ベビーサインの資格で教室を開くまでの流れと、自宅で教える働き方


この記事のポイント
- ✓ベビーサインの資格を取って教室を開きたい人向けに
- ✓日本ベビーサイン協会のアドバイザーと講師の違い
- ✓受講料と受講後にかかる費用
子育て中にベビーサインを知って「自分でも教えてみたい」と思ったとき、最初に迷うのが資格の選び方です。アドバイザーと講師の2つがあると聞いても、何が違うのか、どちらを取れば教室を開けるのか、受講料のほかにいくらかかるのかは、案内ページを読み比べないと分かりにくいものです。
この記事では、ベビーサインの資格を出している日本ベビーサイン協会の公式の案内をもとに、アドバイザーと講師の違い、受講料と受講後にかかる費用、講座の受け方、教室を開くまでの手順、自宅で教える働き方、収支の考え方、税金の手続きまでを順に整理します。結論を先に書くと、まずは自分の子どもや身近な親子に伝えたい人はアドバイザー、継続して教室を運営し収入にしたい人は講師が向いています。どちらも受講後に毎年の会費がかかるので、受講料だけでなく数年単位の費用で比べることが大切です。
ベビーサインとはどんなもので、資格はどう位置づけられるのか
最初に、ベビーサインそのものと、資格の性格を確認しておきます。
話せない時期の赤ちゃんと手話のようなしぐさでやりとりする方法
ベビーサインとは、まだ言葉を話せない赤ちゃんと、簡単な手の動きやしぐさを使ってやりとりする方法のことです。「もっと」「おしまい」「ミルク」といった、日常でよく使う言葉に決まったしぐさを当てはめ、親が話しかけながら見せることで、赤ちゃんもまねをして気持ちを伝えられるようになる、という考え方にもとづいています。
教室では、親子が一緒に参加し、歌や手遊び、ふれあい遊びを通してサインを覚えていきます。親にとっては、赤ちゃんが何を求めているのかが分かるきっかけになり、同じ時期の子どもを持つ親どうしの交流の場にもなります。
国家資格ではなく、協会が認定する民間資格
ベビーサインの資格は、国が定めた国家資格ではなく、民間の団体が独自に認定する民間資格です。代表的なのが日本ベビーサイン協会で、協会の案内によると2004年に設立され、2016年までに1,000名以上の講師を輩出してきたとされています。
民間資格なので、資格がなければベビーサインを教えてはいけない、という法律上の決まりはありません。それでも多くの人が資格を取るのは、協会が用意した教え方のプログラムや教材を使えること、協会のホームページで教室を紹介してもらえること、協会の名前で教室を開くことで参加者に安心してもらいやすいことといった、運営の土台が手に入るからです。資格の価値は、法律上の効力ではなく、この「教室を始めて続けるための仕組み」にあると考えると整理しやすくなります。
日本ベビーサイン協会の2つの資格の違い
日本ベビーサイン協会には、ベビーサインアドバイザーとベビーサイン講師の2つの資格があります。名前は似ていますが、講座の長さも、開ける教室も、受講後の費用も大きく違います。
比べると分かる違い
公式の案内に書かれている内容を並べると、次のようになります。
| 比べる点 | ベビーサインアドバイザー | ベビーサイン講師 |
|---|---|---|
| 取得できる資格 | 日本ベビーサイン協会認定アドバイザー | 日本ベビーサイン協会認定講師 |
| 講座の長さ | 1日完結(1日5時間) | 8日間(各日10時から14時、休憩あり) |
| 講座の費用 | 33,000円(税込、受講料27,500円と教材費5,500円) | 165,000円 |
| 開ける教室 | プレ・ベビーサイン教室 | ベビーサイン教室 |
| 入会金(初回のみ) | 2,200円 | 2,200円 |
| 講師登録費(初回のみ) | 3,300円 | 3,300円 |
| 年会費(毎年) | 3,300円 | 3,300円 |
| 講師サポート費(毎年) | 3,300円 | 13,200円 |
講師の講座の165,000円について、公式の案内には税込かどうかと教材費の扱いが明記されていません。申し込む前に、問い合わせて確かめておきます。
アドバイザーは生後6か月以下の親子向けの教室
アドバイザーが開けるのは「プレ・ベビーサイン教室」です。協会の案内では、生後6か月以下のねんねの赤ちゃんとママを対象とした教室とされています。まだサインをまねできない時期の赤ちゃんと親が、ベビーサインの考え方やふれあい遊びに触れる入り口の教室です。
アドバイザーの講座は、教室を開く予定がなくても受けられます。協会の案内には、子ども同伴で受講できること、男性の受講も歓迎していることが書かれています。
1日5時間でアドバイザーの資格が取得できるこちらのコースは、日本で唯一ベビーサインの基礎を学んでいただくことができる講座です。教室開講は自由選択ですので、予定がない方ももちろん受講可能です。 出典: 日本ベビーサイン協会 ベビーサインアドバイザー育成プログラム
講師はサインを実践する時期の親子向けの教室
講師が開けるのは「ベビーサイン教室」です。協会が用意したプログラムに沿って、講義、歌、ふれあい遊びを組み合わせ、参加する親子一人ひとりの習熟度を見ながら、必要に応じてヒントを出していく教室です。赤ちゃんが実際にサインを使い始める時期の親子を相手にするので、教える内容も、教室の回数も、アドバイザーの教室より本格的になります。
継続して教室を運営し、仕事として収入を得ることを考えているなら、講師の資格が中心になります。アドバイザーから始めて、手応えを感じてから講師に進む、という順番も選べます。
受講の条件と講座の受け方
次に、講座を受けるための条件と、講座の形式を確認します。
講師に必要なのは高卒以上の学歴
講師の講座について、協会は次のように案内しています。
講師になるのに資格や経験は必要ありません。子育ての経験を生かせるお仕事です。(高卒以上の学歴が必要です。) 出典: 日本ベビーサイン協会 ベビーサイン講師育成プログラム
保育士や幼稚園教諭の資格、手話の経験などは求められていません。子育ての経験があることは強みになりますが、それも条件ではありません。条件として明記されているのは、高校卒業以上の学歴だけです。
講師の講座は8日間すべてオンライン
講師の講座は、8日間すべてZoomを使ったオンラインで開かれると案内されています。Zoomとは、パソコンやスマートフォンで映像と音声をつないで会話できるサービスのことです。1日あたり10時から14時までの4時間、途中に休憩をはさむ形です。
自宅から受けられるので、遠方に住んでいる人や、子どもが小さくて外出が難しい人にとっては、移動の負担がかからないのが利点です。一方で、8日間を確保する必要があるので、開催の日程を見て、家族の協力が得られる日を先に押さえておきます。
オンラインで受けるときは、手の動きが画面にしっかり映る位置にカメラを置き、明るい場所で受講できるよう準備しておくと、講師から動きを確認してもらいやすくなります。ベビーサインは手の形と動きを正確に覚えることが大切なので、映り方の準備は思った以上に効いてきます。
資格を取ってから教室を開くまでの手順
ここからは、講師の資格を取って教室を開くまでを、実際に動く順番に並べます。
手順1:開きたい教室の形を決める
最初に、どんな教室を開きたいかを書き出します。対象にする子どもの月齢、週に何回開けるか、平日と週末のどちらか、自宅で開くか外の会場を借りるか、1回に何組の親子を受け入れるかです。この段階で決まっていなくても構いませんが、書き出しておくと、講座の中で講師に質問すべきことがはっきりします。
手順2:講座を受けて資格を取る
講座を受け、資格を取ります。講座の中では、ベビーサインの考え方、教室の進め方、親子への声のかけ方などを学びます。自分の子どもや身近な親子に協力してもらい、教える練習の場を作っておくと、講座で学んだことを早く自分のものにできます。
手順3:入会と講師登録の手続きをする
資格を取ったら、協会への入会と講師登録の手続きをします。入会金2,200円と講師登録費3,300円が初回だけかかり、年会費3,300円と講師サポート費が毎年かかります。講師サポート費は、講師の場合13,200円です。
手順4:会場を決め、教室の情報を整える
会場、日時、定員、参加費、持ち物、申し込み方法を決めます。協会の案内では、マンションの集会所や自宅の一室で教室を運営している例が紹介されています。教室の情報は、協会のホームページでの紹介に加えて、自分のSNSや地域の子育て情報の掲示板などで知らせます。
手順5:小さく始めて、続けながら整える
最初は少人数で始め、参加者の反応を見ながら、進め方や時間配分を整えていきます。最初の数回は、知り合いの親子に無料や割引で参加してもらい、感想を聞かせてもらうと、改善点が見つかりやすくなります。
自宅で教える働き方の実際
講師の資格を取ったあとの働き方を、もう少し具体的に見ていきます。
会場は自宅、集会所、地域の施設
教室の会場として多いのは、自宅の一室、マンションの集会所、公民館などの地域の施設です。自宅なら会場費がかからず、準備と片付けの手間も少なくて済みます。ただし、知らない人を自宅に招くことになるので、家族の理解、プライバシーの確保、駐車場や駐輪場の案内、赤ちゃんが安全に過ごせる床や家具の配置などを考えておく必要があります。
地域の施設を借りる場合は、利用料がかかるほか、営利目的の利用を認めていない施設や、事前の団体登録が必要な施設もあります。借りる前に、利用の条件を施設に確認します。
協会のサポートとイベント講師の仕事
協会の案内では、講師へのサポートとして、全国のイオンやベビーザらスなどの店頭で開くイベントの講師の仕事の紹介、メールや電話で相談できる窓口、年に数回の講師勉強会、協会ホームページでの教室紹介が挙げられています。
自分の教室だけで集客するのは時間がかかるので、イベントの講師の仕事は、地域で名前を知ってもらうきっかけにもなります。イベントで出会った親子が、自分の教室に参加してくれることもあります。
子育てと両立しやすい理由と、気をつけたい点
ベビーサインの教室は、教室を開く曜日と回数を自分で決められるので、子育てと両立しやすい働き方の一つです。自分の子どもと同じ月齢の親子が集まることも多く、子育ての経験がそのまま教室の中身に生きます。
一方で、参加者の赤ちゃんの体調によって当日の欠席が出やすいこと、季節によって参加者の数が変わりやすいこと、自分の子どもの急な体調不良で教室を休む必要が出ることもあります。振替の制度やキャンセルの決まりを、教室を始める前に決めて、申し込みの時点で参加者に伝えておくと、あとのトラブルを防げます。
教室1回の進め方の例
教室を開く前に、1回の教室がどんな流れで進むのかを思い描いておくと、準備するものや時間配分が見えてきます。ここでは、協会のプログラムに沿って進める教室の一般的な流れを例として示します。実際の内容と時間配分は、協会の講座で学ぶプログラムに従います。
始まる前と導入
参加者が来る前に、床にマットを敷き、教材と名札を用意し、部屋の温度と換気を整えます。親子がそろったら、名前を呼び合うあいさつや手遊びで場を和ませます。赤ちゃんは知らない場所に来ると緊張することがあるので、最初の数分は無理に進めず、親子が部屋に慣れる時間を取ります。
サインの紹介と練習
その日に覚えるサインを、歌やふれあい遊びと組み合わせて紹介します。親が赤ちゃんに話しかけながらサインを見せる練習を一緒に行い、家でどんな場面に使えるかを具体的に伝えます。たとえば食事の場面で使うサインなら、食事のどのタイミングで見せればよいかまで話すと、家に帰ってから実践しやすくなります。
親どうしの話の時間と振り返り
後半には、前回から家で試してみてどうだったかを、親どうしで話す時間を設けます。「うちの子はまだまねしない」という悩みに、同じ時期の親が「うちも最初はそうだった」と応じることで、続ける気持ちが生まれます。最後にその日のサインを振り返り、家で試してほしいことを伝えて終わります。
アドバイザーから講師へ進むときの考え方
アドバイザーの資格を先に取り、あとから講師の資格に進むという順番を考えている人もいるはずです。この順番には、利点と注意点の両方があります。
利点は、33,000円の講座でベビーサインの基礎を学び、プレ・ベビーサイン教室を開いてみることで、自分が教えることに向いているか、地域に参加者がいそうかを、小さな費用で確かめられることです。手応えを感じてから講師に進めば、165,000円の講座を受けたのに教室を続けられなかった、という事態を避けやすくなります。
注意点は、両方を受けると講座の費用が合わせて198,000円になり、最初から講師だけを受けるより高くなることです。また、講師サポート費はアドバイザーが3,300円、講師が13,200円と違うので、講師に進んだあとは毎年の費用も上がります。アドバイザーの講座の内容が講師の講座で一部免除になるかどうかなど、進み方による違いは公式の案内に明記されていないので、検討するときは協会に問い合わせて確かめます。
最初の生徒を集める方法
資格を取って教室の準備が整っても、生徒が集まらなければ教室は始まりません。個人で教室を開く人が最もつまずきやすいのが、この最初の集客です。
体験会を入り口にする
いきなり複数回のコースへの申し込みを募るより、1回だけ参加できる体験会を開くほうが、親は気軽に申し込めます。体験会では、ベビーサインの考え方と、家ですぐ使える簡単なサインを2つか3つ紹介し、最後にコースの案内をします。体験会の参加費は低めに設定し、コースに申し込んだ人には体験会の参加費を差し引くなど、続けて参加したくなる工夫をしておきます。
地域の子育て世帯に届く場所で知らせる
ベビーサインの教室に来るのは、近所に住む乳児の親がほとんどです。広く発信するより、地域の子育て世帯に届く場所で知らせるほうが効果があります。地域の子育て支援センターや児童館の掲示板にチラシを掲示できるか問い合わせる、地域名を入れてSNSで発信する、近所の小児科や子ども向けの店に案内を置かせてもらえないか相談する、といった方法があります。掲示や配布には施設ごとの決まりがあるので、必ず事前に確認します。
口コミが生まれる仕掛けを作る
乳児の親は、同じ時期の子どもを持つ親どうしで情報を交換していることが多く、口コミの力が大きい層です。参加者が教室の様子を友人に伝えやすいよう、教室で使ったサインをまとめた資料を渡したり、友人と一緒に申し込むと割引になる仕組みを用意したりすると、紹介が生まれやすくなります。協会の店頭イベントの講師の仕事も、地域で名前を知ってもらう機会になります。
発信は続けることが大事
SNSでの発信は、始めてすぐに反応が出るものではありません。教室の雰囲気、使っているサインの紹介、参加者の感想(本人の了解を得たもの)などを、週に1回でも続けて発信していくと、検索やおすすめから教室を見つけてもらえる機会が少しずつ増えていきます。
教室を開く前に決めておく決まりごと
赤ちゃんと親を相手にする教室では、始める前に決まりごとを整えておくことが、トラブルを防ぎ、参加者の安心にもつながります。
申し込みとキャンセルの決まり
参加費の支払い方法と時期、キャンセルの連絡の期限、キャンセルしたときの参加費の扱い、赤ちゃんの体調不良で欠席したときの振替の有無を決めて、申し込みの時点で文書で伝えます。赤ちゃんは急に熱を出すことが多いので、振替の制度があると参加者は申し込みやすくなります。一方で、振替を無制限に認めると教室の運営が回らなくなるので、回数や期限を決めておきます。
写真と個人情報の扱い
教室の様子をSNSに載せたいときは、写っている親子から必ず事前に了解を得ます。顔が写らない角度で撮る、了解を得た人だけを写すといった決まりを作り、申し込みのときに確認しておくと安心です。申し込みで預かった名前、連絡先、赤ちゃんの月齢などの情報は、教室の連絡以外には使わず、紙なら鍵のかかる場所に、データならパスワードを設定した場所に保存します。
安全と衛生
赤ちゃんが床で過ごす時間が長いので、床の清潔さ、角のある家具の配置、小さな物の誤飲の危険に気を配ります。教材や玩具は毎回ふき取り、換気をし、感染症がはやっている時期は体調の確認を参加者にお願いします。教室中にけがや事故が起きたときに備えて、連絡先と近くの医療機関を確認しておき、保険の加入についても事前に検討しておきます。
ベビーサインの講師に向いている人
最後に、どんな人がベビーサインの講師に向いているかを整理しておきます。
向いているのは、赤ちゃんと親の両方に気を配りながら、場の雰囲気を明るく保てる人です。教室では、赤ちゃんが泣き出したり、思いどおりに進まなかったりすることが当たり前に起きます。その場その場で柔軟に進め方を変え、親が「うちの子だけできない」と気にしないよう声をかけられる人は、参加者から信頼されます。
自分で集客や連絡、会計を回せることも大切です。教室を運営するのは自分一人なので、教えること以外の作業も自分で引き受ける必要があります。SNSでの発信や、申し込みの管理を苦にしない人は、教室を軌道に乗せやすくなります。
反対に、決まった時間に安定した収入を得たい人や、教えることよりも集客の作業が大きな負担になる人には、負担が大きく感じられるかもしれません。その場合は、まずアドバイザーの資格で小さく始めて、自分に合うかどうかを確かめてから講師に進む、という順番を検討する価値があります。
費用と収支の考え方
資格を取るかどうかを決めるうえで、最も大事なのが費用と収支です。受講料だけを見て決めると、あとで思ったより回収に時間がかかることがあります。
1年目と2年目以降にかかる費用
講師の資格の場合、公式の案内にある金額を合計すると、1年目は講座165,000円、入会金2,200円、講師登録費3,300円、年会費3,300円、講師サポート費13,200円で、合わせて187,000円です。2年目以降は、年会費と講師サポート費で毎年16,500円がかかります。
アドバイザーの場合は、1年目が講座33,000円、入会金2,200円、講師登録費3,300円、年会費3,300円、講師サポート費3,300円で、合わせて45,100円です。2年目以降は毎年6,600円です。
このほか、教室で使う教材や小物、会場を借りる場合の利用料、集客のための印刷物や広告の費用、交通費などが、教室の運営の中でかかってきます。
協会が示している収支の例
協会の講師の案内には、収支のシミュレーションが載っています。週に1回教室を運営する例(2週間に1回のクラスを2つ開き、生徒は合計10人、会場費は無料と想定)で1か月あたり2万円から4万円、週に5回運営する例で1か月あたり16万円から19万円とされています。
この数字は、会場費がかからず、生徒が安定して集まっているという前提での例です。教室を始めたばかりの時期は、生徒が定員まで集まらないこともあります。自分の地域で、どのくらいの参加費で、何組の親子が集まりそうかを、周りの子育て世帯の数や、近くにある同じような教室の参加費から見積もってみると、回収までの期間を現実的に考えられます。
参加費と定員の決め方
参加費を決めるときは、近くにある同じような親子向けの教室の参加費を3つか4つ調べ、その幅の中で、自分の教室の回数、内容、会場の便利さを考えて決めます。安くしすぎると、生徒が集まっても会費や教材費を回収できず、続けるほど苦しくなります。反対に高すぎると、最初の参加者が集まりにくくなります。
定員は、一人で目が届く人数にとどめます。赤ちゃん連れの親子が集まる教室では、泣き出した子どもへの対応や、親からの質問への受け答えで、講師の手が離せない時間が長くなります。最初は少なめの定員で始め、運営に慣れてから増やすほうが、参加者の満足度を保ちやすくなります。
回収までの期間を計算してみる
たとえば、講師の1年目の費用187,000円を、1か月あたりの手取りの利益2万円で回収するとすると、10か月ほどかかる計算です。手取りの利益が1か月あたり1万円なら、1年半以上かかります。
アプリやWebサービスの開発でも、新しい技術を学ぶときは「学ぶのにかかった費用と時間を、何か月で回収できるか」を先に計算してから決めるのが定石です。ベビーサインの資格も同じで、教室を何回開き、何組の親子が参加すれば元が取れるのかを、講座を申し込む前に一度数字で確かめておくと、始めてからの迷いが減ります。
資格を取るメリットと注意点
ここまでの内容をふまえて、ベビーサインの資格を取るメリットと注意点を整理します。
メリット
1つ目のメリットは、教え方のプログラムと教材がそろっていることです。一から教室の内容を考える必要がなく、協会のプログラムに沿って始められます。2つ目は、協会のホームページでの紹介や、店頭イベントの講師の仕事の紹介など、集客の入り口が用意されていることです。3つ目は、子育ての経験がそのまま生かせ、自分の都合に合わせて教室の回数を決められることです。4つ目は、同じ立場の講師と勉強会でつながれることで、一人で教室を運営する心細さが和らぐことです。
注意点
1つ目の注意点は、民間資格であり、資格があることだけで仕事が保証されるわけではないことです。生徒を集めるのは自分の役割です。2つ目は、受講後も毎年の会費がかかることです。教室をしばらく休んでいる期間も、会員を続けるなら費用がかかります。3つ目は、赤ちゃんを預かる場であることの責任です。教室中のけがや事故に備えて、保険に入るかどうか、どんな保険が使えるかを、協会や保険会社に確認しておきます。4つ目は、教室の参加費や回数を決めるときに、協会の決まりがあるかどうかを確かめておくことです。
教室の収入と税金の手続き
教室で収入を得るようになると、税金の手続きも必要になります。ここは一般的な扱いの説明にとどめ、自分の場合はどうなるかは、税務署や市区町村の窓口で確認します。
確定申告が必要になる場合
会社に勤めて給与をもらっている人が、副業として教室を開いている場合、教室の収入から必要な経費を引いた所得が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」に条件がまとめられています。必要な経費とは、教材費、会場の利用料、協会の会費、集客の費用など、教室の運営のためにかかった費用のことです。
所得が20万円以下で所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別に必要になることがあります。住所のある市区町村の窓口に確認します。
事業として続けるなら開業届も考える
教室を継続して運営し、事業として続けていくなら、税務署に開業届を出すことも考えます。開業届とは、個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類のことです。青色申告を選ぶと特別控除を受けられる場合がありますが、帳簿の付け方などの条件があります。どの申告の方法が合うかは、収入の規模や働き方で変わるので、税務署の相談窓口や税理士に確認します。
配偶者の扶養に入っている人は、教室の所得によって、配偶者控除や健康保険の扶養の扱いが変わることがあります。年間の所得の見込みが出た段階で、勤務先や健康保険の窓口に確認しておくと安心です。
ベビーサインの資格を仕事につなげるための考察
最後に、ベビーサインの資格を取ったあと、それを長く続けられる仕事にしていくための考え方を、在宅ワークや個人で働く人の市場の視点から整理します。
教室の外で続く関係をつくる
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、個人で教える仕事が長く続く人ほど、1回の教室で終わらせず、参加者との関係を教室の外でも続けています。教室のあとに家庭で使えるサインをまとめた手作りの資料を渡したり、季節ごとのイベントを企画したりして、「この先生のところに通うと子育てが少し楽になる」と感じてもらえる工夫をしています。
その資料や教室の案内文の分かりやすさは、参加者の満足度に直結します。文章で伝える力を体系的に身に付けたい人には、ビジネス文書検定のような文書作成の資格が役立ちます。案内文、申し込みの確認メール、キャンセルの決まりの文面など、教室の運営で書く文章の質を底上げできます。
集客と発信の力を、別の仕事にも生かす
教室の集客のためにSNSで発信したり、ブログを書いたりするうちに、文章や発信の力そのものが身に付いていきます。仲介の手数料がかからない直接のやりとりで仕事を受ければ、依頼者は同じ予算でより多くを頼め、受け手の手取りも厚くなります。教室で培った子育ての知識と発信の力を、子育て向けの記事の執筆など、別の仕事に広げている人もいます。
文章の仕事の単価を知るには、公的な統計をもとにした相場を見るのが近道です。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、文章や編集に関わる職種の年収と単価の目安をまとめています。発信や集客の仕事に広げたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、マーケティング分野の仕事内容と求められるスキルを確認できます。
ベビーサインの資格は、取ったその日から収入になるものではありませんが、教室の仕組みと子育ての経験を組み合わせて、自分のペースで育てていける仕事です。アドバイザーと講師の違い、数年単位の費用、地域で集まりそうな参加者の数を確かめたうえで、自分に合う始め方を選んでいきます。
よくある質問
Q. ベビーサインの資格を取るのに、保育士などの資格は必要ですか?
必要ありません。日本ベビーサイン協会の講師の講座は、資格や経験がなくても受けられ、条件として明記されているのは高卒以上の学歴です。アドバイザーの講座は、教室を開く予定がなくても受講でき、子ども同伴での受講もできると案内されています。子育ての経験は強みになりますが、条件ではありません。
Q. アドバイザーと講師はどちらを取ればよいですか?
自分の子どもや身近な親子に伝えたい、まず試してみたいという人は、1日完結で33,000円(税込)のアドバイザーが向いています。生後6か月以下の親子向けのプレ・ベビーサイン教室を開けます。継続して教室を運営し収入にしたい人は、8日間の講座でベビーサイン教室を開ける講師が中心になります。
Q. 資格を取ったあとにかかる費用はありますか?
あります。協会への入会金2,200円と講師登録費3,300円が初回にかかり、年会費3,300円と講師サポート費が毎年かかります。講師サポート費はアドバイザーが3,300円、講師が13,200円です。このほか、教材や会場の利用料、集客の費用なども教室の運営の中でかかってきます。
Q. 講師の講座は通学ですか、オンラインですか?
協会の案内では、講師の講座は8日間すべてZoomを使ったオンラインで開かれ、各日10時から14時まで、途中に休憩があります。自宅から受けられるので移動の負担はありませんが、8日間の日程を確保する必要があります。手の動きが画面に映るようカメラの位置と明るさを準備しておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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