✓量と窓口の組み合わせごとに合うツール
カスタマーサポートツールは、お客様からの問い合わせを受け付け、担当を決め、返信して、記録を残すまでの流れを支える道具です。メールの受信箱で問い合わせを回していると、返信の漏れや二重の返信が起き、誰がどこまで対応したのかが分からなくなってきます。ただ、ツールの種類は多く、料金の仕組みもさまざまなので、何を基準に選べばよいかで迷う人が少なくありません。この記事では、カスタマーサポートツールの種類を整理したうえで、「問い合わせの量」と「窓口の数」の2つを基準にして、自分たちに合うツールを決める方法を説明します。少人数のチームが、フォームで受け付けた問い合わせに担当と状況を付けて返信まで回す方法として、フォームのサービスのHalictにも触れます。
カスタマーサポートツールの種類
カスタマーサポートツールは、何を助けるかによって、いくつかの種類に分けられます。代表的な分け方は次のとおりです。
| 種類 | 主な役割 | 例 |
|---|---|---|
| 問い合わせ管理 | メールやフォームの問い合わせを1か所に集め、担当と状況を付けて返信まで管理する | 共有の受信箱、チケット管理 |
| 顧客情報の管理(CRM) | お客様ごとの情報や過去のやりとりをまとめて管理する | 顧客の台帳、対応の履歴 |
| 回答の支援 | よくある質問のページやチャットボットで、お客様が自分で答えを見つけられるようにする | FAQのページ、チャットボット |
| コミュニケーションの支援 | チャットや電話など、お客様とのやりとりの手段を提供する | 有人チャット、電話の仕組み |
メールの共有や問い合わせ管理のツールを提供するメールディーラーのコラムでは、回答の支援の種類について、次のように説明されています。
「回答支援(FAQ、チャットボットなど)タイプ」は、よくある問い合わせに対しての受け答えをシステムに読み込ませておくことで、お客様が疑問に感じることがあった際、即座に正しく回答できるようになるカスタマーサポートツールです。 出典: maildealer.jp
最近は、1つのツールが複数の種類の機能を持っていることも多く、問い合わせ管理とFAQのページとチャットをまとめて提供するものもあります。一方で、機能が多いツールほど料金も高く、設定も複雑になります。すべての機能がそろったツールを選ぶのではなく、自分たちが今いちばん困っていることを解決する種類を選ぶのが、失敗しない選び方の出発点です。
まず数えるのは「量」と「窓口」の2つ
ツールを選ぶ前に、自分たちの問い合わせの状況を数字で把握しておきます。特に大切なのが、問い合わせの量と、窓口の数の2つです。
問い合わせの量とは、1か月にどれだけの問い合わせが届き、それにどれだけの時間がかかっているかです。窓口の数とは、お客様が問い合わせてくる手段(メール、フォーム、電話、チャット、SNSなど)がいくつあるかです。
この2つを組み合わせると、合うツールの方向が見えてきます。
| 窓口が少ない(メールとフォームなど1つか2つ) | 窓口が多い(メール、電話、チャット、SNSなど) | |
|---|---|---|
| 量が少ない | フォームと共有の表、またはフォームのサービスの管理機能で十分なことが多い | 窓口をまとめる仕組みを先に考え、軽いツールから始める |
| 量が多い | 問い合わせ管理のツールで、担当と状況の管理を固める | 複数の窓口をまとめて扱える統合型のツールを検討する |
量が少なく、窓口も少ない段階で、多くの機能を持つ統合型のツールを入れても、使わない機能の分まで費用を払うことになります。反対に、量が多く、窓口も多いのに、共有の受信箱だけで回そうとすると、窓口ごとに情報が分かれ、対応の漏れが起きやすくなります。
問い合わせの量の測り方
問い合わせの量は、次の項目で測ります。少なくとも1か月分、できれば3か月分の記録を見て数えると、時期による波も分かります。
- 1か月に届く問い合わせの件数
- 1件あたりの対応にかかる平均の時間
- 対応している人数
- 曜日や時間帯、月の中での件数の偏り
- 同じ内容の問い合わせが占める割合
1か月の件数と1件あたりの時間を掛けると、問い合わせの対応にかかっている時間の合計が分かります。たとえば、1か月に300件、1件あたり平均15分なら、合計は75時間です。これを対応している人数で割ると、1人あたりの負担が見えてきます。
同じ内容の問い合わせが占める割合は、ツールの種類を選ぶうえで特に役立つ数字です。「送料はいくらか」「解約の方法を知りたい」といった同じ質問が多いなら、FAQのページを整えるだけで問い合わせの件数そのものを減らせる可能性があります。この場合は、問い合わせ管理のツールより先に、回答の支援の種類を検討する価値があります。
曜日や時間帯の偏りも見ておきます。月曜の午前や、セールや新しい商品の発表の直後に問い合わせが集中するなら、その時間だけ対応する人を厚くする、自動返信で回答の目安を伝えるといった対策が考えられます。平均の件数だけでなく、最も多い日の件数を見ておくと、ツールや体制を決めるときに無理のない計画が立てられます。
数を数えるときは、問い合わせの内容をいくつかの種類(購入前の質問、使い方、不具合、解約や返品、その他など)に分けて記録しておくと、あとで分析しやすくなります。
窓口の数の数え方
窓口の数は、お客様が実際に問い合わせてくる手段を書き出して数えます。会社が案内している窓口だけでなく、実際に問い合わせが届いている場所をすべて数えるのがポイントです。
| 窓口 | 確かめること |
|---|---|
| メール | 問い合わせ用のアドレスがいくつあるか、担当者の個人のアドレスに届いていないか |
| フォーム | サイトのどのページにフォームがあるか、フォームごとに届く先が違わないか |
| 電話 | 代表の番号か、担当者の携帯電話に直接かかってきていないか |
| チャット | サイトのチャット、LINEなどのメッセージのサービス |
| SNS | X、Instagram、Facebookなどのメッセージやコメント |
| 対面 | 店舗やイベントでの相談 |
書き出してみると、案内していないはずの窓口から問い合わせが届いていることがよくあります。担当者の個人のメールアドレスや、営業担当の携帯電話に直接届いている問い合わせは、ほかの人から見えず、担当者が休むと対応が止まります。
窓口が多い場合は、ツールを選ぶ前に、窓口を減らせないかを考えることも大切です。お客様の使いやすさを損なわない範囲で窓口を整理すれば、どのツールを選んでも管理が楽になります。
メールの受信箱だけで回すときの限界
ツールを入れる前は、問い合わせ用のメールアドレスを複数の人で共有して対応している職場が多くあります。この形は費用がかからず、すぐに始められる一方で、問い合わせの量や対応する人数が多くなると、次のような問題が起きやすくなります。
- 誰がどのメールに返信するのかが分からず、返信の漏れや二重の返信が起きる
- 返信したかどうかを確かめるために、送信済みのフォルダを毎回探すことになる
- 対応の途中の状況(確認中、お客様の返事待ちなど)が、担当者の頭の中にしかない
- 同じお客様からの過去のやりとりを探すのに時間がかかる
- 担当者が休むと、その人が抱えていた問い合わせの状況が分からなくなる
こうした問題が週に何度も起きるようになったら、ツールに移るタイミングだと考えてよいでしょう。目安として、次のような状況が1つでも当てはまれば、移ることを検討します。
| 状況 | 起きていること |
|---|---|
| 返信の漏れが月に数件ある | 誰が担当するかが決まっていない |
| 同じ問い合わせに2人が返信したことがある | 対応の状況が共有されていない |
| 問い合わせの状況を確かめる打ち合わせを毎日している | 状況を見る場所がない |
| 担当者が休むと問い合わせの対応が止まる | 対応の履歴が残っていない |
移るときは、いきなりすべての問い合わせを新しいツールに切り替えるのではなく、まずフォームから届く問い合わせだけを新しいツールで管理するなど、範囲を絞って始めると混乱を避けられます。新しい形で1か月ほど運用して問題がないことを確かめてから、メールの問い合わせも移していきます。
量と窓口の組み合わせごとの選び方
量と窓口の数が分かったら、次のように選びます。
量が少なく窓口も少ない場合は、まずフォームで問い合わせを受け付け、共有の表やフォームのサービスの管理の機能で担当と状況を記録する形から始めます。この段階で大事なのは、問い合わせの記録を1か所に集め、誰がどの件を担当しているかを見える形にすることです。
量が少なく窓口が多い場合は、窓口ごとに届く問い合わせを、1か所に転送したり記録したりする仕組みを先に作ります。メールとフォームを同じ受信箱に集める、電話で受けた問い合わせもフォームと同じ表に書き込む、といった運用の決めごとが、ツール選びより先に効果を出します。
量が多く窓口が少ない場合は、問い合わせ管理のツールを検討します。メールやフォームの問い合わせを1件ずつ「チケット」として管理し、担当、状況、期限を付けて、返信の漏れや二重の返信を防ぐ仕組みです。返信のひな形や、対応の履歴を残す機能があると、対応の質をそろえやすくなります。
量が多く窓口も多い場合は、メール、チャット、電話、SNSなど複数の窓口をまとめて扱える統合型のツールを検討します。この段階では、FAQのページやチャットボットで同じ質問を減らす仕組みも合わせて考えると、対応する人の負担を抑えられます。
種類ごとの特徴と、合う場面
カスタマーサポートツールの種類ごとに、合う場面と気をつけたい点を整理します。
| 種類 | 合う場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| フォームのサービスの管理機能 | 問い合わせの量が少なく、受け付けの窓口がフォームの場合 | 電話やチャットの問い合わせは別に管理することになる |
| 問い合わせ管理(共有の受信箱・チケット) | メールやフォームの問い合わせが多く、複数人で対応する場合 | 窓口が増えると、窓口ごとの連携の設定が必要になる |
| FAQのページ・チャットボット | 同じ内容の問い合わせが多い場合 | 回答の内容を最新に保つ手入れが続けて必要になる |
| 有人チャット | 購入前の質問など、すぐに答えることが売上につながる場合 | 対応する人がその時間に待機している必要がある |
| 統合型のツール | 窓口が多く、問い合わせの量も多い場合 | 料金が高く、設定と運用の準備に時間がかかる |
チャットボットやFAQのページは、用意しただけで問い合わせが減るものではありません。お客様が本当に知りたいことに答えていなければ、結局は問い合わせが届きます。回答の支援の仕組みを入れるときは、実際に届いた問い合わせの内容をもとに、答えるべき質問を選ぶことが大切です。
業種や規模ごとの選び方の例
量と窓口の考え方を、いくつかの業種や規模に当てはめてみます。自分たちに近い例を参考にしてください。
| 例 | 問い合わせの量と窓口 | 考えられる選び方 |
|---|---|---|
| 1人で運営する小さなネットショップ | 1か月に数十件、メールとフォームが中心 | フォームと共有の表、またはフォームのサービスの管理機能から始める |
| 数人で運営するネットショップ | 1か月に数百件、メール、フォーム、SNSのメッセージ | 問い合わせ管理のツールでメールとフォームをまとめ、よくある質問のページを整える |
| ソフトウェアやWebのサービスの会社 | 使い方の質問と不具合の報告が多い | 問い合わせ管理のツールと、使い方のヘルプのページを組み合わせる |
| 習い事の教室やサロン | 予約や振替の連絡が中心で、電話も多い | 予約の受け付けの仕組みと、フォームによる問い合わせの受け付けを分けて考える |
| 団体の事務局やイベントの運営 | 申し込みと、それに関する問い合わせが時期に集中する | 申し込みのフォームと問い合わせを同じ場所で管理し、一斉の連絡の機能を使う |
1人で運営する小さなネットショップでは、まず「問い合わせを見落とさない」ことが一番の課題です。高機能なツールを入れるより、フォームから届いた問い合わせが1つの一覧に並び、返信したかどうかが分かる状態を作ることが先です。
ソフトウェアやWebのサービスの会社では、不具合の報告を技術の担当者に回し、直ったらお客様に連絡するという流れが重要になります。問い合わせ管理のツールで、担当者の割り当てと状況の管理をしっかり行い、同じ不具合の報告をまとめて扱えるようにしておくと、対応が速くなります。
団体の事務局やイベントの運営では、申し込みの時期に問い合わせが集中し、それ以外の時期は少ないという波があります。月額の費用がかかるツールを選ぶ場合は、閑散期の費用も含めて1年の総額で考えると、無理のない選び方ができます。
選ぶときの確認項目
候補のツールが絞れたら、次の項目を確かめます。
- 今使っている窓口(メール、フォーム、チャットなど)とつなげられるか
- 担当、状況、期限、タグなどを付けて管理できるか
- 返信のひな形、自動返信、一斉送信など、返信の機能がそろっているか
- 対応の履歴が残り、あとから検索できるか
- 何人で使うか、何件の問い合わせを扱うかで料金がどう変わるか
- 権限を分けられるか(閲覧だけの人、管理者など)
- 個人情報を扱ううえでの安全管理の体制が説明されているか
- 無料の試用や無料のプランで、実際の運用を試せるか
- サポートの窓口が日本語に対応しているか
特に、最後の2つは見落とされがちです。資料や画面の説明だけで決めず、実際の問い合わせの流れを試用で再現してみると、使いにくい点が早めに分かります。海外のツールの場合は、管理の画面やサポートが日本語に対応しているかも確かめておきます。
料金の見方
カスタマーサポートツールの料金の仕組みは、ツールによって違います。主な仕組みは、使う人の数で決まるもの、扱う件数や窓口の数で決まるもの、機能の範囲で決まるもの、それらの組み合わせです。
たとえば、フォーム、FAQ、アンケート、チャットなどを提供するTayoriの料金プランのページでは、次のように案内されています(税抜の月額)。スタータープランとプロフェッショナルプランには、14日間の無料の試用も用意されています。
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 利用ユーザー1人、フォーム、FAQ、アンケートをそれぞれ1つまで |
| スターター | 3,800円 | 利用ユーザー3人、フォーム、FAQ、アンケートをそれぞれ3つまで、有人チャット1つまで |
| プロフェッショナル | 11,980円 | 利用ユーザー10人、フォーム、FAQ、アンケートそれぞれ無制限、有人チャット3つまで、AIチャットボット |
| エンタープライズ | 25,400円(初期費用50,000円) | 利用ユーザー11人から30人、年間契約 |
また、海外の統合型のツールのZendeskでは、日本語の料金のページで、メールを中心にしたSupportのプランと、チケット管理、メッセージング、ライブチャット、ヘルプセンター、音声のサポートを備えたSuiteのプランが分けて案内されています。AIによる自動の対応については、AIが問い合わせを解決した件数にもとづく従量課金の仕組みだと説明されています。料金はエージェント(対応する人)1人あたりで決まる形です。同じページでは、メールを中心にしたカスタマーサポートをこれから始める場合はSupportのプランが、複数の窓口でサポートを提供する場合はSuiteのプランが合うと説明されています。どちらのプランが合うかも、この記事で説明した窓口の数で考えると判断しやすくなります。
このように、1つのツールの中でも、窓口の数や使う機能によってプランが分かれていることが多くあります。最初から上のプランを選ぶのではなく、今の量と窓口に合ったプランで始め、窓口や人数が多くなったときに上のプランに移れるかどうかを確かめておくと、無駄な費用を抑えられます。
このように、料金の決まり方はツールによって大きく違います。比べるときは、月額の数字だけを並べるのではなく、自分たちの人数、問い合わせの件数、使う窓口を当てはめて、1か月の総額を計算してみることが大切です。初期費用や年間契約の条件、人数が増えたときの料金も確かめておきます。料金は改定されることがあるので、契約の前には各社の公式の料金ページで最新の額を確かめてください。
フォームで受け付けて返信まで回す方法
問い合わせの量がまだ多くなく、受け付けの窓口がフォームとメールに限られている段階では、フォームのサービスの管理の機能を使って、受け付けから返信までを1か所で回す方法があります。その1つが、受付から対応までを扱うフォームのサービスのHalictです。
公式サイトによると、Halictでは、フォームに届いた1件ごとに担当者とタグを付け、「問い合わせ対応」などのひな形から選べるステージ(受付、対応中、完了などの段階)で状況を管理できます。一覧の表と、ステージごとのボードを切り替えて見られ、担当者、タグ、期間、全文検索で絞り込めます。ステージの変更、担当者の割り当て、メモ、メールの送信は、対応の履歴として時系列で残ります。返信は同じ画面から送ることができ、送信の直後に回答内容の控えを添えた自動返信、よく使う文面のひな形、送ったメールの開封とクリックの計測にも対応していると案内されています。新しい問い合わせが届いたときに、Teams、Slack、Discord、Chatworkに通知することもできます。
料金は、公式の料金ページによると、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、使う人数で決まります(税抜の月額)。メンバー1人までのフリーは0円で、ステージの管理、自動返信、CSVの書き出しが使えます。メンバー3人までのスターターは2,980円で、Googleスプレッドシートとの連携が加わります。メンバー10人までのチームは7,800円で、一斉メールと開封の計測、メールのひな形、チャットへの通知、閲覧のみの権限が加わります。年払いにすると2か月分が無料になるとされています。
ただし、Halictはフォームで受け付けた問い合わせを管理するサービスで、公式サイトには、電話の受け付けや有人チャット、FAQのページを作る機能の記載はありません。電話やチャットの窓口も同じ場所でまとめて扱いたい場合は、統合型のツールを検討することになります。問い合わせの窓口をフォームに集め、少人数で担当と状況を見ながら返信まで回したい段階で検討するとよいでしょう。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
導入の進め方
カスタマーサポートツールの導入は、次の順番で進めると失敗しにくくなります。
- 現状の問い合わせの量と窓口の数を、1か月から3か月分の記録で数える
- 問い合わせの種類と、種類ごとの対応のルール(誰が、何日以内に返すか)を決める
- 候補のツールを2つか3つに絞り、無料の試用で実際の問い合わせの流れを再現する
- 返信のひな形、ステージ、タグなど、運用の決めごとを設定する
- 窓口を1つずつ新しいツールに切り替え、古い窓口からの転送の設定をする
- 1か月後に、返信までの時間、対応の漏れ、担当者の負担を振り返る
2つ目の対応のルールは、ツールを入れる前に決めておくことが大切です。「問い合わせには1営業日以内に一次の返信をする」「不具合の報告は技術の担当者に回す」といったルールがないままツールを入れても、ツールの中で問い合わせが止まるだけです。
6つ目の振り返りでは、ツールを入れる前の数字と比べます。返信までの時間が短くなったか、対応の漏れが減ったか、担当者1人あたりの負担に偏りがないかを確かめ、必要ならステージやルールを見直します。
ツールの導入の費用には、国の補助金が使える場合もあります。業務の効率化のためのITツールの導入を支援するIT導入補助金の使い方は、IT導入補助金でAIツールを導入する方法2026|対象ツールと申請のポイントで紹介しています。対象になるツールや補助の条件は公募ごとに変わるので、申請の前に公式の案内で確かめてください。
返信の文面をそろえる工夫
ツールを入れても、返信の文面が担当者ごとにばらばらだと、お客様に与える印象がそろいません。返信の質をそろえるために、次のような工夫をしておきます。
- 問い合わせを受け付けたことを知らせる一次の返信の文面を決める
- よくある問い合わせの種類ごとに、返信のひな形を作る
- ひな形には、宛名、問い合わせの内容の確認、回答、次にしてほしいこと、署名の順で書く
- お詫びが必要な場面の言い回しを決めておく
- 返信の前に、別の担当者が確認する問い合わせの種類を決める(返金、解約、苦情など)
一次の返信は、すぐに回答できない問い合わせでも、受け付けたことと、いつまでに回答するかを伝えるためのものです。フォームのサービスや問い合わせ管理のツールの自動返信の機能を使えば、受け付けの直後に送れます。
ひな形を使うときは、文面をそのまま送るのではなく、問い合わせの内容に合わせて必ず手を入れます。お客様が書いてきた内容に触れずにひな形だけを送ると、読まれていないと感じさせてしまいます。
返信の中に、お客様の個人情報を不用意に書かないことも大切です。問い合わせの内容を引用するときは、住所や電話番号、カードの情報などが含まれていないかを確かめます。
対応の質を測る数字
ツールを入れたあとは、対応の質を数字で確かめ続けることが大切です。主な数字は次のとおりです。
| 数字 | 意味 | 見方 |
|---|---|---|
| 一次の返信までの時間 | 問い合わせが届いてから最初の返信までの時間 | 決めたルール(1営業日以内など)を守れているか |
| 解決までの時間 | 問い合わせが届いてから対応が終わるまでの時間 | 長くかかっている種類の問い合わせはないか |
| 未対応の件数 | 担当が決まっていない、または返信していない件数 | 毎日0件に近づけられているか |
| 同じお客様からの再度の問い合わせ | 1回の返信で解決しなかった件数 | 回答の分かりやすさに問題がないか |
| 種類ごとの件数の推移 | 問い合わせの種類ごとの増減 | FAQのページや商品の説明を直すべき点はないか |
これらの数字は、ツールの集計の機能やCSVの書き出しを使えば、毎月確かめられます。数字を見るときは、担当者を責めるためではなく、仕組みを直すために使うことが大切です。たとえば、特定の種類の問い合わせの解決までの時間が長いなら、その種類の対応の手順や、担当者への情報の共有のしかたを見直します。
種類ごとの件数の推移は、カスタマーサポートの外にも役立つ情報です。「使い方が分からない」という問い合わせが増えているなら、商品の説明書や画面の分かりやすさに課題があるかもしれません。問い合わせの記録を、商品やサービスの改善につなげる流れを作っておくと、ツールの価値がより大きくなります。
個人情報と安全管理の確認
カスタマーサポートツールには、お客様の名前、メールアドレス、電話番号、購入の履歴など、多くの個人情報が集まります。ツールを選ぶときと、使い始めたあとに、次の点を確かめておきます。
- ツールを提供する会社が、情報の安全管理の取り組みを公開しているか
- 担当者ごとに権限を分け、必要な人だけが必要な情報を見られるようにできるか
- 誰がいつどの情報を見たり変えたりしたかの記録が残るか
- 退職した人や、仕事を終えた外部の人のアカウントをすぐに止められるか
- 添付のファイルを、関係のない人が開けないように保護できるか
外部の人に問い合わせの対応を任せる場合は、情報の扱いについての取り決めを交わしておきます。作業に必要な範囲の権限だけを渡し、仕事が終わったらアカウントを止める、といったルールを決めておくと安心です。
よくある失敗と防ぎ方
カスタマーサポートツールの導入で起こりやすい失敗と、その防ぎ方を整理しておきます。
- 機能の多さで選び、使いこなせなかった。今いちばん困っていることを解決する機能から選ぶ
- 窓口を整理しないまま入れ、問い合わせが新旧の両方に分かれた。切り替えの日を決め、古い窓口からの転送を設定する
- 担当者を決めるルールがなく、誰も対応しない問い合わせが残った。担当が決まっていない件を毎朝確かめる係を決める
- 返信のひな形が多くなりすぎて、どれを使えばよいか分からなくなった。ひな形は種類ごとに整理し、定期的に見直す
- 料金を人数だけで比べ、件数や窓口の追加で費用が膨らんだ。自分たちの条件で1か月の総額を計算してから比べる
問い合わせの対応は、ツールを入れて終わりではなく、ルールと記録を見直し続ける仕事です。ツールの選び方に迷ったら、まず問い合わせの量と窓口の数を数えるところから始めてください。
在宅の仕事の現場から見たサポートの体制
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、問い合わせの対応やメールの返信の仕事は、在宅で働く人に任されることの多い仕事の1つです。こうした仕事を外部の人に頼むときに、問い合わせが1か所に集まっていて、担当と状況と対応の履歴が残る仕組みがあれば、引き継ぎがしやすく、頼む側も任された側も迷わずに仕事を進められます。ツールを選ぶことは、自社の社員だけでなく、外部の人と一緒に対応する体制を整えることにもつながります。
外部の人に問い合わせの対応を頼む場合、間に入る仲介の手数料が少ないほど、頼む側は同じ予算で多くの時間を頼め、受ける側の手取りも厚くなります。手数料0%で直接取引できる場では、自社の商品やお客様をよく理解した人と長く付き合いやすくなります。カスタマーサポートや事務の在宅の仕事の内容はカスタマーサポート・事務全般のお仕事で、問い合わせの振り分けや定型の作業を自動化する仕事の内容はRPA・業務自動化ツールのお仕事で紹介しています。
よくある質問
Q. カスタマーサポートツールは無料で使えますか?
無料のプランを用意しているツールはあります。ただし、無料のプランは使える人数やフォームの数、機能が限られていることが多いです。問い合わせの量が少なく、対応する人が1人か2人の段階なら、無料のプランやフォームと共有の表の組み合わせで始め、量や人数が多くなってから有料のプランに切り替えるのが無駄のない進め方です。
Q. カスタマーサポートツールはどのような基準で選べばよいですか?
まず、1か月の問い合わせの件数と1件あたりの対応時間、お客様が問い合わせてくる窓口の数を数えます。量が少なく窓口も少なければフォームや軽い管理の仕組みで十分なことが多く、量が多ければ問い合わせ管理のツール、量も窓口も多ければ統合型のツールを検討します。同じ質問が多いならFAQのページを先に整える方法もあります。
Q. 料金はどのように比べればよいですか?
ツールによって、使う人数、扱う件数、窓口の数、機能の範囲など、料金の決まり方が違います。月額の数字だけを並べるのではなく、自分たちの人数、問い合わせの件数、使う窓口を当てはめて1か月の総額を計算して比べます。初期費用や年間契約の条件、人数が多くなったときの料金も確かめ、契約の前に公式の料金ページで最新の額を確認してください。
Q. ツールを入れる前に決めておくことは何ですか?
問い合わせの種類と、種類ごとに誰が何日以内に返信するかという対応のルールを決めておきます。ルールがないままツールを入れても、ツールの中で問い合わせが止まるだけです。あわせて、案内している窓口と実際に問い合わせが届いている場所を書き出し、窓口を整理できないかを考えておくと、導入後の管理が楽になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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