【重要】PHPの脆弱性、うちのサイトは大丈夫?今すぐチェック

カスハラの電話への対応|受け答えの決め方と切り上げ方

@SOHO編集部
@SOHO編集部
カスハラの電話への対応|受け答えの決め方と切り上げ方

この記事のポイント

  • ✓カスハラの電話への対応を
  • ✓2026年10月に義務化された事業主の対策と厚生労働省のマニュアルに沿って解説
  • ✓対応した人を守る仕組みまでまとめます

カスハラの電話への対応は、担当者の気配りや我慢に任せるのではなく、会社として受け答えの決まりと切り上げる基準を先に決め、全員が同じ手順で動けるようにしておくことが基本です。2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントへの対策がすべての事業主の義務になり、方針の周知、相談の体制、事後の対応などを整えることが求められています。この記事では、厚生労働省の資料に沿って、苦情とカスハラの見分け方、電話の受け答えの例文、録音の伝え方、電話を切り上げる手順、記録と引き継ぎの方法、対応した人を守る仕組みまでを順に説明します。電話のほかに文面で受け付ける窓口を設け、1件ごとに担当と状況を残す方法の1つとして、フォームのサービスのHalictにも後半で触れます。

カスハラの電話対策が義務になった背景

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先などからの、社会通念上許される範囲を超えた言動によって、働く人の就業環境が害されることをいいます。2025年6月に労働施策総合推進法が改正され、2026年10月1日から、カスハラへの対策が事業主の義務になりました。厚生労働省のリーフレットでは、職場におけるカスハラを次の3つの要素をすべて満たすものとしています。

職場において行われる①顧客等の言動であって、②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの。 出典: 厚生労働省「2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」

リーフレットには、電話やSNSなどインターネット上で行われるものも含まれると注記されています。電話での言動もはっきり対象に含まれているということです。電話は相手の顔が見えず、1人の担当者が長時間向き合うことになりやすいため、対面より負担が大きくなる場面もあります。

事業主が講じなければならない措置として、リーフレットでは、カスハラには毅然とした態度で対応し働く人を守るという方針を明らかにして周知すること、あらかじめ定めた対処の内容を周知すること、相談の窓口を定めること、事実関係を迅速に確かめること、被害を受けた人に配慮すること、再発を防ぐことなどが挙げられています。対処の内容の例としては、管理監督者にその場の対応の指示を仰ぐこと、できるだけ1人で対応させないこと、犯罪に当たりうる言動は警察に通報すること、本社や本部と情報を共有して指示を仰ぐことが示されています。制度の全体は厚生労働省の職場におけるハラスメントの防止のページで確かめられます。

電話を受ける前の環境づくり

カスハラの電話への備えは、電話が鳴る前から始まります。受け答えの技術だけに頼らず、電話を受ける環境を整えておくと、担当者の負担を大きく減らせます。

1つ目は、録音の仕組みです。電話機や電話のサービスに録音の機能があるかを確かめ、必要なら導入します。録音していることを伝える自動の音声案内を設定しておくと、担当者が自分で伝える負担もなくなります。

2つ目は、受付の時間です。電話の受付の時間を決めて公表しておくと、時間外の長電話を防げます。受付の時間外は、音声案内で受付の時間を伝え、文面での問い合わせの窓口を案内する形にしておきます。

3つ目は、相談できる人の配置です。電話を受ける担当者が1人きりにならないよう、すぐに相談できる上長や同僚を近くに配置し、相談の合図(メモを見せる、手を挙げるなど)を決めておきます。マニュアルでも、できるだけ1人で対応させないことが対処の例として挙げられています。

4つ目は、手元の資料です。問い合わせの多い内容への回答、対応できる範囲、手順書の例文を、電話の近くですぐに見られる形にしておきます。答えに詰まったときに頼れる資料があるだけで、担当者は落ち着いて対応できます。

苦情とカスハラの見分け方

電話の対応で最初に押さえておきたいのは、苦情のすべてがカスハラではないということです。リーフレットにも、顧客からの苦情のすべてがカスハラに当たるわけではないと明記されています。商品の不具合や対応のミスに対する正当な苦情は、事業の改善につながる大切な声です。ここを取り違えると、正当な申し出をする顧客を遠ざけてしまいます。

判断の手がかりとして、厚生労働省は、社会通念上許される範囲を超える言動を、「言動の内容」と「手段や態様」の2つの面から例示しています。

言動の内容が範囲を超えるもの

  • そもそも要求に理由がない、または商品やサービスとまったく関係のない要求
  • 契約などで想定しているサービスを著しく超える要求
  • 対応が著しく困難な、または対応が不可能な要求
  • 不当な損害賠償の要求

手段や態様が範囲を超えるもの

  • 身体的な攻撃(暴行、傷害など)
  • 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要など)
  • 威圧的な言動
  • 継続的、執拗な言動
  • 拘束的な言動(居座り、長時間の拘束など)

電話で起きやすいのは、暴言や侮辱、大声で威圧する、同じ要求を何時間も繰り返す、何度も電話をかけてくる、といった手段や態様の問題です。要求の中身が正当でも、伝え方が暴言や長時間の拘束に当たれば、カスハラになりうる点に注意が必要です。逆に、怒りの強い口調であっても、要求の中身が正当で、言葉づかいが許される範囲にとどまっているなら、まずは苦情として丁寧に受け止めます。

判断に迷う場面として多いのは、相手が強い口調で、要求も少し行き過ぎている、という中間のケースです。こうした場合は、まず要求の中身に正当な部分があるかを確かめ、正当な部分には誠実に対応し、行き過ぎた部分には応じられないことを丁寧に伝える、という切り分けが役立ちます。

判断は、担当者1人に任せないことが大切です。電話の担当者には「この基準に当たりそうなら上長に相談する」という目安を示し、最終的な判断は会社として行う形にしておくと、担当者の負担が軽くなります。

電話の受け答えの基本

カスハラに発展させないためにも、苦情の電話を受けるときの基本の受け答えを決めておきます。厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)では、電話での対応について次の点が挙げられています。

通話内容を録音できるようにしておく。 基本的には、第一受信者が責任を持ち、問い合わせ案件のたらい回しにしない。 顧客等に顔を見せられない分、丁寧な言葉遣いで、相手が理解できるようにゆっくりと説明する。 途中で電話を中断し、周囲と相談等をするときは、社内での相談内容が漏れないように必ず電話の保留機能を利用する。 出典: 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」

マニュアルでは、どの場面にも共通する対応として、丁寧な話し方で冷静に話を聞くこと、メモを取って要点を確かめること、対応できることとできないことをはっきりさせること、その場しのぎの回答をしないこと、すぐに答えられない内容は事実を確かめてから返事をすること、なども挙げられています。

最初の受け答えの例

電話を受けたら、まず名乗り、相手の話を最後まで聞きます。途中で反論したり、言い訳をしたりすると、相手の感情がさらに高ぶることがあります。

  • 「お電話ありがとうございます。○○の△△でございます。」
  • 「ご不便をおかけしております。詳しい状況をお聞かせいただけますでしょうか。」
  • 「確認のため、お名前とご連絡先、ご購入の日を伺ってもよろしいでしょうか。」

ここでのお詫びは、不快な思いをさせたことへのお詫びにとどめ、事実を確かめる前に会社の責任を認める言い方は避けます。「ご不便をおかけしております」「ご心配をおかけしました」のように、気持ちに寄り添う言葉を使うのが基本です。

要点を復唱して確かめる

相手の話を聞いたら、要点を復唱して、聞き間違いがないかを確かめます。

  • 「○月○日にお届けした商品の、○○の部分が動かないということでよろしいでしょうか。」
  • 「ご希望は、交換のご対応ということで承りました。」

復唱は、相手に「話が伝わっている」と感じてもらうことに加え、後で「言った、言わない」の食い違いを防ぐ役割もあります。

すぐに答えられないときの例

その場で判断できないことを、その場で約束してはいけません。

  • 「確認のうえ、本日中に改めてご連絡いたします。」
  • 「担当の部署に確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」(保留にする)
  • 「お調べするのにお時間をいただきたいので、一度お電話を切らせていただき、○時までに折り返しご連絡いたします。」

マニュアルでも、確認に時間がかかりそうな場合は、一度電話を切ってもらい、後日、会社としての対応の方針を伝える方法が示されています。

録音の伝え方

通話の録音は、事実を確かめる材料になるだけでなく、相手の言動を落ち着かせる効果も期待できます。マニュアルでは、必要があれば相手の了解を得て録音することや、通話内容を録音できるようにしておくことが挙げられています。

録音を伝える方法には、電話がつながったときの自動の音声案内で知らせる方法と、担当者が口頭で伝える方法があります。

  • 自動の音声案内の例:「サービス向上と内容の確認のため、通話を録音させていただいております。」
  • 口頭で伝える例:「お話の内容を正確に確認するため、ここからの通話を録音させていただきます。」

口頭で伝えるときは、責める口調にならないよう、事実を確認するための手段であることを落ち着いて伝えます。録音のデータは、誰が聞けるか、いつまで保存するかを決め、個人情報として適切に管理します。

電話を切り上げるときの手順

カスハラに当たる言動が続く場合は、会社として決めた基準に沿って、電話を切り上げます。担当者が自分の判断で突然切るのではなく、決められた手順で段階を踏むことが大切です。

1. 対応できる範囲をはっきり伝える

まず、対応できることとできないことを明確に伝えます。

  • 「大変申し訳ございませんが、そのご要望にはお応えいたしかねます。」
  • 「当社としてご対応できるのは、商品の交換または返金までとなっております。」

マニュアルでは、契約を著しく超える要求には、契約書や約款を示して対応できる範囲を説明し、要求が繰り返される場合は「これ以上の対応はできない」とはっきり伝える対応例が示されています。

2. 言動をやめるよう求める

暴言や大声が続く場合は、そのことを指摘して、やめるよう求めます。

  • 「大きな声を出されますと、お話を伺うことができません。落ち着いてお話しいただけますでしょうか。」
  • 「そのようなお言葉が続く場合は、これ以上お話を続けることができません。」

3. 時間の区切りを伝える

話が同じところを繰り返し、進まない場合は、対応の時間に区切りを付けます。マニュアルでは、対応できない理由を説明し、応じられないことをはっきり告げたあと、話がこう着してから一定の時間(30分程度)を超える場合は電話を切る対応例が示されています。ただし、この時間はあくまで一例で、具体的な時間は業種や業態を踏まえて各企業で決めるべきだとされています。

  • 「これまでのお話で、当社のご回答はお伝えしております。恐れ入りますが、これで失礼いたします。」
  • 「何度お話しいただいても、ご回答は変わりません。本日のお電話はこれで終了させていただきます。」

4. 最後の警告と終話

それでも続く場合は、最後に警告を伝え、記録を残して電話を切ります。

  • 「このままお話が続く場合は、お電話を切らせていただきます。」
  • 「お電話を切らせていただきます。失礼いたします。」

切ったあとは、すぐに上長に報告し、通話の記録を残します。身の危険を感じる言動や、犯罪に当たりうる言動があった場合は、決められた時間を待たずに次の手順に進んでよいことも、マニュアルで強調されています。

場面別の受け答えの例

カスハラの電話では、よく似た要求や言動が繰り返し現れます。場面ごとの受け答えの例を、あらかじめ担当者で共有しておくと、その場で言葉に詰まらずに済みます。言い回しは、自社の業種や方針に合わせて調整してください。

「責任者を出せ」と言われたとき

責任者に代わることが決まりで認められている場合は、上長に引き継ぎます。決まりで、まず担当者が内容を伺うことになっている場合は、そのことを伝えます。

  • 「ご用件は、担当の○○が責任を持って承ります。内容を伺ったうえで、必要に応じて責任者から改めてご連絡いたします。」

最初から責任者に代わる対応を繰り返すと、「大声を出せば上の人が出てくる」と受け取られることもあります。どの段階で上長に代わるかを、会社として決めておくことが大切です。

「今すぐ来い」と言われたとき

訪問するかどうかは、その場で約束せず、会社として判断します。

  • 「お伺いするかどうかを含めて、社内で確認のうえ、改めてご連絡いたします。」

マニュアルでも、自宅などを訪問して対応する場合は、冷静になりにくい夜間や早朝を避けること、できるだけ2人で行くこと、などの留意点が挙げられています。

「SNSに書くぞ」と言われたとき

インターネットへの投稿をほのめかして要求を通そうとする言動には、要求の中身で判断する姿勢を崩さないことが大切です。

  • 「ご意見は承りました。当社としてのご対応は、先ほどお伝えしたとおりでございます。」

マニュアルでは、インターネット上で名誉を傷つける投稿がされた場合、投稿した人の処罰を望むなら警察に、損害賠償を求めるなら弁護士に相談し、削除を求めたい場合は法務局などに相談する対応例が示されています。

担当者の個人の名前や連絡先を聞かれたとき

担当者のフルネームや個人の連絡先を求められても、教える必要はありません。会社の窓口として対応していることを伝えます。

  • 「恐れ入りますが、担当者の個人の連絡先はお伝えしておりません。ご連絡は、この窓口でお受けしております。」

名札や電話で名乗る名前を、名字だけにする、仕事上の名前にする、といった対策をとっている会社もあります。

謝罪の文書や土下座を求められたとき

土下座の強要は、リーフレットで精神的な攻撃の例として挙げられている言動です。応じる必要はありません。謝罪の文書を求められた場合も、内容と出すかどうかは会社として判断します。

  • 「そのようなご要望にはお応えいたしかねます。」
  • 「文書でのご回答につきましては、社内で検討のうえ、改めてご連絡いたします。」

何度もかけてくる相手への対応

同じ相手から理不尽な電話が繰り返しかかってくる場合は、担当者が個別に対応するのではなく、会社として方針を決めて対応します。マニュアルでは、繰り返し理不尽な問い合わせが来れば注意し、次回は対応できないことを伝え、それでも続く場合は連絡先をリスト化して通話の内容を記録し、窓口を一本化したうえで、今後同様の問い合わせは受けないことを伝えるといった対応例が示されています。

  • あらかじめ対応できる時間を伝え、それより長い対応はしない
  • 対応する窓口と担当者を決め、ほかの部署で受けないようにする
  • かかってきた日時、内容、対応を毎回記録する
  • 状況に応じて、弁護士や警察に相談する

窓口を一本化すると、担当者ごとに言うことが違う、という事態を防げます。電話を受けた人が「担当の者から改めてご連絡いたします」と伝えて、決められた窓口に引き継ぐ流れを作っておきましょう。

記録と引き継ぎの方法

カスハラの対応では、記録が会社を守る材料になります。後で事実を確かめる、上長や本社に相談する、弁護士や警察に相談する、といった場面で、記録がなければ状況を説明できません。

記録しておきたい項目は、次のとおりです。

  • 対応した日時と時間の長さ
  • 対応した人
  • 相手の名前と連絡先(分かる範囲)
  • 申し出の内容と、相手の要求
  • 相手の言動(暴言があれば、そのままの言葉で)
  • こちらが伝えた回答と、約束したこと
  • 録音の有無
  • 上長への報告と、その後の対応

マニュアルでも、本社や本部に対応を引き継ぐ際には、対応の日時や場所、対応した従業員などの状況を共有するよう示されています。記録は、口頭の報告だけで済ませず、決められた様式に書いて残します。表計算ソフトで記録の一覧を作り、1件ごとに担当と対応の状況の列を設けておくと、対応が途中で止まっている案件を見落としにくくなります。

記録には、相手の名前や連絡先、録音のデータなど、個人情報が含まれます。記録を見られる人を対応の担当者と上長に限り、保存の期間を決めて管理します。リーフレットでも、相談した人などのプライバシーを守るために必要な措置を講じることが求められています。記録の中には、対応した従業員の様子や体調に関する内容が含まれることもあるため、従業員の側の情報の扱いにも配慮が必要です。

記録は、対策を見直す材料にもなります。どんな申し出が、どの時間帯に、どの商品やサービスについて多いのかを月ごとに振り返ると、案内の文面の改善や、問い合わせの多い内容への回答の整備など、苦情そのものを減らす手がかりが見えてきます。

電話以外の受付の窓口を設ける

電話は、相手の感情が直接ぶつかりやすく、記録も残りにくい手段です。問い合わせや苦情を、電話だけでなく、文面で受け付ける窓口を用意しておくと、担当者の負担を減らし、正確な記録を残しやすくなります。文面で受け付ければ、申し出の内容が最初から文字で残り、担当者は事実を確かめてから回答を作れます。

問い合わせの数が少ないうちは、メールの受付の窓口と、スプレッドシートの記録の一覧で十分に回せます。件数が多くなり、複数の担当者で状況を共有しながら返信まで進めたい場面では、受付から対応までを1か所で扱えるフォームのサービスを使う方法があります。その候補の1つが、受付から対応までのフォームのサービスのHalict(ハリクト)です。公式サイトによると、フォームから届いた1件ごとに担当者と状況が残り、状況の変更、担当者の割り当て、メモ、メールの送信が対応の履歴として時系列で記録されます。返信も同じ画面から送れて、送ったメールが開封されたかどうかも記録されます。メンバーの権限はオーナー、管理者、メンバー、閲覧のみの4段階で、料金は使う人数で決まり、メンバー1人までのフリープランは0円、3人までのスタータープランは月額2,980円、10人までのチームプランは月額7,800円(いずれも税抜)です。電話の受付の機能はないため、電話の窓口とは別に、文面で受け付ける窓口として使う形になります。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

文面の窓口でも、カスハラに当たる言動がなくなるわけではありません。同じ内容の文章を何度も送ってくる、暴言を書き連ねる、といった場合も、電話と同じ基準で記録し、会社として対応を判断します。返信の文面は担当者1人で決めず、上長が確かめてから送る流れにしておくと、担当者の負担を減らせます。

電話の窓口で「詳しい内容はこちらのフォームからお送りください」と案内できるようにしておくと、話が長引きそうな場面で、文面でのやり取りに切り替えるきっかけにもなります。

社内で決めておく対応の手順書

電話を受ける担当者が迷わず動けるように、対応の手順を1つの文書にまとめておきます。厚生労働省のリーフレットでも、カスハラの内容とあらかじめ定めた対処の内容を、働く人に周知することが求められています。手順書に入れておきたい項目は、次のとおりです。

  1. 会社の方針:カスハラには毅然と対応し、働く人を守るという方針を、最初に書いておきます。
  2. カスハラに当たる言動の例:自社の業務で起こりやすい言動を、具体的な例で示します。
  3. 受け答えの基本と例文:名乗り方、お詫びの言葉、復唱の仕方、すぐに答えられないときの言い方をまとめます。
  4. 上長に代わる基準:どんな言動があったら上長に相談し、電話を代わるのかを示します。
  5. 電話を切り上げる基準と言い方:時間の目安、警告の言い方、終話の言い方を示します。
  6. 記録の様式:記録する項目と、記録を残す場所を示します。
  7. 報告と相談の流れ:誰に、いつ、どの方法で報告するのか、本社や本部、警察、弁護士に相談する基準を示します。
  8. 対応した人への配慮:休憩の取り方、相談の窓口、評価に影響させないことを示します。

手順書は作っただけでは使われません。新しく入った人の研修で読み合わせる、電話の近くにすぐ見られる形で用意する、実際の対応を振り返って年に1回は見直す、といった運用まで決めておくと、現場に根づきます。

担当者向けの研修の進め方

手順書の内容を実際の電話で生かすには、研修で練習しておくことが効果的です。

もっとも効果があるのは、実際の場面を想定した練習です。顧客の役と担当者の役に分かれ、手順書の例文を使って受け答えを練習します。顧客の役は、感情的な口調、同じ要求の繰り返し、責任者を出せという要求など、現場で起こりやすい言動を演じます。担当者の役は、復唱、お詫び、対応の範囲の説明、警告、終話までを順に練習します。

練習のあとは、参加した人で振り返ります。言葉に詰まった場面、相手を刺激してしまった言い方、うまく落ち着かせられた言い方を共有すると、手順書の改善にもつながります。

研修では、カスハラへの備えと同時に、正当な苦情を丁寧に受け止める姿勢も確認しておきます。リーフレットでは、カスハラを防ぐ取組として、働く人が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客への対応の力を高める研修を行うことが望ましいとされています。商品の知識が足りないために答えられず、相手の不満が大きくなる、という流れを防ぐことも、対策の1つです。

対応した人を守る仕組み

カスハラの対策は、電話の受け答えの技術だけでは完結しません。対応した人が心身の不調を抱えたまま働き続けることがないよう、会社として支える仕組みが必要です。義務とされている措置にも、相談の窓口を定めて周知すること、被害を受けた人に配慮すること、相談した人が不利益な扱いを受けないことを定めて周知することが含まれています。

具体的には、次のような取り組みが考えられます。

  • カスハラの電話のあとは、すぐに持ち場を離れて休める時間を作る
  • 上長がその日のうちに話を聞き、担当者だけに責任を負わせない
  • 同じ相手からの電話は、別の担当者や上長が引き継ぐ
  • 必要に応じて、産業医や外部の相談の窓口につなぐ
  • 対応した人の評価を下げないことを明確にする

働く人の心の負担に寄り添う仕事に関心がある人は、メンタル・心の悩み・愚痴聞きのお仕事で、悩みを聞く仕事の内容と働き方を確かめられます。

小さな会社や店舗での進め方

カスハラへの対策は、会社の規模にかかわらず義務になっています。人数の少ない会社や店舗では、本社や専門の部署がないため、大きな会社の仕組みをそのまま使うことはできません。小さな組織でも取り組みやすい進め方を紹介します。

まず、経営者や店長が方針を短い文章で示します。「暴言や長時間の拘束には応じない」「迷ったら1人で抱えずに相談する」といった内容を、従業員に口頭と書面で伝えます。

次に、相談の窓口を決めます。小さな組織では、経営者や店長が窓口を兼ねることが多くなります。窓口になる人が不在のときに誰に相談するかも決めておきます。

さらに、記録の様式を1枚にまとめます。日時、相手、内容、対応を書き込める簡単な表を用意し、電話の近くに用意しておくだけでも、後で状況を説明する材料になります。

小さな組織では、1人の担当者が同じ相手の電話を繰り返し受けることになりやすいため、担当者の負担に特に気を配る必要があります。社内の体制づくりに迷う場合は、都道府県の労働局の窓口で相談できるほか、業種ごとの団体が対策の手引きを出していることもあります。

警察や外部の窓口に相談するとき

脅迫、長時間の拘束、業務を妨げる行為など、犯罪に当たりうる言動がある場合は、警察への相談や通報を検討します。身の危険を感じたときは、ためらわずに110番に通報します。緊急ではないものの、繰り返される電話などについて相談したい場合は、警察相談専用電話の「#9110」で、最寄りの警察の相談の窓口につながります。

損害賠償を求められた場合や、法的な対応が必要になりそうな場合は、弁護士への相談を検討します。社内の体制づくりや方針の作り方に迷う場合は、都道府県の労働局の雇用環境・均等部(室)や、総合労働相談コーナーで相談できます。

方針を就業規則や社内の規程に反映させる作業は、専門家に頼むこともできます。就業規則の作成を専門家に頼む場合の費用の考え方は、リモートワーク・副業解禁に対応した就業規則の作成費用と注意点で紹介しています。社会保険労務士に依頼したときの費用の目安と、作成の流れを整理した記事です。

運営者の視点から見た対応が回る組織

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者の立場から見ると、問い合わせの窓口が安定して回っている組織ほど、個々の担当者の我慢に頼らず、受け答えの決まり、引き継ぎの基準、記録の様式を先に整えています。決まりがあると、担当者は「ここまでは自分で対応し、ここからは上長に渡す」と迷わずに動け、正当な苦情には丁寧に、度を越えた言動には毅然と、という使い分けができるようになります。

外部の専門家の力を借りることも1つの方法です。危機の対応や広報の専門家に、方針づくりや研修を頼む会社もあります。そうした支援の費用と進め方は、不祥事・炎上対応のプロ!クライシスマネジメントの費用と対応ステップ【2026年版】で紹介しています。経営の課題として体制づくりを相談したい場合は、中小企業診断士のように経営の助言を専門とする資格者の内容も参考になります。

よくある質問

Q. 苦情の電話はすべてカスハラとして扱ってよいですか?

苦情のすべてがカスハラに当たるわけではありません。商品の不具合や対応のミスへの正当な苦情は、丁寧に受け止めるべき大切な声です。要求の内容が理由のないものや契約を著しく超えるものか、暴言や長時間の拘束など手段や態様が許される範囲を超えているかで判断し、担当者1人ではなく会社として判断しましょう。

Q. カスハラの電話は何分で切ってよいですか?

法律で一律の時間は決まっていません。厚生労働省のマニュアルでは、応じられないことをはっきり告げたあと、話がこう着してから30分程度を超える場合に電話を切る対応例が示されていますが、これはあくまで一例です。業種や業態を踏まえて会社として基準を決め、全員に周知しておくことが大切です。

Q. 通話を録音するときは相手に伝える必要がありますか?

厚生労働省のマニュアルでは、必要があれば相手の了解を得て録音することや、通話を録音できる体制を整えておくことが挙げられています。電話がつながったときの自動の音声案内で知らせるか、担当者が口頭で伝える方法があります。録音のデータは、聞ける人と保存の期間を決めて適切に管理しましょう。

Q. カスハラ対策は小さな会社でも義務ですか?

2026年10月1日から、カスタマーハラスメントへの対策はすべての事業主の義務になりました。会社の規模にかかわらず、方針を明らかにして周知すること、相談の窓口を定めること、事実を確かめて再発を防ぐことなどが求められます。体制づくりに迷う場合は、都道府県の労働局で相談できます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月4日最終更新:2026年10月24日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却

M&A・事業売却

会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方