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ビジネスモデルキャンバスの書き方|9つの要素で事業を整理する

@SOHO編集部
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ビジネスモデルキャンバスの書き方|9つの要素で事業を整理する

この記事のポイント

  • ✓ビジネスモデルキャンバスの書き方を
  • ✓オンライン教室を例にした記入例の順に整理します
  • ✓リーンキャンバスとの違い

新しい事業の企画を求められたり、副業を始めるにあたって考えを整理したくなったりしたとき、「誰に、何を、どうやって届けて、どう稼ぐのか」を1枚で見渡せる道具があると便利です。ビジネスモデルキャンバスは、事業の仕組みを9つの要素に分けて1枚の図に書き込み、要素どうしのつながりを確かめるための枠組みです。この記事では、9つの要素の意味と書き方、書く順番、オンライン教室を例にした記入例、作るときのポイント、リーンキャンバスとの違い、よくある失敗、チームで作る手順までを順に説明します。キャンバスを見直す中で出てきた検証の作業を、担当と期限を付けてチームで追いかける道具として、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも触れます。

ビジネスモデルキャンバスとは何か

ビジネスモデルキャンバスとは、事業がどのように価値を生み、顧客に届け、収益を得ているのかを、9つの要素に分けて1枚の紙に書き表すための枠組みです。英語ではBusiness Model Canvasと呼ばれ、書籍『Business Model Generation』(邦題『ビジネスモデル・ジェネレーション』)で紹介されて広まりました。

この枠組みを提供しているStrategyzerの公式ページは、ビジネスモデルキャンバスを「事業がどのように価値を生み、届け、受け取るのかを1ページで表すもの」と説明し、9つのブロックで「誰に向けて、何を提供し、どう届け、何にお金がかかり、何で稼ぐのか」を表すとしています(Strategyzer)。同じページでは、公式のひな形を無料でダウンロードでき、チームの誰とでも共有してよいと案内されています。

ビジネスモデルキャンバスの特徴は、事業計画書のように長い文章を書くのではなく、要素ごとに短い言葉を書き込み、全体を一目で見渡せるようにする点にあります。全体が1枚に収まっているので、1つの要素を変えたときに、ほかのどの要素が影響を受けるかを確かめやすくなります。

人材サービスのパーソルグループは、ビジネスモデルキャンバスを作る目的について次のように説明しています。

アイデアを迅速にテストし、改善につなげることも、ビジネスモデルキャンバスを作成する目的です。ビジネスモデルキャンバスを活用すると、実行には至っていないビジネスのアイデアも可視化できます。アイデアを検証することで問題点や改善点が見えてくるため、ビジネスモデルをブラッシュアップできるでしょう。 出典: persol-group.co.jp

使われる場面は、新しい事業の企画、既存の事業の見直し、競合の事業の仕組みの分析、社内での説明や合意づくりなど、幅広くあります。大企業の新規事業の担当者だけでなく、副業を始める個人や、小さな店を開く人が、自分の考えを整理するためにも使えます。

9つの要素の一覧

ビジネスモデルキャンバスは、横長の紙を9つの枠に分けて使います。右側には市場や顧客にかかわる要素、左側にはそれを実現するための社内の要素、真ん中に価値提案が来る配置です。下の段には、お金の出入りであるコストと収益が並びます。

要素 英語の名前 書く内容
顧客セグメント Customer Segments 誰に価値を届けるのか
価値提案 Value Propositions 顧客にどんな価値を提供するのか
チャネル Channels どうやって価値を届けるのか
顧客との関係 Customer Relationships 顧客とどんな関係を築き、続けるのか
収益の流れ Revenue Streams 何でお金を受け取るのか
主なリソース Key Resources 価値を生むのに欠かせない資源は何か
主な活動 Key Activities 価値を生むために欠かせない活動は何か
主なパートナー Key Partners 誰と協力するのか
コスト構造 Cost Structure 何にお金がかかるのか

Strategyzerの公式ページでは、右側が市場、左側がその市場に応えるために必要なもので、その間に価値提案があると説明されています。また、ある顧客セグメントを変えれば、チャネルも活動もコストも一緒に変わる、と書かれています。9つの要素は独立したものではなく、互いにつながっているということです。

右側の5つの要素の書き方

まず、顧客と市場にかかわる右側の5つの要素の書き方を説明します。

顧客セグメント

顧客セグメントとは、事業が価値を届ける相手のことです。「20代の女性」のような大まかな書き方ではなく、「在宅勤務で運動不足を感じている、30〜40代の会社員」のように、どんな状況にある人かが分かる書き方をします。顧客のグループが複数ある場合は、それぞれを分けて書きます。お金を払う人と使う人が違う事業(たとえば、子ども向けの教室なら払うのは保護者)では、両方を書きます。

価値提案

価値提案とは、顧客の悩みを解決したり、望みをかなえたりするために、事業が提供する価値のことです。商品の機能を並べるのではなく、「顧客にとって何がうれしいのか」を書きます。「60分のオンラインレッスン」は商品の説明で、「自宅で、通勤の前後の時間に、人目を気にせず体を動かせる」が価値提案です。ほかの選択肢と比べて、何が違うのかもここに書きます。

チャネル

チャネルとは、顧客に価値を知ってもらい、買ってもらい、届けるまでの経路のことです。SNS、自社のWebサイト、店舗、代理店、アプリのストアなどが当てはまります。顧客がどこで情報を探し、どこで買い、どこで受け取るのかを、段階ごとに書くと漏れが出にくくなります。

顧客との関係

顧客との関係とは、顧客とどのようなつながりを作り、続けていくかのことです。一人ひとりに担当者が付く関係、自分で操作してもらう関係、利用者どうしが交流する場を作る関係など、さまざまな形があります。新しい顧客を得る段階と、続けて使ってもらう段階で、関係の作り方が違う場合は、分けて書きます。

収益の流れ

収益の流れとは、顧客から何に対して、どのようにお金を受け取るかのことです。売り切りの販売、月額の利用料、使った分だけの料金、広告の収入、手数料などがあります。顧客セグメントごとに、いくらを、どの方法で受け取るのかを書きます。

左側の4つの要素の書き方

次に、事業を実現するための左側の4つの要素の書き方を説明します。

主なリソース

主なリソースとは、価値提案を実現するために欠かせない資源のことです。設備や店舗のような形のあるもの、特許やブランドのような知的なもの、専門の技術を持つ人、運転資金などが当てはまります。「あるとよいもの」ではなく、「これがないと事業が成り立たないもの」に絞って書きます。

主な活動

主な活動とは、価値提案を顧客に届けるために、事業として必ず行わなければならない活動のことです。製造、商品の開発、販売、問い合わせへの対応、教材の作成などが当てはまります。リソースと同じく、事業の中心にある活動に絞って書きます。

主なパートナー

主なパートナーとは、事業を成り立たせるために協力してもらう外部の相手のことです。仕入れ先、外部に作業を頼む先、提携先、販売を手伝ってくれる会社などが当てはまります。自分たちで持たないリソースや、自分たちで行わない活動を、誰に任せるのかを書きます。

コスト構造

コスト構造とは、事業を運営するためにかかる主な費用のことです。人件費、家賃、材料費、広告費、システムの利用料などを書きます。左側の3つの要素(リソース、活動、パートナー)を書いた後に、それぞれにどんな費用がかかるかを考えると、書き漏れが少なくなります。毎月決まってかかる費用と、売上に応じて増える費用を分けて書いておくと、後で収支を考えやすくなります。

書く順番の目安

9つの要素は、どこから書いても構いませんが、迷ったときは次の順番で書くと、話がつながりやすくなります。

  1. 顧客セグメント
  2. 価値提案
  3. チャネル
  4. 顧客との関係
  5. 収益の流れ
  6. 主なリソース
  7. 主な活動
  8. 主なパートナー
  9. コスト構造

まず右側で「誰に、何を、どう届け、どう稼ぐか」を決め、次に左側で「それを実現するために何が必要か」を考え、最後に費用を出す流れです。顧客から考え始めることで、作り手の都合ではなく、顧客にとっての価値を中心に事業を組み立てられます。すでに特別な技術や設備を持っていて、それを活かせる事業を探す場合は、左側の主なリソースから書き始めても構いません。

Strategyzerの公式ページでは、コスト構造と収益の流れは、上にある7つの要素が正しい場合にだけ成り立つ、と説明されています。下の段のお金の話は、上の段の前提が変われば一緒に変わる、ということです。そのため、キャンバスには日付と版の番号を書いておき、新しい事実が分かるたびに描き直すことがすすめられています。

書き込むときは、1つの付箋に1つの内容を書き、枠の中に貼っていく方法が使いやすいでしょう。付箋なら、話し合いながら貼り替えたり、別の枠に移したりできます。表計算ソフトや、図を描ける道具を使う場合も、1つの枠に長い文章を書かず、短い言葉を並べる書き方にします。1つの枠に貼る付箋は、多くても5〜6枚までが目安です。それより多くなる場合は、大事なものに絞るか、顧客セグメントを分けて別のキャンバスにします。

オンライン教室を例にした記入例

ここでは、個人で始めるオンラインのヨガ教室を例に、9つの要素を書き込んでみます(内容と数字は説明のための例です)。

要素 記入例
顧客セグメント 在宅勤務で運動不足を感じている30〜40代の会社員/産後で外出しにくい人
価値提案 自宅で、朝や夜の短い時間に、人目を気にせず体を動かせる/少人数なので講師が一人ひとりの姿勢を見て声をかける
チャネル SNSでの短い動画の投稿/自分のWebサイトでの申し込み/ビデオ会議の道具でのレッスン
顧客との関係 初回の無料体験/レッスン後の個別のひと言の連絡/受講者だけの交流の場
収益の流れ 月額制の受講料/単発のレッスン料/録画の教材の販売
主なリソース 講師の指導の技術と資格/レッスンの録画の教材/受講者の名簿
主な活動 レッスンの実施/SNSでの発信/受講者からの問い合わせへの対応
主なパートナー ビデオ会議と決済のサービス/集客を手伝う地域の整体院
コスト構造 ビデオ会議と決済のサービスの利用料/撮影の機材/広告費/講師自身の時間

書き込んでみると、要素どうしのつながりが見えてきます。たとえば「少人数で一人ひとりを見る」という価値提案を守るには、1回のレッスンの人数を絞る必要があり、そうすると1回あたりの収益は小さくなります。収益を補うために、録画の教材の販売を収益の流れに加えている、という関係です。

また、産後の人を顧客セグメントに加えると、レッスンの内容だけでなく、チャネル(子育ての情報を探す場所での発信)や顧客との関係(体調に合わせた相談)も変わります。顧客を1つ変えると、ほかの要素がどれだけ動くかを確かめられるのが、キャンバスの便利なところです。

作るときのポイント

ビジネスモデルキャンバスを役立つものにするために、作るときに押さえておきたいポイントが4つあります。

1つ目は、1枚に1つの事業の仕組みだけを書くことです。Strategyzerの公式ページでも、キャンバスは会社全体ではなく、1つのビジネスモデルについて1枚を書くものだと説明されています。複数の事業を1枚に詰め込むと、どの顧客にどの価値を届けているのかが分からなくなります。

2つ目は、事実と仮説を分けることです。すでに確かめられていることと、「おそらくこうだろう」という予想は、付箋の色を変えるなどして見分けられるようにします。新しい事業では、ほとんどの内容が仮説から始まります。仮説を1つずつ確かめていくことが、キャンバスを使う本来の目的です。

3つ目は、実際のデータで確かめることです。パーソルグループのコラムは、次のように書いています。

ビジネスモデルキャンバスを活用する際は、実際のデータに基づいて検証しましょう。ビジネスモデルキャンバスを検証する際に現状とズレが生じることは珍しくありません。インターネットや書籍による調査、アンケート調査、モニター調査などでデータを収集し、それらに基づいて検証を行い、ズレが生じている部分は調整を行いましょう。 出典: persol-group.co.jp

4つ目は、何度も描き直すことです。キャンバスは一度作って終わりではなく、顧客の反応や数字が分かるたびに書き換えていくものです。古い版を消さずに保存しておくと、どの仮説がどう変わったのかを後から振り返れます。

リーンキャンバスとの違い

ビジネスモデルキャンバスとよく比べられるものに、リーンキャンバスがあります。リーンキャンバスとは、ビジネスモデルキャンバスをもとに、立ち上げたばかりの事業に合わせて項目を入れ替えた枠組みです。

リーンキャンバスでは、ビジネスモデルキャンバスの「主なパートナー」「主な活動」「主なリソース」「顧客との関係」の代わりに、「課題」「解決策」「主要な指標」「圧倒的な優位性」といった項目が入ります。事業の立ち上げ期には、協力先や社内の体制よりも、「顧客の課題は本当にあるのか」「その解決策で顧客はお金を払うのか」を確かめることのほうが大事だからです。

使い分けの目安は次のとおりです。

場面 向いている枠組み
まだ顧客の課題が確かめられていない新規事業 リーンキャンバス
すでに顧客がいる事業の見直し ビジネスモデルキャンバス
協力先や社内の体制まで含めて説明したい ビジネスモデルキャンバス
少人数で素早く仮説を確かめたい リーンキャンバス

どちらか一方だけを使う必要はありません。立ち上げの段階ではリーンキャンバスで課題と解決策を確かめ、顧客がついて事業が回り始めたら、ビジネスモデルキャンバスで協力先や体制を含めた全体を整理する、という使い方もできます。

ほかの枠組みとの組み合わせ

ビジネスモデルキャンバスは事業の仕組みを整理する枠組みで、ほかの分析の方法と組み合わせると、より根拠のある内容になります。

1つ目は、価値提案キャンバスとの組み合わせです。価値提案キャンバスとは、顧客が片付けたい用事、悩み、望みを書き出し、それに対して商品やサービスがどう応えるかを照らし合わせる枠組みで、同じくStrategyzerが提供しています。ビジネスモデルキャンバスの「顧客セグメント」と「価値提案」の部分を詳しく掘り下げるときに使います。

2つ目は、SWOT分析との組み合わせです。SWOT分析とは、自社の強み・弱みと、外部の機会・脅威の4つを整理する方法です。キャンバスを書いた後に、主なリソースや主な活動のうち、どれが競合と比べて強みなのかをSWOTで確かめると、価値提案の説得力が増します。

3つ目は、収支の計画との組み合わせです。キャンバスの収益の流れとコスト構造は、項目を並べただけでは利益が出るかどうか分かりません。表計算ソフトで、顧客の数、単価、費用を月ごとに並べた簡単な収支の表を作ると、事業が成り立つ条件(何人の顧客が必要か)が見えてきます。

競合の事業を書き出して比べる

ビジネスモデルキャンバスは、自分の事業を整理するだけでなく、競合の事業の仕組みを読み解くのにも使えます。競合のWebサイト、料金のページ、公開されている決算の資料や会社の発表などから分かることを、9つの枠に書き込んでいきます。

競合のキャンバスを書くと、同じ顧客セグメントを狙っていても、価値提案や収益の流れがまったく違うことに気づくことがあります。たとえば、同じオンラインの習い事でも、ある事業は月額制で大人数の録画の講座を売り、別の事業は少人数の生のレッスンを1回ごとに売っている、といった違いです。違いが分かれば、自分の事業がどの位置を取るべきかを考えやすくなります。

比べるときは、自分の事業と競合のキャンバスを横に並べ、要素ごとに違いを書き出します。特に、価値提案、チャネル、収益の流れの3つは、違いが表れやすい要素です。競合と同じ価値提案を、同じチャネルで、同じ収益の流れで提供しているなら、価格の競争になりやすいので、どこかで違いを作る必要があります。

ただし、競合の内部の事情は外からは分かりません。主なリソースやコスト構造は推測になることが多いので、推測した内容は事実と分けて書き、決めつけないようにします。公開されている情報で確かめられたことだけを事実として扱います。

既存の事業を見直すときに使う

ビジネスモデルキャンバスは新しい事業の企画で使われることが多いのですが、すでに動いている事業の見直しにも役立ちます。売上が伸び悩んでいる、利益が薄くなっている、顧客が離れている、といった悩みがあるとき、今の事業をキャンバスに書き出すと、どこに問題があるのかを探す手がかりになります。

見直しの進め方は、まず今の事業の姿をありのままに書くことから始めます。理想の姿ではなく、実際の顧客、実際に売れている商品、実際に使っているチャネルを書きます。担当者によって認識が違う部分があれば、それ自体が問題の手がかりです。

次に、要素ごとに、変わったことを書き出します。顧客の好みが変わった、競合が新しいチャネルを始めた、仕入れの費用が上がった、といった変化です。変化が起きている要素と、それに合わせて変わっていない要素の間に、ずれが生まれていることがよくあります。

最後に、変えるべき要素を決め、その要素を変えたときにほかの要素がどう動くかを確かめます。たとえば、チャネルを店頭からネットに広げるなら、顧客との関係、主な活動、コスト構造も一緒に変わります。1つの要素だけを変えて、ほかを放っておくと、計画どおりに進みません。

よくある失敗

ビジネスモデルキャンバスは手軽に作れる分、内容が浅いまま終わってしまうことがあります。よくある失敗を6つ挙げます。

1つ目は、価値提案に商品の機能だけを書くことです。「多機能」「高品質」「低価格」と書いても、顧客にとって何がうれしいのかは伝わりません。顧客の言葉で、顧客の得を書きます。

2つ目は、顧客セグメントを広く取りすぎることです。「全年代の男女」と書くと、チャネルも顧客との関係も決められません。最初は狭く具体的に決め、事業が回り始めてから広げます。

3つ目は、要素どうしのつながりを確かめないことです。9つの枠をそれぞれ埋めても、価値提案と顧客セグメントが噛み合っていなかったり、チャネルが顧客のいる場所と違っていたりすると、事業は成り立ちません。書き終えたら、右から左へ、上から下へと、つながりを声に出して読んでみます。

4つ目は、一度作って保存したまま見直さないことです。キャンバスは仮説の集まりなので、事業を進める中で分かったことに合わせて書き直さないと、現実とずれていきます。

5つ目は、キャンバスを作ること自体が目的になることです。きれいに仕上げることより、そこから「次に何を確かめるか」を決めることのほうが大切です。

6つ目は、収益の流れを楽観的に書きすぎることです。「月額3,000円で100人が申し込む」と書くのは簡単ですが、その100人をどのチャネルで、どれだけの費用をかけて集めるのかが決まっていなければ、収益の数字は根拠のないものになります。収益の流れを書いたら、チャネルとコスト構造の枠に戻って、その数字を実現するための道筋が書かれているかを確かめます。最初は少ない人数で始めて、実際に申し込んだ人の数から見直していくほうが、計画と現実のずれを早く見つけられます。

チームで作るときの進め方

ビジネスモデルキャンバスは、1人で作るより、立場の違う人と一緒に作るほうが、抜けや思い込みに気づきやすくなります。チームで作るときの進め方を説明します。

まず、準備として、大きな紙かホワイトボードに9つの枠を描き、付箋とペンを用意します。オンラインで行う場合は、付箋を貼れる共有の画面を使います。参加者は、営業、開発、問い合わせの対応など、事業にかかわる立場の違う人を3〜6人ほど集めます。

最初の30分ほどで、各自が付箋に思いつくことを書き、該当する枠に貼っていきます。この段階では、ほかの人の意見を否定せず、とにかく数を出します。

次に、枠ごとに付箋を読み上げ、重なっているものをまとめ、事実と仮説を分けます。意見が分かれたところは、すぐに結論を出さず、「確かめるべき仮説」として印を付けておきます。

最後に、印を付けた仮説の中から、事業の成否を大きく左右するものを選び、「どうやって確かめるか」「誰が」「いつまでに」を決めます。たとえば「この価格で払ってもらえるか」という仮説なら、「10人に体験してもらい、申し込むかどうかを聞く」といった確かめ方になります。

会議で決めた確かめの作業は、担当と期限を付けて一覧にしておかないと、日々の仕事に埋もれてしまいます。次回の会議の冒頭で、確かめた結果を共有し、キャンバスを書き直す、という流れを繰り返すと、キャンバスが生きた道具になります。

検証の作業をチームで追いかける道具

ビジネスモデルキャンバスの図そのものは、紙やホワイトボード、表計算ソフト、Strategyzerが無料で公開している公式のひな形で十分に作れます。難しくなるのは、図から出てきた「確かめるべき仮説」の作業が増えてきたときです。誰がどの仮説を担当し、いつまでに結果を出し、今どこまで進んでいるのかを、複数人で共有する必要が出てきます。

担当と期限と進み具合を複数人で共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法があります。その選択肢の1つが、国産のプロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使えます。仮説を確かめる作業を1枚ずつカードにして担当と期限を付け、「未着手」「確かめ中」「結果あり」の列で動かせば、検証の進み具合をチーム全員が同じ画面で確かめられます。カードごとにコメントを残せるので、確かめた結果や、キャンバスのどの要素を書き直すべきかの議論も、作業と一緒に記録できます。公式の料金ページでは、5人までのチームなら期限なしで無料、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は不要とされています。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、Pinatecaはビジネスモデルキャンバスのひな形を備えた道具ではありません。キャンバスは紙や公式のひな形で作り、そこから出てきた作業を追いかける段階で使う、という分担で考えると無理がありません。

副業やフリーランスの事業で使う

ビジネスモデルキャンバスは、会社の新規事業だけでなく、個人の副業やフリーランスの仕事を整理するのにも役立ちます。

たとえば、Webデザインの副業を始める場合、顧客セグメントを「開業したばかりの個人の店」と決めると、価値提案は「開業の準備で忙しい店主の代わりに、短い期間で店の紹介ページを作る」、チャネルは「地域の商工会の紹介や、知人の紹介」、収益の流れは「制作費と、毎月の更新の代行料」のように、ほかの要素も具体的に決まっていきます。主なリソースは自分のデザインの技術と制作の実績、コスト構造はソフトの利用料と自分の時間です。

個人の場合、コスト構造に「自分の時間」を書き忘れがちです。時間は限られた資源なので、何にどれだけ使うかを意識すると、受ける仕事の量と単価の考え方が変わります。本業と並行して副業をする場合は、平日の夜と週末にどれだけの時間を使えるかを先に決め、その時間で回せる顧客の数から逆算して、顧客セグメントと価値提案の範囲を決めると、無理のない計画になります。職種ごとの報酬の目安は、デザイナーの年収・単価相場のように年収データベースで確かめられます。

また、ビジネスモデルキャンバスを書く力そのものが、仕事になる場面もあります。事業計画書や企画書の作成を手伝う仕事では、事業の仕組みを整理して分かりやすく書く力が求められます。こうした仕事の内容はビジネス文書・契約書作成のお仕事で紹介しています。事業の集客や分析を支援する仕事に関心がある場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考になります。

事業を始めるにあたって、許可や届け出が必要になる業種もあります。官公庁への書類の作成や手続きの代理を行う国家資格である行政書士の資格ガイドでは、資格の内容と仕事の範囲を紹介しています。

運営者として見てきた、長く続く事業の形

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、個人で長く仕事を続けている人ほど、ビジネスモデルキャンバスでいう「顧客との関係」を大切にしています。1回の仕事で終わらせず、納品の後に更新の相談に乗る、困ったときに気軽に連絡できる関係を作る。その結果、新しい顧客を探す時間とお金が少なくて済み、コスト構造が軽くなっています。9つの要素のうち1つを丁寧に作ることが、ほかの要素にも良い影響を与える、という分かりやすい例です。

もう1つは、仲介の仕組みが事業の形に与える影響です。発注する側と受ける側が直接やり取りできる形では、チャネルにかかる費用が小さくなり、同じ予算でも受ける側の手取りが厚くなります。発注する側は、その分だけ多くの仕事を頼めます。手数料0%で直接取引できる在宅ワークの仕事は、@SOHO 求人一覧から探せます。自分の仕事をキャンバスに書き出してみると、どこに力を入れ、どこを軽くすればよいかが見えてきます。

よくある質問

Q. ビジネスモデルキャンバスはどの要素から書けばいいですか?

迷ったときは、顧客セグメントから書き始めるのが進めやすい方法です。顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益の流れの順に右側を書き、次に主なリソース、主な活動、主なパートナー、最後にコスト構造の順に左側を書きます。顧客から考えることで、作り手の都合ではなく、顧客にとっての価値を中心に組み立てられます。

Q. ビジネスモデルキャンバスのひな形はどこで手に入りますか?

枠組みを提供しているStrategyzerの公式ページで、公式のひな形を無料でダウンロードできます。印刷して壁に貼れる大きさのPDFが用意されており、チームの誰とでも共有してよいと案内されています。紙やホワイトボードに9つの枠を自分で描いて、付箋を貼っていく方法でも十分に作れます。

Q. ビジネスモデルキャンバスとリーンキャンバスはどちらを使えばいいですか?

まだ顧客の課題が確かめられていない立ち上げ期の事業ならリーンキャンバス、すでに顧客がいる事業の見直しや、協力先や体制まで含めて説明したい場合はビジネスモデルキャンバスが向いています。立ち上げの段階でリーンキャンバスを使い、事業が回り始めてからビジネスモデルキャンバスで全体を整理する、という使い分けもできます。

Q. 個人の副業でもビジネスモデルキャンバスを作る意味はありますか?

あります。誰に、何を、どう届けて、どう稼ぐかを1枚に書き出すと、考えが整理され、何から始めればよいかが見えてきます。個人の場合は、コスト構造に自分の時間を書くことを忘れないようにします。時間は限られた資源なので、何にどれだけ使うかを意識すると、受ける仕事の量や単価の考え方が変わります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月20日最終更新:2026年10月23日
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この記事を書いた人

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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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